🎼Back Ground
Music 》》》
How can humans endure life without oblivion and the accompanying beautification of the past?
(人間に忘却と、それに伴う過去の美化がなかったら、人間はどうして生に耐えることができるだろう。)
Only the monster of habit can surpass the spirit.
(精神を凌駕することのできるのは習慣という怪物だけなのだ。)
Mishima Yukio
(三島由紀夫)
♪〜聖剣伝説3より・Evening Star
〜【Paradiso】歴:2000年7/5・【J島】【Mystia】山【Mist garden】玄関前〜
俺は昨晩、半強制的にネルヴァさんと一緒に寝てしまい、酒の匂いを嗅ぎ過ぎては二日酔いのような状態になり、身体がだるさを感じてしまっていた為、先にシャワーを借り、浴びてから朝食を済ませようとした。その間に訪れていた幹部のギルドメンバーはとっくに旅立ち、各島の母国へと帰還していったらしい。そしてこちらも朝食を終え、【Kagoya】の町に戻ろうと下山する為、玄関から出ると、アガルタさんが見送りに来てくれた。
・・・
「もう行かれるのでございますね…」(シュン…)
「はい!…昨日一晩お世話になり、本当にありがとうございました!」「ありがとうございました!」「おおきにな〜!アガルタさん!!」
「いえいえ!…でも…その姿を見ていると…ふふっ!…ハクローさん…貴方様の隣には、まるでロベルが立っているようにも見受けられます!」
「!!…へ、へぇ〜…ロベルがね〜…」(ちらほら…)
「…ふふふっ♪…」
ガバッ♡!
「ウォっ!?///」(まっ!?また…不意打ち!?///)「!?///も〜うアガルタさ〜ん!!///…うぅ〜!!///」「!!」(ハァ〜…またかいな〜!…アガルタさん…ハクローはんの親友の事どんだけ好きなんやねんなぁ〜!?)
【Hux・row】は不意打ちにも、再び【Agartania・F】の温かみのある抱擁に包まれる。その様子を嫉妬深く
「あらあら…リーネさんもどうか怒りを鎮めて…どうぞ一緒にいらっしゃって…」(バサッ…)
「!?…〜!!///」
ダキッ!!
「…リーネ…?」「もう!今回だけですよ…それに…アガルタさんに抱かれていると…何だかお姉ちゃんの事を思い出すんです…」
「あらあら…昨日お話ししたリーネさんの姉君……ありささんの事をですか…?…ふふ…昨日リーネさんの家族写真を拝見させていただきましたが、確かにリーネさんの姉君は本当に綺麗なお方でしたね…!」(なでなで!)
「…あ…///」
「……」(…そうかリーネ…心なしか…寂しかったんだな……俺は…この人からロベルのことを知り【paradiso】に来ては、真・ユートピア創造士隊のような人の命をなんとも思わない連中がいれば、俺の住んでいた現世で出会った西野さんのような…こんな聖母のような慈悲深い人もいることを知ることができた。…ロベル…お前がこの人を親身になって助けようとした気持ち…何だかわかったよ…)
ポタ…ポタ…ポタ…
「…!!」「…え…アガルタさん…泣いているのですか…?」
【Hux・row】と【Linea】が上を見上げていると【Agarutania・F】が慈悲深い涙の雨を流していた。そして二人の旅の安全を願うかのようにこう話した。
「…お二人とも…どうかご無事で!!……私は…もうこれ以上…あの子…ロベルのような尊い犠牲を出されて……いなくなってしまうところは見たくはないのです…!だから…!」(ギュウ…!)
【Agarutania・F】は【Hux・row】と【Linea】をまるで大切な我が子を見送るかのように、強く抱きしめていては身体が震えていた。その様子に【Hux・row】は理解した。ロベルを失ったという事実は【Agarutania・F】にとっても心の傷が深かった出来事なのだと感じ取り、二人は自信を持って語りかけた。
「!!…大丈夫です!!…俺は…いや、俺達は【G・lrof】の奴を討ち取り…必ず無事にこの名刀【Louvel】を持って…真っ先に貴女の元へと戻ってきます!!…だからアガルタさん…もうそんな悲しそうな顔をして泣かないでください…頼みますから…!」(ポタポタ…)
「…私も…ハクローさんと同じ気持ちです…!現世の時を生きていたハクローさんや千夜さんにとっても…かけがえのない友人の方であり、アガルタさんの命の恩人でもあるロベルさんを卑劣にも手に掛け…!…アガルタさんをこんなに辛い思いになるまで悲しませた【G・lrof】という人…!!…私も絶対に許しません!!…私もこの戦いを済ませたら…ハクローさんと一緒に…アガルタさん…貴女の元へと戻って参ります…だから…グスッ!…アガルタさん…もう泣かないでくださいよ…私…!!…うわあぁああああん!!」(ポロポロ…)
「…!!…ふふ…ありがとうございます…お二人共…約束ですよ…!」(ギュッ!)
【Hux・row】と【Linea】は【Agarutania・F】を励まし、心の中でロベルへの感謝の気持ちを伝えた。
《…貴方があの時…私を救っていただいたおかげで…今…こんなにも幸福を感じております……ありがとう…ロベル…!!感謝します…》
・・・
「じゃあ俺達は行きます!…アガルタさんもお元気で…!」(ビシッ!)
「アガルタさん…またいつの日かお会いしましょう!…では失礼します…!」(フリフリ!)
「ほなアガルタさんさいなら〜!また物資とか持ってくるさかいに〜!!」(フリフリ!)
「…皆さん、道中お気をつけて…いってらっしゃいませ…!」(フリフリ…)
【Agarutania・F】は【Hux・row】と【Linea】【Keito】の三人を見送る。三人の背中を見ていると少し名残惜しく感じていた。
「皆さん…どうかご無事に元気な姿で帰ってきてくださいね…!…約束ですよ……?…急に…霧が立ち込めて……!!…え…!?…あれは…!?」
突然【Agarutania・F】の前には霧が立ち込み、何やらそこに人影が見えていた。その人影からは親しみのある優しい声が語られた。
『安心してよアガルタ!…古くから癒しの力を持つ…君達フレイシア家の令嬢の貴女なら…きっと白狼達の力になってくれるよ…!』
「…!!ロベルなのっ!?…どこ!?…どこにいるの!?…あ…あぁ…!!」(ポタポタ…)
【Agarutania・F】はそこでロベルの幻影と幻聴を聞いたのか切ない涙を流していた。それでも幻影とはいえどロベルが目の前に来てくれたことを嬉しく思えた。
「…ごめんなさいねロベル!…貴方が去った後も…ご心配をおかけしまして…!!…わかりました…ハクローさん…それに皆さん…貴方方の旅の無事を…心から祈っております…!」(ギュッ!)
・・・
・・
・
🎼Back Ground
Music 》》》
♪〜聖剣伝説3より〜Swivel
〜【Paradiso】歴:2000年7/7日・J島【Kagoya】の町に続く高原〜
【Hux・row】と【Linea】は【Keito】の案内で、約二日程度が経過して【Mystia】山を無事に下山するも、遠回りの道に回り込んでしまったからか【Kagoya】の町に続く緑の高原の長い道のりを歩いていた───────
「なんとか【Mystia】山から降りれたが…!!すげえなぁ〜!…緑の草原が続いている!…だがまだまだ【Kagoya】までは長い道のりのようだぜ〜…」
「そうですね〜!私はもう病弱ではなくなり、こうして歩いてもさほど疲れがないのが何よりの救いですね〜!!…!!ん〜うっ!この心地の良い風と草原の景色を見ながらこの空気を吸うと…ふふっ♪…何だか気持ちがいいですね〜♪」
「あ〜、そういや〜リーネはんは現世の時は病弱体質でしばらく病院で生活したんやな!…それで【Paradiso】に早速来ては【Dail】邸でメイドとして監視の生活を受けて…今となっちゃあ〜こうして《自由の身》になってこの景色を見ていることがリーネはんにとって信じられん事やもんな〜!」
「はい!本当にそうですよ〜♪それも全て、ハクローさんのおかげでもあります!!本当にあなたには感謝しきれませんから…!!ハクローさん♡!!///」(ドキドキ///)
【Linea】は【Hux・row】に対し、再びお礼を言う。すると少しばかり照れ臭そうにもこう告げる。
「へへ、そうだな〜!…さーて、どんどん行くとするか!!…お前ら〜!!遅れるなよ〜!!」(タッタッタ!)
「ああっ!ハクローさ〜ん!待ってくださいよ〜!」(テッテッテ〜!)
「なはは!ハクローはんもこの景色を見ては、心なしかノリノリやんけ!…伊達に狼の名がつくからかね〜!」(タッタッタ!)
三人は、長い道を歩いていく。すると何かの動物を発見した───────
ピョンピョン!!
「!!…うぉっ何だ!?…ウサギ…か?……!?にしてはでか〜っ!!80cmはあるぞ!!」(ぎょえ〜!)
「そうですよね〜!【Paradiso】の動物の生態系は…一体どうなっているのでしょうか?」
「ホンマに摩訶不思議やからな〜っ!この【Paradiso】っちゅう世界は!!…あれはこの世界に住むウサギで【Graconiglio】(グラコニジオ)っちゅうんや!…特に人には危害を加えたりはせえへん。毛皮はいいけど肉は食えたもんやないからスルーや!次いくで〜!!」
「ヘえ〜ケイト!やっぱ猟師ギルド所属だからか、この世界の生態系に詳しいな〜!…なんか、でもあれだ…モンスターみたいな動物が出てくるからか…《ゲーム》とか《ラノベ》みたいな…ファンタジー世界に来たようにも思うよな〜俺達…」(チラホラ!)
「そうですよね〜!…私はゲームやラノベ?というのはあまり知りませんが…確かに何かのファンタジー小説に出てきそうな雰囲気ではありますよね〜!」(ちやほや!)
「ウチも現世にいた時はよくファンタジー系のラノベは読んでたな〜!特にオススメはな〜!……」(カクジカ…)
三人は雑談しながら草原の道のりを走っていく。すると、何か巨大な黒い影が見えてきた。
タッタッタ!
「!?あ〜!!スト〜〜ップ!!隠れるんや、自分ら!!」(キキーーー!!ササッ!チラッ!)
「な、なんだよケイト!!…って…!!…げっ!?…あ、あれは…!?」(ササッ!チラッ!)
「…え?…!!…あ!…あ…あれって…もしかして……!!クマですか!?」(ドキドキ!)(ササッ!チラッ!)
グオオ…
「…ああ…あれはおっかないで〜!…【Paradiso】に生息してる黒熊【orso nero】(オルソネーロ)や!!…アレには注意しぃや!!」
グォォ…!!
三人は目の前の黒熊【orso
nero】を目撃し、岩陰に隠れて身を潜めた。その体長は2mはある。【Keito】曰く気性が荒く、攻撃性も高いため、旅人曰く遭遇すれば現世の世界でも言えることだが、《怪我だけでは済まない》らしい───────
「なるほどな〜!…ケイト。…アンタはこいつら熊に対するトラウマは?」
「…昔は抵抗あったんやけど、今はあのオロアはんの試練のおかげでそんなもん乗り越えたわ!!…よし…ハクローはん!アンタの能力が頼りや!…ウチの標的能力で狙いを定めて…」(ググー!)(スナイパー能力発動)
ピロピロピロ ピピ…!!
【Keito】 ランクD
【♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡】
ーー
スナイパー能力を発動しました。敵の位置を特定して標的を定めました。
「俺が奴の急所を逃さないようにソナー能力で位置を感知すると…了解だ!!」(ソナー能力発動!)
フォン…フォン…ピン…ピン…!
【Hux・row】 ランクE
【♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡】
ーー
索敵能力を発動しました。北北東の方角に動物らしき影を感知しました。
【Hux・row】と【Keito】の二人は能力を使い、息の合ったコンビネーションで黒熊を仕留めようとする。そして狙いが定まり、攻撃の合図が出た。
「そこだ!!」(ビシッ!)「今やで!!」(パシュッ!)
シュッ!! グサッ!!
グォーーーー!! ギラッ!!
「…!!まだ生きてやがる!!ええいくそがぁっ!!」(ジャキン!!)「あかん!仕留め損なったか!!気づかれたで〜!!」(ガチャン…!)
グォーー!!ダダダダダ!!
ヒュンヒュン!! ブシャ!! グサッ!!
グオオ……オォ……
バターーーン!!
「」(ポカーン…)「」(ポカーン…)
二人の存在に気づいたのか、黒熊が突進してくる。【Hux・row】は名刀【Louvel】を抜刀し、【Keito】は猟銃のショットガンの引き金を引こうとする。その時、二人の目の前にかまいたちのような斬撃が飛んできたのを確認し、斬撃は黒熊に直撃し、そのまま倒れ伏せて討伐される。その光景を目撃した二人は唖然とした表情をして立ち尽くしている。するとそこには見事な薙刀捌きをして黒熊を睨みつけている【Linea】がいた。
「二人には危害は加えさせませんよ!!…ですが、突然ごめんなさい。…どうか成仏なさってくださいね……」(ぺこり…)
【Linea】 ランクE
【♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡】
ーー
戦果ポイントが加算されました。次のランクアップまであと※※※※です。
「……武器に魂を集気させて、かまいたちのように斬撃を飛ばしたのか!!…魂を補填して治癒する以外にもそんな使い方がな〜!…考えてみたら…おっかねえ能力なんだな〜……」
「リーネはん…本気で怒らせたらいかんぜよこりゃあ…」
・・・
タッタッタ…!!
「…でも、任務のこともあるけど…こうしてお前さん達とこんな広大な自然のある草原を走って旅をするのも…なかなか面白いな〜!!」(二カッ!)
「そうですね〜!…ふふ…まるでこうしていると…私達三人は…!!」(クスクス!)
「家族とでも言いたげな雰囲気やな〜!!…まあそういうん嫌いやないで〜ウチは!!…ハハ…!!」(ケラケラ…!)
アーーッハハハハハハハ!!
三人は笑いながら広大な草原の道のりを走っていく。すると【Kagoya】の街が見えてきた───────
「見えてきたな〜!およそ一週間ぶりだ!!」「本当にお久しぶりですよね〜!」「ふ〜遂に我が故郷やで〜!!」
【Hux・row】【Linea】【Keito】の三人は笑みを浮かべ、急いで草原を駆け巡り【kagoya】の街へと入っていく───────
・・・
・・
・
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♪〜久石譲より・Summer
〜【Paradiso】歴:2000年・7/7・昼間【J島】【Kagoya】・清流通り〜
リンリーン〜♪ ミ〜ンミンミンミ〜♪
「…へぇ〜!蝉の泣き声に、この世界にも風鈴があるのか!…もう日付的に夏だから…何となく《久石譲》の《Summer》とか現世の《日本映画・菊次郎の夏》を思い出すな〜!」
「ふふ!…風鈴がとても良い音ですね〜♪涼しげで…何だか風情を感じますね〜♪」
「この【Paradiso】の世界には、季節の概念がなくても時間とかの概念があって一応日付があるからな〜!…まあこの【Kagoya】の千夜ノ桜は、一年中桜が咲いてたりするから4月以外やと違和感感じてしもうて、そこまで季節感が味わた心地がせんけどなぁ〜…」
俺達三人は、【Kagoya】の町通りの一つ《清流通り》と呼ばれる道を歩いていた。清流通りは、リーネ曰く周囲の風景が何となく現世の《岐阜》にある《群上八幡》の町の景色とよく似ているらしい。俺は行った事はないが、リーネは父が出張で写真を撮ってきてはその風景の写真を見て、一度行ってみたかったと言ってたらしく、この【Paradiso】の世界を訪れ、場所は違えど似たような雰囲気のある町を訪れる事が出来てとても嬉しそうにしていた。確かにこの季節にはとても涼しげで快適な場所だと感じる。それに水も透き通っていてとても綺麗な場所だと俺は思っていた。
タッタッタ………!!
「おっ!思い出したけど今日は七夕やんかいな〜!?」
「あ〜言われてみればそうですね〜!…でも…笹はないので…ここでは七夕の文化はないようですね〜!」
「おそらく現世人のセノさんは笹とか準備してそうだな〜!…また戻るまでに七夕の短冊に何を書くか考えておくか!」
「いいですね〜♪」「それええな〜♪…って…ウチは親方の家で寝泊まりやったな…」
「いやいや折角だし書いていけばいいと思うぞ!!」
三人は談笑しながら、道を歩いていく。すると【Linea】が何かを発見した。
「…ん?何でしょうか…【天鏡水導の鳥居道】…?」
「…何だろうな?…なあケイト?…ここは一体何なんだ?」
「ああ〜、ここはな!清流通り名物スポットの一つの遊歩道でな〜!…まあ言葉で教えるよりも、実際にその目で見て歩いてみたほうが早いで〜!…ほな折角やしついて来てや〜!」
タッタッタ!
「あ!おい!」(タッタッタ…)「一体どんな場所なんでしょうね?」(テッテッテ…)
【Keito】は【Hux・row】【Linea】の二人を誘導するかのように遊歩道の道を歩いていく。そこには青と白の千本鳥居が続いており、しばらく道を歩いて行くと赤い橋が見えて来た。その橋を渡り、ふいと景色をみると、そこには二人にとっても、馴染み深い絶景かつ広大な光景が広がっていた───────
🎼Back Ground
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♪〜天気の子より・花火大会
「…!!こ…ここは…!?」「…こ…これは…!!…まぁ〜!なんて広い湖なのでしょうか!?…それに広大な清流が湖になって…!!前方に見える空模様も…山々も…ハッキリと鏡写しのように写り込んでいます!!」「ここが【天鏡水導の鳥居道】の有名スポットの醍醐味……《明鏡止水ノ境地》と言われてる場所やで〜!!」
二人が見た場所は、一度見たことがある光景でもあった。それは【Hux・row】の夢の中にある心の世界【Sognare】の鏡写しの空間を連想させるような心が澄んだ空間とも呼べる場所を連想する景色がそこにあった。景色を見て先に口を開いたのは【Linea】であり、思わず【Hux・row】の手を握り、彼の胸に手を添える形で、雄弁に語り出した。
「…やっぱり、この景色は…とても澄んでいて…濁りもなく綺麗な場所ですね。……私がハクローさんの目覚めを待っていた時に思わずうたた寝をしてしまい、あなたの夢の心の中の世界【Sognare】に介入した時のことを思い出します……ふふっ!」(トン!ポロ…)
「…ああ!俺もまさか俺の心の中に…こんな水鏡が広がる世界があるとは思わなかったよ。…!!夢の中で東京にいて……嬉しかったのが…まさか現世に存在する千夜の心そのものと会って…マスターの空川少尉の喫茶店で過ごしていた家族と友人。……それだけじゃあなかった。…俺やロベルの掛け替えのない居合道の仲間の菊川先生と千里に会って…その後、俺と千夜は一緒にこの景色を見て…!!俺の心の中に存在している三橋三等海佐と、西野さんと会ったんだ!いくら俺自身が心の中で認知している二人とはいえ……あの時…またあの人達に会えて…俺は本当に嬉しかったんだ!…二人さん方…本当にあの時は…お世話になりました!!」(トン!ポロ…)
「…お兄ちゃん!…お姉ちゃん!…この景色を見ていますか?…今…私達は、こうしてこの【Paradiso】で、仲良く過ごしておりますよ!」(ポロ…二コッ!)
「……っ!」(…へぇ〜ハクローはんの【Sognare】の世界はこんな景色なんやな〜!…てっきり《白狼》ってイメージやから、雪原とかそんなんやと思っておったけど…まあハクローはん……何となく心が広いからこんな景色なんかもな〜!)
カシャ!!
【Linea】は【P-Watch】のカメラ機能でこの幻想的な風景を撮影した。その時に旅の記念ということで、【Keito】が【Hux・row】と【Linea】のツーショット写真を撮影した。【Hux・row】は凛とした表情をしており【Linea】は満更ではなく、幸福な笑みをして写真が撮影された。そしてメール機能でその写真が二人に共有されて配られた───────
・・・
「よ〜し!次はここやで〜!!」
「…へぇ〜今度は《広島》の《厳島神社》のように鳥居があるんだな〜!……ん?にしては?」「千本の鳥居になっているのですね〜…とても幻想的ではありますが。……何でしょうか?…切なくもありますね…」「《彼岸の鳥居》とも呼ばれる場所やからな〜!あそこからあの世の魂が行き来したりするとかいう迷信ができたりもした程やしな〜!!」
カシャ!!
・・・
ヒラヒラ〜!
「何だ?……桜の花びら?…じゃあここは…」「ああ〜!あそこに見えるのは…千夜ノ桜通りの桜ですね…!!」「ここはあの通りとも隣接しとるからな〜!なんかこの赤の橋と桜の色って…相性がいいんよな〜!」
・・・
【Hux・row】【Linea】【Keito】は【天鏡水導の鳥居道】の幻想的な清流の澄んだ空間の途中の道を心ゆくまで楽しみ、改めて和の心を実感した。そろそろ昼も近い為、【天鏡水導の鳥居道】内に《食事処》があったので、すかさず立ち寄り、昼食を堪能していた。
リーンリンリィ〜ン〜♪
「お待ちどおさまです…ご注文の素麺でございます…」
コトッ!
「おお〜っ!来た来た素麺!」「涼しげですね〜♪」
「うちんところは北海道生まれで寒かったから、よく熱々の白味噌の味噌汁に入れて食べとったな〜!…じゃあ二人共…食べよか〜!」
「そうだな〜!じゃ…いただきます…」「いただきます!」「いただきます〜!」
ズルズル……!!
「!!…これは…!?俺……!?こんなうまい素麺…初めてだ!!…清流だからか…だしも旨味が効いていて…なんか…!?澄んでいる味がする!!」(チュルル…!)
「…まあ〜、本当ですね!…何でしょうか…この素麺の食感…!!まるで清流のように流れ、繊細な糸のような喉越し…!!とても…凄くおいしいです〜♪」
「こりゃあ一体どんな小麦で出来ているんやろうかな〜!?…まあ美味いからええか〜♪」
【Hux・row】【Linea】【Keito】は心ゆくまで素麺を堪能した。《食事処》を出ては引き続き三人は道を歩いて行く。すると【Linea】は何かを発見した───────
バサバサ〜!!
「!?…あぁっ!ハクローさん!…あそこ!!」(ビシッ!)「…ん?…おっ!《白鳥》か〜!!」
「お〜白鳥な〜!…え〜っと。…あの種類やと…!?…おお〜!あれ【Louvel】(ロウヴェル)やんけ!」
「…!!…【Louvel】…!!そうなのか!?…この名刀と同じ名前の白鳥!…ロベル!…見てるか!?」(チャキッ!)
「ハクローさん!…撮りますね!」
カシャ!!
「なはは!ハクローはん!…よかったな〜!【Louvel】っちゅうのは、そう滅多に現れん白鳥やから運がええで〜!…きっと何かいい事が起こるで〜!!」
「…そうか!まあ俺は迷信を信じるタイプではないが…ちょっと嬉しいかもな!」
「ふふふ!…でもハクローさん本当に嬉しそうですね〜!」「ほんまやな!…なんか肩の荷が少し降りたんと違うん?」
「ん?そうか?…でも確かに、特にロベルの事を知っていたアガルタさんとの出会いや…各島の6人のギルドリーダーでロベルが創設した騎士ギルド【Verkuy】のユリスとの出会い…そしてこの【Kagoya】の町の景色を見ているうちに…俺も何だか心に余裕を持てたのかもしれないな!」
【Hux・row】は【Kagoya】の町を訪れてからの事を思い出しては考えに耽っていた───────この町で見た【千夜ノ桜】や現在見ている【天鏡水導の鳥居道】の景色【Mist garden】の領主である【Agarutania・F】と、各島に在籍する6人の幹部ギルドとの出会い、その中でロベルの事を知る者がいたりとその経験が【Hux・row】にとって、今回の旅で何かかけがえのないものになっていた───────だが【Linea】は【Agarutania・F】の名前を口にした【Hux・row】を、嫉妬深そうな表情をして見つめていた───────
「む〜っ!!///ハクローさん!!なんでそこで《アガルタさん》が出てくるのですか!?もう!///浮気とふしだらなことは…この私と千夜さんが絶対に許しませんよ〜!!ハクローさんのばかばか〜っ!!///」(プンプン!)
ポカポカポカポカポカポカ!
「あ〜!いたいいたいって!落ち着けってリーネ!…って、あはは!くすぐったい!…やめろって!あははっ!」
コチョコチョコチョ!
「〜!!///…っ!!…うふふっ♪」
「…ハァ〜本間に仲良ええなぁ〜自分ら!…まったく、この二人の熱いムードには…」(やれやれ…)
《こんなに涼しいところでも冷めんし…ホンマにあきまへんわ〜!!》
・・・
【Hux・row】【Linea】【Keito】の三人は【天鏡水導の鳥居道】の遊歩道を終え、出口に辿り着いた。出口付近の周りは澄んだ水の清流が流れている橋があり、その橋の下には多数の《錦鯉》が泳いでいた───────
スイスイ〜♪
「まぁ〜!…色鮮やかな錦鯉さん達がこんなに!たくさん元気そうに泳いでいますね〜♪」(ウキウキワクワク♪)
「…なぁ〜ケイト。……もしかしたらだけど…この錦鯉ってさ…」(哲学的視点)
「…うん、ハクローはん。……ウチもな…猟師ギルドに所属してる身でな…生態系にも強くなったとも思ったんやけどな〜!…それでも…たま〜に思うんよ。…この錦鯉共の事。…こいつら一体どっから湧いて出てきたのかっちゅう事をな〜…」(哲学的視点)
【Linea】は無邪気に錦鯉を見て純粋に楽しんでいた。そして錦鯉を見ていた【Hux・row】と【Keito】の二人は、現世から来たものなのか…それとも元から【Paradiso】に住んでいる独特の鯉なのかという哲学的な疑問を持ち、この【Paradiso】の世界の《摩訶不思議》な世界観について改めて実感した───────
・・・
・・
・