GiorGiaNo

 
《Paradisoシリーズ〜導かれし七人の現世人の冒険譚》

A.:GiorGia


〜ダブルフェイス〜黒豹と法と秩序の契り〜

第13話:掃除屋兼便利屋ギルド【Hopera】始動!!



【L島】【Orzen】所属の【Louverd】は、【狼志組】【Sogami】─────太古のユートピア人であり、英霊の如く現れた【Organa】の活躍によって、救済ノ使徒【Mireisia】の企みを阻止したかのように思えた。────その半年後、世界は激動の世界の始まりの兆しを見せつつ─────時は6/1。彼らの行く末には、一体何が待ち受けているのか─────












《Capitolo・1》
物語を開始しますか?

🎼Back Ground Music 》》》



I want to fly right now, but I can't throw everything away
(今すぐ飛んでゆきたいけれど全てを捨てて行けない私がいる)

You can laugh at the glory of the past I can't move around
(過去の栄光なんて自分でも笑えるよカラ回りして 身動きできない)


(Zard・坂井泉水)
















長きに渡る歳月が流れ、時は【Paradiso】歴:2000/6月の【Paradiso】────各地で様々な思惑が懸念される中、ギルドに所属する者達は、自らの意志で行動を開始する。その行動は【救済派】の企てる独断かつ、一方的な救済の在り方ーーましてや神頼りといった怠惰なものではなく、自らの意志を持ち、進んでいく人間の力強さをも感じられる。新たな年が始まり、半年という歳月を迎えた【Paradiso】────その世界で、一体何が起ころうとしているのか─────

【Paradiso】歴2000年・6/2【C島】【Mikrio】・夕方・闇市街

より子より〜ダイアの花♪

ダダダダダ!!!

「!!……伏せろ、エイミ!!」

ガシッ!!

「キャッ!!…助かりました…ヴェノおじ様…!!」

ダァーーン!!!

「ヒャッハ〜じゃん!!……派手にいくじゃんよ〜!!!」

「貴様ぁああっ〜!!止まれ〜!!」「ここを一体何処だと思ってるんだ〜!?」「ユートピア創造士隊の拠点とも知らずに……よくもまあ〜こんなに……」

ゴゴゴゴゴゴ……

「ひぃっ!!……ね…ネルさんは大丈夫なのでしょうか…?」

「安心しろエイミ。……ネルソンは……奴はあんなことでは死なんよ。…決してな。…なんと言ってもあいつは……」

《ゾンビだから》

「ほらよじゃん♪」

ダァーーン!!!!

・・・

タッタッタ!!

【Olfes】での出来事から半年後───────【Nelson】の計らいにより【Veno・nix】【Eimi】の2人は掃除屋兼便利屋ギルド【Hopera】に所属している。【Eimi】は一時期【G島】【Olfes】の救済ギルド【Siel】に保護され、【Mireisia】の代理として所属していたが、自分から移籍を希望し、こうして【Hopera】の一員として活躍しているのであった。そしてあの出来事から半年後、【Eimi】の身体にも変化が出始めていた。

「だがよ〜エイミちゃん!……結構不便に感じないかじゃん?」

「?…ネルさん?」

「…エイミの身体の事を言ってるようだ。…悪い教徒の女……確か《ミレイ》という奴に腑(ハラワタ)を引き摺り出された時に何かを摘出され。……何故か、男の身体にされてしまったんだろ?」

「……!!///…は…はい!!…ですが心配はいりません!…現世での私は……《男》として過ごしてましたからっ!!……そして…まだ彼女は生きていると。…オルガナ様からの神託の言葉を頂き…そのように聞いております!!…だから私は、自らの意志で…ここ【Hopera】に入ったのです!!彼女の悪しき思惑を阻止する為……!!もう二度と失わないように!!…大切なものを守る人になりたいから!!」

「…エイミ…」

「ほうほう!真面目じゃ〜ん♪…んでも笑顔の方がもっと大事じゃんよ〜♪」

「!!……ふふっ!…そうですね!…それに…ヴェノおじ様!」

「?…何だ?」

【Eimi】自身は【Veno・nix】に対し、こう答える。

「……見ない内にですが……何だか表情が柔らかくなりましたね!」

「?……そうか?」

「はい♪……夢の世界の中でネルさんや他の方々と出会い、色々手解きを受けたおかげですね♪!」

「ハッハッハ〜♪…ヴェノちゃんは俺っちがそ・だ・て・た♡じゃん♪」(キャピ〜ン☆)

「あ〜はいはい。…それはもういいから。…だがな。…ネルソン!……ローレンスが、アンタのそのオカマみたいな表情を見て、とてつもなく不気味で、周りの死人からも不愉快だとクレームが出るからやめろ!って言われたばかりだろ?」

「あら〜ん♡やだ〜ん!!…んも〜〜っ♡ローちゃんったらひどいのじゃんよ〜!!…これは俺っちなりの《営業ニコニコスマイル》じゃんよ〜!!」(プンプン!!)

「ウフフ!…二人はとっても仲が良かったんですね〜♪」

「よせよせエイミ。…単なるストーカー兼ステルスおっさんだよ、こいつは」(ビシッ!)

「?…すて…ルス?……あの〜ネルさん?……もしかして鬱憤晴らしの為に普段からお笑いになっているんですか?」

「それは《ストレス》じゃん!!!…そ・れ・に☆俺っちが、んなもん抱えるたまに見えるかじゃん!?」(ƪ(˘⌣˘)ʃくねくね〜!)

「……はぁ〜っ……」(…安心しろ…エディス。……このおっさんは、何処にいてもストレスとかの概念がない…ただの《シリアスキラー》バカだったよ……まったく…)(頭抱え……)

「あ…アハハ……」((^^;)……ヴェノおじ様とネルソンさん……一体夢の中の世界という所で、何があったのでしょうか……)

一同は、おちゃらけた雰囲気の【Nelson】を見て少し困惑していた。するとユートピア創造士隊の増援か、次から次へと隊員が姿を現す───────

ダダダダダ!!

「そこまでだ!!」「観念するんだな〜♪」「ギャハハハハ!!!」

《こっから先は通さねえぜ〜〜!!!》

「…!!」

「今度は大人数で歓迎してお出ましじゃん♪」

「……ですが……今の私達の敵ではございません!!」(キッ!!)

「ほうほう♪」「あの女は?……ああっ!?」「【Dail】邸の元メイドの…【Eimi】だったか〜?」

「人気者じゃん♪エイミちゃん!」

「そのようだな。………だが、もうアイツは…昔のアイツでは………」

「やぁああああ!!!!」

ボゴーーン!!!!ベキッ!!バキャッ!!!!

「あんぎゃ〜〜!!!!」「ぐはぁっ!!!!」「ひでぶう!!!!」

バタっ!! バタン!!! バタン!!

「……次は……誰がお相手ですかっ!?」(ビシッ!!…キッ!!)

「」「こ…この女……!!」

ざわ…ざわ……

《つ…つえええってもんじゃあねえぞおお!!!!!》

「…さすが……男の身体になって、身体全身に【永続肉体強化能力】が身に付いたからか、成り行きで自称武道派兼捜索ギルド【Daralia】(ダラリーア)の…【Tigel】(タイゲル)と率いていた四天王から才能を見込まれて、武術を会得したと聞いたが、まさかここまでやるとはな〜……」

「あれじゃん!…某警官漫画に出てきた……現世の聖母マリアの名に因んだ元キックボクシングの世界チャンピオンの男婦警じゃんよ〜…………まさかアイツらから武術を教ってるとは、思っても見なかったじゃんよ〜!……まあ【Sognare】で起こった悪夢裁判・【Aestas】アエスタース法廷では奴等の無実をヴェノちゃんとローちゃんが晴らしてやったから、恐らくその恩義があったんじゃんよ〜♪」

「…半年前は、ちょっとした因縁があったからか、俺の事を憎き敵だと思っていたらしいが……あの時、無事に冤罪を晴らして、俺の事を仲間だと認め、和解したのは……半年前と比べて嘘のようだ。…本当に奇跡にも近いかもしれないな……」

「この世界に来てヴェノちゃんにとっての初めての人脈じゃん♪…友情は大事にするじゃんよ!……ローちゃんも言ってたじゃん♪」

《ヴェノ。…ネルソン。……人の繋がりは、死しても尚、私達がその人を覚えていて、意志を継いでいく限り、消えることはないよ。………【現世人】の…限り行く時間がない君達なら、私の言葉の意味を、心から理解していくことができるいい子だから!》

「……それでも…皮肉にも…」

「ダメージを受けすぎたら、俺っち達魂の身体の【現世人】は、岩男みたいにティウンティウン!!…所謂昇華しちまうじゃんよ〜!」

ダダダダダダ!!!!

「こ…この女ぁ!!!」「容赦しねえぞ〜!!!」

「それはこちらの台詞です!!…あなた達のような非道な方達に……!!……ヴェノおじ様達には指一本触れさせやいたしません!!!…やぁ〜〜!!!!」

バキャッ!!!!

・・・

《【C島】【Mikrio】・ユートピア創造士隊支部・制圧完了ッッ也!!!》

一同はユートピア創造士隊の支部を制圧した証の看板を設置する。

「……さぁ〜て!この地方にある基地も制圧完了じゃん!!」

「……これで、この島の本部と支部を合わせて…あと五つですね!!」

「ああ。まずは他の地区を渡り、情報を集め……そしてこの島の本部を仕掛ける!!……行こう。…まだまだ俺達にはやるべき使命があるようだ」

ザッザッザ……

三人は、歩みを続ける。そして後に、この場所で大きな抗争が起こるという事を彼らは知る由がなかったーーーー

・・・

〜その一ヶ月前・【C街】の貧民街地区に住むある男の者〜

「よ〜し!行くぞ〜クウ!!」

ワン!!

タッタッタ!!!

「あははは!!!早い早い!!…クウ!!…最近、足が早くなったな〜!!」

ワン♪

【C島】のある貧民街の地区では、捨て犬だったのか、黒柴でクゥと名付けられた子犬の世話をする一人の男がいた。その男の特徴は、黒い服に髪色は濃い長めの茶髪に額の前髪に金髪の混じった奇抜なヘアカラーの青年だった。その青年は、最近夢で見た内容に対して疑問に思っていたようである。

「……でもな〜。………なんだか最近変な夢を見たんだよなぁ〜!…一体何だったんだろうな〜?………」

・・・
・・

🎼Back Ground Music 》》》





♪〜Back to the Future 3-Main theme〜


〜ある男が見た夢の中の世界〜

「zzz………?……!?」

チュン!チュンチュン!!

「……こ、ここは一体何処だぁ〜っ!?……ん?」

パカラッ!! パカラッ!!

ハイヤーー!!!

「……な…何だここ!?……なんか、西部劇のガンマンみたいなのがいるぞ〜っ!?」(お〜〜!!)

タッタッタ……

ザザ……バタッバタッ!!!

「……来たようだな…拳の心得がある、そこの青年ぞい!」

「!?…誰だ〜!?」

「ここにいるんだぞいよ〜〜!」

「!?……た、たけ〜!!」(ほえ〜〜っ!!)

男は誰かに声をかけられた様子である。そこには高所の崖から、髪色は淡い金髪であり、黄色の長めのコートに、草原の草木をイメージした緑の鋭利な模様が彩られた服に、ワインレッドの色合いのした武道のズボンを身に纏った者が見下ろし立ち尽くしていた。男と比べて少し小さめの身長で、どこか自然暮らしの少年のような雰囲気がある。相手の者は高台から飛び降りて笑ってこう問いかける。

ピョーーン!!!……スターーン!!!!

「ふぃ〜!!!……おいの名は【Jakal】(ジャカル)!!…拳の心得のある奴をこうして夢の中で伝える役目を担って現れたってわけだ!!…青年よ!!…ヌシの名前は!?」

「あ〜……俺【Bill】(ビル)!!…【導き人】のオロアとイールにオーラルから、この世界に連れてこられた【現世人】!!…ここに来てもうすぐ一年になる!!」

男の名前はどうやら【Bill】という名前らしい。するとその名前を聞いた【Jakal】(ジャカル)は笑みを浮かべて嬉しそうに言い放った。

「ほ〜う!!ヌシはユートピア人じゃなくて、今流行りの異世界人間……【現世人】なんぞいな〜!?……うむうむっ!!その体つきも間違いなく武道を心得ていた面影があるゾイ!…よし、気に入ったぞい!!…おいとヌシは、今日から心の友だぞい!!」

「ああ、よろしく!!……って……それよりもジャカル!…ここ一体何処なんだ〜?」

【Bill】は、今いる自分の居場所の所在について聞きたい様子であった。すると【Jakal】はこのように言った。

「ここは、【Paradiso】の世界特有の夢の中の世界!…名を【Sognare】と呼んでるんだぞい!!」

「?……【Sognare】(ソグナレ)?」

「まっ!!…つまりはお前自身の世界の夢の中なんだぞい!!……そんでもって、その中においがお邪魔して介入したと思えばいいんだぞい!!……ちなみに、こいつは《吉夢》とも呼んでるんだぞいよ〜!!」

「…へ、へ〜っ……なんか……変わってるな……でも…す、すげええッ〜!!」(ニカニカ!!)

【Bill】は心なしか喜んでいる様子であった。その顔の表情は無邪気な子供のように笑っていた様子である。その様子に【Jakal】も笑っていた様子であった。

「ナカカカ!!!……んでも、この世界は…一味違うぞい!!……後ろ…見てみるぞい!!」

「お?………!?」

パカラッ!! パカラッ!!!

ヒヒーーン!!!!

「おい貴様らぁ〜〜っ!?……まさか夢の中の刺客者か!?」「!?こいつは……あの黄色の髪色小僧……確か…【時喰】と関わりのあるメンバーの内の一人だった…」「ああ……あれは……《拳闘王》……ジャカルで間違い無いんだよな〜!!??」

「?……拳闘……王?」

【Jakal】にはもう一つ異名として【拳闘王】と呼ばれているようだ。そのワードを聞いた彼は、笑みを浮かべて相手に言葉を問いかける。

「…確かにおいは……拳闘王と昔から呼ばれてるんだぞい!!……だが……まだあの正真正銘太陽のように眩しくて輝いてた拳を持つ!!蓮が好きなあの真の拳闘王!!……カエル兄の足元にも及ばないんだぞい!!」

「????」(……カエル?……一体なんのことだ〜?)

「ここにいるのなら……」「ヒャッハー!!!……よぉ〜し、始末する!!」「今までの俺達と思わないことだな〜!!」「6/15までに、俺達が勝利を収めれば【夢喰】の力で……この【Sognare】の世界で完全復活を果たす事ができるのだ!!……過去に散った【創造派】所属のユートピア人の無念を……ここで!!」

「させやしないんだぞい!!……ビル!!…ヌシはそこでおいの戦いぶりをよく見てるんだぞい!!……拳を振るう者であるのなら……それが一体……何を意味するのか!!!」

者ども〜〜かかれ〜〜!!!!!

ワーッ!! ワーッ!! ワーッ!!

🎼Back Ground Music 》》》



♪〜復活!死ぬ気タイム!

「見ているぞいいいっ!!!!!…うぉおおお!!!!!」

ダダダダダダ!!!!

バキッ!! ドゴオッ!!! バキャッ!!!!

バキィッ!!!

「あんぎゃーー!!」「ゲハッ!!」 「……な…何いっ!?」

ゴゴゴゴゴ………

「………」チャキッ!!!

「…す……すげえぜ〜!!!……ん?…でもなんだろうなぁ〜!?………あのナイフみたいなグローブは〜!?でもとにかく、つぇえ〜〜〜!!!!」(キラキラ!!)

【Jakal】は次々と周りの敵を蹴散らしていく。彼の手の甲には、短剣が装着された拳の剣が装備されていた。その光景を見ていた【Bill】は嬉しそうに、まるで正義のヒーローに憧れる子供のようにはしゃいで目を輝かせていた。

「うぉおお!!!!」

バキャッ!! べキャッ!! ボキィー!!!

「ぐあああ!!」「こ……コイツは!?」「おいおい…マジかよ!?」

「どうしたぁ〜!?…お前らも拳があるのなら………」

《死ぬ気でかかって来いぞぉーーーいいいい!!!》

ドーーーーン!!!!!

あんぎゃやぁぁーーー!!!! あ、兄貴ぃーーーー!!!!! バカな!?……兄貴がアイツの顔面に右フックを喰らって吹っ飛んでいったーーー!!!!! これは大きい!!!入るか!?

「……す……すげえ……俺の夢の中の世界に……こんな、すげえ〜〜奴がいるんだな〜〜!!!!」(キラキラ〜!!…ホェ〜〜!!!)

【Bill】はその様子を見て、拳を交える者を見て、自分もウズウズして、じっとしてはいられない様子であった。その様を見たジャカルは微笑み、無邪気にヒーローを応援する子供の期待に応えていたようである。

「……ナカカッ!!」(そうか!…ヌシもやっぱり血が騒ぐのかぞい!……倉庫なくっちゃな〜!!………エレノア!…ローレンス!…ルーシス!…コルボ!…オルガナ!……そして、何もなかった…広大な大地で生活していて……無力で野生児だったおいに…温かく拳を使い、守る術を教えてくれたカエル兄!!……見ていてくれぞい!…おいは…絶対に負けない!!…この拳に宿る……《不屈の闘志!!》…《炎の灯火!!》…それが消えない限り……絶対に!!!)

・・・
・・



🎼Back Ground Music 》》》



♪〜カエルのテーマ

『……ハァ……ハァ……』

『どうしたジャカル?たかがまだ20kmしか走ってない!もうグロッキーケン?』

『たかがの域を既に超えすぎだぞいガルコス【Galcos】!!…いや、もうただの体力バカのカエル兄と言わせてもらうぞい!!』

『ケロケロゲェ〜!!♪何でもいいゲ〜別に!これぞ【Glag】グラッグ流武闘術の修行の一環だゲェ〜!!……それにあの池見るゲェ〜!!』

『?……!?』

キラキラ!!

『おお〜!!一輪の花が咲いてるぞい!!こんなもう枯れきった池なのに……綺麗に咲いているんだぞい!!!』

『ケロケロケロ〜♪!!…当たり前だゲェ〜!!あの蓮は我が人生の原点と言っていいんだケン!!!こんな劣悪な環境の中で、あの一輪の蓮は生きようと必死になって咲いているゲェ〜!!……これぞまさに生命の神秘っ!!この生命あってこそ、我が拳は生命に満ち溢れてるんだゲェ〜!!』

ヒィーーン!!!

『す……すげえ〜!!…オイもそんな風になれるのかぞい!?…カエル兄!?』

『ケロゲェ〜♪……まだまだ修行は果てしないゲェ〜!!……ジャカル!!それでも俺についてくるゲェ〜!?』

『……おうぞい!!……みんなの元に帰るその時が来るまで、アンタの鍛錬に付き合うゾイ!!』

『そうこなくてはケン!!ではおかわり追加で20kmランニング往復だゲェ〜!!』

ズコーーッ!!!!

『ま……まだ走るのかゾイ!?』

『ケロケロゲ〜!!当たり前だゲェ〜!!!それだけ拳闘王の道は果てしなく血の滲む努力と研鑽を兼ね備えてきた結果…!!…こんな肉体美になったゲェ〜!!!』

キラキラ〜!! 

『Oh……ビューティフルマッスルだぞいッ!!』

『どうよ仕上がってるか〜いゲェ〜!?……ゴホン…///オッホン!!///……それじゃあ進むんじゃゲェ〜!!!』

『おう!!』

タッタッタ〜!!

……キィーーン!!


・・・
・・



キィーーーン!!!!

「!!…な…なんだ!?…」

「ビル!!……よく見ておくぞい!!……これが…おいの技の一つ!!…これからヌシは……【Paradiso】の世界で、途方もない激しい戦いが待っているんだぞい!!…様々な壁が立ち塞がり、それらをぶち壊し進んでいく技をヌシに見せる!!!……健闘を祈るぞい!!!! 」

「!!…な…なんだ!?………!!」

《ダァーーーーン!!!!!》

・・・
・・



🎼Back Ground Music 》》》



♪ツナ覚醒

「………今思えば夢にしても…あのジャカルって人を見てると……何かこう…拳と…この胸の心の中が…熱くなれたよな〜!」

【Bill】は以前見た夢の内容を思い出し、拳を見つめて笑みを浮かべていた。そして高らかに宣言した。

「…拳の強さ…不屈の闘志…そして……誰かを守る為に、拳を握り……振るう強さ……か…よし!!……ジャカル……いや、ジャカル師匠!!……いつかまた会ったら!…アンタに拳を教えて貰いたい!!……絶対に強くなって生き残ってやる!!…よしそうと決まれば!!今日の仕事を終わらせて早速修行だ!!…クゥ!!行くぞ!」

「ワン♪」

タッタッタ!!

【Jakal】との出会いが、【Bill】という男に大きな影響を与えたのは確かなようである。そしてここから彼自身、その男が言い放った言葉が本当になり、大きな戦いの火蓋が着実に迫ってきている事を知る由もなかったーーー

・・・
・・





B. いいえ


《Capitolo・2》
続きを読みますか?

🎼Back Ground Music 》》》



♪〜大逆転裁判より〜論理と仕掛け

【Paradiso】歴2000年・6/2・【C島】【Mikrio】・夜方

〜その頃・【C島】の【Xiol】地区・ある法廷内の留置所〜

「………」

「どうなんですか?…答えてもらいましょうか?」

「…知らない…俺は何も知らん!」

「嘘をついてもらっては困ります……現に、これが存在するのですから…」

ピラッ!

「!!…そ…それは…」

「私が記しておいたメモです。……さあ、もう言い逃れは出来ませんよ」

ある地区で、ユートピア創造士隊の一人の男と、その法務に携わる金髪の髪色に水色のモノクルを装着した紳士的な雰囲気のある長身の男は、相手に対し、何やら尋問をして重要な情報を吐かせようとしていた。

「………ッ!」

「どうなんですか?……今後あなた達【創造派】は……殺戮集団【Varisk】と繋がり、協定を結び。…一体、何を企んでいるのですか?」

「…!?…な、何故それを!?……」

「……反応しましたね?」

「!!」

「【Ruves】(ルーヴェス)さん……どうやらこいつは……」

「黒のようですね。……ふむふむ…彼は【Varisk】との関わりが大いにありけりと……ふむふむ成歩道(ナルホミチ)。……ルーシスの言った通り……怪しい動きが起ころうとしていたのは確かな様子だ…」(カキカキ……)

「!!……なっ!?…貴様!?…何故【R・P】社内にいる、ギルド室長の名前がそこに!?」

「今答えているのは我々だ!!……貴様がルーシス殿について発言する権限は……あっ。大いにあるか…これまた一品取られたな〜♪」

「……っ!!」

【Ruves】の隣で尋問を傍観していた男は、少しユーモアチックに話を交える。そして次のように【Ruves】は更に追求していく。

「……今後、ユートピア創造士隊は武力を持ち…【R・P】社を根絶やしにしようとする危険因子も考えている……と?」

「……知らん!!」

「……」(ジーッ!)

「……」(ジーッ!)

「!!……そんな目で見られても…お、俺は何も答える気は……」

ぐるぐるゥ〜………

「!!…ぐぁっ!!…は、腹が!?」

「……効いてきたみたいだな……」

「……そのようですね、ルーヴェスさん。……この術式を施した誘導尋問は、ランダムでありますが、何処かの臓器に異常をきたす事で有名ですからね〜……どうやらあなたの場合…胃腸にストレスを抱え込んで起こる……現世でいう過敏性胃腸炎のような症状が出ているようですね……」

「……な、なんだと……」

「この術式が更に進行すれば……末期癌のような苦しみが加えられ……最悪……」

「……その後は言うまでもないだろう……」

「!!」

「だから、手遅れになる前に早く……クククッ」

「答えた方がいいよ…」

「!!……ぐっ!!……」

・・・
・・


〜【Paradiso】【D島】【Crono・St】【R・P社】ギルド本部〜

「……」(カキカキ…)

場所は【R・P】社ギルド本部────その場を統括していたギルド室長の男である【Lu-cis・H】は、執務作業をしていた様子である。するとどこからか、大きなドアの前に誰かの合図が室内に響き渡った。

コンコンコン☆コン・コン・コン……

コーーン!!☆

「…ネラだね。…入ってきなよ」

ガチャッ!

「ほいほ〜い!…ルーシス義兄さ〜ん♪……電報だよ〜♪…どうやら兄さんの旧友のルーヴェスさんからだよ〜♪」

「…分かった。…ありがとう」

「いいよいいよ〜♪……あとね……ルーシス義兄さん……」

「?…どうしたんだい?」

「あ…あのさ///……私ね……久しぶりにさ……その…アマ姉の夢を見たんだ……」

「!!……そうか…ベルナの……夢を…か……っ…」

ポタポタ……

「!?ちょっ!!ルーシス義兄さん!?」

「!!……ああごめん。……少し……ベルナの事を……思い出してしまってね……」

【Lu-cis・H】は悲しみの涙を流していたようである。【Bellna】は彼の妻であり、【Campanella】の実の姉の【現世人】であることから、二人は、縁のある関係であり、互いに寂しげな様子であった。すると天井を見上げ、昔の事を回想に耽っていたーーー

・・・
・・


🎼Back Ground Music 》》》



♪〜宇多田ヒカルより〜花束を君に

〜時は戻り、1980年代〜

『ねえ〜ルーシス?』

『?…どうしたんだいベルナ?』

『実は…ルーヴェスがね…私にこれをって……』

パサッ!

『…これは…花束?』

『…ええ。…どうやら、愛を込めて花束を…と言ったところかな〜♪…ってキャーー!///♪』

『………あ。…そうか!』

『?…どうしたの〜ルーシス?』

『ベルナ…どうやら……これは君だけの贈り物ではないようだよ』

『?…え?』

『ここ、スターチスがあるよね?…どうやらアガルタにも渡す花のようにも感じるんだ』

『ええっ!?ど、どうしてそんな事がわかるのよ!?』

『アガルタが好きな花だからかな』

『……それだけ?』

『うん。…アガルタが、亡き母が好んでいた花なのだと…そう言っていたんだ。……確か花言葉には、《変わらぬ心》《永遠に変わらない》という意味があるらしいよ』

『へえ〜!…あ、でもこれ…アネモネもあるわね♪』

『……白のアネモネ…《真実》と《期待》…《希望》……か……?…それに……赤色の…アネモネがあるようだね……』

『あら〜♡…そ・れ・は♡…《永遠に君を愛している♡》って意味よ〜♪ウフフ♡』

『…そうなんだね。………でも、一体何の意味があってこんなものを?』

『んも〜う!!ルーシス坊やったら〜!!いつまで経っても鈍感なんだから〜!!///ふふっ……仕方ないわね……大人になりきれていない…そんな僕ちゃんなルーシスには♪………ウフフ♡』 

ヌギヌギ……♡

!!??///……う…うわぁーー〜!!!///…べ…ベルナ!!///と…とりあえず服を着てって!!///…って!?うわっ!!/// ウフフ〜♡だぁめよ〜っ♡ルーシス…///…パートナーとして、今日はアダルティー要素満載の裸の付き合いで、こうして一日過ごしてもらうんだからぁ〜っ♡…好きな男の人とするの……初めてだから…///優しくしてよねぇ〜♡…んも〜うキャーーーー♡!!///

チュッ!!♡チュッ♡……ペロリ…♡

『う……うわああぁっ!!///……べ、ベルナぁっ!!///…だ…だめたってばあああーーーーーーーーー!!!!!/////』

………ポテッ……

・・・
・・


〜時は戻り〜

「…はは。………っ!………べルナ……っ!!…すまなかった………本当に……あの場で…君を1人にするべきじゃあなかったのに………くっ!!……」(空見上げ〜…)

「……ルーシス義兄さん……!!」(うるうる…)

ダキッ!!

「!!……ネラ……」

「……っ///」

ポサッ!!

「?……これは…花束かい?」

「……うん……ついでに……私から…普段から私に優しくしてくれるルーシス義兄さんに……贈り物としてね♪」

「…ああ…ありがとう……」

「いえいえだよ〜!……〜♪……ふふ〜ん♪…で〜はでは〜♪…好きありーー♪」

ガシッ!!!

「!?」

【Lu-cis・H】は【Campanella】の不意打ちかつ襲撃にあった様子である。彼はもがくが、関節を直に固定され、身動きが取れないようであった。しかし、ギルド室長のプライドなのか、振り解こうと必死にもがく。

「…ね、ネラ!?…一体……何のつもりさぁ〜〜っ!?」(ジタバタ!)

「……ウフフ♡……あったか〜い♡」

ムギュッ♡

「!?……だ、だめだって!は、離すんだネラ!!…いくら君がベルナの実の妹だからといって、そんな事をしては!?……それに……君には結婚を前提に付き合ってるボーイフレンドがいたはずだよね!?」

「あ〜あ〜!!聞っこえな〜〜い!!♪……ふ〜〜んだぁっ!!///…あんな浮気性のうわ、きっしょ〜!!……の最っ低男っ!!///……こっちから願い下げだっつ〜のっ!!///……あ〜〜っ♡///やっぱり私にはね……///アマ姉の……若旦那///…ルーシス義兄さんしかいないんだから///……大丈夫だよ〜♪きっとアマ姉も許してくれるからさぁ〜♪…だ・か・ら♡……ルーシス義兄さん……責任……とってよね……///」(ドキドキ♡)

ヌギヌギ…♡

ファサッ!♡

「(・O・)」(……絶句)

《……ベルナ……君の妹はどうやら…………とてもお盛んなようだ…///……ごめん……本当に……僕はどうやら……現世でいう…禁忌の……所謂……》

《姉妹丼!!》……というものに遭遇してしまったようだ……

【Campanella】は着込んでいた服を脱ぎ、下着姿を【Lu-cis・H】に見せつける。そこにはベルナの面影があるのか水色の下着を着用し、Eカップと程よいサイズのバストを露わにしてニタニタと笑みを浮かべ、ジリジリとこちら側に歩み寄ってきた。

「……んふふ〜♡……ルーシス義兄さん……だぁ〜い好き♡」(ニタニタ♡)

「……」(だが、丁重に断らせてもらうッ!!)

ダキッ♡……?

「……!?」

「……っ!!」(グググッ!!)

ガバッ!!

「!?……ちぃっ!!」

【Lu-cis・H】は無理矢理求愛を求めていた【Campanella】の身体を無理矢理引き剥がした。その様子に彼女はとても悔しそうな表情をしていた。

「…んも〜うルーシス義兄さぁ〜ん♡!!往生際が悪いぞ〜☆……一体いつになったら、アマ姉の実の妹の私を優しく抱いてくれるの〜!?///…いい加減、欲求不満な私の愛を受け入れてよぉ〜!!///最低男に捨てられた私にはぁ〜♡アマ姉の旦那のルーシス義兄さんくらいにしか、お嫁に行くとこがないんだよ〜♡……だ・か・ら・お・ね・が・い♡…私を美味しく食・べ・て♡///」(ハァ♡ハァ♡)

「ダメだと言っている!!そろそろ頭を冷やせネラ!!……これは【R・P社】ギルド室長きっての命令だ!!…どうしても聞かないというのなら、一定期間の謹慎にするよっ!!」(クワッ!!)

「あぁ〜〜んっ!!♡ルーシス義兄さんの意地悪ぅ〜♡いけずぅ〜♡」(ジョ〜ッ!!)

泣いて誘惑しても無駄なことだよ!!……反省しろっ!! あぁ〜〜ん♡そんなぁ〜っ!!///行為にすら走れずに、生殺しにされて私ったらこんなに可哀想なのにぃ〜〜〜っ!!///……う…うぅ………えぐ………ッ!!

《あぁぁんまりだぁ〜〜〜よぉ〜〜///!!!!!》

・・・
・・



🎼Back Ground Music 》》》



♪〜逆転裁判より〜尋問〜アレグロ2001

【Paradiso】歴2000年・6/2・【C島】【Mikrio】・夜方

〜その頃・【C島】の【Xiol】地区・ある法廷内の留置所〜

・・・

「どうですか?ルーヴェスさん?…何か謎が解けましたか?」

「……ここまで彼からの情報から推測するに……【創造派】の一派は……何やら大きな武力の者と交渉し、アクションを起こそうとしているようですね……」

「……ふむ。………念入りに【R・P】社のギルド室長にも、伝言を流しておきました」

「ご苦労」

ザッザッザ……ストン!

そう部下に伝えると【Ruves】は椅子に座り込んで、ある仮説を提唱した。

「……原点からの観点で推測すると……【創造派】の一派である【ユートピア創造士隊】……その者達は、この世界から迫害を受け、居場所を無くした底辺の地位に虐げられているユートピア人を……自分達の保身を守る為にその組に進んで属している傾向が強いのは……確かなようですね」

「……自ら考え…行動して自由を手にする【自由派】ユートピアの世界には、過度な労働は必要ないことから保身の身を頼りに……自ら動く事を拒否し続ける者を支持する【創造派】……」

「【創造派】……その考えには決定的な矛盾があったりするのですが……実際の所は一体何処までが真実なのか……」

「……あ、そうでしたルーヴェスさん…こちらの記事なのですが……」

ピラッ!!

「…これは?」

【Ruves】が手渡されたのは、ある新聞のスクラップ記事であった。そこには数々の善良なユートピア人や現世人の不審死についての情報が書かれていたようである。確認すると、ここ最近になり、路地裏内で謎のユートピア人の集団が年々目撃されており、ギルドに所属しているユートピア人の失踪事件が横行しているといった情報である。

「…ふむふむ…この芸当ができる者達に覚えがある。…恐らく」

「差し金……【Varisk】の連中達による諸豪の者達が絡んでいそうですね……」

「…【Varisk】(ヴァリスク)は、昔からこの【Paradiso】の世界で、迫害された者達の中でも、武力能力に長けている者達の精鋭……私自身も何度か相見えることが多かった闇の殺戮集団……普段は物陰に潜んでいるはずなのに……抑制もなくその者達の過激な行動が目立っているようにも感じられる…」

【Ruves】は【Varisk】の行動パターンからして、普段日陰者の集団が表舞台で公になる程の事件を起こしていることから、このようなケースは初めてのようにも感じられたようである。部下の者が憶測であるが、彼らに対し、革新的なことを話し出す。

「もしかしたら……【創造派】と【Varisk】が統合化し……新たな組織に君臨しようとしているのだとしたら……」

「可能性は大いにあり得るでしょうね……【創造派】は…より権力を持つユートピア人の保身の為に【Varisk】の者を派遣し…」

「彼らなりの真のユートピアの世界を……想像しようとしている………成歩堂……これはいささか……」

「…ええ…我々が思っている以上に……何かが……裏で動きつつあるようですね…」

・・・
・・



【Paradiso】歴2000年・6/2・【F島】【Jeiro】(ジェイロ)・夜方

バキッ!! べキャッ!!

「かはっ!!……っ!!」

「……」「……」「……」

チャキッ!! チャキッ!! チャキッ!!

「!?」

「さあどうするのだ?我らと同胞のユートピア人よ?」「……大人しく我々に投降するのだな……さすれば」「安泰を保証しよう」

「断る!!……ギルドに所属する者として貴様らに……意地でも屈するわけにはいかないのだ!!!」

チャッ!!

「この女…まだ抵抗する気か!?」「おのれ……」「【自由派】の分際で……何処まで我々ユートピア創造士隊に敵対するのか!?……恥と知れ!!」

ある島国では、ギルドに所属している【自由派】のユートピア人が、【創造派】の一派であるユートピア創造士隊と相見えていたようであった。すると何処からか、主力級の男が現れた。

ザッザッザ……

「お前達…ジタバタせずに退いていろっ!」

「!?……【Bran】(ブラン)様!!」「ハハッ!!」「……御意!!」

「……っ!!」

チャキッ!!

「よぉ〜女騎士さんよ〜♪……死に場所くらいなら選ばせてやるぜぇ〜!……ここでひざまづくか……天高く吹き飛ばされて死ぬか……どちらか選ぶんだな〜!!」

「……どちらも趣味ではない!!……主力なら、ここで引導を渡すまでだ!!」

「……そうか、へへっ!!……ならよ〜……潔く……」

ガシッ!!!

「!?……くっ!!……!?」

ブン!!!

パキャーーン!!!!!

【Bran】(ブラン)は、武器のメリケンサックを装備し、相手の女性ユートピア人を軽々と投げ飛ばし、無惨にも宙に舞ってクレーターが生じた。すかさず【Bran】は相手に歩み寄る。

スタッ! スタッ!

メリィっ!!!

「!!ぐぁっ!!……カハッ!!……き、貴様!!」

「ガハハハ!!……つくづく面白い奴だなぁ〜てめえはよ〜!!……だが仲間にならねえってのなら……俺の手で引導を渡してやる……お前ら?どうだ?」

《いいとも〜!!!》

【Bran】(ブラン)の部下達は、その昔かつて現世で放送していた昼のバラエティー番組のような返事をして意思表示する。その様子に男は笑みを浮かべて更に相手を追い詰めていく。

「……カハハ!!俺の教育の賜物だな〜♪!!……気分がいいから、引導を渡す前に……お前に一ついいこと教えといてやるよ」

「!!」

「俺達はこれから……大きな花火を打とうとしている……所謂、抗争だ…へへ!……もうコイツは誰にも止められやしねえぜ〜♪!!……んじゃあそれ聞いたら……テメェは大人しく………」

《素材として地面と同化しとくんだな〜〜!!!》

ブン!!!

メリィーー!!!!!

・・・
・・










B. いいえ


《Capitolo・3》
続きを読みますか?

🎼Back Ground Music 》》》




♪〜KINGDOM HEARTS 358/2 Daysより〜シオンのテーマ










〜時は過ぎて〜


【Paradiso】歴2000年・6/10・【L島】【Meizas】(メイザス)・昼方

タッタッタ……

スタッ!

「…やぁ。………ここにいるんだよね?……ルーさん……ごめん…本当に。……遅くなったよ……うぅ…!…えぐっ……」

パサッ!!……ポタポタ……

【L島】の【Meizas】(メイザス)の街で一人ポツンと身長が170cm代と女性の平均に比べてやや長身であり、紫紺色の髪色のセミロングが特徴的の、巫女のような服を着た者が手に花束を持ち、身分を隠していたのか傘を被って涙を流し、親しい人と久しい再会をした素振りを見せていた─────

スタッ!スタッ!……〜♪

サッ!!

「っ!?…だ、誰だいっ!?」

「〜♪」

ムニムニ♡

「〜っ!!///……っくうっ…!!///…い、嫌ぁっ!!///…は、離せぇっ!!///」(ブンブン!!///ジタバタ!?)

突然背後から、誰かが彼女に迫って目隠しをしてきたようだ。すかさず抵抗するが、相手の方が力が強いのか、振り解けずにいた。その者は彼女に対し、胸を触るボディータッチをしつつも、優しく親しい者のように語りかける。

「ウフフぅ〜♡…みぃ〜つけた♪……見ない内に年齢サロンを受けて。……うん!本当に大きくなったわねぇ〜♪…んでもぉ〜♪ウフフ♡…反応は相変わらず、私の《妹》らしくて本当に可愛いわね〜♡…トワ〜♡」

「!?…こ、この声…!?あぁっ!!」(ガバッ!!)

【Towa】(トワ)と呼ばれている女性はすかさず相手の方を見る。その正体は女性であり、【Towa】と比べると、身長は少し低く、160cm後半である。容姿はビリジアンのような深緑のヘアカラーにサイドには髪を結んでいる。服装は袴姿であり、上は彼女のイメージカラーなのか、淡い紫色に下は巫女のような赤いものを身に付けていた。腰には彼女の愛刀なのか、桜柄の色が特徴的な刀を腰に巻き、華のような雰囲気を漂わせた姉気質のある面倒見が良いフランクな一面を持ち合わせていた。すると微笑んで彼女に迫ってきた。

「ふふ〜ん♪そうよぉ〜!世界一可愛いあ・な・た・の♡愛しのお姉さん……ヤエカ姐さんよ〜♪…そ〜らウリウリ〜♡///」

スリスリ♡…ギュッギュ〜〜〜♡!!!!///

「いっ!?、いだだだだぁぁっ!!!!///……や、ヤエカ姐さぁ〜〜ん!!///も〜う!!………は、離しておくれよぉ〜〜!!///ど、どんなに僕が大きくなっても、やっぱり苦しいし、いっ!!痛いんだってばぁ〜〜!!///」(ブンブン!!///)

「ウフフ〜♡んも〜う照れないの〜♡!!……よっと。…………そっか…ここなんだね……ルーくんが……昇華して…いなくなった場所って……」

「!!……うん……ルーさん……整形したばかりの姿の僕と会うって約束……してたんだけど……結局叶わなくなったね……うぅ……えぐっ!!……グスっ!!」

ポタポタ……

「と、トワ!?……っもう…泣かないでよ……私だって……!!……うぅ……!!……もうっ!!あの時、君の元へ必ず帰って来るって言ったのにぃ〜〜っ!!……ルーくんの嘘つき!!……薄情者!!///……あの時、ヤってしまって…もし孕ってしまった際の……私に対する男としてのケジメを一体……どうしてくれるのよぉ〜〜!?///…あんのプレイボーイのヤリチンの《スカタン》狼男ぉ〜〜!!///…っ!!……バカーーーーッ!!!!///」

「!?///え。………!?!?ええぇっ!?///…や……ヤエカ姐さん!?///……ま、まさか……ルーさん……と。……〜!?///」(カァ〜ッ!!///…ドキ♡……ドキ♡///)

【Towa】は、姉のような存在である【Yaeka】にロベルとの関わりについて問いただす。その問いに、彼女は笑ってこう語り出す。

「ウフフ〜♡…んも〜う♡トワ〜♡……そんな恥ずかしい事を私の口から言わせないで頂戴よぉ〜〜///♡……で〜もぉ〜…大人の姿になったトワへ……特別にヤエカ姐さんが教えて、あ・げ・る♡………ルーくんからね……本当に……///…この私のお腹の中に……温かい情熱を……たくさん注いでくれたわよぉ〜♡……んも〜う♡ヤエカ姐さん……本当参っちゃったなぁ〜♡……子供出来たらどうしようってねぇ〜♪」

「〜!?///」(///・o・///)〜ボンッ!!

【Yaeka】の突然の大胆な発言に、【Towa】自身は顔を紅潮させ、戸惑っていた様子である。その様子に彼女はニタニタと笑みを浮かべるも、どこか嫉妬深い表情をしてこう言い放った。

「ふふ〜ん♪…………でも…それなのに……トワには手を出さないでって釘を刺しておいたのに……会う約束をしてまで整形したトワの姿を……一足先に拝もうとしていただなんてぇ〜!!……やっぱり許すまじぃ〜〜!!ルーくんめぇ〜!!……キィーー!!!!」(ニコニコゴゴゴ……)

「ひっ!!……や…ヤエカ姐さん、まずいよ…あまりこの街中で騒がしくしていたら………」(アタフタ……)

そこで何をしている!?

「!?」「……!?」

二人は誰かに声を掛けられたので振り向く。そこには、一人の若い騎士のような兵士が立ち尽くしていた様子である。その者は二人の存在を見て何かを感じ取り、こう語った。

「和服の…二人組?………君達……まずは身分を知りたいから、名乗ってもらおうか?」(キッ!!)

「…ムカっ!…まずは人に身分を尋ねる前に、自分から名乗ったらどうなのかしらぁ〜!?」(ムッ!!…なんか見た目からしてキザっぽくて融通の効かなそうな頑固で嫌味そうな奴のようねぇ〜!……?…あれ?……あの剣って……!?)

「ちょ、ちょっとヤエカ姐さん!?だから、ここは私達の過ごしている【Kagoya】の町とは違うから、色々騒ぎ起こしたらまずいよっ!!………!?」(あれ?あの人の背中に背負っている剣……!!あれって!?)

「!?……や……ヤエカ?…その名前を何処かで……!?……まさか君は……!?」(ハッ!)

キィーーン!!

【Yaeka】は突然、相手に対して居合の抜刀を仕掛ける。しかし、相手はその奇襲を容易く受け止める。彼女はとても恨めしそうな顔をして男に話し始める。

「と、突然なんだ!?」

「なんでアンタが名刀【Louvel】を持つ前のルーくんが元々持っていた、その剣を持っているのかしら〜?」(ギロッ!…ジィーー…)

「!?騎士剣【ヴェルクーイン】を知っている!?……そうか、君が我ら【Louverd】騎士団長のパートナーを組んでいたヤエカか……」

「!?えっ…!?じゃあ……貴方は……ルーさんが創設した【Velkuy】(ヴェルクーイ)の……」

「所属の一人って訳なのね〜♪…………そうだったの♪」

ジャキン!……リィーーン♪【冥鐘】

「……はぁ〜……どうやらわかってくれたようだね……僕は現在……今は亡き【Louverd】騎士団長の代理として【Velkuy】の騎士団長の命を受けている【Yuris】(ユリス)だ!…君達が、【Kagoya】の町の武力組織……【狼志組】八番隊隊長のヤエカさん、そして十番隊隊長のトワのようだね…」(やれやれ…)

「ええそうよ!………そう。…あなたがルーくんが言ってた後任の。……ウフフ♡……」

チャキッ!!

「!?……ぐっ!!」

キィーーン!!

「や、ヤエカ姐さん!?」

【Yaeka】は抜刀して再び【Velkuy】に対し、愛刀の【桜花月輪刀】と呼ばれている一太刀を抜刀する。するとまたもや恨めしそうな表情をして相手を睨みつける。

🎼Back Ground Music 》》》



♪〜テイルズオブグレイセスより〜抜刀!研ぎ澄ませ

「……でもね。…ユリスだったかしら〜?…私は何だかアンタを、本能的に認めたくないのよねぇ〜♪」(キッ!!)

ギリギリ………

「……ぐっ!!」(女性なのに…ち、力が……強いっ!!)

「だ、だからヤエカ姐さん!!お、落ち着いてってばさぁ〜!!」(グイグイ!)

「ウフフ〜♡大丈夫よ〜トワ〜♡……【冥鐘】独特の鐘の音すら聞こえていない、真剣に対する心得も足りてない奴が……ルーくんの代わりに《騎士団長》を張ったとしても、この先碌な事にならないだろうから。……こうして世間の厳しさってのを……碌に島の外に出た事がない《腰抜け》の温室育ちに教えてあげたくてね〜♪……」(ギロッ!!)

「……!!」(イラっ!!)

「!?」(だ…だめだ……ヤエカ姐さん…完全にルーさんの事で頭が一杯になってるッッ!!……また他島で騒ぎを起こしてしまったら……ああ……副長に怒られるよ……)

ゴゴゴゴゴゴ……

「…僕が……腰抜けだって!?」

「ええ!!何度だって言ってやるわよ!!…………何故ルーくんがアンタみたいな女の扱いにも慣れていない未熟なやさぐれ男を後任の騎士団長に選んだのか……それが疑問で仕方ないわっ!!」(クワッ!!)

「……!!……貴様ぁぁッッ!!……今すぐに訂正しろッ!!」(ギロッ!!)

「だ…だめだ……言っても聞いてくれないようだ………一体どうすれば……」

カンカン!!

キィーーン!!

「グッ!!……っ!!」

「……」(シャーー……)

キン!!…リィーーン【冥鐘】♪

「……!!隙ありだ!!」(ブン!!)

「……甘いわね…」(ジャキン!!)

キィーーン!!…クルクル……ジャキーーン!!

「!?」

「………」

【Yaeka】の研ぎ澄まされた居合の抜刀術が【Yuris】の持っていた剣を吹き飛ばし、華麗に宙へと誘い地面に突き刺さる。その様子に【Yuris】は唖然とした表情をしていた。

「僕は……負けたのか……騎士団長の…僕が……」

「……その無用なプライドを叩き斬るのは無理か……よっぽどの頑固な石頭のようね〜♪……さ〜て…そろそろ」(ルンル〜ン♪……ジャキッ!!)

「!?や、ヤエカ姐さん……もうそのくらいで……」

《あなた達!!そこで何をしているの!!??》

「!?」「!?」「!?」

一同は誰かに声をかけられたので目を向ける。そこには、まるで白鳥のような白い髪色に翡翠で出来た菱形状の髪飾りを付けた、純白な肌をした一人の女性が立っており、その表情から、親しい人が亡くなった場所で争わないで欲しいという願いの込めた気持ちが入り組んでいた。その女性はゆっくりこちらに歩み寄ってきた。

コツン……コツン……

🎼Back Ground Music 》》》





♪〜rionosより〜Viator

「…その桜色の刀に髪色に着物。……そっか。…あなたがヤエカでいいのよね?…あなたの事は、ルーヴァード。…いえ…ロベルから事情は聞いているから安心して!…あと…大きいけど…髪色の特徴から…その子がトワなのね?」

「!!……ええ」(い、色白の女性!?……でも…あれ?……なんか何処かで見たことがあるような?)

「は、はい!…そうです!」(ぺこり!)

「こ…これはみ、【Mihael】(ミハエル)さん!!」(ビシッ!!)

【Yuris】は彼女の名を明かした。彼女は【Mihael】(ミハエル)という名前のようである。そしてすかさず二人に歩み寄り、突然の行動に出た。

「ユリス!…今日も仕事熱心にパトロールしていたのね〜!……へぇ〜!……でもね。……あの子が見ている前で……そろそろいい加減にしなさいよね〜♪……あなた達は一体……!!」

ドドドドドドド……

「!?」

「!?」(さ…殺気!?)

《何をしにここまで訪ねてきたの!?少しばかり頭を冷やしなさぁいっ!!》

パァーーン!! パァーーン!!

「っ!!」(シューー……)

「くっ!!」(ジンジン!)

「や、ヤエカ姐さん、だ、大丈夫かい!?」(アタフタ!)

二人は【Mihael】の制裁を受け止め、少しばかり反省を余儀なくされた。そして次に【Towa】の方へと歩み寄ってきた。

スタスタ…!

「!!……ひっ!」(ピエン!)(ヤエカ姐さんでも怯むくらいの……力を持つ女性の人だ……もし僕があんなのを受けたら…!!)

「と、トワ!!……アンタ!!私ならまだしも、トワに手を出すようなら…許さないわよ!!」(ダキッ!ギロッ!!)

【Yaeka】は【Towa】の身を守ろうと身体を張っている。しかし【Mihael】は彼女に対し、意外な対応をした。

「………」

なでなで……

「!?///…え……///」(キョトン…)

【Mihael】は突然にも【Towa】の頭を撫でた。そして微笑んでこう話す。

「……あなたの方は……ウフフ♪……しっかりしてるのね〜!…この二人の喧嘩を止めようとしていたのよね!?」

「は、はい!///…他島で騒ぎを起こしたら、我々の所属している【狼志組】にも迷惑がかかるので!…ですが結局、僕は二人を止める事が出来ませんでした!…罰を受けるなら自分も受けます!…だから二人を………許してあげてください!この通り、お願いします!」(ぺこり)

「と、トワ!?」

「トワさん!?」

「ん〜…………?」

・・・

『ミハエルさん……この度は………本当に申し訳ございませんでした!……私が至らないばかりに……ベルナさんが私を庇ってこのような深傷を………うぅ……ぐすっ!…こんなことを言っても、取り返しのつかない事は理解しております。……私に出来る事であるのならば……お願いします……どうかルーシスさんの事を恨まないで………許して……あげてください』

「…!?……ふふっ!……〜♪」(あらあら。……この娘を見ていると……やっぱり、昔のアガルタの面影があるように思えるわね〜!……何だか懐かしいわぁ〜♪)

ダキッ!

「!?///」(……え…///)

「!?と、トワ!?…ちょっとアンタ!?私の妹のトワをどうする気なのよっ!?」(ガルル……)

「み、ミハエルさん!…一体何を!?」

「……ふふっ!ヤエカでいいかしら?そういう風に誰かを守ろうとする所…本当に私の親友にそっくりなのねぇ〜♪……それに、この娘も……アガルタにとても似ているのね〜♪」

「!?」

「アガルタさんの…し、知り合い!?……それに私が誰かにって!?…あ〜〜っもういいわ!!…ミハエルだっけ!?_アンタ一体なんなのよ!?」

【Yaeka】の問いに彼女はまるで白鳥のような風貌のある髪を撫で下ろし、微笑んでこう答える。

「あなた達宛にね……ロベルから手紙を預かっていたのよ。……あなた達なら、これを見る義務があるからしっかりね!…はい。…これはあなた達宛からよ」

パサっ!

「!!……ルーくんからの……」

「……手紙……」

ビリッ!!

二人は【Mihael】から渡されたロベルの手紙を確認する。その内容は日本語で書かれており、これから待ち受ける運命の指示書のような内容でもあった。

🎼Back Ground Music 》》》



♪〜大逆転裁判より成歩堂龍之介・冒険の前奏曲

親愛なるヤエカ…トワさん…二人の姉妹へ…

この手紙を見ているという事は、君達はミハエルから、僕が昇華してこの世界を去ってしまった後に備え…書いて遺していた手紙を受け取り……今ここで読んでいるという事なんだね…

本当にすまなかった。そして、さぞ君達は……僕がいなくなった事を……本当に嘆き…辛い思いをしていると思う。

だけど、これだけは聞いてほしい。

まだ僕自身の意志は……そして希望は決して消えていない。

何故なら、君達が……僕の事をよく知るように、誰かを守る為に刀剣を振るう本当の意味を知り…意志を受け継ぐ者が、この【Paradiso】の世界の他にも……そしてもう一人は……

《現世にいるからなんだ!!》

「!?」

「……えっ!?」

「な、なんだって!?」

「………」(そっか。……ロベル……それはきっと……あなたが、手紙と一緒に私へのお礼にと言って託してくれた…現世の世界に存在する儀礼刀……それを手渡した、本当の持ち主…)

こんな事を言ったら……現在海上自衛隊に所属していて、海上護衛や様々な危険な任務に携わっている彼にとっても…不謹慎な事であるのは承知している。…だけど何故かは分かるんだ!…僕に何かあれば……彼は何があっても、必ずこの世界へ……

《予想だにもしない事が次々に起こる本当に解明がつかない世界……【Paradiso】へと!!》

《彼とは誓いの儀礼刀の儀を交わした無二の親友だからこそ分かるんだ》

それは…これから待ち受ける……本当に過酷な【Paradiso】の世界の命運を賭けた本当の《冒険の始まり》を意味しているように!!

「!!」

「ど、どういう事!?ルーさんは…一体…僕達に何を伝えようと………」

「【Louverd】騎士団長……」

「……ロベル……」

だから………今だけは僕がいなくなった事を悲しまないで欲しい…だが男として…謝罪は勿論させてほしい。

ヤエカ……事のあやだったからといって…もしあの時の行為によって……僕と君との間に……赤子を授かる事になったのであれば……今回の一件は…男として本当に無責任な事だと思う……反省するよ……

「!!///…バカぁっ!!///本当にそうなんだからぁっ!!///この、ヤリチン!!///…ってぇ〜!?///遺していた手紙にこんな事を書かないで頂戴よッッ!!このスカタァン!!」(カァ〜ッ///)

「!!///…ふふっ!」(まあまあ〜顔が赤いわねぇ〜♪…そっか、ロベル…このヤエカという人が、あなたの愛人なのは。…本当に確かなのね…///)

そしてトワさん。…本来の20代くらいになれた君の姿をこの目で見れなくて……本当に残念に思うよ。…でも、もしかしたら…君のその風貌から推定するにだけど……現世の世界で、彼といつも仲良く痴話喧嘩をしていた…《千夜》という居合道仲間の彼女と。…君は本当によく似ていたと思うんだ。……もしそうなら…僕も……でも彼の方が意地でも君の事を大切にすると決め、いつまでも守り、力になってくれるだろうから……どうか安心して!

「!!///……そ…その人って…ま…まさか……」

「…そっか。…ルーくんの…マブダチの……っ!!」

・・・
・・





God created heaven and earth, and everything that exists between them.
(神は天と地、およびその間に存在するすべてを創造した。)

Having a good spirit is not enough, it is important to use it well.
(良い精神を持っているだけでは十分ではなく、大切なのはそれを良く用いることだ。)

Rene Descartes
(ルネ・デカルト)



・・・
・・



〜???の世界〜

「……はっ!」

「あ、気付きました?どうでしたか?みんな寂しそうでしたか?」

「…ああ…だが最期に今まで関わってきた大切な人達に見送られて、俺は幸せだったんだな…」

ロベルが最後に希望を託した現世に住んでいるであろう一人の青年は現在、────ある事件に巻き込まれて現世で別れをし、その後には導き人の試練を受けていた様子である。その者の髪色は、まるで白い狼のように銀髪のベリーショートヘアであり、目つきも狼のように鋭い。しかし、決して悪のような雰囲気がなく、むしろ誰かを助け、正しい行いをするものには、救いを、悪い行いをするのであれば、それ相応の制裁を与える日本神話に出てくる狼の神《真神》を連想させるような正しき正義感が内心に満ち溢れていた────そしてここから彼自身の、一振りの誓いの儀礼刀を巡る争乱に巻き込まれ、現世で出会った聖母のような女性の亡き《妹》を護衛する大きな戦いに巻き込まれることをまだ彼自身、知る由はなかった─────







B. いいえ


《Capitolo・4》
続きを読みますか?

🎼Back Ground Music 》》》




【Paradiso】歴2000年・6/13・【C島】貧困街・夜方


♪〜大逆転裁判2より〜解決の前奏曲

「……よ〜し!!これでこの支部も制圧完了したじゃん♪」

「……もうこの街には、ユートピア創造士隊の姿は見当たらない……」

「私達……遂にやり遂げたのですね……【C島】のユートピア創造士隊の思惑を……これで……何もかもおしまいのようですね!!」

【Veno・nix】【Nelson】【Eimi】の三人は、【C島】のユートピア創造士隊の管理している支部を襲撃し、【C島】内に存在している基地を全て制圧したことを喜んでいた。すると【Nelson】は笑みを浮かべて次の作戦を言い渡す。

「だがじゃんよ〜!俺達の戦いは、まだ終わってないじゃん!…だが次なる一手はもうすでに決まってるじゃんよ!!」

「早いな、ネルソン。……次は一体……どんなドンパチを繰り出そうとしてるんだ?」

「ネルソンさん!…一体どんな?」

「決まってるじゃん!!……これから【D島】のF街に管理されている……ユートピア創造士隊の基地を制圧しに行くじゃんよ〜!!」

「…なるほどな」(フッ!)

「わかりました!…ですが、ここでの情報はすでに相手に知れ渡っている事だと思います!!恐らく警戒されて…危険でしょうから、今日の所は夜も遅いでしょうし、宿を取ってゆっくり身体を休ませるとしましょう!」

「それがいいな。…流石にクタクタだ……」

「賛成じゃんよ〜!!……ではでは〜♪今日の所は一時解散!!いよ〜〜〜ッ!!!!」

パパパン!!パパパン!!パパパパパン!!

「?…一本締めというものか?」

「賑やかですね〜♪」

・・・
・・



🎼Back Ground Music 》》》



♪〜御琴羽寿沙都・新世界に咲く一輪の花

〜その夜〜

「ぐが〜〜!!!」

「……寝られん。…ったく……ネルソン……まさかローレンスやエディスと一緒に行動してた時も、こんなイビキかいて寝てたってのか……」(やれやれ…)

夜ーーー宿に泊まっていた三人は窮屈ながらも互いの夜を過ごしていた様子である。するともう一つのベットが空いており、誰かが布団から出た後であることが分かった【Veno・nix】は一度外へ出る。

「………?」(タッタッタ……)

「ん〜♪………風が気持ちいいですね〜!」

「おい、エイミ?」

「!?……あ。……ヴェノおじ様でしたか…///…すみません…何だか寝付けられなくて…」

「奇遇だ…俺も。…あのおっさんのいびきがとにかくうるさくて…」

「アハハ!!…おっさんですか!!」(クスクス!)

「……女から男になっても、そういう所は変わらないな〜…エイミ!」

「!?///…あっ!!///……いえ……これは…///」(アタフタ!)

「………仕方ないな…」(フッ!)

スタッタッタッタ……

そう言うと、【Veno・nix】は頭を撫でて外の夜景を眺めていた。そして徐にこのように語り出す。

「……でも不思議なもんだ。……現世では死んでしまった俺達だが……【Paradiso】っていうこんな訳のわからない異世界で……俺達はこうして生きている…」

「ですね。…本当に……これは奇跡と呼べることですよね。…最初は【導き人】のオロアさんに出会ってイールさん…そしてその彼女達の長であるオーラルさんに導かれ…この世界へと……ですが……」

「そうだな。…お前はとんだ災難に見舞われたんだよな……【Dail】という悪徳にもメイドを調教して性奴隷にさせてこの【Paradiso】で売り捌く奴らもいて……まあそのうちの一人は、一度…この足で……ふんッ!!……お前の仇を一本取ってやったよ!!」

「!?…まさか……」

「【Jeil】(ジェイル)っていう名の趣味の悪い縄使いだ……お前だけでなく……夢の中で出会った…【Towa】(トワ)っていうまだ10代くらいの小さい少女にも危害を加えようとしていた……ったく……」

「……恐らくあの人のモノクルで……その子の本来の姿を観測したのでしょう……それで、その少女にも…一度私も味わった事がある……あんな卑劣な……!!」

「だが完膚なきまでに成敗してやった……トワも…助けてくれてありがとう!…ヴェノさん!…って言われて…連れの【Miyobe】(ミヨベ)という者が来て保護し……無事に夢の中の世界から出て行ったよ」

「……そうですか///」

「それに……本来のお前の姿までは見通せなかった……つまりは、お前の事を理解せずに、ただ身体目的で……アイツの言う女性の裸体の身体に縄で締め付けられる様を見て美しいと思える美学を……ただ他人に押し付けていただけのクソッタレな悪党ってだけだ……」

ギュッ!

「!!///…ゔ…ヴェノおじ様!?///」

「……安心しろ。……そんな下衆な奴からお前を救う事ができたんだ……そして、お前と出会ったおかげで……俺だって少しずつ、やっと……やっと……前を進んで…変われるような気がしてな…」

【Veno・nix】は感謝の気持ちを【Eimi】に伝える。すると【Eimi】は温かく微笑み、【Veno・nix】の目を見つめる。

「…ふふっ!///どう致しましてですよ……///」

「……っ!…顔、赤いゾォッ!!男だろっ!?」(!?)

「ふふふっ!こういう時は、男でも女でも……嬉しいものなんですよ♪///」(ギュッ!!)

二人は仲睦まじく会話をして夜を過ごす。そして、【Eimi】はある願いを【Veno・nix】に話す。

「……あの…ヴェノさん……お願いがあるんです……///」

「?どうした?…エイミ?」

「私……一度言ってみたい場所があるんです……」

「?一体何処に?」

「……まだこの世界では6月だというのにですね……ある島では一年中桜が咲いていたり……紅葉が咲き続ける町があるらしいのです……」

「!?……そうか。この世界は死後の世界だからか、特に季節の概念がないんだったな…名前は知ってるのか?」

【Veno・nix】の問いに【Eimi】は首を横に振った。

「……いえ。……それがわからないのです。…ですが、これは確かな情報なんです!……あの……【Dail】邸で過ごしていた時に、メイドの方々が呟いていたのを聞いて……それで…」

「……なるほどな。……よし…」

スクッ!!

「!?……ヴェノ…おじ様!?///」

【Veno・nix】はそういうと、自身ありげにこう言い放った。

「……俺が連れて行ってやる!…ネルソンのおっさんも一緒に…!!」

「!?///…ほ、本当ですか!?///」

「ああ。…約束だ!!…目星は付いている……もし違ったのなら、見つかるまで探すまでだよ…エイミ。…お前と…一緒に……!!」

「〜!?///う……うぅ……嬉しい……ヴェノ…おじ様……本当に……ありがとうござっ……」

ラブロマンスはそこら辺にしとくじゃんよ〜♪…お二人さん!!

「!?///」

「……ネルソンか?」

二人の甘酸っぱいムードに水を刺してきたのは、【Nelson】だった。しかし顔の表情はとても深刻そうな顔つきであった。その理由を彼の口から語られる。

「……どうやら俺らにお客さんが来てるようじゃん♪」

「…え?」
 
「……そういう事か。………!!…………伏せろっ!!!」

ダァーーーーン!!!

🎼Back Ground Music 》》》



♪〜大逆転裁判より〜サスペンス

ガラガラガラガラ…………

突如、建物が何者かによって爆破された。建築物の宿は、爆風により跡形もなく飛ばされ、すでに原型がなくなり。瓦礫と化していた。

「!?……ゲホっ!!ゲホっ!!……お前達!?……無事かっ!?」

シィーーン………

「!?……い、いない………のか!?」(まさか……爆風で!?)

ザッザッザ………スタッ!!

…おや?…あの時の旅客船で爆破に巻き込まれ、昇華したと思い込んでいたのだが……また会ったようだ………現世人…【Veno・nix】…

「!?……お前は…あの時の!?」

「……何度だって言おう。……私は【Muu】(ムウ)。忘れたと言わせない。…現世人で【Fiducia】の能力は触れた物質を爆弾に変える能力を持っていると…あの時伝えたはずだ……そしてお分かりなんだろ?……今が一体……どんな状況なのかを?」

【Veno・nix】の前に姿を現した者は、以前旅客船に乗り込もうとした【Veno・nix】と【Eimi】の行手を阻んだ男【Muu】であった。その顔の表情は、【Veno・nix】に対する報復を持っていたのか、とても憎しみの感じられるような根に持った表情をしていた。

「………」

「?どうした?……仲間がいないと何も出来ないか?…もしくは…傷の舐め合いだけの上っ面の仲だったのか?」(ニッ!)

「………」

スタッ!スタッ!

「!?………ククッ!」(さあ来い!お前は逆上して…私の身体に攻撃を仕掛けてくるだろう…その時には………お前の身体は跡形も無く昇華しているだろう……)

「………」

スタッ!…スタッ……タッタッタ………

「……!?」(なぁっ!?……通り過ぎ、素通りした……だと!?)

「……相変わらず学習能力のない男だな…この半年間何をしていたんだ?………貴様は……既に…」

《昇華しているーーーッ!!》


🎼Back Ground Music 》》》



♪〜007より〜Message From an Old Friend

フゥィーーーーーン!!!!!!

「!?………なぁっ!?」

ダァーーーーン!!!!


【Veno・nix】 ランクE
【♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡】
予知能力を発動しました。



突如、爆弾魔の【現世人】【Muu】の身体はその場であっけなく爆死した。【Veno・nix】は能力を使用してさりげなく相手にカードを相手の懐に仕込み、爆破能力を誤って誤爆させるように起動させ、そのまま相手は無惨にも昇華した。

「………」(爆弾魔の末路………というべきか…精精悔いて成仏しろ。…貴様のせいで、旅客船で亡くなった奴等の悲痛の声を聞いてな!!)(ギロッ!!)

【Veno・nix】は躊躇無く相手を爆死させた。しかし、彼自身は絶対悪を執行したとばかりに後ろを振り向かず、自分の仲間を捜索しようと足を歩ませていく。

タッタッタ………タッタッタ!!!

ザザザザザザッ!!!

チャキッ!! チャキッ!!

「……追っ手か!!」(ジャカ……)

【Veno・nix】は相手を睨みつける。そこには、【創造派】であるユートピア創造士隊の軍勢が集まり、標的であることを確認して武器を突きつけてこう言い放った。

「……貴様……よくも……!!よくもぉっ!!我々の支部を破壊し、各島のユートピア人を隔離させ……完全なるパラダイスを……平穏な世界を作り出す計画をとことん邪魔してくれたようだなぁ〜〜〜!!」

「おのれぇ〜〜!!よくもぉ〜〜!!!生きては返さんぞ!!!」

「貴様……これが一体どういう事なのか……分かっているのかァーーーー!!!!!」

ドーーン!!!

「!!」

「!!」

「!!」

ユートピア創造士隊は御立腹であった。しかし、御立腹なのは、【Veno・nix】そのものであった。その目からは、もういい。世迷言は聞き飽きたと言わんばかりに鋭い目をしていた。

「……貴様らの方こそ…今のうちに他の島に移ればよかったものを……お前達こそ覚悟はできているのか?……散々ユートピア人を一方的なエゴイズムで隔離させ、暇疲れさせる事をしておいてよくもズケズケと……ナメた口を開きやがって………武器を取れ……刈り取られる準備は……出来ているのか?」

ゾワァ〜……ゴゴゴゴゴゴゴ………

「!?」

「コイツ……!!ええい怯むな!!」

「やっちまえ〜!!!!」

ワーッ!!ワーッ!! ワーッ!!

「!!」(チャキッ!!)

・・・

「カハッ!!」「ゲホッ!!」「う……嘘だろ!?」「こんな奴に……」

バタッ!! バタッ!! バタッ!!

「………」(ブンブン!!)

チャキッ!!

……タッタッタ!!

【Veno・nix】は暗闇の街中の道を疾走する。ただひたすらに疾走していく。仲間と出会う為にーーー

〜その頃〜

「ったく!まずいじゃんよ〜!!」

「そうですね……先程の爆発で、ヴェノおじ様ともはぐれてしまったようですし……それに……」

ワーッ!! ワーッ!! ワーッ!!

チャキッ!! チャキッ!!

「貴様らだな!!」「ああ間違いなさそうだ!!」「この島内で…我々の支部を破壊し尽くした極悪人共だ!!」「この場で死刑を求刑し、処刑してやる!!絶対にだッ!!」

「どうやらこりゃあ……俺達はじゃん……」

「はい。…所謂、《パンドラの匣》を開けてしまったと言えば宜しいのでしょうか?……ですがっ!!私達は!!負けるわけにはいきません!!」(キッ!!)

「やれい!!貴様らぁ!!」

ワーッ!! ワーッ!! ワーッ!!

「来るじゃん!!エイミチャン!!…気合い入れるじゃん!」

「はい!!ネルソンさん!!……やァアアアーーー!!!!」

ボコっ!!ベキャーン!!!

「ぎゃあああ!!!!」

べキャーーーン!!!! ガラガラ……

「…お、おいおいエイミチャン!?…クレーター出来る程吹き飛ばすのは流石にやり過ぎじゃん!」(ヒュ〜ッ♪)

「あっ!!ご、ごめんなさい!!……ですが…ここで手加減してしまっていたら、絶対に生き残る事は出来ません!!大切な人を守りたい者がいるのなら、出来る事なら全力で相手しろと!!……【Survivor】(サバイバー)というギルドに所属する……数々の武術に精通してきた古くから武術に心得のある方にそう言われたのです!!」

「へ…へぇ〜……《サバイバー》にね〜……まあ確かにエイミチャンのいう事には〜……」

「くたばりやがれやぁ〜〜!!!」

「……一理あるじゃんよ〜〜♪!!!!」(ニカニカ!!)

・・・

タッタッタ!!

「…っ!!…しつこいな、貴様ら…」

「……」「……」「……ケケッ!!」

【Veno・nix】の目の前に数々の敵が現れた。しかし、決して後ずさることもなく、敵を睨みつける。

「そこを退け!」

「聞くか!!」「首を斬り落とされる覚悟は出来てるのか!?」「ケケケッ!!!」

「なら仕方ない…実力で黙らせる!!」

シュッ!!!

ドカッ!! べキィッ!! ゴツゥン!!!

「ぐあぁあ!!!」「あぎゃーー!!!」「ゲフゥ〜!!」

バタっ!! バタっ!! バタっ!!

「………寝てろ。…お前らの相手なんぞしてる暇などなし!」

タッタッタ!!!

【Veno・nix】は走る。ひたすら道を走り抜けていく。自ら築き上げてきた仲間達の元へとーーーしかし、その走らせる歩みは鬼が出るか、蛇が出るかーーー彼自身はその者達と出会うまでその真相はーーー知る由もなかったのだーーー






B. いいえ


《Capitolo・5》
続きを読みますか?

🎼Back Ground Music 》》》





【Paradiso】歴2000年・6/13・【C島】貧困街・夜方


♪〜Tales of Rebirthより〜Good Night・event

「ハァ……ハァ……」

ヒィーーン……

逃走から暫くして【Veno・nix】は、ようやくユートピア創造士隊からの追跡から逃れることが出来た様子である。辺りは月明かりで明るかった為、まるで健やかに身体を休ませてくれる心地の良い夜を連想させていたーーー

「…なんとか逃れたか……?」

【Veno・nix】はその場で立ち止まった。目の前には探していた仲間の一人である者が立ち尽くしていた。するとその者は振り返って微笑んで話しかける。

「……ヴェノ…おじ様………無事……だったんですね!」(ニコッ!)

「…ああ。…お前も大丈夫か?……エイミ……………?」

「……ふふっ!……よかっ……た…です…」(ニコっ!………)

フラフラ………バタリッ!!…………

パキィーーン!!……キラキラキラ………

「!?……え……エイ……ミ………!?」

《エイミイィィィッッ!!!!!!!》

ダキィッ!!!

【Veno・nix】は異常を感じた【Eimi】の身体を抱き寄せる。しかし彼女の魂の身体は無惨にも切り裂かれ、既に昇華現象を起こしていた。その様子にただ事ではないと感じた【Veno・nix】はすぐさま充魂剤を差し出すが、彼女はそれを拒んだ。

「……ヴェノおじ様…ふふっ……もう……ダメなんですよ。……こうして昇華を起こしてしまったら……充魂剤を飲んでも……もう復帰することが出来ないのですよ……」

「エイミ!!……あ…あぁ……俺は…!!俺はまた誰かを!!………誰だ…一体誰にやられたんだ!?……ネルソンは一体何処にいるんだ…あの馬鹿は!?…俺がいない間にお前を守っていたんじゃあなかったのか!?」

【Veno・nix】は大粒の涙を流して【Eimi】に迫る。彼自身は、現世の世界で相棒であり、【Aria】のたった一人の肉親である宣行の最期と、そして夢の中で出会った者達の別れもあったからなのか、悲しみの表情が更に強く出てしまっていた。その様子に【Eimi】は困惑していたが、事の重要さを優先して続きを話した。

「……ネルソンさんは……私の仇を討つために……D島のF街の……【真・ユートピア創造士隊】の思惑を止める為に…たった一人で支部へと潜入するとの事……です……」

キラキラキラ……パキィーーン!!!!

「?……真・ユートピア創造士……隊……」

【Veno・nix】はその組織の名前に疑問を感じていた。その問いに、【Eimi】はこう説明する。

「彼らは…ユートピア創造士隊は…闇の殺戮部隊……【Varisk】と同盟を締結して新しく【真・ユートピア創造士隊】として君臨し……この【Paradiso】の世界にいる無力なユートピア人を……専用施設で隔離する措置を取って……私達のように不要な【現世人】全ての人々を……根絶やしに……つまり絶滅させようとしているのです……」

「!?……じゃあエイミ!!……お前は……」

「はい……ヴェノおじ様…………私は運悪く……その【Varisk】の主力となる幹部クラスの殺戮者の者に……ターゲットとして狙われ……その後ここに合流してきたネルソンさんも…深い負傷をした身体で…私を殺めた相手を今、追っているんです……だから…あの人の事を…どうか責めないであげてください…」

「!?…エイミ……」

ポタポタ………

【Veno・nix】は涙を堪えきれずにいた。その様子に、【Eimi】は慈悲深く微笑んで頬を撫でた。

ピトッ!

「!?…エイミ…」

「ふふっ!…もういいんですよヴェノおじ様…元々私は男なんですよ…結局は相容れなかったんですから……もし私がいなくなっても…まだ貴方には…現世のパートナーの妹である……アリアさんがいるではありませんか。……私はあの騒動が起こった日から…今までの半年間…記憶を無くしていて…あなたとアリアさんとの関係に気づくのが遅くなった時期がありました。……ですけどヴェノおじ様……もう私は既に救われていたのですよ…貴方に!……だからもう泣かないでください…どうかこれからも…素敵な笑顔で笑っていてくださいね♪……あともう一つ…」

「…!!」

【Eimi】は彼【Veno・nix】に対して、本当に伝えたかったメッセージを、本心にも好意を含めた言葉でこう伝えた。

《…私の本当の生まれた意味を知りました…私は、ヴェノおじ様…あなたに隠れもった感情を目覚めさせ、この世界を救う為に来たのだと…そして、この【Paradiso】の世界にあの大罪人ミレイが施す偽善ではなく、本当の救済の光を示し導く為に、そしてヴェノおじ様…貴方に愛を…あげる為にと……ですからどうか、アリアさんをお守りし……私の分まで笑顔で生きてください。…大丈夫です。…必ず私は生まれ変わって……本当の女になってあなたの前に必ず会いに来ます♡……では…どうかお元気で…》

ヒィーーン!!!

「……!?……くっ!!」(ズキズキ!)

【Eimi】の身体を抱き抱えていた【Veno・nix】は突然の頭痛に襲われる。すると【Eimi】の現世での記憶が頭の中に再生されたーーー

・・・
・・


〜【Eimi】の現世での記憶ーーー〜

『オギャー!!オギャーー!!!』

『ああ…産まれたわ…私の子供…』

『お母さんおめでとうございます!!……元気な男の子ですよ!』

『そう!良かったわ〜!』

・・・

『ちょっと恵美矢!?何をしてるの!?』

『……え?…何って…化粧台で化粧を……』

『男の子なんだから男の子らしくしなさい!!』

『!!…え…?でも……わ…私は…』(私が……男?)

『私じゃなくて僕でしょ!?』

『……はい…お母さん…』(どうして?…男として生きないといけないの?…なん……で?)

・・・

『……性同一性……障害?』

『……』

『そうです。恵美矢君は生まれつきの性同一性障害で間違いないでしょう。……本来は男なのでしょうが、心と身体の不一致な点もいくつかあり生活面でも不快感を感じ、性別とは反対の異性として生きていたいという願望がこの子にあるのでしょう』

『……そ…そんな……』

『…お母さん…』

『……あ…はは…はははは………!!』

ガシャーーン!!!

『…!?』

『ちょ、ちょっとお母さん!?』

『ふざけないで!!……認めない!!そんな事…私は認めないわぁっ!!……このヤブ医者!!そう言って治療費をふんだくろうとしてるのね!?…我が子に限ってそんな事…あるはずないわ!!!…そんなもの!!この子が成長すればそんなものすぐに治るわよ!!!…そうよ!!…ただのこの子の悪戯よ!!私の教育がなっていなかっただけなの!!…あぁ〜〜っ!!こんな意味のわからない病院に来て本当に時間と金の無駄だったわ!!……ほら!!恵美矢!!行くわよ!!』

ガシッ!!

『あぁっ!!…お母さ…ん!!い、痛いって……』

『何なのその悲鳴は!?…あなたは男よ!!男の子なのぉっ!!!男の子らしく生きなさいっ!!!』

ギリギリ!!

『お…お母さん!!い、痛いって……』

『ちょ、ちょっとお母さん、どうか落ち着きなさい!!それにその病気は先天性のものなんです!!自然に治る事なんて事は……』

『ええい!!うるさいわね!!!ヤブ医者のあなたの話なんか聞いても無駄なだけ!!もういいです結構です!!この子は私が責任持って教育するので!!』

バタン!!!

『……何ということだ……ここまで疾病に対する偏見があるからか理解しようとせず拒絶するとは………』

・・・

『違う!!何度言ったらわかるの!?』

バン!!

『!!』

『あなたは男の子なの!!サッカーやスポーツをしたりして活発に遊びなさい!!何で裁縫や少女漫画や女雑誌を読んだりしてるの!?』

『……でも…!!でも!!』

『……!!』

パァーーン!!!!

『!?』

『本当にもういい加減にして……アンタみたいな子が……何で私の身体で産まれたのよ?……ねえ恵美矢…あなたって……本当は化け物なんじゃあないの?』

『!?………え…』

『そうよ…あなたは男の皮を被ったただの化け物!!…そうよ…きっとそうだわ!!…アハハハハハハ!!!!!』

『!!……っ!!』

バタン!!!

『………うぅ……グスン…』(……そうだよね…学校でもそうだ。…男子も女子も……誰も私の事…オカマだとか気持ち悪がって…男だと思ってすらくれない……私の事なんて……誰も理解なんてしてくれなかったんだ………)

・・・

『おいおい、またアイツ便所で着替えてんのか〜!?』

『ハハハ!!あ〜見えて本当は女なんじゃねえの〜!?』

『そうかもな〜!!……!?』

『………』

『お、おい恵美矢…まさか…聞いてたのか……』

『……別に。…邪魔だからそこどいてくれるかな?』(ジィーーッ……)

『……!?///……ああ、…悪かった……///』(ドキン///)

『あん?…何てめえ顔赤くしてんだよぉ〜!?』

『べ、別に赤くしてねえしぃ〜!!///』

お前…まさかホモとかじゃあねえの〜!? ギャハハハハ!! ちげえっつってんだろが!!!

『………』(やっぱり…僕…いや……私…………)

・・・

『……本当にいいんだね?』

『……はい。…先生…性転換手術を……お願いします……』

『この手術はとても危険だよ。最悪命に関わるとても危険なものなんだがね。……それでも……』

『だから…決まっています!!…私…本来の姿の自分として生きると誓います!!』

『!!……』

『…………』

『…………ここに眠りなさい……これよりオペを開始する……』

『……!!』

・・・
・・





ピキピキ…………パキィーーン!!!!!

「…そんな…事が………!!………エイミ……!!…いや、これは俺の失態だ…遅くなったな……本当に……」

ヒラヒラ〜…

「?…これって…あの時の花畑で咲いていた…黄色の花?」

【Eimi】の【P−Watch】から転送し出てきたのは、以前花畑で咲いていた黄色の花であった。その一輪の花は月光で輝いており、生き生きとして笑顔を感じさせていた。そしてメッセージを残していたーーー

《ヴェノおじ様へーーー素敵な笑顔で元気に過ごしてください…永遠に愛し続けていますーーーエイミ》

ギュッ!!…ポタポタ…

【Veno・nix】は彼女の悲痛の過去を傍観し、そして目の前で助けてあげられなかった悲痛の感情が心の中で何かが蠢いていたようであった。それは以前、夢の中の世界で経験した喪失経験を呼び起こしているかのように、とても心苦しいものであった。しかしその悲しみを乗り越えようと、彼は強く決意したーーー

「…エイミ……後は任せてゆっくり休んでいてくれ…お前から託されたこの【Paradiso】での思い出は……絶対に…決して忘れない。……色々俺の事を気にかけてくれて…心配してくれて……本当に助けられた。……そうだな…お前が言ったように……最後くらい……」(…フッ!)

《笑っていてくださいね♪》

タッタッタ!!!

【Veno・nix】は【Nelson】の後を追う為、急いでD島のF街にある【真・ユートピア創造士隊】が保有する支部の基地へと足を進めていく。その歩みが彼に対し、どのような運命が待ち受けているのかーーー

・・・
・・




〜【Paradiso】歴2000年6/13日ーーーとある島〜

〜その頃・【Aria】サイド〜

・・・

『う…嘘……ミレイさん(【Mireisia】)が…殺された!?』

タッタッタ……

『…?……アリアさん?…どうかされましたか?』

ピラッ!!

『!?…アリアさん…』

『これは一体なんなんですか、オリアナ救済長!?……説明していただけますでしょうか!?』

『……そ…それは……』

ダンッ!!!

『!!』

『暫く各方面に布教を届けにいくと言って…今から半年前にこの【Olfes】の街を出たと言いましたよね!?…それなのに……何故!!…この記事には12月25日に焼死体として発見されたと書かれていますよね!?』(キッ!!)

『…っ…!…』

『教えてください。……一体誰に殺されたのですか!?……ミレイは一体誰に!!』

『………知りませんよ……』

『…!!……そうですか……わかりました…』

バタン!!

『!!アリアさん!!……あ。……!!』

(だって…仕方ないではありませんか!!…彼女【Mireisia】は…この街…いえ…【Paradiso】の世界を牛耳ろうとする為に…【Demister】を復活させようと間違えた信仰に…触れてはならない叛逆という罪に手をつけてしまったのですから……)

ガチャ……

・・・

「……うう〜〜ん……たはは〜…あの後感極まって旅に出るって手紙を残して…オリアナ救済長の事信用できないようになって私は私なりの世界を救済する方法を見つけるって言ったけど………」

ヒューーン……

「……ここ…何処?」

【Aria】が【G島】の【Olfes】の街から出て列車に乗り、長い線路を辿り辿り着いたのは、今まで見た事のない島であった。その場所は山と鬱蒼とした密林地帯であり、何か危険生物がいるような気配もあった。

ざわ…ざわ………

「これって……早速《遭難》……ピンチってやつなのかしらね〜……まいったな〜!」(キョロキョロ)

ガサガサガサ……

シュバッ!!

「……!?」

脱走は許しませんわよ〜!!…とぉ〜〜う!!!!

「ひ、ヒィーーーーッ!!!!!」(ササッ!!)

「!?……違う!!…ただの一般人でしてのぉ〜〜っ!?…よっと!!」

突如【Aria】の至近距離から、誰かの飛び膝蹴りが飛んできた様子であった。しかし、それを【Aria】は運よくかわす。すると飛び掛かってきた相手の女性であり、先程の奇襲はあくまで指導的な体術。特に危害の加えない者だと感じた。相手はスタイリッシュに着地して【Aria】に声をかける。

「ごきげんよう!…どうも飛んだご無礼をお許しくださいませ………ですが……貴女様!…こんな特殊部隊のみが立ち入ることを許可しない危ない密林地帯の場所で一体どうしたんですの!?」

「え?…ええっ!?……と、特殊部隊!?え、ええ!?」(本当にここどこなのよぉ〜!!??)

「お〜〜い!ウィルビア〜!!…あ、いたいた!……?…一体誰〜その人?……もしかしらここ【B島】の【Talan】(タラン)で捜索願が出されていた人なのかしらぁ〜ん?」

「え?え?…【B島】!?てか……あ、アンタ達こそ一体誰なのよぉっ!?」(オドオド……)(うっわー!一人はキャリアウーマンな格好していて……なんだかもう一人は……個性的なファンションしているわね〜!…ええっ!!ってか【B島】!?……私いつの間にか【G島】の【Olfes】からこの【B島】に来てたって訳なのぉ〜!?)

【Aria】はとてもオドオドとしていた。他国の島の者達と会うのは今回初めての為なのか、オーラルからも島の文化や文明は違うと言われていた為、今回会った者に対して少しばかり警戒している様子である。するとまず相手から名乗り出た。



🎼Back Ground Music 》》》



♪〜テイルズオブグレイセスより〜要塞の息吹

「どうやら警戒されていますようですわね〜!……自己紹介が遅れましたわ。…私はここ【B島】の首都【Bestia】(ベスティア)にあるサバイバルギルド【Survivor】(サバイバー)のギルドリーダー…【Wilvia】(ウィルビア)と申す者でありますの。…ほら、ルク!!あなたも挨拶をしなさいな!」

「あぁ〜初めまして。アタシは武道を心・技・体から愛す【Rucna・B】(ルクナ・ベレンダ)です!…よろしく〜ぅ!!」(ウッス!)

「……へ、へえ〜…」(み、見かけによらずに、二人は体育会系なのねぇ〜…)

「ええ、ギルドそのものは武装者の集まりもいますし、結構体育会系ですわよ!特にこのルクはこのように昔から武道に長けている家の出の貴族だからか、後ろには(ベレンダ)と付くものでありますの!」

「へ、へえ〜…そうなのね〜!……?……ん?」

∧( 'Θ' )∧・・・・・

【Aria】はこの違和感に覚えがあった。それはここ最近でもあったのか、彼女【Wilvia】に対し、違和感を感じた様子であるが、それはすぐに声に出てしまった。

「えええっ!?…あ、アンタ人の心の声がわかるの!?」(あの怪力女オーラル達三姉妹の【導き人】の能力みたいね〜!)

「まあ〜貴女様ったら!!初対面の人に対してそのような言葉使いは下品でありますのよ!!///…それにオーラルさんを怪力女とは軽々しくそんな発言をするだなんて…身の程知らずの方がいるとは驚きましたわ……」(プンプン!!///)

「いや、ルビア。アンタのその読心能力も十分アタシらのプライベートが筒抜けになるから絶対人の事言えないわよ」

「あら?…言われてみればそうでしたわね……はぁ〜…全くネラは別にそんな事を気にせずに自分から下着の色を教えたりするから、ついデリカシーがなくなってしまったのはあるのかもしれませんわね〜…」(やれやれ…)

「いやいやそれは自重しろし!!……全くルビア……アンタは…///」(…ルーシス室長…あなたもルビアがいなくなって寂しそうにしてるカンパネラの不満を聞いて世話をしたりして…今頃さぞ大変でしょう……でも……アハハ♡…ありがとう///小さい頃あの時私をお姫様抱っこしてまるで騎士のように助けてくれて…本当に…感謝してるわぁ〜♪…ウフフ♡)

「ふふ♪…きっと今頃ネラはベルナさんが亡くなられた後のお次のお嫁さん候補は私になるだとか言って、今頃あんなことやはしたない事をして【姉妹丼】をしてますわよぉ〜♪」(ニヤニヤ!)

「〜!!///よ〜しちょっとカンパネラ引っ叩いてぶん殴ってくるわぁ〜!!」(絶対にルーシス室長は…誰にも渡さないわぁ〜!!)(ゴゴゴゴゴゴ………)

「ふふっ!ルクナ、クールダウンして少しは落ち着くのですのよ。…それに、ネラには私に変わって今はベアや義理の妹のロアがいますから別に寂しい想いはないのではと…♪」(ネラったら…相棒である私を差し置いてお先にゴールインする気ですの…もうッ!///…ですが歳も離れてますでしょうし…願わくばルーシス室長の後任のお嫁様候補には…昔からの親密な仲で一方的な片想いではございますが…あなた様に好意をお持ちで癒しを重んじる令嬢の出のお方…アガルタさんの方がとてもお似合いかと存じますが……)

二人は何か色恋話をしていたようである。すると放り出されていた【Aria】は二人に問いかける。

「ちょ、ちょっと待ちなさいよ〜〜!!!///アンタら絶対私の事忘れてるでしょ〜〜!?///」(プンプン!!///)

「あ、これは失礼しましたわね!…あなた様は【G島】の【Olfes】からお越しになったと…?…それによく見れば……それ【Siel】の紋章ではございませんか?」

「え?…あ、しまった!!外すの忘れてた〜!」(アタフタ!)

「……はは〜ん。…じゃあアンタがオリアナさんが言っていたアリアさんって事なんだねぇ〜!」

「!?…ど、どうしてそれを〜!?」

すると【Wilvia】はオッスと言わんばかりに気合を込めた声で話す。

「あまり私達を体育会系だと思い込んで脳筋だとか見くびってもらっては困りますの!!…武道とは心・技・体から来るもの…時に頭脳も欠かせない!!ですのよ!!………それはオリアナ様からお伝えされたのです!!もしこの島に【Aria】という【現世人】のEランクの地位の女性が訪れたら護衛の程よろしくお願いしますという伝言を、数日前に電報から届いたんですの!!」

「!!ええっ!?ごっ!…護衛!?……見つけ次第連れ戻すとか言わなかったの!?オリアナ救済長が!?」

「私達といれば一人で行動されるよりも比較的にかつ普通に安全だと言われて仕方なくですの!…ま、不本意でありますが話が早くて助かりますの!!では」

「お姉さんと一緒に行こうか〜?…アリアさ〜ん?」

ガシッ!!

ズルズル………

「え……え……!?」

ええええーーーーーーーーッ!!??

【Aria】はそのまま、サバイバルギルド【Survivor】(サバイバー)のギルドリーダー【Wilvia】(ウィルビア)と【Rucna・B】によって身柄を拘束され、そのまま御用となった。そしてこの二人との出会いが、後に引き起こされる【真・ユートピア創造士隊】との熾烈な争いに巻き込まれる事になるーーー

・・・
・・






B. いいえ


《Capitolo・6》
続きを読みますか?

🎼Back Ground Music 》》》



♪〜Billie Eilish - No Time To Die

【Paradiso】歴2000年・6/15・【D島】【Crono・St】・夜方

〜【R・P社】ギルド本部〜

「……zzz……zzz……ん……ん……」

その頃ーーー【R・P社】ではギルド室長である【Lu-cis・H】は自室にて睡眠を取っていた。少しばかり深い眠りに入っていたが、少しずつ眠りが浅くなり、夢を見ていたようである。

・・・
・・


〜【Lu-cis・H】の夢・過去に体験したエピソード〜

『!?…そ…そんな…!!待ってよ!!エレ姐!!ロー兄!!み、みんな!!』

キラキラキラキラ……

『……ごめんね。…ルーシス……こればかりはエレノアお姐ちゃんには……』

『兄代わりである私にも…もうどうすることも出来ないんだよ……【時喰・十六夜】を退けたら……本来の時代で死ぬはずだった僕達は……消える運命にあるようだから……だけどね…ルーシス』

『ヌシだけは…何としてでも生き残らないといけないぞい!!……この先の…ベレンダ家の未来の為にも……絶対っ!!』

『私達の分まで頼みましたよ…ルーシス。…安心してください。……私達は歴史に名を残した【時ノト】【零六壱八時警団】なのですから…あなたの戻る時代にも私達【大地組】の存在やこれまで時間を遡り…築き上げてきた文明や証が残っているはずなのですから…だからこの絆は消える事は決してありません。ですから…どうかご無事に…生きてくださいね……』

『!!………でも…それでも……僕は……!!…僕はぁっ!!……ぐっ!!』

トントン!

『!?……コルボ……』

『……前を向くのだルーシス!…貴公だけは消滅を避けられたのだ。………ルーシス。……本当によくここまで……同志であるエレノアやローレンスと一緒に行動を共にし……【時空組】として様々な時空を超えて……決して運命に逆らう事なく…ついて来てくれて、真実に辿り着いたのだ。……礼を言おう…我らよりも先に生きる未来の………友よ!……私達は責務を全うしたのだ…今更悔いなどはないのだ…』

『……コルボ…ジャカル…オルガナ……エレ姐……ロー兄……』

ニコニコ!! コクコク…

『コルボの言う通りね!……大丈夫よ、ルーシス!!…あなたは未来で会ったあの人の子供に変わる…私の自慢の弟なんだから〜♪!』

『だからこそ、君はまだ僕達と一緒に行く時ではないんだよ……ルーシス。…ここからは大古から人との繋がりを大切にし、守る為に勇敢な心を持つ由緒正しい名家【H・ハーレクライン家】の貴族として…これからは僕達の意志を受け継ぎ……《君自身の時代の冒険》を………始める刻なんだ!!』

『!?』

『そうだよ…ルーシス…だから大丈夫よ!…きっと未来の何処かでまた私達は会えるのだから〜♪』

『ここで…ヌシには重たい重荷を背負う事なのは分かってる!!けど諦めなぞい!!…おいがいつまでもその背中を支えるぞい!!』

『不安になれば…救済長として私が手を差し伸べ…必ず手助けを致します!…ですから、ご安心してください…私は…あなたの無事を、心からお祈りしておりますよ…♪』

『貴公の戻る時代には恐らく私もいるだろう。…出来れば接触は避けて欲しいものだ。……だがルーシス…旅立った時よりも本当に立派になったものだ……もう童ではない。………何も恐れる事はない…』

『…み……みんな………わかったよ…』

『ふふ〜ん♪分かればよしっと!…だけどさぁ〜………もぉ〜〜っ!!///ちょっとコルボ〜ッ!?///アンタ、ルーシスの桜の門出の旅立ちだって時に《何も恐れる事はない》ってぇ〜!?!?///それをここで言う事なのぉ〜!?///…本当にコルボったら〜!!その変な鴉の仮面に因んで不吉を呼び寄せる固い男なんだからぁ〜!!///』

『!?…なぁっ!?…なんと罰当たりな事を言うのだ貴様は……!?…鴉を愚弄することは許さぬぞぉ〜〜エレノアぁ〜!!…これは我が【現世人】なりけり事!!!…現世の世界で言う由緒正しき日本神話の神【八咫烏】(ヤタガラス)の名から因んで決めた名だ!!…断じて不吉な意味合いなどとは…!!』

『あ〜はいはい!!もう、記憶を失ってたからだとか言ってそんな現世の洋画に出てくる【星ノ戦争】に因んだ悪役暗黒面キャラを気取らなくてもいいんだからぁ〜♪せっかく危ない所を私達が保護してオーラルさん率いる【導き人】三姉妹達に助けてくれてその【Y・Corvo】って名前を名付けて貰ったんだから感謝くらいしなさいよね〜♪本当にも〜う♪…いいじゃあないの〜♪…オロアだってあなたの事をすこぶる気に入ってるんだし〜♪』

『別に好きで気取ってなぞおらん!!……あの【導き人】のオロアとやらめぇぇ〜!!……私が眠りについている間…勝手に《ショッカー手術》の始まりと因んで我が同胞の者を野心が強いなどと理由にある医大の大学教授の総回診に因み…【白い巨塔】とやらを演じさせ……この服装と仮面を見て悪ノリして赤の蛍光棒を持たせ……暗黒面だとか……挙げ句の果てに《ルスターウォーズ!!【Y・Corvo】(ヤタ・コルボ)の誕生!!》……などと名付けおってぇ〜〜!!///』(イライラ!!)

『………うふふ♡……だからこそですよ…〜♡///』

ムニッ♡…ダキッ♡!!///

『ぬぅおっ!?///…お…オルガナ!?///』

『……あなたの正義を…勇士をこの目で……最後まで見る事ができたんですから……本当に感謝しますね…コルボさん♡…私の………愛する人♡///』

ムギュッ♡!!スリスリ♡///

『よ、よせ!…は、離さぬかオルガナ///…ち、力が強い!!///離れられ……ぬ…』

『おうおう!!これはコルボもオルガナも最後まで熱いもんぞい!!いやぁ〜最後にいいのが見れたぞい!!……だからぞいルーシス!!………元気で……ぞい…!!…うぅ……グスン…!!ゾォーーーイイイイ!!!!!』

ダキィッ!!

『うわっ!!…ジャカル……あ……はは…ハハハ!!!もうっ!!…最後までみんな締まらないし…本当に変わらないんだね〜!!…うん!!僕、一人でも頑張るよ!!…みんなの分まで生きてみせる!!…ハハ!!』

アハハハハハ!!!!

『……さて、《クロノテリア》のセッティングはこれでよしっと〜♪じゃあ………飛ばすね〜ルーシス!!』

『また会おう…ルーシス!…未来を頼んだよ…例え離れ離れになっても……僕達はいつも一緒だ!!』

『うん!!……行ってくるよ!!ロー兄!!…エレ姐!!…ジャカル!!…オルガナ!!…コルボ!!……僕は…僕の時代を……!!』

《未来で生きるよ!!》

カチッ!! カチカチカチカチカチ!!!

…………シュン!!

・・・
・・


〜時は進む〜

「!?」

ガバッ!!!

「ハァ……ハァ……夢か…でも……懐かしいな…ロー兄…エレ姐……ジャカル……オルガナ……コルボ…僕は無事に生きているよ……でもね……」

【Lu-cis・H】は何かを悔いていた表情をしていた。視線を見ると、彼の愛妻であった【Bellna】(ベルナ)の姿と、まだ幼い頃の一人娘である【Roar】(ロア)を腕に抱き締めていた写真であった。それを見て名残惜しそうに見ていた。

「本当にしつこいようではあるけど。………ベルナ…ごめんね……本当に。……最後に…【P-Watch】からの通知を見て…君が……この【Paradiso】の世界を去るとは思いもしなかった……」

カチッ……カチッ……

《ルーシス…ごめんなさい…暫く戻れそうにないわ…暫くロアを頼んだわね〜♪…私の生涯愛する若旦那さん♡…あなたのベルナより♡》

「………ベルナ…君は死ぬべきではなかった…死ぬ運命にあるのなら……!!」

「僕が変わりに……!!」「どうせなら、もう一度Hな事してもう一人子供作りたかったぁ〜♪」

ダキィッ♡!!///フセッ!!

「!?…ぐっ!!」(ジタバタ!!)

「そう言うだろうね〜アマ姉ならさ〜♪…ふふ〜ん♪油断したね〜ルーシス義兄さん♪///」(ハァ…♡…ハァ…♡)

「!?この声は……ネラ!?」

【Lu-cis・H】は背後から目隠しをされて奇襲をかけられた。声から察するに【Campanella】だった。その姿は肌を露出し、セクシーな薄緑の下着を身につけ、魅惑の雰囲気を醸し出していた。すると彼女は甘い吐息を出しながら顔を紅潮させて迫ってくる。

「ふふ〜ん♪///…ルーシス義兄さん…もう逃がさないよぉ〜♡///…ルーシス義兄さんは〜♡アマ姐〜の実の妹の私のモ・ノだ・か・ら☆♡///」(キラーン!…ドキドキ♡)

「!!よ、よせネラ!!やめるん……だ………ぅ……」

バタリ……

「ウフフ♡…どうやら眠り薬が効いたようだね〜♡ではでは〜♪……〜♡」

・・・
・・



【Paradiso】歴2000年・6/17・【D島】始まりの街・夕方

「………」

ザザッ………

「……ついてないな。……まさか道路が陥没して復旧まで時間がかかり、ここまで4日も費やしてしまった……だがやっと着いたようだ」

【Veno・nix】はアクシデントに見舞われるも、4日の期間でD島の始まりの街にある【真・ユートピア創造士隊】の支部に到着した様子である。その目には乗り込む意気込みや覚悟は既にある状態だった。そして【Hopera】の最後の仲間である【Nelson】の安否を気にかけていた。

「……待ってろネルソン!…お前一人で行こうとするな。……行く時は一緒だと……あの時【Blu・Viria】(ブル・ヴィリア)での出来事を忘れたのか?…それとも馬鹿なお前はお前なりに……エディスの時の事を…未だに引き摺っているのか?」

・・・

《ネルソン……ヴェノ…私の事はいいんだよ。…アンタ達はアンタ達のやるべき事を成すのさね……さあ、お行き。…ローレンスにもよろしく伝えなさね!……二人共…元気で生きるんだよ……》

「……!!」

カン!!

【Veno・nix】は、追憶に耽り道端にあった空き缶を思いっきり蹴り飛ばした。そして支部本部の中に潜入元よりカチコミをかける為に歩みはじめる。その背中には今まで散っていった仲間や人々の事を思い返し、彼の心情の中には、今はまだ泣く時でもないーーー死ぬ時でもないーーーここは【Paradiso】という人から楽園でもあれば地獄とも言える醜い争いの世界であるという事をーーー楽園を実現するには誰かが踏み台になり命を捧げて生贄となって繁栄を築いていかないといけないーーーその犠牲が成り立って今の世界があるのだと彼自身はこう自覚しているーーーそんな世界は間違っている。狂っている。ここで終わらせる。人を非情にも手にかける奴がいるのなら躊躇なく裏の顔を持つ俺がーーーこの手でお前達に報復として裁きを下すーーー誰かを守る為ーーもう二度と、犠牲を出させない為にとーーー


























《To Be Continued…→》











ダブルフェイス〜黒豹と法と秩序の契り編 第13話:掃除屋兼便利屋ギルド【Hopera】始動!! 完読クリア!!


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