🎼Back Ground Music 》》》
I see those who have overcome their desires as more brave than those who have defeated their enemies.It's the most difficult victory to beat yourself.
(私は、敵を倒した者より、自分の欲望を克服した者の方を、より勇者と見る。自らに勝つことこそ、最も難しい勝利だからだ。)
Humans are animals that pursue goals.Life becomes meaningful only by striving to reach its goals.
(人間は、目標を追い求める動物である。目標へ到達しようと努力することによってのみ、人生が意味あるものとなる。)
Aristotelēs
(アリストテレス)
・・・
・・
・
「…ふ〜む」(名前か〜…そういえば…G線上のアリアって曲があったわね〜♪…なんか女神のような名前だし…ふふ♪よし!それにしよっと!)
(Aria)
「この名前でも大丈夫?イールさん?」
優花は無事に楽国駅の導き人のオロアに案内され、案内所の事務所を訪ね、イールと出会っては入界手続きを行っていた。眼鏡を持ちながらその名前を確認する素振りを見せるイール。確認し終えた後、優花に対し、淡々と返答する。
「…問題ありませんね。良しとします。あと食事についてはFランクの場合は、あなた方の現世にある様な飲食店への入店をお断りされることが多いですね。その際は無人販売機の方にて食事するか、もしくは定期的にやっている炊き出しに並ぶか…そこは自由にしてください。」
「了解!…まあ働かないものにまともな食事がある訳ないわよね〜…」(カキカキ!)
「…ふふっ意外と素直ですね。」
「…へえ〜イールさんもそんなふうに笑うのね〜!!」(ニカッ)
優花はイールに意外な一面があることに少し安心したのか笑みを浮かべていた。書き終わった書類をイールに渡す。イールは少し落ち着いてから話しかける。
「…確かに書類は承諾とさせていただきました。これであなたの入界手続きは終了とし、貴女はこれから現世人【Aria】(アリア)として名乗っていただきます。こちらは貴女が現世人であることの証明となる勲章です。あとはこれを身につけていただきます。」
「ん?…腕時計?」
優花改め【Aria】はイールに渡されたものを確認した。勲章には【Questo mondo】と書かれており、もう一つは見た感じ腕時計であった。そしてそれについてイールから説明を受ける。
「それは通称【P-Watch】腕時計型デバイスです。手に着けてディスプレイを見てください」
「ん?…あら!?ハートが書かれてるわ……自分の健康状態を調べるスマートウォッチみたいなものかしらね〜?」
【Aria】は初めて【P-Watch】の画面を確認した。すると、自分の現時点のランクに、ハートの様なものが表示されている。
【Aria】 ランクF
【♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡】
現在は【paradiso】歴1999年12月です。
「それは貴方の魂の値です。計測した数値は大体のものですが、もしそれが無くなれば貴方の魂は消滅するという事をお忘れなき様お願いします。」
「…わかったわ。でも長い歴史があるのね〜!!」
するとイールは少し微笑んだ表情で【Aria】に説明した。
「この【paradiso】には最初、時間の概念はありませんでした。元々この世界は真っ白な世界でした。そんな時に、ある人には創造神とも言われ、中には重罪者とも言われた女性と、その女性を守り勇敢に守護して戦った男性。そしてその二人に付き従い、二人のために戦った一人の少年の言い伝えがあります。その人達の頑張りがこの世界に時間の概念を創り出し、この世界を作ったというのは昔から伝えられている伝承の歴史があります。」
「…へぇ〜!…でもその伝承通りにいけば今の時代にもそんな創造した神のような人を憎む連中が、この【paradiso】にも潜んでいるのかも知れないわね〜!」
【Keito】の言葉にイールは眉を潜め、深刻な顔でこう語った。
「ご明察通りです。現在ではそのような動きはありません。ですが、その残党の名前は確かに存在します。組織の名前はユートピア創造士隊と呼ばれており、白い衣を羽織り、その配下には【paradiso】各地にある闇に包まれた殺し屋ギルドに所属するユートピア人を率い、自分達の作るべき世界のためならば…時には殺戮をも厭わない集団がいます。そして…今も暗躍し続け、各地で反乱を起こそうと待ち構えております。」
「…!?な、なんですって!?…じゃあ今【paradiso】って世界は…私達の生きていた現世で…かつて昔起こったような戦争の時代のようなものなの!?…そんな世界に…私が…」
「もしその者達と対抗するための術を私達は貴女に素質があるか…試すことができますが…やってみますか?」
「…!?そんな方法があるの!?」
その言葉に【Aria】は驚き、イールは会話を続けた。
「はい。この【paradiso】は極めてあなた方の住んでいた世界とは非現実的なもので構成されている世界ですから。実力を問い、この【paradiso】に生き残れるか判断させていただきます。いわゆる貴女の体験してきた試練のようなものです…どうされますか?」
「……」
【Aria】は考えた。あの時の試練を見た限り、【paradiso】はただの楽園とは程遠い現実があることは感じていた。そしてあの時電車の中で自分に言い聞かせた言葉を胸に、こう主張した。
「…イールさん…じゃあ案内してくれる!?私は…その試練を受けるわ!」
その発言にイールは微笑んでその言葉を承諾と捉え、淡々と返答した。
「…わかりました。貴女の覚悟は伝わりました。こちらです。ついて来てください。」
【Aria】はイールの後をついていく。するとそこには広大な空間が広がっていた。
「!!…ここは!?…ギリシャでいう…コロシアムって奴かしら…広いわね。」
「はい、そして目の前に立って見てください。相手の方が来ます。」
「え?…!?…そっか。…相手は私って訳ね!!」
【Aria】は驚いた。自分の目の前に立っていたのは、かつて宣行と一緒に現世で過ごしていた優花そのものであり、それについてイールから説明を受ける。
「あそこにいるのは現世での貴女自身です。どうやら現世での突然の別れから、後悔の念が具現化して成仏できず、魂の集合体として人の形をして存在しています。」
「…なるほどね」
すると、相手の優花が声をかけてきた。
「…あなたが【Paradiso】の私…あなたを倒してでも兄貴の仇を討つためにも上谷を捕まえるためにあなたを倒してでも…現世に帰ってやるわ!!」
「!!」
【Aria】は現世での優花だった者の言葉に怯みそうになった。相手の声はまるで現世での未練を残し、自分達兄妹の仲を引き裂かれた悔しさと怨みと報復の念が混じり合った強い怒りに満ちた声を出していた。
「この試練の意図はかつての現世での自分自身と向き合い、見事に打ち勝つことで合格と致します。【Aria】さん…覚悟はいいですか?」
【Aria】は頷き、信念を持った目をしてイールに主張した。
「…ええ!!…目の前にいるのは私なんでしょ!!…目を覚まさせてやるわ!!」
相手の優花は【Aria】の戦う意志を見ては、一本のハンマーを持ち出しては、【Aria】に渡した。
「これを持ちなさい!!」
「!!うわっ!?…は…ハンマー!?…あははは!!…漫画の中だけど…私の憧れの女性のメインウェポンを渡してくるなんてね〜!…上等じゃあないの〜!!」(キッ!)
「…覚悟はできているようね!…流石は…私!!…でも負けられない!!」
「ではこれより、【Aria】vs優花との勝負を開始します。では両者共…」
「!!」(グッ!)「!!」(グッ!)
イールは始まりの合図の準備をしていた。周りは静かな空間が広がっている。風もなく無音の状態が続き【Aria】と優花はハンマーを持っては構え、臨戦態勢を取っていた。その中でイールは目を瞑りながら両者の勝負の合図をじっと待っていた。すると無慈悲にも戦いの合図が開始される。
「始め。」
🎼Back Ground Music 》》》
「はぁああ!!」
「はぁああ!!」
ブン!
ブン!
ギーーン!!
「!!…つつ!!」(ジリジリ…)
「ッ!!…腕が痺れるわね〜!!!」(ジリジリ!)
両者の振りかざしたハンマーは互いにぶつかり合い、両者は腕が痺れる感覚に襲われる。
「ぐっ…はぁっ!!」(ダッ!!)
「!!来たっ!!…危ないけど…そうも言っていられない!!……!?」(チャキッ!)
ガン!!
「…くっ!?」(やっぱりダメ。…あの時の…私が殺された時の…トラウマが…あって…!?)
バキィッ!!
「うっ!!…いった〜!!…!?…まずい!…はぁっ!!」(ブン!!)
べキィ!!
優花の降ったハンマーが【Aria】の右足の脛骨周辺に接触し、【Aria】の降ったハンマーは優花の腕に接触する。思わず激痛に耐える。
「!!っ……やってくれるわね〜…【Aria】!!」
「…あなたもね。…でも危ないから変に振り回すのはやめなさい!!…!?…っ!?」
【Aria】と優花はお互いにハンマーで戦闘していると【Aria】の頭の中に、優花の抱えていた心の声が聞こえていた。
《…私は…絶対に兄貴の仇を討つ!!…絶対に戻って、霧矢さんが私を助ける覚悟で犯罪組織に立ち向かったから…だから!!》
「!!…あなたは…それでいいの?…それで満足なの?…はぁ…なら仕方ないわ。」
カランカラン…
「!!…な…!?」
【Aria】は自分の持っていたハンマーを捨てては、優花の前に立つ。その様子はまるで戦意喪失したかのように立ち尽くしていた。
「……」
その様子に呆れと怒りを感じたのか、優花は【Aria】を睨みつける。
「…何をしているのよ!?…それでもアンタは私な訳!?…あ〜もういいわ!!…なら…今すぐ楽にしてやるわ!!」
ブォーン!
「……!!」
【Aria】はその場で立ち尽くす。しかし、いつまで経っても、優花の振り下ろされた鉄槌は降ってくることはなかった。そして【Aria】は目を開けるとそこにはハンマーを地面につかせては涙を流している優花の姿があった。自分の死の直前のことを思い出したからか、自らを手を下すことに恐怖を感じては涙を流していた。その様子に、【Aria】はこう語りかけた。
「…怖いでしょ?…私自身だもんね。」
「!!…黙ってなさいよぉ〜!!」(ポタポタ!)
パシッ!!
「なっ!?」
「…ほぉ…」(説得ですか…それもまた、自分と向き合うと言ったところでしょうか…)
【Aria】は真剣に優花と向き合おうとしている。しかし優花自身は抵抗しようとする。
「!!…くっ!離しなさいよぉ〜!!」(ブン!)
パーン!!
「…その程度〜?…ハァッ!!」(ブン!!)
パァーーーン!!!!!
「あぐっ!!…まだまだ!!…こんなの痛くもないわ!!…あの時の苦痛に…比べれ…ばぁ…!」(ポロポロ!)
「…!?」(グッ!)
再び【Aria】の頭の中に、優花の抱えていた心の声が聞こえていた。
《…私は…兄貴が警察学校に行くために、私の前からいなくなってから、寂しくないと言っては強気な発言していたけど…本当は寂しかったわよ!!…でも一人で生きて行かないと。…いつまでも大人になれないから…無理して…私自身我慢して、いつかは来る幸せを噛み締めて…それでも…樋川さんを救えなくて…》
「…そうね。…だからこそよ!!」
バキィイイ!!
「…!!…【Aria】…!!」
「…あなた自身も…私自身も…前に進まないと行けないの!!…そうしないと、兄貴も樋川さんも報われる訳ないじゃあないの!!」
「!!」
【Aria】は真剣な眼差しで優花の頬を叩きつけてでも、向き合わせようとする。しかし優花は頑なにそれを拒むかのように腕を振り上げながら言い放つ。
「!!…いい加減にその減らず口を黙らせてあげるわよ!!」
ブン!!
「効かないわ!!…ハァッ!!」
バキィー!!
「あぐっ!?…グーとはね〜!!…自分相手にやるわね〜…」
【Aria】は拳を握っては優花を攻撃し、まるで救済するかのように説得しようとする。そして武器であるハンマーを手に持っては、語り出した。
「…じゃあ聞くけど、あなたはこのハンマーをどうしたい訳?…これで私達兄貴を殺した奴を報復しては叩き潰したいの?」
「!?…ええ!そうよ!!アイツらが…上谷のせいで私達の家族の関係を…育ててくれた恩人の樋川さんまで殺されたのよ!!…絶対に許さないから!!…だからこれで裁きの鉄槌を下すためにね!!」
優花はハンマーにかける思いを【Aria】にぶつける。しかし、その表情はまるで優花を救うかのように微笑みを浮かべていた。
「…そうね!…確かに憎たらしい気持ちでいっぱいよね。…私もそう思っていた。でも今は違う!!…私はこのハンマーの使い道を…今度はそんな後ろ向きな気持ちでは振るわないようにして、これからは…大切なものを守護しては守り抜く為に振りかざす事にするわ。…その気持ちを…あなたにぶつける!!」
「!!…上等じゃあないの!!…じゃあ…見せてみなさいよぉ〜!!」(ブン!!)
「はぁああ!!」
ガキィイイイン!!!…カランカラン…!
「…!!…いっつ〜!!…う…腕が…そんな…負ける…なんて〜…」
バタン!!
「!!……勝ったのね。…私…」
【Aria】は渾身の力でハンマーの鉄槌を振り下ろしては、優花の手首に直撃する。優花の放ったハンマーは空を斬り、そのまま何もなく、地面に倒れ伏せた。そしてまたもや心の声が聞こえた。
《…負けたのね。…私は…ふふ。兄貴…私、自分に負けたよ…でも後悔はしないわ!…今度は守り抜く意志を感じるわ。…まるで兄貴の相棒のように…いい目をしているわ!》
「…そう…任せなさい!…絶対に守り切ってやるわ!…そして悪事を働く奴はこのハンマーで鉄槌を下してやるから見ていなさい!!」
「そこまで。勝者【Aria】」
「…やった〜!!」
【Aria】は勝利の雄叫びを上げた。すると優花は立ち上がり、【Aria】の前に来た。だがその目にはもう迷いは無く清々しい表情をしていた。
🎼Back Ground Music 》》》
「…負けたわ!…でも今更悔いはないわよ!」
「そ〜う?…それにしては顔が赤いわよ〜!?優花〜?」
「何を〜!?…ぷっあははははは!!!…でもそれも私か〜!!…じゃああとはお願いしておくわね〜【Aria】!!…霧矢さんの事…頼んだわよ!!」(…スッ!)
「任せなさい優花!!…今度は…絶対に守ってみせるわ!…大切な人を…この【Paradiso】の世界も!!」(パシッ!)
【Aria】と優花は互いの健闘を祈り、握手をする。次第に優花の身体が少しずつ消えていき、光の粒子となっては【Aria】周りを温かく包んだ。
「!?…イールさん!!…これは一体!?」
イールは【Aria】に対してこう伝え、説明した。
「どうやら貴女は自分自身と向き合い、【fiducia】と呼ばれる神託の恩恵を受けました。これより貴女にはこの【paradiso】の世界で使用できる隠れ持った潜在能力が開花しました。」
イールの言葉を聞き、【Aria】は少し混乱したが、それでもすぐに理解した。
「へぇ〜!!なんか漫画みたいな特殊能力みたいなもんね〜!!…うん!わかった!!…ん?」
【Aria】ランクF
【♡♡♡♡】
「あっら〜!…流石にダメージ受けすぎて減ってるわね〜…イールさん…これどうやったら回復するの?」
イールは【Aria】の問いに対し、こう答える。
「睡眠を取るなり、中には魂を補充する薬、また食事にも魂が補充される作用のものがあります。ですが今回は特別です。私が補充して差しあげます。」
「えっ!?できるの!?」
イールは何かの本を取り出し、お札のようなものを【Aria】の身体に貼り付ける。すると周りに光が宿り、心なしか体が軽くなったように思った。
「確認してみてください。」
【Aria】は腕時計を確認する。するとディスプレイの表示が変わっていた。
【Aria】 ランクF
【♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡】
「!?…うっそ〜!?…か…回復した!!…一体何が起こったの!?…!…そもそも導き人って何なの!?…オロアは怪力のヤンチャ娘で…イールさん…あなたは回復で…一体…」
するとイールは少し笑みを浮かべ、その問いに答えた。だがそれは先程のような親切なものではなく、何かを試すかのような笑みである。
「それは…これから貴方自身が知ることになりますよ…では次へと参ります。」
「…!?まだ何かあるの!?」
「は〜い♪せっかく貴方は【fiducia】に目覚めたのでその実力を試させてもらいま〜す♪」
【Aria】は聞き覚えのある声がしたので声のする方を向く。そこにはオロアが立っていた。
「…!?…オロア!!」
「オロア…それは私のセリフなのですが…」(やれやれ)
「まあまあいいじゃないですかイール姉様〜♪」
「姉様って…あなた達二人…姉妹の関係なの!?」
たわいも無い会話をしていると、誰かがこちらに歩み寄ってくる者が現れた。【Keito】は確認すると、イールとオロアと同じ髪色の長髪で顔面にカフスを着けた一人の騎士が現れた。見た感じ、女騎士と言えばいいのか【Aria】自身、少し困惑していた。すると、女騎士はこう語りかけた。
「お初にお目にかかります。私は彼女達の長を務めています…オーラルという者です。」
オーラルと名乗る導き人は丁寧に【Aria】に挨拶する。
「あ、これはご丁寧にどうもですわ〜。ほんでイールはん…一体何を始めようっていうんや?」
イールは少し笑みを浮かべて【Aria】に返答する。
「これから貴方にはオーラル姉様と戦っていただきます。言い分は問いませんので速やかに前に来てください。」
「…!?…ええっ!?…な…何で〜!?」(オドオド!)
「あら?…あなたは躊躇する側ですか…去年もやり合うことに躊躇した人がいましたが…まさかあなたも先延ばしするタイプであるとは…」
イールは去年の挑戦者の出来事を思い返していた。そのことから【Aria】も同類であるような予感がし、イールは少し悩んだ様子で頭を抱えた。
「…そうですかわかりました。でも有無を言わさず前に行きなさい…ではご武運を…」
「ええっ!?…ちょ…ちょっとイールさん!!」
「…はぁ…あなたもあの【Bill公】と同等とは少し情けなく思います…!は〜い!気を取り直してこれより、オーラル姉様と男勝りな兄貴っ子の【Aria】さんによるエキシビョンマッチを開始しま〜す♪」
それを聞いて【Aria】は流石に注意しようと強い剣幕にてオロアに詰め寄った。
「ちょっとぉ〜オロア!?流石にそれは言ったらまずいわよ〜!?…そもそも【Bill公】って誰のことよ〜!?」(クワッ!)
「ふっふ〜ん♪問答無用で〜す♪さあ女同士ですから正々堂々仲良くお話しする気分で行ってくださいね〜♪」(…トン!)
「…え?…うわぁ〜〜!!」(ビュ〜ン!)
オロアの人押しで、真ん中に【Aria】が配置された。そしてそれを待ち構えていたオーラルはこう話す。
「うちの妹達が無礼な態度をお取りしてどうもすみません…」
「まったくよ〜!!も〜うオーラルさんだっけ!?…本当にアンタあの子達の保護者なの〜!?ちゃんと責任取って見てあげないといつか本当に困るわよ〜!!」
するとオーラルはクスクス笑いながら笑みを浮かべ、真ん中へと歩み出す。そして、【Aria】に対して、こう言い放った。
「ふふふ、あれでも私の可愛い妹達なので多めに見てあげてください…では…!これより貴方の実力を試させていただきます。…覚悟は良いですか…?」(ゴゴゴゴ!!)
「…っ!?」(ゾクッ!!)
【Aria】は相手のオーラルの桁違いの気迫に驚いた。今までの人生で味わったこともなかった覇気を放っている。生まれて初めてここまで相手を威圧させる人がいることに驚きを隠せなかった。
🎼Back Ground Music 》》》
「…では…行きますよ!」(シュン!)
「!!…あぐっ!!」(メキィー!!)
ヒューーン!!
「…はぁっ!」(ブン!)
「ああっ!!」
ダァーーーン!!!!!
【Aria】はオーラルの目にも止まらぬ追撃により、脇腹に拳を叩き込まれてはそのまま宙を舞い、空中で受け身を取ることもできず、無慈悲にもそのまま重い蹴りが炸裂し、地面に叩きつけられる。地面にはクレーターが生じてはそのまま倒れ伏せてしまった。
「…うぐ…」(な…なんて力なの!?こんなのは初めてだわ…!?…ええ!?…た…体力がこんなに削られるなんて…)
【Aria】ランクF
【♡♡♡♡】
【Aria】は絶大的な強さを誇るオーラルを前にして、驚愕を隠しきれなかった。それを見てはオーラルは残念そうな表情をしては歩み寄り、自慢の剣を抜刀する。
「もう終わりなのですか〜?…誠に残念です…ここで…終わりにしましょうか…」
ジャキン!
「!!…け…剣!?」
「あらら〜!オーラル姉様がいよいよ抜刀しましたね♪」
「…そのようですねオロア…あのままでは…まずいようですね…」
オーラルは一刀両断する覚悟を持っては【Aria】を非情な目つきで見つめてはこう話しかける。
「折角あなたの【fiducia】の加護を受けられ、能力を引き出されなかったとは…これでは期待外れのようで残念です…ではご機嫌よう…!!」(シュン!)
「……!?」
「オーラル姉様…いよいよ決着ですね。」
「…さて…【Aria】さん…あなたは…」
「!!」(くっ!!このまま終わってたまるもんですか!!…あんな剣を弾き飛ばせる術さえあればこの自慢のハンマーで鉄槌を下すことだって…!?)
キィーーーン!!
「…!?…えっ!!な…何っ!?」
「お〜!!…どうやら【Fiducia】が発現しては身体が光出したようですね〜!!」
「そのようですね…オロア。」
「…へぇ…では見せてごらんなさい!!…あなたの能力を!!」(ジャキン!)
オーラルはそういうと【Aria】の目の前で健の先を突き立てては剣を向ける。その様子に【Aria】は意を決して立ち向かう姿勢を見せる。
「…はぁ!!」
ブォーーーン!!
キィーーン!!
「!?…へぇ〜…そういう事ですか…」
「お〜♪どうやら【Aria】さんの能力は!?」
「自分の身は自分で守る…バリア能力といったところでしょうか…」
「…これが…私の隠れていた能力ってことね…」
【Aria】の発現した能力は、大切な人を守りたいという気持ちから芽生え、守護する者としての能力であり、【Aria】自身の生活の中で生き残る術を身につけた、彼女自身の能力と言っても過言ではない。
「…来なさい!!…返り討ちにしてやるわ!!」(クワッ!)
「…ウフフ!…面白いですね…では来なさい!!」
「…ハァッ!」(ブォン!!)
ドゴォーーン!!
「!?…か…躱された!!…でも!!…ハッ!!」
ブォーーーン!!
【Aria】ランクF
【♡♡♡♡】
ー
バリア能力が発動されました。能力を過剰に使用しています。注意してください。
ズキッ!
「…!!くっ!!頭が…!!」(ズキズキ!)(副作用ってことかしら…)
「…能力を使い過ぎたようですね…ハァッ!」(ブン!)
パリーーン!!
「!?…あぁーーー!!!」
ドーーーン!!
「…く…くそっ…こんな…ところで…」(ガクッ…)
オーラルは【Aria】のバリア能力をいとも容易く破り去り渾身の力で蹴りをお見舞いしては壁に叩きつけた。思わず、【Aria】は気を失う。
【Aria】ランクF
【♡】
ー
危険です!早急に魂の補充を推奨します。
「あらあらいけません!イール!オロア!すぐに【Aria】さんを医務室に連れて行きなさい。」
「はい♪オーラル姉様♪」
「わかりました…」
タッタッタ…テッテッテ…
「…ふふ!」(そうですか…【Aria】さんの能力はバリア能力…その能力は救済を志す意志の力でもあれば大切な人の身を守る為の能力でもありますね…どうか大切な人を守ってみなさい。…かつて私の力に魅了されては救済の道を志そうとしては自称…私の弟子を名乗ったあの子のように…)
・・・
・・
・