🎼Back Ground
Music 》》》
♪〜TOSより・Rest of the Heart Sanctuary
【Paradiso】歴1999・12/25【G島】救いの街【Olfes】【Aria】の夢の中
一方その頃、世間はクリスマスで賑わう聖夜の日。その中で【Aria】はとても奇妙かつ非現実的な夢の世界の中にいたーーー
「あ、あなたは!?…もしかして初代救済長オルガナ様!?」
「はい。…フフッ……どうも…初めましてですね。……アリアさんとお呼びして頂いても宜しいのでしょうか?」
「…は、はい!オルガナ様!!お会いできて光栄です!!」(ぺこりぺこり!!)
【Aria】は初めて見る初代救済長【Organa】の姿を見てとても驚き、手厚く挨拶をした。その様子に【Organa】は微笑みを浮かべ、控えめにも謙遜の言葉を述べて返答する。
「ふふ!…そんなに申し訳なさそうに頭を下げなくても構いませんのに〜…それに私は、あなた様が思っている程、そこまで立派な者ではありません。…私のことは、どうかさん付しても宜しいのですよ♪」
「ええっ!?そっ、そんな恐れ多いですよ〜!初代でこの【Olfes】の街を一から作った立派な救済長に向かってそんな…」(アセアセ!)
「別に構いはしません…それにあなた様は初めて私の姿を見てお祈りをした時…私をさん付けしたではありませんか〜♪」
「…え?……!!…ああ〜〜っ!?」
・・・
『へぇ〜!初めてこの街を作ったとっても立派な人なのね〜!このオルガナ(【Organa】)さんって人〜…』
【Aria】はその時の会話を思い出したからか、少し申し訳なさそうな気持ちになった。
「…き、聞いていたんですね〜…」(たはは…)
∧( 'Θ' )∧・・・・・・・・
「ウフフ!…本当にユニークなお方ですね〜♪!…まるで…私の…仲間の…」
「…え?」
「いえいえ、こちらの話です。…ふふっ♪…ここでの町の生活にはもう慣れましたか?」
「…は、はい!…ミレイさんとオリアナ救済長のおかげでっ!…私は元気に過ごせています!!」(ぺこり!)
「そうですか。…それを聞き、私も安心します。…ふふっ!…オリアナ。…あなたが日々お祈りをしてくださっているおかげでありますね。…どうか…いつの時代でも、乱世と動乱が続く【Paradiso】の世界に…光輝の力の光による救済の御加護がどうかあらんことを…」
チャキッ!
……ヒィーーーン!!
「!!…十字架の…槍!?」
【Aria】は【Organa】の取り出した十字架のランスを見て驚く。その槍の刃からは、神々しい救済の光が備えられているかのような神秘的な光が照らされていた。
「…ふふっ!…どうですか?…神々しい光でしょう?」
「…は、はい!…思わず悪しきものを浄化するかのような…まるで救済を目的とした神秘の光のようでありますっ!…でもその光…一体何なんですか?」
「…それは、あなた様が後々…理解していくことです。…どうかあなた様に神のご加護があらんことを…」(ぺこり!)
「…あ、これはこれは…ってぇ〜!さっきやったばかりじゃあないのぉ〜!!」(ビシッ!)
「うふふふ!…それはツッコミというものですか?…お笑い…というのがお好きなのですね〜アリアさんは!」
「あ…!…なんか…すいません///」(ぺこり!)
【Aria】は【Organa】に対し、赤面の表情を浮かべて頭を下げる。その様子を微笑ましくなりつつもこう返答した。
「ウフフ!…それもあなた様自身の個性でもあり、救済の形なのです。…どうか自信を持ってくださいね♪」
「は…はい。…でも、一体ここはどこなんですか?…夢の中といえばいいんですか?」
「…感が鋭いですね。…その通りでございます。…ここは夢の心の中の世界…【Sognare】と呼ばれており、【Paradiso】の世界では吉夢とも言われる現象です…」
「?…どういう事……ですか?」(??)
【Aria】は【Organa】の告げたワードに対し、首を傾げて何が何だかと言わないばかりに理解が追いついていない様子であった。それに対し彼女は簡単に説明を行う。
「…アリアさん。…あなた様は【現世人】として【導き人】の試練を見事乗り越え、【Fiducia】という特殊な能力を授かっておりますね?」
「は、はい!…私はバリア能力で!…最近神聖術を影で勉強しては…」
「過労で倒れてしまい…保有していた【fiducia】の能力の一部として…結果的にあなた様はこうして夢の中で過ごすことになってしまったのですね。…アリアさん、無理はいけませんよ。…神聖術は1日も早く身に付くものではございません!…少し身体を休ませたりして、着実にコツコツと計画的に学ぶようにしていただければと思います!」
「たはは〜!…面目ありませぬ。…でも、この神聖術って…最初、オルガナさんが作ったのですよね?」
「はい」
「…とても苦労したんですよね?」
「…そうですね。…それは…途方に暮れる歳月が流れる日々の連続で……それでも私自身……少しずつ研究を重ねに重ねて……見事にこの神聖術を編み出し…これを【Paradiso】の世界全土に布教し。…提唱しました」
「……素晴らしいですね〜!…あなたは本当に…」
「…いえ、私は無力ですよ。…まだまだ私の師匠で…あの【導き人】三姉妹の中でも長を務めていらっしゃる…マスター・オーラルの足元にも未だ及びません…」
∧( 'Θ' )∧・・・・・・・・
「…マスター・オーラル?……!?…えっ!?…ええええっ!!??…で…弟子ぃ〜〜〜!?…お、オーラルのおぉぉ〜〜〜〜っ!!??」
「あら?驚くことなのでしょうか?」(首かしげ?)
「そりゃあ驚きますよ〜!!…ええッ!?…本ッ当にあの怪力女の…あの【導き人】のオーラルの…弟子なんですかぁ〜〜っ!?」
「そうなのですよ〜♪」
「…となると…ひょっとしてオルガナさんって【現世人】なんですか!?」
「ふふふ…違いますよ♪…私は生まれも今から約700年くらい前のユートピア人として生まれました。…あまり碌な生き方はできませんでしたが…ある方達との出会いで…私は救われました……本当に……」
「…?…どういうことなのですか?」
【Aria】は【Organa】の発言から、何か気にかかるように感じていたようである。その言葉を遮るかのように、【Organa】は話しを続ける。
「あらあらいけませんでしたね。…ではアリアさん。…一つお願いしても宜しいでしょうか?」
「は、はい!…何でしょうか?」
【Organa】はそういうと十字架の槍を構え、宣言した。
「…私と手合わせ……お相手、お願いできますでしょうか?」
「え?……!?ええっ!?…まさか戦うの!?」
「はい!…それとも、怖気付いているのですか?…そんなにオドオドされるともなれば…さぞマスター・オーラルも失望していることでしょう…」(シュン…)
「!!」(うっ!…た…確かに…)
【Aria】の頭の中にはうっすらと、オーラルがニヤニヤとしたような表情が見せていたようにも感じていた。しかし【Organa】は一歩も引こうともしなかった。
「…どうなされますか?」
「……いいですよ!…私だって女として…伊達に何年生きてきたか!!…やってやろうじゃあないのぉ!!」
ジャキン!
🎼Back Ground
Music 》》》
TAKE UP THE CROSS〜♪
【Aria】は決意したのか、腕には愛用武器のハンマーが握られていた。その目つきも、まさに真剣な表情をしていた。
「…オルガナさん!…お相手お願いするわ!…絶対に勝ってやるんだから!!」
「ウフフ!…では…行きますね!」
ダダッ!!
「!!…は…はや!!」
バキィーー!!!
「あわぁーーーーっ!!」
ザザーーッ!!!
【Organa】は【Aria】に強烈な蹴りを加える。すかさず身体は飛ばされ、草むらを摩擦し豪快に滑っていく。
チャキン!
「…お立ちなさい!…まだあなた様の息はあるように思いますが…?」
「っぺ!!……やってくれるじゃあないのぉ〜!…さすが初代救済長!…そうこなくっちゃ〜ね〜!」
タッタタタ!!
「…大振りですね…」(チャキッ!)
「…ふふ!」
ガギィーーン!!
「!?…バリアーですか…」
「ご名答!!…そりゃあ!!」
ブン!!
ガキィーーン!!
「!!…なぁっ!?」
【Aria】はバリアー能力を使用し、相手の攻撃を反発させて隙を狙うも、【Organa】はその攻撃を見抜いていたのかいとも容易く防がれる。
ギリギリ……
「……っ!!」
「…そう簡単には取らせませんよ。…それに…大振りの武器であるからか…!!…攻撃に隙がありすぎです!!」(ギリギリ…)
チャキン!!
ザシュザシュザシュ!!
「!!あぐう!!…くっ!!」(み、見えなかった!?…なんてスピードなの!?)
【Organa】は所持している光のランスを神速の如く乱れ突きして【Aria】を攻撃する。しかし、それだけでは終わらせない様子なのか更に追撃をかけていく。
「…それでおしまいだと?…これからですよアリアさん!!」
パチン!
「!!…な…なに……!!」
「……あなた様の張り巡らせているバリアー。…利用させて頂きますよ!!」(チャキッ!)
ブォーーン!!…ヒュンヒュン!!
ザシュザシュザシュ!!
「ああっ!!…くうっ!」(…私を囲んでいる結界の中に…光の矢を放って反射させた!?…まるで銃の跳弾のように!?)
【Aria】は驚愕した。【Organa】の戦闘能力は、オーラルの弟子と言っても過言ではない程の戦闘能力を持っていることをその身で理解した。しかし顔に出ていたからか、【Organa】はそれを否定するかのように伝える。
「アリアさん。……私をマスター・オーラルと同等の力を秘めていると思っているようでございますが…それは大きな間違いですよ…」
「!!…なぁっ!?」
「言ったはずです。…まだ私の実力と戦闘力は…彼女達…【導き人】の足元にすら及びません。……何よりも、その器量にも到達すらしておりません。…この力は最低限度の救済に必要な力です。…故に…それは…」
「…それは……!?」
ゴゴゴゴゴゴ…
【Organa】は穏和な表情から一変し、まるでこの世の世界の闇や非情さを知り尽くしてきたような表情をし、このように語る。
「…この【Paradiso】の世界は…非情です。…実力がなく、力持たざるものはなすがままにされ、まるで家畜のように人以下の扱いを受け…何れ滅びゆく運命です。……!!だからこそ私の持つこの力は、大切な民や人々を…命を懸ける覚悟を持って守り抜く力としてあるのです。…ではアリアさん、ここで一つ質問です。…あなた様には守りたい者がおいでですか?…それはあなた様自身の命に変えてでも…その人を守ろうとする意志は本当におありなのでしょうか?」
「!!」
【Organa】の言葉に【Aria】は怯みそうになる。しかし、彼女は尋問するかのように問いただす。
「…答えなさいっ!!」
「……!!」
「どんなに悩んでも…!!時間というものは無慈悲にも待ってはくれないのです!!…あなた様がこうして悩んでいる間にも!…今もこの世界では苦しんで命を落とし、中には略奪を受けて奴隷のような扱いを受け、犠牲になっている人達がいるのですっ!!」(ジャキン!)
「!!…分かっているわよっ!!…そんな事くらいっ!!」(チャキッ!)
「威勢だけは誉めて差し上げましょう…ですが、それだけでは…この動乱と騒乱の渦巻く【Paradiso】の世界を救済することは…」
シャッ!!
「!!…もう好きにはさせないわッ!!」
ガキィーーン!!
「…!!…守りときましたか?…ですがそれだけでは無意味です!!…ハァッ!!」
バキャッ!!メリメリメリ……
パキャーーン!!…バキィッ!!
「かはあっ!!!…ああーーーっ!!!」
ズザーーー!!!!
「………」(クルクルクル…)
キィーーーン!!!
「……!!…くっ…こんな…ところで…」
「まだまだのようですね。…その程度でこの世界を巡ろうなどとは…《笑止千万!!》無謀にも程があります!!…どうか武を弁えてください!」
「!!…っ!!…そうね。…まだまだよね〜私は!…でもね初代救済長のオルガナさん…」
「!!」
【Aria】は尚も立ち上がり、まるで兄の宣行のように信念のある瞳で【Organa】と真正面に向き合おうとする。
🎼Back Ground
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♪〜PsychoーPass2〜FeatーAkane
「…私はこんな事で負けやしないし、へこたれやしないわよ〜!!…さあ覚悟しなさい!!」(キッ!)
「…そうですか。…では…かかってきてください!!」(チャキッ!)
「…!!あぁあああっっ!!」
ブン!!…ブォン!!
「…一心不乱に鉄槌を振り回した所で…私に…!!」
ガキィーーン!!
「!?…捉えてきた!?」
「へへ〜んだっ!…こう見えて刑事の兄貴譲りだからか、何故か勘がいいのよね〜♪!…そりゃあああっ!!どんどん行くわよ〜!!」
ブンブン!! ブォン!!
「……っ!」(…なるほど…何かしらの信念を持ち…不屈の闘志はあるように感じられますね。)
「ハァッ!!」
ガキン! キン! キィン!!
「…くっ!なかなか一本取らせてくれないわね〜!」
「…そう簡単には行かせません。…ですが…最初に比べ…いい目をするようになりましたね」
「そうですかね〜?……でも負ける気はないんだからね〜私は〜!!」
【Aria】は【Organa】に意地を張ってでも立ち向かう。その目には兄宣行が持っていた刑事としての信念と正義に重んじる目をしていた様子である。その表情には【Organa】も興味深そうに観察していた。
「……ふむ」(アリアさんの目……あれはまるでこの世の悪を断じて許さんとする正義心溢れる目をしていますね。…ウフフ♪…なんだかあの人のことを思い出します……)
「っ!!…まだ余裕そうね〜!…そろそろ本気で…行くわよ〜!!」
ブォーーン!!
ガキィーーン!!!
「!!…なぁっ!?」
「…残念でしたね」(ですが、その秩序を重んじる力は…圧倒的にあなたの方が一際凌駕しておりますが…!!)
【Organa】は心当たりのある人物の事を思い【Aria】の攻撃を容易く受け止め、反撃の狼煙をあげるかのように重たい一撃を振りかざす。
「…ハァッ!!」
ブン!!……キーーン!!
「……!?」
「…………」
カランカラン!
【Organa】の持つ十字架の槍から、まるで居合のような神速にも近い凄まじい薙ぎ払いの一撃によって【Aria】の武器であるハンマーは弾かれて宙を舞い、無慈悲にも地面に叩きつけられる。
「そ、そんな…」
「…まだやりますか?」
「…降参よ。どうやら今の私では…オルガナさんには叶わないようね〜…」
「ウフフ!…潔くていい心がけです♪」(クスクス!)
「あっ!元の性格になったっ!!…まさかオルガナさんって二重人格なのッ!?」
「…?…なんのことでしょうか?」(首かしげ?)
∧( 'Θ' )∧・・・・・・・・
「自覚なしの天然ジゴロなのね〜。……とほほ。…こりゃあ厄介な救済者の人と出会ったものよね〜…」
【Aria】は呆れたかのように、【Organa】と話しを続ける。すると、強く眩い光が照らされてきたようである。
キィーーーーン!
「!!…この光は、一体!?」
「それは神聖術の一種です。今後あなた様のお役に立つことを祈るばかりです。…では私はこれにて…」
スタッ!タッタッタ…
「ま、待って!?…また会えますよね?…オルガナさん?」
「ウフフ♪…はい。…今度は更なる高みまで…強くなっていてくださいね。…そろそろ目を覚ます時ですよ…」
「!!」
キィーーーン!!
🎼Back Ground
Music 》》》
「!!…あ…ここは?」
「あ、気がつかれましたか?アリアさん?」
【Aria】は目を覚ました。その目線の先には同僚の【Mireisia】が心配そうに顔を覗かせていた。
「!!…あ〜ミレイさん!……どうもごめんね〜心配かけて!」
「いえいえ!…ですが今日のところは、どうかゆっくり休んでくださいね…」
「え!?…だけど…」
「体は貴女だけのものではありませんよ!…救済する者が倒れてしまっていては、その人は一体…何の為に救済するか分かりませんからね♪…では、ご厄介はここまでとしておきます…では失礼します」
バタン!
【Mireisia】は少し不機嫌そうに扉を閉め、その場を立ち去った。その様子に心配をかけたと思い【Aria】は謝罪する。
「…そっか。…なんだか心配させた上に悪いことしちゃったな〜!…さっきの夢でのオルガナさんとの戦いは、これに対する警告だったりしてね〜!…あはは!…まさかね…」
チラッ!
【Aria】は【Organa】に見立てた女神像を見物していた。その表情は微笑んでいるも、先程の夢の中での戦闘の事から、この表情の裏側には、救済とは程遠いとてつもない苦難があるようにも感じ取られていた。そしてその苦難は【Aria】の他に、遠くにいる【Veno・nix】も例外ではないのかもしれないーーー
・・・
・・
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