GiorGiaNo

 
《Paradisoシリーズ〜導かれし七人の現世人の冒険譚》  

A.:GiorGia


第二章:ダブルフェイス〜黒豹と法と秩序の契り〜


第12話:〜二人のウルフマン〜ヴェアヴォルフ(Werwolf)ノ騎士と炎ノ竜帝



【Veno・nix】は突然旅客船での爆破事故に巻き込まれて意識を失い、目を覚ますとある鉄道の駅におり、最古のユートピア人を名乗る【Lawrence】(ローレンス)という青年と、約1000年前に起きた戦争に巻き込まれて死亡した【Asa】(エイサ)、別のユートピアの世界【Olvia】(オルヴィア)出身の女皇帝【Edith】(エディス)という様々な者達と出会うーーー【G島】の【Veno・nix】の現実世界の身体は現在植物状態であり、目を覚ますのも絶望的であるとされるーーーその間に【Eimi】(エイミ)は、【G島】【Olfes】の街に無事辿り着くも、その街の救済ギルド【Siel】の修道院メンバーである【Mireisia】に保護をされるがーーー彼女は独善的な救済を目的としているミレイ救済ノ使徒の長と呼ばれ、彼女を確保し、無慈悲にも尋問を開始していたーーーその激動の出来事の裏に、もう1人の存在ーーー白狼と対になるもう一人の狼男の存在が西へ、更に西へと動き始める───────




《Capitolo・1》
物語を開始しますか?

🎼Back Ground Music 》》》



Every world historical event, for better or for worse, is an expression of the self-preserving instinct of all races.
(あらゆる世界史的事件は、良かれ悪しかれ、すべての人種の自己保存本能の表現である。)

Mankind has grown strong in eternal struggles and it will only perish through eternal peace.
(人類は永遠の闘争の中で強く成長してきた。そして、永遠の平和によって滅びるだろう。)

Adolf Hitler
(アドルフ・ヒトラー)














♪〜ゼルダの伝説:トワイライトプリンセスより・Courage


【Veno・nix】(ヴェノ・ニクス)は意識消失により、【Sognare】の世界で、【Lawrence】(ローレンス)【Edith】(エディス)との旅ーーー現実の【Paradiso】では、過去に世界の救済を目的とし、古の時代から【導き人】の様な種族を嫌い、ユートピア創造士隊からも、自分達の望む【Paradiso】の理想世界を目的としていることから神の使いの救済者として崇められている一族【Demister】の復活の為、救済ノ使徒の長を名乗る【Mireisia】(ミレイシア)によって囚われの姫となった【Eimi】(エイミ)ーーーそれぞれの運命が交差する大きな戦いの火蓋が切って落とされる中、異国の地ではある一人の現世人の男が、刻一刻と目覚めるかのように活動を始めていたようであったーーー




〜【Paradiso】歴1999年12/24〜────ある亜熱帯の島国【H島】【Hyles】(ハイルズ)の街のある一軒の灯りがつく宿

・・・
・・


「……zzz…zzz」

【H島】【Hyles】(ハイルズ)の街で、ある一軒の宿に宿泊していた一人の青年ーーー身長は185cmはある大柄な青年であり、服装は雪国から来た名残からなのか、ダークブラウンのロングコートに、黒のスーツを身に纏っていた。請け負っていた任務が落ち着いたからなのか、まるで一匹狼のように寂しくも眠っていた様子である。しかし、夜更けが見えてきた為、少しずつ浅い眠りについてきたようであった。

・・・

「………?…ここは…一体……」

目を覚ましましたか?……騎士ギルド【Orzen】所属の……【Louverd】(ルーヴァード)。………いえ、現世人…ロベル。

「…!!…だ…誰だ!?」(キョロキョロ!)

…ふふっ!…私の声が聞こえますか?

「…僕の……現世での本名を何故?………一体誰だい?…姿を現したらどうなんだ?」

………承知しました…

キラキラ……

「!!……?……金髪の女性?」

男の名前は【Louverd】(ルーヴァード)と呼ばれ、現世ではロベルという愛称があるようだ。髪色はダークブラウンに、目はダークグリーンであるが、輪郭は発光しているかのように煌めいており、時計盤のような紋が浮かばれていた。その彼の目の前に現れた女性は、美しいゴールドブロンドの髪色のロングヘアー、その頭部には、ロイヤルブルーの菱形のヘアバンドをしており、服装は紫を基調とした昔の僧侶のような服装を身につけており、その風貌から女神のような容姿をした大人びた女性であった。その女性は微笑んでロベルに挨拶した。

「…初めましてですね…ロベル。…私は…【G島】の【Olfes】という…遙か昔の時代に、街の初代救済長の命を受けた【Organa】(オルガナ)という名のユートピア人の者です。…オルガナとそのままお呼びになってください。………ふふっ///」(ぽ〜っ///)

「…あ、ああ。…わかったよオルガナ。………?…僕の顔を見てどうかしたのかい?」(首かしげ?)

「〜!!///…あ、ああ!!…い、いえ、なんでもございません!///……ただ…///」(ああ〜っ!///い、いけません///…私としたことが…///…この顔つき…そして逞しい体つき………あぁ///………マスター・オーラルやその姉妹の導き人が話していた通り…現世の世界の国の………確か…ドイツ人?…と日本人?…のハーフだからなのか……実際に目を通して、その爽やかな甘いマスクに、その色気のある声は…本当に女性の方を口説き落とす…色男に相応しいお方ですね///)

女性の名前は【Organa】という名前であり、【G島】の【Olfes】という街の初代救済長であるそうだ。女性はロベルの顔を見ては見惚れていたのか、赤らめて微笑んでいた様子である。その様子にロベルは首を傾げるも、淡々に話を進める。

「…ただ?……まあいいよ。…それでオルガナ。…ここに僕を呼び出したのには、何か理由があるのかな?…この僕の持つ……限られた類い稀な【Fiducia】…光輝の力を意味している【Luster】と密接な関係がある話なのかい?…それに…何故あなたの持つその槍には……僕と同じ光輝の力の光を宿しているのかな?」

「!!……お気づきでしたか…さすがです///」(……我らのリーダーと同じく、絶望した未来を貫き、切り開いて進んでいく閃光のような光を持った伝道者になれる程の……真なる【Luster】の力の片鱗に目覚めているだけの事はあるようですね。…それにこの鋭い洞察力はまるで……私が好きで愛しいあの方にも…どことなく面影が…///)

「?………それよりも本題だよ。…その初代救済長を名乗る君が、僕の前に現れたという事は…おそらく悪い知らせのようだね。…オルガナ。…一体何が起ころうとしているんだい?」

ロベルは【Organa】の出現が、自分にこれから降りかかる戦いの時が来たのだと察していた様子である。その表情を見て【Organa】は本題に入ろうとした。

「……はい。実は…これからこの世界の【G島】の【Olfes】という街で…何やら怪しい動きがあるようなのです。いずれ……大きな災いが起ころうと……」

「!?…災い……厄災の事だね。……以前会った……この世界を統べる森羅万象の属性を持つ精霊も、確かそんな事を言っていたね。……わかったよオルガナ。…その話、信じるよ!」(ニコニコスマイル!)

「〜!!///…あ、ありがとうございます。…ですが今回ばかりは、救済を目的とする一派の動きのようなのです……それを…」(テレテレ///)

「僕が【G島】の【Olfes】の街を訪ね…その者達の思惑を食い止めて欲しいと?」

「はい!…こんな事を頼めるのは、ある特殊な導き人からの【Fiducia】の能力…光輝の力【Luster】の加護を授けられた…あなた様だからこそ頼むことができるのです!……どうか力をお貸しください……」

「………その動きがあるのは、いつくらいに引き起こされると予言出来たりするものなのかい?」

「……わかりません。…何しろ……あの…その〜っ……///」

《マスター・オーラルが…突然…漠然とあんな事を〜!///……そして…〜!!///あぁ〜…///思い出しただけでお恥ずかしい〜///》

「?」


・・・
・・


〜時は戻り・【楽国駅・駅前事務所・多目的ホール】〜

コツンコツン……

『ご無沙汰しております!…マスターオーラル!』

『……?…あら私の【Paradiso】でのお弟子さん1号…来ましたか。』

『〜!!///あのぉっ!…私には【Organa】(オルガナ)という名前がございます!いい加減、名前で呼んでください!』

『……では手短に本題に入らせていただきまぁ〜す!』

『あ〜っ///!!話をそらさないでください!…全く、相変わらず私の話を聞いてくれませんよね、マスター・オーラルは!!………一体何の御用でしょうか?』

『ウフフ!…これからあなたの設立した街【Olfes】で……私達をとてもと〜っても毛嫌いしている【救済派】の一派連中による狂った救済活動が行われまぁ〜す♪…だ・か・ら……あなたのお得意な救済活動の程、よろしく頼みましたよ〜♪…私の救済のお・弟・子・さ・ん・1・号♪』

ポリポリ……ムシャムシャ……

『!!ええっ!?……あの〜?…マスター・オーラル…束の間の事をお聞きしますが……それはいつ頃に……』

『全く!あなただって相も変わらずそうして人頼りにですか!?……もう少し聞き分けが良くなれば都合がいいのに、仕方のない弟子のようですね!!…そんなダメダメなあなたにヒントを与えます!…耳をかっぽじってよくお聞きなさい!!ゴホン!……この季節であれば……現世での巨匠の聖夜の映画をみる事をオススメします!…それを聞いたら……後はお分かりですね?………!?』

スパーーン!!!!あいたーーぃいぃぃっっ!!!! アハハハハ!!!! 今当たった時、痛い言ってたでしょ!?……彼は会いたいと言ったのだよ!

『…あらぁ〜っ♪!アハハ!んも〜う!この身体を張る芸人さん、本当に面白いんですよねぇ〜♪…現世で存在しているピッチングマシーンにハリセンをセッティングして…ピッチングして…顔面にクリーンヒットさせて、のたうち回って周りのお笑いを取るなんて〜!!…アーッハハハ!!…本当に面白い事を考えつきますねぇ〜♪現世の人間とは全く〜♪アーッハハハ!!!』

バンバンバン!!

『………』

《……何でしょうか?…何やら大きなクッキーのような食べ物に……熱気が感じられる布団に包まったテーブルに腰をかけて……何やら箱型の発光物から見える映像を見て大笑いして楽しんでいますが……一体……》

ツンツン!

『…!!…ひゃあうっ!!……だ、誰ですか!?』

『〜♪あれは現世でいう煎餅とコタツとテレビ…それにレコーダーで録画していた年末のお笑い番組ってやつですよぉ〜♪……リラックスしてるとぉ〜♪あんな風にだらし姉ムードになるんですよ〜♪オーラル姉様はぁ〜っ♪』

『!!…び、びっくりしました!!…お、オロアさんでしたか……』

『はぁ〜い!お久しぶりってやつで〜す♪オルガナさん♪…みんなにとって〜♪ウザくて可愛い……略して〜♪どんどんぱふぱふぅ〜♪…ウザ可愛い〜っ♪★オロアですよぉ〜♪』

『……ウザ?…可愛いですか?』

『…オルガナ様』

『!!は、はい!……!?……今度はイールさんでしたか!……一体何でしょうか?』

『……こんな時のために、あなたがこれからお会いになるべき人のリストを提示しておきます。…よくご覧になってください。』

ピラッ!

『!!…は、はいありがとうございます///…?…【Louverd】?……初めて聞きますね…』

『……彼は現世人で、ロベルという愛称があるようなのです。………彼を導いたのは……我々導き人の中でも…大した実績も実力もなく、落ちこぼれだと言われていた少女…【Aine】(アイネ)という名前の導き人がおりました。……ですが…彼を含めたもう一人の女性……その二人の現世人と出会い、ある【Luster】の世界で大きな貢献と活躍をした事により…彼女は晴れて実力を認められ、真の純粋なる【Luster】を継承する者となり……我々姉妹の導き人にも【Luster】の力を伝授して頂き、正しく導いてくださった…………由緒正しい【Luster】専門の導き人の者から招かれた一人の使者であります』

『!!……そうですか。……この方が……///』

『?…どうかされましたか?…顔が赤いですよ?…熱でもあるのですか?』

『〜!!///…あっ!いえいえ別に…///』

『ふふ〜ん♪…さ・て・は☆この若人の甘いマスクに一目惚れでもしたんですか〜?』

『!!///そ、そんな事は決してありません!断じてありません!!///…って若人って!?……オロアさんだってまだまだ小さい少女ではありませんか!!///…それに今は会えませんが…私にも想い人くらいはいます!!///』

『!!…ほぉ。…それはそれは…』

『へぇーそうですか〜!///……その想い人さんに振り向いてもらえるように〜♪…あなたのその豊満で魅力的なIカップはあるOh Yee!!なビッグボインでぇ〜♪……そうですねぇ〜♪…そのズボンの中の純白な白のショーツだけの下着姿になったりぃ〜♪…もしくは大胆にも…裸婦ヌードを見せつけて抱きついて……誘惑でもしたんですかぁ〜///♪?』

『なっ!?///…〜///…なぁっ!?///お、オロアさぁん!!!そ、そんな少女のような姿で…一体、何をそんなまるで品格の感じられないお下品で破廉恥な事を言っているのですかーー!!??///…それに!あの方は正義に準じるお方!…そんなふしだらかつ不潔な事で振り向かせようなどと、そんな言語道断なことは致しません!!///決して!!……!!///ひぁぁっ!!///』

『……フフ♪…妹達と仲良くするのは結構ですが……痴話喧嘩なら他所でやりなさいよねぇ〜♪…全く。…相変わらず頭の固い、ダメダメなお弟子1号ですが…ここはとても柔らかく…大きく成長しているのですよねぇ〜♪』

ムニュッ♡…モミモミ〜♪

『あうっ!…や…やぁ♡…やめっ♡……んんっ♡!///…!!ハッ!…〜///!!…あ、あのぉ〜!!///マスター・オーラル!!///どうかお離しになってくださっ!?///…。はぁうう♡だ、だめ…!!そこはだぁめぇ〜〜〜♡♡』

グリグリ!…モミモミ…ビクンビクン♡

『ウフ♡…ウフフフフ……救済長という聖職者として勤めていながらも、男が振り向いてくれなくて…こんなにバストを触られて感じるなんて、さぞ欲求不満で溜まっていたのねぇ〜♪…本当にいけない身体をしたお弟子1号ねぇ〜♡…そ・れ・に☆…相変わらず、ここだけは弱いのですねぇ〜♪…食べちゃいたっ!…ゲフン!オッホン!!……仕方ありませんね。…私のボディータッチでほぐしてあげて……少しでもあなたのそのいけないふしだらかつそのだらしない身体を…優しく抱きしめてぇ〜♡…あっハァ〜ん♡…っと……一から鍛え直して差し上げましょう♪』

グリグリ!…モミモミ…ビクン♡ビクン♡

『やぁっ!!まっ!…待ってくださ!!///…まっ!…マスター・オーラルぅ〜!!///…お、お願いですからそれだけはぁ〜♡どうかおやめになってくだ……!!…はぁぁあああんん///♡♡♡……ハァ♡…ハァ♡…んぐうぅっ♡……いっ!!………〜///♡』

イヤァアーーーン///♡♡♡

『オーラル姉さま…と〜ってもご機嫌麗しゅうですねぇ〜♪』

『そのようですね。……オロア』

ウフフ♡……いい加減素直になりなさぁ〜い♡…私、本当は…Hな事がだぁ〜い好きな♡ダメ弟子の聖職者だって事を潔く認めなさぁ〜〜い〜♡ イヤァ〜ン♡…らぁっ♡…らぁめえええええぇぇっ〜///♡

・・・
・・


「あぁううぅっ……///……何でマスター・オーラルに会う度に…私は、こんなお恥ずかしい目にばかり遭うのでしょうか〜……」(モジモジ…うるうる…///)

「f(///・ー・///)………」(ボンッ!///…頬ポリポリ)

【Organa】は何やら言葉で言い表せないくらいの恥ずかしい事があったのか、涙目になり、赤面して身体を揺らしていた。その様子にロベルは、赤面して戸惑っていた様子であったが、寛大に話を進めた。

「…はぁ………わかったよ。…でも、その話を聞いていたらますます見過ごせないね。…今日は24日だよね?」

「……はい。……!!ロベル!…あなた様は………まさか!?」

「…その導き人のオーラルという女性の話を聞いてピンと来たんだ。…恐らく、僕が住んでいた現世の戦争映画にある【戦場のメリークリスマス】に因んで彼女達は言ったんだ。……その者達が襲撃する日付は…おそらく明日。…25日の日だ!!」

「…そういう事でありますか。……ではロベル…あなた様は…」

「ああ行くよ!……それにさ。…そういう事は……さっきも言ったけど。……見過ごしてはいけない!……救済だからといって、そんな独善的な偽善を働く者達によって、善良な街の人々が巻き込まれるのだけは、どうしても僕の性には合わないからね!」

「…!!///」(この目…それに、この正義を重んじる勇ましき強い姿勢!?///……あぁ〜っ♡…やはり、私の愛しいあの方をどうしても……思い出させてくれますね…///…あの方は……あれから元気でおりますでしょうか…一体今…何処に♡///)

「…?…さっきからどうしたんだいオルガナ?…顔が赤いけど?…熱でもあるのかい?」

ピトッ!

「ひゃぁううっ!!///…だ、大丈夫です!…なっななっ!!…何でもございませんんっ!!///」(ブンブン!///)

「!!……」(あ。……心配してるつもりでも…またやってしまった。…菊川先生は、色男呼ばわりしていたけど……僕自身、白狼と違ってあまり明るくもないし……千夜や千里以外の女性に対しても…印象があまり良くないからか……こうして慰めようとしても、顔を赤くしてまるで嫌がられたりするんだよね………それでも、アガルタや、ヤエカ、トワさんは…僕の事を認めてはくれている…あと……あの時僕を助けてくれた【Mihael】(ミハエル)もかな…)

キィーーン……

「…!!…光が!?」

「……もう時間のようですね。…ですがロベル。…25日の日まで時間がありません!…【G島】の【Olfes】で……あなたをお待ちしております!…どうか…ご武運を!」

ペコリ!

ヒィーーーン!!!!

・・・
・・


🎼Back Ground Music 》》》



もののけ姫・西へ〜♪

〜現実世界〜

「…!?」

ガバッ!!

「!!………さっきのは【Sognare】(ソグナレ)だったの……か…」

ロベルは目を覚ました。夢を見ていたからか、少し混乱気味であった。すかさず【P−Watch】を見て日付を確認する。

【Louverd】 ランクB
【♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡】
ーーーー
ただいまの日付は【Paradiso】歴12月24日早朝時です。

「……深く眠っていたようだね。」(……だけど、こうしてはいられない!…さて【Olfes】は………本来だと時計回りで言えば、【Olfes】という街からは…ここは東を…僕のいる街の方角からは…西にある隣の島の街だ。……夢に出てきたオルガナの話では明日までにその街で何かが起こる……とても嫌な何かが……っ!……だめだ。…少し落ち着こう…)

キラーーン!…カチッ!…ペラッ…

ロベルは苦い顔つきであるも、心を鎮めるためにポケットの中から何かを取り出した。それは白鳥のエンブレムが刻まれた写真入れであった。その中には現世で自分が築いてきた絆の者達の写真が納められていた。

「…居合道のみんな。……千夜…千里…師範代の菊川先生………やはり僕は…君達がいないと…寂しいな。……だけど。…いつかは…君達自身の心が…【Sognare】で無事に会える日が来る事を願いたい…そして…」

ピトッ!…タッタッタ……チャキッ!

「白狼…我が無二の親友よ。……」

ロベルは、使用している剣を手に持ち、祈りを捧げるように構え、剣の波紋を確認する。そこには、微々たる聖なる光を宿していた。そしてすかさず、彼はこのような事を考えに耽っていた。

「……」(…僕はこの世界に来て、半年後にはもうすぐ2年になる。……それまでに、君が現世で海上自衛隊に所属し、華々しく大きな活躍をしている間にも……僕はこうして歩み、……いつかは指し示す道を探さないとね。…見ていてくれ!…無二の親友よ!!)

シャー…キン!…リィーーン♪【冥鐘】

ザッザッザ……

ヒュ〜ン……

・・・

「……」

ロベルは外の風に煽られながらも、街の外に出て目的地の方角へと歩み始めた。しばらくして街から離れた事を確認し、【P−Watch】を操作して何かを取り出した。

シュン!……カチャン!

「……」(【R・P社】【Agente】のベアさんから貰った自転車型の乗り物…【V・Prestina】……整備は完了済だけど……明日までに無事、辿り着ければいいんだけどね……敵の…ユートピア創造士隊の警備も厳重だろうから…………いや、今はそんな事を考えても仕方ない。…行くか!)

カチッ!……シャーーー!!!

「………」(…風の精霊の加護を受けたからか、いつもよりも風を切る感覚が、より深く感じるな。……でも、いつかこの風を感じられなくなるとするならば…精霊達が言っていたように、この世界が…終焉を引き起こす者によって、【Paradiso】が滅んでしまうか……もしくは…僕自身が……)

《みんなと同じように魂の体が昇華して……存在がなくなった時……か。………だが、僕は生きる!…必ず!…この旭日の光が登り、照らされ続ける限り!……何かの縁で、親友の白狼と再会を果たすその日まで……必ず……!!》

《この疾走感のある風を…この身体で感じ、この【Paradiso】の行く末を…見守っていきたいっ!!》

……シャーーー!!!

ロベルは【V・Prestina】に乗り、西へ、更に西へと向かっていく。彼のダークグリーンの瞳には、まるで広大な自然を駆けていく黒い狼のような風貌もあるが、その顔つきは、とても勇ましい勇者のようにも思える。そして彼の冒険の旅は、ここから佳境へと進んでいくーーー

・・・
・・





B. いいえ


《Capitolo・2》
続きを読みますか?

🎼Back Ground Music 》》》




ELRAINE-BELIEF〜♪

〜時は進み【Paradiso】歴1999年12月25日当日・昼頃【G島】【Olfes】地下礼拝堂〜

ロベルが長き道を辿っていたその翌日、救済ギルド【Siel】の一員である【Mireisia】(ミレイシア)ーーーある怪しげな裏の連中からは、ミレイ救済ノ使徒と呼ばれる者から、十字架の光が照らされる地下の礼拝堂で【Eimi】は楔に縛られ、暴行を受け、尋問を受けていた様子であった。

ドカッ!…バキッ!!

「あぁっ!!…も…もういや…助けて…許して…くだ……さい…!!あぁっ!!…い、痛っ!」

グイッ!!

「…さあ。…いい加減吐いたらどうなのですか?……エイミさん!!…【導き人】のような下賤な者ではない…この【Paradiso】の世界を本当の救済へと導く一族…【Demister】を復活させる鍵は…あなたが握っているのですよ!!…それに…何とも哀れな者です。…本当は現世では男性として過ごし…この世界に来て…よりにもよって…女性の姿に成り代わるとは……ふふっ!…全く…現世でもこの世界でも……存在そのものに反吐が出る方のようですね!!!!」

グリグリ!!

「あぁぐうっ!!……わ……私だって……!!私だって、この世界に来てこのような身体になっていたのには驚きました!!…おかげさまで、これ以上の仕打ちだって何度も受けました!!///…ですが…哀れというのなら…あなた方なのではありませんか!?」

「!!」「な…何だと!?」「……」

「……先程の話を聞いて少しだけわかりました!…あなた方はおそらく…訳ありの現世人の集まりで……現世で様々な仕打ちを受け……死んだ今尚も、その時に受けた憎しみや、やるせない気持ちを抱え…【導き人】の取り仕切る試練にも向き合えず、乗り越えることすら出来ずにある方法で執行者からの追跡から難を逃れ、この【Paradiso】の世界を、導き人ではない誰かによって招かれ……それでも未練たらたらしく…やるせない程の闇を抱えて……こうして誰かを蹴落として心を満たし、優越感に浸って自己満足な救いを求めるように、この世界を救済しようとする…卑劣極まりない…生きるのが面倒になって楽をしようと、今いる自分の人格をも否定し、誰かによって自分の人生を委ね、抱えている問題と向き合おうとせずに、ただ精神が未発達な子供のように、辛い現実から逃げてばかりの見え透いた卑怯な方法で……救済を望んでいるのですね………そんな上辺だけの考えなら…さぞ【導き人】の方達もあなた方の存在を認める事なく……下に見て毛嫌いするのは当然だと思われますが……」(キッ!!)

「…!!」

「…き、貴様!!…下人の分際で高貴なる存在の我々に対して、何という事を!!」

「………そうですか。…なら……」

ガシャーーン!!!

「!?」

「み、ミレイ救済ノ使徒殿!?」

「…一体…何を……!?」

【Mireisia】は拳でガラスの装飾品を叩き割り、中から何かを取り出した。それはワンドであり、その先端を【Eimi】の目の前に差し出す。

チャキッ!

「……!!」

「…いい加減…その減らず口を閉じなさい。……少しでも長生きしたいのなら。……あなたはどうやら、私の救済活動を……どうしても認めないようなのですね…」

「…ええ……何度だって否定します!…あなた方は…間違っております!…あなた方のしている事は、救済ではありません!…ただの弱い者いじめ……現世で味わった苦痛を……この【Paradiso】の世界で、鬱憤晴らしの為に、弱者を蹴落とすかのように八つ当たりする…ただの個人的な怨みの報復なのではありませんか!?……!?」

バキャッ!!バキッ! べキッ!!

「あぁぐぅ……はぁ……はぁ……!!」

【Eimi】は不屈の精神で、【Mireisia】のやり方を全力で否定する。その態度に対し、癇に障ったのか【Mireisia】は、ワンドで身体中を叩き、まるで服従させようとするかのように力強く叩きつけられる。

「…ふふ……何を言い出すかと思えば………私は…間違ってなどいないっ!!…しかし、報復…怨み…憎しみ…憎悪…世界に対する嫌悪の感情……ウッフフフフ……確かにその感情を感じる毎に…身体と…この心の中で……力が溢れてきますのよぉ〜♡…ウフフ♡……あぁ〜っ♡……【Demister】!!……我が神のご意志よっ!…あなた方神に敬意を払います!…私にこのような神託をお与えくださったのですから!」

キラキラ〜!………ゾクゾク!

「…!!」(この人…狂っています……とてもっ!!……彼女達をここまで狂わせる【Demister】という存在………一体何なのでしょうか………くっ!……ヴェノおじ様……誰か……助けて…お願い………)

……助けて……

・・・
・・


〜【Veno・nix】サイド・【Sognare】夢の中の世界・青光の街・【Blu・Viria】(ブル・ヴィリア)・街中〜

「…【Edith】(エディス)。……少しいいか?」

「…どうしたんだねさ?……ヴェノ。」

「…アンタ……裏切ったとはいえ、かつてアンタが拾い、育て上げた部下だった…動物のジャガーに見立てた神の異名を持つ、4人の者達と…戦うのか?」

「…ああ、そうだよ。」

「…殺す気なのか…奴らを…?」

「………」

「…ヴェノ。…君は……」

「ヴェノおじさん…」

【Veno・nix】は【Edith】に質問を投げかける。その光景を見ていた【Lawrence】も【Asa】は見守っていたようである。しかしその問いに【Edith】は首を横に振った。

「わからないさね。…だが、私としてはね。…復活したあの4人が……理由もなしにあのような事をするとは、とても思えないのさ。…あの時、4人の者達を、【真執ノ黒豹】と協力して勝利したのはいいのだけれどね。…私のここはね。…どうしても腑に落ちないのか、心の中でそれを抱えてるんだよ…」

「…エディス…」

「エディスおばさん…」

「……そうか。」(空見上げ)

「ッ!」

【Veno・nix】は【Edith】の話を聞いて、彼女にも良心があるのか、人としての感情がある事を理解した。すると、【Edith】は微笑んでこのように語り出した。

「……ヴェノ。…アンタのその仕草を見ていると……何だか懐かしいさね〜…」

「…?…どういうことだ?」

「【真執ノ黒豹】の彼もね。…よくそうやって空を見上げたもんさ。……顔つきはアンタのように無愛想ではなかったんだけどさね。」

「……そうか。」

「ハハッ!…ヴェノ!……無愛想なそんな仮面を外して、笑いなよ!」

「ヴェノおじさぁ〜ん!…笑ってぇ〜!」

ムニッ!

「エイシャ……はにゃせ……」

「いやぁああああっっ!!!///…ヴェノおじさんが笑うまで〜♪この口元にターゲットを絞った私の指は絶対に離さないんだからぁ〜っ♪!!」(プンプン。ウキウキ♪)

「ははっ!すっかりエイサに懐かれたようだね、ヴェノ!」

「…大きなお世話だ。…それにしても……一日中青白い光に照らされる街か……エイサ。…この街に来て……最初はどんな感じだった?」

「…うぅ〜ん…なんか肌寒い感じはしたかな〜?…でもね!…それでも、こうしてパン屋を続けられてさぁ〜♪…本当に幸せを感じてるよ〜♪…それにこうしてロー兄さんやエディスおばさんがたまに顔を尋ねにくるから〜…別に寂しくもないかな〜って♪」

「…そうか。…よかったな。…顔見知りの者達がいて…安心するな。」(ッ…!)

「へぇ〜!…ヴェノ。…今少し笑ったよね?」

「………気のせいだ。」

「そんな事ないよ〜♪…ねえエディスおばさん?♪」

「ああ。確かにアンタ今、少しだけど、微笑を見せたね。…いい事だよ。…笑える事はね。」

「………」

【Veno・nix】は少し考えに耽っていた。自分は、無意識に笑みを浮かべているが、心の中ではその感情を封印しているようにも感じられた。その様子に、【Lawrence】は笑みを浮かべ、一同はある場所に辿り着いた。

「……着いた。…ここだよ。」

「…?…ここは…教会か?」

「相変わらずロー兄さん、ここが好きなんだね〜♪」

「ああ。…君達と会うと、こうして祈りを捧げるのが日課なんだ。」

「……教会か。」(……祈り…か。…この俺の心も闇を抱えていると、ここにいるエディスが言っていたが…心が洗われればいいのだがな……)

【Veno・nix】は、自分の心の中の闇を曝け出すのを恐れているように感じていた。そうしていると扉が開いた。

ガチャ……ギィーー……

「…入りなよ。ヴェノ。…それにみんなも。」

「……ああ。…では、失礼する…」

「おっじゃまぁ〜っ♪」

「……おじゃまするわねさ。」

一同は、教会の中に入っていく。周囲は青白い光に照らされたステントグラスが神々しい光を放っていた。その様子を見て【Veno・nix】は唾を飲む。すると、礼拝堂の教壇に、神父らしき髭の生えた高齢の神父の姿があった。一同を見たのか、声を尋ねる。

「……誰ですかね?」

「ああ神父さん!…私です。…ローレンスです。」

「…ああ!ローレンスでしたか!…いやはや久しいですなぁ〜っ!……それに、エディスまで来られるとはな。………!!おぉ〜エイサ!」

「やっほぉ〜♪神父さん!今日も売れ残りのパンを献上に来たんだよぉ〜♪」

【Asa】は機嫌よく神父に、パンの入ったカゴを手渡す。神父は喜んで中を物色する。

「おお、そうですか!…これは助かる!……?…其方は……」

「……【Veno・nix】だ。…【Paradiso】の世界から来た現世人。……ヴェノでいい。」

「ちょっとぉ〜!ヴェノおじさん!…言葉遣いはしっかりとね〜!…神父さん、流石に怒るよ!!///」(プンプン!///)

【Asa】は無愛想な【Veno・nix】に対して注意を払った。その様子に神父は微笑んでこう語りかけた。

「ほっほっほ。…別に構わないですぞ。……ふむ。……そうですか。…まさか【Paradiso】の世界の現世人の客人が、【Sognare】に存在する、この【Blu・viria】の街を訪れるとは珍しいですなぁ〜!……ローレンスや。…今日もお祈りですかいな?」

「ええ。…みんなの魂を癒し、安らかに過ごす為に、日々健闘と、安心して過ごすことができるように尽くすのが、今私が請け負っている仕事だからね。」

「献身的で尽くす。……伊達に、そこにいますヴェノさんが在籍している【Paradiso】の世界で……過去や未来を遡り、伝説となって時を超えた一族…【時ノト】【零六壱八時警団】の六人衆メンバーの一人で…【時空組】の副リーダーを張れる実力があるようですな。」

「……!?」(……どういうことだ?)

「……何だか懐かしい話のようなさぇ〜…ローレンス。」

「あぁ〜っ!そのチーム名、何だかすっごく懐かしいよねぇ〜♪!!よくエレノアお姉ちゃんが言ってたやつだよね〜♪!?ロー兄さん!!」

【Lawrence】は神父から真顔で、かつての自分の正体を暴露される。その様子に、彼は至って冷静であり、どこか懐かしげに微笑んで返答する。

「……もうそれは昔の話だよ。…でも、懐かしいかな。」

「…ローレンス。…お前は一体?」

「ヴェノ。…私の正体はいずれわかることだよ。あの時にそう言ったじゃあないか。……残念だけど、私からは言えない。…それは、君が【Paradiso】の旅路の中で、その真実に辿り着くものだよ。」

「……それは、お前も歩んだ道だからか?」

「君のその発言から、もう答えがあるようだね。……安心した。」

「……」

【Lawrence】はそのように【Veno・nix】に問いかける。二人の中には、何か通じるものがあるのか、お互いを理解していた様子であった。

「…んでさ〜!…エディスおばさん!……おばさんもこの教会に来たって事は〜…何か用事があるの?

「ああ。…まぁ〜そうさね。…神父さん…ちょっといいさねかいなぁ〜?」(ほんわか〜っ!)

「なんですかな?…エディス?……!?」

ジャキン!!!

「!!」

「!!…どえぇっ!?…え…エディスおばさん!?」

「……やっぱり。…そういう事なんだね……エディス」

「……」(キッ!)

【Edith】は神父に対し、愛剣であるフランベルジュを抜き、温和な表情から一変して、鋭く威嚇して睨みつける。その様は女皇帝に相応しい厳格な表情をしていた。

「……何のつもりですかな?…エディスや?」

チャキリ…

「…仮初めの神父さん。……私は、彼に対し寛大に敬意を払ってくださっておりましたさね……そして神父さんもまた…私を女皇帝としての位の真実を知っているから、普段はエディスと呼び捨てにはせず…必ず。…ここにいるヴェノの住んでいた現世の母国…日本という名前の国で、名前に姓呼びをする風習があるように…あの方は、必ず頭に(女皇帝)付けして……《女皇帝エディス》と呼んでおり。………これまで。…決して、エディスと呼び捨てにした日など一度もなかったのです!……いつも神父さんは…レディーの方に対して、とてもお優しいお方でしたから……ローレンス。……次はあなたの番ですよ」

「……うん。…普段言わない僕の過去も……彼は、必要以上に詳しく知り過ぎている。……どうやら…この神父の化けを被った者は……今回の騒動に、大きく関わっているようだ。……そして…まんまと罠に嵌ってくれたようだ」

チャキッ!…ヒィーーン!

「……!!」

「……そういうことか。……この神父は……影武者と言えばいいか」

「……ひぇええ…て、ってことは〜!!??…本物の神父さんは何処にぃ〜!!??」

「………ふふ……ふふふふふ……」

「!!」

「!!」

「!!」

「!!」

ヒャーッ!!ハハハハハハハハ!!!!!!

サァ〜〜………

「……!!」

「……これは!?」

「い、一体何なのぉ〜!!??」

「……!!…貴様はっ!?」(キッ!)

神父は不気味な笑い声を上げ、怪しげな霧に包まれる。そして霧が消え去り、本性を現した神父の姿を見て、一同は驚愕の表情をし、一部の者は、その姿に、見覚えがあったのか、強く睨みつける。

🎼Back Ground Music 》》》



DQ11Sより〜暗黒の魔手

「……我は……暗黒夢凶帝(あんこくむきょうてい)【Dlive-la】(ドリベーラ)……かつてそこにいる……【Edith】(エディス)とやらを……当時幼かった、あの貧相で滑稽な小娘として過ごしていた時代において…そして乱世が続いたあの争い…クーデターを勃発させ、文字通りに人生を終わらせ。……貴様を絶望の底に突き落とした者なりけり。……フックックック…」

「ええっ!?」

「!?……何……だと…!?」

「……エディス。…どうやらその顔の表情……彼に何かしらの仕打ちを受けたんだね。……一体何者なんだい?」

「……貴様……!!…ドリベーラぁぁあああっ!!!!……一体何故!?…貴様が……ここにっ!?」

すると、相手は悪趣味な笑みを浮かべ、こう話し出した。

「……やはり…身体は当時の全盛期の姿でも、魂は高齢で衰えて……勘が鈍っているようだな。……これから再び《革命》が始まるのだよ。…エディス。…この【Sognare】の現象を使い、かつて貴様の国で行った【Olvia】(オルヴィア)でのクーデターの悲劇……いや喜劇を……今度は【Paradiso】で再び起こそうとするのだよ。……フーーッハハハハッ!!!」

「!!……エイサ!!危険だから、アンタは、私の後ろにいなされやっ!!」(サッ!!)

「……ひぃっ!!」(もぉ〜〜う!!…い、一体何なのぉ〜〜っ!?)

「…どういう事だ?……ローレンス?」

「…【Sognare】の現象を利用して悪事を働く…か。……つまり……彼は…【夢喰】(ムクライ)…かつて僕達が敵対した…時間軸を制限し、強制的に【創造派】が勝利を勝ち取り、絶望的な未来へと誘う【時喰】(ジクライ)と同じ様なものだよ。…つまり。…ヴェノ。…彼はね。…君の敵でもあるんだよ」

「!!」

【Lawrence】は長きに渡る旅で、【Dlive-la】(ドリベーラ)の正体と目的に勘づいている様子であった。その様子に相手は笑みを浮かべた。

「…ふふ…あぁ〜〜っハハハハハハ!!!!!……流石は、かつて【Paradiso】の世界で問題視されていた【時喰】を消滅・撲滅させし。……偉大な【時ノト】メンバー…英霊ローレンスと言った所か。…だがしかし、お前のリーダーのエレノアは……あの時の後遺症で、未だに目が覚めないのだろう?……普通なら、とっくに目が覚めて、こんな時に現れるはずだが………一体何故だと思う?」

「!!」

「!?…え、エレノアお姉ちゃんが!?…ロー兄さん!?…どういう事なのぉ〜!!??」

「…ああ。…ここ数年…ある事件でね…気を失ったようにエレノアは目が覚めていないんだ。…だからこうして僕は、彼女に代わって。……!!…まさか…!?」

【Lawrence】は目を見開き、その真相を心で理解した。その様子に相手は悪どい笑みを浮かべ、こう語る。

「……ふっふっふ。ご名答。………ローレンスよ。…貴様のフィアンセ…愛人でもある、遥か先の未来…【創造派】が勝利した未来からある方法で、この時間軸へ訪れてきた…罪深き犯罪者…【Eleanor】(エレノア)という女は……もう二度と目が覚めることはない。…今頃…魂の方は、ただ女の身体目的で色欲に貪りつく夢の番人によって存分に辱めを受け……身体の方は魂が抜け……現世の世界で言う…蝉の抜け殻状態…実に滑稽だな。…あ〜〜ッヒャハハハハハ!!!!!」

「……!!」(キッ!!)

…ヒィーーン!!

「ドリベーラぁーーー!!!!!……ローレンスの身内にまでも卑劣な手を……この外道がぁぁっ!!……!?…【Olvia】での悲劇……まさか、その口ぶりだと……あの戦争孤児のジャガー4人衆が…クーデターを起こした原因はっ!?」

「ふふふ。……勘違いするなエディスよ。……奴らには……あくまでいい夢を見させてやっただけだ。…その一部の者達は、魂を眠りにつかせていた間に、身体は無意識に……在らぬ方に行動を起こしていたようだがな。……だが実に良い余興。…我が欲を満たすいい手駒であった。……ふふ。……フフフフ……」

「!!………よくも……テアリス……皇帝を………そして……私の部下をも………!!…貴様ぁーーー!!!!!!……許さぁん!!!」(ジャキン!!!!)

「愚かなりけり。……ハァッ!!!」

ゴギャァーーーン!!!!!!

「あぐっ!!!!……く…うぅ!!」(グラグラ……)

「エディスおばさん!!!!しっかりしてぇ〜!!」(ポロっ!…ダキッ!!)

【Drive-ra】の空間攻撃により、【Edith】はクリーンヒットし、まともに受けたからか膝をつく。しかし尚も不屈の精神で立ち上がり、フランベルジュの剣先を向けて相手を睨みつける。

「…ぐうっ!………き…貴様ぁっ!!」

「ふっふっふ。…流石は女皇帝エディス。…まだ立ち上がり…その目もあの時と同じまま…諦めていないようだな〜♪……しかし、そうしている間に…なかなかいい味の小僧の夢を喰らわせてもらった」

「!!…まさか…」

「…ふふふ。【Helen】(ヘレン)と言う少年。…あの歳で牛乳配達員と来たか。…さぞ、質素で貴様のように、泥沼の人生を過ごしていたようだ。…実に滑稽だ!!」

「!!…この外道があぁぁっ!!……!?」

ブン!!

キィオーーン!!!!

「!!…ヌッ!?」

「………」(ギラァッ!!)

……ゾワァァッ〜〜〜!!!!

「……!!ヴェノおじさん!?」

「…!!ヴェノ!?……!!まっ…マズイッ!!…闇がっ!?」

【Veno・nix】は【Dlive-la】をまるで、《悪魔の蠅の王ベルゼブブ》のような禍々しい闇のオーラを放ち、鋭く睨みつける。その様子に興味が湧いたのか、相手は不気味かつ満面な笑みを浮かべた。

「!?…ほお〜!…これは…クッハハハハ〜!!!…これは…逸材だ!…まさしく傑作だ!…まさか現世人の分際で、これ程の深い闇を抱えているとは……クックック……素養は十分か」

「!?…マズイ!!」

「ヴェノの闇は、微量ではあるけど、奴に操られる質量は十分にある!…このままではっ!?」

「……ヴェノの身体が……奴に乗っ取られる!!……ヴェノ!!闇を抑えるのさね!!今すぐにっ!!」

「もう遅い。……どうだ?…我が器にならないか?…【現世人】【Veno・nix】とやらよ」

「…黙れ」(ギラァッ!)

……ゾワァァッ〜〜〜!!!!

【Veno・nix】は【Dlive-la】に引くこともなく、怒りを顕にしていた。こうしている間にも、相手は【Veno・nix】の心に漬け込み、操ろうと目論んでいた。するとその時、何者かによる襲撃からか、突然の爆音が周囲に鳴り響いた。

🎼Back Ground Music 》》》



〜ドヴォルザーク 交響曲第9番「新世界より」第4楽章〜

デーデン! デーデン! デーデンデーデン!デデデデ……

「ヌッ!?」(ビリビリ!)

「!?…な…何!?…こ、この音楽!?…ってぇ〜!?…耳が痛ぁ〜いっ!!!」

「…全く………こんなシリアスで忙しい時に、大音量で流して…何処のM・K・Y(マジで空気読めない)阿呆なのさね!?」

「…この交響曲は……聞き覚えがある…現世の……」

「……ドヴォルザーク…か?」

教会内に、現世のドヴォルザークの代表曲。交響曲新世界第4楽章の伴奏が響き渡る。【Veno・nix】は音楽に聞き覚えがあるからか、作曲した者の名前をつぶやく。するとある男の声が、嬉しそうに教会内に響きわたる。



その通りじゃんよ〜♪俺っちの十八番♪…新世界より第4楽章じゃん♪…んじゃあ〜まぁ〜!…過激に……!!

爆撃じゃん♪!!!!

チュドォーーン!!!!!

「!!グォッ!!」

「!?…みんな伏せて!!」

「!!……くっ!」

「いいやぁあああ!!!!!」

「…!!」

ガラガラガラ………

・・・

ガラッ!!

「ゲホッ!ゲホッ!…みんな無事かい?」

「(0ーT)〜☆」(キュウゥ〜……)

「ああ、ローレンス。…どうやら大丈夫そうだ…エイサも…気絶して伸びてしまってるが、なんとか無事だ。…全く。ベアのように無茶をする。………いきなり教会を爆破とは過激な事をする奴だ。…一体何処の…」

「馬鹿なんだねさか。……そこに居るんだろうがね?…姿を現したらどうなんだいさね?」(ギロッ!)

ニッカニカ〜♪

「へへ〜ん♪全く、せっかく危ない所を助けてやったのにじゃん♪…まあ結果オーライじゃん!」

ガラガラガラ…………

「…それに…!?…おおっ!?俳優ヅラ見つけたじゃぁ〜ん♪…ほうほう♪…ここだと、お前さんの意識があるようじゃんよ〜♪」

ガシッ!!フリフリ!!

「……一体何者だ?」

【Veno・nix】に挨拶したのは、頭部にはバンダナを巻き、陸上自衛隊のようなグリーンカラーに、格子状のラインが入ったミリタリーコートを身に纏い、赤色のマフラーを靡かせて営業マン顔負けの輝かしく清々とした笑顔を見せて一同に挨拶した。

「俺っちの名前は【Nelson】(ネルソン)じゃん♪…【現世人】の自称30歳のおっさんじゃんよ〜♪…どうかよろしくじゃん♪」

「…ネルソン…」

「……初めて聞くさね。…ローレンス?…アンタの知り合いかい?」

「…いや、…僕も知らないよ。……ヴェノ。…君の知り合いかい?」

「知らん」

一同は【Nelson】という名前に心当たりがない様子である。それを聞いた彼は、ガッカリするも、まるで求愛を求める何処ぞの女性のように【Veno・nix】にしがみついて来た。

「あぁ〜ん♡…君ってぇ〜ヴェノちゃんって言うのね〜♡♪…んもぉ〜う♪…連れないじゃんよ〜♪…せっかくダンディーでイッケメェ〜ン!な男前の俳優ヅラのヴェノちゃんを〜♡俺っちが一目惚れして…貴方のハートを射止めようとぉ〜っ♡折角この世界に無理矢理介入したのにじゃあぁ〜ん♡」(ムギュ〜♡)

「へ……へぇ〜……まるで赤い薔薇の色のように…情熱の求愛がある……所謂…特殊性癖の男性なんだね〜……」(……ドン引き〜…)

「…ヴェノ。…アンタ……そんな趣味がだったんだねさ?…変わった趣味の交友関係があるんだねさ〜……」(……ひくさね〜…ないさね〜……)

「違う。…そして今すぐ離せ。……俺から離れろ。……何時ぞやの《花男》のような中年オヤジ」

「あぁ〜ん♡んも〜う♡花男さんのような素敵なボディーした、ナイスガイさん達の事をぉ〜///…悪く言わないでぇ〜♡そ・れ・に★…嫌よぉ〜♡中年オヤジじゃあなくって〜…おっさんって呼んでぇ〜♡ヴェノちゃ〜ん♡」(ムギュ〜♡…スリスリ!)

ジョリジョリ〜!

「…!!っ!!…は…離せっ!」(ギュッ!ギュッ!!)(この男のリンカーンのような髭が、まるでたわしのように……剛毛!!…この男…色んな意味で危険な男だッ!!)

ガシャーーン!!!!

「……!!」

「…!!」

「……!!」

「……!!」

「あんらぁ〜♡一体なんなのかしらぁ〜?」

「…クク……フフ…フフフフフフフフ…ハハハハ!!!……男。……一体貴様……何者だぁっ!!??」(ニッ………ギロリッ!!)

【Nelson】の登場により、どさくさに紛れていた所をまるで噛ませ犬のような扱いを受けていた【Drive-la】は怒りのあまりに下敷きになった瓦礫から姿を現した。その様子を見て、【Nelson】がニタニタと笑みを浮かべてこう言った。

「あぁ〜ん♡ダメダメじゃん♪…そんな三流以下で〜…三文芝居の作り笑い並べやがってじゃん!!…お前みてえな心から笑えないブサメン馬鹿は俺っちの好みでもないしぃ〜…お呼びじゃあないのっ!これからヴェノちゃんと〜♡……あんなことやこんな事したいんだからぁ〜♡…さぁ〜何処かに行った!!…シッシ!!」(べ〜!)

「ほぉ〜う……」(ピキピキ(●▲●#####))

「……ネルソン。…この男の人……どうやら今一体、どんな状況なのか理解していないようだよ。…エディス」(頭抱え……)

「やれやれさよ〜……」(こんな真面目な話をしている時に、雰囲気をぶち壊されて……この男には呆れて……もうどこを突っ込めばいいのか分からないさねさ……)

「(0ー0)〜☆」

「……やれやれ…」

ガバッ!!

「あぁ〜ん♡」

【Veno・nix】は無理に【Nelson】の拘束を解き、目の前の敵を睨みつける。そしてこう宣言した。

「……………訳がよく分からないが……お前のような、この【Sognare】の世界に【夢喰】を撒き散らし、この世界を我が物にしようと企む陰謀・罪を犯して影で嘲笑って蹴落とそうする奴は…誰であろうと許さん。……必ず俺が裁く。……姿だけの張りぼて魔王!!!」

「……!!///ドッキンちょ〜♡」

「……へぇ〜…」

「……ヴェノ。…アンタ……」

「……ふふ……張りぼて……興醒めだと…?…その言葉……我の力を貴様らに叩きつけて、絶望を味わせて、そのまま返してやろう……精精恐怖に怯えるがいい!!…景気付けだ…貴様らに悪夢を見させてやろう。………フッ…クックック……」

ハ〜ッハハハハハハ!!!!!!

バッ!!……シュン!!

「!!」

【Veno・nix】は【Drive-la】との因縁に立ち向かう姿勢を見せる。そしてここから、彼らの【Sognare】内で巻き起こる【夢喰】との、動乱の戦いが始まろうとしていた───────



それはまるで時が加速し、常人では目で覆う事の出来ない速さで知る人ぞ知り、未だ《干渉》する事の出来ない《未知ノ領域》であった。その《悪夢》から目覚めた頃───────



【Veno・nix】は、どのような《Vision》を見る事なのだろうか───────



ザザ……!!ザザ………!!!!!

ザザ───────z_______……………



・・・
・・



B. いいえ


《Capitolo・3》
続きを読みますか?

🎼Back Ground Music 》》》



【Paradiso】【G島】【Olfes】の街中・【Aria】

〜Silent Night, Holy Night〜

わーい! わーい! わーい!

「〜…ふぃ〜!……今日の仕事の奉仕活動…終わりぃ〜!」

【Aria】は全てのクリスマスプレゼントを配り終えたようである。そして満足げな笑顔で、達成感を味わっていたようである。

サラサラ……

「ん〜?…おおっ!雪だ〜!!…珍しいな〜!…私ったら久々に見たかもね〜♪」

ザッザッザ……

「ん〜と?…おおっ!そこの修道院さん?…ちょっといいだわさ〜?」

「?…え?…私ですか?……?」(……へぇ〜っ!ワインレッドの軍服みたいなジャケットに白いズボン!……なんか貴公子みたいな男の人ね〜!)

【Aria】は声をかけられたので振り向く。そこには、ワイんレッドの軍服が特徴であり、髪色は茶髪。ズボンはチノパンのような白を着用していた爽やかな男性であった。そしてすかさず要件を言う。

「いやぁ〜!別に大した用事ではないんだわさ。…ちょっと人探していてだわさ〜。」

「……人探しですか?…一体どんな人なんですか〜?」

「ああ!…ちょっと知り合いの俳優ヅラのもんなんだわさ〜…なんか、今日ここで起こった旅客船事故の被害者らしいのか、えらい騒ぎになってたんでと思いまして……う〜んと……この人でさ。」

ペラッ!

「……?……!?」(こ…この人って……!?)

【Aria】は相手から提示された一枚の写真を見て驚愕の姿勢を見せる。その写真の人物は、【Aria】が会いたいと願っていた者であった。すると、【Aria】は相手の男性に、突き止めようと迫ってきた。

「この写真を……!!この人を一体どこで!?…そもそも、この朝から起こった事件と何か関わりがあったんですか〜!!??」

「あぁ〜あぁ〜!落ち着くだわさぁ〜お嬢さん。…んで……この朴念仁でクールな【Veno・nix】もといヴェノさんは……【R・P社】の諜報ギルドから、アンタの事を探しているって情報を、さっき知ったんだわさよ。……救済ギルド【Siel】所属の…【Aria】さん。」

「!?…ど…どうして私の名前を…それに……あぁ〜もう!!……そもそもアンタぁっ!!……一体何者なのよ!?」(チャキッ!)

【Aria】は自分の身分を知り、【Veno・nix】を探しているということから、自分達の敵であると思い込んでハンマーを持ち、警戒していた様子である。しかし相手は律儀に首を振って否定する。

「安心するでさぁ〜…ワテはぁ〜別にアンタらの敵でもないし、むしろ悪を取り締まる武力集団……現世でいう【新撰組】のような者と呼べばいいでさ。」

∧( 'Θ' )∧・・・・・・・・・・・・

「し…【新撰組】……ってぇ〜!?一体、いつの時代の話よ〜〜!!??」(クワッ!!)

「やれやれだわさ〜……ツッコミが多いようなね〜…アンタさん。………自己紹介まだだったでさなぁ〜…ワテはJ島の【Kagoya】って町の、御用見廻組っていう名前の治安部隊に所属する……精鋭武力集団【狼志組】十傑メンバー・一番隊隊長の【Sogami】(ソガミ)と言いますなぁ〜!…宜しゅう。」

「…そ…ソガミさんね。…って…なんか心なしか、確かになんだか時代劇に出てくる沖田総司のような印象があるような………」

「心の声が言葉に出てるようでさぁ〜♪アンタさん。」

「!!///あぁ〜っ!!それは御免なさい!」(ぺこり!)

「別に構わんでさ〜♪…よー【Kagoya】の町でも、自分の事をそんな風に言う人もいるでさね〜…まあそういう事でさ。……でもヴェノくんが、アンタの事を探ししてるって事は、自分らなんや、現世で知り合いだったんだわさかぁ〜?」

「……実はですね……」

……カクカクジカジカ……

【Aria】は【Veno・nix】との関わりを【Sogami】に話す。それを聞き、少し感慨深くうなづいて事の事情を理解した。

「……なぁ〜るほど。…ヴェノさんには相棒さんがおって、現世で住んでた時に麻薬を取り締まる犯罪の片棒を担ぐ連中に始末されて……その相棒さんの妹が、アンタ、アリアさんって事なんだわさね〜?」

「……はい。…ですが、その霧矢さ……いや、今は【Veno・nix】……ヴェノという男の人が旅客船事故に巻き込まれて、流れ着いてこの街に訪れているって可能性があるって事ですか!?」

【Aria】の質問に、【Sogami】は首を横に振った。

「いや〜…それはわからんでさ。…この【G島】の海域の流れは何故か早いんでさぁ〜。…もしかすると、別の島に流されとる可能性だってあるかもしれんでさ〜…」

「えぇ〜〜!!??それじゃあ一大事じゃあないの〜!!一体どうすんのよ〜!!??」

ガシッ!!ブンブン!!

【Aria】は感極まって【Sogami】の肩を持ち、豪快に前後に揺らす。その様子に、まるで落ち着かせるように語りかける。

「おいおぉ〜い!…まだぁ〜そうと決まったわけじゃあないでさよぉ〜〜〜!!…とりあえず、わての肩を離してやおくれんかぁ〜?」(…あ。…十番隊隊長のトワがヤエカはんに対してよ〜言う言葉が、つい出てしまったでさ〜…)

「!!///あッ!!す、すみません!」

「…はぁ〜…やれやれだわさ。…んで?…その旅客船の事で、何か変わった事はなかったでさか〜?」

「…うぅ〜ん。…特には。……!?」

その時、【Aria】の頭の脳内の中で、何か引っかかる発言の言葉が、再生される。

『……実は、この港に辿り着いたテロ攻撃を受けた船に、何やらシスターの服を着た…恐らくは異教徒の者である為、現在保護しては今から集中治療室のある教会へと足を運びます。ですので、くれぐれも出入りしないようにと思い、ご連絡しにきた次第であります!』

「………あ。」

「?…どうしたんでさぁ〜?アリアさん?」

「…一つ、引っかかることがあるんです。……いいでしょうか?」

「ああ別に構わんぜよ。…どうぞ!」

「………」

【Aria】は【Mireisia】が話していた会話を【Sogami】に伝える。【Sogami】は【Aria】の会話を聞き、旅客戦のテロ行為による事故に対し、少し考え事に耽っていたが、特に疑う素振りを見せず、【Aria】に対し、情報提供ご苦労様とお礼を言い残し、取り引きとして、連絡先を交換し合い、引き続き、別の島に行くなりして必ず【Veno・nix】を見つけ出し、【Aria】の元に連れて帰ると心に誓った。しかし、【Sogami】自身は、【Paradiso】の12もある島の中でも、名が知れ渡っている【狼志組】。実力のある者であり、今回引き起こされた事件には、何かしらの大きな事件が関わっている事を鍵つけている様子であるーーー

・・・
・・


〜【Paradiso】歴12/25・明け方【G島】【Vila(ヴィラ)平原】〜

🎼Back Ground Music 》》》



♪〜トワイライトプリンセスより・ハイラル平原

シャーーーー!!!!!

「敵襲だぞぉ〜!!!」 

「!?…あ、あれは!?…確か、【L島】の騎士ギルド【Orzen】の…精鋭部隊…【Freiheit・Zwölf・(XII)】(フライハイト・ツヴェルフ(XII))4人衆メンバーの死に損ないの…下っ端!!」

【Louverd】(ルーヴァード)だぁーーー!!!!!!

「……えああああぁっ!!!!!」(ブン!!)

パキィーーン!!!!

「あぎゃ〜!!!」

「グァ〜!!!」

「……ここに来て…運悪くユートピア創造士隊か。…もうすぐ【Olfes】に着くのに……ついてない。………?」

カチャッ! カチャッ!!

「ギャハハ!!!」「ここは通さね〜ぜ!!」「これでお前も、あの死に損ないの4人衆の元へと送ってやるよ〜!!」

「………!!」(キッ!!)

ユートピア創造士隊は、大掛かりにも、盾で道を塞ぎ、強固な鉄壁を組み、その間には、確実に身体を蜂の巣にするのか、槍を構えていた。しかしそれを見ても、ロベルは怯まず【V・Prestina】を猛スピードで運転し前へ進んでいく。

シャーー!!!!!

「!!おいおい特攻とかマジかよ〜!!」「ギャハハ!!!!」「わざわざ自滅しに来てやんの〜!!」「串刺しにしちまえ〜!!!!!」


「……ッ!!」(大丈夫だ、みんな!……僕は無事に生き残っている。…心配しないでよ。【Rikal】(リカル)【Veios】(ヴェイオス)【Eriol】(エリオール)【Mia】(ミア)…)

チャキッ!

・・・
・・


『……ルーヴァード。…短い間だったが、新人の、お前の過ごした世界。…現世の居合から学んだ武士道の誇り。…確かに最後まで見届けさせてもらった。…いい太刀筋だ!……さらばだ。』

『ルーヴァード!…元気でね///……ふふ。…全く。もういい加減泣き止みなさい!……せっかくの、ハーフのハンサムな色男の顔が、台無しだぞ♡』

『ルーヴァード。…俺のように世界中で心が温まる歌を布教したように。……お前には、お前の大切なものを守り通す意志を世界に伝えてやれ。……お前なら、俺達メンバーの意志を継ぐことが出来る!…必ず!』

『…ルーヴァード。…後を頼む。…餞別だ。…この剣をお前に託す。…その剣には、俺達【Freiheit・Zwölf・(XII)】(フライハイト・ツヴェルフ(XII)※ドイツ語で自由のⅫ)の意志を宿している。…折れてしまったお前の、その剣の代わりだ。…持っていけ!!…確かに託したぞ!!…ドイツ人の血を流す…誇り高き…ナチスとの関わりの深い……狼男…』

《ヴェアヴォルフの者よ!!》

……キラキラ……パリィーーン!!

・・・

「………」(…ミア。…僕は、かつてドイツの国で、ユダヤ人に対し、迫害の限りを尽くしたアドルフ・ヒトラーのような独裁者ではないよ。…でも、確かに僕はドイツ人の父さんと、日本人の母さんから生まれたハーフだ。…そのせいで現世でも、クラスメイトからあまり相手にされなかった。……それでも僕は、そんな日本に来て…心から信頼できる。…本当の無二ノ友と仲間達に出会った!……だからもう僕は、一匹狼じゃあない!…どんなに離れていても、…僕達は……!!)

『……行くぜ〜!!ロベルゥウ!!!!』

『来い!!白狼!!』

ブン!!!!

……リィーーン♪【冥鐘】

パキィーーン!!!!

「!?」

「……お、折られた…だと?…!!」

ガシャーーン!!!!!

ギャアアアあああああああ!!!!!!!!

「………」

キキーーーッ!!!!!!

リン♪リィーン♪

「………」(キッ!!)

ざわ…ざわ……

「と…突破された……バカな!!…ありえない!!!!」

「嘘……だろ……ユートピア創造士隊、屈指の鉄壁部隊の要塞戦術を用いても…歯が立たないなんて。……まるで、あれは……」

「猛獣……いや……魔獣だ!………それに、あの剣…」

「………」

ヒィーーン……

ロベルの持つ剣の刃に、微細な光が宿っていた。それを見たユートピア創造士隊は、脅威を感じていた様子である。その様子に、ロベルは相手に対して戦意があるかを問いかける。

「……もう、終わりなのかい?」

「!!…お、おい……お前いけよ。」「!!い、嫌だよ!あんなの喰らったら……」「SF映画のライトサーベルみたいに真っ二つにされちまうよ!!」

「………」

チャキーーン!!

「…!!」

「ハッキリしたらどうだい!?……あまり…僕の邪魔立てをし、これからも悪の限りを尽くすというのなら、この場で僕の掛け替えのない同志に代わり、足を立てなくして、二度と旭日が拝めない戦場になるかも知れないけど……君達はそれを望んでいるのかい?」(ギロッ!!)

ゴゴゴゴゴゴゴ……

「!!ヒィッ!!」「こ…こいつ…お…俺達よりも…狂っているッ!!」「逃げるぞァアアアーーー!!!!!」

ダダダダダダダ……

「……行くか。…もうすぐで、【Olfes】に着く。…オルガナ。待っていて。…すぐに向かうよ。」

タッタッタ!!

ロベルは、【Olfes】の街中へと向かっていく。しかし目の前に大きな壁が立ち塞がる。

「……待て。罪人よ」

「……【Varisk】の者かい?」

ロベルの前には、緑のコートの服に身を包み、薙刀を持った者が現れた。その男の素性が【Varisk】に所属している者である事を知っているのか、声を掛ける。

「…ご名答。……私は【Varisk】所属Bランクの男【wais】(ワイス)……そして貴様の首を……この薙刀で……」

刈り取るものだぁーーー!!!!

「……はぁーーー!!!!!」

ブン!!

ブン!!

ガキィーーン!!!!!!


ロベルは目の前にいる【Varisk】所属の【Wais】(ワイス)という名の男と戦闘になった。互いの武器同士ぶつかり、ロベル自身は相手の【Wais】の持つ薙刀の刃を睨みつけている様子であった。そして両者の持つ武器が、後の後世の者に、大きな影響を与える壮大な冒険の幕の刻が始まろうとしている事を、まだ彼ら自身、知る由すらなかったーーー




・・・
・・




B. いいえ


《Capitolo・4》
続きを読みますか?(※この先、黒い展開が待ち受けております!苦手な方は閲覧をお控えください。)

🎼Back Ground Music 》》》



♪〜JOJO6部より・エンリコプッチ神父

〜【Paradiso】歴1999・12/25・【G島】【Olfes】地下礼拝堂〜



「…くう。…ハァ…ハァ…」

「ふふふ。…どうですか、我々救済ノ使徒に叛逆の意を示す…愚かな【現世人】エイミさん?…これでさぞ…屈服しましたでしょう?」

「……おふざけを。…あなた達のしていることは、もはや神に誓っても許してはくれ……!!」

バキャッ!!

「あぁぐう!!……くっ!!」

「……どうしても、私達の邪魔をするつもりなのですね?」

隙間から、十字架状の清らかな光が照らされる地下礼拝堂で、【Mireisia】は引き続き、【Eimi】に対し、執拗に暴力を振るい、罪人を制裁するかのようにワンドを振り、ぶつけていた。それを見守る信者から、ある一つの発言が飛び出てきた。

「…ミレイ救済ノ長殿。…一つよろしいでしょうか?」

「なんでしょうか?……取り込み中なのです。……手短にお願いしましょうか?」

「……気になったのですが。…エイミ。……彼女は…現世に住んでいた時、性同一性障害を持った…男性だったんですよね?」

「…それが何か?」

部下の一人は【Eimi】の現世での所業を聞いている。そして、肝心の要点を述べた。

「……では、彼は……性転換手術を受けたのではありませんかね?……もしかするとそこに……何かが……」

「!?……ふふ…アハハハハハ!!!!!!」

「……!!」(な…なんでしょうか?…い…一体?)

救済ノ使徒の集団は、【Eimi】には聞き取れない程度の距離をとり、会話をする。そして一つの可能性に辿り着いたのか、【Mireisia】は笑みを浮かべて部下の者を褒め称える。

「……冴えている答えでありますね。…流石は、私の部下であります!」

「……ははっ!…ありがたき…幸……!?」

グシャッ!!!!

「…!!」「…!!」「…!!」

コロコロコロコロ……ボトッ!

「……!!い…いやぁっ!!!」(ビクビク!)

【Mireisia】はその場で部下の者にワンドを振り付けて頭をクリーンヒットさせて首を刈り取るように跳ね飛ばした。その時の【Mireisia】の表情は、無情かつ冷徹であり、跳ね飛ばした者に対し、慈悲の無い最低評価のような言葉が下された。

「…そうやって私に褒められて……評価を上げて次期長を狙っていたのでしょうが………所詮儚い夢物語だったのですよ。…人柱以下の……下等なユートピア人風情がっ!!…【導き人】ではない……我々こそ、この世界において至高の存在である【救済派】!!……その幹部に成り上がろうとは……実に腹ただしい限りです。……まさに恥晒し……実に愚かな存在。…………そして……」

ザッザッザ……チャキン!!

「…!?…ひぃっ!…ミレイ!!あなたは一体何を!!??」(ビクビク!)

【Mireisia】はナイフを取り出し、【Eimi】の目の前に立ち尽くした。そして誰もが報われ、救われるような世界の平和を目指すような救済者の笑みを零すーーー

「………ウフフ♡………」

ハァーーーーッッ!!!!!

ザシュッ!!!!………!?

パリィーーーンン!!!!!!!

「あぁああーーーーーーーーッッ!!!!!!!!!」(ブワァッ!!!ドクン!ドクン!!)

【Eimi】は無慈悲にも、【Mireisia】に腹部をナイフで突き刺され、そのままこねくり回すように、深く腹部を切開される。あまりの激痛に魂の残渣物が飛散する中、悲愴にも大きな悲鳴をあげる。【Mireisia】はまるで医者のように、ある物を発見し、慣れた手つきでそのブツを摘出する。その様は、かつて現世で栄えていたアステカの文化において、民族を生贄に捧げ、祭壇で、心臓をもぎ取り、摘出した心臓を太陽の日の光に照らし、神に祈りを捧げる風習があったように、【Mireisia】もまた、その文化をこの【Paradiso】で、実際にやってみせた。信者が見守る薄暗い地下礼拝堂で、無慈悲にもその行為が執行されるーーー

ガシッ!!!!!……キラァーーン!!!!

「…………ふふ。…ウフフフフ!!!!……伝承にあった通り。…まさか現世でこのような、異様な…まるでバケモノのような生まれ方をした下賤な異教徒の者の体内から見つけ出されるとは。…ウフ。…ウフフフフフ!!……これこそ。…【救済派】の中でも…何者にも縛られない人生…!!…世界を実現する為に、6幹部と言われた【救済派】の中でも精鋭と言われていた主力部隊…【Demister】を復活させる重要な鍵!!……オーブ…名を……」

ヴィタス・レガーター!!(Vitas・legata)

【Mireisia】は【Eimi】の体内から、その物を摘出し、天高らかに見せつけるようにそう言い放つ。そして誇らしげに言い放った。

「…これでようやく、辛く、地獄のように縛られた人生から、【Paradiso】に住んでいる者達は…おさらばできるようです。…誰も理不尽に苦しまず、どんなに頑張っても、能力不足!足手纏い!…お荷物っ!!…無駄だ!…この世には必要ない!!………と、現世でも、この醜い世界でも家畜同然のように罵声を浴びせ続けられて……やがて孤立し……自分の存在意義とは、そう考えていくうちに生きる意味をも失い……結局は空っぽの人生を実感して自殺し…どんなに努力したところとて、他人が評価してくれなくて何も報われない。…生きていることが面倒になった。…そして、堕落の限りを尽くし……闇を宿して人を殺める者が量産される。…そう。…ここにいる信者がそのように…そうですよね?…皆さん?」

シクシク……( ; ; )

「あ…あぁあああああああっっ!!!」

「はは〜!!!ミレイ救済ノ使徒殿!!!…我々は、あなたのその慈悲深い姿勢で……身も心も……」

「救われるのですよ!!!…ああああああ!!!!あのクソ上司がぁーーーー!!!!!!よくもこの俺を実力がないだとか抜かして…無理に仕事を押し付けて………過労死させてくれたなぁぁ〜〜〜!!!!!!!」

「折角タダ飯を食らおうと、暴食の限りを尽くす為に刑務所に入ろうとしたのに……!!あの偽善野郎がぁーー!!!よくもあの時、俺を突き落として殺してくれやがったなぁーー!!!!」

ワーッ! ワーッ! ワーッ!

…【Eimi】さん。…彼らをどう思いますか〜?…これでも…哀れだというのですか?」

「かはっ!!ゲホっ!!……くうっ……ぅぅ…!!」

「……所詮どんなに綺麗事を言っても、社会から阻害され、泥沼のような生活を虐げられる貧弱な弱者には居場所などはなく、誰にも救われる事なく……このように無力にも罵られるだけ。…抵抗したところとて、踏み躙られるだけ。……非力な蟻がどんなに集まろうとも。……人間に敵うはずもありませんからねぇ〜♪…こんなように!」

グリグリ!!

「あぁぐう……くぅっ!……ぅぅ……」

【Mireisia】の無慈悲なる仕打ちを受けた彼女は絶望していた。魂で構成された身体の腹部を引き裂かれ、魂の残渣物が飛散する中、『もう自分はこのまま昇華し、身勝手な極悪人に手を下され、あの世へ行くのだ』という無力さを噛み締めていた。しかし、それでも彼女には、ある一人の男性のシルエットが脳裏に浮かんだ。

・・・
・・


『……エイミ!…しっかりしろ!!………っ!!』

諦めるな!!

「!?…ゔ……ヴェノ……おじさま……」

「ん〜?…この後に及んで……まだ戯言ですかぁ〜?………仕方ありませんね。………今すぐ……楽に…救って差し上げ……!?」

ブン!!…キラキラ!!

「!?……なぁっ!?」

『………その卑劣な手を、今すぐに離しなさい!………偽りの……』

《怠惰な偽善者同士の哀れな【救済派】の者達!!》

「……!?…ば…バカな……!?…何故……」

「あれはまさか………初代救済長……【Organa】!?…今から700年前に……この【Olfes】の街を創設した………【Paradiso】に伝わる……散々我々【救済派】の目論見を阻止してきた…」

「……広大な豊穣の大地を育み、繁栄をもたらし……その責務を全うしたとも伝承が残っている………救済ノ女神の一人!?」

一同の目の前には、青白い光を放ち、まるで幻影の如く現れたその女性は、【Olfes】の街の創設者であり、初代救済長の異名を持つ【Organa】である。その姿からは、神々しい女神の一人とされている。すると、女性は【Eimi】に近づき、腹部に優しく手を添えた。

『…………』

キィィィィン!!!!!

「……!?」(き…傷が塞がって!?……それに、あれ程……苦痛に感じた……痛みもない!?)

「!!…貴様ぁ!!」

「罪人から手を!!………!?」

ジュゥ〜〜!!!!!

「!?…ぐギャァ〜〜!!!!!……!!う……腕が……!!」

俺の腕がぁーーーーーー!!!!!!!

「!!……こいつは…!?…まるで現世の奇妙な絵の漫画で読んだ……特殊な呼吸法でゾンビを浄化するような…一体…」

【Organa】と【Eimi】を攻撃しようとした敵が手を出そうとした瞬間、まるで焦げ付くかのように、振りかざした腕が消滅した。その様を見て【Mireisia】はこう話す。

「なるほど。……その光のドーム状の壁……結界ですか?…それに、傷口は【Fiducia】の治癒能力を持ってしても簡単には治らないというのに、どうやら、あなたの持つご自慢の救済の神聖術を使い、その深傷をいとも簡単に治癒するとは。……全く……実に腹ただしい能力だ。……下賤な【導き人】がよこした……その槍に宿り、我々にとって……太古から脅威とされ、数々の【救済派】の者達を亡き者にした忌々しい偽りの救済の光……【Fiducia】の中でも類稀なる能力……!!」

《【Luster】の力で!!!!》

【Mireisia】は、【Organa】の持つ【Luster】の力に脅威を噛み締めていた。しかし、彼女はその発言に動じることなく、【Eimi】を手厚く治癒し、傷を修復させる。すると、【Eimi】は、発言ができるくらいまで回復したのに気づき、まるで獣の咆哮の如く、目の前の偽善の救済者に対し、反撃に出るかのように【Mireisia】を睨みつけ、こう主張して語りかける。


🎼Back Ground Music 》》》

 

 

Determination - Persona 4〜♪

「……ミレイさん。……あなたが理想としていて……見たい景色とは…一体なんなのですか?」

『!!…エイミさん…』

「………戯言を。…我々の理想を否定する……卑劣な罪人が。…一体何を言い出すかと思えば……」

「答えなさい!!…卑劣で……卑怯なのは…あなたの方ではありませんか!?」

「…!!」

『………』

【Mireisia】は、【Eimi】の発言を聞いて心が少し動揺した。そして尚も言霊のように、言葉が続く。

「…オルガナ様のおかげで。…本当の救済の意味が……罪人が裁かれ、その者を救済するという事が一体何なのか。……その目で見て…少しだけですが知ることが出来ました。………あなたが言っていることは、やはり……真実から目を背け、そこにはありもしない…見ているだけの上辺だけの理想かつ、まやかしの空想の景色しか信じようともしない……ただの無知な子供の駄々事……それを誰かによって実現してくれるまで、自らは身の潔白の綺麗な体のままでひたすらあり続けたいと言った……シスターにあるまじき欲の持ち主…【強欲】の中でも貪欲にすら近い、罪から逃れようとする…醜い欲望が深い持ち主なのですね。……あなた自らが汚れる事なく、ただ綺麗なものしか見ようとしかしない!……平和で理想事ばかりを望む事が、頭の中に入ってばかりの…自分からは具体的な目標や、何を成し遂げたいのかを……自ら自発的に、何も考えようとせず、想像でしかない神のような救済者を頼りに……ただ他力本願に、あなた自身が、体を汚す事なく堕落し、本来の救済活動を目指そうとすらせず、ただの仮初の平和を誇張するようなことばかりの言葉を言い放ち、この街で、散々街の人達や、自分達のいる家族に笑顔を届けるために、自ら汚れ役を買い…血のにじむような努力をしてきた…身体は汚れても、心は不摂生でなく、清らかな心の者達の頑張りすら認めようとすらせず、ただの汚らしい者と見下して!……そんなのは当たり前の事だと!…ただの偽善活動だと嘲笑い…!!私達がこれから行う事こそ、真なる救済の形だと……そのようにひたすら誇張してっ!……まるで張りぼての……見てくれだけの……【七つの大罪】の言葉で表すのであれば…とても【傲慢】で…【虚飾】という単語がよく似合う…自己中心的で……ただの【怠惰】の救済者の仮面を被った…ペテン師!!………あなたこそが……本当の大罪を犯した…正真正銘の……立派な罪深き者ではないのですか!?」

『…!!』

「!!だ…黙れ…!!…黙れぇぇぇっ!!!!」

バキン!!!!

「!!……くっ!!小癪なぁ!!この下賤な【現世人】の小娘の分際で………本当の救済の意味を知ろうとしない………生意気なガキめがぁ〜〜〜っ!!!!!!」(ブンブン!!!)

【Eimi】は治療を受けている間に、【Organa】が長きに渡って経験してきた救済活動のビジョンを傍観し、彼女はそれを言霊に変え、大きく大罪のワードを含めて主張する。その発言内容は、現世にも持て囃されている。それは太古の時代ーー4世紀エジプトーーー修道士のエヴァグリオス・ポンティコスの著作に現れた大罪の概念とされ、それぞれの罪には【虚飾】・【傲慢】・【暴食】・【色欲】・【強欲】・【憂鬱】・【憤怒】・【怠惰】ーーそれらの大罪の概念の基礎となり、最も重要であることを示す言葉として【枢要】を踏まえ【八つの枢要罪】(やっつのすうようざい)となった。後の世代となる6世紀後半には、グレゴリウス1世という者によって、その中に【虚飾】・【傲慢】ーーー【怠惰】・【憂鬱】という大罪が統合化され、新しく【嫉妬】という感情の大罪が追加され、後世から現在まで語り継がれる【七つの大罪】という概念が完成する。それらの大罪に見立てた単語を当てはめて【Mireisia】に強く、まるで獣の咆哮の如く反論するも、逆上した【Mireisia】は殺意を込めてワンドを叩きつけようとするが、【Organa】の放つ神々しい光の結界になす術なく弾かれる。その様子に、【Eimi】は心配そうに【Organa】を見つめる。

「……オルガナ…様…」

その様子に、まるで英霊の如き姿で、安堵されるように頬笑みの表情を浮かべた【Organa】は、聖母のように優しく語りかける。

『この程度……問題ありません。……続けなさいエイミさん。…あの惰弱なペテン師に告げて差し上げなさい。…本当の救済する者達の意味を…その心構えをも知ろうとしない……哀れな迷える子羊に……あなた自身の言葉で救済して差し上げなさい』

「!!……おのれぇ!!……よくも……昔から我々【救済派】の忌々しい敵…【時ノ人】メンバー…!!…【零六壱八時警団】!!……この……忌々しい亡霊共がぁぁぁっ!!!!!」

ダァン!!!

「!!」

『……【大罪人・ミレイ】……黙ってお聞きなさい!!……あなたは、自ら今まで積み上げてきた大罪の数々を……エイミさんがこうして代弁して、ご教授なさっているのです!!……何も知ろうとせずに他人を罵り、誇張して自らが上に上り詰めようとは……現世の言葉で述べるのならば…【笑止千万】と言われてもおかしくないと思われます!!』

「くっ!!……お…おのれぇ!!……世迷言をっ!!」

「……ミレイ。…何度でも言います。…あなたは間違っています!……確かに、この世の中は綺麗事だらけではありません。…影で法を破り…罪を隠蔽して偽証する……嘘が混じり合った醜い現世のような……辛い闇の現実だってあります。…現に……【Dail】邸の…偽りの主のように【暴食】と【色欲】の限りを尽くして生きがいとし、束縛して辱め、抵抗できないように陥れ……私も含めた弱者の立場にいるメイド達を服従し【強欲】にも、人身売買組織に売り込んで富を築き上げ…のし上がる為に誰かを踏み台にしてでも生きようとする碌でもない者達だっています。………先程の……私に対する行いからすれば…ミレイ。…あなた自身も例外ではないのではありませんか?……こうして何も抵抗することもできず…私の体の秘密を知り…性同一性障害の為、心と身体は不一致でも、実際は男の身体でもあった私の身体を…あなたは、同情するかのようにその杖で叩きつけ…弱らせて抵抗できないように束縛し、私の心の弱みにつけ込んで魅了するような…【色欲】の如き、色目を使って私の心と身体を委ねようと…マインドコントロールをして、支配して操ろうと企み……そして、我慢が出来なくなったあなたは、…先程も申し上げたあなたの大罪ではありますが……!!【強欲】にも私を罵った挙句に私の体内から、その宝珠をまるで【暴食】の限りを尽くさんとするように体をほじくり回し……探して毟り出し…奪い取ったのですからっ!!…このことから、もうあなたは、とても卑劣な強奪犯!……立派な賊ではないでしょうか!?」

「……っ!!」

「な……何だと……ミレイ救済ノ使徒長の苦労も知らない癖に…!!…貴様ぁぁっ!!……万死に値すっ!!」

ブン!!

ジューー…… あんぎゃーーー!!!!……お、俺の足がぁーーー!!!!!!

「いい加減学習なさい!!…あなた達では、この卑劣な者に触ることはおろか…手を下す事もできないでしょう!!」

「す、すみません!!」(っち!!…偉そうに言いやがって!!…この女ぁ!!…てめえだって!!)

『……それは、あなたも同じなのではありませんか?…大罪人・ミレイ!!』

「!!」

「!?」(あ、救済長オルガナもやっぱり思っていたのね……)

【Organa】はまるで煽って挑発するように、【Mireisia】に問いかける。その顔の表情は、激しいやるせない怒りにも近い感情が顔に出ている様子である。その様子を見届けながら【Eimi】は相手に対し、最後の罪を立証した。

「……認めなさい。……ミレイ。…あなたのしでかした大罪を。……これまでのあなたの経緯を聞いてわかりました。…あなたには、七つの大罪に相応しい、その今にも…火山のように噴火して吹き出しそうな【憤怒】の感情を露わにしてますね。………その複雑に混じり合った怒りの感情は…私を守護し温かく守ってくださり、初代救済長オーラル様が施して頂いた結界を破ることができない今のあなたは………そこにおられる部下にも、存在に対する疑いの目をかけられ、信頼を失いつつあります。私の隣にいる救済長オーラルの果てしない力の前になす術も見当たらないあなたは…正に【嫉妬】の大罪の感情を抱き……それは瞬く間に……今にも自分の緻密に練った作戦が都合よく行かなくなったと自覚し、ここで心が折れそうになってしまい……遂に無気力になり、これまでの自分の行いが…無意味となってしまったと唖然し、その感情はおそらく、このような卑劣な事を企てていたあなた自身が、以前から常々持ち合わせていた…一度辛い現実に打ちのめされ、這い上がれず何も出来ず……前にも進むことすら出来ず…誰かの頼りなくして生きる事をなし得る事が出来なかった…………最後の大罪を意味し。……気分が塞がり、決して心が晴れることがなく…無気力な状態が続いていた……あなたの…!!」

ビシッ!!………ビギーーンッ!!!

《【憂鬱】…の大罪を意味する感情を、…そして今あなたは、これらを含めた9つの大罪が、この十字架が照らされる地下礼拝堂で……その犯した重さを味わっているのではありませんか!?(いるんじゃあないのか!!?)》

「!!………グゥぅぅっ!!」(ビキィっ!!!!)

「………」

「………」

【Eimi】の強い主張が地下礼拝堂の中で響き渡る。その主張には、かつての男であった自分自身の感情に、【Veno・nix】が、まるで憑依して勇気付けられたからか、信念を貫き通し、相手の犯した大罪を見事に立証した。一同はその主張を聞き、沈黙が続いた。しかしそれでも【Mireisia】は、立ち上がり、その顔は、タチの悪い今にも祟って、末の代まで呪い、苦しめようとせんばかりの、現世のホラー映画のタイトル【呪怨】という名にも相応しい、まさしく怨霊にも近い、怨念のような禍々しい怨みの感情を見せていた。しかし、その表情から一変し、不気味に笑い出す。



🎼Back Ground Music 》》》



Unaltra Persona〜♪


「………ふ……ふふ…………フフフフフ………ハハハハ…………」

ハーーッハハハハハハ!!!!!!!アァーーーーヒャハハハハハハ!!!!!!!

「!!」

『!?』

「み、ミレイ救済長…殿!?……い、一体!?」

ガシッ!!ザシュッ!!……メリィーー!!!グチュ…グチュ…ドクン…!!!!!!

「ひ…ひぃ!!……お…おや……おやめにっ!!……!?」

ドクッ!!……メリッ!……ブチリッ!!!…ブシャーー!!!!!

「!!…い……いやぁああぁっ!!!!!!!」

『!?…ナイフで斬りつけて……心臓を……素手で毟り出して…摘出した……!!』

バクぅっ!!!ムシャムシャ……

「…!!……ぁ…ぁぁ……」(ビクビク!!)

「う…うわぁああぁっ!!!!!」

ダダダダダダ………

【Mireisia】は、とても人間がするとは思えない事をその場でやってのけ、見せつけた。古くから人間には、カニバリズムと言った人肉を食べる風習がある。しかし、ましてや生の状態のまま、心臓をそのまま口に入れるといった光景は、この場にいるものからすれば、想像を絶する光景であった。ユートピア人の【救済派】に所属する人間の心臓を、かつて現世の世界には、最古のアステカ文明の風習に、生贄を祭壇に招き入れて心臓を取り出し、壺に入れる風習があるように、摘出した心臓を、平気な顔で捕食する【Mireisia】は次第に苦い顔をし、心臓を床に落として踏み躙り、口に含んだ心臓の破片を口の中から吐き出し、血を水に濡れたタオルで丁寧に拭き、鮮血に染み上げて血を拭き取る。その様はまるで血を欲する吸血鬼でもあり、悪魔のようでもあった。その光景を見た救済派の者は恐怖を覚え、一部の者は、一目散に逃亡する。

「……ペッ!!全く…【救済派】に所属するものとして……下賤な血の味ですね。…このような腐敗しきった心臓の味から搾り取られた血の味………流石は元【創造派】の者ですね。……改宗したとはいえ……我々【救済派】への信仰が足りていなんじゃあないのでしょうか?」(ふきふき!)

『大罪人・ミレイっ!!…あなた…本当によくも……!!よくもこんなとんでもない事を!!』

「?…何の事でしょうか?…これを見て、あなた達は、一体何を見ているのでしょうか?…この者達は、あなた達の敵なのですよ?……この者は昔…【標本見聞解体新書】と言いまして……【創造派】の者がユートピア人の身体を解剖し、臓物を摘出し……あたかもそれを展示して見せしめにユートピア人を迫害して、隔離する措置を行った罪人なのです。……そしてある任務でしくじり……処刑されそうになった為、哀れと思いまして、私が手を差し伸べてあげました。…なのに。…たかがあなた方の発した言葉で揺らぐと情けない。………なのでこうして……私の犯した大罪を肩代わりして……自ら心臓を差し出してくれたというのに。…それに、これはあなた方にも得なのではないのでしょうか?……折角、敵である一人を片付けて差し上げましたのに……まぁ〜この男はあの時、私に口出しされてカッと来たのか、不届き者のような感情があったので、仕方なかったのですけどね……」

「…ミレイ!!…あなた!!本当に人間なのですか!?…こんな事をして…一体何が救済だというのですか!?」

【Eimi】は【Mireisia】にそう問いかける。しかし彼女は、特に悪びれる様子もなく話を進めていく。

「…はぁ〜……全く。……このような至高の存在の者に対し、何という非礼を。……実に愚かな存在の者ですね。……ですが…エイミ。…あなたから摘出したこの宝珠……世界の救済の為に、ありがたく使わせていただきます」

『答えなさい!!…エイミさんの身体から、そのような宝珠を取り出して……一体何を企んでいるのですか!?』

「……あなたが知る必要はありません。……過去の亡霊が…いちいち成仏できず……私に刃向かうとは実に愚かな。…………消えよ!!」

ブン!!

キィン!! ピキピキ!!!

「!?…亀裂が生じて……!?」
 
『…!!……ワンドを鎌に!?………くっ!!…思った以上に力を使ってしまったようですね……!!…このままでは……破られ………!!』

【Mireisia】は結界を破ろうと、ワンドの先端を鎌に見立てた刃を精製し、無理に結界を解こうとする。そして遂に、張っていた結界の耐久値が限界値にまで達した。

パキャーーン!!!!!

「あぁぐっ!!……くっ!……ぅぅ………」

『!!……エイミさん!!……!!』

「……いい加減楽になりなさい。…反吐が出る罪の存在……性別の壁の概念を変えてしまった…エイミ。…過去の忌々しい亡霊……………偽りの救済長………オルガナよ!!」
 
ブン!!!

🎼Back Ground Music 》》》



Thundering Herd 〜♪

クルクルクル!!

ブン!!!

キィーーン!!!!!

「!?……なぁっ!?」

「……!!」(ギリギリ!)

パキィーーン!!!!!

「!?……バカな。…鎌の刃が……砕け散った……ですって……!?」

…カン!…ビシューーーン……

ダキッ!

ビシューーーン……スタン!!
 
『……!!……あ…あぁ……あなた様は!?…///』

「……ごめんね。…遅くなったよ。…オルガナ」

【Mireisia】は【Organa】に攻撃を加えようとした。しかし、何者かによってその攻撃を阻止される。現れた相手の方の力が優っていたからか、持っていた鎌の刃が砕け、そのまま弾き飛ばされる。その間に、巧みにワイヤーを操り、傷ついて気を失っていた【Eimi】を優しく抱き抱えて距離を取った。現れた者は、【Organa】を知る者であり、ダークブラウンの髪色に、ダークグリーンの瞳が特徴的でブラウンのロングコートをたなびかせ、スタイリッシュに登場し、相手を鋭く睨みつける。その目からは相手を絶対悪と断言したのか、剣を構えて臨戦体勢に入っていた。

「……何者だ!!……貴様は!?」

「……お前達の方こそ……一体何者だ!?…散々、この女性を必要以上に叩きのめした挙句…相手に対し、そんな粗暴な素性の聞き方をするなんて………」

救済を志す者とは思えない…傲慢で身勝手な……極悪人もいい所だ!!!!

・・・
・・




B. いいえ


《Capitolo・5》
続きを読みますか?

🎼Back Ground Music 》》》



〜【Paradiso】歴1999・12/25・【G島】【Olfes】地下礼拝堂〜

♪〜JOJO6部より・エンリコプッチ神父

『あ……あぁ…!///…ロベル!!///…来てくださったのですね!?』

「………遅れて言える立場でなくて申し訳ないけど、【Louverd】と呼んでよ…オルガナ。……そして、ここに来て大体の事がわかった。…そうか。……僕の目の前にいるのが…【導き人】オーラルって人が話していた……偽善を名乗る悪党のようだね!」(キッ!!)

【Organa】達の前に守護神の如く現れた者はロベルだった。強い攻撃で吹き飛ばされた【Mireisia】は姿を現し、ロベルを睨みつける。

「…ロベル?…そして【導き人】オーラルを知らない?…彼女達によって招かれた【現世人】の者ではないという事ですか?………もう一度問いましょうか。………あなた……一体何者ですか!?」

チャキッ!

「……【Orzen】という名の騎士ギルド……【Freiheit・Zwölf・(XII)】(フライハイト・ツヴェルフ(XII)所属……たった一人の《一匹狼》……いや、あえてこう言わせてもらうよ……っ!!」

ヴェアヴォルフ(Werwolf)って言葉を…聞いたことはないか?

チャキン!!

・・・
・・


〜その頃〜

「!?…ワイス様〜!!」

「…嘘だろ…ワイス様が敗れるなんて…」

「一体誰が……それに、この斬り口は……」

………退きなさい。

「…!?…あ…あなたは…!?」

シュン……

「ふむ。…剣の実力があるのか……腕の良い者に斬りつけられたような痕がありますね……」

「……【Zeal】(ジィール)様……」

「……問題ありません。…【Wais】は息があります。……早く治療して差し上げなさい。…我々【Varisk】に所属しているのなら……闇の掟……忘れてはおりませんよね?」

「!!……ははっ!」

「は…運ぶぞ!」

タッタッタ………

「…ふむ。……一体何者なのでしょうか?……ですが、この斬り口。………余程真剣に心得があるようでございますね。………一度…」

手合わせしてみたいものですね………

・・・
・・




ダァーーン!!!!!

「……!!」

『……くっ!!……っ!?』

ボアアアアアアアアア!!!!!

い…一体なんだ!?… なぁっ!?…と、突然…ひ…火が……!? 一体誰の仕業だ!?

ロベルと敵対していた【救済派】の周りに焔の炎が回り込んで道を塞ぐ。するとどこからか足音が聞こえてきた。

ザッザッザ……

「ヴェアヴォルフ(Werwolf)……それは。…ドイツ語で《狼男》って意味でさなぁ〜!……ん〜でも……確か現世に住んでた時、歴史の授業でもちと教えてもらったけどださぁ〜……第二次世界大戦末期でのナチス・ドイツの計画の一つ。………んでさね〜…ドイツの連合国軍に占領された地域で、突然連合国軍に対するゲリラ攻撃から、ドイツ国防軍を支援するための部隊の俗称とも言われてたんでさ〜♪……どうですか〜みなさん?…勉強になったでさか〜?」

ザザッ!

「……!?…あ…あなたは……【狼志組】のフカベ副長の右腕!!…【十維新】十傑メンバー所属の…!?」

「やぁ〜やぁ〜!ごきげんようでさぁ〜ルーさん!……アンタさんの請け負ってる任務のパートナー、ウチんとこの八番隊隊長のヤエカと、その義妹の十番隊隊長のトワのお二人さんがいつもお世話になってるようでさなぁ〜♪」

「!?…………こ…この男…ワインレッドの軍服に……この焔の炎のような明るい茶髪の髪色…!!…それに【狼志組】!?……間違いない……アイツは……」

「【狼志組】一番隊隊長……あ……赤血(あかち)の……【Sogami】(ソガミ)だ!!」

……ざわ……ざわ……

「ほほ〜ん。…わての名前と…その変な肩書きを知っとるときたでさぁ〜!……でも、その格好見ると…なんやぁ〜アンタらぁ〜?…ユートピア創造士隊ではないと来ただわさ〜……ルーくん。……奴らは一体何者でさ〜?」

ロベル達の前に姿を現したのは、【狼志組】一番隊隊長【Sogami】(ソガミ)であった。すると、その疑問をロベルが【Organa】を通じて伝える。

「……彼らは、【創造派】ではない……別の新しい僕達の敵対組織……【救済派】!!…そこにいる女性は【Mireisia】!!…救済ノ使徒の長を務め。…目的は……この【Paradiso】の世界の偽善……偽りの救済を目的とする集団!!…といえば分かりやすいかな?ソガミさん?」

「ほぉ〜ん!コイツらが副長の言ってた、噂のねぇ〜!…およそ、今から10年程前に当時のわてらの副長と、【R・P】社【Agente】のリーダーだったルーシス室長によって、コテンパンに成敗された言われてる……偽善集団の集まりださかぁ〜!…やぁ〜全く、そんな負け犬が復活して、こんなしけた場所でお目にかかれるとは驚きださぁ〜!」

【Sogami】はどうやら、相手の素性について少し理解がある様子であった。すると、それを見た【Organa】は安心を覚え、今回の敵を討伐する事に手を組んでくれると思いこんでいた様子である。

『そうですか…ソガミさんという、マスター・オーラルに導かれし由緒ある【現世人】の方なのですね!……あの方が創設した【狼志組】の一番隊隊長とは……///』

「……でもね、オルガナ。……まだ彼が手伝ってくれるとは限らないよ…」

「?…ルーさん?…さっきからブツブツと一体誰としゃべってるんださ?…なんや幽霊でも見えてるんか?」

【Sogami】の疑問に、【Mireisia】が口を開く。

「……そのロベルと呼ばれている……とても異端な【現世人】のそばに……この街の似非なる救済者……オルガナ(【Organa】)がいるのですよ。………そこの…ソガミという名前の男の者よ……一つ宜しいでしょうか?」

「……ほぉ〜ん。………なんでさか?…悪女さん?」

「その力を持ってして、何故あなたは【Paradiso】の偽善なる救済活動を成し遂げ、尽くそうとするのですか?……我々と一緒に来るのなら……本当の救済の意を教えてあげましょうというのにです……」

【Mireisia】の言葉に【Sogami】は自信満々な笑みでこう返した。

「……別に。…救済活動がだとか、わてはそんなもんに興味はないんでさ〜……ただ、強いていうならば………!!」

ジャキーーン……リィーーン♪【冥鐘】

「!?……【冥鐘】……」

「……!!」

「……アンタらが悪事働くいうなら、【狼志組】一番隊隊長として…救いようの無い悪党には、焔炎(えんえん)の業火に焼かれてお陀仏になってもらうだけださよ。……ほんでルーさんが《狼男》と名乗るんなら……わては……!!」

ブン!!!……ボアァアアア!!!!!

「……!!」

「……!!」

【Sogami】は愛刀【紅ノ壱刃】を抜刀し、一振りを目の前で振る。すると、【Fiducia】の能力であるのか、刀身には全ての悪しき野望を一つ残らず焼き尽くす、業火の焔の炎が灯されていた。そして声高らかと、ある異名を宣言した。

🎼Back Ground Music 》》》


♪〜聖剣伝説Homより・The Dragon Emperor 【竜帝】

「……《炎ノ竜帝》…とでも呼ぶでさぁ!!」

シャッ!! ザシュ!!

「ぐぁっ!!……!?」

ボァアアア!!!!

「!!う…うわぁああ!!!!!ひ、火があああああ!?」

「うぉっ!?…も……燃え上がっている……だとぉ〜!!……!?」

ウォワぁぁああああ!!!!…………

プスプス………

「……!!」

「………」(ブンブン……)

チャキン!!

【Sogami】の抜刀した紅ノ壱刃から繰り出された一撃が下っ端に斬り込まれ、無慈悲にも火葬するかのように業火の焔に焼かれて姿を消す。その光景を見た【Mireisia】は顔色を変えて話を続ける。

「……それがあなたの答えというのですか?…ソガミとやら」

「……今も昔も…悪事続ける言うんなら、次はアンタがこうなる番でさ。ミレイさんという悪女さん」

「……戯言を。…それは……」

お前達の方なり………精精、後悔するのだな……

コツン!コツン!

『!?…足音!?』

「………一体誰だっ!?」

「……何か来るでさよ〜…ルーさん」

コツン………ブン!

ザシュッ!!!

「!?…。ぐぁっ!!」

【Louverd】 ランクB
【♡♡♡♡♡♡♡♡】
ーーーー

「…!!…ルーさん!?…こいつは……氷の槍でさ!」

『!?…い、一体誰がっ!?』

…………

地下礼拝堂内は静かであり、【Mireisia】や、その他の信者以外、誰も攻撃を仕掛けてきた様子がなかったようである。

「!!…一体…どうなって!?」

「油断は禁物でさぁ〜ルーさん!……どうやら、空間転移能力の【Fiducia】……っちゅう事でいいでさな〜?…ミレイさん?」

「ふふ。…ご名答。……ですが、何故私の能力を?」

「…ここに来る前に【Aria】って名前の【Siel】のギルドメンバーに会ってでさ〜…アンタの事を、現在救済長の立場にいるオリアナ(【Oriana】)さんから、少し聞いてるんでさー。…それによるとビンゴ!……全く悪女だけあって、偽証とは恐れ入ったでさぁ〜!」

「?…一体何のことでしょうか?」

「誤魔化しても無駄でさ〜!……アンタがそこにいるエイミさん【Eimi】を異教徒の者として保護して手当するだとか、そういう風にアリアさんに虚偽の情報を流して躾け、決して怪しまれないように、コソコソと今回のテロ行為を首謀するとはでさ〜!…その権限は、まず救済長のオリアナさんに許可もうてからが鉄則でさよー!」

「!?…まさか!?」

「もう時間の問題でさよぉ〜ミレイさんよ〜!……これでアンタの存在は、もう世界中に知れ渡る頃でさ〜!」(ニヤニヤ!)

「!?……おのれ…!」(ギリギリ……)

「…ソガミさん。……あなた……」

「伊達に、武力組織【狼志組】一番隊隊長を引き受けてる訳でないださ〜ルーさん。……諜報能力も、【R・P社】【Agente】仕込みの業を取得済み!…ましてや、騎士の服装を装った君と、キャラが被っている訳でもないんださよ〜!」

「………」

『…キャラが被っているとは……別に、風貌に共通する要素がないような気が……』

「……ふふ…ふふふふ……」

「!?」

「!!」

突然【Mireisia】は笑みを浮かべ、不気味に笑い出すとこう言い放った。

「……それは想定内の事。……もう私は【Siel】という名の偽善ギルドにつく者ではないのだ。…ふふふ。………!!」

ブン!!

「……もう見破ったでさ〜♪」

「!?……なぁっ!?」

ザシュッ!!!

ボオオオオオ!!!!

「うぐっ!!……ば、馬鹿な!?…い、いつの間に私の背後をっ!?」

「……アンタが鈍いだけでさ〜!……そろそろ、斬りつけられた傷から、身体が燃え上がってくるでさよ〜……」

ボアァアアア!!!!!

「!?……ぐうっ!!……ば…馬鹿なあぁぁっ!?……この……私がっ!?」

「…精精あの世で反省するんでさ〜!……アンタら【救済派】が長年、ウチんとこの御用見廻組の不審死にも関与しているのは、とっくに調べがついてるんでさ〜!」

「……こ…この青二歳に……この……私が………!!………」

ボアァアアアアア!!!!!…………プスプス……

【Mireisia】の身体は無慈悲にも、洗礼の焔の火で焼き尽くすかのように炎上し、そのまま火葬されたかのように跡形もなく姿を消した。その光景を見た信者は正気にいられなかったようである。

「!!み、ミレイ救済長!!」

「そ…そんな。……救済長殿が……」

ざわ…ざわ……

「……あっけないようだ。……さて」

『………』

「……これにて一件落着でさ〜!………と言いたい所であるんでさが………」

ジャキン!!!

「!!」「!!」「!!」「!!」「!!」

「……さあ。…吐いてもらおうか?」(キッ!!)

「アンタさんらの目的をださ〜!」(ニヤニヤ!)

「!!ヒィッ!!」「…お、俺は何も知らない!!…ただ俺達はあの女に……利用され!?」

ガシャーーン!!!!

「!?」

「!!……なっ!?」

『!!……こ…これは……』

突然頭上から落下物が降り注ぎ、他の信者が下敷きになった。飛び散った血液は、突然固まり始める。よく見ると3人の目の前には、巨大な氷の塊が降り注いだ様子である。暫くするとその空間の地面は瞬時に冷えあがり、まるでアイススケート場のように凍りつき、滑りやすくなった。

🎼Back Ground Music 》》》



♪〜ゼルダの伝説トワイライトプリンセスより・ブリザーニャ

ガキ…ガキ……!!

バキィーーン!!!!

「!?…なっ!?…こ……これは!?」

「あのミレイという悪女…消える前に、信者の血を吸って生命を与え、氷の人形を出現させたと来たでさかぁ〜!…ウチんとこの威勢だけが売りな五番隊隊長アキルの泥人形よりも……こりゃあかなり精巧な作りでさなぁ〜!」

『……ユートピア人の血液を犠牲にして作り出した氷のゴーレム!…なんて卑劣な手を!……まさかこんなものまで隠し持っていたなんて……【救済派】!!…やってくれるようです……!?』

3人が周りに出現した敵を凝視していると、氷の塊にある一人の人物がいるのを目視して観測した。

「!!まずい!」

「お〜やま!…いつの間にでさぁ〜!」

『……っ!!エイミさんが!!』

ジャキン!!

ブン!!

キィーーン!!!

『……ロベル!?あなた様!!』

「……大丈夫だ!…とにかく、この場をなんとかしないとね。…僕の現世の親友……白狼が言いそうな言葉だけど、今日は本当の……」

《黒という名前がつく【巨匠】の映画……戦場のメリークリスマスに似合うくらいに、(冷戦)に相応しい冷たくて悲惨な戦場で……お前達のしでかした罪を裁き、ここで企みを阻止し……終わりにする!!》

ブン!!

ガシャーーン!!……シューー……!!

ジャキン!!

ブン!!

ズシャーー!!

「!?…うおっとでさ〜!……こりゃあ〜!なかなかやってくれるでさ〜!…凍りついてるから、わての自慢の摩擦熱の炎では溶けんと来たでさ〜!」

【Sogami】 ランク S
【♡♡♡♡♡♡♡♡】
ーーーーー

「……そういうことか…ソガミさん。…あなたの能力は……」

「ご名答。散々物質に火を宿す能力と勘違いするかもしれんけど、本当は摩擦能力なんでさ〜!…仕組みは至って単純でさ〜!…わての持つこの刀【紅ノ壱刃】の刃に、摩擦能力を付加させて、サバイバルでよく用いる技術……摩擦熱を利用して相手に斬りつけた箇所に約何億回の摩擦を生じさせて、あたかも敵を火葬させたかに見せるんでさ〜!」

『…なるほど。そういうからくりなのですね……』

「おんや〜オルガナさん。……なんか冷静でさな〜?…こんな場合、喋ってる場合でないって批判の一つ言うもんだと思ったでさ!」

『……私も今まで場数を踏んできた者。…そう取り乱したりは。……しま…!!……!?ええっ!?…そ、ソガミさん!…あ、あの…私の声が聞こえるのですか!?』

【Organa】はとても驚いた。本来は【Luster】の力があるロベルのみにしか、彼女の姿を観測する事が出来ない為、すかさず理由を聞く。

「…思いっきり取り乱しとるでさ〜。…あぁ〜。…なんかルーさんを庇った時に、さっきから青白いモヤに包まれてる女の幽霊がそばにいるのを見えてでさ〜♪……あ〜なるほど…確かにアンタさんのそのお姿。…この【Olfes】の初代救済長オルガナさんで間違いなさそうでさ〜!」

「!?…ま、まさかソガミさん!…あなたにも【Luster】の素養が……!!……って言ってる側から!……ハァッ!!」

ザシュッ!!!………!!

パキィーーン!!!!

「!!ほぉ〜う!」

『砕けました!!…これが…【Luster】伝道者…ロベルの光輝の力!』

「……よく精霊が僕の事を【Paradiso】に来て、再び現れた伝道者だとか、そう言っていたかな。……でもねオルガナ。……この力は、ただ悪しき敵を倒すことの他に……ただそれだけじゃあ無いようにも思うんだ!」

『………え?』

「?……どういう事でさか〜?……ルーさん?」

「……試しに……やってみるよ!…精霊から一つ教わった術ではあるんだけど……出来るかどうか…鬼が出るか……それとも……!!」

邪が出るか!?

ジャキン!!!

ヒィーーン!!!

……キラキラ!

🎼Back Ground Music 》》》



〜【Paradiso】歴1999・12/25・【G島】【Olfes】地下礼拝堂〜

♪〜進撃の巨人より〜気乗りしない英雄

「「「「「「!!??」」」」」」」

『!?……え?……!?…な、なんとまぁ〜!!…これは一体!!』

一同は驚愕した。そこには神々しい光を全身に宿し、まるで英霊の如く姿を現して召喚された【Organa】の姿があった。その様子に【Sogami】も驚きを隠せなかった。

「……ほぉ〜!…こりゃあ驚いたでさぁ〜!!…なんかまるで中二病のような言い方であるんでさが〜……今は亡き救済者オルガナさんが、時を超えて今ここに召喚され、降臨されたでさ〜!」

「……オルガナは、僕達【現世人】とは違う命と時間に限りがあるユートピア人だ。今から700年前の遥か昔に亡くなり、今となってはこの通り幽霊のような存在になっているはずだからね。……それでも…この街【Olfes】に名を遺し、住む人々から敬拝され、決して忘れられない英雄として長年から語り継がれているんだ!……だから英霊として【Luster】の力を行使して具現化し、このような形で召喚する事が出来たんだよ!……名付けるなら……」

《【Luster】英霊術》!!……と言ったところかな……

ヒィーーン………

『こ…こんなことが!?……それに……私の愛用する武器までも。………ふふふっ♡……あの方から授かった…大切な十字架のランス!』

グッ!……ヒィーーン!!

【Organa】の持つ槍には神々しい救済の光が宿されていた。それを見た敵軍は脅威を感じ、特攻を開始する。

「!!」

ザザザザ!!!!

「……ほおほお〜敵さんがお出ましでさ〜!」

『!!……はぁ〜!!』

ブン!!!

ズシャーー!!!……!!

パキィーーン!!!!

『……次です!!…行きますよ!!』

シュッ!!シュッ!

ズシャーー!!!

パキィーーン!!!!

パキィーーン!!!!

『ハァアアアッッ!!』

「おお〜!!オルガナさんのあの槍裁き、こりゃあ〜…女神さんのような貫禄のある美人な顔は伊達ではなく、【導き人】のオーラルさん並に…かなりやり手でさなぁ〜♪」

「…さすがは遥か昔に住んでいたユートピア人のようだね。…彼女の戦い方を見ていたら……これまでどれだけの悲惨な血が流れたかわからないくらいの……数々の死と隣り合わせの過酷な戦場を経験してきた実力者のようだ。……それは僕だって同じだ!!」

ブン!!

ズシャーー!!!

バキィーーン!!!!

「…やれやれだわさ〜……そんなチートな能力持ってない俺はこいつらに歯が立たんし、大人しく見物でさ〜!……なんてでさ。…ハァッ!!」

ブン!!…ジャキン!!

「……!!」

バァキーーン!!!

「……!?」

『……ええっ!?』

「…ほうほう。…こいつは驚いたでさぁ〜!」

ヒィーーン!!

【Sogami】の持つ【紅ノ壱刃】の刀身に【Luster】の光を宿していた。それを見た【Sogami】は笑みを浮かべてこのように語り出す。

「……なるほどださぁ〜っ!…こりゃあ相手にとっては細菌兵器って奴でさなぁ〜!……まるで病気みたいにルーさんらから伝染して、見事にわての愛刀【紅ノ壱刃】にも見事にこの光が接触感染したようでさぁ〜♪」

「!!」

『まあまあ〜!…ソガミさん!…あなたまでも、その光輝の力…【Luster】の素養を、その刀身に宿したのでございますね!?』

ヒィーーン!!

「…こりゃあ〜いいでさ〜!……あいよ〜!」

ブン!!

ズシャーー!!!

バキィーーッ!!!

「!!…こちらだって。…はぁ〜!!!」

『行きます!!……やぁ〜〜!!!』

ブン!!

パキィーーン!!!!!

3人は次々と敵をなぎ倒していく。そして【Eimi】が捕獲されている氷の塊に接近する。

「……いよいよでさ〜!」

「ああ。…これで……!!」

『終わりにしましょう!……やぁーー!!!!』

チャキ! チャキ! チャキ!

…ヒィーーン!!

3人は武器を高く上に掲げて光輝の力【Luster】を発現させる。3人の放つ【Luster】の光は神々しく、この世の悪の野望を絶やす意志をも感じられる。

「……これで…Das Ende des Krieges(ドイツ語で終戦)!……ソガミさん!オルガナ!……力を貸してくれるかい!?」

『勿論です、ロベル!…フフッ!』

「……承知やでんがな〜ルーさん!……ほなら、いくでさーー!!!!」

チャキッ!!!!

ブン!!!!

バキャーーン!!!!!

3人の放った渾身の光輝の力の一撃は無慈悲にも、氷の塊を叩き割る。そして中から、【Eimi】が出現した。幸いにも彼女は無事であり、息をしていた様子である。

「……zzz」

「よかった!…息をしているよ!」

「よかったでさ〜!…これで正真正銘!……事件解決でさ〜!」

『はい!…本当に!………』

一同は勝利を収める。しかし【Organa】自身は何か浮かない表情をしていた様子である。その表情には、【救済派】の動きが、現在の【Paradiso】で動き出しているからか、何かしらの脅威を感じていたような表情をしていた。そしてその胸騒ぎはまるで予言されていたかのように月日が流れ──────悲劇が起こる──────

・・・
・・




B. いいえ


《Capitolo・6》
続きを読みますか?

🎼Back Ground Music 》》》



♪〜KINGDOM三期より〜武神龐煖(ほうけん)

〜その騒動から約半年後の歳月が流れ……〜
 
〜【Paradiso】歴2000・5/25・【L島】【Zelia】路地裏〜

















「ハァ…ハァ……!!」

サラサラ………

「……さらばだ……あの白き魔女と同じ……忌まわしき光を持った……【救済派】に楯を着いた愚者の青年……この………賊人の他に……厄災をもたらし……戦闘集団の一族………武神の異名を持つ我ら【G一族】の一人…【G・lrof】に対し……ここまでの深傷を負わせた事……あの白女と語り合い……精精語るといい……この儀礼刀のような一振り……名刀【Louvel】は貰っておこう。……【Varisk】の絶対的な、恐怖でひれ伏せる力、そして救済を示す為…【創造派】はユートピア創造士隊から新しく【Varisk】を加えて結成された……《真・ユートピア創造士隊》を象徴するものとして………本物の騎士の名に相応しい者にでも明け渡してやろう。…光栄に思うのだな……」

ザッザッザ……

サラ……サラ……!!

パキィーーン!!!

「!!…くっ!……足にまで昇華現象が…………ここ…までなの……か……っ!」(すまない…ヤエカ!……トワ……さん…僕は…【Kagoya】の町に戻れないようだ………………そして現世の居合道の……みんな……我が親友……白……狼………僕は……)

……サラサラ………

・・・
・・


〜【Paradiso】歴2000・5/25・【G島】【Olfes】【Siel】礼拝堂〜

「!!…そ…そんな……【Velkuy】騎士団長が!?」

【Oriana】は、新聞の記事を読んで驚愕した。そこには、【L島】【Zelia】の街中で【Velkuy】騎士団率いる騎士が何者かによって惨殺され、その中には、騎士団長【Louverd】ーーつまりロベルの【Paradiso】名がそこに記されていた。その記事を見たロベルの事を知る女性の者達は、世界中でも驚愕の声を出していたーーー

・・・

「!!……そ……そんな……あの子……【Louverd】が…!!……あ……ぁぁ……!!あぁあああああああああああああっ!!!!!」

「!!……【Louverd】が……殺害…された…………!!まさか……ベルナを襲った……あの……厄災……が……再び現れたって……いうの……!?」

「!!……ルーくんが昇華!?………そ……!!そんな……!!……っ!!……許さない……!!絶対に許さないっ!!……誰が……ルーくんをそんな目にっ…!!……よくも………絶対に!!!…………うぅ…ぐすん!!……ぁあああああああっ!!!!」

「!?……る…ルーさんが……そ……そんな…………整形した本来の僕の姿を一目見たいから……近くだし、明日会おうって………連絡をくれたのに……!!……ヤエカ姐さん………」

・・・
・・


タッタッタ!!

「【Oriana】様!…急用でありますが、よろしいでしょうか!?」

「!?……はい!…今行きます!!」

タッタッタ!!

【Oriana】は【Siel】に所属する修道院の女性に声をかけられて礼拝堂の教壇から席を外す。すると、眩い光が差し込んできた。

シュン!

『……ロベルが……暗殺された!?……一体誰に……そして、何が起ころうとしているのでしょうか?』

姿を現したのは【Organa】であった。白い靄がかかっており、まるで思念体のような形で具現化し、新聞の記事を読んでロベルに関する情報を収集していた。するとどこからか声が聞こえた。

…もう検討はついているのだろう?…オルガナ。

『!?…こ…この声は!?』

【Organa】は嫌な予感がして前を見た。そこには、幻影の如く現れた、救済ノ使徒を名乗っていた【Mireisia】であった。すると彼女は満面の笑みをこぼしていた。

『ウフフ。……ご機嫌よう。……どうやら、あの忌まわしい光を持った我々の救済を邪魔立てする【Louverd】という男は、厄災の者【G一族】の手によって計画通り……葬っていただけたようですね……』

『!!…ミレイ!?…何故あなたが……あの時、ソガミさんによって炎に焼かれたはずなのでは!?』

【Organa】の目の前に現れたのは、【Sogami】によって粛清された【現世人】大罪人ミレイであった。しかし彼女は、その名前を聞いて不機嫌そうな表情をして、語りかけた。

『……全く……実に愚かな存在の者だ。…わざわざあの時、影武者を用意した甲斐があったようだ。…………もう私はミレイなどという…下賤な【導き人】から送られてきた【現世人】の女ではない。……誇り高き【救済派】に属する。………【Demister】の長の者…なりけり…』

『!!……男の…声!?……………【Demister】の……長?……!!』

突如、【Mireisia】の声が、ある男のような口調に変わる。

「……オルガナ。…お前にはわかるだろう。…かつて…我が化身…【時喰・十六夜】を退け……貴様ら【時ノ人】または【時ノト】とも呼ばれていた者達のメンバーの中に……まだいるはずだろう。…私を打倒し…この時代の【Paradiso】にも…その生き残りの者がな!!」

『!!…っ!』

その発言に【Organa】は困惑の表情を見せる。しかし、踏みとどまるかのように強い目線で反論する。

『…そうですか。…ようやくわかりました。…まだしつこく因縁を…いえ、悪霊のようになってまで……その現世人の方に憑依し……再びあの子に報復を願い手を下そうとしているのですか!?…あなたは、あの子を含めた【Paradiso】に伝わる【最古の貴族】の者達によって敗れ……今から約10年以上前に消滅した筈ではなかったのですか!?…【救済派】……【Demister】の長……!!』

《【Alvious】(アルヴィオス)!!!》

【Organa】はその名前を出した。すると相手はほくそ笑んで笑い出した。

『ふふ。……ふふふふ…は〜っ!!ハハハハハ!!!!!……懐かしい……実に懐かしい呼び名だ!!』

ミレイの皮を被ったその正体は、【Demister】の長という立場にいる【Alvious】(アルヴィオス)と名乗る者であった。【Organa】は何かしらの因縁があるからか、その男に対して嫌悪感を抱いていた様子である。

『……まだ生きていたとは……ずいぶんしぶとい方ですね……』

【Organa】は険しい表情をしていた。かつての【時ノ人】メンバーの一人の者が、【Paradiso】に生存しているという情報を聞き、ミレイの身体と精神に憑依した【Alvious】は、ほくそ笑んでこう話し出す。

『……安心するがいい。…その者達に手を下す気などさらさらない。…何故なら……この《現世女》の身体を乗っ取る事で私が復活し……これより【Demister】の6幹部を招く理由は……別にある。…これを見たまえ』

ヒィーーン!!!

『!?…それはエイミさんの魂の身体から摘出した宝珠!?』

『…名をヴィタス・レガーター(Vitas・legata)……《縛られない人生》という意味を関する宝珠だ』

【Alvious】は天高らかにその宝珠を掲げた。すると思いも寄らないことが起こる。

パリーーン!!!

『……!!砕けた!?』

『フッフッフ。…これで……念願の我々【救済派】の完全なる勝利が待っている………愚かな【時ノ人】メンバーオルガナよ。…お前達の努力は儚く散ったのだ……』

『!!…っ!!』

ブン!!

『!!』

『無駄だ。……これは私の幻影と言っただろう。…忌まわしい下賤な【導き人】にも、よろしく伝えておけ!……これから【Paradiso】に革命が起こる!…真なる救済をこの王【Alvious】の手によって!!』

『……!!…アルヴィオス!!一体何を…企んでいるのですか!?』

『…かつて…ミレイであった私……救済ノ使徒の犯した大罪……【虚飾】・【傲慢】・【暴食】・【色欲】・【強欲】・【憂鬱】・【憤怒】・【怠惰】・【嫉妬】と言った9つの属性を……ふふふ……世界救済に使わせてもらうとしよう。…それぞれ犯した大罪を断罪し……犯した罪を清算し……責任を持って完全なる楽園の【Paradiso】を実現させる為に!!』

『…!?』

・・・
・・




〜【Paradiso】歴2000・5/25・【G島】【Olfes】街のある病院〜

「オリアナ様!こちらです!!」

「!?……これは、アリアさんの手紙!?」

これから救済の旅に出ます!…探さないでください! 現世人【Aria】

「…一体いつからですか!?」

「今日、朝早くにこれを見つけた次第であります!」

・・・

ガタンゴトン!

「……!!」(待っていなさい。…私は私なりの意志で救済の在り方ってやつを示してやるんだから!)

ガタンゴトン!

・・・

「…一体彼女は何処に……」

【Aria】は【Oriana】に断って、一人で何処か見知らぬ世界を渡ろうとしていた。するともう一人の者が、更に声をかけてきた。

「大変です!オリアナ様!!」

「!?今度は何でしょうか!?」

「……我々が保護し、【Siel】に加入していたエイミさんがこれを!?」

ピラッ!

「!?…ギルド…脱退届……!!」

今までお世話になりました。…今日から5日後…私はあるギルドの方にお世話になります。ですので前もって提出しておきます。こんなことになってしまいまして、誠にすみません。今までお世話をしていただき、感謝の意を申し上げます。

【Eimi】

「………そうですか。……!!」

ザザッ!

「!?……オリアナ様!?」

「私は大丈夫です。…どうやら、またも…ルーシス様達が経験したような……大きな戦乱の時代が、再び訪れたのかもしれません……」

「!?」

・・・

その一週間後

〜【Paradiso】歴2000・6/1【R・P社】【Agente】〜

「たっだいま〜♪」

「おかえり〜ベア!…はいこれ〜!」

「おお〜ネラ!…ひっさしぶりぃ〜♪あと新聞じゃ〜ん♪……どれどれ〜?…………え……」

バサっ!

「〜♪それにしてもベア〜!…本当に整形したあなたの姿って背が高くて大きいよねぇ〜♪…スタイルもいいし、まるでアマ姐みたいでさぁ〜♪……あり?」

シィーーン……

タッタッタ!!

「……!!お、おいベア!?……一体どうしたというのだ?」

「………っ!!」(……ルーくんが……!!……まさか奴が現れたっていうの………っ!?)

バターーン!!!

ザッザッザ……

「……ベア。…その様子だと、あの記事……見たようだね」

「……ええ。…ルーシスおじさん。……どうやら奴が現れたかもしれない……大罪人…」

《【G・lrof】が!!!!》

・・・

〜ある島国のギルド〜

「zzz………!!」

バサッ!

「……ここは、一体?」

「あ……ゔ…ヴェノおじ様!!」

「!!……エイミ。……無事だったのか?」

「はい…!!はい!!あ…あぁ……半年間も眠りについて……目を覚まして下さいましたのですね。……私はおかげさまで!…色々あって、この人達に助けていただき、それにヴェノおじ様の所在をお教えしてくださいまして!……晴れて【Siel】から【Hopera】のギルドへ移籍する事ができました次第です!」

「…そうか。…アンタのおかげなんだな。…ネルソン。……久しぶりだな」

「おうじゃん♪……エディスおばさんやローちゃん達にも、きちんと別れとまた会いましょうと笑顔で元気よ〜く挨拶済ませたのかじゃん?」

スッ…

【Nelson】は手を差し伸べる。その返答に【Veno・nix】は快く手を差し出す。

「…ああ。…おかげさんでな」

パシッ!

「…さて。…行くか」

バッ!

「!!ヴェノおじ様!?…まだ身体の方が…」

「もう心配ない。…エイミの方も、なんだかんだ心配かけてしまったゾおっと。……悪かったなっ!」(ニッ!)

「!?…え……ヴェノおじ様……その喋り方…それに、今笑いましたか!?」

「?…ああ。……どうした?」

「!?///……ふふっ!…いえ!…ヴェノおじ様が無事に目を覚ましてくれて嬉しいんです!…では!これより掃除屋兼便利屋ギルド【Hopera】……!!」

始動ですね!!


長きに渡る歳月が流れ、時は2000年6月の【Paradiso】──────各地で様々な思惑が懸念される中、ギルドに所属する者達は、自らの意志で行動を開始する。その行動は【救済派】の企てる独断かつ、一方的な救済の在り方─────ましてや神頼りといった怠惰なものではなく、自らの意志を持ち、進んでいく人間の力強さをも感じられる。新たな年が始まり、半年という歳月を迎えた【Paradiso】─────その世界で、一体何が起ころうとしているのか─────

















《To Be Continued…→》











ダブルフェイス〜第12話:〜二人のウルフマン〜ヴェアヴォルフ(Werwolf)ノ騎士と炎ノ竜帝 完読クリア!!


次の話へ進みますか?

A. はい 
B. いいえ