🎼Back Ground Music 》》》
〜その頃ゆいの乗車していた【paradiso】行きの電車〜
その頃ゆいも、分身していた汽車長のオロアから小包を受け取っていた。
「なんですかこれ?…小包?…開けても構いませんか?」
「どうぞ〜♪」
「…!!…これって!?」
ゆいからの小包には、あかりからのひまわりのヘアピン、フネからもらったお守り、そして、家族の写真が入っていた。それを見て思わずゆいは涙を流した。
「うぅ…ありがとう…お父さん…お母さん…お姉ちゃん…おばあちゃん…あかりちゃん、フネさん…私…おかげさまである人のおかげで【paradiso】に行けたから…」
泣きそうになっていたゆいの雰囲気をぶち壊すかのようにオロアは話を続ける
「は〜い!いつまでも葬式のようにメソメソしないでくださいね〜♪あとはこれもどうぞ♪」
「…え…?これってDVDですか?」
「はい。あなたへのビデオレターです!」
「え?でも、あ、再生機はあるようですね!」
「はい♪ではごゆっくり〜♪」
そう言い残し、オロアは次のフロアへと去っていった。
「でも何が写っているのでしょうか?」
ゆいはDVDを再生機に入れて中身を確認してみた。DVDは現世の事の内容が収録されていたビデオレターであった。
「…あれ写っているの…お姉ちゃん?」
『すみません今月いっぱいで仕事辞めさせてください』
『ええっ西野くん、何を言っとるのかね!?君が抜けられたら…』
『すみませんが…私の家庭の事情なので…』
『に、西野くん…クソッ!せっかく二年前に海外にいかせてやったのにその恩を仇にするのか!?』
『…ごめんね…本当にごめんね…ゆい…うぅ…うぅぁぁあぁぁああ!!!』
「…お姉ちゃん…私が死んでからこんなに…辛かったんだね…」
『ゆい…ううん!いつまでもあの子のことで二ヶ月も仕事していなかったら本当に駄目よ。早く仕事を探さなくちゃ!…でも…やっぱり…』
〜東京・渋谷のオフィス〜
『本日から女性警備員として勤務することになりました西野ありさと申します。よろしくお願いします!』
パチパチ!
『ゆい…とりあえず次が決まったわ…本当に…でもそれでもあなたは…うぅ…うぅぅぅ…!ーーーー』(ポタポタ!)
すると突然画面が入れ替わり、ありさが誰かと食事している画面に切り替わった。
「え?…!?あれここに写っているのって…お姉ちゃんと…!…え!?あの人…髪は黒いけど…まさか…」
ゆいは驚いた。自分が【Delka】で助けてくれた人は、姉のありさと知り合いでもあったという事を知った。
『…まあ無責任で厳しい言い方をするかもしれませんが、俺から言わせてもらえば西野さんはいつまでも妹さんとの別れを引きずり続けるのはよろしくないと思うんです』
『…えっ…』
『妹さんのことを忘れずに思い続けるのはまだ良いと思います。だけど妹さんの死んだことをずっと引きずり続けながら生きていくのはその妹さんの心の奥底をきちんと理解していないように思うんです。死んだことをいつまでも引きずってしまっても、その人が生き返ることはありません。そもそも引きずるって言葉は引っ張っていくとは違い、引きずるっていうのは地面に引きずられて相手が痛々しくなってもその痛みを気にしないまま、いつまでも離さない状態をいいます』
『!!』
『そう…西野さんは知らず知らずのうちに、妹さんの事実から向き合っていないまま、自分本意の押しつけにも近い気持ちで傷つけてしまい、判断を下させないまま別れができずにずっと引きずっていたのだと思います…』
『……』
『…まあ俺も海上自衛隊で似たような話ではありますが昔日本海軍の特攻兵団の手紙にも、特攻で死んでも、戦争で散ってしまったあの世の仲間と家族に会えるって風潮があったりしました。結果的にそれがどんな風潮で流行り出したのか、またその人が結果的に特攻してあの世で仲間や家族と再会できたのか…まあそんなアバウトな事…今のこの現在になっても結局調べようがないものですし…むしろ出来ないからこそ教材として美談にして取り上げる人もいれば、爆破テロだとか無駄死にだとか言ってる人もいます』
『まあとにかく、俺からしたらその人達に変わってするべきことは、彼らにとって命を懸けてまで覚悟ある行動を起こしたからこそ、今こうして日本を繋ぎ止めていることが事実なんだということに敬意を払うことですね。結果的に日本は負けましたが、いつまでも立ち向かう意思を持たずしかり。前を向かずに無駄死だったということで終わらせはいけないものです。自分がどのように生き、何をなすべきか常に考え、次の世代に繋ぎ、繋いだ人から次の世代に繋いでいくことが必要なんだということを、一人の自衛官として俺は学んできた次第です!』
『…!』
『…だから西野さんも元気出してください。妹さんが亡くなった今でも、あなたの人生は時間が続く限り続いています。命あれば人生はいくらでもやり直せます。俺よりも社会人としてもキャリアを積んできたベテランなのですから自信持って次へ繋いでください。未来は思った以上に明るいはずです!』
『……うん!!』
『…それに、悲しみに暮れて泣いてしまい、ネガティブ思考になっている西野さんはなんか本来の西野さんらしくないというか、俺としては、西野さんには笑顔でフランクなあなたでいて欲しいと思うんです!』
『…え!?…///』
『…まあとにかく前向きにと言った感じです。真面目も良いですが程々にして、これからもよろしくお願いします。西野警備員さん!!』
『…ふふっ、そうね…こちらこそよろしくね!…二ノ宮くん…いえ、二ノ宮教官!』
「…そうだったんだ…白狼さん…私が亡くなってから落ち込んでいたお姉ちゃんを慰めてくれていたんですね…でも白狼さん…あなたもこの世界にいるということは…何か…」
ゆいは白狼の亡くなったことについて考えていた。そうしている間に映像が変わった。その映像を見てゆいは手を口に押さえて驚いた
「…!変わった。今度は何?…誰かの葬式ですか…え!?…白狼さんの…葬式…でもあそこに写っているのは…あ…お姉ちゃん」
『こんばんは…久しぶりだね…二ノ宮教官…いえ…今日ばかりは白狼くんと呼ばせてもらうね…確かに黒髪から少し銀髪になったわね…でもあなたにとっても似合っているよ…』
『あの後…上と掛け合ってみたらぜひ紹介してくれ!すぐに採用したいと言われてね…できれば生きているうちにそれを伝えたかった…』
『もし生きていたなら…あなたと一緒に仕事ができる日々を楽しみにしていたけど…こんなことになって…とても悲しくなって…ね…!!…っグスッ!』
『白狼くん…あなたがあの事故に見舞われたのは後から知ったわ。その時にあなたからの連絡が来ず、とても嫌な胸騒ぎがしたの…』
『まるであの時、妹のゆいが危篤状態になって、救急治療室に運ばれたときのように…とても…とても嫌な予感がしたのよ…』
『…それが今になってこんなことに…でも、ニュースの目撃証言を見てあなただと思ったの…!』
『一人の女性を必死になって守り、自衛隊員としての誇りを忘れず、その責務を貫き通したのだから…』
『…本当に優しい子ね…君は…無茶ばかりするけど…それでもその人を守りたかったのね…すごいよ…本当に君は…!』
『…だから胸を張って向こうでもいつまでも変わらないあなたのまま…元気でいてね…あなたがどうしても妹のことを引きずってて立ち直れなかった私に大事なことを伝えてくれたように…』
『…私は人生の中で、あなたに逢えて…本当に良かった…あなたのことを一生忘れない!!……ありがとう!…あと…』(ポタポタ!)
「…!え…お姉ちゃん!?///」
ビデオの中ではさすがにありさの心の声が聞こえなかったようだが、ゆいはありさの大胆な行動に赤面し、この場面についてこう語った。
「…そうですか…白狼さん…お姉ちゃんを励ましたけどその後…大きな事故に巻き込まれて…私のように…でもそれでも守りたいものがあったからこそ、あの人は現世でも恐れずに立ち向かう人だったのでしょうね…お姉ちゃんが白狼さんに惹かれた理由がよくわかりました。私もあの人に助けてもらって…それに…なんか白狼さんってかっこいいですもんね。昔のお兄ちゃんを見ているみたいで…///……って!?何言ってるんでしょうか私は…!///」
ゆいはビデオを見続けていると、昔知り合った人が登場するのを見て驚く。10年になってもその雰囲気はまだ残っている一人の紳士が白狼に挨拶をしていた。
「…え…嘘…!お兄ちゃん…でもなんで白狼さんのところへ…?」
『こんばんは、二ノ宮海士長。いやもう階級呼びはやめようか…では改め、白狼。君が海上自衛隊に所属して三年の月日の中で、君が学んだことを今回の件で実践し証明したようだな』
『さぞ、君の行動には敬意を払いたい。あの渋谷付近で起こった大事故のことは横須賀基地からも聞いていた。その時に死亡者リストに君の名前があったことに気づいた時、私はすぐに横須賀から和歌山まで駆けつけたのだ。』
『君があの時、犯人を止める行動がなければさらに被害が出ただろう。君の行動は本当に驚かされた。簡単にできることではない。普段の君の行動は、本能的に考えもなしに行動し、悪い方にも飛べば時に機転が効いたのか、良い方にも行く。』
『本当に、君は私が今まで見てきた隊員の中で何かと輝きを持っていた。不思議なほどに…あの時、海上自衛官として在籍して功績をあげていれば、私と同じように幹部になれる器があったのに…とても残念だよ。』
『だけどその結果、このような形で君と会って上下関係なく、割り切って対等に話すことができたのだ。それだけはお礼を言いたい。』
『もし、あの世に行ったとしても、君は人助けをするだろう、その時は私の教え通り責務を果たしてほしい』
『君なら私の教えを、自分だけが優越感に聳え立ち、他人を蹴落とすような欲に溺れた使い方をせず、本当に自分の守るべきものに力を出してくれることを心より願っている。』
『では、白狼、あの世でも達者で。私は君が亡き後でも落胆せず、常に向上の意欲を忘れずに前に行くことを約束する!…さらばだ!…我が戦友!二ノ宮白狼!!』(ビシッ)
「…そうですか…白狼さんはお兄ちゃんの元部下の方で、海上自衛隊を辞められてからは東京に住んでいてその時にお姉ちゃんと会って、そこで起こった大事故に巻き込まれたのですね…」
ゆいはその様子を見て関心していた。白狼は困っている人がいれば助けに行くことはゆいも先ほど知り、このビデオに対し、信憑性のある映像だと踏んだ。そしてこの後にゆいはさらに、続きを見ていく。
『み、三橋さん!?』
『み、三橋一等海尉!!』
『これはこれは三橋さんどうも。そうですか…その階級章を見る限り…そうですか…とうとう三等海佐になられましたか…』
「あの人たちは白狼さんの友達の方でしょうか…あの女の人、とても綺麗な方ですね…あれ…ということはですよ…お姉ちゃん…お兄ちゃんと…」
『やあ君達、三年ぶりか…久しいな…また君達に会えて嬉しいよ…菊川先生もご無沙汰しております…そして…十年ぶりの再会になるかな…ありささん』
『…はい。その節はお世話になりました』
『ゆいちゃんは…今はどうしてる?』
『…妹のゆいは…最近お亡くなりになりました。でも白狼くんが私を励ましてくれて…もう平気です』
『…!…そうか…それは残念だ。…すみません、白狼くんのお母さん、少し席を外しても…』
『いえいえ構いません!そのままこの子のそばで聞かせてやってください!三橋さん…西野さんも…それとみんなも、私達は何も問う気はありません。ねぇお父さん?』
『うむ、おそらくこいつもそれを望んでおる。思う存分聞かせてやってくれ』
「この方々が白狼さんのご両親の方。……なんだか雰囲気がとても似ていて…白狼さんのことを大切に想ってくれているようですね……」
『…はい。三橋さんとは昔、私が20歳の時、妹のゆいが9歳の時、父と一緒に防衛大学校の開校祭の時に知り合った仲なんです』
『ああ。だが懐かしいな…私は当時儀仗隊として式典の時、ミスすることなくこなし、お好み焼きの模擬店の方へ向かっていたその時にゆいちゃんと君に会ったんだ。あの時は元気そうだったのだが…』
『…あの子、昔から病弱だったんです。幼き頃、少しでも慣れさせるために祖母と一緒になって薙刀術を教えていたのです。』
『確か当時ゆいちゃんがそう言っていたな。…その後はどんな感じで?』
『…はい、その後、あの子は中学も病院に通院しながら登校し、成績は優秀で有名女子校に通っていたのですが、16歳の時に白血病を患い、私もあの子の治療のために働きましたが…19歳でこの世を去りました』
『そうか…病院さえわかれば、私も行けたのだが…幹部ともなると無闇に外出はできないことが多くなってな…どこの病院で入院を?』
『…広島の竹内総合病院です。そこに妹は入院していました』
『…な!!…そうか…よりにもよって私の地元で、祖母が通院している病院とは驚いた…!』
『えっ!?、そうなんですか、確かゆいは、あかりちゃんとフネおばあちゃんがいつも話をしてくれたと言ってましたね。元気がない時にフネおばあちゃんが昔沖縄で体験したことを話してくれて、なんだか生きる希望が出てきてすごく元気が出たとよく…』
『…!!…はぁ…全く…ゆいちゃん…うちの祖母とも関わりがあるとは本当に…』
「お兄ちゃんとお姉ちゃん…実に10年ぶりの再会ですね…もしかしたらこの運命を作ってくれたのは…白狼さんが…でもそのために白狼さんの命が犠牲になってしまったと思うと…うぅ…ごめんなさい…白狼さん…」
ゆいはその事実に涙を流していた。白狼が二人と知り合い、その後大惨事に見舞われ、白狼が犠牲になることで三橋とありさを引き合わせたと考えれば尊い犠牲のように思えたからだと。それを感じ、ゆいは涙が出そうになった。だがゆいは、後ろ向きにならず、白狼に対する感謝の意を込めて、このように強く念じた。
「…っ!!」(ですが…白狼さん…お兄ちゃんとお姉ちゃんを10年ぶりに再会する機会を下さり、本当にありがとうございます!この御恩は忘れません!)
ザザー…シュン!
「!!…な!?…また映像が変わって…!?…あ、今度は喫茶店でしょうか…?…どうやらお兄ちゃんとお姉ちゃん…何か話し合っているようですね」
🎼Back Ground Music 》》》
♪〜カルメン・マキより・時計をとめて
ゆいが白狼に対し、感謝の意を込めているとまた映像が変わっていた。そこには三橋とありさが何やら二人きりで喫茶店で話をしていた場面であった。その場所は人気のないところであった。ゆいはその映像をじっと見守っていた
『…ありささん』
『三橋さん…あの…なんでしょうか?』
『こんなことを言って失礼かもしれないが…君はあれから10年間…誰か好きな人はいるのかい?』
『…え…そ、それって…///…特にいませんね…あの…三橋さんは?』
その問いに三橋は首を横に振る。
『…私もいない。いや、そもそも私には家族を作ることに対し、その責任が持てるのかということだ…』(グッ!)
『…え?』
「あ、そうか…お兄ちゃん…昔お母さんがお父さんに手を上げられていて…でも、それでもお兄ちゃんはあんなことはしないと思います!特にお姉ちゃんにひどいことなんか…!」
するとありさは何かを察したのか、三橋の手を握る。
『…!…ありささん…』
『どうか、そんな辛い顔をしないでください三橋さん。その顔から…昔…何かがあったのですね?』
『ああ…昔、私の父と母は離婚している。そんな家庭に育ち、父を反面教師にして過ごし、母が女手一つで私を育ててくれた…』
『…はい』
『おそらく私には、どのように家族という居場所を作れるのか、仕事柄、私は遠方での勤務も考えられ、遠くに転勤ともなると、家族に対して寂しい思いをさせてしまうだろうと…それがあって、家族を作ることから逃げてしまったのだと思っている。そんな人でなしを誰がいつまで待ってくれるのかと…』
「…そうですね…お兄ちゃんも海上自衛官ですから、遠方の勤務はありますよね。でも…それでも…」
三橋の迷いのある言葉に、ありさは三橋に対してこう返答した。
『…待ちます!』
『…!あ、ありささん…!?』
「お、お姉ちゃん!?」
ありさの目は真剣であり、はっきりと三橋の目を見て、更に話し始めた。
『…確かに幹部である立場上、家を留守にする機会が多いでしょう。でも私は…本当にその人を愛する気持ちが誠であれば…私は寂しくはありません。…だって、あなたはこうして、私と再会し、こうして昔のように接しているのですから…だから…私は待ちます。誰がなんと言おうとも!!///』
『…!!』
『…あの…三橋さん…はっきり言ってもよろしいですか?』
ありさの問いに三橋はどっしりと構え、返事をした。
『…はい』
『…私は…あなたが好きです!!///10年前からあの時初めて会った頃から、あなたの事を…一日だって忘れることはありませんでした!!///』
『!!』
ありさからの大胆な告白に三橋は驚いた。だが三橋はありさに対してこう答えた。
『…こうなる日は覚悟していた。いつか巡り合わせで、今日と言う日が来るであろうとね。……私も覚悟を決めたよ…』
『…!』
「お兄ちゃん…」
三橋は、10年前の日に戻ったかのような表情をし、ありさに返答した。
『……僕も…君と初めて写真を撮影したあの時から…君の事を誰よりも女性として好きになれた。今日は…あの日の止まった時間を、君と一緒になってもう一度時を動かして…大切なかけがえの無い時の中で過ごしたい…いいかな?』
『…!!…はい…はい♡!!///』(ポタポタ!)
ギュッ!
三橋とありさはお互いに身体を抱き寄せ、二人の甘い時間を過ごした。その場面から喫茶店から流れていたカルメン・マキの時計を止めてが見事にマッチしていた。そして二人は10年ぶりの再会を心より喜んだ。
「…よかったですね…お兄ちゃん…お姉ちゃん…私も…この【Paradiso】で頑張って…生きます!…この世界で…!もし願うなら…白狼さんと一緒に…///」
ゆいは【paradiso】で生きていくという意志をさらけ出し、収録された内容が終わり、エンドロールに流れた曲を聞いて、ゆいは何かを感じていた。
🎼Back Ground Music 》》》
♪〜ゼルダの伝説・スカイウォードソードより・女神の詩
「?…なんでしょうか…クラシックでしょうか…?…でもこのハープの音色…なんか心地良いですね。それだけでなく、なんだか曲全体から壮大な物語の幕開けとも言えるような旋律がすごく伝わってきますね…励みになります…!…行ってきます…お兄ちゃん、お姉ちゃん、そして皆さん…お元気で…!」
〜ガタン…ゴトン…ガタン…ゴトン…
果てしない道を止まらずに進み続ける電車の中、ゆいは詩文を読むかの様にこれから出発という意気込みを言葉にした。
A girl who spends her days with a sickly body from an early age.
(幼き頃から病弱の身体で日々を過ごす一人の少女。)
In order to confront that fate, I found a way to fight against it.
(その運命と立ち向かうために、自分から努力して抗う術を見つけた。)
Know the preciousness of life in a limited life, and spend an important time on it.
(限られた人生の中で命の尊さを知り、その上で、大切なひと時の時間を過ごす。)
Sometimes he couldn't face his cruel fate and made a mistake, but he lived to the end with a warm and gentle heart of mercy.
(時に残酷な運命に向き合えず、仲違いを起こした時もあったが、温かく優しい慈悲の心を持って最後まで生を全うした。)
And from here, the real journey begins. In order to face his own illness and the fate of the life he experienced in this world, one daughter advances to an unknown world.
(そしてここからは本当の旅の始まり。現世で自分の疾病と向き合い、体験した命の運命と向き合うため、未知の世界へと一人の令嬢は進んでいく。)
ーーそして白狼とゆいの二人は【paradiso】の駅が着くまで、しばしの仮眠を取る。到着する駅の場所は違えど、お互いが再会できる日々を楽しみにしていたのか、心なしか笑みを浮かべていた。ーーー
《To Be Continued…→》
第9話:【paradiso】への道 白狼・ゆい編 Part1
《完読クリア!!》
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