GiorGiaNo

 
《Paradisoシリーズ〜導かれし七人の現世人の冒険譚》


A.:GiorGia


ダブルフェイス〜黒豹と法と秩序の契り〜



第5話:プロローグ〜優花編 part1



神奈川県出身の東京都警視庁に勤めていた槇原宣行(35歳)と12歳も年が離れた実の妹の槇原優花(23歳)。幼き日に両親は病気で失い、兄も警察学校に通う日々の為、親戚の家に預けられる。警察官になる兄の事を尊敬しては、遠くに居ても陰で応援する健気で元気が取り柄の女性は、歳月が経ち、兄が公安警察として名古屋市に配属となっては、名古屋にある両親の残した別荘にフリーターとして過ごしていた妹の優花は宣行との暮らしの日々を楽しんでいた。しかし宣行の関わった犯罪組織の抗争による事件により、二人の兄妹は亡くなる。その後、【Paradiso】の世界へ訪れた優花は、現世人【Aria】として過ごしていく。これはその兄妹愛溢れる二人の兄妹の物語の絆を描いた前日談であるーーー






《Capitolo・1》
物語を開始しますか?

🎼Back Ground Music 》》》



I always turned my face toward the sun.I've never seen a shadow.
(顔をいつも太陽のほうにむけていて。影なんて見ていることはないわ。)

The world is full of hardships, but it is also full of overcoming them.
(世の中はつらいことでいっぱいですが、それに打ち勝つことも満ち溢れています。)

Helen Keller
(ヘレン・ケラー)


♪〜TOX2より・平穏なる証


〜名古屋市・槇原家〜

ペラ…ペラ…

1000tハンマー!!! コラー!!待たんかーーい!!!

「あはは!!…やっぱこの人好きだわ〜!!…昔から読んでるけど…私もこの人に影響されたのかな〜?…兄さんの事もいつの間にか兄貴って呼んでるし…」

日が沈む時間帯。家で幼少の頃から気に入っていた北条司の代表作の漫画【CITY HUNTER】を読んでいた優花(23歳)は、夕飯の支度を済ませて兄の帰宅を待っていた様子である。

ピンポ〜ン♪…ガチャッ!!

「…ただいま〜!!」

玄関から、男の声が聞こえる。思わず覗き込むと、どうやら優花の兄。槇原宣行が帰宅してきたようである。

「ん〜?…おおっ!?兄貴おかえり〜!!早かったね〜!!」

「おお優花!今帰ったよ!…ん?おっ!?またそれ読んでたのか!?…好きだな〜!!」

「まあね〜♪…それに親近感あるじゃん♪姓の名前も同じ槙がつく同士だからかな〜!」

「なるほどな〜!確かにその漫画の主人公のパートナーも刑事だからな〜ははは!!…で、今日の晩飯は何だ?」

「ふっふ〜ん♪…今日はトマトソースパスタだよ〜!!…どう!?上手くできたでしょ!?」

優花は自信満々に宣行に作った料理を提供する。すると宣行は喜んでは料理を見つめる。

「うん!美味そうだ〜!!…もしかして勤め先の喫茶店のメニューを参考にしたのか?」

「まあね〜♪…さぁ〜兄貴!!食べよっか〜?」

「そうだな〜!…じゃあ…頂きます!」

「頂きます!」

ズルズル…!!

「どう?」

「うまいな〜!!…やっぱり優花の料理は最高だよ!!」

「あはは!!どういたしまして〜♪」

「…その口調といい、兄貴という言い方といい、本当にその漫画のキャラに影響されたなお前〜!?」(カッカッカ!)

「まあね〜!だって面白いじゃん!…それにハンマー持ってて逞しくてかっこいい女性って感じがするし〜♪」(二カーッ!)

「…いつかお前にもそんなパートナーが出来るとなると、相方はその漫画の主人公みたいなやつだといいな〜!」

「んな人いないっつの!!掃除屋なんてすぐに兄貴の敵だし!…それに1tのハンマーを頭に喰らって平気な奴なんかこの世の中には流石にいないっしょ!?」

優花は、流石に漫画と現実の区別はついているようである。それを見た宣行は笑い出す。

「あはは!!それもそうだな〜!!」(ケラケラ!)

「たくっ…!!ぷっ…!

アハハハハハハ!!!

槇原家は平穏な生活を過ごしており、兄妹の仲はとても良好であった。そして日が落ち、やがて夜になった。

「zzz…zzz…」

「…よく寝ているな。…そうか。あんなに小さかった優花も。…もう23歳か。…大きくなったな〜!」

優花はベットで休んでいる。その様子を宣行は見守りながら、昔のアルバムを眺めていた。

「…昔、俺も警察学校でお前を親戚の樋川さんに預けっぱなしだったけど、それでもお前はあの人の家でも、かなり活発に育ったんだな〜!…とても逞しく…」

・・・

当時・優花6歳

「…兄さん警察官になるの〜?」

「ああ。昔からの夢だったからな…ごめんなぁ〜…お前を親戚の家に預けて、しばらく離れ離れになるだろうけど大丈夫か?優花?」

「そ…そんな…嫌だよ!…兄さん!!」(ギュッ!)

ダキッ!!

「!?…優花…」(そうだよな…やっぱり…)

「…なぁんてね〜♪へへへ〜♪」

∧( 'Θ' )∧・・・・・・・・・

「…へ?」

宣行は、優花の平気そうな態度の唖然とした。その様子から、まるで鳥が飛び立ったかのように少しの間が入った。するとこのように話した。

「私は大丈夫だよ〜♪兄さんは自分の行きたい場所に行きなよ!…私は、立派な警察官になる兄さん応援してるから!!…むしろ…もしなれなくてノコノコ帰ってきたら…ただじゃあおかないからね〜!!」

「…そうか優花。…!!ありがとな!!」

ダキッ!

「ちょっ!?///兄さん!!あ…暑苦しいっての!?///…つか子供扱いすんな〜!!」(ジタバタ!)

「いいだろうこれくらい〜!!…ってぇ!?お前はまだ子供だろうが!?」

「ムキィ〜!!…いつか【CITY HUNTER】に出てくるレディーみたいにモッコリ美人になってやるんだから〜!!」(プンスカ!)

「ちょっ!?おんま!!…また兄さんの部屋に忍び込んで読んでたのか!?それに、んな歳でそんな言葉使うな!?…将来碌な大人にならないぞ!!このマセガキ!!」(クワッ!)

「ガキガキ言うな!!このバカ兄貴〜!!…!?あっははははは!!くすぐったい!!」(プンスカ!…ゲラゲラ!)

「へへ〜ん!!どうだこのこの〜♪兄さんのくすぐりは〜♪!?」(こちょこちょ〜♪)

「も〜う勘弁してよ〜兄さ!?あっははははは!!」

槇原兄妹は仲睦まじく戯れっている。しばらくすると、ある一人の女性が現れた。

コツンコツン!

「ふふっ…本当に仲が良いわね〜!…槇原ブラザーズは…!!」(クスクス!)

「あっ!?樋川さん!」

「あ〜樋川さん!…しばらくの間!…兄が不在の為、そちらの家でお世話になる槇原優花といいます!!不束者ですがよろしくお願いします!!」(ぺこり!)

槇原兄妹の前に現れたのは樋川という姓の女性であり、二人の両親がその昔引き取り、お世話をした親類の人である。宣行が警察官を目指す間、面倒を見てくれるようである。礼儀正しい優花の様子を見た樋川は微笑んで挨拶を交わした。

「あらまぁ〜礼儀正しいわね〜!…まだ6歳なのに、本当にしっかりしてるのね〜優花ちゃんは!!」

「はい!昔から両親は躾には厳しかったので!…じゃあ優花!!…兄さんそろそろ行くな!…くれぐれも迷惑をかけるなよ!?」

「兄さんこそ!!…警察官になれなかったらただじゃあおかないからね〜!!…でも気をつけていってらっしゃい!!」(バッ!)

「…ああ!!…また休暇ができたら戻ってくる!…お前の養育費の事もあるからその分まで…兄さんが警察官として働いて、しっかり支えてやる!」(ガシッ!)

二人の兄妹は共に、別れの前に挨拶がてらに握手を交わした。そして、二人の道は別れては、共に違う生活が始まった。

・・・

「ごちそうさまでした!…洗い物しておきますね〜♪」

「ええっ!?優花ちゃんいいのよ別に〜!?」

「いえいえやらせてください!…折角ごはんも作っていただいて住まわせていただいているんで!!…これくらいしますよ〜♪!!」(ウキウキ♪)

「…助かるわ〜!…ありがとう!」

優花は自分から自発的に行動しては、家事を引き受けていた。それだけ、住まわせてもらっている樋川に感謝の意を感じているらしい。そして、勉学にも励んだ。

カキカキ…

「よし!!解けた!…次っと♪」

「…へぇ〜♪優花ちゃん賢いのね〜!?」

「まあね〜♪…でもそれでも兄さんには敵わないんだ〜!…何てったって…私の自慢の兄貴なんだから!!」

「ウフフ!…そうなのね〜!!…今頃宣行君…頑張っているでしょうね〜!」

「だろうね〜♪きっと!!」

・・・

〜その頃の宣行〜

…101…102…103…104…

「…ん?おおっ!?槇原!!…自主練か!?」

宣行は自室で筋トレをしては自主練を行っていた。すかさず同期の者と会話を交わす。

「…まあな!…妹の為に1日でも早く立派な警察官にならないといけないからなぁ〜!!…これも鍛錬って奴さ!…ふん!!」

「あまり無理するなよ〜!!…この警察学校は、少しの油断が『退校届』になるからな〜…休めるうちは休んでけ!」

「…ああ。」(…待っていろよ〜優花〜!!…兄さんは負けないからな〜!!)

宣行は優花の事を心配していた。自分が支えてやらないとと感じては自分に厳しく当たり、身体を動かしていた。そしておよそ7年の月日が流れる。

〜槇原優花・中学時代13歳〜

「や〜い!こっちだぜ〜!!」「ヒャハハ〜!!」

「返せよ〜!?…ん?」

バカッ!! バキィ!!

「ぐあっ!!」「いでぇっ!!…だ…誰だ…!?…ゲェッ!?…ま…槇原…」

ドドドドドド…

虐めっ子の男子中学生徒が、虐めを働いていたとき、突然誰かから殴られては、その方向を見る。そこには、箒を持っては仁王立ちをし、睨みつける男勝りの強気な女子生徒優花がいた。そしてすかさずこう話す。

「ったくアンタら〜!!男として情けない!!…一人の男子虐めてゲラゲラ笑って〜!…んな悪い事する奴は、こいつで成敗したるからね〜!!…うぉらあああ!!!」

ブン!! ブンブン!!

「うぉわぁあ!!!」「ヒィいいい!!許してぇ〜!!!」

「問答無用〜!!待てやゴラァああ!!!!」

ダダダダダダ!!!

「…ははは…」(…優花さん…ありがとう!)

・・・

〜その日の放課後・夕方〜

カァー! カァー!

「全く…懲りない連中だよねぇ〜本当に〜!!…大丈夫?高志(たかし)?」

「…うん。僕は大丈夫だよ。…でも凄い箒捌きだったね〜!…なんか昔の漫画の【CITY HUNTER】に出てくるあのハンマーの女の人みたいだね!!」

「…あはは…!?ってぇ〜!?高志もあの漫画読んでたんだぁ〜!?」(キラキラ!!)

「…うん!まあね!…僕もそれなりに漫画とか読むし…」

高志はどうやら、優花と同じ漫画を見た事があるからか、それを見た優花はすぐに話題に食い込んできた。

「ねえねえ!?…誰が好きとかある!?」

「う〜ん…主人公もいいけど、やっぱり最初のパートナーの刑事さんかな!…あの人の生き方は…守るものがあってね…なんか真面目で人間らしくてね。」

「へぇ〜!いいとこ見るじゃん!…私はさっき高志が言ったハンマーを振り回す女の人かな〜♪…あの女の人の生き方がなんか親近感が湧いてね〜♪…んもう私の憧れなんだ〜!!」

「そうなんだぁ〜!!…あはは!!…なんかこうして漫画の話題で話すの久しぶりだよ!!」

「あはは!…私で良ければいつでも相談に乗るよ!!」

「…うん!ありがとう!優花さん!」

それ以来、優花と高志は友達になった。その頃宣行は着実に警察官としての道を歩んでいた。

〜神奈川県警察署・槇原宣行25歳〜

「槇原!今回の事件は…お手柄だったな!」

「ありがとうございます部長。」(ぺこり!)

宣行は無事に警察学校を卒業しては、神奈川県警察署の警察官として勤務していた。パトロール中に連続ひったくり犯を確保し、その実績を警察の巡査部長から誉められていた。すると宣行の持っていた封筒を見ては、部長は言葉を発した。

「…ん?それは…手紙か?」

「はい。…妹に手紙をと思いまして。…両親を亡くした俺の…たった一人の…大切な家族なんです!」

「…そうか。…お前にも守るべきものがあるんだな!…大切にしてやれよ!」(肩ポンポン!)

「…はい!…失礼します!」

スタッ!スタッ!

「…フッ!…警察官らしい顔つきだな。…刑事にも適性があるかもしれないな…」

宣行は着実に警察官としての責務を果たしていく。そしてそれを見守る優花もまた、宣行のことを思い、日々の生活を過ごしていく。

・・・
・・


〜優花14歳〜

「…へぇ〜!…将来デザイナーにねー!!…確かに高志くん、絵が上手いもんね〜!!」

「うん。でも、無理だよねどうせ…この不況だから、そういうのは才能のある人しか雇われないと思うし…」

「やってみなくちゃあわからないよ〜!!…それだけ絵が上手かったら、そりゃあもう才能だよ〜!!…それにね…高志くん…」

「?」

優花は、まるで宣行が警察官を目指していた時の姿を思い出し、その一人の男の生き様のような事を、高志に伝えた。

「…男ってのはね…そうやって悩む事だってある。それでも自分がこれと決めたら、その人は…覚悟を決めては突っ走るんだよ!!…夢を持っては大切な誰かの為に汗を流して、例え泥臭くなったとしても、日々努力して大切な人の生活を守る為に働いて…立ち上がろうとする男だっている!!…まだまだこれからなんだから!…生きているうちは希望や夢…持っておいた方がいいよ!!」

「!!…優花…さん…」

「…なぁんってかっこいいこと言ってるけど、私なんてまだまだよね!…ま、とにかく気にしないこと!…日々楽しく生きる事が大事なの!!」

「そっか……ははは!!…何か優花さん。…あの漫画の女の人に影響されてるでしょう!?」

∧( 'Θ' )∧・・・・・・・・・

「!!…そ…そう?あまり自覚ないんだけどな〜?」

「絶対そうだよ〜!!…でもおかげでスッキリした!!…わかった!…僕頑張ってみるよ!!」

「そのいきだよ!高志くん!…がんばれ!」

「うん!…僕頑張るよ!…じゃ僕はこれで!」

タッタッタ…

「…ふぅ〜…あんなこと言ったけど…私もまだまだよね〜…兄さん…今頃何してるかな〜…」

・・・

〜神奈川県警察署・槇原宣行26歳〜

「!!…俺が……刑事に!?…本当ですか巡査部長!?」

「何を驚いている?…お前の検挙率の数字から、その実力なら当たり前だと思うが、どうだ?引き受けてくれるか?」

「!!…はい!…喜んでやらせていただきます!!」

「…期待しておくよ…下がっていい。」

「はっ!失礼しました。」(ビシッ!)

スタッスタッ…バタン!

「……」(彼の目は、まるで正義を重んじる目をしているな…彼自身警察官になって8年目。いよいよ中堅のレベルだ。…さて、どこまで君は上り詰めていくのか…)

巡査部長は宣行の活躍を心から期待していたようであった。

〜警視庁・刑事課〜

「本日付けで、警視庁刑事課に配属となった槇原と言います!よろしくお願いします!」(ビシッ!)

パチパチパチパチ!

宣行は実力を重ねてはキャリアを築いていき、刑事への道へと踏み込んだ。するとそこに中年男性の男が、宣行の前に現れた。

「…よろしく。初めまして、南原という。わからない事があればいつでも言ってくれるといい。」

「!!…はい南原さんですね!…これからよろしくお願いします!」

これが宣行と南原との最初の出会いであった。そしてここから二人は相棒兼バディーとして、様々な事件に巻き込まれることとなる。


B. いいえ


《Capitolo・2》
続きを読みますか?



〜優花15歳・宣行27歳・中学受験合格発表当日〜

「優花…準備はできたか!?」

「うん!…バッチリだよ〜兄さん!!」

「あはは!本当に優花ちゃんはいつも頑張っていたからね〜♪きっと大丈夫よ!」

この日は流石にと思い、宣行は休暇を取っては親戚の樋川と一緒になっては優花の合格発表を見に来た。優花は久しぶりに兄宣行と歩いては、半信半疑嬉しそうな表情をしていた。

「…でもこうして兄さんと歩くの久しぶりかもね〜♪」

「そうだなぁ!!…もう何年ぶりだろうな!!…俺もあれから警察学校を卒業しては、今は立派な刑事になれた!…後はお前が、無事に高校に進学できるかが心配なだけだ…」

「も〜う!!このバカ兄貴!!今から見にいくってのに〜!!んなこと言うな!!」

「あはは!ごめんごめん!…てぇ〜!?兄貴はともかくバカは余計だっ!!」(クワッ!)

「ふふふ!…もう二人共、喧嘩はやめなさいな…でも仲睦まじいわね〜♪」

・・・

神奈川県内の高校・合格発表

結果発〜表〜!!!

∧( 'Θ' )∧・・・・・・・・

優花の志望する高校の結果発表の会場に辿り着いた三人であるが、誰かの携帯から突然ある芸人の声の着信を聞いては鳥が飛び去るような間が出来てしまった。

「…誰かの着信音かしら…」

「何処かの芸人の声のようにも聞こえたな…全く緊張感に欠けるな…」

「え〜と…!!…あら!?…どうやらあそこに展示しているようですね!」

優花は勇気を振り絞っては合格発表の結果を見ては受験番号を読み上げていく。

「あ〜アレね〜!!…え〜と…1415」

1411

1413

優花は受験番号を心の中で読み上げていく。すると、その次の数字を見た瞬間に、喜びのあまりに目を見開き、声を上げては昔から好きだった漫画のテーマソングが頭の中に流れた。

「!!あ〜!!」

🎼Back Ground Music 》》》



Get Wild〜♪

テ〜レ〜レ〜レレレ〜レレ〜♪ 

【1415】

「あったよ〜!!兄貴〜!!」

「!!…フッ!…そうか…よかった!」(ニカッ!)

クル!…スタッ…スタッ…

「あら?…宣行くん!…一体どうしたのかしら?」

「あはは!…どうやらアレだね〜♪止めて、引くってやつだね♪」

「?」(首かしげ?)(止めて…引く?)

「アハハ!!…ありがとね〜兄貴ぃ〜!!…私!!高校に入っても兄貴に負けないようにしっかり頑張るからね〜!!」(フリフリ!)

「ああ!…本当に…おめでとう!…優花!!」(フリフリ!)

宣行は、まるで祝うかのように優花のお気に入りの漫画のアニメのEDのイメージでそのように演出していた。それに気づいた優花は感謝の意を込めてはお礼を言う。そして宣行はノリが良いのか、心の中でこう語りかけた。

スタ…スタ………

《…父さん!…母さん!…俺の妹はいつの間にか、ここまで立派に育ったよ。…俺はこれからも、妹の優花を見守り…大切にするよ。》

アスファルトにタイヤを切りつけながら〜♪

・・・

「いっただきま〜す!!」

モグモグ!

「ははは!…よく食うな〜!優花!」

「うん兄貴〜!受験が無事に済んで終わった後はやっぱ寿司に限るね〜♪」

「ウフフ!…でも本当におめでとう優花ちゃん!…あなたには本当に助けられたわ!…ありがとう!」

三人は高校の合格会場を後にしては、寿司屋に行っては寿司を堪能していた。

「アハハ!樋川さん!こちらこそですよ!!…いつも住まわせていただいて本当にありがとうございます!」

「俺からも、妹の優花を約9年間も面倒を見ていただき、ありがとうございます!」

「いえいえ!…本当に優花ちゃんが来てからうちも明るくなっては家事も一通り手伝ってもくれて、本当に助けられてばかりで、本来私が世話をするところが、私が世話になったくらいですよ〜!」

「…へぇ〜!…優花!…本当にしっかりしてるな!」

「へへ〜ん♪まぁね〜♪」(えっへん!)

優花は鼻の下を人差し指で擦っては胸を張っている。しばらくすると、優花のクラスメイトの男子生徒が来客しては声をかけてきた。

ガララララ…

「…!!あれ!?優花さん!?」

「…ん?…!!あ〜!?高志くん!!…へぇ〜!!君も来たんだね〜!!」

「ん?なんだ優花?…同級生か?」

「そうだよ兄貴〜!!…ああ高志くん!紹介するね!この人はウチの兄貴の宣行!!警察官で刑事なんだ〜!!」

「そうなんだ〜!!…優花さんのお兄さんなんですね〜!?…あ、どうも初めまして!高志と言います!…優花さんには中学生時代本当にお世話になりました!」(ぺこり!)

「ああ!!…優花の友達なのか!!…よろしくな高志くん!」

「ふふふ!…本当に優花ちゃんはいつもニコニコしていて明るいから色んな人や友達が出来ますね〜♪」

「まね〜♪…あそうだ!?…高志くん試験どうだったの?」

「うん♪…僕もね…進学先の美術高校の方に…無事合格したよ!!」

「おお〜♪やったじゃん!!…よ〜し座って座って!!…今日は兄貴の奢りだから〜♪」

「!!ええっ!?ちょっ!?ゆ…優花!?」

突然の優花の発言に宣行は困っていた。その様子に、優花は当然とも言える表情で声を出していった。

「え〜…だって兄貴〜!しばらく私を置き去りにしてたんだし〜!ここは大人なんだから奢りなさいよ〜!!」(ブーブー!)

「そうですよ〜宣行くん!優花ちゃんも…兄さんがいなくて寂しいよぉ〜!!と言っては私によく泣きついたんですから〜!!」(ジィーー!)

「ええっ!?優花さんが!?…ちょっと…意外だったよ!?」(アセアセ!)

「〜///!?…ちょ!ちょっと!?樋川さん///!?それ兄貴に言わないでって言ったのに〜!!///」(カァ〜///!!)

「…へぇ〜!!」(ニタニタ!)

「むっ…!!」(キラーン!!)

ブン!

パシッ!

「!!」

「はっはっは!!甘いぞ我が妹優花!!…伊達に俺は刑事だ!!…お前程度のゲンコツなど怖くもないわ!!」

「キィーーー!!!」

あはははははは!!

その日は盛大に賑わった。そして歳月が経過する。

・・・
・・


🎼Back Ground Music 》》》



〜優花17歳・宣行29歳・ある夏の日〜

ミ〜ンミンミンミー!

「ハァ!ハァ!…ワタッ!」(シュッ!)

「ハハハ!その調子だ優花!なかなか筋がいいぞ!」

「まあね〜兄貴〜♪」

優花が高校二年生の夏休みのある日、宣行が神奈川県に帰省して来ては、優花に護身術を教え込んでいた。理由は、もしもの為に自分が身を守る為に教わりたいからと自主的に学んだのがきっかけであった。その様子を樋川は温かく見守っていた。

「ウフフ♪…お疲れ様です。スイカを切ったのでどうぞ召し上がってください!」

「ああ〜!スイカ〜!…樋川さんありがとうございます!…兄貴!折角だし食べていきなよ!」

「そうだな!!…じゃあ樋川さん!いただきますね!」

「ウフフ!…どうぞ!」

パクッ!

リンリ〜ン♪

「…夏だね〜!兄貴〜!!」(モグモグ…)

「…そうだな〜!!…蝉も鳴いているし、後…夏の醍醐味といえば…」(モグモグ…)

カキィーーン!! 入った〜!ホームラーーン…××商業大付属!!…逆転さよならホームラーーン!!

「あ〜!!そっか甲子園!!…兄貴野球好きだったもんね〜!」

「ああ!!…また晩にどこかのバッティングセンターに行くか!?」

「いいね〜♪…私も思いっきりバットを振り回したくなったよ〜!!」

槇原姉妹はテレビ中継の甲子園の試合を見ては、二人で晩にバッティングセンターに行く約束をした。

・・・

〜神奈川県・あるバッティングセンター・晩〜

ビシュッ!!

「よっ!!」(ブン!)

キィーーーン!! パンパカパーン!!

「フン!」(ブン!)  

キィーーーン!! パンパカパーン!!

おお〜!140kmの球を容易く打ち返しては二人共ホームランを連発してる〜!! 一体何者なんだ〜!?あの二人!?

槇原兄妹はこれまで30球中は10球をホームランの的に当てている。また140kmの球をジャストミートに捉えていた。その様子に宣行は、妹優花を褒め称えた。

「ハッハハ!!やるじゃあないか優花!!…お前も結構やってたんだな〜!?」

「まぁね〜♪…何か気分がモヤモヤした時はこうして打ちに…!?」

ビシュッ!!

「来てたんだぁ〜♪!!」(ブン!)

カキィーーン!!

「そうか〜!!…なら兄として俺も…負けられないな!!」(ブン!)

カキィーーン!!

〜ゲームセット〜!!〜

「…ふう!いい汗かいたね〜兄貴〜!!」

「ああ!…さて帰ったら風呂だな〜!…ん?」

カコーン!

「ああ〜!銭湯!?…でもなぁ〜…樋川さん風呂を張っているかもしれないしなぁ〜!」

「…一度家に戻ってみるか…」

・・・

「ただいま〜!」

「ただいま〜!…?…あれ?」

そこには樋川の姿はなかった。そして置き手紙があった。

『少し急用で出かけています。明日には戻ります。お風呂は溜めておりません。ごめんなさいね〜!』

樋川はどうやら留守にしているようである。それを見ては、二人は早速顔を合わせていった。

「よし!優花!!銭湯に行くか?」「そうだね兄貴〜♪…銭湯〜銭湯〜♪」

そういうと、二人は早速洗濯物と着替えを持っては、先程の銭湯に足を運んだ。

カコーン!

「…ふう〜!いい湯だな〜♪…たまにはこうしてゆっくり広い風呂に浸かるのも悪くはないな〜♪」

「…あはは。やっぱ銭湯の風呂は広いな〜!!…ふぅ〜♪極楽極楽〜♪」

槇原兄妹は各自男湯と女湯に分かれては広々とした風呂に浸かっては汗をしっかりと流し込んだ。

ポン!

「ゴクゴク…」「ゴクゴク…」

プハーーーーッ!!!

槇原兄妹はコーヒー牛乳を口に含んでは、一気飲みをしては笑みを浮かべ、思いっきり声を出した。そしてお互い笑い合った。

「あっはは〜!優花〜はしたないぞ〜!!」(ニカニカ!)「兄貴こそ〜!」(ゲラゲラ!)

「…ん?ああ!優花さん!?…それにお兄さんまで!?」(フリフリ!)

そうしていると、今度は二人の顔を知る一人の男子高校生が声を掛けてきた。

「え?…!!ああ〜!高志く〜ん!!…うわ〜!一年ぶりだね〜!!」「ああ!君か!?…元気だったかい!?」

「うん!…相変わらず仲が良いんだね〜!…いよっ!流石は槇原ブラザーズだね!!」(ビシッ!)

「…!?」「…!?」

∧( 'Θ' )∧・・・・・・・・

「……」(高志くん…なんか高校生デビューが上手くいったのか明るくなって…キャラ変わったような…)「……」(なんか心なしか、ノリが良くなったな…)

槇原兄妹は少し呆れたかのような表情をしては高志の変わり様を見ては驚いた様子であった。そして、現在の近況を報告する。

「そうだ!!実は僕ね…美術作品のコンクールで最優秀賞を取ったんだ!!」

そういうと高志は、携帯のカメラからその作品を槇原兄妹に見せた。亜麻色の髪をした可憐な女性が、森の中にいては鏡写しになった泉に白い狼を優しく抱き抱えている、とても幻想的な作品であった。二人はそれを見ては高志を褒め称えた。

「へぇ〜!!いいわね〜!!なんか独創的でもあるけど神秘的ね〜!」「ああ!この亜麻色の女性と白い狼から、何か温かい気持ちがよく伝わってくるよ!」

「はは!ありがとう!…でも二人もここに来るんだね〜!!」

「たまたまよ!…でも高志くんも何でここに?」「そういえばそうだな〜!」

槇原兄妹は、高志が何故銭湯に訪れたのかを聞く。すると、このように言い放った。

「友人と一緒に来たんだ!!…おっ!?上がってきた!!」

「やあ高志!…もう上がってたんだね!…?…知り合い?」

「うん!中学からの同級の人でね!…本当に世話になったんだ!…あ〜紹介するね!この人は上谷(かみや)!!…僕と同級生の友達なんだ!!」

「へぇ〜そっか〜!!…それでその子と一緒にね〜!!…あ〜ごめんごめん自己紹介遅れたね〜!初めまして私は槇原優花です!!…高志くんとは同級だったんです!!」

「俺の名前は槇原宣行!…警察官で優花の兄です!…よろしく!」

「へぇ〜!警察官なんですね〜!これはこれは…よろしく!」

ガッシリ…!

「……?」(ん?…身体は細いのにがっちりしているな…意外と鍛えているのか?…それに…何だ?…笑顔にしては…)

「〜♪」(ニコニコ!)

宣行はこの上谷という男子高校生の笑顔に何か違和感のようなものを感じていた。すると高志は突然何かアイデアを思いついたかのように叫び出した。

「…!?…あーーーーーっ!!!!」

「!?」「!?」「!?」

「…僕…閃いた!!…これだ〜!!!!…よ〜し上谷くん!!行こうか〜!!」(キラキラ!!ガッシリ!!)

「!?…ええ!?…ち、ちょっ!?ちょっと…ど…何処へ〜!?」(アタフタ!)

「じゃあ槇原ブラザーズのお二人!…ではまたお会いしましょ〜う!!!」(キラキラ!)

ピューーーーー!!!!!

高志はそういうと、上谷という友人を連れてはその場を後にした。それを見ていた槇原兄妹は少し唖然とした表情をしてはこう言い放った。

∧( 'Θ' )∧・・・・・・・・

「…やっぱり高志くん変わったよね…兄貴…」「そうだな…まるでスイッチが入ったかのように、銭湯を出て行ったな…」

その後槇原兄妹は銭湯を後にしては、そのまま樋川の家へと帰宅する。そしてそろそろ就寝の時間が来たので二人仲良く隣同士に布団を敷いては寝る。

カチッ!

「…じゃあ兄貴!…おやすみ!」「…ああ。…おやすみ…」

「ん〜?どしたの兄貴〜?元気ないじゃん?」「そうか?…まあ無理もないよ。…明後日からまた仕事だからな〜…」

あ〜なるほどね〜! そうなんだよ〜!!ハハハ!

「…zzz…zzz」「……」(…あの上谷という男子…やはり何か妙な感じがした…刑事の勘ってやつか?…まぁ〜優花の友達の高志くんと連んでいるなら心配ないだろう。)

宣行は先程会った神谷という男子生徒に、何か奇妙な違和感を持っていた。そう思いつつも、夜を明かしては朝になる。

ピーッ! ピーッ!

翌日になり、宣行は早めに神奈川県から東京へと戻ろうと車に乗車する。その様子を、優花と樋川は見守っていた。

「…じゃあ優花!…元気でな!!」

「うん兄貴も気をつけて!!」「またいらしてくださいね〜♪宣行くん!!」

「…はい!…では…行ってきます!!」

バタン!!

ブロロロロロr…!!

「…行っちゃったね〜兄貴…」「ええ。でもまた戻ってくるわよ〜♪きっと元気に!!」

ブーーーーーン!!

「……」(少し家で調べてみるか。…最近何かしら高校生における事件も増えてきているし…)

宣行は車を走らせては、東京にある自分の自宅に戻っていく。そこで宣行は、初めて黒豹の異名を持つ男の存在を知ることになる。

・・・
・・


B. いいえ


《Capitolo・3》
続きを読みますか?

🎼Back Ground Music 》》》



〜東京都・宣行の家・自室〜

ダブルフェイス〜メインテーマ・ピアノ

カタカタカタ…

「……」(とはいえ、高校生の犯罪は多い。どこから探りを…ん?)

宣行は刑事ドラマで流れていたお気に入りのドラマの音楽を流しながら調べ物をしていた。すると、高校生の起こした事件の中で興味深い記事を目にした。

「…大逆転!!麻薬所持の冤罪を立証し、真犯人を裁判の法廷の場で裁いた俳優顔のスーパースター高校生誕生する!!…え〜と…名前は…霧矢…豹策か。…へぇ〜!!すごいな〜!!」

宣行が見たのは、一年前に名古屋市のある高校で濡れ衣を着せられた天野という女子高生が麻薬所持疑いで現行犯として逮捕され、裁判という法廷の場で、その無実を立証した男子高校生がいた。その高校生は霧矢という名前であった。もう少し詳しく調べてみると、決定的な証拠を立証し、冤罪を晴らしては真犯人の三木川という麻薬所持及び常習犯であった女子高生の罪を立証しては裁いたという明確な裁判の記録が残っていた。

「…危ない橋を渡ってでも救いたかったんだな…よっぽど正義感のある奴なんだな〜!…んで?将来の夢は…麻薬取締官。…ほぉ〜マトリか〜!?…いつかは仕事で会いそうな奴だな〜!!…だがいかにも生真面目な顔をしてるな〜!!…よし気に入った!この記事はコピーして置いておくか!!」

宣行はその記事をコピーしてはファイリングして保管した。おそらく、この霧矢豹策という男子高校生という男の事を気に入ったのか、心なしか笑みを浮かべていた。

「…マトリを目指すとなると薬学部系の大学を卒業しては薬剤師の資格も取って、そして麻薬取締官の試験も無事に突破し、最短では後5年か…いつか、諦めずに実現することを祈るばかりだよ…なんか優花と会う以外に他の楽しみが出来たようだ!!」

ガタッ!

ジャーーーッ!

カランカラン…

宣行は立ち上がっては自分のお気に入りの酒に氷を入れては、まるで霧矢という一人の男といつか会えることを祈るかのように敬意を評して乾杯した。そしてまた月日が流れていく。

・・・
・・


〜優花18歳・大学受験・試験発表〜

「!!…わかりました!!」

ガチャ!

「!?…どうだったの!?…優花ちゃん!?」

「合格だって〜!!…でも私もいよいよ名古屋か〜!!でも良かった〜!…向こうにはお父さんとお母さんの残してくれた別荘があるから住まいを探す心配がなくて!!…でも…なんか寂しくなるね〜樋川さん!…本当に12年間も今までお世話になりました!」(ぺこり!)

優花はどうやら名古屋の大学に進学する予定らしい。それを聞いては、樋川は喜ぶも、優花は少し複雑な感情をしていた。

「…フフ!…いいのよ優花ちゃん!…私も本当に助けられては、あなたにはお世話になったわ…気をつけていってらっしゃい!」

ギュッ!

「!?ちょっ!?樋川さん…あはは!」(ま、今日くらいはいいかな〜♪)

〜神奈川駅〜

「…じゃあ。一旦東京に行って兄貴に顔合わせしたら、名古屋に行きますね!」

「…うん!…気をつけて行ってらっしゃい。…優花さん!」(フリフリ…)

prrrrr!!…間もなく電車が発進します。ご注意ください!

プシューーー!!

ガタンガタン!…ガタンゴトン…!

「……うぅ…グスッ!…」(ありがとう…ありがとう樋川さん!!…こんな私を12年間も、家に住まわせていただいて…!!…私、頑張るから!!)

優花は樋川に対しお礼を申し伝えた。しかしそれが優花が樋川との最後の挨拶になる事は予想だにしなかった。それは約半年後のことであった。

・・・

名古屋市・槇原家の別荘

「!?…人身事故!?…樋川さんは…どうなったの…兄貴…?」(ブルブル!)

突然、宣行から、樋川が車での接触事故に巻き込まれ他との連絡が入った。優花は樋川の安否を確認する。しかし、現実は非情なのか、宣行はあるがままに伝えた。

「…樋川さんは…治療の甲斐もなく、ついさっき…息を引き取った。…犯人は拘束したが、精神鑑定の結果ではな…心神喪失の状態で、裁判では判断を下すのは難しいらしい…すまないな…こんな事になるとは…くそっ!!」

「…!!…そ…そんな!!樋川さん…!!樋川さん!!…ああぁあああああぁぁぁぁっっはああああぁぁああはあああははああっ!!!!!」(ポタポタ…!!!)

優花は恩義のあった樋川の訃報を聞いては唖然となった。そして頬から大粒の涙が流れては大声でひたすら泣いた。すると、宣行はこう言い放った。

「…俺も一緒に住もうか?…もし不安なら…?」

「…!!」(ポロポロ…)

宣行は真面目なトーンでそう言い放つ。しかし、優花はこう話す。

「…いい。一人でも大丈夫だから!…むしろ兄貴の方こそ物騒なんだから気をつけてよ!……もう心配しないでよ!…私は平気だから!」

「…!!…そうか。…だがもし辛くなったらいつでも連絡してこい!…お前は俺の兄なんだからな!!…待っている!」

「…わかった。」

ピッ!

「…はぁ…うぅ…!!…ダメダメ!…でも…樋川さん……ありがとう…!!…本当にありがとう!!…また墓参りに行くから!!…必ず!!」(キリッ!)

優花は思わず涙を流しそうになった。しかしそれを堪えては、樋川の冥福を祈った。そしてこう言った。

「…樋川さん。…私も、あなたのように優しい女性になるわ!…誰かが困っていた時に、私に手を差し伸べてくれたように、私はあなたの優しさと慈悲を…決して忘れない!…私自身の人生に賭けて!」

優花はまるで契りを交わすかのような強固な約束を持っては強く生きようとする。それだけ樋川から受け継がれてきた絆は深いのだろうと、そう感じていた。そして月日が経ち、優花は大学を卒業後、契約社員でフリーターの身分ではあるが就職先が見つかり、しばらくして公安警察として名古屋に異動となった兄宣行と一緒に槇原家の別荘で暮らす。そして後に槇原兄弟の前に黒豹の異名を持つ男が現れては物語が始まっていくーーー

・・・
・・


〜時は戻り名古屋市・優花22歳・宣行34歳〜

「…zzz」

「…今思えば、俺が刑事になっては、樋川さんの突然の事故の事とか…色々あったな。…ここまで…だが、俺もこうして名古屋に転勤になっては二人で生活する日々だ。」

宣行はアルバムを見ては、今までのことを思い返す。槇原兄妹には、時に楽しい思い出もあれば時に長年面倒を見てくれていた親戚の突然の別れという壮絶な人生があったと感じていた。だが最近の名古屋で何か嬉しい事があったのか、このように心の中で話していた。

「…フッ…!」(だが…この名古屋に来ては会えたな…あいつに。…まさか当時、あのスーパースター高校生の霧矢豹策が…自分の夢である麻薬取締官になっては…公安の俺と南原さんと一緒に体術訓練やら逮捕術を教える事になるなんてな!…本当に夢でも見てるみたいだ…)

宣行は笑みを溢す。そして名刺を見てはある所にメールをする。

「…はは!…まだ起きてるかな〜?…アイツ…」

ポチポチ!

・・・

名古屋市・ある住民の住まい

ピーリリ! ピーリリ!

「…メールか…ん?…見た事がないアドレスだな……!?…公安の槇原か…」

『公安警察の槇原だよ〜ん!☺︎今日1日お疲れさん!…明日も元気に頑張っていこうぜ〜!!』

「…フランクな人だな。…一応返信を返しておくか…」

ポチポチ…

ピロリン♪

「おお!?キタキタ!…え〜と!…ん?…これだけか?」

『ああ。』

霧矢が打った文字は一言だけであった。すると笑みを浮かべては、霧矢の人間性を見て楽しそうにしていた。

「ははは!!クールそうだな〜!…でもこれは見込みがありそうだ!!…さて、そろそろ俺も寝るか!」(ニカッ!)

バサッ!

宣行は明日も厚生労働省・麻薬取締部で訓練の為、そのまま布団に入る。その表情は心なしか、嬉しそうであった。

・・・

〜翌日〜

「…はぁっ!!」(ダダッ!)

「…甘い!!」(ガシッ!)

ブン!! ドシャーーン!!

「…ほぉ〜!一本だな!!」「…霧矢か…なかなか出来る奴だな…公安でもあれくらいのやつはそうそういない…」

宣行とベテラン刑事の南原は、霧矢の才能を見ていたようだ。すると南原は笑みを浮かべては宣行に言い放った。

「…槇原。…お前霧矢と一試合やってみるか?」

「!!…いいんですか!?南原さん!?」

「…ああ。存分に暴れてこい!…公安警察の実力を見せつければ、マトリとして、アイツも色々成長できると思うんだ!」

「…わかりました!…じゃあお言葉に甘えて…へへっ!」

タッタッタ…スタ!

「?…南原さん?」

「霧矢。…ウチの槇原がお前と手合わせしたいって言ってるんだが、どうだ?」

「…へへ〜ん!」(ワクワク!)

宣行は、まるで霧矢と戦うのが楽しみで仕方ない気持ちでワクワクとした気持ちで笑顔であった。その様子を見て、霧矢は承諾に同意するかのように答えた。

「……別にいいですよ。」

「よっしゃ〜!!」「…わかった。」

ざわ…ざわ… 

マジかよ…霧矢…相手は現役の公安警察相手だぞ! やり合う気かよ〜… だが実際どんだけの実力か見ておきたいのもあるか…

ザザーーーッ…

「……」「〜♪」

両者はじっと見つめている。霧矢は無表情。槇原は笑みを浮かべては、霧矢との戦いが楽しみで仕方ない様子であった。すると南原は両者に棒術で使う棒を手渡し、声を掛けてきた。

「準備はいいか?二人共?」

「俺はいつでも準備はできてますよ〜!お前もだろ!?…霧矢!?」(ブンブン!)

「………」(チャキ!)

霧矢は相手の槇原の体格を観察するかのようにじっと見ていた。相手は現役の公安警察の刑事であり、格闘術や体術は、まだ自分が麻薬取締官として配属されては日も浅いレベルであるため、圧倒的に不利であることはわかっている。しかし、そこで後ずさってしまっていては、後に敵対する犯罪組織と渡り合うことができないと感じては、覚悟を決めて言った。

・・・
・・




B. いいえ


《Capitolo・4》
続きを読みますか?

🎼Back Ground Music 》》》



♪〜TOGFより・惑う剣〜♪

「…問題ない」

「そうこなくっちゃなぁ〜…ハァ!!」

ブン!!…ガキン!!

「!!」(…重いな!!…だが!!)

ブン!!

バキィ!!

「おっと…!!…へぇ〜!なかなか筋がいいな〜!!…はぁ〜!!」(ダッ!)

「…!!」(ダッ!)

バキィーー!!



《【公安警察・公安部刑事】》

   《【槇原宣行】》


両者は棒術で勝負を繰り広げる。その響く轟音は他の麻薬取締官に比べると、力強く聞こえるようである。

ざわ…ざわ…

何つう音だよ!? あれが公安警察の実力か!? だが霧矢も負けていないな…

ブン! カン! カン! バキーーン!

「なかなかやるな〜!霧矢〜!?」(ギリギリ!)「…そっちも…さすがは公安警察だ…」(ギリギリ!)

カーーン!!

両者は棒を持って睨みをつけている。すると、宣行は笑みを浮かべてこう言った。

「特に公安警察は関係ないんだけど…な!!」

ブン!!

「…!!…っち…ハッ!」(ブン!)

ブン!

「おっと…!!…へぇ〜!お前もそんな表情するんだな〜!?」(ヒョイ!)

「…あまり話していると隙ができるぞ…」(ブン!)

「ははは!…全くだ!!」(ブン!)

カーーーン!! カン! カン! カーーン!!

「…霧矢。…あいつ…」「なかなかやるな〜!」「公安相手にまともに渡り合ってやがる…」

同僚の一同は戦いの様子を見守る。すると、宣行はそろそろと言わんばかりに、棒を後ろに持ち、構えを取る。

チャキ…

「…!!」(何か来るな…警戒しておいたほうがいい…)

「……」

宣行は、技を繰り出そうとしている。その様子から、霧矢も集中している。すると先に宣行が踏み込んできた。

「!!」

ダッ!!

カーーーン!!

「!!」

「…そう簡単には取らせない…!」(キッ!)

「……へぇ〜♪…やるじゃん!」(ニカッ!)

「……ふむ…」(やはりあの霧矢というマトリ…なかなか出来るな…あの槇原の動きをよく見ているようだ…)

霧矢と宣行は互いに接戦を繰り広げていた。その様子を見守る南原と職員一同は、その戦いぶりを観ていると、熱狂して熱くなっていたようである。

「いけ〜!霧矢〜!!!」「おいおい関口!?」「あはは!こりゃあ熱くなってやがる…」

「おお〜!?…周りが応援してるぞ〜!…よかったな〜霧矢〜!!」

「…どうかな。…はぁ!」

ブン!

「!!…よっと〜!」

宣行は霧矢の攻撃を安易と躱す。お互いの攻防が続く中、二人の表情のうち、霧矢のポーカーフェイスは少しずつ崩れてきた様子である。

「……っ…」(…フッ…)

「…へぇ〜…心なしか楽しそうだな〜霧矢!!」

「…そうか…?…ッ!!」

ブン!! ガキィーーン!!!……グィッ!!

パーーーン!!

「!!…はは!…っってぇ〜!!…負けたな〜!!」

「………ッ…」

霧矢は思わず頬を緩ませそうになったが、その場で我慢した。すると、宣行に手を差し伸べてきた。

「…大丈夫か?」

「ハハハ!大丈夫だ!…さてとここまでだな…!!」

「……」

霧矢と宣行による棒術の訓練はこれにて終わった。そして、訓練終了後、フレンドリーな宣行は笑みを浮かべ訓練場を後にする。

🎼Back Ground Music 》》》



♪〜PSYCHO-PASSより・命の在り方

・・・

「ただいま〜!!優花、今帰ったよ!!」

「おお〜!兄貴〜!おかえり〜!!」

勤務も終え、優花の住んでいる家に帰宅し、台所のテーブルに腰をかける。すると優花は早速料理を差し出す。

「はい兄貴〜♪お待たせ〜!!」

「おおっ!?す…ステーキか!?…一体どうしたんだ!?」

「ふっふ〜ん♪たまにはと思って奮発したんだ〜!!」(ワクワク)

優花はとても反応が良かったのか、笑みを浮かべていた。匂いも良く、宣行は早速手を合わせた。

「…いただきます!」

「いただきます!」

キリキリ…パクッ! ムシャムシャ…

「…どう?」

「美味いな〜!!…たまに肉もいいな〜♪」

「だよね〜♪あはは!…さ〜て私も〜♪…!!う〜ん!!焼き加減もバッチリだね〜♪」

槇原兄妹は存分にステーキを堪能し、今日の夕飯を楽しんだ。そして次第に夜も更けていく。

・・・

ポタポタ…

「ん〜…ああ…雨か〜!!…こりゃあしばらく止まないな〜!!」

「ん〜…?…ふぁああ…おはよう兄貴〜!」

「おう優花!!…起きたか!?…と言いたいがこの雨だからな〜!」

ザザーーーッ!!

「うわ〜!!あっちゃ〜!!朝から洗濯物が乾かないな〜!!」

朝から起床した槇原兄妹は朝からの雨でテンションが下がっていた。

「こりゃあ乾燥機使うしかないな〜!」

「そうだね〜兄貴〜!…ん〜…てるてる坊主でもぶら下げておくかな〜?」

「止んでくれると良いんだがな…」

宣行は少し呆れたように言う。そういうと優花は早速朝食の用意も兼ね、冷蔵庫を開けて材料を確認する。そこにはキャベツとベーコンと卵が入っていた。

「お〜!今日はベーコンエッグだよ〜!兄貴♪」

「いいな〜!じゃあ早速お願いする!…と言いたいけど手伝うよ優花!」

「ええっ!?いいよ別に兄貴は座ってコーヒーでも飲んどきなよ〜!!」

「そういうなよ!…たまにはこういう事するのも悪くないよ!…皿でも取ってやるよ!」

「…助かるよ〜兄貴〜♪」

ザザーーーッ!!

外は雨が降り注いでいる。その中で槇原兄妹は仲睦まじく朝食を作っている。

ジュジューーー!!

「!!…よ〜しそろそろいいな〜!!」

「ん〜!!いい匂いだよ〜兄貴♪」

「はは!!さて盛り付けっと…」

コトッ!!

「美味しそうにできたね〜♪」

「へへ〜ん!まぁな〜!!」

槇原兄妹はベーコンエッグを仲睦まじく口に運びながら、今日の予定を聞く。

「兄貴〜!…今日の予定は?」

「仕事だな!…すまん!…今日は遅くなりそうなんだ!」

「…飲みにでも行くの?」

「!!…分かるのか!?優花!?」

そういうと優花は自信満々に答えた。

「これでも兄妹だからね〜♪兄貴の顔色見れば、それくらい分かるよ〜!!」

「なるほどな!!…それなら話が早い。今日は、ちょっと先輩と飲みに行く約束してるんだ。…だから今日は飯はいらないぞ!」

「わかった!…まあ私も仕事だから別に遅くなってもいいよ♪…でも気をつけてよね〜!!…最近物騒な事件が多いんだから!!」

「ああ!…!?…マズいな…そろそろ行くよ!!…お前も遅刻するなよ〜!!」

「あいよ〜!!行ってらっしゃい兄貴〜!!」

ガチャ!…バタン!!

「……はぁ…それでも少し寂しいな〜…兄さん…」

・・・

〜その夜〜

「…槇原…どうだ?ここでの生活は?」

「ああ南原さん!…だいぶ慣れてきましたよ。…それに今は妹の優花と俺の両親が遺してくれた別荘があって、そこで生活も出来て、俺はやっと家族になれたようにも思います。…ここに異動する前、南原さんが言ってくれたおかげですよ…」

「…そうか。お役に立てて結構だ…」

夜になるにつれて雨は止み、宣行と南原は、橋の下にあったある屋台のおでん屋にて酒と大根、こんにゃく、卵、練り物と自分好みの具を入れて談笑していた。そして少し深刻そうにも言った。

「…となると、その優花って娘も、そろそろ結婚を考える時期かもなぁ〜…」

「!!…そうですね…あいつに合う結婚相手…誰かいるかな…」

「…もし良かったら俺も紹介しようか…?色々力になるぞ?」

南原はそのご厚意を持って宣行に促す。しかしそれを宣行は首を横に振った。

「アイツなら、いつか自分に釣り合う男性を見つけるよ。いや、きっと見つけるさ。…いつかいいパートナーを連れては俺の前に現れてくれると信じている」

「はは!…そうか。たとえ離れていた時間は長くとも…それでもお前は優花ちゃんの事をちゃんと兄として理解しているんだな〜!」

「ハハハ!…当然ですよ!…といいたいけど、まだまだわかっていないところもあるっていうのか…時々心配になるんですね…」(頭抱え…)

∧( 'Θ' )∧・・・・・・・・・

宣行はかっこよく言い切ろうと思ったのか、滑ってしまった。それを見た南原も苦笑いの表情を浮かべるも、肩を優しく叩いた。

「ははは!全く、いい兄妹愛だな〜!!…一人しかいないお前の妹なんだ。…大切にしてやれよ!」

「…はい」

その夜の飲み会は大いに盛り上がった。しかしその楽しい飲み会の裏にはーーー

「……親父〜勘定!」

「あいよ〜!」

チャリン…

スタッスタッ!

大きな暗躍の影が潜んでいるということを、宣行と南原二人の公安警察は、知る由もなかったーーー

🎼Back Ground Music 》》》



♪〜MOZUよりメインテーマ

「…こちらNo.079…公安警察の槇原と接触しました。現在橋の下にあるおでん屋にいますが、バディーと共に行動しています。…どうしますか?」

『…そのまま泳がせておけ。…今はまだその時ではない…』

おでん屋から出た一風変わっている男はサングラスを取り出し、雇い主からの電話を取り、宣行の情報を伝える。何か策があるのか、雇い主からはそのまま現状維持の指示が下る。

『…それに後一週間もすれば、大手麻薬密売業者との取引が控えている。今暴れ出すのはまずい。…だが用心しろ。奴ら公安が潜入捜査官として取引先の犯罪組織に探りを入れてくるかもしれない…尾行しては住所も特定しておけ』

「…わかりました。」

『くれぐれも用心しろ。…ではまた連絡する。』

ピッ!

「ボス。……ターゲットを補足した様子です」

「……ご苦労様」(…槇原宣行…槇原優花…か…)

殺し屋を動かしている男は、槇原兄妹の事を以前から知っている様子であったーーー

・・・

スタッ…スタッ…

「……」(ササッ!…ジィーー!)

「……?」(チラッ!)

「……」(勘がいいな…こちら側がコソコソ嗅ぎ回っているのを理解しているのか…)

男は宣行を尾行し、住所を特定しようとする。宣行は南原直伝の刑事の勘を頼りに、男の尾行に気づかんとするばかりに振り向く。しかし誰もいない事を知ったからか、そのまま帰路についた。

「……妙だな…」

ギィー…バタン!

「!!…あそこが槇原兄妹の家…早速報告だな…住居の場所を特定できればこちらのもんだ!」

スタッスタ…

〜その二日後〜

「…!?潜入捜査官ですか!?」

「…ああ。最近かなり規模が拡大し、闇業者の中で有名な麻薬密売の犯罪組織だ。我々警察でも極秘に調べていたんだ。…どうだ?…引き受けてくれるか?」

「……」

宣行は名古屋警察署の警部の者からの突然の異動であった。潜入捜査官となり、犯罪組織の中に隠れるスパイとして組織の裏を暴こうとする危険な仕事である。しかし宣行は揺るがなかった。優花や名古屋に住む住民の治安を守る為、そして刑事としてのプライドに賭け、この事件をなんとしてでも解決しようとする姿勢を見せていた。

「…わかりました。…俺で良ければ、その話をお受けします」

「…わかった。…だがこれだけは言っておく。…相手は犯罪組織だ。下手を打つとお前が消されるかもしれない!!…くれぐれも油断をするな!!」(クワッ!)

「…承知の上ですよ。警部!」(キッ!)

「…話はそれだけだ。…下がっていい…」

「…失礼しました」(ビシッ!)

スタ…スタ…バタン!

「……」(槇原…か…叩き上げでのしあがっただけの事はある。大した度胸と威勢だ…期待している。)

・・・

〜ある犯罪組織〜

「新入りが来たぜ〜!よろしく〜!!」

パチパチ!!

「反原〜!!こりゃあまた顔のいいやつ見つけたな〜!!」「ギャハハ!!」

「まあな〜!三木川!?どうだ!?」

「…なんか真面目そうね〜…面白みにかけるわ〜!…ま、とりあえずよろしく〜♪」

「ハハハ!!!…よろしく!!」(こいつが…三木川…霧矢の裁いた女か…)

宣行は麻薬密売の犯罪組織としての潜入の日々の道を歩んでいく。その組織内でも抗争がないかの瀬戸際、彼もまた法の外に出てしまう場面にも出くわす事もあった。それは時々麻薬をさせられそうになったりしたが、宣行は理由をつけて断る。その間に、麻薬の情報や隠し持っていた武器の情報を警察に流出しては証拠を掴み、犯罪組織の確保の日は近づいてきた。その日々を続けていたある日の事であった。

・・・

「お前ら〜!!聞け〜!!…取引現場の場所がわかった!…この地図通りの場所だ!!…よく頭の中に叩き込んでおけ〜!!」

「…橋の下にあるトンネルか…」

「ここは心霊スポットにもなっているし、一通りは少ない。…好都合だな」

「おい新入り!…お前も一緒にくるよな〜!!」

「もちろん!!」(その日だな。…決行は!!…相手の取引先も奴らも確保し、一斉に犯罪組織共を検挙してやる!)

宣行は決意を新たにした。そして、その決行の日は始まった。

〜決行日〜

「…すまない霧矢…優花を頼んだぞ!!」

決行日当日。その日は偶然霧矢が槇原家に訪れていた時であった日であった。宣行自身はこれから犯罪組織を根絶やしにする為に、予め警察に組織の出所やアジトの情報を流し、組織のアジトの包囲の準備は既に整えている。そして自分はこれから、その取引現場で犯罪組織と抗争をすることになっていた。しかし、犯罪組織もまたある情報が流出していた。

「!!…スパイが!?」

「ああ。…どうやらオレ達の中に裏切り者が潜んでいるらしい…」「…一体誰だ?」

「……」(…まさか…思った以上に情報が早いな。…だが好都合だ!!)

ザッザッ…

そうしている間に取引相手が来たようである。そしてこの事件によって槇原は犯罪組織から命を奪われ、霧矢豹策の壮大な【Paradiso】の物語へと繋がっていく。

・・・
・・



B. いいえ


《Capitolo・5》
後日談を見ますか?

🎼Back Ground Music 》》》



♪〜ダブルフェイスより・メインテーマ

・・・

〜その頃槇原家〜

ピンポーン!

「…!!…ん〜…あれ〜?兄貴〜?」

ピンポーン!

「…?…こんな夜遅くに誰だろう?…は〜い!!…どちら?…あれ?…いないな〜…」

優花はインターホンから音が鳴り出した為、宣行が帰ってきたのかと思い、すかさず玄関を開けた。しかしそこには誰にもいない。すると突然、勢いよく扉を開けられ、強行突破してくる男の大群が迫ってきては優花の身体を素早く拘束した。

ガチャ!!…ダダダ!! ガシッ!!

「!!??」

優花は突然のことなのですぐに抵抗して暴れるが、男は強く身体を押さえ込んで拘束していたからか、解く事ができなかった。そしてそのまま拉致され、待機させていた車の中に入れられる。

バタン!!

「…!!…な!?何なのよアンタ達!?」

チャキ! チャキ! チャキ!

「!?」

「騒ぐな!……そんなに脳天に鉛玉が欲しいのか?」

「!!」(ビクッ!)

優花は驚愕した。相手はよくドラマや、お気に入りの漫画にあるような展開を連想し、その場で理解した。相手は犯罪組織であるという事を。しかしそれを知ってなお、抵抗する素振りを見せる。

「は…離しなさいよ!!何なのよあなた達!?…ん…んん〜!」

車内には反原と三木川、優花が乗車していた。そして潜入捜査官の宣行の正体を知り、反原は怒りを露わにしていた。

「…そうか。…!!あの新入りぃっ!!…槇原っつう警察の犬だったのかよ!!…くそがっ!!」

「まんまとしてやられたわね!!…でもどうする反原!?…事務所の方…やばいんじゃあ…」

「ああ。おそらく警察が今乗り込んでいるだろうな…おそらくあいつらはもう…くそっ!!一体どうすれば!!」

反原は切羽詰まっている様子であった。それを見ては、三木川は助言するかのように伝える。

「…今は閉業しているクラブハウスがあるの!…あそこなら…しばらく身を隠せるわ!」

「…そうか!お前が通い詰めていた場所か!?…なら話は早い。すぐにそこへ行くか…だが槇原という男も処分する為に…電話かけておくかな〜♪」

「!!」(に…兄さんの命が…狙われている!?…じゃあ霧矢さんがいないのって…!?…まさか…!!??)

prrrrr!!

ピッ。

反原は誰かと電話をかけていた。すると、その男の電話は繋がった。

「…槇原か?…!!…そうか。お前が…相棒の霧矢ってやつか!!…なら話は早い。…おい!!お前の兄さんの相棒の霧矢さんやぞ〜!!しっかり挨拶しろ〜!!」

「霧矢さん!!…!?…んん!?ん〜!!」

優花は必死になって助けを呼ぼうにも、他の部下が口を手で塞ぎ込み発声を出来ないようにする。そして車を走らせ、そのままクラブハウスへと向かっていく。

・・・

〜クラブハウス内〜

バキッ! ドゴッ!

「あぐっ!…くっ!!…アンタ達…よくも兄貴を!!…タダじゃあおかないよぉ〜!!」(ギロッ!)

優花は椅子に座らせられ、ロープで縛り上げられて暴行を受けていた。その様子に男達は止め処なくひたすらその限りを続けていく。

「おうおう!異性だけはいいなぁ〜!!…うぉらあ!!」

バキィーー!!!

「…!!…くっ!!…一体…アンタ達何者なの!?…何で兄貴の事や私の事を狙うの!?…それに…どこから兄貴が刑事だって事を知ったの!?…一体誰から聞いたのよ!?」

「……ほぉ〜!」

優花の発言に、男は痺れを切らしたかのように、こう伝えた。

「ある親切なコンサルタントの人からな〜!…お前達のこと…全部聞いたんだよぉ〜!!…それも取引のある今日の日に限ってなぁ〜!!…おかげで折角の取引は台無しだよ…お前ら兄妹のせいでなぁ!!」

「!!…な…なんですって!?…一体誰?…誰なのよ!?答えなさい!!…!?」

ブン!!…バキィッ!! ガーーン!!

「!!…あ…あ…あがぁ……」

突然優花の頭上から重たい鉄槌が振り下ろされた。振り下ろした相手は反原であった。打ち所が悪かったからか頭から酷い出血が見られ、意識が朦朧としているようであった。

「……っ…!!」(ぐっ…兄貴…ごめん…私もどうやら…これはまずい…ようだよ…)

フラッ…………ツーーッ……

優花はそのまま気を失い、頭からの出血が顔を伝って、一滴一滴が鮮血となって落ちていく。それを見たのか反原は息の根を止めたと確信し、やり切ったような表情をしていた。

「…全く…親切なコンサルタントだよ本当に…そのまま寝とけ……!?」

バタン!

「!!…ボス!?…奴が来ました!!…銃を持っています!」

「そうか〜!!…いよいよ来たようだな〜!!…マトリの霧矢が!!」

・・・

「!!優花!!おい!!しっかりしろ!!」

「…霧矢…さん…兄貴は…?」

優花は意識が朦朧とする中で霧矢の言葉が届いたような様子である。しかしその声はもう虫の息の状態であった。そして霧矢はありのままを伝える。

「…!!…すまない…槇原は…奴ら組織に…お前の兄は…手を下された!!…でも…これを持ってきた…」

スッ…

霧矢は宣行の遺品を手渡した。それは宣行の愛用している腕時計であった。それを見ては、優花は安堵の表情を見せる。

「!!…これって兄貴の!…ありがとう!…霧矢さん……」(ポタ…ツーッ…)

「ああ。…だから…俺は槇原の分まで…絶対お前を守っていく!…だからぁ!!…優花…頼むから!!……!?」

「…………」

グダッ……ツーッ…ポタポタ…

「…おい…おい!!優花!!…な…何で…!?」(ポタポタ…)

「おい!!頼むから!!目を開けてくれ!!…なぁ!!」(ポタポタ…)

「………」

「優花ぁぁぁぁーーーーー!!!!!…ああああぁぁぁ!!!!!」

優花はそのまま目を閉じ、絶命した。その後、霧矢は一人で宣行の持っていた拳銃で犯罪組織の親玉反原と、その愛人のような女三木川を執行する為、法の外に出る覚悟の上で立ち向かうも三木川の放った銃の銃弾が脳天に撃ち込まれ、その際に銃弾が交差し、相打ちとなってそのまま絶命する。そして神様というものは運命の悪戯なのか、その切なく儚い結末の命の物語を、まるで試すかのように、二人に試練を与えてきたようであるーーー


・・・
・・

🎼Back Ground Music 》》》



God created heaven and earth, and everything that exists between them.
(神は天と地、およびその間に存在するすべてを創造した。)

Having a good spirit is not enough, it is important to use it well.
(良い精神を持っているだけでは十分ではなく、大切なのはそれを良く用いることだ。)

Rene Descartes
(ルネ・デカルト)


♪〜TODより〜Holy light

〜???の世界〜(【paradiso】歴1999年12月15日)

〜カラーン…カラーン♪

「zzz……!!……!?…な!?……一体何よ!?ここは!?」

優花は目を覚ました。中はとても狭く、周りには白い薔薇が囲まれており、顔の前にはドット状の穴があった。豹策は、一度前の扉を押し出してみる。

「…ん?開くわね…」(ガタン!)

優花は扉を開け、身体を起こして周囲を確認する。下を見るとそれは案の定、棺で眠っていた。周りは空間は薄暗く、もやがかかった空間が広がり、目の前には白い道が続いていた。そして天井は高さが見えない。その時豹策は、何か物音の気配を感じたのか周囲を警戒した。

ガタッ… ゴゾッ…

「……だ、誰かいる!?」

「呼びました?」(ひょっこり!)

「…!?」

「……ん?」

「ええ!?こんなとこにお、女の子〜!?」

「やっほ〜♪」(ニパ〜!)

「…ああどうも…」(って!?何でよ!?そもそもここ一体どこなのよ〜!?)

「こんにちは〜♪初めましてってやつです!」

優花は目の前の少女を確認すると、それはシルバーブロンドの髪色でロングヘアー、肌は白く、胸元に十字架のワンポイントに青白のワンピースを着た笑顔の一人の少女がそこにいた。そして少女はすかさずニコニコと挨拶をした。   

「私の名前は、導き人の一人、オロア!よろしく〜♪…そしてあなたをユートピアの世界へと勧誘に来ました!」

そのように少女はにこやかに挨拶を交わす。そしてここから、優花の【Paradiso】への挑戦の幕が始まろうとしていたーーー
















《To Be Continued…→》











第5話:プロローグ〜優花編 Part1
《完読クリア!!》



次の話へ進みますか?

A. はい 
B. いいえ