🎼Back Ground Music 》》》
♪〜JOJO6部より・エンリコプッチ神父
〜【Paradiso】歴1999・12/25・【G島】【Olfes】地下礼拝堂〜
「…くう。…ハァ…ハァ…」
「ふふふ。…どうですか、我々救済ノ使徒に叛逆の意を示す…愚かな【現世人】エイミさん?…これでさぞ…屈服しましたでしょう?」
「……おふざけを。…あなた達のしていることは、もはや神に誓っても許してはくれ……!!」
バキャッ!!
「あぁぐう!!……くっ!!」
「……どうしても、私達の邪魔をするつもりなのですね?」
隙間から、十字架状の清らかな光が照らされる地下礼拝堂で、【Mireisia】は引き続き、【Eimi】に対し、執拗に暴力を振るい、罪人を制裁するかのようにワンドを振り、ぶつけていた。それを見守る信者から、ある一つの発言が飛び出てきた。
「…ミレイ救済ノ長殿。…一つよろしいでしょうか?」
「なんでしょうか?……取り込み中なのです。……手短にお願いしましょうか?」
「……気になったのですが。…エイミ。……彼女は…現世に住んでいた時、性同一性障害を持った…男性だったんですよね?」
「…それが何か?」
部下の一人は【Eimi】の現世での所業を聞いている。そして、肝心の要点を述べた。
「……では、彼は……性転換手術を受けたのではありませんかね?……もしかするとそこに……何かが……」
「!?……ふふ…アハハハハハ!!!!!!」
「……!!」(な…なんでしょうか?…い…一体?)
救済ノ使徒の集団は、【Eimi】には聞き取れない程度の距離をとり、会話をする。そして一つの可能性に辿り着いたのか、【Mireisia】は笑みを浮かべて部下の者を褒め称える。
「……冴えている答えでありますね。…流石は、私の部下であります!」
「……ははっ!…ありがたき…幸……!?」
グシャッ!!!!
「…!!」「…!!」「…!!」
コロコロコロコロ……ボトッ!
「……!!い…いやぁっ!!!」(ビクビク!)
【Mireisia】はその場で部下の者にワンドを振り付けて頭をクリーンヒットさせて首を刈り取るように跳ね飛ばした。その時の【Mireisia】の表情は、無情かつ冷徹であり、跳ね飛ばした者に対し、慈悲の無い最低評価のような言葉が下された。
「…そうやって私に褒められて……評価を上げて次期長を狙っていたのでしょうが………所詮儚い夢物語だったのですよ。…人柱以下の……下等なユートピア人風情がっ!!…【導き人】ではない……我々こそ、この世界において至高の存在である【救済派】!!……その幹部に成り上がろうとは……実に腹ただしい限りです。……まさに恥晒し……実に愚かな存在。…………そして……」
ザッザッザ……チャキン!!
「…!?…ひぃっ!…ミレイ!!あなたは一体何を!!??」(ビクビク!)
【Mireisia】はナイフを取り出し、【Eimi】の目の前に立ち尽くした。そして誰もが報われ、救われるような世界の平和を目指すような救済者の笑みを零すーーー
「………ウフフ♡………」
ハァーーーーッッ!!!!!
ザシュッ!!!!………!?
パリィーーーンン!!!!!!!
「あぁああーーーーーーーーッッ!!!!!!!!!」(ブワァッ!!!ドクン!ドクン!!)
【Eimi】は無慈悲にも、【Mireisia】に腹部をナイフで突き刺され、そのままこねくり回すように、深く腹部を切開される。あまりの激痛に魂の残渣物が飛散する中、悲愴にも大きな悲鳴をあげる。【Mireisia】はまるで医者のように、ある物を発見し、慣れた手つきでそのブツを摘出する。その様は、かつて現世で栄えていたアステカの文化において、民族を生贄に捧げ、祭壇で、心臓をもぎ取り、摘出した心臓を太陽の日の光に照らし、神に祈りを捧げる風習があったように、【Mireisia】もまた、その文化をこの【Paradiso】で、実際にやってみせた。信者が見守る薄暗い地下礼拝堂で、無慈悲にもその行為が執行されるーーー
ガシッ!!!!!……キラァーーン!!!!
「…………ふふ。…ウフフフフ!!!!……伝承にあった通り。…まさか現世でこのような、異様な…まるでバケモノのような生まれ方をした下賤な異教徒の者の体内から見つけ出されるとは。…ウフ。…ウフフフフフ!!……これこそ。…【救済派】の中でも…何者にも縛られない人生…!!…世界を実現する為に、6幹部と言われた【救済派】の中でも精鋭と言われていた主力部隊…【Demister】を復活させる重要な鍵!!……オーブ…名を……」
ヴィタス・レガーター!!(Vitas・legata)
【Mireisia】は【Eimi】の体内から、その物を摘出し、天高らかに見せつけるようにそう言い放つ。そして誇らしげに言い放った。
「…これでようやく、辛く、地獄のように縛られた人生から、【Paradiso】に住んでいる者達は…おさらばできるようです。…誰も理不尽に苦しまず、どんなに頑張っても、能力不足!足手纏い!…お荷物っ!!…無駄だ!…この世には必要ない!!………と、現世でも、この醜い世界でも家畜同然のように罵声を浴びせ続けられて……やがて孤立し……自分の存在意義とは、そう考えていくうちに生きる意味をも失い……結局は空っぽの人生を実感して自殺し…どんなに努力したところとて、他人が評価してくれなくて何も報われない。…生きていることが面倒になった。…そして、堕落の限りを尽くし……闇を宿して人を殺める者が量産される。…そう。…ここにいる信者がそのように…そうですよね?…皆さん?」
シクシク……( ; ; )
「あ…あぁあああああああっっ!!!」
「はは〜!!!ミレイ救済ノ使徒殿!!!…我々は、あなたのその慈悲深い姿勢で……身も心も……」
「救われるのですよ!!!…ああああああ!!!!あのクソ上司がぁーーーー!!!!!!よくもこの俺を実力がないだとか抜かして…無理に仕事を押し付けて………過労死させてくれたなぁぁ〜〜〜!!!!!!!」
「折角タダ飯を食らおうと、暴食の限りを尽くす為に刑務所に入ろうとしたのに……!!あの偽善野郎がぁーー!!!よくもあの時、俺を突き落として殺してくれやがったなぁーー!!!!」
ワーッ! ワーッ! ワーッ!
…【Eimi】さん。…彼らをどう思いますか〜?…これでも…哀れだというのですか?」
「かはっ!!ゲホっ!!……くうっ……ぅぅ…!!」
「……所詮どんなに綺麗事を言っても、社会から阻害され、泥沼のような生活を虐げられる貧弱な弱者には居場所などはなく、誰にも救われる事なく……このように無力にも罵られるだけ。…抵抗したところとて、踏み躙られるだけ。……非力な蟻がどんなに集まろうとも。……人間に敵うはずもありませんからねぇ〜♪…こんなように!」
グリグリ!!
「あぁぐう……くぅっ!……ぅぅ……」
【Mireisia】の無慈悲なる仕打ちを受けた彼女は絶望していた。魂で構成された身体の腹部を引き裂かれ、魂の残渣物が飛散する中、『もう自分はこのまま昇華し、身勝手な極悪人に手を下され、あの世へ行くのだ』という無力さを噛み締めていた。しかし、それでも彼女には、ある一人の男性のシルエットが脳裏に浮かんだ。
・・・
・・
・
『……エイミ!…しっかりしろ!!………っ!!』
諦めるな!!
「!?…ゔ……ヴェノ……おじさま……」
「ん〜?…この後に及んで……まだ戯言ですかぁ〜?………仕方ありませんね。………今すぐ……楽に…救って差し上げ……!?」
ブン!!…キラキラ!!
「!?……なぁっ!?」
『………その卑劣な手を、今すぐに離しなさい!………偽りの……』
《怠惰な偽善者同士の哀れな【救済派】の者達!!》
「……!?…ば…バカな……!?…何故……」
「あれはまさか………初代救済長……【Organa】!?…今から700年前に……この【Olfes】の街を創設した………【Paradiso】に伝わる……散々我々【救済派】の目論見を阻止してきた…」
「……広大な豊穣の大地を育み、繁栄をもたらし……その責務を全うしたとも伝承が残っている………救済ノ女神の一人!?」
一同の目の前には、青白い光を放ち、まるで幻影の如く現れたその女性は、【Olfes】の街の創設者であり、初代救済長の異名を持つ【Organa】である。その姿からは、神々しい女神の一人とされている。すると、女性は【Eimi】に近づき、腹部に優しく手を添えた。
『…………』
キィィィィン!!!!!
「……!?」(き…傷が塞がって!?……それに、あれ程……苦痛に感じた……痛みもない!?)
「!!…貴様ぁ!!」
「罪人から手を!!………!?」
ジュゥ〜〜!!!!!
「!?…ぐギャァ〜〜!!!!!……!!う……腕が……!!」
俺の腕がぁーーーーーー!!!!!!!
「!!……こいつは…!?…まるで現世の奇妙な絵の漫画で読んだ……特殊な呼吸法でゾンビを浄化するような…一体…」
【Organa】と【Eimi】を攻撃しようとした敵が手を出そうとした瞬間、まるで焦げ付くかのように、振りかざした腕が消滅した。その様を見て【Mireisia】はこう話す。
「なるほど。……その光のドーム状の壁……結界ですか?…それに、傷口は【Fiducia】の治癒能力を持ってしても簡単には治らないというのに、どうやら、あなたの持つご自慢の救済の神聖術を使い、その深傷をいとも簡単に治癒するとは。……全く……実に腹ただしい能力だ。……下賤な【導き人】がよこした……その槍に宿り、我々にとって……太古から脅威とされ、数々の【救済派】の者達を亡き者にした忌々しい偽りの救済の光……【Fiducia】の中でも類稀なる能力……!!」
《【Luster】の力で!!!!》
【Mireisia】は、【Organa】の持つ【Luster】の力に脅威を噛み締めていた。しかし、彼女はその発言に動じることなく、【Eimi】を手厚く治癒し、傷を修復させる。すると、【Eimi】は、発言ができるくらいまで回復したのに気づき、まるで獣の咆哮の如く、目の前の偽善の救済者に対し、反撃に出るかのように【Mireisia】を睨みつけ、こう主張して語りかける。
🎼Back Ground Music 》》》
Determination - Persona 4〜♪
「……ミレイさん。……あなたが理想としていて……見たい景色とは…一体なんなのですか?」
『!!…エイミさん…』
「………戯言を。…我々の理想を否定する……卑劣な罪人が。…一体何を言い出すかと思えば……」
「答えなさい!!…卑劣で……卑怯なのは…あなたの方ではありませんか!?」
「…!!」
『………』
【Mireisia】は、【Eimi】の発言を聞いて心が少し動揺した。そして尚も言霊のように、言葉が続く。
「…オルガナ様のおかげで。…本当の救済の意味が……罪人が裁かれ、その者を救済するという事が一体何なのか。……その目で見て…少しだけですが知ることが出来ました。………あなたが言っていることは、やはり……真実から目を背け、そこにはありもしない…見ているだけの上辺だけの理想かつ、まやかしの空想の景色しか信じようともしない……ただの無知な子供の駄々事……それを誰かによって実現してくれるまで、自らは身の潔白の綺麗な体のままでひたすらあり続けたいと言った……シスターにあるまじき欲の持ち主…【強欲】の中でも貪欲にすら近い、罪から逃れようとする…醜い欲望が深い持ち主なのですね。……あなた自らが汚れる事なく、ただ綺麗なものしか見ようとしかしない!……平和で理想事ばかりを望む事が、頭の中に入ってばかりの…自分からは具体的な目標や、何を成し遂げたいのかを……自ら自発的に、何も考えようとせず、想像でしかない神のような救済者を頼りに……ただ他力本願に、あなた自身が、体を汚す事なく堕落し、本来の救済活動を目指そうとすらせず、ただの仮初の平和を誇張するようなことばかりの言葉を言い放ち、この街で、散々街の人達や、自分達のいる家族に笑顔を届けるために、自ら汚れ役を買い…血のにじむような努力をしてきた…身体は汚れても、心は不摂生でなく、清らかな心の者達の頑張りすら認めようとすらせず、ただの汚らしい者と見下して!……そんなのは当たり前の事だと!…ただの偽善活動だと嘲笑い…!!私達がこれから行う事こそ、真なる救済の形だと……そのようにひたすら誇張してっ!……まるで張りぼての……見てくれだけの……【七つの大罪】の言葉で表すのであれば…とても【傲慢】で…【虚飾】という単語がよく似合う…自己中心的で……ただの【怠惰】の救済者の仮面を被った…ペテン師!!………あなたこそが……本当の大罪を犯した…正真正銘の……立派な罪深き者ではないのですか!?」
『…!!』
「!!だ…黙れ…!!…黙れぇぇぇっ!!!!」
バキン!!!!
「!!……くっ!!小癪なぁ!!この下賤な【現世人】の小娘の分際で………本当の救済の意味を知ろうとしない………生意気なガキめがぁ〜〜〜っ!!!!!!」(ブンブン!!!)
【Eimi】は治療を受けている間に、【Organa】が長きに渡って経験してきた救済活動のビジョンを傍観し、彼女はそれを言霊に変え、大きく大罪のワードを含めて主張する。その発言内容は、現世にも持て囃されている。それは太古の時代ーー4世紀エジプトーーー修道士のエヴァグリオス・ポンティコスの著作に現れた大罪の概念とされ、それぞれの罪には【虚飾】・【傲慢】・【暴食】・【色欲】・【強欲】・【憂鬱】・【憤怒】・【怠惰】ーーそれらの大罪の概念の基礎となり、最も重要であることを示す言葉として【枢要】を踏まえ【八つの枢要罪】(やっつのすうようざい)となった。後の世代となる6世紀後半には、グレゴリウス1世という者によって、その中に【虚飾】・【傲慢】ーーー【怠惰】・【憂鬱】という大罪が統合化され、新しく【嫉妬】という感情の大罪が追加され、後世から現在まで語り継がれる【七つの大罪】という概念が完成する。それらの大罪に見立てた単語を当てはめて【Mireisia】に強く、まるで獣の咆哮の如く反論するも、逆上した【Mireisia】は殺意を込めてワンドを叩きつけようとするが、【Organa】の放つ神々しい光の結界になす術なく弾かれる。その様子に、【Eimi】は心配そうに【Organa】を見つめる。
「……オルガナ…様…」
その様子に、まるで英霊の如き姿で、安堵されるように頬笑みの表情を浮かべた【Organa】は、聖母のように優しく語りかける。
『この程度……問題ありません。……続けなさいエイミさん。…あの惰弱なペテン師に告げて差し上げなさい。…本当の救済する者達の意味を…その心構えをも知ろうとしない……哀れな迷える子羊に……あなた自身の言葉で救済して差し上げなさい』
「!!……おのれぇ!!……よくも……昔から我々【救済派】の忌々しい敵…【時ノ人】メンバー…!!…【零六壱八時警団】!!……この……忌々しい亡霊共がぁぁぁっ!!!!!」
ダァン!!!
「!!」
『……【大罪人・ミレイ】……黙ってお聞きなさい!!……あなたは、自ら今まで積み上げてきた大罪の数々を……エイミさんがこうして代弁して、ご教授なさっているのです!!……何も知ろうとせずに他人を罵り、誇張して自らが上に上り詰めようとは……現世の言葉で述べるのならば…【笑止千万】と言われてもおかしくないと思われます!!』
「くっ!!……お…おのれぇ!!……世迷言をっ!!」
「……ミレイ。…何度でも言います。…あなたは間違っています!……確かに、この世の中は綺麗事だらけではありません。…影で法を破り…罪を隠蔽して偽証する……嘘が混じり合った醜い現世のような……辛い闇の現実だってあります。…現に……【Dail】邸の…偽りの主のように【暴食】と【色欲】の限りを尽くして生きがいとし、束縛して辱め、抵抗できないように陥れ……私も含めた弱者の立場にいるメイド達を服従し【強欲】にも、人身売買組織に売り込んで富を築き上げ…のし上がる為に誰かを踏み台にしてでも生きようとする碌でもない者達だっています。………先程の……私に対する行いからすれば…ミレイ。…あなた自身も例外ではないのではありませんか?……こうして何も抵抗することもできず…私の体の秘密を知り…性同一性障害の為、心と身体は不一致でも、実際は男の身体でもあった私の身体を…あなたは、同情するかのようにその杖で叩きつけ…弱らせて抵抗できないように束縛し、私の心の弱みにつけ込んで魅了するような…【色欲】の如き、色目を使って私の心と身体を委ねようと…マインドコントロールをして、支配して操ろうと企み……そして、我慢が出来なくなったあなたは、…先程も申し上げたあなたの大罪ではありますが……!!【強欲】にも私を罵った挙句に私の体内から、その宝珠をまるで【暴食】の限りを尽くさんとするように体をほじくり回し……探して毟り出し…奪い取ったのですからっ!!…このことから、もうあなたは、とても卑劣な強奪犯!……立派な賊ではないでしょうか!?」
「……っ!!」
「な……何だと……ミレイ救済ノ使徒長の苦労も知らない癖に…!!…貴様ぁぁっ!!……万死に値すっ!!」
ブン!!
ジューー…… あんぎゃーーー!!!!……お、俺の足がぁーーー!!!!!!
「いい加減学習なさい!!…あなた達では、この卑劣な者に触ることはおろか…手を下す事もできないでしょう!!」
「す、すみません!!」(っち!!…偉そうに言いやがって!!…この女ぁ!!…てめえだって!!)
『……それは、あなたも同じなのではありませんか?…大罪人・ミレイ!!』
「!!」
「!?」(あ、救済長オルガナもやっぱり思っていたのね……)
【Organa】はまるで煽って挑発するように、【Mireisia】に問いかける。その顔の表情は、激しいやるせない怒りにも近い感情が顔に出ている様子である。その様子を見届けながら【Eimi】は相手に対し、最後の罪を立証した。
「……認めなさい。……ミレイ。…あなたのしでかした大罪を。……これまでのあなたの経緯を聞いてわかりました。…あなたには、七つの大罪に相応しい、その今にも…火山のように噴火して吹き出しそうな【憤怒】の感情を露わにしてますね。………その複雑に混じり合った怒りの感情は…私を守護し温かく守ってくださり、初代救済長オーラル様が施して頂いた結界を破ることができない今のあなたは………そこにおられる部下にも、存在に対する疑いの目をかけられ、信頼を失いつつあります。私の隣にいる救済長オーラルの果てしない力の前になす術も見当たらないあなたは…正に【嫉妬】の大罪の感情を抱き……それは瞬く間に……今にも自分の緻密に練った作戦が都合よく行かなくなったと自覚し、ここで心が折れそうになってしまい……遂に無気力になり、これまでの自分の行いが…無意味となってしまったと唖然し、その感情はおそらく、このような卑劣な事を企てていたあなた自身が、以前から常々持ち合わせていた…一度辛い現実に打ちのめされ、這い上がれず何も出来ず……前にも進むことすら出来ず…誰かの頼りなくして生きる事をなし得る事が出来なかった…………最後の大罪を意味し。……気分が塞がり、決して心が晴れることがなく…無気力な状態が続いていた……あなたの…!!」
ビシッ!!………ビギーーンッ!!!
《【憂鬱】…の大罪を意味する感情を、…そして今あなたは、これらを含めた9つの大罪が、この十字架が照らされる地下礼拝堂で……その犯した重さを味わっているのではありませんか!?(いるんじゃあないのか!!?)》
「!!………グゥぅぅっ!!」(ビキィっ!!!!)
「………」
「………」
【Eimi】の強い主張が地下礼拝堂の中で響き渡る。その主張には、かつての男であった自分自身の感情に、【Veno・nix】が、まるで憑依して勇気付けられたからか、信念を貫き通し、相手の犯した大罪を見事に立証した。一同はその主張を聞き、沈黙が続いた。しかしそれでも【Mireisia】は、立ち上がり、その顔は、タチの悪い今にも祟って、末の代まで呪い、苦しめようとせんばかりの、現世のホラー映画のタイトル【呪怨】という名にも相応しい、まさしく怨霊にも近い、怨念のような禍々しい怨みの感情を見せていた。しかし、その表情から一変し、不気味に笑い出す。
🎼Back Ground Music 》》》
Unaltra Persona〜♪
「………ふ……ふふ…………フフフフフ………ハハハハ…………」
ハーーッハハハハハハ!!!!!!!アァーーーーヒャハハハハハハ!!!!!!!
「!!」
『!?』
「み、ミレイ救済長…殿!?……い、一体!?」
ガシッ!!ザシュッ!!……メリィーー!!!グチュ…グチュ…ドクン…!!!!!!
「ひ…ひぃ!!……お…おや……おやめにっ!!……!?」
ドクッ!!……メリッ!……ブチリッ!!!…ブシャーー!!!!!
「!!…い……いやぁああぁっ!!!!!!!」
『!?…ナイフで斬りつけて……心臓を……素手で毟り出して…摘出した……!!』
バクぅっ!!!ムシャムシャ……
「…!!……ぁ…ぁぁ……」(ビクビク!!)
「う…うわぁああぁっ!!!!!」
ダダダダダダ………
【Mireisia】は、とても人間がするとは思えない事をその場でやってのけ、見せつけた。古くから人間には、カニバリズムと言った人肉を食べる風習がある。しかし、ましてや生の状態のまま、心臓をそのまま口に入れるといった光景は、この場にいるものからすれば、想像を絶する光景であった。ユートピア人の【救済派】に所属する人間の心臓を、かつて現世の世界には、最古のアステカ文明の風習に、生贄を祭壇に招き入れて心臓を取り出し、壺に入れる風習があるように、摘出した心臓を、平気な顔で捕食する【Mireisia】は次第に苦い顔をし、心臓を床に落として踏み躙り、口に含んだ心臓の破片を口の中から吐き出し、血を水に濡れたタオルで丁寧に拭き、鮮血に染み上げて血を拭き取る。その様はまるで血を欲する吸血鬼でもあり、悪魔のようでもあった。その光景を見た救済派の者は恐怖を覚え、一部の者は、一目散に逃亡する。
「……ペッ!!全く…【救済派】に所属するものとして……下賤な血の味ですね。…このような腐敗しきった心臓の味から搾り取られた血の味………流石は元【創造派】の者ですね。……改宗したとはいえ……我々【救済派】への信仰が足りていなんじゃあないのでしょうか?」(ふきふき!)
『大罪人・ミレイっ!!…あなた…本当によくも……!!よくもこんなとんでもない事を!!』
「?…何の事でしょうか?…これを見て、あなた達は、一体何を見ているのでしょうか?…この者達は、あなた達の敵なのですよ?……この者は昔…【標本見聞解体新書】と言いまして……【創造派】の者がユートピア人の身体を解剖し、臓物を摘出し……あたかもそれを展示して見せしめにユートピア人を迫害して、隔離する措置を行った罪人なのです。……そしてある任務でしくじり……処刑されそうになった為、哀れと思いまして、私が手を差し伸べてあげました。…なのに。…たかがあなた方の発した言葉で揺らぐと情けない。………なのでこうして……私の犯した大罪を肩代わりして……自ら心臓を差し出してくれたというのに。…それに、これはあなた方にも得なのではないのでしょうか?……折角、敵である一人を片付けて差し上げましたのに……まぁ〜この男はあの時、私に口出しされてカッと来たのか、不届き者のような感情があったので、仕方なかったのですけどね……」
「…ミレイ!!…あなた!!本当に人間なのですか!?…こんな事をして…一体何が救済だというのですか!?」
【Eimi】は【Mireisia】にそう問いかける。しかし彼女は、特に悪びれる様子もなく話を進めていく。
「…はぁ〜……全く。……このような至高の存在の者に対し、何という非礼を。……実に愚かな存在の者ですね。……ですが…エイミ。…あなたから摘出したこの宝珠……世界の救済の為に、ありがたく使わせていただきます」
『答えなさい!!…エイミさんの身体から、そのような宝珠を取り出して……一体何を企んでいるのですか!?』
「……あなたが知る必要はありません。……過去の亡霊が…いちいち成仏できず……私に刃向かうとは実に愚かな。…………消えよ!!」
ブン!!
キィン!! ピキピキ!!!
「!?…亀裂が生じて……!?」
『…!!……ワンドを鎌に!?………くっ!!…思った以上に力を使ってしまったようですね……!!…このままでは……破られ………!!』
【Mireisia】は結界を破ろうと、ワンドの先端を鎌に見立てた刃を精製し、無理に結界を解こうとする。そして遂に、張っていた結界の耐久値が限界値にまで達した。
パキャーーン!!!!!
「あぁぐっ!!……くっ!……ぅぅ………」
『!!……エイミさん!!……!!』
「……いい加減楽になりなさい。…反吐が出る罪の存在……性別の壁の概念を変えてしまった…エイミ。…過去の忌々しい亡霊……………偽りの救済長………オルガナよ!!」
ブン!!!
🎼Back Ground Music 》》》
Thundering Herd 〜♪
クルクルクル!!
ブン!!!
キィーーン!!!!!
「!?……なぁっ!?」
「……!!」(ギリギリ!)
パキィーーン!!!!!
「!?……バカな。…鎌の刃が……砕け散った……ですって……!?」
…カン!…ビシューーーン……
ダキッ!
ビシューーーン……スタン!!
『……!!……あ…あぁ……あなた様は!?…///』
「……ごめんね。…遅くなったよ。…オルガナ」
【Mireisia】は【Organa】に攻撃を加えようとした。しかし、何者かによってその攻撃を阻止される。現れた相手の方の力が優っていたからか、持っていた鎌の刃が砕け、そのまま弾き飛ばされる。その間に、巧みにワイヤーを操り、傷ついて気を失っていた【Eimi】を優しく抱き抱えて距離を取った。現れた者は、【Organa】を知る者であり、ダークブラウンの髪色に、ダークグリーンの瞳が特徴的でブラウンのロングコートをたなびかせ、スタイリッシュに登場し、相手を鋭く睨みつける。その目からは相手を絶対悪と断言したのか、剣を構えて臨戦体勢に入っていた。
「……何者だ!!……貴様は!?」
「……お前達の方こそ……一体何者だ!?…散々、この女性を必要以上に叩きのめした挙句…相手に対し、そんな粗暴な素性の聞き方をするなんて………」
救済を志す者とは思えない…傲慢で身勝手な……極悪人もいい所だ!!!!
・・・
・・
・