🎼Back Ground
Music 》》》
The true man wants two things: danger and play. For that reason he wants woman, as the most
dangerous plaything.
(男が本当に好きなものは二つ。危険と遊びである。男が女を愛するのは、それがもっとも危険な遊びであるからだ。)
Love is more afraid of change than destruction.
(愛が恐れているのは、愛の破滅よりも、むしろ、愛の変化である。)
Friedrich Wilhelm Nietzsche
(フリードリヒ・ヴィルヘルム・ニーチェ)
「ふぅ…今となっては懐かしいな…この写真も…あれから私宛に現存したものが届いて来たのだ…」
三橋は当時防衛大第二学年時代に撮影した写真を見ていた。それは、ゆいが二人の手を繋ぎ、三橋は特別儀仗隊の服を見に纏い、ありさは髪を纏めてアンティークホワイトのパーティードレスを見に纏った姿をしていた。
「ええ。…とても。でもこうしてみると…本当に白馬の王子様と姫というようにも感じられますね…この写真は…」
「それにゆいちゃんも写っていて、昔の貴族の家族写真のようにも見えるようだ…今となっては最高の思い出だ…!」
「私達もあれから10年…もう立派な中年ですね…三橋さんもあの時よりも落ち着いていて、もう立派な紳士ですね…!」
「そういうありささんも…10年も見ないうちにあの時よりも…」
「…え?」
「…フッ…」(ここは墓の前だ…今は言わないでおこう…)
三橋は流石に墓の前で色気話はしてはいけないと思い、ありさへの発言を慎んだ。そしてありさは何か思い出したのか荷物からあるものを取り出し、三橋に渡した。
「あの、三橋さん…こちらを。…」
スッ
「…ん?」
「どうぞ、見てあげてください…」
三橋は、何かの本をありさに渡された。それは一冊のアルバムだった。最初の写真は、19歳になったゆいの姿が写っていた。写真にはあの彼女の特徴である亜麻色の髪の毛が未だ残っている様子だ。そしてあの頃のありさとも何処か面影がよく似ていた。それを見て安堵したのか、ゆいの墓の前で呟いた。
「そうか、あの時はあんなに小さかった君が、もうこんなに大きくなっていたのか。…すっかり姉に似て、素敵なレディーになったようだね。…?…次の写真は…ゆいちゃんではないようだね…」
「これはあの子が当時16歳の時の写真です。そして写っているのは、入院先の病院で仲良くなったあかりちゃんという当時6歳の子の写真なのだそうです。…ですが、その子は。……!…くっ…!」
「…!…そうか…」
「はい。ですが生前までとても仲が良くて、ゆいにひまわりのヘアピンをくれたのも。……彼女からなんです」
ゆいはそのゆいとあかりについての出来事を詳細に教えてくれた──────
・・・
・・
・
🎼Back Ground
Music 》》》
People will not be disgusted by walking all day if their hearts are pleasant, but if their hearts
are sad, they will be disgusted by just one ri.The course of life is similar to this, and one must
always follow the course of life with a bright and amusing heart.
(人は心が愉快であれば終日歩んでも嫌になることはないが、心に憂いがあればわずか一里でも嫌になる。人生の行路もこれと同様で、人は常に明るく愉快な心をもって人生の行路を歩まねばならぬ。)
If you can't avoid it, you have to hug it.
(避けることができないものは、抱擁してしまわなければならない。)
William Shakespeare
(ウィリアム・シェイクスピア)
(* This content is just fiction!)
(※この内容はあくまでフィクションです!)
防衛大での出来事から歳月が流れ7年後…ゆいが16歳の時であった、夏休みの日に突然それが起こった。
「…うぅ…くっ!」
バタン!
「…!ゆい!?…どうしたのゆい!?…ゆいーーーー!!」
「…!ゆい!?…!!すごい熱…すぐに救急に連絡するわ!!」
突然リビングで物音かしたのでありさと祖母が確認するといきなり倒れてしまったゆいがいたのでありさはすぐに様子を確認する。身体はとても熱く、発熱を起こしていた。ありさはすぐさま救急車を呼んだ。
ピーポーピーポーピー!!
「はぁ…はぁ…ゆい…しっかりして!!ゆい!」
「ここでお待ちください。すぐさま精密な検査をしますから!」
「…ゆい…」
あれからありさは27歳になり、神戸女子大学卒業後、東京の有名な大企業に就職した。仕事が落ち着き、長期の休日を利用して神戸の実家に帰省していた時に妹のゆいが突然リビングで倒れたのだ。あまりに突然すぎて、ありさはただ唖然としていた。最近まで通院をしていて特に検査でも異常はなかったはずが…どうしてこんなことにと。暫くすると、祖母の話を聞いて騒ぎを聞きつけたのか父、母が病院に着いた。とりあえず事情を説明し、検査の結果が出るまで待つことにした。
〜数時間後〜
「西野ゆいさんの家族様ですね。お待たせしました。検査結果が出たので診察室にお入りください。」
「はい。」「「「わかりました。」」」
医師から今回のゆいの診察結果から、とても重苦しい答えが聞かされた。
「今回あなた方に酷なことを伝えることになりますが…いいですか…?」
「……!!」「「「…!」」」
「西野ゆいさんは…白血病です。それもかなり深刻な状態のようです。
「ゆいが…白血病…!」「あぁ…そんな…ゆい!」「ゆいちゃん…あぁ…!」「…!!くっ…!」
西野一家はひどく落胆する。その事実を知って…ありさは医師にこう話した。
「ゆいは治るんですか…あの子は16歳です!まだこれからなんです!何とかなりませんか先生!」
「残念ながらここの病院では…白血病患者に力を入れている病院に知り合いがいるのでそこにも紹介します。いかがしますか…?」
その答えに父はすぐにこう答えた。
「是非お願いします!ゆいを救いたいんです!どうか…お願いします!」
「お父さん…」
「しかしその病院は白血病患者の入院費、治療費は高額です。…それでも望みますか?」
その医師の言葉にありさが立ち上がりこう答えた。
「私が頑張って働いてあの子の治療費を払います!だから…紹介してください!!」
「ありさ…あなた…」「…!」「ありさちゃん…!」
すると医師はありさの目を見て、覚悟はできていると感じ、首を縦に振り、家族に説明した。
「…わかりました。その病院は竹内総合病院という名前で広島にあります。そこには白血病を専門としている病棟が存在します。そちらに手配してみましょう。」
「はい。よろしくお願いします!」
その数日後、ゆいは紹介状を元に広島の竹内総合病院へと入院することになった。わずかな望みであるがゆいを救うことができるならと。だがその病院でも、ゆいの状態はかなり深刻であることをネームプレートに竹内と書かれた50代医師はこう伝える。
「どうやら詳しい検査をして確認しましたが、ゆいさんの発病している白血病は極めて稀なタイプのものです。」
「…!…どういうことですか?」
「ゆいさんの白血病のタイプはどうやらHIVに近い免疫不全を起こしており、様々な疾患に罹りやすい体質になっているようです。さらに厄介なことにこのタイプの白血病は骨髄移植をしても何度も再発するという世界でも10人に1人が発症するくらいの全く症例にないものです。いわゆる難病にも近いものです。」
竹内医師からの突然の言葉に、家族が唖然とした。それは、まさに不死の病に近い白血病をゆいは運悪く引き当ててしまったのだと、ひどく落胆した。
「な、治る希望はあるんですよね!?先生!!」
「…今の所これといった治療法はありません。私からの診断だとこのタイプの白血病は、さらに転移もひどい為、もしもリンパ管にまで転移すれば悪性リンパ腫を併発し、臓器に癌の発生も考えられる為、転移の進行具合では約一〜二年まで生きた事例しか報告されていません。猶予は二年までといったところでしょう…」
「そ、そんな…」「ゆい…あぁ…」「ゆい…」「ゆいちゃん…!」
竹内医師の診断により、ゆいの白血病は思った以上に深刻なものであった。余命はおよそ二年とされ、竹内医師からは抗がん剤で様子を見ていくことになった。そして定期的に骨髄注射をすることで進行状況を見て経過入院を進めることになった。
「…ゆいは今どんな状態なのですか!?」
「今は熱も下がり、安静にしている状態です。しかし、またいつ発作が起こるかいまだにわかっておりません。」
「…そうですか…」「ありさ…」「…」「…」
家族は一度考え、談話室にてこれからのゆいのことについて話し合うことになった。
「ありさ…お前はこれからどうする気だ?」
「…あの子の分まで働くわ。もう少し仕事もらって無理をしてでもあの子の治療に当てる!」
「だがお前も東京だろう…物価も高いし、余裕がない。私たちも全力を尽くす!お前だけに負担をかけさせるわけにいかないのだ!」
「そうです。これはあなただけの問題ではないの。ゆいを助けたい気持ちはみんな一緒よ。あなたは立派な大人といえど、私たちは家族なの!お互い助け合う時は助け合わないと!」
「困ったときはみんなに頼ってもいいんだよありさ、一人では何とかできないことは多い。だからこそ助け合いが必要なんですよ。家族なら尚更、それを忘れてはいけないよありさ。」
「…はい!…みんな…ありがとう…ありがとう!!」(ポロポロ!)
父母祖母はありさを慰めていた。そして今日から西野家はゆいの闘病生活を見守った。幸い、西野家には広島に別荘を設けていた為、ライフラインの心配はなかった。
「うっ…痛い!…あぁっ!!…ハァッ…ハァッ…」
「ゆいさん!あともう少しで終わります!…はい終了しました。お疲れ様です。」
「…くっ!…はぁ…」(思った以上にすごく痛い…でも…何とか我慢できました…)
「…ゆい…よく頑張ったね」(グッ!)
🎼Back Ground
Music 》》》
〜病院内の廊下〜
「ゆい、調子はどう?」
骨髄注射による骨髄液の採取の検査を終えたゆいはありさと一緒に歩いていた。ありさはゆいの闘病生活を親身に見守っている。点滴を受けながら歩行器を突きながら歩行しているゆいを見守り、一緒のテンポで歩行しているありさに元気そうなそぶりを見せていた。
「うん…私は大丈夫。お姉ちゃんもあまり心配しないで。もう明日から仕事なんでしょ?」
「ええ。明日からね…でも嫌だといってられない。あなたの治療を続けられるようにしてあげるから元気出して。」
「…わかった。私…頑張るから!…それにもう七年も昔になるけど防衛大学校のお兄ちゃんだってもう卒業して、自衛隊の幹部として頑張っているはずですから…私も負けられません!必ず白血病を克服して、また元気な姿でお兄ちゃんと逢いたいです!」
「ふふっそうね…あの人…三橋さんならきっと立派な自衛官として活躍しているわね…きっと。」
「あはは…そうですよね。きっと。」
そう話していると、ゆいの病室のフロアまでたどり着いた。そして、安全にベットに臥床するようにし、ゆいを寝かしつけた。
「じゃあ、私そろそろ行くわね。ちゃんと休むのよ。」
「はい。また来てね。お姉ちゃん…」
そういうとありさを病室を後にした。だがありさはその裏で涙を流していた。愛しの妹が日々弱々しくなることに耐えられない様子であった。だがありさはすぐに涙を吹き、決意を新たにした。
(うぅ…!…ハッ!ダメダメ…待っててねゆい!…絶対良くなるから…お姉ちゃんあなたの病気治すために頑張るから…!)
その頃病室では、少しありさのことを心配するゆいの姿があった。
(お姉ちゃん、私のために無理しないといいけど…大丈夫かな…)
🎼Back Ground
Music 》》》
「あ、あの〜!すみませ〜ん?」
「あ、はい!」
「これ、ハンカチ落としましたよ〜」(二コッ!)
「え、あ、ありがとうございます…えっ!?」
ゆいはおとしもののハンカチを拾った人を確認する。するとまだ子供の女の子であった。そして頭にはひまわりのヘアピンが付いていた。
「お、女の子?あの〜あなたは?」
「あ、わたし、あかり。歳は6歳です。今日からこの病室に入院することになりました〜!同じ部屋同士、仲良くしようね!お姉ちゃん!!」
あかりと名乗る少女の元気そうなところに惹かれたのか、少し笑顔になったゆいは元気よくあかりという少女に挨拶する。
「…あかりちゃんっていうのね。わかった!私は西野ゆい。16歳です。こちらこそよろしくね!あかりちゃん。」(サッ!)
「うん!よろしくね!ゆいお姉ちゃん!」(ガシッ!)
二人は仲良く握手をした。それがゆいとあかりとの初めての出会いであった。
「へぇ〜ゆいちゃん、薙刀やってたんだ〜!なんか弁慶みたいだね!」
「そんな大層なもんじゃないですよ。私、幼い頃から身体が弱くて祖母から教えてもらってからなの。そのおかげで9歳ごろから体調も良くなってきたんだけど…私ね…今白血病と戦っているんだ…」
「…私はがんって病気なんだ…でもそんなこと気にしても仕方ないよ!今こうして、楽しく生きてるって感じているだけで私は幸せ!!」(キャッキャッ!)
「あはは!あかりちゃんは明るいな〜!…私も見習わないとですね!」
そうしてゆいとあかりの雑談の日々は続き、次第に二人は惹かれあっていった。あかりがこの病院に入院したのは小児がん専門の病院でもあるということで家族が入院させたようだ。
〜時は過ぎて半年後〜
「でも、なかなか治らないものですね…なんだか病院での味も慣れてきましたね…」
「うん!ここのご飯も少しだけだし、味も薄いね…」
「仕方ないですよ。それだけ病院側も私たちのような患者様のためにも栄養の献立を考えているんでしょう。私は料理もしますが、健康のために薄口に作ってくれていますね」
「ヘぇ〜ゆいちゃんお料理するんだ!どんなの作れるの!?」
「祖母の教えで和食とか洋食、いろいろ作れますね〜!でも私はお好み焼きが好きなんです。特に昔防衛大学校の開校祭である学生のお兄ちゃんが作ってくれた広島焼きの味が今でも忘れられなくて…あら///」(ぐ〜!)
「あははゆいちゃんお腹鳴ってる〜!でも私もお好み焼きは好きかな〜お母さんがよく焼いてくれてね〜…あ。私もお腹鳴った〜」(ぐ〜!)
「うふふ!」「えへへ!」
「ね!病気を早く治してこの病院を退院できたらこの地元の美味しいお好み焼き屋さんに行こうよ!ゆいちゃん!!」
「いいですね!無事に退院できたら一緒にいきましょう!あかりちゃん!!」
ゆいとあかりは仲良く談笑していた。そのとき、あかりの方に面会者が来られたようだ。それはあかりの両親であった。両親はゆいに対して挨拶をした。
「こんにちは!」「こんにちは。いつもあかりがお世話になっております〜。」
「あ…どうも。あかりちゃんと一緒の相部屋でいつも仲良くしている西野ゆいと申します!」
「ほう。先ほどからあかりが楽しそうに誰かと話をしていたから…そうか…もう友達が出来たか!?」
「あら〜とても心優しそうな子ね〜あかりよかったわね〜♪」
「うん!あ、そうだ!これ!ゆいちゃんが編んでくれたの!!」
「あら手袋!…ヘぇ〜!ゆいさん器用なのね〜!」
「昔よく編んでいましたからこれくらいはお安い御用ですよ!いつもあかりちゃんには励まされてばかりですし!」
「そうか。いや〜あかりは入院生活で暇になって寂しい思いをすると思っていたが、あかりと仲良くしてくれる人がいてくれてほっとした。これからもあかりと仲良くしてやってくれ。」
「はい!」
その後ゆいは普段のあかりの様子を話す。その会話をするたびに家族は嬉しそうに頷いており、その様子からあかりの両親は思ったより温かい家庭のようであった。あかりの方は少し恥ずかしいのか、あまり言わないで欲しいという仕草をしていたがそれが可愛らしいのかゆいから笑顔が溢れた。
「では私たちはそろそろ行くか」「ええ。あかり、ゆっくり休みなさいな。ゆいさん。これからもあかりをよろしくね!」
「はい!…確かに承りました。あかりちゃんのお父様もお母様も道中お気をつけてお帰りくださいませ…」(ぺこり)
「ほう。これはご丁寧にどうも。ふむ…どうやらとても育ちがいいようだね。ゆいちゃんの家族は…」
「本当にそうですね〜!その亜麻色の髪も気品に満ちていて、どこかの令嬢さんのご家庭ではありませんでしょうか〜!」
「…あ!す、すみません、私ったら…///」
「ははは。これはあかりの作法の手本にもなりそうだ。では私たちは失礼するよ」
「あかり〜また来るわね〜」(フリフリ!)
「うん!お父さん、お母さん!また!」(フリフリ!)
「…ふふっ!」(優しいお父さんとお母さんなのね〜。心なしかあかりちゃんも幸せそうね…よっぽど愛されているのが伝わるわ…)
ゆいとあかりの入院生活はなかなか充実していた。その翌日にはゆいの両親が面会に訪ねてきたようだ。
「こんにちは〜。ゆい、調子はどう?」「ゆい!どうだ調子は?」「ゆいちゃんどう具合は?」
「あ、みんな来てくれたのですね!…嬉しい!…あれお姉ちゃんは?」
「あ、ありさはね…仕事で来れないらしいの。」「あ、ああ。今ありさは忙しいらしいからな〜来いって言っても仕事でちょっと忙しいからと言ってな…」「そうなのよ…」
「そうなんだ…ちょっと残念です…」
西野一家はゆいと話していると、検査から帰ってきたあかりが病室に戻ってきた。その様子からゆいの家族だとわかり、あかりは元気よく挨拶した。
「あ、こんにちは、ゆいちゃんの家族の人たちですか〜?」
「ん?ああそうだけど君は?」
「私、ゆいちゃんと同じ同部屋のあかりといいます!歳は6歳です!いつもゆいちゃんの話し相手になっています。よろしくお願いします。」
それを見て西野一家は安堵したのか、あかりに優しく話しかけた。
「…そうか、いつもゆいとな!」「あかりっていうのね…可愛らしい子ね〜昔のゆいのことを思い出すわ…」「ふふ、本当に、健気なとことかね〜そのひまわりのヘアピンのように明るい子ね」
「えへへ〜♪」
「あかりちゃん、昨日両親が来てすごく嬉しそうだったの。あかりちゃんの両親…とても優しい人達でね…」
「そ、そうか」「…そうなのね」「…」
西野一家は少し、嫉妬も混じっているかのような少し寂しげな気持ちになっていた。しばらくゆいの面会に来れなくて申し訳ない気持ちでいっぱいだったように家族一同は思っていた。だがそんな空気をあかりの言葉で明るく変えてくれた。
「もう!ゆいちゃんのお父さんお母さんおばあちゃん!…せっかくゆいちゃんの顔を見に来たんだからなんか元気づけてあげなよ〜!もうこんな時ぐらいだよ!元気そうで良かったと笑い合えるの!だから笑おうよ!!笑っていたら明るく前向きになって元気になれるよ。気持ちもスッキリするから!っね!!」(二パ〜ッ♪)
「「「!!」」」
「あ…あかりちゃん…!」
両親はあかりの言葉に元気付けられたのか、少しだけ元気が出たようだ。そして、ゆいにできるだけ笑顔を向けてこう話した。
「ああそうだな。いつまでもゆいの病気のことを考え過ぎていてゆいの本当の気持ちをわかってあげられなかったのかもしれないな…ゆい、今私はお前がこうして生きていることが嬉しくてたまらないよ。ごめん、本当にごめんな!だがもう大丈夫だ!!心配かけたな…ゆい!」
「本当に、まだ6歳の子にこんなに元気付けられるなんて…ゆいごめんなさいね〜お母さんもできるだけ明るく毎日を過ごしていくから。」
「6歳の歳でこんなにしっかりしているなんて、よっぽど親の躾がいいのでしょうね!もう歳を取っているけど私も見習わなくちゃね〜ありがとねお嬢ちゃん〜!」
「うん♪」
ゆいは心の中で思っていた。あかりも自分と同じように闘病生活を送る身でしんどいはずなのにいつも元気に振るまっている。本当にすごい子だと感じ、さっきまで暗い雰囲気を一気に明るく変えてくれた。まるであかりという名前が似合うかのように暗闇を明るく照らしてくれたかのようにゆいは思った。そう感じたのか、ゆいは心の中であかりに感謝した。
(あかりちゃん…ありがとう…私の家族を元気づけてくれて本当にありがとうね!)
ゆいはあかりに強い信頼を寄せていた。このような明るい時間がずっと続いてくれればいいと期待していた。だが限り行く安息の時間に並行し、その結末には訪れゆく絶対避けることのできない運命の時間が刻一刻と近づくことをこの時ーーー誰も知る由はなかったーーー
人命という儚く尊い人生という概念がある限りーーーそれは時に人が持つ欲の非情さーーー取り返したいのに取り戻せないーーー取り返しの出来ない現実もあるーーー