〜優花15歳・宣行27歳・中学受験合格発表当日〜
「優花…準備はできたか!?」
「うん!…バッチリだよ〜兄さん!!」
「あはは!本当に優花ちゃんはいつも頑張っていたからね〜♪きっと大丈夫よ!」
この日は流石にと思い、宣行は休暇を取っては親戚の樋川と一緒になっては優花の合格発表を見に来た。優花は久しぶりに兄宣行と歩いては、半信半疑嬉しそうな表情をしていた。
「…でもこうして兄さんと歩くの久しぶりかもね〜♪」
「そうだなぁ!!…もう何年ぶりだろうな!!…俺もあれから警察学校を卒業しては、今は立派な刑事になれた!…後はお前が、無事に高校に進学できるかが心配なだけだ…」
「も〜う!!このバカ兄貴!!今から見にいくってのに〜!!んなこと言うな!!」
「あはは!ごめんごめん!…てぇ〜!?兄貴はともかくバカは余計だっ!!」(クワッ!)
「ふふふ!…もう二人共、喧嘩はやめなさいな…でも仲睦まじいわね〜♪」
・・・
神奈川県内の高校・合格発表
結果発〜表〜!!!
∧( 'Θ' )∧・・・・・・・・
優花の志望する高校の結果発表の会場に辿り着いた三人であるが、誰かの携帯から突然ある芸人の声の着信を聞いては鳥が飛び去るような間が出来てしまった。
「…誰かの着信音かしら…」
「何処かの芸人の声のようにも聞こえたな…全く緊張感に欠けるな…」
「え〜と…!!…あら!?…どうやらあそこに展示しているようですね!」
優花は勇気を振り絞っては合格発表の結果を見ては受験番号を読み上げていく。
「あ〜アレね〜!!…え〜と…1415」
1411
1413
優花は受験番号を心の中で読み上げていく。すると、その次の数字を見た瞬間に、喜びのあまりに目を見開き、声を上げては昔から好きだった漫画のテーマソングが頭の中に流れた。
「!!あ〜!!」
🎼Back Ground Music 》》》
Get Wild〜♪
テ〜レ〜レ〜レレレ〜レレ〜♪
【1415】
「あったよ〜!!兄貴〜!!」
「!!…フッ!…そうか…よかった!」(ニカッ!)
クル!…スタッ…スタッ…
「あら?…宣行くん!…一体どうしたのかしら?」
「あはは!…どうやらアレだね〜♪止めて、引くってやつだね♪」
「?」(首かしげ?)(止めて…引く?)
「アハハ!!…ありがとね〜兄貴ぃ〜!!…私!!高校に入っても兄貴に負けないようにしっかり頑張るからね〜!!」(フリフリ!)
「ああ!…本当に…おめでとう!…優花!!」(フリフリ!)
宣行は、まるで祝うかのように優花のお気に入りの漫画のアニメのEDのイメージでそのように演出していた。それに気づいた優花は感謝の意を込めてはお礼を言う。そして宣行はノリが良いのか、心の中でこう語りかけた。
スタ…スタ………
《…父さん!…母さん!…俺の妹はいつの間にか、ここまで立派に育ったよ。…俺はこれからも、妹の優花を見守り…大切にするよ。》
アスファルトにタイヤを切りつけながら〜♪
・・・
「いっただきま〜す!!」
モグモグ!
「ははは!…よく食うな〜!優花!」
「うん兄貴〜!受験が無事に済んで終わった後はやっぱ寿司に限るね〜♪」
「ウフフ!…でも本当におめでとう優花ちゃん!…あなたには本当に助けられたわ!…ありがとう!」
三人は高校の合格会場を後にしては、寿司屋に行っては寿司を堪能していた。
「アハハ!樋川さん!こちらこそですよ!!…いつも住まわせていただいて本当にありがとうございます!」
「俺からも、妹の優花を約9年間も面倒を見ていただき、ありがとうございます!」
「いえいえ!…本当に優花ちゃんが来てからうちも明るくなっては家事も一通り手伝ってもくれて、本当に助けられてばかりで、本来私が世話をするところが、私が世話になったくらいですよ〜!」
「…へぇ〜!…優花!…本当にしっかりしてるな!」
「へへ〜ん♪まぁね〜♪」(えっへん!)
優花は鼻の下を人差し指で擦っては胸を張っている。しばらくすると、優花のクラスメイトの男子生徒が来客しては声をかけてきた。
ガララララ…
「…!!あれ!?優花さん!?」
「…ん?…!!あ〜!?高志くん!!…へぇ〜!!君も来たんだね〜!!」
「ん?なんだ優花?…同級生か?」
「そうだよ兄貴〜!!…ああ高志くん!紹介するね!この人はウチの兄貴の宣行!!警察官で刑事なんだ〜!!」
「そうなんだ〜!!…優花さんのお兄さんなんですね〜!?…あ、どうも初めまして!高志と言います!…優花さんには中学生時代本当にお世話になりました!」(ぺこり!)
「ああ!!…優花の友達なのか!!…よろしくな高志くん!」
「ふふふ!…本当に優花ちゃんはいつもニコニコしていて明るいから色んな人や友達が出来ますね〜♪」
「まね〜♪…あそうだ!?…高志くん試験どうだったの?」
「うん♪…僕もね…進学先の美術高校の方に…無事合格したよ!!」
「おお〜♪やったじゃん!!…よ〜し座って座って!!…今日は兄貴の奢りだから〜♪」
「!!ええっ!?ちょっ!?ゆ…優花!?」
突然の優花の発言に宣行は困っていた。その様子に、優花は当然とも言える表情で声を出していった。
「え〜…だって兄貴〜!しばらく私を置き去りにしてたんだし〜!ここは大人なんだから奢りなさいよ〜!!」(ブーブー!)
「そうですよ〜宣行くん!優花ちゃんも…兄さんがいなくて寂しいよぉ〜!!と言っては私によく泣きついたんですから〜!!」(ジィーー!)
「ええっ!?優花さんが!?…ちょっと…意外だったよ!?」(アセアセ!)
「〜///!?…ちょ!ちょっと!?樋川さん///!?それ兄貴に言わないでって言ったのに〜!!///」(カァ〜///!!)
「…へぇ〜!!」(ニタニタ!)
「むっ…!!」(キラーン!!)
ブン!
パシッ!
「!!」
「はっはっは!!甘いぞ我が妹優花!!…伊達に俺は刑事だ!!…お前程度のゲンコツなど怖くもないわ!!」
「キィーーー!!!」
あはははははは!!
その日は盛大に賑わった。そして歳月が経過する。
・・・
・・
・
🎼Back Ground Music 》》》
〜優花17歳・宣行29歳・ある夏の日〜
ミ〜ンミンミンミー!
「ハァ!ハァ!…ワタッ!」(シュッ!)
「ハハハ!その調子だ優花!なかなか筋がいいぞ!」
「まあね〜兄貴〜♪」
優花が高校二年生の夏休みのある日、宣行が神奈川県に帰省して来ては、優花に護身術を教え込んでいた。理由は、もしもの為に自分が身を守る為に教わりたいからと自主的に学んだのがきっかけであった。その様子を樋川は温かく見守っていた。
「ウフフ♪…お疲れ様です。スイカを切ったのでどうぞ召し上がってください!」
「ああ〜!スイカ〜!…樋川さんありがとうございます!…兄貴!折角だし食べていきなよ!」
「そうだな!!…じゃあ樋川さん!いただきますね!」
「ウフフ!…どうぞ!」
パクッ!
リンリ〜ン♪
「…夏だね〜!兄貴〜!!」(モグモグ…)
「…そうだな〜!!…蝉も鳴いているし、後…夏の醍醐味といえば…」(モグモグ…)
カキィーーン!! 入った〜!ホームラーーン…××商業大付属!!…逆転さよならホームラーーン!!
「あ〜!!そっか甲子園!!…兄貴野球好きだったもんね〜!」
「ああ!!…また晩にどこかのバッティングセンターに行くか!?」
「いいね〜♪…私も思いっきりバットを振り回したくなったよ〜!!」
槇原姉妹はテレビ中継の甲子園の試合を見ては、二人で晩にバッティングセンターに行く約束をした。
・・・
〜神奈川県・あるバッティングセンター・晩〜
ビシュッ!!
「よっ!!」(ブン!)
キィーーーン!! パンパカパーン!!
「フン!」(ブン!)
キィーーーン!! パンパカパーン!!
おお〜!140kmの球を容易く打ち返しては二人共ホームランを連発してる〜!! 一体何者なんだ〜!?あの二人!?
槇原兄妹はこれまで30球中は10球をホームランの的に当てている。また140kmの球をジャストミートに捉えていた。その様子に宣行は、妹優花を褒め称えた。
「ハッハハ!!やるじゃあないか優花!!…お前も結構やってたんだな〜!?」
「まぁね〜♪…何か気分がモヤモヤした時はこうして打ちに…!?」
ビシュッ!!
「来てたんだぁ〜♪!!」(ブン!)
カキィーーン!!
「そうか〜!!…なら兄として俺も…負けられないな!!」(ブン!)
カキィーーン!!
〜ゲームセット〜!!〜
「…ふう!いい汗かいたね〜兄貴〜!!」
「ああ!…さて帰ったら風呂だな〜!…ん?」
カコーン!
「ああ〜!銭湯!?…でもなぁ〜…樋川さん風呂を張っているかもしれないしなぁ〜!」
「…一度家に戻ってみるか…」
・・・
「ただいま〜!」
「ただいま〜!…?…あれ?」
そこには樋川の姿はなかった。そして置き手紙があった。
『少し急用で出かけています。明日には戻ります。お風呂は溜めておりません。ごめんなさいね〜!』
樋川はどうやら留守にしているようである。それを見ては、二人は早速顔を合わせていった。
「よし!優花!!銭湯に行くか?」「そうだね兄貴〜♪…銭湯〜銭湯〜♪」
そういうと、二人は早速洗濯物と着替えを持っては、先程の銭湯に足を運んだ。
カコーン!
「…ふう〜!いい湯だな〜♪…たまにはこうしてゆっくり広い風呂に浸かるのも悪くはないな〜♪」
「…あはは。やっぱ銭湯の風呂は広いな〜!!…ふぅ〜♪極楽極楽〜♪」
槇原兄妹は各自男湯と女湯に分かれては広々とした風呂に浸かっては汗をしっかりと流し込んだ。
ポン!
「ゴクゴク…」「ゴクゴク…」
プハーーーーッ!!!
槇原兄妹はコーヒー牛乳を口に含んでは、一気飲みをしては笑みを浮かべ、思いっきり声を出した。そしてお互い笑い合った。
「あっはは〜!優花〜はしたないぞ〜!!」(ニカニカ!)「兄貴こそ〜!」(ゲラゲラ!)
「…ん?ああ!優花さん!?…それにお兄さんまで!?」(フリフリ!)
そうしていると、今度は二人の顔を知る一人の男子高校生が声を掛けてきた。
「え?…!!ああ〜!高志く〜ん!!…うわ〜!一年ぶりだね〜!!」「ああ!君か!?…元気だったかい!?」
「うん!…相変わらず仲が良いんだね〜!…いよっ!流石は槇原ブラザーズだね!!」(ビシッ!)
「…!?」「…!?」
∧( 'Θ' )∧・・・・・・・・
「……」(高志くん…なんか高校生デビューが上手くいったのか明るくなって…キャラ変わったような…)「……」(なんか心なしか、ノリが良くなったな…)
槇原兄妹は少し呆れたかのような表情をしては高志の変わり様を見ては驚いた様子であった。そして、現在の近況を報告する。
「そうだ!!実は僕ね…美術作品のコンクールで最優秀賞を取ったんだ!!」
そういうと高志は、携帯のカメラからその作品を槇原兄妹に見せた。亜麻色の髪をした可憐な女性が、森の中にいては鏡写しになった泉に白い狼を優しく抱き抱えている、とても幻想的な作品であった。二人はそれを見ては高志を褒め称えた。
「へぇ〜!!いいわね〜!!なんか独創的でもあるけど神秘的ね〜!」「ああ!この亜麻色の女性と白い狼から、何か温かい気持ちがよく伝わってくるよ!」
「はは!ありがとう!…でも二人もここに来るんだね〜!!」
「たまたまよ!…でも高志くんも何でここに?」「そういえばそうだな〜!」
槇原兄妹は、高志が何故銭湯に訪れたのかを聞く。すると、このように言い放った。
「友人と一緒に来たんだ!!…おっ!?上がってきた!!」
「やあ高志!…もう上がってたんだね!…?…知り合い?」
「うん!中学からの同級の人でね!…本当に世話になったんだ!…あ〜紹介するね!この人は上谷(かみや)!!…僕と同級生の友達なんだ!!」
「へぇ〜そっか〜!!…それでその子と一緒にね〜!!…あ〜ごめんごめん自己紹介遅れたね〜!初めまして私は槇原優花です!!…高志くんとは同級だったんです!!」
「俺の名前は槇原宣行!…警察官で優花の兄です!…よろしく!」
「へぇ〜!警察官なんですね〜!これはこれは…よろしく!」
ガッシリ…!
「……?」(ん?…身体は細いのにがっちりしているな…意外と鍛えているのか?…それに…何だ?…笑顔にしては…)
「〜♪」(ニコニコ!)
宣行はこの上谷という男子高校生の笑顔に何か違和感のようなものを感じていた。すると高志は突然何かアイデアを思いついたかのように叫び出した。
「…!?…あーーーーーっ!!!!」
「!?」「!?」「!?」
「…僕…閃いた!!…これだ〜!!!!…よ〜し上谷くん!!行こうか〜!!」(キラキラ!!ガッシリ!!)
「!?…ええ!?…ち、ちょっ!?ちょっと…ど…何処へ〜!?」(アタフタ!)
「じゃあ槇原ブラザーズのお二人!…ではまたお会いしましょ〜う!!!」(キラキラ!)
ピューーーーー!!!!!
高志はそういうと、上谷という友人を連れてはその場を後にした。それを見ていた槇原兄妹は少し唖然とした表情をしてはこう言い放った。
∧( 'Θ' )∧・・・・・・・・
「…やっぱり高志くん変わったよね…兄貴…」「そうだな…まるでスイッチが入ったかのように、銭湯を出て行ったな…」
その後槇原兄妹は銭湯を後にしては、そのまま樋川の家へと帰宅する。そしてそろそろ就寝の時間が来たので二人仲良く隣同士に布団を敷いては寝る。
カチッ!
「…じゃあ兄貴!…おやすみ!」「…ああ。…おやすみ…」
「ん〜?どしたの兄貴〜?元気ないじゃん?」「そうか?…まあ無理もないよ。…明後日からまた仕事だからな〜…」
あ〜なるほどね〜! そうなんだよ〜!!ハハハ!
「…zzz…zzz」「……」(…あの上谷という男子…やはり何か妙な感じがした…刑事の勘ってやつか?…まぁ〜優花の友達の高志くんと連んでいるなら心配ないだろう。)
宣行は先程会った神谷という男子生徒に、何か奇妙な違和感を持っていた。そう思いつつも、夜を明かしては朝になる。
ピーッ! ピーッ!
翌日になり、宣行は早めに神奈川県から東京へと戻ろうと車に乗車する。その様子を、優花と樋川は見守っていた。
「…じゃあ優花!…元気でな!!」
「うん兄貴も気をつけて!!」「またいらしてくださいね〜♪宣行くん!!」
「…はい!…では…行ってきます!!」
バタン!!
ブロロロロロr…!!
「…行っちゃったね〜兄貴…」「ええ。でもまた戻ってくるわよ〜♪きっと元気に!!」
ブーーーーーン!!
「……」(少し家で調べてみるか。…最近何かしら高校生における事件も増えてきているし…)
宣行は車を走らせては、東京にある自分の自宅に戻っていく。そこで宣行は、初めて黒豹の異名を持つ男の存在を知ることになる。
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