GiorGiaNo

 
《Paradisoシリーズ〜導かれし七人の現世人の冒険譚》

   A.:GiorGia

〜ダブルフェイス〜黒豹と法と秩序の契り〜

第8話:【Paradiso】への道 豹策・優花編 Part2






【paradiso】への道 豹策・優花編 Part1の続きです。

《Capitolo・1》
物語を開始しますか?

🎼Back Ground Music 》》》



I see those who have overcome their desires as more brave than those who have defeated their enemies.It's the most difficult victory to beat yourself.
(私は、敵を倒した者より、自分の欲望を克服した者の方を、より勇者と見る。自らに勝つことこそ、最も難しい勝利だからだ。)

Humans are animals that pursue goals.Life becomes meaningful only by striving to reach its goals.
(人間は、目標を追い求める動物である。目標へ到達しようと努力することによってのみ、人生が意味あるものとなる。)

Aristotelēs
(アリストテレス)



・・・
・・



「…ふ〜む」(名前か〜…そういえば…G線上のアリアって曲があったわね〜♪…なんか女神のような名前だし…ふふ♪よし!それにしよっと!)

(Aria)

「この名前でも大丈夫?イールさん?」

優花は無事に楽国駅の導き人のオロアに案内され、案内所の事務所を訪ね、イールと出会っては入界手続きを行っていた。眼鏡を持ちながらその名前を確認する素振りを見せるイール。確認し終えた後、優花に対し、淡々と返答する。

「…問題ありませんね。良しとします。あと食事についてはFランクの場合は、あなた方の現世にある様な飲食店への入店をお断りされることが多いですね。その際は無人販売機の方にて食事するか、もしくは定期的にやっている炊き出しに並ぶか…そこは自由にしてください。」

「了解!…まあ働かないものにまともな食事がある訳ないわよね〜…」(カキカキ!)

「…ふふっ意外と素直ですね。」

「…へえ〜イールさんもそんなふうに笑うのね〜!!」(ニカッ)

優花はイールに意外な一面があることに少し安心したのか笑みを浮かべていた。書き終わった書類をイールに渡す。イールは少し落ち着いてから話しかける。

「…確かに書類は承諾とさせていただきました。これであなたの入界手続きは終了とし、貴女はこれから現世人【Aria】(アリア)として名乗っていただきます。こちらは貴女が現世人であることの証明となる勲章です。あとはこれを身につけていただきます。」

「ん?…腕時計?」

優花改め【Aria】はイールに渡されたものを確認した。勲章には【Questo mondo】と書かれており、もう一つは見た感じ腕時計であった。そしてそれについてイールから説明を受ける。

「それは通称【P-Watch】腕時計型デバイスです。手に着けてディスプレイを見てください」

「ん?…あら!?ハートが書かれてるわ……自分の健康状態を調べるスマートウォッチみたいなものかしらね〜?」

【Aria】は初めて【P-Watch】の画面を確認した。すると、自分の現時点のランクに、ハートの様なものが表示されている。

【Aria】  ランクF 
【♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡】

現在は【paradiso】歴1999年12月です。

「それは貴方の魂の値です。計測した数値は大体のものですが、もしそれが無くなれば貴方の魂は消滅するという事をお忘れなき様お願いします。」

「…わかったわ。でも長い歴史があるのね〜!!」

するとイールは少し微笑んだ表情で【Aria】に説明した。

「この【paradiso】には最初、時間の概念はありませんでした。元々この世界は真っ白な世界でした。そんな時に、ある人には創造神とも言われ、中には重罪者とも言われた女性と、その女性を守り勇敢に守護して戦った男性。そしてその二人に付き従い、二人のために戦った一人の少年の言い伝えがあります。その人達の頑張りがこの世界に時間の概念を創り出し、この世界を作ったというのは昔から伝えられている伝承の歴史があります。」

「…へぇ〜!…でもその伝承通りにいけば今の時代にもそんな創造した神のような人を憎む連中が、この【paradiso】にも潜んでいるのかも知れないわね〜!」

【Keito】の言葉にイールは眉を潜め、深刻な顔でこう語った。


「ご明察通りです。現在ではそのような動きはありません。ですが、その残党の名前は確かに存在します。組織の名前はユートピア創造士隊と呼ばれており、白い衣を羽織り、その配下には【paradiso】各地にある闇に包まれた殺し屋ギルドに所属するユートピア人を率い、自分達の作るべき世界のためならば…時には殺戮をも厭わない集団がいます。そして…今も暗躍し続け、各地で反乱を起こそうと待ち構えております。」

「…!?な、なんですって!?…じゃあ今【paradiso】って世界は…私達の生きていた現世で…かつて昔起こったような戦争の時代のようなものなの!?…そんな世界に…私が…」

「もしその者達と対抗するための術を私達は貴女に素質があるか…試すことができますが…やってみますか?」

「…!?そんな方法があるの!?」

その言葉に【Aria】は驚き、イールは会話を続けた。

「はい。この【paradiso】は極めてあなた方の住んでいた世界とは非現実的なもので構成されている世界ですから。実力を問い、この【paradiso】に生き残れるか判断させていただきます。いわゆる貴女の体験してきた試練のようなものです…どうされますか?」

「……」

【Aria】は考えた。あの時の試練を見た限り、【paradiso】はただの楽園とは程遠い現実があることは感じていた。そしてあの時電車の中で自分に言い聞かせた言葉を胸に、こう主張した。

「…イールさん…じゃあ案内してくれる!?私は…その試練を受けるわ!」

その発言にイールは微笑んでその言葉を承諾と捉え、淡々と返答した。

「…わかりました。貴女の覚悟は伝わりました。こちらです。ついて来てください。」

【Aria】はイールの後をついていく。するとそこには広大な空間が広がっていた。

「!!…ここは!?…ギリシャでいう…コロシアムって奴かしら…広いわね。」

「はい、そして目の前に立って見てください。相手の方が来ます。」

「え?…!?…そっか。…相手は私って訳ね!!」

【Aria】は驚いた。自分の目の前に立っていたのは、かつて宣行と一緒に現世で過ごしていた優花そのものであり、それについてイールから説明を受ける。

「あそこにいるのは現世での貴女自身です。どうやら現世での突然の別れから、後悔の念が具現化して成仏できず、魂の集合体として人の形をして存在しています。」

「…なるほどね」

すると、相手の優花が声をかけてきた。

「…あなたが【Paradiso】の私…あなたを倒してでも兄貴の仇を討つためにも上谷を捕まえるためにあなたを倒してでも…現世に帰ってやるわ!!」

「!!」

【Aria】は現世での優花だった者の言葉に怯みそうになった。相手の声はまるで現世での未練を残し、自分達兄妹の仲を引き裂かれた悔しさと怨みと報復の念が混じり合った強い怒りに満ちた声を出していた。

「この試練の意図はかつての現世での自分自身と向き合い、見事に打ち勝つことで合格と致します。【Aria】さん…覚悟はいいですか?」

【Aria】は頷き、信念を持った目をしてイールに主張した。

「…ええ!!…目の前にいるのは私なんでしょ!!…目を覚まさせてやるわ!!」

相手の優花は【Aria】の戦う意志を見ては、一本のハンマーを持ち出しては、【Aria】に渡した。

「これを持ちなさい!!」

「!!うわっ!?…は…ハンマー!?…あははは!!…漫画の中だけど…私の憧れの女性のメインウェポンを渡してくるなんてね〜!…上等じゃあないの〜!!」(キッ!)

「…覚悟はできているようね!…流石は…私!!…でも負けられない!!」

「ではこれより、【Aria】vs優花との勝負を開始します。では両者共…」

「!!」(グッ!)「!!」(グッ!)

イールは始まりの合図の準備をしていた。周りは静かな空間が広がっている。風もなく無音の状態が続き【Aria】と優花はハンマーを持っては構え、臨戦態勢を取っていた。その中でイールは目を瞑りながら両者の勝負の合図をじっと待っていた。すると無慈悲にも戦いの合図が開始される。

「始め。」



🎼Back Ground Music 》》》




「はぁああ!!」

「はぁああ!!」

ブン!

ブン!

ギーーン!!

「!!…つつ!!」(ジリジリ…)

「ッ!!…腕が痺れるわね〜!!!」(ジリジリ!)

両者の振りかざしたハンマーは互いにぶつかり合い、両者は腕が痺れる感覚に襲われる。

「ぐっ…はぁっ!!」(ダッ!!)

「!!来たっ!!…危ないけど…そうも言っていられない!!……!?」(チャキッ!)

ガン!!

「…くっ!?」(やっぱりダメ。…あの時の…私が殺された時の…トラウマが…あって…!?)

バキィッ!!

「うっ!!…いった〜!!…!?…まずい!…はぁっ!!」(ブン!!)

べキィ!!

優花の降ったハンマーが【Aria】の右足の脛骨周辺に接触し、【Aria】の降ったハンマーは優花の腕に接触する。思わず激痛に耐える。

「!!っ……やってくれるわね〜…【Aria】!!」

「…あなたもね。…でも危ないから変に振り回すのはやめなさい!!…!?…っ!?」

【Aria】と優花はお互いにハンマーで戦闘していると【Aria】の頭の中に、優花の抱えていた心の声が聞こえていた。

《…私は…絶対に兄貴の仇を討つ!!…絶対に戻って、霧矢さんが私を助ける覚悟で犯罪組織に立ち向かったから…だから!!》

「!!…あなたは…それでいいの?…それで満足なの?…はぁ…なら仕方ないわ。」

カランカラン…

「!!…な…!?」

【Aria】は自分の持っていたハンマーを捨てては、優花の前に立つ。その様子はまるで戦意喪失したかのように立ち尽くしていた。

「……」

その様子に呆れと怒りを感じたのか、優花は【Aria】を睨みつける。

「…何をしているのよ!?…それでもアンタは私な訳!?…あ〜もういいわ!!…なら…今すぐ楽にしてやるわ!!」

ブォーン!

「……!!」

【Aria】はその場で立ち尽くす。しかし、いつまで経っても、優花の振り下ろされた鉄槌は降ってくることはなかった。そして【Aria】は目を開けるとそこにはハンマーを地面につかせては涙を流している優花の姿があった。自分の死の直前のことを思い出したからか、自らを手を下すことに恐怖を感じては涙を流していた。その様子に、【Aria】はこう語りかけた。

「…怖いでしょ?…私自身だもんね。」

「!!…黙ってなさいよぉ〜!!」(ポタポタ!)

パシッ!!

「なっ!?」

「…ほぉ…」(説得ですか…それもまた、自分と向き合うと言ったところでしょうか…)

【Aria】は真剣に優花と向き合おうとしている。しかし優花自身は抵抗しようとする。
   
「!!…くっ!離しなさいよぉ〜!!」(ブン!)

パーン!!

「…その程度〜?…ハァッ!!」(ブン!!)

パァーーーン!!!!!

「あぐっ!!…まだまだ!!…こんなの痛くもないわ!!…あの時の苦痛に…比べれ…ばぁ…!」(ポロポロ!)

「…!?」(グッ!)

再び【Aria】の頭の中に、優花の抱えていた心の声が聞こえていた。

《…私は…兄貴が警察学校に行くために、私の前からいなくなってから、寂しくないと言っては強気な発言していたけど…本当は寂しかったわよ!!…でも一人で生きて行かないと。…いつまでも大人になれないから…無理して…私自身我慢して、いつかは来る幸せを噛み締めて…それでも…樋川さんを救えなくて…》

「…そうね。…だからこそよ!!」

バキィイイ!!

「…!!…【Aria】…!!」

「…あなた自身も…私自身も…前に進まないと行けないの!!…そうしないと、兄貴も樋川さんも報われる訳ないじゃあないの!!」

「!!」

【Aria】は真剣な眼差しで優花の頬を叩きつけてでも、向き合わせようとする。しかし優花は頑なにそれを拒むかのように腕を振り上げながら言い放つ。

「!!…いい加減にその減らず口を黙らせてあげるわよ!!」

ブン!!

「効かないわ!!…ハァッ!!」

バキィー!!

「あぐっ!?…グーとはね〜!!…自分相手にやるわね〜…」

【Aria】は拳を握っては優花を攻撃し、まるで救済するかのように説得しようとする。そして武器であるハンマーを手に持っては、語り出した。

「…じゃあ聞くけど、あなたはこのハンマーをどうしたい訳?…これで私達兄貴を殺した奴を報復しては叩き潰したいの?」

「!?…ええ!そうよ!!アイツらが…上谷のせいで私達の家族の関係を…育ててくれた恩人の樋川さんまで殺されたのよ!!…絶対に許さないから!!…だからこれで裁きの鉄槌を下すためにね!!」

優花はハンマーにかける思いを【Aria】にぶつける。しかし、その表情はまるで優花を救うかのように微笑みを浮かべていた。

「…そうね!…確かに憎たらしい気持ちでいっぱいよね。…私もそう思っていた。でも今は違う!!…私はこのハンマーの使い道を…今度はそんな後ろ向きな気持ちでは振るわないようにして、これからは…大切なものを守護しては守り抜く為に振りかざす事にするわ。…その気持ちを…あなたにぶつける!!」

「!!…上等じゃあないの!!…じゃあ…見せてみなさいよぉ〜!!」(ブン!!)

「はぁああ!!」

ガキィイイイン!!!…カランカラン…!

「…!!…いっつ〜!!…う…腕が…そんな…負ける…なんて〜…」

バタン!!

「!!……勝ったのね。…私…」

【Aria】は渾身の力でハンマーの鉄槌を振り下ろしては、優花の手首に直撃する。優花の放ったハンマーは空を斬り、そのまま何もなく、地面に倒れ伏せた。そしてまたもや心の声が聞こえた。

《…負けたのね。…私は…ふふ。兄貴…私、自分に負けたよ…でも後悔はしないわ!…今度は守り抜く意志を感じるわ。…まるで兄貴の相棒のように…いい目をしているわ!》

「…そう…任せなさい!…絶対に守り切ってやるわ!…そして悪事を働く奴はこのハンマーで鉄槌を下してやるから見ていなさい!!」

「そこまで。勝者【Aria】」

「…やった〜!!」

【Aria】は勝利の雄叫びを上げた。すると優花は立ち上がり、【Aria】の前に来た。だがその目にはもう迷いは無く清々しい表情をしていた。

🎼Back Ground Music 》》》



「…負けたわ!…でも今更悔いはないわよ!」

「そ〜う?…それにしては顔が赤いわよ〜!?優花〜?」

「何を〜!?…ぷっあははははは!!!…でもそれも私か〜!!…じゃああとはお願いしておくわね〜【Aria】!!…霧矢さんの事…頼んだわよ!!」(…スッ!)

「任せなさい優花!!…今度は…絶対に守ってみせるわ!…大切な人を…この【Paradiso】の世界も!!」(パシッ!)

【Aria】と優花は互いの健闘を祈り、握手をする。次第に優花の身体が少しずつ消えていき、光の粒子となっては【Aria】周りを温かく包んだ。

「!?…イールさん!!…これは一体!?」

イールは【Aria】に対してこう伝え、説明した。

「どうやら貴女は自分自身と向き合い、【fiducia】と呼ばれる神託の恩恵を受けました。これより貴女にはこの【paradiso】の世界で使用できる隠れ持った潜在能力が開花しました。」

イールの言葉を聞き、【Aria】は少し混乱したが、それでもすぐに理解した。

「へぇ〜!!なんか漫画みたいな特殊能力みたいなもんね〜!!…うん!わかった!!…ん?」

【Aria】ランクF 
【♡♡♡♡】

「あっら〜!…流石にダメージ受けすぎて減ってるわね〜…イールさん…これどうやったら回復するの?」

イールは【Aria】の問いに対し、こう答える。

「睡眠を取るなり、中には魂を補充する薬、また食事にも魂が補充される作用のものがあります。ですが今回は特別です。私が補充して差しあげます。」

「えっ!?できるの!?」

イールは何かの本を取り出し、お札のようなものを【Aria】の身体に貼り付ける。すると周りに光が宿り、心なしか体が軽くなったように思った。

「確認してみてください。」

【Aria】は腕時計を確認する。するとディスプレイの表示が変わっていた。

【Aria】 ランクF 
【♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡】

「!?…うっそ〜!?…か…回復した!!…一体何が起こったの!?…!…そもそも導き人って何なの!?…オロアは怪力のヤンチャ娘で…イールさん…あなたは回復で…一体…」

するとイールは少し笑みを浮かべ、その問いに答えた。だがそれは先程のような親切なものではなく、何かを試すかのような笑みである。

「それは…これから貴方自身が知ることになりますよ…では次へと参ります。」

「…!?まだ何かあるの!?」

「は〜い♪せっかく貴方は【fiducia】に目覚めたのでその実力を試させてもらいま〜す♪」

【Aria】は聞き覚えのある声がしたので声のする方を向く。そこにはオロアが立っていた。

「…!?…オロア!!」

「オロア…それは私のセリフなのですが…」(やれやれ)

「まあまあいいじゃないですかイール姉様〜♪」

「姉様って…あなた達二人…姉妹の関係なの!?」

たわいも無い会話をしていると、誰かがこちらに歩み寄ってくる者が現れた。【Keito】は確認すると、イールとオロアと同じ髪色の長髪で顔面にカフスを着けた一人の騎士が現れた。見た感じ、女騎士と言えばいいのか【Aria】自身、少し困惑していた。すると、女騎士はこう語りかけた。

「お初にお目にかかります。私は彼女達の長を務めています…オーラルという者です。」

オーラルと名乗る導き人は丁寧に【Aria】に挨拶する。

「あ、これはご丁寧にどうもですわ〜。ほんでイールはん…一体何を始めようっていうんや?」

イールは少し笑みを浮かべて【Aria】に返答する。

「これから貴方にはオーラル姉様と戦っていただきます。言い分は問いませんので速やかに前に来てください。」

「…!?…ええっ!?…な…何で〜!?」(オドオド!)

「あら?…あなたは躊躇する側ですか…去年もやり合うことに躊躇した人がいましたが…まさかあなたも先延ばしするタイプであるとは…」

イールは去年の挑戦者の出来事を思い返していた。そのことから【Aria】も同類であるような予感がし、イールは少し悩んだ様子で頭を抱えた。

「…そうですかわかりました。でも有無を言わさず前に行きなさい…ではご武運を…」

「ええっ!?…ちょ…ちょっとイールさん!!」

「…はぁ…あなたもあの【Bill公】と同等とは少し情けなく思います…!は〜い!気を取り直してこれより、オーラル姉様と男勝りな兄貴っ子の【Aria】さんによるエキシビョンマッチを開始しま〜す♪」

それを聞いて【Aria】は流石に注意しようと強い剣幕にてオロアに詰め寄った。

「ちょっとぉ〜オロア!?流石にそれは言ったらまずいわよ〜!?…そもそも【Bill公】って誰のことよ〜!?」(クワッ!)

「ふっふ〜ん♪問答無用で〜す♪さあ女同士ですから正々堂々仲良くお話しする気分で行ってくださいね〜♪」(…トン!)

「…え?…うわぁ〜〜!!」(ビュ〜ン!)

オロアの人押しで、真ん中に【Aria】が配置された。そしてそれを待ち構えていたオーラルはこう話す。

「うちの妹達が無礼な態度をお取りしてどうもすみません…」

「まったくよ〜!!も〜うオーラルさんだっけ!?…本当にアンタあの子達の保護者なの〜!?ちゃんと責任取って見てあげないといつか本当に困るわよ〜!!」

するとオーラルはクスクス笑いながら笑みを浮かべ、真ん中へと歩み出す。そして、【Aria】に対して、こう言い放った。

「ふふふ、あれでも私の可愛い妹達なので多めに見てあげてください…では…!これより貴方の実力を試させていただきます。…覚悟は良いですか…?」(ゴゴゴゴ!!)

「…っ!?」(ゾクッ!!)

【Aria】は相手のオーラルの桁違いの気迫に驚いた。今までの人生で味わったこともなかった覇気を放っている。生まれて初めてここまで相手を威圧させる人がいることに驚きを隠せなかった。

🎼Back Ground Music 》》》



「…では…行きますよ!」(シュン!)

「!!…あぐっ!!」(メキィー!!)

ヒューーン!!

「…はぁっ!」(ブン!)

「ああっ!!」

ダァーーーン!!!!!

【Aria】はオーラルの目にも止まらぬ追撃により、脇腹に拳を叩き込まれてはそのまま宙を舞い、空中で受け身を取ることもできず、無慈悲にもそのまま重い蹴りが炸裂し、地面に叩きつけられる。地面にはクレーターが生じてはそのまま倒れ伏せてしまった。

「…うぐ…」(な…なんて力なの!?こんなのは初めてだわ…!?…ええ!?…た…体力がこんなに削られるなんて…)


【Aria】ランクF 
【♡♡♡♡】


【Aria】は絶大的な強さを誇るオーラルを前にして、驚愕を隠しきれなかった。それを見てはオーラルは残念そうな表情をしては歩み寄り、自慢の剣を抜刀する。

「もう終わりなのですか〜?…誠に残念です…ここで…終わりにしましょうか…」

ジャキン!

「!!…け…剣!?」

「あらら〜!オーラル姉様がいよいよ抜刀しましたね♪」

「…そのようですねオロア…あのままでは…まずいようですね…」

オーラルは一刀両断する覚悟を持っては【Aria】を非情な目つきで見つめてはこう話しかける。

「折角あなたの【fiducia】の加護を受けられ、能力を引き出されなかったとは…これでは期待外れのようで残念です…ではご機嫌よう…!!」(シュン!)

「……!?」

「オーラル姉様…いよいよ決着ですね。」

「…さて…【Aria】さん…あなたは…」

「!!」(くっ!!このまま終わってたまるもんですか!!…あんな剣を弾き飛ばせる術さえあればこの自慢のハンマーで鉄槌を下すことだって…!?)

キィーーーン!!

「…!?…えっ!!な…何っ!?」

「お〜!!…どうやら【Fiducia】が発現しては身体が光出したようですね〜!!」

「そのようですね…オロア。」

「…へぇ…では見せてごらんなさい!!…あなたの能力を!!」(ジャキン!)

オーラルはそういうと【Aria】の目の前で健の先を突き立てては剣を向ける。その様子に【Aria】は意を決して立ち向かう姿勢を見せる。

「…はぁ!!」

ブォーーーン!!

キィーーン!!

「!?…へぇ〜…そういう事ですか…」

「お〜♪どうやら【Aria】さんの能力は!?」

「自分の身は自分で守る…バリア能力といったところでしょうか…」

「…これが…私の隠れていた能力ってことね…」

【Aria】の発現した能力は、大切な人を守りたいという気持ちから芽生え、守護する者としての能力であり、【Aria】自身の生活の中で生き残る術を身につけた、彼女自身の能力と言っても過言ではない。

「…来なさい!!…返り討ちにしてやるわ!!」(クワッ!)

「…ウフフ!…面白いですね…では来なさい!!」

「…ハァッ!」(ブォン!!)

ドゴォーーン!!

「!?…か…躱された!!…でも!!…ハッ!!」

ブォーーーン!!


【Aria】ランクF 
【♡♡♡♡】

バリア能力が発動されました。能力を過剰に使用しています。注意してください。

ズキッ!

「…!!くっ!!頭が…!!」(ズキズキ!)(副作用ってことかしら…)

「…能力を使い過ぎたようですね…ハァッ!」(ブン!)

パリーーン!!

「!?…あぁーーー!!!」

ドーーーン!!

「…く…くそっ…こんな…ところで…」(ガクッ…)

オーラルは【Aria】のバリア能力をいとも容易く破り去り渾身の力で蹴りをお見舞いしては壁に叩きつけた。思わず、【Aria】は気を失う。

【Aria】ランクF 
【♡】

危険です!早急に魂の補充を推奨します。

「あらあらいけません!イール!オロア!すぐに【Aria】さんを医務室に連れて行きなさい。」

「はい♪オーラル姉様♪」

「わかりました…」

タッタッタ…テッテッテ…

「…ふふ!」(そうですか…【Aria】さんの能力はバリア能力…その能力は救済を志す意志の力でもあれば大切な人の身を守る為の能力でもありますね…どうか大切な人を守ってみなさい。…かつて私の力に魅了されては救済の道を志そうとしては自称…私の弟子を名乗ったあの子のように…)

・・・
・・





B. いいえ


《Capitolo・2》
続きを読みますか?

🎼Back Ground Music 》》》



「…!!…?…ここは…ベット?…周りは白い空間が広がっているわね…」

激闘の後に気を失った【Aria】が次に目覚めたのはベットの上であった。周囲は白い空間に囲まれている。

「あ、気がつかれましたか…?」

「…!!…その声は…オーラルさん?」

【Aria】は声をかけられた方を向くとそこに、イールとオロアと同じ髪色をした、20代の容姿をした女性が座っていた。しかし【Aria】は兄譲りだからか、鋭い洞察力その女性は声でオーラルであることに気づいたのか、声をかけた。

「…はい先程はどうも…オーラルです。気を失っていたのでこちらの医務室へとお連れしました。」(ぺこり)

「…あ、そうですか!…すみません本当に何から何まで〜!!…でも強いですね〜オロアさん!…私じゃあ手も足も出ませんでしたよ〜!!」(ニカニカ!)

「お褒めに預かりましてどうも。…ふふふ……」(うふふ…活発な女性でありますね。…何だか慈悲深き心と、温かみもあるからか、聖職者向きなのかもしれませんね…)

オーラルは【Aria】の人間性をよく観察し、肝心な今回の試練の合否を説明した。

「では【Aria】さん。今回のあなたの合否ですが、見事貴方の能力が発現されたのを確認したので、今回は合格とします。」

「…!!や…やった〜!!♪」

「ですが…乱用はいけませんよ…あなたはまだ【Fランク】の立場。乱用することであなたへの負荷も大きくなり、制御が効かなくなり、最悪あなたの身を危険に晒すだけなのでそれだけは念頭においてくださればと思います。」

「…た、たはは〜…反省しています。…あの〜…もし私が試練に合格できなかったらどうなっていたんですか?」

その問いにオーラルは重々しく口を開いた。

「…その時は…私の剣で…!」(ゴゴゴゴ!)

「…!!」

オーラルの顔は険しくなったが、会話を続けていくうちに…

「…消滅しない程度に気絶させて、今回は残念でしたと結果を送ります♪そ・し・て・【fiducia】を確認せず、安心かつ安全に【paradiso】の世界へ案内しま〜す♪」

∧( 'Θ' )∧・・・・・・・・

「…そ、そうですか…」

穏やかだった。非常に。

「コホン…ではこれから【paradiso】の入り口まで案内します。こちらに来てください。」

「…分かったわ。」

オーラルの指示通り、【Aria】は駅の外の扉までついた。そしてオーラルは旅立つ前に【paradiso】について話した。

「では【Aria】さん。よく聞いてくださいね…【paradiso】の世界は13の島で構成されています。もちろん一つ一つの島は文化も価値観が違います。そして貴方はFランクなのでまず13の島のうちに存在するFランク向けの始まりの町へと移されます。現在ユートピア創造士隊の方の紛争も起こっているでしょう。ですがその紛争から生き残り、着々と実績を積んでいき、Eランクから目指して頑張っていただけると幸いです。」

「…あの〜?…一つ質問いいですか?…オーラルさん。」

「なんでしょうか?」

「【paradiso】に…そのユートピア創造士隊と敵対している人達もいるのですか?」

その質問にオーラルは首を縦に振った。

「はい。その者達と対抗している、いわゆるギルドはこの【paradiso】に存在しています。その人達は特に人種関係なく、支援も快く受け入れて雇用も受け付けております。そのために今回の試練をお受けさせた次第であります。きっとあなたの役に立つのではないのかと思います。」

「…そう。でもこの私の力が…誰かの為になることを期待するばかりね。」

「はい!もしかしたらその能力を見込んでスカウトに駆けつけにくると思いま〜す♪」

「あっ!!…オロア。」

【Aria】は後ろを振り返ると、案の定オロアが立っていた。

「…見送りって訳?」

「は〜いその通り〜♪」

「フフッもうほんとこの子ったら〜」(なでなで!)

「えへへ〜お姉さま〜♪」

「……へぇ〜!」(まだまだ子供ね〜♪…)

「…今の歳でも兄貴っ娘な人にも言われても何にも説得力がありませ〜ん!」(二ヤニヤ!)

「…ムッ!!」(カチーン!)

「…なんかごめんなさいね…私達の熱い姉妹愛のあまりに嫉妬させてしまいましたね〜」

「…まっ!兄貴っ娘でも元気出してくださいね〜♪」(キャッ!キャッ!)

「…はぁ〜…まぁいいわ。…じゃあ行ってくるわね。」

【Aria】はオロアの煽りを聞き流しては扉を開けてこれから外へ出ようとする。すると、誰かから呼び止められた。

「【Aria】さんお待ちください。」

「…?…イールさん。…見送りですか?」

「当たり前です。これを持っていってください。もしものための魂の補充薬の入った袋の詰め合わせです。」

イールは親切にも、もしもの時のための救急用品の入った袋を【Aria】に渡した。その様子から、三姉妹の中でも常識があってしっかりとした印象を持っていた。

「あら〜!ありがとうね〜!でもさぁ〜!…三姉妹の中であなたが一番苦労していると思うわね〜!…次女ってのはさぞ大変でしょうね〜!!…まっ!頑張って!」(ニカッ!)

「…ありがとうございます。」(フッ…)

イールは少し嬉しそうに笑っていた。だが他の二人はその会話の内容に対し、穏便に話を聞いてくれそうになかった様である。

「「…それどういう意味(でしょうか〜♪)ですか!?」」(ニコニコゴゴゴゴ!)

「あ。……でぇ〜!!」(ドーーン!)

ピューーーン!!

オーラルは【Aria】の背中を軽く押し、オロアは思いっきり身体中でタックルを背中にお見舞いし、【Aria】を思いっきり外へと飛ばした。

「全く、良識のある女性の方だと思いましたのに…失礼なことを言いますね!ね〜オロア♪」(二コッ!)

「はい、オーラル姉様〜♪…あ〜思いっきりタックルしてスッキリしました〜♪」(ニッコリ!)

(…【Aria】さん、ここから本番ですよ…【paradiso】では貴女の生きてきた世界での常識が通用する世界ではありません。それをお忘れなき様…)

イールは少し心配そうに【Aria】のことを思い、見守る。

・・・
・・

🎼Back Ground Music 》》》




G島【Olfes】(オルフェス)F街・昼【Paradiso】歴1999年12月16日

「あ〜たたた!…あれ?ここ…どこ?」

【Aria】は周りを見渡すと、そこはレンガの街で出来ている場所も多く、近くには芝生が手入れされては教会が隣接している。そこには神団のものなのか、シスターを度々見かけている。

「…ぱっと見、ここは教会の街とか…クリスチャンの集まりの町とも呼べる場所ね〜!…でも、も〜うオロア〜!!あ〜んのじゃじゃ馬娘〜!!…次見つけたら顔をつねってやる〜!!」(プンプン!)

タッタッタ…

「…あの〜?すみません?」

「!?…えっ?_…はい?…なんでしょうか?」

【Aria】は声をかけられたので振り向く。そこには修道服を着ては、丈の短いスカートを着用したシスターが声をかけてきたようである。すると、シスターは微笑んでは話しかけてきた。

「…あの〜?もしかしてあなた様…今日訪れたばかりの現世人の方ですか?」

「!!…ええっ!?…わ…わかるんですか!?」

「はい♪…その勲章…導き人のオロアさんからいただいたのでしょう?…それに先程も、オロアさんの名前が耳に届いていたので…」(ニコニコ!)

∧( 'Θ' )∧・・・・・・・・

「た…たはは。…聞こえていたんですね…」

【Aria】は先程の発言を聞き取られていたことを知り、少しばかり気まずくなったようである。するとシスターは、自己紹介した。

「あ〜…すみません自己紹介がまだでしたね。私はこの町の【Siel】(シエル)という神聖学兼救済ギルドに所属している【Mireisia】(ミレイシア)というものです!現世人で今年で3年目です!…ミレイとお呼びになっても良いです!…あなたのお名前は?」

「あ〜すみません!私の名前は【Aria】と申します!…今来たばかりの新米です!…どうか宜しくお願いします!」
二人はお互いに自己紹介をし、【Mireisia】はどこかへ案内しようとしていたようである。

「…もしよろしければ色々この街を案内しましょう!…ついて来てくださいますか?」

「…あ、はい!…では宜しくお願い…!?…危ない!!」

ブン!

「…あうっ!…あ…アリアさん!!」

「…早速お出ましってやつね〜!!」(キッ!)

🎼Back Ground Music 》》》



♪〜護り抜け、鉄槌振りて

「…見つけたぞ〜!!現世人だ〜!!」「おおっ!その勲章からして、まさかの新人か〜!!ヒャハハハ!こりゃあおもしれぇ!!」「もう一人のシスターも中々のルックスだな〜!…こりゃあお持ち帰りしては…グフフ♪!」

「!!…運悪くも…ユートピア創造士隊が従えている野蛮集団達が…!?…あ、アリアさん!?」

「……」(チャキッ!)

【Aria】は目の前の敵に怯むこともなく、武器であるハンマーを取り出しては相手を睨みつける。それを見ては相手は敵対する意志を見ては嘲笑う。

「!!…おお、こりゃあおもしれぇや!!」「女だぜ〜!!」「一丁前にハンマー持っていやがる!」「叩き潰してやるぜ〜!!」

ワーッ!! ワーッ!! ワーッ!!

「アリアさん…私も!!」

ジャキッ!

「!!…ミレイさん!?…その武器って…よく現世でやっていた映画の魔法使いがよく使っていた…」

「その通り。ワンドです!…私の【Fiducia】の能力は空気を操る能力を持っています!…要するに、こんな風にです!…ハァッ!」

【Mireisia】は手に持っていたワンドを横に振った。すると風船程の大きさの空気の塊が出現しては、敵に襲いかかる。

ブン!

バキッ!!

「ぐあっ!!」「な…何ぃ!?」「一体何が起こったっていうんだ!?」

「おお〜っ!…これって空気砲ってやつじゃあないの〜!」(キラキラ!)
 
「言うなればそれに近いです!…さあ行きますよ!!」(チャキッ!)

「そうねぇ〜!!…やってやろうじゃあないの〜!!」

「何仲良く喋ってんだぁ〜!?」「命乞いかぁ〜?」「テメエら〜!!もう容赦するな〜!!かかれ〜!!」

ワーッ! ワーッ! ワーッ!

「じゃあ私も…ハァッ!」(ブン!)

ダァーーーン!!!!!

ぎゃあああああ!!!!

「!!…ええっ!?…な、敵の周りに結界が!?…それに地面の破片が反射して…!?」

【Aria】の振り下ろした鉄槌は地面を減り込ませ、レンガの瓦礫の破片が隊員の残党に襲いかかる。バリア内に確保された隊員は出ようと必死にもがく。

「グァアア!!」「だ…出してくれ〜!!!」「ひ…ひぃーーー!!」


【Aria】ランクF 
【♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡】
ーー
バリア能力が発動されました。

「そこでしっかり反省しなさい!ったく!私達のようにか弱い女二人に襲いかかるなんて!!…なんて酷い人なのかしら〜!!」(プンプン!)

「…!?…か…か弱い…女性…」(【Aria】さんは…なんか違うような…)

【Aria】は相手にそう宣言すると、鋭い剣幕で睨みつけては戦う姿勢を聞く。

「どう?懲りたかしら〜?」

「ケッ!!このアマが〜!!」「あんまり調子乗っていると…」「…痛い目を見るぜ〜!!!」

パリィーン!!

「!!」

「…や…破られました!!」

【Aria】のバリア能力を創造士隊は突き破り、反撃の姿勢を見せる。しかし【Aria】は至って冷静であった。

「…やってくれるわね!」

「ギャハハハ!!おいおいそれで…」「終わりか〜!?」「けけッ!」

「……仕方ありませんね。…こうなれば。…ハァッ!」(チャキッ!)

ピーーーン!

ゴロゴロ…ザザーーーッ!

「!!」「な…なんだ!?」「ん!?…なっ!?…あ…雨だとぉ!?」

「うわっ!?と…突然の雨!?…ってぇ〜!?ま…まさか!?」

「…【Aria】さん!…非難しておいたほうがいいですよ〜!…そろそろ…来ます!!」

ガラガラ…ピシャーーーン!!!!

「ぎゃあああああ!!!」「あ〜バババババ!!」「グァああああ!!!!」

「でぇえええ!?…か…雷ィ!?」(フセッ!)

【Aria】は突然の【Mireisia】の攻撃に驚いた。そして【Aria】自身も思った。どうして突然雨を起こしては雷を降らすことが出来るのかと不思議に感じていた。そしてまともに落雷を受けた隊員達はそのまま地面に倒れ伏せる。

ジューー…ビリビリ…

「ヒェ〜…ってぇ!?だ…大丈夫なわけ!?…あんな雷降らしておいて!?」(ビシッ!)

「…ふふ!案外大丈夫なんですよ〜♪ユートピア創造士隊の装備はとても頑丈で、雷に直撃しても何もなく、起き上がって来ますよ!…では行きましょう♪…私の所属する救済長【Oriana】(オリアナ)様の場所まで案内します!」

∧( 'Θ' )∧・・・・・・・

「…あ…あはは。本当に…この【Paradiso】って世界は…」

常識が通用しないわねぇ〜!!!!

・・・
・・




B. いいえ


《Capitolo・3》
続きを読みますか?

🎼Back Ground Music 》》》



その頃、D島F街【Veno・nix】

「…まさかこんな場所があるとはな。」

「地下トンネルくらいなら、この【Paradiso】にはいっぱいあるからね〜♪…はぁ〜…でもついてないね〜ヴェノくん!…まさかの列車事故で運転見合わせだから、この場所を経由していくしかないとはね〜!」

D島の運行していた列車は、現在事故の為、運転を見合わせていたため、やむを得ず第二の手段として【Veno・nix】は【Beanne】と一緒にD島の地下トンネルに案内されては、この場所の道を経由してG島へと進行を開始しようとする二人である。

「…だが、ここから二つも離れたG島までかなりの距離があるんだ。…歩いていくのは無理だぞ…」

「ふっふ〜ん♪…だ・か・ら…はいこれ〜!」

ジャジャーーン!

「?…自転車か?」

「あはは!見た目はね〜♪でもこれは〜…【Paradiso】での乗り物…その名は〜…【V.Prestina】だよ〜!!」

【Beanne】は、そのように【Veno・nix】に説明すると、【V.Prestina】を確認した。すると、その初めての乗り物を見ては、彼自身も驚きを隠せなかった。

「…これは、かなり性能の高い…自転車というよりも、バイクと言えばいいのか?」

「うん♪…これで二人乗りすれば…」(ドキドキ…♡)

「…とりあえず乗ってみるか…」

「あ〜もう!無視しないでよ〜!」(プンプン!)

【Veno・nix】はそういうと、【V・Prestina】のエンジンを起動させる。エンジンそのものは無音エンジンである為、エコロジーな印象を受ける。

「かなり静かだな…いいな。」

「でしょ〜♪…私もこの技術には脅かされたよ〜♪」

スタッ!

「…後ろに乗るのか?」

「うん♪」

「…まあ…俺が運転する方が、手っ取り早いか。」

「…ふっふ〜ん♪…もしかしてヴェノくんてさ〜…元々バイクの免許とかあったの?」

【Beanne】の問いに、【Veno・nix】はこう答える。

「…まあな。…元々ナナハン乗りだ。…750cc以上の大型自動二輪の免許を取得している。」

「へぇ〜!…じゃあ頼んだよ♡」(ギュッ♡!)

「…まあ実年齢は21歳と言えど、そんな少女体型で運転されたら危ないからな…俺が運転代行する。」

「も〜う!私を子供扱いしないでよ〜!」(ブーブー!)

「……じゃあ。…いくぞ。」

キィーーン…シャーーー!!

「…!!…くっ!?…早いな…」

「キャ〜♡…飛ばすね〜!」

【Veno・nix】は後部座席に【Beanne】を乗せては【V・Prestina】を起動し、運転する。その風を切る感覚は、現世のバイクのような感覚と似ていた。

シャーーーーー!!!

「…かなり走るな。…この自転車のようなバイクのような乗り物…【V・Prestina】は…」

「でしょでしょ〜♪…ん〜風が気持ちいいね〜!」

「…そうだな。」

「も〜う!ヴェノくんノリ悪いぞ〜!…もっと私のように笑わなきゃ〜!」(ニコニコ!)

「…いつかはな…」

「いつ?」

「…わからん。」

「もう!…あはは!」

ギューーッ♡!

「…そこまで強く抱きしめなくてもいい…」

「いいじゃんいいじゃ〜ん♪…サービスだよ!」

運転中、二人はたわいもない話をしていると、D島の出口のゲートが見えてきたようである。

「…ゲートか?」

「…そのようだね〜…そろそろ外に出れるよ〜♪」

シャーーーーー!! シュン!

「…!!…トンネルから出れたか。」

「そのようだね〜!…ん〜太陽の日が当たって少し暑いかな〜!」

【Veno・nix】と【Beanne】はG島のトンネルを抜けては、一度外の景色を見る。そこには、隣接しているD島の目の前にあるE島が見えてきた。

「次はE島の方か。」

「そだね〜♪…これも旅行だから、ゆっくりと冒険の旅ってやつだね〜♪」

「…そうだな。…ん?なんだ?あの貨物車は?」

ブォーーーーン!!

「【R・P社】貨物車両…確かベア。お前の所属しているギルドの会社の名前だったか?」

「そうだよ♪…どうやら、輸送作業中と言ったとこ…ん?…あれって…」

プルルルルル!!!

「!?…ヘリか…」

「…どうやらユートピア創造士隊の刺客に追われているといったとこだね。…よ〜しヴェノくん!…ちょっと寄り道になるけどいいかな?」

【R・P社】の輸入中の貨物車両をユートピア創造士隊が攻めようとしていた場面に遭遇する。すると【Veno・nix】は【Beanne】に対してこう言った。

「…協力しよう。」

「ありがとう♪…じゃあ…おれ〜い♪」

チュッ♡

「…何のつもりだ?」

「んもう!これだけサービスしたんだから〜♪…ねっ!?嬉しいでしょ?」(ルンルン♪)

【Beanne】は【Veno・nix】の頬にキスをする。しかし、特に気にせず、作戦を聞く。

「…で、どうする?…どうやって救出する?」

「んもう〜!…ふっふ〜ん♪…しっかり捕まっていてね〜♪…それ!」(シュバッ!)

シャーッ!!…ヒューーン!!

「!?…空を飛んだ…だとっ!?」

「ふぅ〜♪気持ちいい〜♪…まるで現世でいう宇宙人を元の星に送り返す有名洋画のようになったね〜♪…じゃあ飛び移るよ〜♪…それ〜♪」

【Beanne】は何か細工しては【V・Prestina】を宙に浮かせて空中走行させては【R・P社】の貨物車両に移り、運転中の【V・Prestina】を収納しては敵の迎撃に備えていた。

スタッ!

「ふっふ〜ん♪…よぉ〜し!とうちゃ〜く!」

「…まったく…無茶苦茶をする嬢さんだ…オロア並のじゃじゃ馬か…だが驚いたな…まさか空を飛ぶとはな…」

「〜♪…でもヴェノくん…来たよ。」

スタッ! スタッ!

「!?…何者だ貴様らは!?」「!!…あのガキは!?」「森羅万象の少女…ベアンヌ!!」

「…有名なんだな…ベア。」

「ふっふ〜ん♪まあね〜♪…さてさて、ここじゃあ銃火器は使えないから…私の秘密を…ヴェノくんに教えてあげるね。…はぁっ!」

フッ!

「!!…それは…」

【Beanne】は空に利き腕の左手を手にかざしては、自分の身長程の大きな白く輝く銃の剣を取り出した。それを見ては【Veno・nix】は驚いた。

「…驚いたな…銃の剣と言ったところか…」

「まあね〜♪…じゃあおっ始めるかな〜!」(ウキウキ!)

「構うな〜!所詮ガキ共だ〜!!」「者共かかれ〜!」

ワーッ! ワーッ!

「…来るぞ。」「さてと、いくよ〜!…Fire!」

ダンッ!…バキィイィ!!ブン!!

「グワぁああ!!!」「あぎゃーー!!!」

「…!!銃を発砲してその爆風を利用したということか…」(ブン!)

べキィーー!!!

「ぐあぁあ!!!」

「その通りだよ〜♪…はぁっ!」

バキッ!

「ゲフッ!」「ゴガァッ!」「アギャーッ!」

バタッ! バタッ! バタッ!

「…この程度か?」「…そろそろ来るかもね。奴らの親玉が…ヴェノくん気をつけた方がいいよ…」

プルルルルルル!!…シャーーーーーッ

ダァーーン!!

軍用ヘリの上から何者かが投下してくるかのように貨物車両から降りてきては、姿を現した。その風貌はまるでクワガタのようなヘルメットにサングラスを装着した男であった。

「…貴様ら…よくも我々の隊員を…この【Varisk】所属のBランクの【Fola】(フォラ)が相手になる!…かかってくるがいい!」

チャキッ!

【Varisk】所属のBランクの【Fola】は武器である槍を持っては、二人を睨みつける。しかし二人は怖気付くことなく、目の前にいる敵を睨みつける。

「…ああ。」「…いくわよ〜!」

🎼Back Ground Music 》》》



スタッ! キィーーン!!

「…!!」(くっ…かなり力が…強い敵だ…!!)

「…その程度か?…新人の現世人よ…!?」

「私がいることもお忘れなく〜♪…ハァッ!」

ブン!! ザシュッ!!

「!!グッ…貴様…やってくれたな…」

「へへ〜ん!…さあヴェノくんやっちゃって〜♪」(ピョンピョン♪)

「…言われなくて…はぁっ!!」

パーン! バキッ! べキィッ!!

「ヌグアァッ!!…お…おのれぇ!!!」

ゴゴゴゴゴゴゴゴ…

【Fola】は全身に闘気を放ち、集中していた。すると、【Veno・nix】の方を睨みつけてはこう話しかける。

「…わかったぞ!…貴様が…貴様らが【Ford】…兄上を始末したのだな!?…よくも…」

「!!…【Ford】…だと…」「…【Varisk】のBランクの奴よね。…まさか兄弟揃って殺しを引き受けているなんてね…」 

「黙れぇ!!!…我々がやっているのは救済だ!!…貴様らのような偽善な行いとは訳が違うのだ!!…覚悟しろ【Veno・nix】!!【Beanne】!!…貴様らの首を取っては、【Varisk】に名を刻み、そして Aランク将軍の【Makiras】様に報告するとしよう!」

「……」「!!…そう…そこで【Makiras】の名前が出てくるとはね…」

【Makiras】という単語を聞いた瞬間【Beanne】の目の色が変わり、【Fola】を見つめる。

「…じゃあそこまでいうのなら…ベアお姉さんはちょっと容赦できないかもね…」(キッ!)

ゴゴゴゴゴゴゴゴ…ビューーー!!!!

「!!…ベア…」(目の色が…変わった!…それに何だ!?…風が吹いている!)

「!!…そうか【Beanne】…それが貴様の能力といったところか…運転中に起こる風では無さそうだ。」


【Beanne】ランクB 
【♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡】
ーーー
風の能力が発動されました。


「…行くよ。…ハァッ!!」

べキッ!!

「!!…グッ!!重い…!!」

「ハァッ!!!」

ザシュッ! ブシャッ! 

「うぐあぁっ!!…やってくれたな……!?」

「Finale!!…ハァッ!!」

べキィッ!!

「グァアアアッ……」

ザザ…ザザザザ!!!!!ゴロゴロゴロゴロ!!!!

【Fola】は【Beanne】の強い蹴りにより、貨物車両から叩き落とされ、無慈悲にも道路を滑っていく。その様子を【Veno・nix】は安否を確認するかのように言った。

「…大丈夫なのか?…奴は?」

「おそらくね〜♪ユートピア創造士隊の【Varisk】の装備は万全だから〜…あれくらいならまず死なないよ!」(ニヘラ〜!)


【Veno・nix】ランクF
【♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡】
ーーー
戦果ポイントが加算されました。次のランクまで※※※です。



🎼Back Ground Music 》》》



「…そうか。…まあご苦労だったな。…そういえば、その武器はなんだ?」

「あ〜これはね…【Arbitro】!!イタリア語で審判って意味のある銃剣なんだ〜!今私が在籍してる、【R・P】社【Agente】ギルドで、ちょっとした功績を認められてね〜!…鍛冶屋さんから特別にオーダーメイドしてくれたんだ〜!!…どうどう!?…カッコいいでしょ〜!?」

「…そうか」(…審判か。…いつかは…俺にも訪れるかもしれないな…)

ジリリリリン…

「?…黒電話か…」

「うん♪私の通知音なんだ〜♪…おおっ!?」

突然現世の黒電話の音が何処からか鳴り響いた。すると【Beanne】は徐に【P・Watch】の画面を覗き込んだ。


【Beanne】ランクA
【♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡】
ーーー
Aランクに昇進しました。次のランクまで※※※※※※です。

「わ〜い♪…いよいよ来た〜!!私もAランク〜!!」

「…整形するんだったか?」

「そだよ〜♪…そ・れ・に♪…そろそろE島に着く頃だね〜♪E島にはね…花の街【Velkana】(ベルカナ)ってのがあって、そこでなかなか腕のいい年齢サロンのスタッフがいるんだよ〜♪…ま、年齢サロンはどこにでもあるんだけどね〜♪」

「…現世でいうエステのようなものか…男も行くものなのか?」

【Veno・nix】は年齢サロンについての疑問を【Beanne】に聞くと、にこやかな笑顔で話す。

「そうだね〜!私達【現世人】は歳を取ることもないから、私のような10〜15くらいの姿をする人は、実年齢を基準として〜♪…まあ大抵20〜25歳くらいにまで希望するのが多いね〜!まあ人それぞれと言ったところかな〜!…ちなみにいつでも姿を変えることが出来るから、そこが便利なとこだよ〜♪」

「…なるほどな。…永遠の命が無いユートピア人が。……永遠に歳を取らず、そのまま生き続ける事が可能な【現世人】に嫉妬し、殺害する事もありそうだな…」

【Veno・nix】の発言に、【Beanne】はその疑問に対しこう語る。

「…一度ね…それで差別化されて。……殺害される事件があったりしたね。…そして現世人をバケモノ扱いする人もいたりしてね…」

「……死後の世界といえど、差別という問題もあるのか…」

「そうだね…まあ私は特に差別的な事はなかったかな〜♪…特に…あっち系の話題と・か♡」

「……」(ジィー…)

【Veno・nix】は【Beanne】をまるで汚れていそうな目で見る。しかしその事に対して【Beanne】は特に動じなかった。

「あはは!まあ仕方ないよ!…私だってこの【Paradiso】に来て、人身売買の人に捕まってね〜♪…も〜うあんな事や…こんな……///」(ドキドキ…///)

「…人は人生で過ちは犯すもんだ。自慢せずとも腹を割って言える事は、悪いことではない…」

「あ〜!!んもうヴェノくん!ノリ悪いぞ〜!!!…でさ…私の過去聞いてみたい?」

「…ああ。それに…10年間も【Paradiso】を過ごしてきたベテランだからな…。色々話題もあるだろ」

「ふっふ〜ん♪まあね〜♪…私の過去はね〜…」

・・・
・・


ブゥーーーーーン!!!

通行する貨物車両の上で、二人は互いの経緯を話した。【Veno・nix】の経緯を聞くと、【Beanne】は少しだけ、親身に話を聞いていた。

「…そっか。…ヴェノくんは現世では麻薬を取り締まる…麻薬取締官…いわゆるマトリをやっていて…その刑事の宣行っていう相棒さんと…その優花って妹の…現世でのアリア(【Aria】)さんを殺されて、ヴェノくんは現世の世界で復讐を果たして。……でも結局は、犯罪組織の奴らと相打ちになって殺されたんだね…」

「…ああそうだ。…そいつら二人を…アイツの銃で射殺した。…この手で…この罪は、どのような形で償えばと…この【Paradiso】に来て。…今考えたりしている最中だ…」

【Veno・nix】は自分の犯した過ちを償う決心を固めていた。しかしその様子を見ては【Beanne】はこのように伝える。

「…じゃあヴェノくんは…今度こそ守らないといけないね…アリアさんを…」

「…ああ。槇原…アイツの分まで、俺が彼女をな。……でもベア。…お前も苦労したんだな…当時、その姿のお前を…恩人の女性が庇ってくれたんだな…」

「…うん。…私にとっても憧れの女性でね…銃剣を持っていたの。うろ覚えなんだけどね…確か拳銃とレイピアを合わせていた武器だったかな…そして、この銃剣アルビトーロに付けているアクセサリーは、その姐さんの遺してくれた…形見でもあるんだ…」(チャキッ!…ジャラジャラ…)

【Beanne】は銃剣【Arbitro】に付けているアクセサリーを見せる。光り輝くダイヤのような水晶玉に菱形の澄んだ透明のクリスタルで構成されたアクセサリーを手に乗せては、少し寂しそうに伝える。

「…拳銃剣と言ったやつか?…そんな武器を使っていたんだな…それでベアは銃剣をメインウェポンに。……その恩人の女性の名残として、形見をその銃剣に付けているんだな…」

「…うん。…そして私はね…今は無理かも知れないけど、いつか姐さんの仇を討ちたいの。…奴の罪は重いよ。…もう法では裁けない…厄災のような悪だから…だからっ!!」

「…!!」

【Veno・nix】は【Beanne】の心の痛みを直に感じ取った。【Beanne】の握られている銃剣【Arbitro】には決意が込められていた。そこには少女の姿をしているも気高き女性のようなビジョンが心なしか見えていた。

「…そうか。…だが復讐をして…お前はそれで満足なのか?」

「…どうだろうかな…もしそうなったら、私の心の中に…《闇》を生み出すかもしれない…もしくは…奴に返り討ちにされ。…そのまま殺されるかもしれない。……それでも私は奴と戦うわ。…この銃剣で。…奴を殺して…仇を討って満足するかどうかは…その時に実感すると思うわ!」(キッ!)

「…ベア…」

【Veno・nix】は【Beanne】の報復の姿勢を見て感じたのは、自分のパートナー兼相棒である宣行を殺害され、その殺意や報復に取り憑かれていた事を実感していた。そしてこうも話しかけた。

「お前……人を殺めた事は?」

「………ほとんど罪人は法と秩序を重んじるギルドの人達に明け渡しては…罪人を裁いていたわね……だけど。………」

「……だけど…?」

「…………」

【Beanne】は黙り込む。どうやら彼女自身は、法で裁く事が出来ない者をその手で葬ったのか、もしくは、自らの手で手を下さないといけなかったからか、少しばかり心苦しい表情を見せていた。その様子に【Veno・nix】はこれ以上の詮索は避けるべしと見定め、肝心の話題を聞く。

「…わかった。……その追っている男の名前は?」

「…教えない」

「…そうか…」

「…ただ、そいつらに共通する名前があるの。…必ず…頭文字に《G(ゲー)》ってつくわね…」

「そいつらという事は、まだまだいるということか?」

「…調べている途中だけどね。…あと、現世にあった魔法使いが舞台の映画で。…名前を言ってはいけないような奴らだから、誰かにその名前を口外したら厄介だよ」

「…わかった。…まだ俺も命が惜しい。…俺が命を落としてしまえば、誰が優花を…いや…【Aria】を守ってくれるんだ…!!」

ギリッ!

「…ヴェノくん…」

【Beanne】は【Veno・nix】を心配そうに見つめていた。すると、ゲートの入り口が見えてきた。

「…おおっ!どうやらE島に上陸したようだね〜!!」

「…いよいよか。…【Velkana】(ベルカナ)まであとどれくらいなんだ?」

「…そろそろかな〜♪もしかしたら電車も復旧しているかもしれないから、それに乗るのもありかな〜♪」

「…わかった。…【Velkana】にもユートピア創造士隊がいるのか?」

「もちろん♪…後は街の憲兵とかもいたりするね〜!…あと美人が多いともよく聞くね〜♪メイドさんとかに一目惚れして、ついストーカーしたり〜…スカートめくりしないでね〜♪///」

「…ベア。…お前まさか…そういう行為の常習犯か?」

【Veno・nix】は鋭い目つきで、【Beanne】を疑う。しかし、まるで開き直るかのように言い放った。

「…だってさ〜…ロマンでしょ!?」(テヘペロ♡!)

「…何処がだ…」(やれやれ…)

「美人な女の人が一体どんな下着を履いて…」

「…もういい。…それ以上は聞かん。」(しれっ!)

「んも〜う!!ヴェノくん!!…つれないよ〜!…本当に現世に彼女がいたの〜?」(ブーブー!)

「…まあな。」

「…ふ〜ん…」(ま、いいっか〜…さてさて…いよいよ私も…グヘヘ!)

貨物車両はゲートを通ってはいよいよ【Velkana】の街へと進入する。しかし、そこに待ち受けている者が一体何があるのかは、二人は知る由もなかった。

・・・
・・





B. いいえ


《Capitolo・4》
続きを読みますか?

🎼Back Ground Music 》》》



ほこら〜♪

〜その頃G島の【Olfes】の街の【Aria】〜

「…ここですよ〜!【Aria】さん!」

「は…はい!ミレイさん!(【Mireisia】)…ここが、修道院と言えばいいのかしら…なんか教会にも思える場所ね…ん?あの銅像は?」

【Aria】が目にした銅像には、菱形のバンドをつけた女神のように微笑む女性の銅像があった。名前には【Organa】と書かれており、詳細には、1300年代にて救いの街【Olfes】(オルフェス)の創造主並びに、初代救済長となった救済の女神と書かれている。

「へぇ〜!初めてこの街を作ったとっても立派な人なのね〜!このオルガナ(【Organa】)さんって人〜…」

「そうです!…そして現在救済長を引き受けている人こそが…私達の所属する【Siel】(シエル)!!…神聖学兼救済ギルドでリーダー兼救済長を勤めている【Oriana】(オリアナ)様でございます。…ではどうぞ!」

ギィ…

「……う〜…なんか緊張してきたわ。」(ドキドキ…)

「ウフフ!リラックスしてください!」(クスクス!)

【Aria】は緊張気味であったが、意を決して前に進んでいく。

「し、失礼します!…本日から導き人の命でこのG島の【Olfes】を訪れた【Aria】という者です!ランクはえ…Fランク!!…どうかよろしくお願いします!」(ぺこり!)

「……あ…アリアさん…」(オロオロ…)(あ〜…ダメのようですね〜…完全にテンパっておりますね…)

【Aria】は早口で、慌てていたかのように話をする。それを見ては、一人の祈りを捧げていた十字架のネックレスを付け、ネイビー色のローブを着ている金髪の女性が声をかけてきた。

「…ウフフ…ミレイ。…その方が、新しい現世人の方ですか?」

「はいオリアナ様。」(ペコリ!)

「…ウフフ…さぞ緊張していたのですね〜…」

∧( 'Θ' )∧・・・・・・・・・

「は…はは…」

【Aria】はどうやら浮いていたように捉えられてしまったようである。しかし、【Oriana】は微笑んで挨拶を交わした。

「どうも。私はここ、【Siel】(シエル)…神聖学兼救済ギルドの救済長のオリアナです。ユートピア人のAランクです。【Paradiso】名で名乗らずに、そのままで構いませんよ。」

「は!はい!どうも!」(ペコペコ!)

「だからアリアさん…緊張しすぎですよ…」(クスクス…)

【Oriana】は自己紹介を終えると、この修道院自慢の礼拝堂に描かれている救済長【Organa】に対し、祈りを捧げた。

「あ〜…救済長オルガナ…誠に感謝します。…あなたの平和ある救済によって、今一度、導き人の救済によって、現世から一人の女性が導かれたようでございます…」(キラキラ…)

「……これって…宗教って奴なのかしら…」(首かしげ?)

「大丈夫です!…私達は昔現世であったような怪しい宗教とは違いますから…」

「…それならいいんだけど…でも悪くないわね。…こうして祈りを捧げていると、何だか心が洗われるというのかしらね…」

【Aria】は特にクリスチャンというわけではない。しかし、何故かこの祈りという神を拝める行為に何かしら芽生える者があるように感じた。その様子に【Mireisia】は微笑んではこう言った。

「アリアさん。…折角ですし、貴女も所属してみてはどうですか?…この【Siel】(シエル)に…」

「!!えぇっ!?…い、いいの!?」

【Aria】は驚いた。すると【Mireisia】はまるで歓迎するかのように【Oriana】に話しかける。

「いいですよね?…オリアナ様?」

「構いませんよ!救済を志す者である方なら…私達はいつでも歓迎しておりますよ。…どうですか【Aria】さん?」

「…じゃあ。…よろしくお願いします!!…オリアナ救済長!!」(ぺこり!)

「ウフフ。…こちらこそよろしくお願いしますね。…アリアさん!」(スッ!)

ガシッ!

【Aria】と【Oriana】はお互い握手を交わした。その二人の表情からは、誰かを守ろうとせんとする【Paradiso】に対する救済の心に満ち溢れていた。すると【Oriana】は【Aria】のことについて色々質問をしてきた。

「ふふ。…ではアリアさん。…貴女の【Fiducia】の能力は何ですか?」

「バリア能力です!…守りならお任せあれですよ〜!!」(エッヘン!)

「ふふ!…頼もしい能力ですね…守護系の能力といったところですか…救済長オルガナが長きにわたる歴史から神聖術を編み出し、その教えの中にも守りや防衛を重んじる術もあります。アリアさん。貴女の能力…色々力になってくれますよ。」

「そ、そうですか!!…お役に立てるのであれば嬉しい限りですよ!」

「アリアさん。…何だか嬉しそうですね〜♪」

アハハハハ!

3人は笑い、互いに、【Olfes】の街を救済する活動を重んじることを誓い合った。そして【Oriana】は【Aria】に対し、このように伝える。

「…ですがアリアさん。…よくお聞きになってください。…これは最も重要なことなのです。」

「…?…何でしょうかオリアナさん?」

「…この【Paradiso】で現在、何かしら怪しげな動きがあるように感じるのです…ユートピア創造士隊率いる【創造派】の動きが…とにかくここ近辺になり、活動的になっているように…そう感じます。」

「!!…あのミレイさんと私が戦ったあの乱暴集団のことね!?…オリアナ救済長!…教えてください!一体アイツら何なんですか!?…なんで私達現世人の命を狙うんですか!?」

【Aria】はユートピア創造士隊の事を【Oriana】から聞こうとする。その質問に対し、簡潔に述べた。

「…彼らはこの【Paradiso】のユートピア人の国民全てを一つの収容施設に隔離しては、【Paradiso】の世界を牛耳るために動いているようです。」

「!!…隔離って…じゃあ…その創造士隊の施設に閉じ込めては…この【Paradiso】に住んでいる人達を無理矢理連行しては自由を奪うって訳!?」

「その通りです。…そしてアリアさん。貴女は現世人です。…彼らは現世人という人種をこの【Paradiso】ではイレギュラー的な存在。…いわゆるこの世界における有害因子として排除する敵対対象と認識しているのでございます。」

「……そうなんだ。…!!じゃあ…あの人も…」(…霧矢さん。…貴方もこの世界に来ているということは…)

【Aria】は【Veno・nix】の安否を案じている。その表情から【Oriana】は少し、心配そうにいった。

「…アリアさん。…貴女の他に…現世から来たもう一人…身内と呼べる方がいるのですね…」

「…はい。その人は、現世では私と兄を殺害した犯罪集団と一人で戦い、私を守る為に戦ってくれましたが…それでも…命を落として…でもそれでも彼はこの世界に来ました。しかし、あの人は…今どこにいるか、わからないのです。」

「そうですか。…いつかその方と出会うことを祈るばかりですね。…ですがアリアさん。…その話を聞くと…貴女には本当に過酷な運命に争う力をお持ちのようですね。」

「!!…え?」

「…私にはわかるのですよ…ふふ!…これからも期待しています。共にオルガナ救済長の示してくれた神聖術を元に…【Paradiso】の救済を目指していきましょう。」

「はい!…こちらこそ!…よろしくお願いします!…オルガナ救済長!!」

「ふふ!…アリアさん!…私達と共に神聖術を学んでいき、ユートピア創造士隊からの脅威に立ち向かい、この【Orfes】の街の治安を守っていきましょう。」

「そうね!…これからよろしくね!ミレイさん!!」

【Aria】は【Olfes】の【Siel】のメンバーとなり、【創造派】に属するユートピア創造士隊と敵対する姿勢を見せている。その意志は彼女だけではなかった。その彼女を守ろうとし、黒豹のような風貌のある一人の男も例外ではなかった。

・・・
・・


〜その頃【E島・Velkana】【Veno・nix】と【Beanne】〜

「…着いたな。ここが、【Velkana】か…華やかさはあるな。花がたくさん咲いている。」

「でしょでしょ〜!…花の街とも言えるからね〜!…さっ!【R・P社】の物資をある場所に届けては、この街を少しだけ観光するかな〜♪」

「…全く。旅行に来ている訳じゃあないんだ。…手短に頼む。」

「んも〜う!つれないな〜…で〜も…ぐへへ!」(ニヤニヤ!)

【Beanne】は不気味にニヤニヤと笑っていた。その様子に【Veno・nix】は何を考えているのかを察したのかこう言った。

「…その年齢サロンとやらにいくのか?」

「うん♪早速ね〜♪」

「…どのくらいかかるんだ?」

「…ん〜大体一時間かな〜♪」

「…結構早いんだな。」

【Veno・nix】は改めてこの【Paradiso】の技術力には驚かされていた。その様子に【Beanne】は満足げにこう話した。

「そうだね〜♪…じゃあちょっと行ってくるね〜♪その間に…メイドさんのスカー…」

「…わかった。一時間後にまた会おう。…終わったら連絡してくれ。アカウントを交換しておく…」

ピロン♪

「ちぇ〜…相変わらずつれないなぁ〜…もう少しこの私の体を見て、色々癒しを感じて欲しいな〜♡」(クネクネ♡)

「残念ながら興味はない。」

「んも〜う!…じゃ一時間後に〜!じゃね〜♪」

ピュ〜♪

【Beanne】は一目散に年齢サロンに向かう。その様子に【Veno・nix】は見守っている。

「…ベアか。…まああれでも実年齢は21歳だから…本来はどんな姿をしているのだろうかな…さて、どこに敵が潜んでいるか分からない。…予知能力を使っておくか。」

ジジー…ジジーーー!!


【Veno・nix】ランクF
【♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡】
ーーー
予知能力が発動されました。5分間の先の時間の内10秒間のみの未来を予知します。

「!!…貴様!!…手を挙げろ!!…!?ぐあぁぁぁ!!!」

「!!…今のビジョンは…一体…!?…とにかく只事ではないな。…行ってみるか。」

タッタッタ!!

【Veno・nix】は先の未来を予知しては戦慄した。そこには花の街とは程遠い闇が広がる惨劇がこの街に起こっていた事を知り、街中を走り抜けていく。そしてここから、【Veno・nix】と【Aria】の二人が【Paradiso】で繰り広げられる運命の歯車がいよいよ動き出そうとしていたーーーー





















《To Be Continued…→》













第8話:【Paradiso】への道 豹策・優花編 Part2
《完読クリア!!》



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B. いいえ