GiorGiaNo

 
《Paradisoシリーズ〜導かれし七人の現世人の冒険譚》  

A.:GiorGia

〜ダブルフェイス〜黒豹と法と秩序の契り〜



第7話:【Paradiso】への道 豹策・優花編 Part1




導き人の三つの試練を乗り越え、豹策と優花は雲の世界【Delka】へと辿り着く。そこは雲の世界であり、執行者に捕まると閻魔大王の場所へと連行される事を聞いた二人は追跡を逃れて無事に楽国駅に辿り着く為の逃亡劇が始まる──────



《Capitolo・1》
物語を開始しますか?

🎼Back Ground Music 》》》



Get to the true truth Until just before that Everything is wrong.
(本当の真実に辿り着くその一歩手前までは全て誤りである。)

What is courage In your actions Don't be affected by fear.
(勇気とはあなたの行動に恐怖の影響を与えないことだ。)

Arthur Koestler
(アーサー・ケストラー)




〜【Paradiso】雲の世界【Delka】〜

「ここが…【Paradiso】…」

「まだここは【Paradiso】ではありませんよ〜♪」

オロアは豹策にそう伝え、懇切丁寧に説明する。

「ここはあくまで【Paradiso】の一部の世界です。そしてここでは豹策さん♪あなたにはこれから楽な国の駅と書く楽国駅まで向かってもらいま〜す♪そ・し・て執行者達と仲良く鬼ごっこをしてもらいま〜す♪」

「…鬼ごっこ…逃亡劇ということか…?」

「はい♪…おっ!!どうやら一人捕まったみたいですよ〜♪」(ビシッ!)

「ん?…!!」

「は…離してくれ〜!!」

豹策はオロアの指した視点を見て驚いた。そこにいたのは逃亡する特定死者を捕まえている執行者の姿があった。

「やめろ〜!!俺はまだ…まだ!!」

「おとなしく降伏しろ〜!!…ふふふ!」

執行者は大人数になっては特定死者を取り囲んでは特定死者の姿を消してしまった。

「!!消えた」

豹策はその様子を見ては驚いた。オロアは笑いながら説明した。

「ふっふ〜ん♪あの執行者の人達に捕まると強制的にあの世の閻魔大王様のところに連行されてしまいま〜す♪…それにあの人達も休みが欲しくて必死になって、特定死者を捕まえたりする社畜精神の人ばかりなのですよ〜♪」

「…労基法というものも、あの世の世界にあるものなのか…厚生労働省で務めていたものの身とはいえ、感慨深い…」

豹策はあの世でも労基法というものがあるのか疑問を抱いていた。その執行者の様子を見物していると、執行者が豹策の姿を見ては指を刺しては周りに存在をアピールする。

「!!見つけたぞ!」「昇給、昇格のために捕まるのだ〜!!」「我々にとって忌々しい導き人まで姿を出しやがって…」「絶対に逃すな〜絶対にだ。」

「…!?…行ってくる!!」(タッタッタ…)

「お気をつけて〜♪」(フリフリ!)

「…執行者か…足はそこまで早くはない。…何とか逃げ切れるか…だが…」

「待て〜!!」「子供といえど絶対に捕まえてやるわ〜!!」「待て〜い!!」

「……」(優花…お前はここに来ているのか。…いや…お前にとっては宣行と一緒の方が良いだろう。…そう願いたいものだ…)

タッタッタ…

〜その頃優花〜

タッタッタ…

「…はぁ…はぁ…全く…しつこい連中だわ本当にも〜!!そもそも執行者って何なのよ〜!?…ん?」

「…はぁ…はぁ…」

グルングルン!

パッパラララパララパパラ〜♪

ポイ!

「!!ぐあっ!!くそっ!…この西部劇気取りが〜!!」(ジタバタ!)

「大人しくするだべ〜!」「大人しく正義のお縄についたようだな〜!!」「俺達から逃げられると思うなよ〜!」

特定死者を捕まえては上機嫌な騎馬隊部隊の執行者が捕まえては特定死者を取り囲んでは生捕にする。

「これで15人だべ〜!」「隊長さすがです〜!」「そろそろ昇進も近いのでは〜!!」

ワーハハハハハ!!!

∧( 'Θ' )∧・・・・・・・・・

「…一体何だってんのよ…はぁ〜!まあ仕方ない!先を急ぐか!」

タッタッタ!

「…それにしても長い道ね〜!…でも一体どこまで続いているのか気になるところね〜!漫画で見たような景色がずっと広がっているわね〜!」

優花は雲の上に続いている道を見て何かを感じた。現世で住んでいた時にある漫画に出てくる景色を思い出していた。

「天国とも言えるし、今やっていることも考えたら地獄とも言えるわね〜!…でも道のりは長い!…とにかく走るしかないわね〜!」

「いたぞ!!」「捕まえろ〜!」「そこの女〜!!とまらんか〜い!」

「!!あっ見つかった!…絶対に捕まってやんないよ〜だ!!…じゃね♪」(フリフリ!)

優花は見苦しく、茶目っ気混じりで執行者に逃亡する意欲を見せる。それを見ては執行者も挑発に乗った。

「ほぉ〜いい度胸だ〜!!」「あのアマ〜!!」「見せつけてくれるじゃあないの〜!!」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…

「!!…やば!…あ〜ん!もう誰か助けて〜!!」(タッタッタ〜!)

逃すかーーーー!!!!

ドドドドドドド!!!

・・・

「…はぁ…はぁ!!」

「そこのもの待つんだべ〜!!」「大人しく捕まれ〜!!」「生捕だ〜!!」

「…西部劇というものか。…縄で捕まえようとしているが…単調すぎる動きだ」

豹策は執行者の騎馬部隊からの追走から逃れようとしていた。しかしパターンが単調であるために、すぐに縄を避けてはひたすら走り込んでいた。

「うぬう〜!なかなか捕まらんべぇ〜!」「あの野郎!大人しく捕まれば…」「めでたく閻魔大王行きなのにな〜!!」

「…断る!…!!」

豹策は逃げ続けた。しかし、その道には花畑になっており、騎兵部隊は、その場に踏み込むのを躊躇していた。

「?…追ってこなくなった?…何故?」

「…撤退だべ〜!」「撤収だ〜!!」「掘られるぞ〜!まさか禁断の世界に突っ込むとは〜!あの俳優ヅラの男…そんな趣味があるとは」

豹策は前方を向くとそこには、花畑が広がる道が広がっていた。するとその光景には、おぞましい景色が広がっていた。


🎼Back Ground Music 》》》



gay bar〜♪

「ウウフン〜♡いらっしゃ〜い〜♡」「キャ〜♡捕まえたわ〜♡」「ウフフ♡よ〜こそ〜♡」

「は…離せええええやぁあ!!!!」「だぁあああああ!!??」「うゲェええ!!??き…気持ち悪りぃいい!!!!」

シュン!

「!!…ホモといった所か…」

豹策はその花畑の実態を見て理解した。この花畑は禁断の世界の入り口であったことを。そしてガタイのいいナイスガイ達が、豹策の姿を見ては誘惑されたのか、ジリジリと近寄ってきた。

「あんら〜!!俳優づらよ〜♡きゃ〜♡!!」「ラッキー♡!!昭和ヅラって感じですっごく好み〜♡!!」「お兄さん♡あたし達と遊・ば・な・い♡?」

「断る!」

ダダダダダダ!

豹策は逃げる。その表情からは、貞操の危機と同時に、身の危険を感じていたからである。その様子に花男達はその後を追っていく。

「!!あんらいや〜ん♡」「もう逃げないで〜♡」「ルックスいいそこの男前さ〜ん♡!!!」

ドドドドドドド!!!!

「…なかなか振り切れ……!?」

ドスーーーン!!

「!!まあ今度は俳優ヅラ〜♡私のこ・の・み♡」

「きゃ〜♡長様の降臨よ〜♡!!」「麗しき私達の長様〜♡!!」「きゃ〜♡」

「…こいつらを束ねるリーダーといったところか…」(ギロッ!)

豹策は目の前に立ち塞がる花男の長を睨みつける。その風貌は体長2mはあるガタイのいいナイスガイであり、隆一と書かれた特攻服を着ている。その目つきを見ては長は気に入ったのか、更に寄ってきた。

「あんら〜♡なかなかいい目をしてるわ〜♡!!すっごくタイプ〜♡!!」(クネクネ!)

「…今だ!」

「…甘いわ!」

ブン!…ガシッ!

「!!…グッ!」

豹策は長の足の間をすり抜けようとした。しかしそれをすかさず素早く足を閉じてはホールドし、逃げ場をなくす。そしてそろそろと言わんばかりにときめいては笑みを浮かべてはジリジリ寄ってきた。

「うんふふ♡あんら〜♡!よく見るとまるで黒豹のようなお人〜♡…ではでは〜…ん〜♡♡///」(ドキドキ///♡)

「!!…グッ…離せ!」

「あんら〜ダメよ〜ダメダメ♡」(うるうる…)「もうすぐであなたも長様の祝福のキスが待っているわよ〜♡…至福のひ・と・と・き♡」

「!!」(まずい…このままでは…)(ジタバタ!)

普段クールな豹策も今回ばかりは抵抗する。するとそこに一人の女性が現れては漫画のように制裁を加える。

🎼Back Ground Music 》》》



「こんの〜!…変態おっさん共が〜!!」

バコーーーーーーン!!!

「ああーーーーん♡」(ビリビリ!!)「長様!!」「あ〜長様〜!!」

「!!…なっ!」

突如頭上からハンマーでも振り上げられたかのような拳が飛んできては花男の動きを静止させては止めた。すると女性はすかさず男性の手を引っ張る。

「こっちよ!!早く!」

「…ああ。」

ガシッ!

「ああ〜ん♡!!もうちょっとだったのに〜!!」(ジョーーー!!!)「んもうあの女〜!!」(プンプン!///)「せっかくの長様のお楽しみを邪魔するなんて〜!!///」(プンプン!)

豹策は女性に手を引かれては難を逃れ、無事に花畑から逃げることができた。しかし、その後に衝撃的な展開が待っていた。

「…すまない…たすか…った…!!」

「…それはお互い…様…え!?…き…霧矢さん!!」

二人は顔を見つめあった。そこには宣行と顔馴染み同士であった豹策と優花が無事に再会することが出来たからである。

「優花…そうか…来ていたのか。」(フッ…)

「霧矢さんこそ!…ああ〜…何だか安心するわ!兄貴の顔馴染みの人とこうして会えたんだから〜!…でも兄貴は…」

「…見かけていない。…ここに来ているのかも分からん。…とにかく感動の再会はここまでだ。早くしないと捕まるぞ!」

「!!…そ…そうよね!うん!…また会えるわよ…きっと!」

タッタッタ…

優花は走りながら今回の試練で知ったことを話した。どうやら犯罪組織をコントロールし、裏で操っていたのは、高校の時に知り合った上谷という男であるということを豹策に伝えた。すると豹策は熟考してはこう話した。

「そうか…昔優花や宣行が知り合った上谷という男が…今回の…」

「…うん。…本当に見ていて気味が悪い映像ばかりでね。」

「そうか…だがこれでようやく事件の足取りを掴めたようにも思う。だが今はここをどうにか突破しないといけないな。」

「そうだね霧矢さん!…よ〜し行くか〜!」

タッタッタ!

二人は道のりを走っていく。すると広場が見えてきた。

「!!…あれは…広場か!?」

タッタッタ…ザッ!!

ブォーーーーン!!

「!!」「い、一体何なのよ!?」

すると広場のサイレンから何やら声が聞こえてきた。それは軍事経験のある声高らかな笑い声が聞こえた。

「ハーーッハッハッハ!いよいよここまで来たか…勇敢なる特定死者の者達よ…」

「…この声は…」「ちょっ!声うっさいわよ!一体誰なのよアンタは!?」

優花の返答にサイレンの男は、笑いを浮かべこう言い放った。

「…ふっふっふ!…最後の言葉が一体誰なのよアンタか…生意気な女だ!!…ふふふ…もう許さんぞ〜この武装執行者隊長の名において一切、手加減はしない!武装執行者共やってしまえ!!」

「「「「「うぉぉぉぉおぉ!!早く捕まって俺たちに休息を〜〜!!!!」」」」」」(ダダダダ!!!)

🎼Back Ground Music 》》》



「…!!行くぞ!」(ダダダ!)「あ〜もう絶対に逃げ切ってやるんだから〜!!」(ダダダ!)

「待てやゴラァあ!!」「逃がさん!!」「貴様らに血を見せるまでは絶対に倒れるわけにはいかない!!」

「…今度は武装している執行者か…」「もうどんだけいるのよ〜!この鬼達は〜!?」

豹策と優花はただひたすらに道のりを走っていく。そして物陰が見つかったため、隠れようとするが、その近くには怪しい影が潜んでいた。

「…誰かいるな。…ここはスルーだ。」「了解!」

ダダダダダダ…

「…ちっ!!行ってしまったか…」「勘の鋭いやつだ!」

奇襲をかけようと隠れていた執行者たちは残念そうに二人を見つめていた。無論その様子を傍観していたその男も例外ではなかった。

「…おのれ…よくぞ見破ったな〜!…だが今度はどうかな〜?…グフフ!」

豹策達はひたすら武装執行者の追跡から逃れようと必死に逃げる。すると目の前には楽国駅が見えてきた。しかしその前を先頭者も特定死者の者が次々と姿を消していく。

「……見えてきたな…」「よ〜し!ゴー…ル…?」

フッ! フッ! フッ! フッ!

うわぁああああああああああ!!!!!

「…落とし穴か…」「あ〜もう!イライラするわね〜!!こうなれば回り道ね〜!!」(プンプン!)

「むっ!!…そこに突っ立っている者を発見したぞ!!」「よし袋の鼠だ〜!!」「逃すか〜!!」

ダダダダダ…

「え〜いくそ〜!!…バレたのなら仕方ない。…こうなったら私が出るしかないか…」

執行者との逃亡劇も激化していく。そして迂回してはいよいよ目的の楽国駅が見えてきた。

タッタッタ…

「はぁ…はぁ…!!…見えてきた…楽国駅…ここだ!!」「あ〜もう!…ようやく着いた〜!!…!?」

ザザッ!!

「クックック…よく来たな!!…だがここは通さんぞ!!」

二人の目の前に現れたのは、武装執行者の隊長であった。そして笑みを浮かべては、仁王立ちして二人と敵対する姿勢を見せている。

「この声は…」「さっきのサイレンの!!…うわ〜…武装してるけど見た目はただのおっさんだわ〜」

「誰がおっさんだこの女〜!!…まあいい!!返り討ちにしてくれるわ!!…かかってくるが…!!??」

「はああああああ!!」「そこをどけなさいっての!!!ハッキリ言って邪魔!!!」

バキィッ!!メキィイイイ!!!

「グハァああ!!!!」

ダーーーーン!!

「た…タイチョーーーー!!??」(ハァ〜…いい加減うんざりしてきたよこのリアクション…)

「道は開いた。…俺達の…」「勝利〜!イエエイイ!!!」

パーン!

「…?何の真似だ?優花?」「こういう時は喜び合うものなの!…いくわよ〜!」

タッタッタ…

「お…おのれーーー!!!!不意打ちとは…!!…あのチビ助といい、あの小僧といい…」

武装執行者の隊長はそのまま地べたに這いつくばったまま、今まで不意打ちを仕掛けてきた者たちのことを思い出しては屈辱を噛み締めていた。豹策達はそのまま楽国駅のホームへと足を運んだ。


・・・
・・


B. いいえ


《Capitolo・2》
続きを読みますか?

🎼Back Ground Music 》》》


「…着いたな」「ええ。本当に長かったわ〜…霧矢さん。エスコートご苦労様でした!」(ぺこり!)

二人は楽国駅に着いて喜んでいた。武装執行者の方は駅のホームに入ってくることなく、次の特定死者を捕まえる体勢に入っている。しばらくするとそこに聞き覚えのある声がしたのでその方を振り向く。

「はいは〜い♪おめでとうございま〜す♪お二人共ごとうちゃ〜く!」

「…オロア。…駅長のつもりか?」「オロア!ってその格好何のつもりよ〜?」

そこにはミニスカ姿の駅員の格好をしたオロアが立ちすくんでいた。そして、オロアは二人に切符のようなものを渡した。

「これどうぞ〜♪」

「これは…切符か?」「…乗車券っていうことなのね〜!」

「それは【paradiso】行きのチケットですよ〜♪無くさないように気をつけてくださいね〜♪」

「…わかった」「一日駅長ご苦労!!」

「はい!TPO【時(time)、所(place)、場合(occasion)】に合った服ですので〜!」

「……ご苦労さん」「え〜と何番線…おっ!?書いてる!!」

豹策と優花はチケットに書かれていた番号を確認する。すると豹策は四番線のフロア2、優花は七番線のフロア4と書かれていた。お互い確認しあい、少し名残惜しく挨拶した。

「…別々のようだな」「…そうね。…でも【Paradiso】に行けば…いつかは会えますよ!!…きっと!」

「ああ。じゃあ優花。…気をつけてな」

豹策はそういうと自分の乗る電車へと足を運んだ。その様子を優花は少し名残惜しそうに見送っていた。

「霧矢さん。…どうか無事で!…また必ず会いましょう!」(ニッ!)

「…そうだな。…必ず!」

フリフリ!

二人は再会を祈るように別れの挨拶を済ませ、お互い別の電車へと乗車していく。

キィイイ…バタン!!…

「…あの世とはいえ…見た目は現世の電車と大差はないか…」

ジリリリ〜ン♪

「…ベルか…」

列車内からベルが鳴り響き、豹策は身体を起こす。するとアナウンスからオロアの声がした。

「どうも皆様ご機嫌様〜♪今回は、あなたたちの試練を乗り越え、執行者からの追跡に見事逃れ、この列車に乗っていただき誠にありがとうございま〜す♪まもなくワンマン【paradiso】行きの列車が発車しま〜す♪この列車は途中下車することなくそのまま目的地まで行きますので昼寝なり好きに過ごしていただいても構いませ〜ん!た・だ・し途中購買の人が訪ねてきますので必ず出る様にしてくださいね〜!では今回汽車長を務める私導き人のオロア、ただいま発車しま〜す♪」

「…!?汽車長はオロア…運転は大丈夫なのか?」

プシューッ!!ガタン!!

「!!…揺れている…オロア…くれぐれも事故だけはするなよ…」

電車は揺られながらも発車した。その景色は未だ雲の景色が続いている。

ガタンゴトン!

「…購買の従業員もいるのか…」

ピンポンパンポ〜ン♩

豹策は外の景色を眺めていると、またもやオロアのアナウンスが聞こえてきた。

「本日は、【paradiso】行きの列車にご乗車いただき、誠にありがとうございま〜す♪この列車の汽車長は私導き人のオロアが責任持って努めさせていただきま〜す♪」

「…さっきいっただろ…」

ゴオオオオッ!!

「!?…トンネルか…しかし何故だ?」

トンネルに入る電車。豹策は不思議に思った。何故雲の世界にトンネルなんかあるのかと。死後の世界独特のご都合主義といえばいいのか少しの間混乱していた。いろいろ疲れがあってか、少し仮眠を取ることにした。

「zzz」

コンコン!

「…?」

仮眠を取っていた豹策は、誰かの音がしたので起き上がった。するとドアから声がした。

「あの〜すみません!購買のもので〜す!開けてくださ〜い!」

「……」

ガチャ…

「…!?」

購買担当の駅員の姿を見て豹策は驚いた。購買担当の駅員は笑みを浮かべながら挨拶した。

「やっほ〜♪」

「…オロアか。…運転は大丈夫なのか?」

「安心してください!現在自動運転になっていますので持ち場を離れてても大丈夫で〜す♪まあもしもの時は分身飛ばしま〜す!」

(!?…オロア…分身することができるのか…)

「そうですね〜♪」

「……人の心の中読むのは悪趣味だオロア。」

すると、オロアは豹策の注意を遮っては話を続ける。

「ふっふ〜ん♪…ではでは〜…そろそろ本題に入りましょう!」(ぺこり!)

「…そうだな、何を売っているんだ?購買なんだろ?」

するとオロアは笑みを浮かべつつ、豹策にこう伝えた。

「ふっふ〜ん!…実は売るためにきたのではありませんよ!」

「…?じゃあ何しに来た?」

「これをお渡しに来ました!」

オロアは豹策に何かを手渡した。すると四角のダンボールに詰められて梱包されており、豹策は小包であることを理解した。

「…小包か?…開けてもいいのか?」

「どうぞ〜♪」

「…!?…これは…!?」

豹策は小包の中に入っていたものを確認する。そこには高校時代の天野と豹策とのツーショット写真に手作りのお守り、槇原兄妹の写真に、豹策の愛用していたループタイに香水、そして天野が勧めてくれた俳優のCDが入っていた。

「…そうか…これは現世からの餞別か…」

「そうです♪あなたの入っていた棺の中のものです〜!見事試練を乗り越えた贈り物として受け取ってください!!」

「…わかった…」

豹策は、遺品を大事そうに見つめていた。するとオロアは本題として一枚の封筒を渡した。

「これどうぞ!!」

「…何だ?…DVDか?」

「その通りで〜す♪…これはあなたの現世で関わりのある人からのメッセージが込められていますよ〜♪そこに再生機がありますのでご自由にご覧ください!」

「…わかった。」

「それではごゆっくり〜♪」

スタッスタッ!

「…何が写っているんだ…?」

豹策はDVDを再生した。するとそこにはオロアの言うとおり、DVDには現世の事の内容が収録されていたビデオレターであった。

🎼Back Ground Music 》》》



ザザーーーッ…

『…豹…もう君に会うのは何年振りかな…』

「…!?…天野…!!」

そこに写っていたのは、豹策の高校時代からの親友でもあった天野であった。そして驚いたのは豹策の実家を訪れては仏壇で手を合わせていた場面であった。

「…そうか。…わざわざ実家まで来てくれていたのか…天野…!?…母さん…」

『天野ちゃん!…ごめんなさいね。…でも、見ない間に本当に立派になったわね〜!…あの事件の事もあったけど…あれから本当に努力したのね〜!』

『…はい。豹のお母さん!…あれから私も頑張って社会福祉士を習得して、今は生活相談員として勤務しております!…いつまでも彼には心配をかけたくありませんでしたし…でも…うぅ…』

「…!!…これは映像だ。…目の前に天野がいるわけでもない…それなのに…」(ポタポタ…)

豹策の目からは涙が流れていた。目の前で自分の事に好意を寄せていた女性が、涙を流しては自分の事を今でも思い続けていることを理解した。

『…豹はね…あなたに会えた事を感謝していたわ。』

『…え?』

「…母さん…」

豹策の母親は真剣な表情で天野に対してこう話した。

『あの子…昔、私の旦那が薬をやってから、噂になっては友達ができなくていつも一人ぼっちだったの…それをあなたはあの子に何も抵抗なく、接しては友達になってくれた事を…とても喜んでいたわね。…でも顔には出さずにこの…心の中で感じていたんだと思うの…』

『!!』

「…そうか。…まあ俺を産んでくれた母親だからわかるんだろうな…」

『…あの子は、普段クールを装っているんだろうけど、本当はね…胸の中には熱いものがあるの…昔若い時の旦那が持っていたような熱くて優しい義理人情のある心をね。』

「!!…母さん…」

豹策の母親はそのように温かい表情をしては気持ちこめて天野に話す。しかし彼女はまるで以前からその気持ちをわかっていたかのように話す。

『…ふふ!…豹のお母さん!…それは私も気づいていましたよ!…確かに生真面目で…あんまり喋らなくて笑わない所も多いけど、本当は誰よりも優しくて義理人情もあっては、頼り甲斐のある俳優のようで…毎日が退屈にならなくて。…豹と一緒にいると本当に楽しくて、…温かい気持ちになるんです!』

「!!…天野。…お前…!!」(ポタポタ!)

天野は豹策と過ごしていくうちに本人の持つ個性や、本質を知ったように語っている。それを聞いた豹策の母は微笑んでこのように話す。

『…ふふ!…そう。…天野ちゃん!…そんなにこの子のこと、好きだったのね!』

『…はい!…とても!!…だって今でも、こんな立派な俳優ヅラした顔つきになって…更に彼のこと…好きになりましたから!…おそらくこの気持ちは、きっと永遠に残ると思います!…おそらく豹も…私の事…忘れずに思っているのではと思いますよ♪』

「…ああ…ああ!」(ポタポタ!)

豹策は画面の前に来ては涙を流してはモニターの前に前のめりになり、凭れ込んでは涙を流していた。

「天野…お前に対する好意の返事は…あの時言えなかったな。…あの時にもし好意の気持ちを伝えていれば…さぞ辛かっただろうと思う。…結果的にあれで良かったんだとも思う日もあった。…だけど、お前の言葉で理解したよ。…どうやら俺にも…この心の中にはまだ、温かさが残っていたんだな…」

『…ねえ天野ちゃん!…ちょっといいかしら?』

『?…はい。…何でしょうか?』

「…母さん…!?…あれは…!?俺にも届いた……お守り!…そうか。…これは母さんからなのか…」

映像には豹策が餞別として送られたお守りであった。すると母親は優しく微笑んだ。

『…それは縁結びのお守りで、あの子にも火葬する前にね…送っておいたの。…きっとあなたをいつまでも見守ってくれるわ!』

『!!…そうなんですか…あぁ…届いているかな…豹!!』

「…ああ。…ここにある…!…だから天野…もう…泣くな…」(ポタポタ!)

豹策から再び涙が流れる。そして天野からも喜びの涙が流れる。そして天野はこう言った。

『もし、あの世にいるのなら、いつも心から笑えるあなたでいて欲しいと願うばかりね。…今回の事で辛いこともあっただろうけど…それでも…豹…』

《向こうの世界で…元気で笑って暮らすんだよ…》

天野は満面の笑みで、豹策に伝える。すると豹策の口元が少しだけ緩んだように感じられた。

「…そうだな。…槇原のように時に笑っては…少しだけ心に余裕を持たせるのも…悪くないかも知れないな…その為にも…俺は…」

豹策は笑みを浮かべるも、その眼差しには、信念を持って法と秩序を重んじる姿勢で、こう言い放った。

《妥協しつつ、…自分なりに守るべきものの為に力を持っては、この【Paradiso】の世界の安全を…治安を守り通す!》

豹策は【paradiso】で強く生きていくという意志をさらけ出し、そして収録された内容が終わった。そしてエンドロールに流れた曲を聞き、少し懐かしんでいた。


🎼Back Ground Music 》》》



POISON〜言いたいことも言えないこんな世の中じゃあ〜♪

「…この曲は…天野が勧めてくれた俳優のCDに収録されている一曲だな。…言いたいことも言えない世の中、そして自分自身を騙すこともなく生きていく…か。…今になっては胸に突き刺さる言葉ばかりだ。…自分らしさを保ち、自由に生きていく日々を…大切にか。…覚えておかないとな。…天野…ありがとう。…槇原…優花をこれからも見守っていくよ。…安心してくれ!…お前がこの世界に来ているかはわからない。それでも、また何かしら縁があれば…会おう。」



〜ガタン…ゴトン…ガタン…ゴトン…


果てしない道を止まらずに進み続ける電車の中、豹策は詩文を読むかの様にこれから出発なんだという意気込みを言葉にした。





A boy who enjoyed a life in which his father took medicine and made his life go crazy, and he also had to pay the price.
(父親は薬に手を出して人生を狂わせ、自分にもその代償が付き纏ってしまう人生を味わった一人の少年。)


On the other hand, the boy saw his father as a teacher and tried desperately to live even if he was lonely.
(少年は父親を反面教師としてみては、孤独でも必死に生きようとした。)


Still, the encounter with a girl allowed me to discover my life, my values, and the true feelings I had in my heart.
(それでも一人の少女との出会いが、自分の人生や価値観、そして心に秘めた本当の想いを見出すことができた。)


He respects law and order, confronts crimes, knows the importance of in-laws, and shows a clumsy but observant attitude.
(法と秩序を重んじては犯罪に立ち向かい、義理人情の大切さを知り、不器用ながらもそれを遵守する姿勢を見せる。)


From here, the real journey begins. An actor like a black panther who reaps an illegal drug decides to fight in an unknown world with war and turmoil, and in the underworld there is a lawless zone that dominates people, and goes on his own way.
(ここからは本当の旅の始まり。一人の違法薬物を刈り取る黒豹のような俳優は、戦乱と動乱が蠢き、裏社会では人を牛耳る無法地帯のある未知の世界で、戦う事の決意を固め、自分の道を突き進んでいく。)

・・・
・・


〜その頃優花〜

「…小包?」

「はい♪…餞別なのでどうぞ♪」

パカッ!!

「…!?…これって!?」

優花は小包の中に入っていたものを確認する。そこには槇原兄妹が肩を組んでは喜び合った写真に、宣行の形見の腕時計等、色々入っていた。それを見ては涙を流す。

「…そっか…誰かが私の棺の中に入れて…」

「そうです♪あなたの入っていた棺の中のものです〜!見事試練を乗り越えた贈り物として受け取ってください!!」

「……ありがとう。…本当に…」

優花は自分の遺品を大事そうに見つめていた。するとオロアは本題として一枚の封筒を渡した。

「ふっふ〜んあ・と・は…これをどうぞ!!」

「…?…これって…DVD?」

「その通りで〜す♪…これはあなたの現世で関わりのある人からのメッセージが込められていますよ〜♪そこに再生機がありますのでご自由にご覧ください!」

「…わかったわ。…ありがとねオロア!」

「いえいえ〜♪…それではごゆっくり〜♪」

スタッスタッ!

「…何が写っているのかしら…?」

優花はDVDを再生した。するとそこにはオロアの言うとおり、DVDには現世の事の内容が収録されていたビデオレターであった。

🎼Back Ground Music 》》》



〜ある美術館〜

『…優花さん。…あの時、あなたと出会えたおかげで自分は、こうして最優秀賞の絵が描けたよ。…感謝する!』

「!!…た…高志くん!?…あの絵って…!?」

高志は社会人になってはデザイナーになり、その仕事で自分の出典した作品が最優秀賞を受賞した旨を報告する。その絵のテーマは兄弟愛であり、宣行と優花が笑顔で笑い合い、木濡れ日の温かい日差しが差し込んでいるとても温かみを感じられる絵であった。しかし、それでも彼の目には涙があった。

ポタ…ポタ

「!!…た…高志くん…」

『…出来れば君が生きている時に…見せてあげたかったよ。…本当に。…でもね優花さん…一方的に別れてしまったけど…僕は今でも…あなたのことが…』

「!?…ちょ…高志くん!?///」

高志の口から、優花に対する好意の感情があった。恐らく理想の女性として映っていたのだろう。しかし高志は首を横に振っては、何か割り切ったかのような表情を見せては、こう話す。

『…いや。今更…こんなこと言っても遅いよね。…大丈夫だよ優花さん。…僕は必ず、自分の人生を描いてみせるよ!…いつか君のような、温かい笑顔のあって頼りがいのある女性を見つけるから!』

「!!…高志くん…」

優花は高志の様子をじっと見つめ、応援するかのように温かく見つめていた。するとそこに仕事関係の者なのか、声を聞いては話しかけにきた。

『…先生?…その絵を見て何だか懐かしそうにしていますね。…その女性の絵に…何か思い入れでも?』

『…何でもないさ。…もう…で?…一体どうしたんだい?』

『…実は私…先生に…相談が…///』

『…?』
 
「!!///…さ…早速春が来たじゃ〜ん!!いけいけ〜高志く〜ん!!///」

高志に話しかけた女性は、取引先の女性で高志のことを先生と言っては慕っている様子であった。スタイルも良く、愛想の良い雰囲気である。

『…話って?』

『…ここでは何ですから…今晩一緒に食事でもどうですか?』

『…!!…いいよ。』

「ふふっ!…どうやら高志くんも察しているようね〜♪…だからね。…高志くん…もう私は大丈夫だから…ありがとう。」

《…私は、…私自身の手で、幸せとは何かを知って、高志くんのように素晴らしい人生を描いていくわ!…見ていて。》


豹策は【paradiso】で強く生きていくという意志をさらけ出し、そして収録された内容が終わった。そしてエンドロールに流れた曲を聞き、少し懐かしんでいた。


🎼Back Ground Music 》》》



Get wild〜♪

「…あはは!…まさかこのタイミングでこの音楽が流れるなんてね〜♪…まあでも悪くないわ。昔も今も…この漫画…好きだったからね〜♪…これから私…大きな旅に出るのね。…兄貴。…あの世の世界でも、私は救いの手を差し伸べるわ!…あの時、樋川さんや、霧矢さん、そして高志くんが私を励ましてくれたように、行ってきます。…そして…必ずもうあの悲劇は起こさせない!絶対に守って見せるんだから!」



〜ガタン…ゴトン…ガタン…ゴトン…


果てしない道を止まらずに進み続ける電車の中、優花は詩文を読むかの様にこれから出発なんだという意気込みを言葉にした。





He lost his parents at an early age, and his brother was separated because of his path.
(幼き頃に両親を失い、その兄も、自分の目指す道のために、離れ離れになる。)


However, the encounter with a woman who cherishes her in-laws and has gratitude as if she were reaching out to help changed her life.
(しかし、まるで救いの手を差し伸べるかのように、義理を大切にし、恩義があるからか、手を差し伸べる女性との出会いが彼女の人生を変えた。)


There were various pains. However, she never gave up, struggled to look forward, and now she decided to create a family that thinks of her brother and protect her life.
(様々な辛いこともあった。しかしそれでも彼女は決してあきらめず、前を向こうと奮闘し、今になっては兄を思う家庭を作り、その生活を守っていこうと心に決めていた。)


Despite a sudden farewell, she never gives up, and an encounter with a partner tries to move forward in search of the truth of the case.
(突然の別れもあるもそれでも彼女は諦めず、一人のパートナーとの出会いが、事件の真実を探究しようと前に進もうとする。)


From here, the real journey begins. A woman looks forward and goes a long way, as if to take over her brother's will to respect law and order and to support his compassionate heart and strong will to protect someone.
(ここからは本当の旅の始まり。法と秩序を重んじる兄の意思を引き継ぎ、慈愛の心と府誰かを守ろうとする強い意思を後押ししてくれるかのように、一人の女性は、前を向き、長い道を歩んでいく。)

・・・
・・


B. いいえ


《Capitolo・3》
続きを読みますか?

🎼Back Ground Music 》》》





〜豹策の乗る電車〜

電車に揺られ、どれくらいの時間が経過したのかがわからない。その中で豹策は仮眠をしつつ、起きながら、【paradiso】への到着を待っていた。

ジリリリリリ〜

「ん…ベルか…」

〜ピンポンパンポ〜ン♪

どこからかアナウンスが聞こえた。するとオロアの声が聞こえた。

「ご乗車ありがとうございま〜す!まもなく待望の〜【paradiso】へ到着しま〜す♪しかし、この列車は順番にフロアの扉が開く様になっているため、開いた方から順番に出る様にしてくださいね〜♪…もしルールに従えない様であればあなた達の身柄は執行者に引き渡すので悪しからず〜♪」

「……」

豹策は順番が来るまで待っていた。すると電車の扉が開いた。

「……行くか。」

豹策は電車から降りて、周囲を確認する。そこには灯台があり、海が見えていた。眺めの良い場所であり、豹策自身、少しばかり海を眺めていた。

「海か…あの世でも海は存在するのか。…不思議に思うな…この世界は…」

豹策が海を眺めているとオロアがやってきて声をかけてきた。

「豹策さ〜ん!!海をじっと眺めている場合ではありませんよ!さ〜早くいきましょう♪」

「…そうだな。」

豹策はオロアのあとをついていく。すると、いきなり駅員事務所の様な場所に案内された。

「はい。ではここに入ってください!」

「…事務所?…じゃあ…失礼する。」

豹策は事務所へ尋ねた。するとそこには容姿は10代後半の女性が座っていた。髪色はオロアと同じで眼鏡をかけている。そして真面目な感じがする雰囲気を醸し出していた。そしてその女性は声をかけてきた。

「初めまして。貴方は霧矢豹策様でいいですね?」

「…ああ。」

「私は導き人の一人、イールです。…うちのところのオロアがご迷惑をおかけしてすみませんでしたね。」

「…大丈夫だ。…少しばかり騒がしいが…」

イールはオロアとは違い、坦々な事務的な性格をしている。二人はかなり対極的な性格をしていると富美恵は思った。

「ではこの書類をよく確認し、承諾の上でサインしてください。」

「…!?」

豹策はその内容を確認し、そこには驚くべきことが書かれていた。


【paradiso】Entrance examination procedure
(【paradiso】入界審査手続き書)

(       )
【1】In this [paradiso], you cannot use the name in this world, so please decide a new name.(Be sure to use the alphabet! Any number of characters)
(この【paradiso】では現世での名前は使えないので新しく名前を決めてください。《必ずアルファベットで!文字数は自由》)
※原則です。違反した場合、不法入界者として一ヶ月以内に執行者を派遣し、身柄を拘束します。

【2】[Paradiso] has a rank system, and the higher the rank, the more status you have and the wider your range of home and work. At first you start with the lowest F rank. Points will be paid to all residents living in [paradiso] every month. You can have free time to eat, which promises an equal life for the citizens.
(【paradiso】にはランク制度があり、階級が上であるほど、地位を持ち、家や仕事での幅が広がります。最初あなたは最低値のFランクから始まります。一ヶ月毎に【paradiso】に生活する住民全員にポイントが支給されます。ご飯も自由な時間に取れますので、市民に対し平等な生活を約束されています。)
※【paradiso】では(F→E→D→C→B→A→AA→AAA→S→S1→S2→S3→S4→S5)という順にランク付けされています。

【3】In order to rank up, you can earn reward points at the request of the Labor Guild and raise it when you reach the standard value. We recommend that you work voluntarily and rank up.
(ランクアップするためには、労働ギルドからの依頼を受けて報酬ポイントを獲得し、基準値まで達すればアップすることができます。自主的に労働してランクアップする事を推奨しています。)

【4】No bleeding is seen in the body even if it is cut in this world. Since your body itself is composed of a posthumous soul, if you take a certain amount of damage, it will be difficult to form a soul, and in the worst case ... your soul will disappear, and even in heaven and hell. We cannot guarantee that you can send your soul!
(この世界で斬られても身体には出血は見られません。あなたの身体そのものは死後の魂として構成されているため、一定数のダメージを負った場合、魂の形成が困難な状態になり、最悪の場合…あなたの魂は消滅し、天国や地獄にも魂を送ることができるのかの保証はできません!)
※後ほど、自分の基準となる魂の量を計測できる腕時計型デバイスを進呈します。

【5】This world of [paradiso] is also a utopia depending on how you perceive it, and in many cases you will be tested for your ability to be called a dystopia. We hope that you will spend your days not forgetting that we are in a society that is unequal and has a difference between rich and poor.
(この【paradiso】という世界は個人の捉え方によってはユートピアでもあり、ディストピアとも言えるくらいの実力が試されることが多いです。不平等かつ貧富の差もある社会の中だという事を忘れない様に日々を過ごしていただければ幸いです。)

We recommend that you sign after understanding the above.
以上のことを理解した上でサインされる事を推奨します。
現在時間:【paradiso】歴1999年 12月16日 名前:()


「…なるほど。…名前か…」

「この世界では弱肉強食です。ルールは基本的に無視する輩もいます。その様な怠惰をする現世人は遅かれ早かれ破滅の道を辿るでしょう。」

「……【paradiso】にまで来て、また執行者に追われるのは…嫌な話だ…」

豹策は名前のことで悩んでいたが、昔新聞部との会話もあり、その名前のワードと昔海外の刑事ドラマで見たからか、その登場人物の名前が頭の中によぎり、そのままあるがままに書いた。

「…」(これでいいか。)

(Veno・nix)

「この名前でも大丈夫か?…イール?」

眼鏡を持ちながらその名前を確認する素振りを見せるイール。確認し終えた後、豹策に対し淡々と返答する。

「…問題ありませんね。良しとします。あと食事についてはFランクの場合は、あなた方の現世にある様な飲食店への入店をお断りされることが多いですね。その際は無人販売機の方にて食事するか、もしくは定期的にやっている炊き出しに並ぶか…そこは自由にしてください。」

「…わかった。…民主主義と思えば…なんてないか…」(カキカキ!)

「…ふふっ、意外と素直ですね」

「…そうか?」

豹策は書き終わった書類をイールに渡す。イールは少し落ち着いてから話しかける。

「…確かに書類は承諾とさせていただきました。これであなたの入界手続きは終了とし、貴方はこれから現世人【Veno・nix】(ヴェノ・ニクス)として名乗っていただきます。こちらは貴方が現世人であることの証明となる勲章です。あとはこれを身につけていただきます。」

「?…腕時計か?」

豹策改め【Veno・nix】はイールに渡されたものを確認した。勲章には【Questo mondo】と書かれており、もう一つは見た感じ腕時計であった。それについてイールから説明を受ける。

「それは通称【P-Watch】腕時計型デバイスです。手に着けてディスプレイを見てください」

「…!?…ハートが書かれているな……健康状態を調べるスマートウォッチのようなものか?」

【Veno・nix】は初めて【P-Watch】の画面を確認した。すると、自分の現時点のランクに、ハートの様なものが表示されている。

【Veno・nix】  ランクF 
【♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡】

現在は【paradiso】歴1999年12月です。

「それは貴方の魂の値です。計測した数値は大体のものですが、もしそれが無くなれば貴方の魂は消滅するという事をお忘れなき様お願いします。」

「…わかった。…1999年か…現世に比べても…長い歴史があるのか…」

するとイールは少し微笑んだ表情で【Veno・nix】に説明した。

「この【paradiso】には最初、時間の概念はありませんでした。元々この世界は真っ白な世界でした。そんな時に、ある人には創造神とも言われ、中には重罪者とも言われた女性と、その女性を守り勇敢に守護して戦った男性。そしてその二人に付き従い、二人のために戦った一人の少年の言い伝えがあります。その人達の頑張りがこの世界に時間の概念を創り出し、この世界を作ったというのは昔から伝えられている伝承の歴史があります。」

「…その伝承通りにいくとするならば…今の時代にもそんな創造神を憎んではこの世界を好き勝手にする悪党の残党共も…【paradiso】にも潜んでいるのかも知れないのか?」

【Veno・nix】の言葉にイールは眉を潜め、深刻な顔でこう語った。


「ご明察通りです。その残党の名前は確かに存在します。組織の名前はユートピア創造士隊と呼ばれており、白い衣を羽織り、その配下には【paradiso】各地にある闇に包まれた殺し屋ギルドに所属するユートピア人を率い、自分達の作るべき世界のためならば…時には殺戮をも厭わない集団がいます。そして…今も暗躍し続け、各地で反乱を起こそうと待ち構えております。」

「…その話が本当なら…今【paradiso】はかつて俺達が生きていた現世での…かつて昔起こった戦争の時代が起ころうとしていると…そんな世界に…俺がいくことになるとはな…」

「もしその者達と対抗するための術を私達は貴方に素質があるか…試すことができますが…やってみますか?」

「…!?…そんな方法があるのか?」

その言葉に【Veno・nix】は少し驚き、イールは会話を続けた。

「はい。この【paradiso】は極めてあなた方の住んでいた世界とは非現実的なもので構成されている世界ですから。実力を問い、この【paradiso】に生き残れるか判断させていただきます。いわゆる貴方の体験してきた試練のようなものです…どうされますか?」

「……」

【Veno・nix】は考えた。あの時の試練を見た限り、【paradiso】はただの楽園とは程遠い現実があることは感じていた。そしてあの時、電車の中で自分に言い聞かせた言葉を胸に、こう主張した。

「…イール…案内してるか?……その試練を…俺は受ける!」

その発言にイールは微笑んでその言葉を承諾と捉え、淡々と返答した。

「…わかりました。貴方の覚悟は伝わりました。こちらです。ついて来てください。」

【Veno・nix】はイールの後をついていく。するとそこには広大な空間が広がっていた。

「…広いな」

「はい、そして目の前に立って見てください。相手の方が来ます。」

「…?…!?」

【Veno・nix】は驚いた。自分の目の前に立っていたのは、かつて麻薬取締官として活躍していた自分自身であり、それについてイールから説明を受ける。

「あそこにいるのは現世での貴方自身です。どうやら現世での突然の別れから、後悔の念が具現化して成仏できず、魂の集合体として人の形をして存在しています。」

「…なるほどな…」

すると、相手の豹策が声をかけてきた。

「…お前が…【Paradiso】の俺か…俺はお前を倒して…犯罪組織の親玉を確保し、アイツの元へ…天野の元に…笑顔で帰る!…覚悟は出来ているか?」

「……」

【Veno・nix】は現世での豹策だった者の言葉に怯むことなく冷静であった。しかし相手の声は、まるで現世での未練を残し、後悔の念が混じり合った強い責任感や、義務感をも感じさせる声であった。

「この試練の意図はかつての現世での自分自身と向き合い、見事に打ち勝つことで合格と致します。【Veno・nix】さん…覚悟はいいですか?」

【Veno・nix】は頷き、信念を持った目をしてイールに主張した。

「…大丈夫だ。…目の前にいるのは俺だ。…絶対に…乗り越える!」

相手の豹策は【Veno・nix】の戦う意志を見ては、一本の鋼鉄の棒を持ち出しては、【Veno・nix】に渡した。

「…持て。」

「…棒か。…なるほど。俺の得意分野で勝負といったところか…わかった。」

「…覚悟はできてるようだな。…それでこそ…俺だ!!」

「ではこれより、【Veno・nix】vs豹策との勝負を開始します。では両者共…」

「…」(チャキッ!)「…」(チャキッ!)

イールは始まりの合図の準備をしていた。周りは静かであり、風もなく無音の状態が続いている。【Veno・nix】と豹策は互いに棒を構えては試合の合図を待っており、その中でイールは目を瞑りながら両者の勝負の合図をじっと待っていた。すると無慈悲にも戦いの合図が開始される。

「始め。」



🎼Back Ground Music 》》》




「!!」

「!!」

ブン!!

ブン!!

キィーーーン!!!

「…!!」(ギリギリ…)

「…!!」(ギリギリ…)

二人の振った棒は周囲に波紋となって金属音が広がった。そして相手の豹策が攻めに入る。

「!!」(ダッ!!)

「!!…来たか…!」

「…」(ブン!)

「甘い!!」(ブン!)

ガキィッ!!

「!!…やるな。…流石は俺といったところか…だが…フン!!」(ブン!!)

べキィ!!

豹策の攻撃が【Veno・nix】の右足を狙い直撃させる。思わず仰反るもすぐに体制を立て直す。

「!!っ…流石は俺か…!?…頭の中が…」

【Veno・nix】の頭の中に、豹策の航路の中に抱えていた熱い感情がこもった心の声が聞こえていた。

《俺は…本当はここに来るべきではない!!…まだ奴らが…槇原の敵が現世にいるのに…俺はここに来ずに…戻って駆逐しないといけないのだ!!…だから負けられない!!》

「!!……そういう事か。…わかった。」

「!!……何?…何のつもりだ?」

「……」

【Veno・nix】はその場に立ち尽くしていた。その様子に何かを感じたのか、豹策は【Veno・nix】を睨みつけては敵意を向ける。

「…何をそのままにしている?…戦う気がないなら…ここで決着だ。」

タタタタ!!

「……」

【Veno・nix】はその場で立ち尽くていたが、その目は決して諦めているかのような目ではなく、何としてでも前に進み、真実を掴むという真理に忠実であり、誠実な目をしていた。するとまるでカウンターを決めるかのように神速の速さで鉄の棒が豹策に襲いかかった。

ブン!!

「!!」

ガキィーーーン!!

「っ…!?」

「…ふむ…」(カウンターですか…)

【Veno・nix】は更に攻撃を加えていく。

ブンブンブン!!!

カーーーン!!

「…ぐっ!!…見事…!!」

「まだだ!!…立て。…お前の実力は…その程度か?」(チャキッ!!)

「…!!…まさか…」(グッ!)

ブンッ!!

カーーン!!

「…ぐっ…!?…その意気だ…俺!!」

「…先程よりもずいぶんと口を開くようになったようだな。…胸の中が熱いのか?」

「!!…気のせいだ!!」(ブン!)

「!!…ッ…」(ブン!)

キィーーーン!!

両者は一歩も譲らず棒術で攻めあっている。そして戦闘もいよいよ中盤に差し掛かる。

ブン!!

ブン!!

キーーーン!!

ギリギリ…カーン!!

「…長期戦か。」

「そのようだな。…!?」

またもや【Veno・nix】の頭の中に、豹策の抱えていた心の声が聞こえていた。

《…俺だって本当は心の中にあるこの感情を…曝け出したい。…だが、俺自身は、その感情がどうしても出てこない!!…どうすれば。…アイツのように…槇原のように…心から笑えるのか…知りたい!》

「!!…俺だって…分かりたい!!」(ブン!!)

「!!」

バキィイ!!!

「…ぐぁ!!…うグッ…!!」

【Veno・nix】は豹策に本来のあるがままの自分について豹策に対し、問いかける。

「…俺も…知りたい。…だがそれは本能で知るものだと…アイツらはいうだろ…きっと…天野も、槇原だって。…だからこそ。…本当に自分に正直になれるものと言えば…これしかなかったんだ!!」

「…!!…そうか…【Veno・nix】…あくまで棒術で…確かにそれくらいしか、俺が感情をさらけ出せなかったかも知れないな。…流石は俺だ。…だが気が付いたところで、俺は負ける気はない!!…全力で行くゾォォ!!!」

ゾワァーー!!

「……」(…ほぉ…なかなかの殺気を…豹策さんの方は持っているようですね。…【Veno・nix】さん…貴方の方はそれに対し、どのように…)

「……わかった。確かにその殺気は俺が放ったものだ。…俺自身は、相手を殺すためにやった事…事実だ。…それでも…」

チャキッ!!

両者はお互いに棒を持っては、決着を付けようとじっと構えている。

「……」

「……」

「…ふむ」(いよいよ決着の時ですね…二人共集中しておりますね…)

両者の沈黙の時間は進んでいく。そしていよいよ、二人の棒は勢いよく振り落とされる。

「……!!」

「……!!」

ブン!!

ブン!!

ガキィーーーン

カランカラン!

「…負けたか…殺気を駆使しても…【Veno・nix】…お前に…」

バタン!!

「…俺の勝利か…!?」

【Veno・nix】は棒を持っては立ち尽くしていた。するとまたもや頭の中から声が聞こえてきた。

《…俺自身は、罪に対する罪悪感で、自分にぶつかってしまったのが敗因か…フッ…もしくは相手の方が…心から笑えていたから、負けたのかも知れないな…》

「…さあな。…だが…確かにお前のいう通り。…心から笑えるように励まされたのが、もしかしたら勝利に繋がったのかも知れない。…お前と戦っているうちに…胸の中が熱くなっては、笑えるようになったのかも知れない…」(フッ!)

「そこまで。勝者【Veno・nix】」

「……ッ」

【Veno・nix】は少しながら笑みを浮かべる。すると豹策は立ち上がり、【Veno・nix】の前に来た。だがその目にはもう迷いは無く清々しい表情をしていた。

🎼Back Ground Music 》》》



「…俺の負けだ。」

「……」

「…お前は俺に勝ったのだからもう少し嬉しくしろ!…でないと…天野も槇原にも…合わせる顔がないだろ!!」(…スッ!)

「…今はまだ心から笑えない。…俺自身の罪を償うまでは…だが…フッ!…いつまでも仏頂面は辛くなってきた。…今までの俺は…こんなんだったのだなと思うとな…」(フッ!)

「…なるほど。俺を見て客観視したか。…それならいい。…だが笑う時は笑えよ俺!…優花を頼んだぞ!!…槇原の分まで!!【Veno・nix】…もう一人の…熱い心を持つ俺!」

「……承知の上だ。…豹策…現世の…俺!!」(…ニッ!)

「…健闘を祈るぞ。」

ガシッ!

【Veno・nix】と豹策は互いの健闘を祈り、握手をする。次第に豹策の身体が少しずつ消えていき、光の粒子となっては【Veno・nix】の周りを温かく包んだ。

「…?……イール……これは何だ?」

イールは【Veno・nix】に対してこう伝え、説明した。

「どうやら貴方は自分自身と向き合い、【fiducia】と呼ばれる神託の恩恵を受けました。これより貴方にはこの【paradiso】の世界で使用できる隠れ持った潜在能力が開花しました。」

イールの言葉を聞き、【Keito】は少し混乱したが、それでもすぐに理解した。

「そういうことか…?」

【Veno・nix】ランクF 
【♡♡♡♡】

「ハートが減っている。…イール…これはどうすれば回復ができる?」

イールは【Veno・nix】の問いに対しこう答える。

「睡眠を取るなり、中には魂を補充する薬、また食事にも魂が補充される作用のものがあります。ですが今回は特別です。私が補充して差しあげます。」

「!?…出来るのか?」

イールは何かの本を取り出し、お札のようなものを【Veno・nix】の身体に貼り付ける。すると周りに光が宿り、心なしか体が軽くなったように思った。

「確認してみてください。」

【Veno・nix】は腕時計を確認する。するとディスプレイの表示が変わっていた。

【Veno・nix】 ランクF 
【♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡】

「…回復した。…イール。…お前達のような導き人は一体何者だ?…オロアは怪力…イールは回復…一体…」

するとイールは少し笑みを浮かべ、その問いに答えた。だがそれは先程のような親切なものではなく、何かを試すかのような笑みである。

「それは…これから貴方自身が知ることになりますよ…では次へと参ります。」

「…まだ何かあるのか?」

「は〜い♪せっかく貴方は【fiducia】に目覚めたのでその実力を試させてもらいま〜す♪」

【Veno・nix】は聞き覚えのある声がしたので声のする方を向く。そこにはオロアが立っていた。

「…オロアか」

「オロア…それは私のセリフなのですが…」(やれやれ)

「まあまあいいじゃないですかイール姉様〜♪」

「…姉妹の関係か。…お前達は?」

たわいも無い会話をしていると、誰かがこちらに歩み寄ってくる者が現れた。【Veno・nix】は確認すると、イールとオロアと同じ髪色の長髪で顔面にカフスを着けた一人の騎士が現れた。見た感じ、女騎士と言えばいいのか【Veno・nix】自身は初めて見るため警戒していた。すると、女騎士はこう語りかけた。

「お初にお目にかかります。私は彼女達の長を務めています…オーラルという者です。」

オーラルと名乗る導き人は丁寧に【Veno・nix】に挨拶する。

「…一体何を始めようと言うのだ?」

イールは少し笑みを浮かべて【Veno・nix】に返答する。

「これから貴方にはオーラル姉様と戦っていただきます。言い分は問いませんので速やかに前に来てください。」

「…わかった」(タッタッタ!)

「あら?…やけに素直ですね…普通はオーラル姉様とやり合うことに躊躇する人が多いのですが…あなたは違うのですね。」

イールはオーラルに挑むことに躊躇する様々な挑戦者の出来事を思い返していた。そのことから【Veno・nix】も同類かと思っていたが予想とは違い、イールは少し安心した。

「…大方この能力を得たからには実力を試されるのは分かる。…俺は行く。」

「フフッ…そうですか安心しました。ではご武運を…」

「フッフ〜ン!!流石クールな俳優のように落ち着く男の姿は伊達ではないと言ったところですね〜♪【Bill】公も見習えばいいのに〜♪…はい!それではこれよりオーラル姉様と俳優顔の素敵な顔立ちであるけど、素朴で朴念仁かつ根暗な【Veno・nix】によるエキシビョンマッチを開始しま〜す♪」

その発言を聞いても【Veno・nix】は動じずにオーラルの前に立ち塞がった。

「……」(タッタッタ…スタン!)

【Veno・nix】は目の前に立ち、戦闘準備は万端の状態であった。それを待ち構えていたオーラルはこう話す。

「うちの妹達が無礼な態度をお取りしてどうもすみません…」

「…別に構わない。…あれくらいじゃじゃ馬でも俺は何て気にはしない。…さぞアンタも妹の面倒には苦労しているだろう。」

するとオーラルはクスクス笑いながら笑みを浮かべ、真ん中へと歩み出す。そして、【Veno・nix】に対して、こう言い放った。

「ふふふ、あれでも私の可愛い妹達なので多めに見てあげてください…では…!これより貴方の実力を試させていただきます。…覚悟は良いですか…?」(ゴゴゴゴ!!)

「…!?」(…!!…今まで感じた事のない殺気だ…!!来る!)

【Veno・nix】は相手のオーラルの桁違いの気迫に驚いた。今までの現世の中でも体験したことのない覇気を放っている。生まれて初めてここまで相手を威圧させる人がいることに驚きを隠せなかった。

🎼Back Ground Music 》》》



「…では…行きますよ!」(シュン!)

「…!!早いっ…!!」(キリーー…)

メキィッッ!!

「…ぐッ!!……!!」

メリメリ…メキィッー!!

「…ッーーーー!!!」

ヒューーーン!!

ダーーーーン!!

オーラルは神速の速さで【Veno・nix】の腹部に強い蹴りが深く突き刺さり、無慈悲にも壁に激突し、クレーターが生じた。思わず、その絶対的な力の前で怯むも、諦めた表情をしていなかった。

【Veno・nix】 ランクF 
【♡♡♡♡♡♡♡】

「……なるほど…オロアの姉なだけあって力は…あるか。」

「…休む暇は与えませんよ!!…ハァ!!」

ダァーーーン!!

「!!…ハッ!!」

オーラルは追撃しようと勢いよく飛び蹴りを【Veno・nix】に叩きつけようとする。しかし、【Veno・nix】はまるでそれを待ち構えるかのように棒を構えては立ち塞がり、棒を勢いよく振りかざした。

「…!!」

ブンッ!!

パシッ!!

「!!…なぁっ!?…掴まれ…!?」

「ウフフ…残念でしたね〜♪…はぁぁぁぁっ!!」(ブン!)

メキッ!!

オーラルの強い拳が【Veno・nix】の腹部に叩き込まれる。思わず激痛で身体がフラつくも、それでも体制を整える。


【Veno・nix】 ランクF 
【♡♡♡♡】

「…!?……これが魂というやつか。…しかし、ここまでやる女だとは…」

「もう終わりですか〜?…ならば仕方ありませんね…例え男前なダンディーなお方といえど私は一切容赦は致しません…ここで…終わりにしましょう…」

ジャキン!!

「!!」(剣…!!)

「あらら〜!オーラル姉様がいよいよ抜刀しましたね♪」

「…そのようですねオロア…あのままでは彼…まずいようですね…」

オーラルは一刀両断する覚悟を持っては【Veno・nix】に詰め寄ってきた。

「折角あなたの【fiducia】の加護を受けられて能力を目覚めましたのにこれでは…期待外れのようですね…ではご機嫌よう…!!」(シュン!)

「……」

「オーラル姉様…いよいよ決着ですね。」

「…さて…【Veno・nix】さん…あなたは…」

「……!?」(…!!な…何だ…!?)

キィーーーン!!

「…!?…おぉ…!」

「お〜【Veno・nix】さんの身体が〜♪」

「光りましたねオロア…なるほど…【Fiducia】が発動したようですね。」

【Veno・nix】の身体が突然光出しては、導き人は何か期待通りの反応を示していた。

「…ではお見せしてください…あなたの…【Fiducia】を!!」(チャキン!!)

「…!!」(な…これは…)

ブンブンブン!!

「!!」(ビジョンが…これはまさか…!?)

【Veno・nix】 ランクF 
【♡♡♡♡】
ーー
予知能力が発動しました。現在10秒先の未来を再生しています。

「なるほど〜♪【Veno・nix】さんの能力は〜!!」

「予知能力者ですか…捜査員に適した能力といったところですね。」

【Veno・nix】が授けられた【Fiducia】の能力は予知能力であり、麻薬取締官としての適正として、いつ敵が現れ、明確な行動予測が見える捜査に関する仕事の多かった【Veno・nix】ならではの能力である。

「……」(チャキッ!)

「…ウフフ!…折角能力が発現したのにダンマリですか。…オロアの言うように朴念仁なお方…しかし…手加減は致しません!!」(ブン!)

「…!!」

ガキィーーーン!!

カンカン!!

キィン!!

「!!…ウフフ…!!…見切りましたか。」

「…まぁな。…だが未来は当てにはしない。…所詮武術は実力のみだ。…!?」

バキィイイ!!!

「…ぐっ…」

ダァーーーン!!!!!

「私も同感です。…予知などは所詮予測の範囲です。…でも…それでも実力で私に勝とうなどとは…甘い話ですね〜♪」

【Veno・nix】はオーラルによる強い蹴りを身体に叩き込まれては意識が朦朧となり、そのまま気絶しては【P-Watch】から警報が鳴り響いた。

【Veno・nix】 ランクF 
【♡】
ーー
危険です!早急に魂の補充を推奨します。

「あらあらいけません!イール!オロア!すぐに【Veno・nix】さんを医務室に連れて行きなさい。」

「はい♪オーラル姉様♪」

「わかりました…」

タッタッタ…テッテッテ…

「…ふふ!」(そうですか…【Veno・nix】さんの能力は予知能力…その能力は潜入捜査向きでもあれば大切な人からの身を守る為の能力でもありますね…ただ…もう少し心から笑うようにしないと後々苦労しますよ。…まっ…あれは筋金入りでしょうし、言ってもそう変わる事はないでしょうね〜♪…ただ人情の味を覚えれば…あるいは…)

・・・
・・



B. いいえ


《Capitolo・4》
続きを読みますか?

🎼Back Ground Music 》》》



「…!!…?…ここは…白い空間に…ベットか?」

激闘の後に気を失った【Veno・nix】が次に目覚めたのはベットの上であった。周囲は白い空間に囲まれている。

「あ、気がつかれましたか…?」

「………オーラルか?」

【Veno・nix】は声をかけられた方を向くとそこに、イールとオロアと同じ髪色をした、20代の容姿をした女性が座っていた。しかし【Veno・nix】はその女性は声でオーラルであることに気づいたのか、声をかけた。

「…はい先程はどうも…オーラルです。気を失っていたのでこちらの医務室へとお連れしました。」(ぺこり)

「…そうか。…すまないな…」

「いえいえ。…ふふふ……」(うふふ…本当にクールなお方ですね。…もしくはコミュ障とも言えるからか、あまり喋るのが好きではないのですね。まるでこの仮面のようでもありますね。…でも、この心の中は、何か温かいものがあるようですね…)

オーラルは【Veno・nix】の人間性をよく観察し、肝心な今回の試練の合否を説明した。

「では【Veno・nix】さん。今回のあなたの合否ですが、見事貴方の能力が発現されたのを確認したので、今回は合格とします。」

「…ああ。…わかった。」

「ですが…乱用はいけませんよ…あなたはまだ【Fランク】の立場。乱用することであなたへの負荷も大きくなり、制御が効かなくなり、最悪あなたの身を危険に晒すだけなのでそれだけは念頭においてくださればと思います」

「…了解した…もし俺が試練に合格できなかったらどうなっていた?」

その問いにオーラルは重々しく口を開いた。

「…その時は…私の剣で…!」(ゴゴゴゴ!)

「…!!」

オーラルの顔は険しくなったが、会話を続けていくうちに…

「…消滅しない程度に気絶させて、今回は残念でしたと結果を送ります♪そ・し・て・【fiducia】を確認せず、安心かつ安全に【paradiso】の世界へ案内しま〜す♪」

「…そうか…」

穏やかだった。非常に。

「コホン…ではこれから【paradiso】の入り口まで案内します。こちらに来てください。」

「…わかった。」

オーラルの指示通り、【Veno・nix】は駅の外の扉までついた。そしてオーラルは旅立つ前に【paradiso】について話した。

「では【Veno・nix】さん。よく聞いてくださいね…【paradiso】の世界は13の島で構成されています。もちろん一つ一つの島は文化も価値観が違います。そして貴方はFランクなのでまず13の島のうちに存在するFランク向けの始まりの町へと移されます。現在ユートピア創造士隊の方の紛争も起こっているでしょう。ですがその紛争から生き残り、着々と実績を積んでいき、Eランクから目指して頑張っていただけると幸いです。」

「…一つ質問いいか?…オーラル。」

「なんでしょうか?」

「【paradiso】に…そのユートピア創造士隊と敵対している者もいるのか?」

その質問にオーラルは首を縦に振った。

「はい。その者達と対抗している、いわゆるギルドはこの【paradiso】に存在しています。その人達は特に人種関係なく、支援も快く受け入れて雇用も受け付けております。そのために今回の試練をお受けさせた次第であります。きっとあなたの役に立つのではないのかと思います。」

「…そうか。この力が…誰かの為になることを期待するばかりだな。」

「はい!もしかしたらその能力を見込んでスカウトに駆けつけにくると思いま〜す♪」

「…オロア。」

【Veno・nix】は後ろを振り返ると、案の定オロアが立っていた。

「…見送りか?」

「は〜いその通り〜♪」

「フフッもうほんとこの子ったら〜」(なでなで!)

「えへへ〜お姉さま〜♪」

「……」(姉妹の仲は良好か…)

「お〜?…もしかして普段朴念仁でぼっちの孤独だから意外と寂しいんですか〜?」(二ヤニヤ!)

「…別に。」

「…なんかごめんなさいね…私達の熱い姉妹愛のあまりに嫉妬させてしまいましたね〜」

「…まっ!ボッチでも元気出してくださいね〜♪…ボッチ♪ボッチ♪」(キャッ!キャッ!)

「…オロア。…まあそれだけ元気ならいいことだな。…行ってくる。」

【Veno・nix】はオロアの煽りを聞き流しては扉を開けてこれから外へ出ようとする。すると、誰かから呼び止められた。

「【Veno・nix】さんお待ちください。」

「…?…イール。…見送りか?」

「当たり前です。これを持っていってください。もしものための魂の補充薬の入った袋の詰め合わせです。」

イールは親切にも、もしもの時のための救急用品の入った袋を【Veno・nix】に渡した。その様子から、三姉妹の中でも常識があってしっかりとした印象を持っていた。

「…すまないな。…助かる。」

「…ありがとうございます。」(フッ…)

イールは少し嬉しそうに笑っていた。そして他の二人は滅多に笑わない【Veno・nix】に対し、笑うように仕向けようとする。

「ふふ〜ん【Veno・nix】さん!」

「…何だ?」

「…えい♪」(ムニッ♪)

「…何のつもりだ?」

突然オロアは【Veno・nix】の口元を触っては笑みを浮かべるような表情を作った。その光景を見てはオーラルは笑みを浮かべてはこう言った。

「…もうオロアったら〜♪…どうやら笑顔でいなさいってことですよ。…この子なりに、あなたのことを考えてくれているようです♪」

「…そうか。」

「んも〜う【Veno・nix】さんたらクールなんですから〜!…もう少し私のように笑顔でいるべきで〜す♪本当に性根から暗い人なんですね〜〜♪」

「…ッ…そうかもな。」(フッ…)

「!!…あっ…少し笑いましたね〜♪」

「あらあら。…意外と笑うと…素敵じゃあないですか〜!!」(ドン!)

「え〜い♪」(ドン!)

「……!?」

ピューーーン!!

オーラルは【Veno・nix】の背中を照れながら押し、オロアは思いっきり張り手を背中にお見舞いし、思いっきり外へと飛ばした。

「全く、あんな風に笑えるなら最初から笑えばいいですのに〜!!ね〜オロア♪」(二コッ!)

「はい、オーラル姉様〜♪…あ〜やっとあの朴念仁が笑ってくれてスッキリしました〜♪」(ニッコリ!)

(…【Veno・nix】さん、ここから本番ですよ…【paradiso】では貴方の生きてきた世界での常識が通用する世界ではありません。それをお忘れなき様…)

イールは少し心配そうに【Veno・nix】のことを思い、見守る。

・・・
・・

🎼Back Ground Music 》》》



バトル-ライドウ–〜♪

D島〜F街【paradiso】歴1999年 12月16日

「…ここは?…どうやら【Paradiso】といった所か…」

【Veno・nix】は周りを見渡した。そこは無法地帯であり、犯罪がいつ起こってもおかしくない場所であった。すると、どこからか、周囲が騒がしくなった。

ワーッ! ワーッ! ワーッ

「…何か来るな…」

ガチャガチャ!!

「動くな!!…何者だ貴様は!?」

「…答える義理はない。…貴様らがユートピア創造士隊か…?」

「…!?…その勲章…はは!!…おいコイツは新入りの現世人だぜ〜!!」「ヒャハハハ!!」「血祭りにあげてやんよ〜!!」

「……」(キッ!)

【Veno・nix】は相手を睨みつける。その相手は白い服を着てはユートピアを象徴するYの字が書かれており、じっと睨みつけている。すると臨戦態勢にかかる。

「かかれ〜!!」

ワーッ! ワーッ! ワーッ!

「…ふんっ!!」

ブン!! バキャー!!

「ぐあっ!!」「ごがぁっ!!」「…な…何だ…と…!?」

「……」(ギラァッ!!)

【Veno・nix】は巧みな棒術で相手を蹴散らしては睨みつける。その目の表情は、悪しき者を刈り取る黒豹のような表情で相手を睨みつける。

「…どうした?…もう終わりか?」

「くそがぁ!!」「怯むな!!」「野郎!!ぶっ殺してやらぁ!!!」

ワーッ! ワーッ! ワーッ!

「…ふん!!」

バキィ!! べキョン!! バキッ!!

あんぎゃーーーー!!!!!

………へぇ〜!!…あの勲章は…新しい【現世人】のようでさ…それにあの棒術捌き…見所はあるようすな〜…

「……」(チャキッ!!)

「…ひ…ひぃ〜!!」「クソ俺達じゃあ…」

何をしているのだ…?…貴様ら!?

「!!…あぁっ!?」「フォ…【ford】様!!」

「…親玉か?」

【Veno・nix】の目の前に立ち塞がったのは【ford】というユートピア創造士隊の精鋭部隊に属する隊員である。その男の風貌はスキンヘッドであり、身長も190センチはあり、【Veno・nix】とは頭が一回り大きな大男であった。そして男は正体を明かした。

「私は【創造派】に属し…何れ真・ユートピア創造士隊として名が変わり、精鋭部隊【Varisk】に所属する【Ford】…貴様を排除する。…覚悟するのだな!!」

「…そういうことか…相手にとっては不足はない。…弱者を踏み躙る脅威であれば…黒豹の如く刈り取るまでだ。…精精後悔するんだな…」

ダッ!

「…遅い。…ぬん!!」

バキィッ!!!

「!!…ぬぐっ!!…!?」

「ハァッ!!」

ジャラジャラ…ダァーーーーン!!!!

「!!がはっ!!……ぐっ…!!」(鉄球…!?…い…いつの間に…!?…まずい。…魂が…)

【Veno・nix】 ランクF 
【♡♡】
ーーー

【Veno・nix】は驚愕した。自分が敵対する相手は、思った以上の強敵であり、脅威にも感じていた。そして刻一刻と余裕をかましていた自分自身の不甲斐なさを呪った。そして相手は無慈悲にも、最後の別れの言葉を放った。

「…さらばだ現世人。…華々しく…散るがいい!!!」

ブォン!!

「!!…なっ!?」(先の未来では…た…倒れている!…この男が…何故だ?)

【Veno・nix】は予知能力を発動した。すると、自分が生きており、目の前の男が倒れ伏せているビジョンが流れ込んできた。すると何処からか斬撃が飛んできた。

【Veno・nix】 ランクF 
【♡♡】
ーー
予知能力が発動しました。現在10秒先の未来を再生しています。

ザシュッ!! ブシャッ!!

「!!…グァア!!」

スタッ…

「…!?…」

【Veno・nix】の前には、ワインレッドのスーツに金色のラインに白のチノパンを着用した騎士のような風貌をした男が現れる。その様子から、どこからか焔の龍を感じさせる風貌をしていた。すると男は充魂剤を【Veno・nix】に渡しては自分の身分を名乗る。

「…見所あるな〜アンタさん。…自己紹介は後で!…まずはコイツを仕留めるでさぁ〜…だろ?…俺達【狼志組】の貴重な志士を殺した…【Varisk】所属の【ford】さん?」

「!?…き…貴様はッ!?…【狼志組】十維新・十傑メンバーの一人……一番隊隊長……赤血の…【Sogami】!!」(ゾクッ!!)

ざわ… ざわ…

「…あ…あいつが…赤血の【Sogami】!!」「…あのワインレッドの軍服…実際には数々の罪人を切り刻んだ時に浴びた還り血の色だとも聞いているぞ…!!」「まるで現世でいう沖田総司のような…男!!」

「…一体何者だアンタは?…【狼志組】?…【新撰組】のようなものか?」(ゴクゴク…)

【Veno・nix】 ランクF 
【♡♡♡♡♡♡♡♡】
ーー

「…別に大した者じゃあないでさぁ〜…さっ!生真面目そうな新人のアンタさん。…怪我人ならそこで見といた方がいいだわさ。…巻き添え食いたかったら…近くにいてもええですけど…」(シャー…キン!)

リィーーン♪【冥鐘】…ゾワァーー!!!

「!!」(…な…なんて殺気だ!…この男…かなりの修羅場をくぐり抜けてきたようだ。)

【Veno・nix】は【Sogami】の放つ圧倒的威圧感のオーラに圧倒されており、その放つ闘気からは、数々の修羅場をくぐり抜けてきた実力の違いもある。そして、【Ford】と敵対する。

🎼Back Ground Music 》》》



「…さぁ〜て。ウチの部下を一人やっておいて…たかがBランクの者が偉そうに新人ドラフトルーキーの現世人を弱い者いじめしたこと…精精後悔するでさぁ!!」

チャキッ!!

ザシュザシュ!!ブシャッ!

「!!ぐあぁ!!…調子に…乗るなぁ!!この下賤な【導き人】に連れられた現世人の集まり集団の…青二歳がぁ!!」

スカッ!!…ダァーーーン!!!

「!!…くっ!!…いない。…躱したか。…奴はどこに…!?…なぁっ!?」

「!?」(上か。…高く飛んで…!!…まるで鳳凰のように、刀に火が灯っているかのように見える…一体何が!?)

【Sogami】は刀に火を灯しては、【Ford】を斬りつける。そして四方八方と地面をスケートのように滑り、摩擦を利用しては斬りつけていく。

ザシュザシュザシュ!!

「グァアアアアアア!!!!」

「…これで終わりでさ。…まあ俺には流派とかは特にないでさが、折角新入りが見ている前でさ!…サービスで披露してやるわさ!!」(ジャキーン!)

《ソガミ流剣術一斬…葬骸(そうがい)》

「…ハァッ!!」

リィーーン♪【冥鐘】ボァーーー!!!

【Sogami】は持っている刀を振るい、【Ford】を無慈悲にも焔の火を灯した刀で身体を燃え上がらせ、悪しき心を持っている者を洗礼するかの如く、無慈悲にも身体全身に業火が広がり、燃え上がっていく。

ボァアアアアア!!!!

「!!ヌグァアア!!!…あ…あつぅい!!!」(ジタバタ…)

「…よう燃えるでさ。…さぁ〜て。…自分のしでかした罪を反省するでさ?」

「…ヌグッ…だ…黙れ!!…俺は救済のために人を殺したまでだ!!…貴様のような下賤な【現世人】が偉そうに…」(キッ!)

【Ford】の体は燃え上がっている。しかしそれでも【Sogami】を睨みつけては敵対する姿勢を見せている。それを見かねたのか、息の根を止めると言わんばかりに、刀を振ろうとする。

「…やれやれだわさ…救いようのない奴でさ。……この俺の紅蓮の愛刀…【紅ノ壱尋】の一振りでとどめやのぉ〜……ハァッ!!」

ブン!

キィーーーン!!!

「!!」

「……」

🎼Back Ground Music 》》》



【Sogami】の剣を止めたのは【Veno・nix】であった。そして、止めてはこう話しかける。

「…もう決着はついた。…いいだろ?」

「…はぁ…全く甘ちゃんでさぁ〜…そんなんじゃあ…後ろ…見てみるでさぁ〜。」(やれやれ…)

「?……!?」

「死ねぇ〜!!!!」(キッ!!)

【Ford】は火を体に灯しながらも、武器を構え、【Veno・nix】を仕留めようとする。しかしそれを【Sogami】が素早く静止させ、刀で身体を斬り上げて更に燃え上がらせ、火葬するかのように葬った。

ボァアアアアア!!!!

「グァアアアアアア!!!!…………」

「【Ford】様が…焼死体に…!!」「ヒィーーー!!!」「逃げるんだよーーーー!!!!!!」「な…なんでこんな日に限って【狼志組】一番隊隊長の【Sogami】が相手なんだぁよぉーーーー!?」

ダダダダダ!!!

創造士隊員達は、【Ford】の最期を見ては恐怖を感じ、そのまま離脱していった。その様子に【Veno・nix】は、【Sogami】を見つめてはこう言い放った。

「…まだ生きていたのか…」

「…全く…そんな甘ちゃんな考えなら、ここにおっても遠かれ早かれすぐ命を落とすでさ〜!…でもまあ…アンタさんの棒術は確かのようだわさ。…それにアンタさんも聞こえたんでは〜?…ウチら【狼志組】独特の教えの刀の真髄の音…【冥鐘】が…」

「?…何のことだ?」

【Veno・nix】は【Sogami】の発言に、少し疑問を感じていたようである。そして【Sogami】の方は、気さくにも会話を交わす。

「…はぁ〜…根暗と言えばいいのか鋭いところはあるのに、なんか調子狂うな〜。…まあいいでさ。折角やし連絡先交換しとくでさ。…何かあればここに。」

ピコン♪

「?…メールか。…この【P-Watch】とやらは…便利なようで…不思議だ。」

【Veno・nix】は改めてこの【Paradiso】の世界の腕時計である【P-Watch】の利便性を感じていた。すると、【Sogami】は名を聞く。

「…んで?…新人さん。…アンタの名は?」

「…【Veno・nix】だ。…面倒ならヴェノでいい。」

「…へぇ〜…そこは崩すか!…なはは気に入ったでさぁ〜アンタさん改めヴェノさん!!…生真面目もいいけど、次会う時は精精明るく振る舞うようにして愛想良くせないかんでさ。…うちらんとこの六番隊隊長…いんや、やっぱ八番隊隊長と十番隊隊長見習うようにして…いつまでも堅物やと、ウチの副長みたいになるでさぁ〜!」(ケラケラ!)

「……」(知らないし、まだ会ったこともないな…)

【Veno・nix】は【Sogami】の人間性を見ては、残虐な一面はあるも、剣と向き合う姿勢は本物であり、悪は断じて許さないという気持ちもあり、気さくな性格からか自分にとっても人柄は特に悪い人間ではない印象であった。

「…じゃあ自分はここで。また会いましょうや。…生真面目のヴェノさん。」

ダダダダダ!!!

「…一体【狼志組】とは一体…だが一番隊の隊長…【Sogami】…か。…悪い者ではなさそうだ…助けてもらった恩義もある。…何かまた礼をしなくてはな…とはいえ何がいいのか…とりあえずはここを出ることだな。…優花の事も知らないか聞いておきたい。…しばらくは野宿の生活か…やむを得ん。」

スタ…タッタッタ…

・・・
・・

B. いいえ


《Capitolo・5》
続きを読みますか?

🎼Back Ground Music 》》》




・・・

〜その一週間後【paradiso】歴1999年 12月23日 〜

【Veno・nix】はD島のF街に滞在しては一週間は経過する。しかし優花の行方が掴めず、呆然としていた。しかし捜索願を出していた為、行方はすぐに行き届くものかと思っていたがそう甘くはなかった。

「…どうやら未だに行方は掴めずか…流石にカップ麺のようなこの食事にも飽きてきた。…しかし、そうも言っていられないな…」

ズルズル…

スタッスタッ…タンッ!!♪

「……?…誰だ?…女の…子供か?」

「…ふっふ〜ん♪…ねえねえ!?…もしかしてあなたが捜索願出した【Veno・nix】元よりヴェノくん!?」

「…そうだと言えば。…だが…嬢さん…君は?」(なんか…オロアのような雰囲気で…不思議と明るい感じの…少女のようだな…)

【Veno・nix】は声をかけてきた少女を見る。そこには外見12歳くらいの年齢であり、胸元には色褪せた現世人の勲章をつけている黒のブレザーに赤のチェックのスカートを着用していた。少女はすかさず挨拶する。

「私は【R・P社】ギルド【Agente】所属の【Beanne】!!歳は22歳!ベアって呼んでよ!…この【Paradiso】に来てはもうすぐで10年目!…そ・し・て…もうすぐAランク間近!念願の年齢サロンに行ってはビューティーガールになりたい希望があるんだよ〜♪ふっふ〜ん♪…よろしく〜♪」(ニパー♪!!)

【Beanne】はそう言うと、【Veno・nix】はオロアに通ずる何かを察したのか、特に疑いもなく接する。

「…そうか。…確かにそれは現世人の証の勲章だ。…それにその姿は…子供にしても、心なしか年季の入った面構えといったところもある…信じよう。」

「ありがとね〜♪…でさ!この顔写真の人の事、知りたいんだよね〜?♪」(ウキウキ!)

「…ああ。どこにいるのかは全く分からんが…」

「…ふっふ〜ん♪このベアお姉さんにまっかせなさ〜い!〜♪」(えっへん!)

カタカタカタ!!…ターン!

【Beanne】はそう言うと徐に【Paradiso】の世界のパソコンを取り出しては、情報を調べている。すると、情報がすぐに検索された。

「…え〜とこの人は現在ね〜!…おっ!?…どうやら【Aria】って名乗ってるようだね〜♪情報だと〜…G島の【Olfes】(オルフェス)という街で【Siel】(シエル)って神聖学兼救済ギルドでリーダー兼救済長を勤めている【Oriana】(オリアナ)さんが保護してるってさ〜!!」

「…わかった。G島まではどうすれば行ける?」

すると【Beanne】は笑顔でこう言った。

「…ここからなら〜…電車で行けば行けるね〜♪…もし良かったら案内してあげよっか!?」

「…いいのか?」

「だ〜か〜ら〜このベアお姉さんに任せなさいって〜♪そ・れ・に☆…私は今休暇中だから〜♪全然平気なんだぞ♡…それとも〜私達付き合う〜?♪」(ドキドキ…///)

「…悪いが興味ない。…俺には現世で想い人がいる。他所へ当たれ。」(シレッ!)

「えぇ〜!!…もうヴェノくん!…つれないなぁ〜!!」(ブーブー!)

【Veno・nix】はそう言うと、不満なのか【Beanne】は不機嫌になる。しかしそれでも立ち上がって手招きしては、電車の場所へと案内してくれる様子で催促する。

「それでは〜!一名様ご案内〜♪…ついて来てね〜!」(ニカニカ!)

ピューー♪

「!!…オロア並みにじゃじゃ馬娘のようだな。…行くか。」

タッタッタ…

突如【R・P社】に所属する少女の姿をした【Beanne】という21歳の女性から、自分の相棒の妹の優花の情報を聞き出すことに無事に成功した。しかしこの捜索行為が、後に大きな波乱を産む戦いになる事を、【Veno・nix】は知る由はなかった。



















《To Be Continued…→》











第7話:【Paradiso】への道 豹策・優花編 Part1
《完読クリア!!》



次の話へ進みますか?

A. はい 
B. いいえ