GiorGiaNo

 
《Paradisoシリーズ〜導かれし七人の現世人の冒険譚》   A.:GiorGia

〜ダブルフェイス・黒豹と法と秩序の契り〜



第4話:プロローグ〜豹策編 Part2




プロローグ〜豹策編 Part1の続きです。



《Capitalo・1》 
物語を開始しますか?

🎼Back Ground Music 》》》



God created heaven and earth, and everything that exists between them.
(神は天と地、およびその間に存在するすべてを創造した。)

Having a good spirit is not enough, it is important to use it well.
(良い精神を持っているだけでは十分ではなく、大切なのはそれを良く用いることだ。)

Rene Descartes
(ルネ・デカルト)



〜???の世界〜(【paradiso】歴1999年12月15日。)

〜カラーン…カラーン♪

「zzz……!!……!?…なんだ…ここは?」

豹策は目を覚ました。中はとても狭く、周りには白い薔薇が囲まれており、顔の前にはドット状の穴があった。豹策は、一度前の扉を押し出してみる。

「…開くな…」(ガタン!)

豹策は扉を開け、身体を起こして周囲を確認する。下を見るとそれは案の定、棺で眠っていた。周りは空間は薄暗く、もやがかかった空間が広がり、目の前には白い道が続いていた。そして天井は高さが見えない。その時豹策は、何か物音の気配を感じたのか周囲を警戒した。

ガタッ… ゴゾッ…

「……誰だ?」

「呼びました?」(ひょっこり!)

「…!?」

「……ん?」

「………」

「?」(首かしげ?)

豹策はとっさに目の前にいる少女に語りかけた。

「…女の子供か?…だがなぜこんなとこに…?」

「やっほ〜♪」(ニパ〜!)

「…ああ。」

「こんにちは〜♪初めましてってやつです!」

豹策は目の前の少女を確認すると、それはシルバーブロンドの髪色でロングヘアー、肌は白く、胸元に十字架のワンポイントに青白のワンピースを着た笑顔の一人の少女がそこにいた。そして少女はすかさずニコニコと挨拶をした。

「私の名前は、導き人の一人、オロア!よろしく〜♪…そしてあなたをユートピアの世界へと勧誘に来ました!」

「…ユートピアの…世界?」

「あ〜知らないんですね〜では教えちゃいま〜す♪」

するとオロアは口頭で懇切丁寧に説明した。

「ユートピアの世界とはいわゆる天国と地獄ではないもう一つの死後の世界があります。あなた達の現世で【paradiso】という言葉聞いたことありませんか〜♪」

「…ない。…そうか俺はあの時…死んでいたか。」

「はい♪あなたはあの時、現世で犯罪組織に所属する女性に銃で相打ちになった結果死にました〜♪」

「……そうか。…まだ小さいが、そのなりは仮初めと言ったところか?」

豹策は鋭い観察力でオロアの正体を知ろうとする。するとオロアは笑顔に素直に答えた。

「鋭いですね〜!!さっすが麻薬取締官!!略してマトリ〜♪…いい観察力してますね〜♪霧矢豹策さん♪」(ワクワク♪)

「…!!…なるほど…情報は筒抜けといったところか…」

「はい♪!!…私たち導き人にはあなたの現世での行いについての記憶を全て知っていますよ〜!も・ち・ろ・ん!あなたの親友の天野さんのこともですよ〜!」

「!!…そうか…オロア。…その【paradiso】というのは…一体何処なんだ?」

「こちらになりま〜す♪ご案内しますのでしっかりついて来てくださいね〜♪」(ピューー!!)

「!!…足早いんだな…」

「早くしないと日が暮れますよ〜♪」(ダダダダっ!!)

「…はぁ…仕方ない…いくか。」(タッタッタ!)

(ふふ…俳優面でかなり物静かで落ち着いてる人ですね〜♪)

豹策は走り続けた。すると視界は真っ暗闇になり、目的地に辿り着いたようだ。

「…ハァ…ハァ…だいぶ走ったな…」

「ご苦労様です豹策さん!!ではでは〜…あれをご覧くださ〜い♪」

「?…!?」

豹策はオロアに指を刺された場所を見る。そこにはスポットライトのような光が三つもあり、先に続いている。

「…一体何だ?…あのスポットライトは?」

「あれは現世の世界の光の一部です!光を浴びると、あなたの生前の様子だとか、その他の人の身体を借りて、いろんな追体験できたりと…まあとにかく色々な価値観に触れるのがありますね〜♪あ、特に害はないのでご安心ください!」

「そうか…!?」(クルッ!)

「〜♪…えい!」(ドン!)

「……!?くっ!!」(ビュー!)

「いってらっしゃ〜い♪」(ニコニコ〜フリフリ〜!)

「…不意打ちか!?……」(シュン!)

豹策はオロアの不意打ちを受け、光の中へと消えていった。オロアはその様子を見てはこう思った。

(現世では麻薬取締官…でも過去の時代の…主に学生時代では一体どう過ごしたのか、少し見ものですね〜♪…でも本当に物静かな人ですね〜♪…半年前に来た【Bill】公とは大違いですね〜♪)

・・・
・・



🎼Back Ground Music 》》》

 


ある学校の校内

《?…ここは…!!…俺が昔在籍していた…高校だ!!…それにあれは…天野!?》

「〜♪…?」(ふんふふ〜ん♪…ん?)

ガサゴソ…チラッ!

「?……!?」(あれは三木川?…!!…あ!!…あれって…まさか!?…くっ!…)

そ〜っ。………タッタッタ…

「……?」(ん?…あれは…天野?)

《!!…そうか…この時から、三木川が覚醒剤を所持していた事を知ったのか。…それであの時、焦ったかのように走っていたんだな…》

当時高校2年生の下旬の季節。トイレを訪れようとした天野が、トイレ内で人気の無い場所でポーチを探っていた三木川が中から、保健体育の授業で学んだ麻薬の一つ、合成麻薬(MDMA)を所持していた現場を目撃する。それを見た天野は、彼女に気づかれないようゆっくり後退り、急いでその現場から離れ、屋上に駆け込んだ。その走り去る様子を当時高校2年の豹策が目撃していた。

「はぁ…はぁ…そうだったんだ…アイツ…」(間違いない…あれは…保健体育で学んだ…麻薬!!…三木川…アイツだったんだ!!…私の友達みんなを…退学に追い込んだ張本人は!!)

「…どうしたんだ?…天野?」

「!!…あ、豹!……もう何だぁ〜!…君か〜♪」

「?……一体どうしたんだ…そんなに急いで?」

「アハハ♪…別に〜♪…ただね!…この屋上から、青空が見たくてね〜♪」

《…我慢してたんだな…すまないな…気を遣わせたな…》

「…そうか…」

「も〜う豹!!ノリ悪いよ〜♪」

「…ああ」

「も〜う!…ふふ…」

アハハハハハ!!!

・・・

「……」(でもこのまま…三木川を見過ごしている訳にもいかない!…でもどうすれば!…ん?)

『新聞部!…貴方の悩み解決します!テーマはどんなものでもOK!!』

《…新聞部のメンバーの部室か。…あの時は…お前達には世話になった》

天野は偶然、新聞部の部室の前を訪れ、意を決して入室した。

「…失礼しま〜す!」

「ん?ああっ!天野!!」「あら〜?天野じゃないの…!」「おっ!天野!!」

部室の中には、二人の女子生徒と一人の男子生徒がいた。それぞれの名前には井山・大宮・斎藤と書かれており、どうやら天野とクラスメイトの顔馴染みであった。そして、席に案内した。

「まあま〜!…座ってよ!」「で?何か悩み〜?」「相談に乗るよ!」

「うん…実はね…」

《…そうだったのか。…この時に、新聞部と交流を持ち、三木川との因縁が始まったようなものか…》

・・・

「なるほどね…ここ最近流行っている麻薬所持による退学事件が…まさか…」「普段クラスのマドンナを装ってる…あの…」「三木川が黒幕だったとはねぇ〜……」

「もし見間違いならごめんなさい!…でも確かに怪しかったの!あんな人の見えない場所で隠れて探し物をするなんて、普通おかしいわよ!」

天野は新聞部に三木川の容疑を報告する。すると斎藤の方から、あることを述べた。

「でもあり得なくもないかもね…」

「…え?」

「確かに…三木川…彼女は何かを隠してる」「私も何だか見たことあるわね〜!…夜遅くに繁華街にぶらついている所を〜!」

「!!…本当に!?」

「うん!…これが証拠!…それに、怪しい人達と一緒にホテルに行ってる写真も…ほら!」

スッ!

新聞部の部員の井山から写真を渡される。そこには怪しげな男と、仲睦まじくホテルに出入りしている写真があった。しかし斎藤は何故か、がっかりそうにこう言った。

「だけどね…これではまだ決定的な証拠ではないんだ」(ガクッ…)

「!!…どうして!?」

「一番効果的なのは、その麻薬の取引現場の写真さえ収めれば何とかいけるんだけど。それでもその現場を収めること事態かなり危険なことだからね。」

「それに、繁華街のような目立つ場所で受け渡しするのはリスクがあるから町中ではしないと思うの。…まずは、麻薬売人のお兄さん達がいつどこの場所で、その麻薬の取引を行っているかという所在を特定することが先決よね…」

「!!」

《この時期は、まだ奴らの巣窟であるクラブハウスの場所を特定できていなかったのか…》

新聞部一同はその事実を伝える。すると天野は大きく宣言した。

「…私が見つける!」

「!!…天野…」「天野…あなた…」「天野!?」

「絶対に見つけてやるんだから!…もうこれ以上……三木川の好きにはさせないわ!」

「でも…かなり危険が伴うんだよ!」「それでも…やるの?」「…天野大丈夫なの?」

「…うん!…私はやる!!」

天野の目は本気であった。その顔には、三木川のような人を陥れるような悪女を絶対に許さないという気の強い正義感が見られた。すると三人は妥協したのか、協力の姿勢を見せる。

「…わかった!」「了解〜♪」「でもね…条件があるよ、天野!」

「…え?」

新聞部の斎藤からの条件について聞いた。するとそれは、まるでチームを組むかのように笑顔で言い放った。

「一人では危ない!…僕達も全力でサポートして協力する!」「私も!!」「一緒に三木川と…裏で牛耳っている麻薬密売業者と戦いましょう〜♪」

「!!……うん!新聞部のみんな…本当にありがとう!…じゃあ…これからよろしくね!!」

「よろしく!!」「よろしく〜♪」「ウフフ♪よろしく♡」

《…よかったな、天野。…お前にもちゃんとした居場所があって…》

・・・

〜その夜・繁華街〜

夜になり、新聞部三人と天野は繁華街を出歩き、三木川の動向を探っている。幸い人混みの多い時間帯であるため、安易と見つからない事を確認し、三木川の行動パターンを報告した。

「…とりあえず、言うとね。…まず三木川がこの夜の繁華街に出歩くペースは月に10回。特に金土の今くらいの時間帯が多いんだ!」

「どうして?……!!…そっか!!…もしかしたらアイツ…夜、この繁華街のどこかで怪しげなバイトを…それで!!」

「そこで、様々な人からの目撃情報が出ていたりするの。…おそらく思った以上に危ないことにも首を突っ込んでいると思うわね…」

「違法バイトにまで手を染めている危ない仕事を。……そして天野が目撃した麻薬まで…これが、それを確証する写真だよ」

ピラッ!

天野は井山から渡された写真を見る。そこには大人向けの店に男と出入りした写真があった。それを見た天野は、新聞部に言い放った。

「こんなの確信犯じゃない!…何で…何で先生とかに言わないの!?」

「シーッ!」「静かに…」「ここは抑えて…」

「あっ!…ご、ごめん!…でもどうして?

天野は新聞部に疑問を投げかける。すると、新聞部はこのように説明する。

「…君のようにね、同じ事を思う人も、もちろんいたよ。…でも三木川はね…」「両親がウチの学校の理事長と仲がいい有名な政治家らしいのよ。…だから…」「これまで三木川に縦ついて報告した生徒のみんなはね、三木川の親の権力で理事長や教師によって主張を揉み消されて…停学や退学の処分を余儀なくされたんだ……」

「!!…そ…そんな…」

《…そういうことだったのか…麻薬を忍ばせて所持しているように見せかけて退学させられた訳ではなかったのか…三木川…他にも親の権力を使って、これまで気に入らない生徒達を…退学にして自分勝手に好き放題していたというわけか…》

豹策は三木川のこれまでしてきた事の真実とそのドス黒い欲望から、自分の言いなりにならなければ気が済まない強欲かつ傲慢な性格が形成された原因が、垣間見えたように感じた。すると、天野は芯のこもった強い意志で言った。

「…やっぱり見過ごせない!…絶対に三木川の裏…暴いてやるわ!!」

「!!…天野…」「天野…」「!!…来た……三木川だ!!」

「!!」

新聞部達三人のうち、斎藤が三木川の姿を捉えた。服装は短めのスカートを穿き、肌を露出していた。隣には、腕に刺青の入ったいかにも怪しげな男も同伴していた。その様子を物陰に潜みながら写真を持ち、こっそり尾行していく。

「…気をつけてね!」「場所を撮影したら撤退したほうがいいわね…」「あまり集まって行動したらまずいから慎重にね…」

「…三木川…!!」(ギリッ!)

スタッ…スタッ…

「!!…路地を右に曲がった!」「焦っちゃだめ。…もしかしたら仲間の待ち伏せがあるかもしれないわ…」「ああ。…警戒はしたほうがいいね!」

「!!…くっ!!」

ダッ!!

「あ、天野!!」「ちょ、ちょっと!?」「天野!」

ザザッ…

「…!!いたっ!…どうやらこのクラブハウスのようね!」

カシャ! カシャ!

「!!…天野…」「…あの子…」「度胸あるね…」

天野は、クラブハウスに三木川が怪しい男達と出入りしている決定的な写真と動画を撮影した。そしてすかさず、新聞部に言い放った。

「…ずらかるわよ!…長居して誰かに見られたらまずい!!」

タッタッタ!

「天野!」「あの子…フフ…度胸があるわね!!」「ああ。まるで刑事みたいだ!!」

「…別に。あと動画も撮っておいたよ!音声も取れていたら尚更いいんだけど…でも、やっと突き止めたと思うの!…恐らくあそこだわ!」

《…天野…お前ってやつは、本当に大した奴だよ。…恐怖を乗り越えて新聞部を導いては……自分の信念を貫き通したんだな…》

豹策は天野の度胸のある危険を顧みず、自分から進んでその現場を撮影する様を見て、彼女を称賛する。取引現場を特定した天野はこのように言い放つ。

「あのクラブハウスのことを調べるわよ!…絶対に裏を暴いてやるんだから…!!」(ギリッ!)

「…うん!」「了解したわ〜♪」「ネットの掲示板を見たら、色々わかるかもね!」

タッタッタ…

月日が経ち…

ゲラゲラ!ギャハハハハハ!! アッハハハ!

「…ん?…アイツは確か…!?」「行くよ…豹!!」

グイッ…スタスタスタ!

《そうか…ここに繋がるというわけか…》

「……」(…アイツは確か…同じクラスのマドンナの…三木川か。…こんな遅くまであんな連中と夜遊びとはな…)

「……ッ!!」(三木川…!!)

「!!…三木川が…クスリを…本当なのか?」

「ええ…間違いないの…三木川!…アイツは間違いなく麻薬と関わっているの!…だから私もあまり彼女とは関わりたくはないの!」

「…確かにあの刺青をしていた連中と連んでいては説得力はあるか…なるほど…普段はクラスでマドンナのように装っては、裏ではそんなことをな…だがいつそんな事を知った?」

「今ここでは言えない…あとから連絡するね。じゃあ…これで…豹…おやすみ!」

「…!!…天野……」

《長い月日を経過して、あのクラブハウスの事を、色々調べてくれていたんだな。…天野…本当に苦労をかけたな。…そしてすまない!》

「…そういうことかよ…クソが!…でも…天野…お前も大変だったんだな…」

・・・

そんなある日

タッタッタ…

「!!…これって…アイツのポーチ…」

キョロキョロ…

ある日、天野が三木川のポーチを廊下で拾った。周囲を確認してその現場を誰も見ていない事を確認する。そして念入りに手袋をしてすぐさま開けて中身を確認する。その中には、MDMA(合成麻薬)が包まれた袋が入っていた。その証拠をすかさず写真に収めた。そうしていると近くから、誰かが急いで走ってくる音が聞こえてきた。逃げようにも一方通行になっているため、逃げ場はなかった。

タッタッタッタッタ!

「!!」(…まずい!…ええい!…こうなったら!!)

ピョーン!…ササッ…タッタッタ…

幸い一階だったので天野は窓の外から身体を出しては外へと逃げていく。すると慌てて走ってきた三木川がポーチを見つけては拾い上げる。

「!!あ!?あったあった!…あ〜よかった〜!…誰も中身は見てないわよね〜?」

天野が窓から飛び越えては上履きのまま走っていたからか、生活指導員の教員から目の敵にされるかのように追われる。

「おい!天野!窓から身を出して上履きで外を走るとは何事だ〜!!コラ〜!待ちなさい!!」

「あぁ〜ん!!…ご、ごめんなさぁ〜い!!」(…ハァ…ハァ…うぅ〜!流石にマズイか〜!!)

「…ん?あれって…天野?…でも何で外で上履きなのかしら?………!?」(まさか…アイツ!?)

《!!…そうか!!…ここで衝突があったのか!?…くっ!!》

・・・

時は戻り、高校三年生5月中旬の季節…豹策18歳。

「…な…何なのよ!?突然!?」

「しらばっくれるなぁっ!!…アンタ見たんでしょぉっ!?…あのポーチの中を!?」

《…天野…お前…》

「…証拠は?」

「……ハァ?」

「…証拠もないんじゃあ立証のしようもないじゃあない♪…感情的にもなって見苦しい女ね〜♪…じゃ♪」

スタスタ…

「…っち!!…天野…ムカつく…あの女ぁ!!」

ガシャン!!

《…そろそろか…くっ!!…すまない…天野!!…本当に!!》

キーンコーンカーンコーン〜♪

「ふぅ〜!終わった〜!!…さ〜て豹も待っているし、屋上に行くかな〜♪…ん?え…先生?」

授業が終わり、早速屋上に向かおうと教室に出ては階段に登ろうとする天野であったが、目の前には教員が立っており、深刻そうな顔をしていた。すると重々しくこう話した。

「天野…ちょっと職員室に来てもらおうか?」

「…え?一体なんですか?」

「いいからちょっと!!」

ガシッ!!

「ええっ!?あのちょっと!?な…何ですか一体!?」

《天野!!…くっ!!…記憶の中だから…介入出来ないんだ!!…くそっ!!》

ざわ…ざわ…な…何だ一体? 

「警察を呼んでいるんだ!!お前…心当たりがあるんだろう!?」

「!!…はぁっ!?」

タタタ!!

教員から強引に手を引かれて連れて行かれた場所は、職員室ではなく実際は学校裏であり、そこには一台配備していたパトカーがあった。すると、教員はまるで犯罪者を見るかのような目でこう言い放った。

「ここだ!…入れ!!」

「え!?な…何でパトカーへ!?…ちょ…ちょっと!?」

天野は強引にパトカーの車内に強引に乗せられる。そこには警官とスーツを着た刑事の男が険しそうな表情をしては強く言い放った。

「天野だな!!お前を麻薬及び覚醒剤取締法違反また違法薬物売買の現行犯で逮捕する!」

カチャリ!!

《天野!!…やめろ!!…違うんだ!!天野は何も!!…何もっ!!》

「!!…そんな。私は何もやっておりません!!」(ポロポロ!)

「しらばっくれるな!!…お前のロッカーの中にこれが見つかった!!…これは一体何だ!?」

警官が天野に見せたのはMDMA(合成麻薬)であった。それも約10粒の量があった。

「お前…自分でも乱用して飲んでいるのか!?…どうなんだ!?」

「いい加減はけ!!」

「飲んでいません!!…そもそもそんな薬を売る事など…私はやっていません!!それも…全部…!!全部三木川がやったことなんです!!」(ポタポタ…)

《くっ!!…天野…すまない…本当に…すまない!!!》

「その三木川という女子生徒から全部電話で通報して話してくれたのだよ…」

「君が隠れて薬を売る…密売業者だということを!!」

「!!」(そ…そんな…)

「ともかく事情は署で聞こう。発車しろ!」

「ハッ!!」

ブロロロロ…

ブーーーーーン!!

「!!…グス…えぐっ!…いやぁ……いやぁああーーーーー!!!!」(豹…助けて…!!…助けてよおおぉおぉーー!!!!)

《…何も知らなかった俺は、天野を待つために…確か読書をしていたんだ…くっ!!分かっていたら…俺が…!!俺がぁ!!…あああぁあ!!!!》

「……」(ペラ…ペラ…)

豹策は、屋上のベンチに座っては本を読んでいた。そして一枚の桜の花びらが風に乗っては、豹策の本のページに乗った。

「…桜か…それにしても遅いな。…天野。…一体何してるんだ…?」

・・・

地元の警察署・取調室

ダン!!

「!!」(こ、怖い!!…取り調べって…実際はこんな感じなんだ…)

天野は取調室にて二人の刑事から尋問を受けている。そして容疑を認めさせるため、脅しをしては精神的に彼女を畳み掛けていく。

「どうなんだ?…答えろぉ!!」

ダン!!

「ヒィッ!!…ち、違います!!…私じゃあ…私じゃあありません!!信じてください!!」(ポロッ!)

「嘘をつくな!!…もうネタは上がってんだよ!!!」

「…っ!!」(ポタポタ!)(何で…何で誰も信じてくれないの…?)

「しっかり前向けやボケェ!!!」

ダーーン!!

「ヒィッ!!!…うぅ…グス…!!」(ポタポタ!)(こ…怖いよぉ!…豹!!…助けて…助けてぇ!!)

《やめろおおお!!!!…天野!…天野おおお!!!!!!》

ガチャン…

その後、裁判の執行まで、天野は拘置所に入れられる。しかし食欲は湧かず、一口も食べられない程に衰弱しきっており、日が経つにつれて精神的に病んではやつれていく。時折その様子を見た家族が面会に来てひどく心配する。

「アンタ…大丈夫?…しばらく食べていないようだけど…」

「…うん…私は大丈夫だよ。…お母さん…そっちは?」

「私も大丈夫よ。…それに私は絶対にあなたがそんな馬鹿な事をしないのは知ってる!…だから元気出して!!」

「!!…ありがとう…お母さん…!!」

《天野のお袋さんか…最後まで一人娘のことを信用していたんだな。…だが、それでもお袋さんも…余程疲れた顔をしている。周りからも色々言われたのだろうな…》

豹策は天野の母親の顔を確認した。そこからは世間の目が冷たい非難の声を浴びたからか、疲れている顔をしていた。しかしそれでも、自分の娘は無実であるということを最後まで信じていた強い母親の目をしていた。すると刑務官が、時間切れだと言わんばかりに言葉を言い放った。

「面会終了だ!…戻れ!」

「…じゃあ…行くね…」

「あ…ああああああぁぁ!!!!」(ポタポタ!)

ガタン!! チャキッ!

「……」(うぅ!…グス!…ダメ…やっぱり一口も食べられない…お母さん…豹…新聞部のみんな…本当に…ごめんなさい…!!)

《…俺の方こそ、守ってやれなくてすまなかったな天野…だが安心しろ!!…この後だ!!…俺がこの後に…お前の冤罪を晴らして……仇を討ったんだ!!》

キィーーーン!!!

《!!な…なんだ!?》

豹策の頭の中に映像が流れ込んできた。するとそこには、天野の事件後の記憶が流れ込んできた。

・・・


🎼Back Ground Music 》》》



〜その後の天野〜

「…ふぅ…よし!…引越し済んだと…」

「もうアンタ!…無理はしないの!…まだ拒食症気味なんだから!…でも…豹くんっていうアンタの親友のおかげで…冤罪が晴れて、本当に感謝しないといけないわね……」

《…俺は当たり前の事をしただけだよお袋さん!…だが天野…お前の無実を晴らせて本当によかったと思う》

「…うん。だからね…私…通信制の高校に編入しようと思うの!」

「!!…え!?…まあいいけど…で…どうするの?」

天野は豹策に助けられた事を感謝するかの気持ちで、自分の将来のことを話す。

「私はね、将来、社会福祉士になりたいの!…世の中で悩んでいる人の為に、その人の手助けをする仕事に就きたいの!!…あの時、豹が私を助けてくれたみたいに!!」

「!!…アンタ…」

《…!!…そうか…天野、お前…》

その後、天野は通信制の高校に編入し、優秀な成績で卒業する。その後も通信制の福祉系の大学を受けて合格し、日々勉強に明け暮れ、晴れて国家資格の社会福祉士の資格を取得し、地方の地域包括支援センターの生活相談員となった。その後、実務経験も5年以上も経過して習得する介護支援専門員(ケアマネージャー)の資格を目指し、スキルアップも重ねようとしていた。崖っぷちな状況から順風満開な生活を過ごしていく様子を豹策は、暖かく見守っていた。

《天野…努力したな!…あの崖っぷちの状況で…お前は……くっ!…よかった…本当に…よかった!!》

「天野さん…いつもすまないねぇ〜…」

「いえいえ、私に出来ることならまたいつでも相談に来て下さいね!」

スタ…スタ…

「…ハァ…」(…豹…私は大丈夫よ。…あれから私はね。…こうして生活相談員として働いているから。…でもそんなあなたは一体今何してるのかな〜?♪)

ピコン♪

「ん?…!?…え…う…嘘!?…そ…そんな……何で………」(ポロ…)

カランカラン…

《!!……!!…まさか俺が殉職したのを…ここで…!?》

「…豹…!!…豹!!!…どうして…どうしてこんな事に!?…あぁあああははあああああぁ!!!!」(ポタポタ!)

《!!…すまない天野!!…本当にすまない!!…だが俺は!!……え?》

豹策は天野が涙を流す姿を見ては思わず目を背けようとしたが、耐えてそれをじっと見守った。すると、天野は泣き止み、いつもの笑顔になった姿を見て驚いた。

「…大丈夫だよ…豹!…私達はいつも一緒だよ!…どんなに君が亡くなって…離れ離れになったとしても…この空を見上げれる場所にいるのなら、君はそこに居るんだもの。…もし何かの縁で会うことが出来たら、あの時の話の続きを…必ずしましょうね♪…そっか。君の夢…叶ったんだね♪でも驚いたよ〜♪見ない間に…本当の俳優のような男前なダンディーになっちゃって〜♡…ま、私も道は違えど、君と同じ厚生労働省に定められている資格を元に……今、こうして元気に働いているよ。本当にあの時…三木川から私を助けてくれて…本当に…」

《ありがとう!!…豹♪…大好き♡!!…いつまでも…君を…永遠に忘れない♪!!》

《!!…そうだな天野!…俺もお前の事が…!!…あの時の話の続きを…したかったと言いたいが……お前のいう通り……もし何かの縁で会うことが出来たら…また話の続きを必ずしよう!…約束だ!!…俺のたった一人の親友!!……天野!!》

・・・
・・


「!!」

「あっ!?…気づかれましたか〜?」

「…ああ…久しぶりに天野の顔を見た。…そして今まで何があって、何をしてきたのかということを知った」(フッ!)

「そうですか〜♪…おやおや〜?…なんか先程に比べて表情が柔らかくなりましたね〜♪」

「…そうか?」

「はい♪…その顔つき…とってもいいと思いますよ〜♪」

豹策は第一の試練で天野の事を知り、これまで彼女が味わってきた経験とそれをバネにして前向きに向き合い、まるで大空のような広大な心を持ち、辛い現実から這い上がろうと、時に仲間と協力して、自分の夢を実現しようとする自己実現の意志を豹策は学んだ。そして、久方ぶりに天野の姿を見たからか、思わず笑みを浮かべていた。するとオロアは急いでいたからか、次の試練を進めようとする。

「ではでは〜…第二の試練張り切っていきましょ〜う♪」

「…早いな…」

「はい♪…もしかしてマトリの仕事をしてたくせにビビってるんですか〜?」(プークスクス!)

「……」

B. いいえ


《Capitolo・2》
続きを読みますか?



「…まさか」

「そのクールな所……〜♪男前でいいですね〜♪…もう!!///」(偽テレテレ〜///)

トン!

「!!…またかっ!?」(ビューーン!!)

「いってらっしゃ〜い♪」(ニコニコ〜フリフリ〜!)

「…ああ」(シュン!)

豹策は恥ずかしいふりをするオロアの不意打ちを受け、光の中へと消えていった。オロアはその様子を見てはこう思った。

(第一の試練はクリアしましたね〜♪…次の試練が一体どうなるか…見物ですね〜♪)


・・・
・・



🎼Back Ground Music 》》》




ある学校の校内

「イチニイチニ!!」

《ここは…まさか警察学校か!?》

「おい槇原ぁ〜!!遅れてるぞ!!」

「…はっ!!すみません!!」

《!!…槇原!!…となるとこれは…槇原の記憶か!?》

豹策に課せられた第二の試練は、宣行の記憶である。そこは警察学校の記憶であり、どうやら今は校内でのランニングをしての基礎体力を身につけていたようである。

「…くっ!」(流石に重量を持ちながらの走行だ…結構きついな!…だがな…優花。…兄貴は挫けないぞ!…必ず警察官になってお前に安全な生活を約束する!…それまで寂しくしてしまうが、その分頑張るからな!)

《槇原…お前!》

・・・

〜実弾射撃演習〜

ダン!! ダン!! ダン!! ダン!! ダン!! ダン!!

「…すげえな槇原!」「全弾を真ん中に!」「精密射撃というやつか!?」

《実際発砲している所は見た事はないが、射撃の腕は本物だったんだな…槇原…》

「…合格だ槇原!!…大した腕だ!!」

「はっ!!…ありがとうございます!!!」

・・・

〜体術訓練〜

「うぉらあああ!!!」

ブン!!

「ぐああっ!!…!!」

ブン!!

「そこまで!!…槇原…見事だぞ!!」

「…ありがとうございます!」

「…っち…」「なんでいつも槇原ばかりが…!!」「見てろよ…」

《…嫌な予感がするな。》

・・・

「…槇原!!…ちょっと来てもらおうか!?」

「は…はい!!」

タッタッタ…

パサッ!

《!!これは…!?》

「!!…教官!?…一体どういう事ですか!?」

『退校届』

宣行は指導教官から突然警察学校を辞める書類の『退校届』を目の前に渡された。そして、証拠となる理由のものを袋詰めにして見せつけた。

「…これは何だ?」

「…タバコです。…しかしそれが一体…」

「お前のロッカーの前に落ちてあった。貴様…隠れて喫煙しているのか!?」

「…私はそんな事はいたしておりません!!」

《槇原…》

宣行は、自分の罪を真っ向から否定する。するとそこに同部屋の生徒がやってきては、無実を晴らそうとする。

「…犯人は槇原ではありませんよ!」

「…何?」

「!!…お前…」

「これが証拠です!…確認してください。」

「…コイツらは…」

指導教官は渡された写真を見る。そこには顔馴染みの生徒が、宣行のロッカーの前にタバコを置いていた確定的な証拠写真であった。それを見ては納得したのか、『退校届』を取り下げる。

「…わかった。…槇原…疑ってすまなかった…」

「…いえ。俺は大丈夫です。…それに俺はこんなことをする余裕はありません。正々堂々、訓練に明け暮れて、市民の治安や笑顔を守る警察官を…俺は目指していますから。」

「…そうか。頑張れよ…槇原!」

「はい!…ありがとうな。」

「俺の事はいいよ!それにお前には色々助けられたからこれくらいするよ!…頑張れよ!」

《周りの…一部の生徒からは信頼されていたんだな。…槇原!》

豹策は過去の槇原のエピソードを観ては、感慨深く見ていた。彼の生活は順風満開のようにいかず、波乱万丈に、人の陥れにもあったりと、様々な事をこの警察学校で学んできた事を知った。そして警察学校卒業から数年後の出来事である。

・・・
・・


🎼Back Ground Music 》》》




東京・警視庁・公安部・槇原宣行(34歳)

「!!…名古屋へですか!?」

「ああ。今回は南原と一緒に行ってもらう。…大丈夫か?」

「はっ!!…喜んでお受けします!」(名古屋か…しばらくは親父達が残した別荘に住んでいる優花に顔合わせできるようだな!!)

《そうか…優花は名古屋に住んでいたんだな。…それであの家にいたのか…》

「…そうか…お前も名古屋か…よかったな…妹に久しぶりに会えるだろう。」

「…はい南原さん!…でも俺が警察学校にいた時のあいつはまだ6歳とかなり小さな頃に親戚の家に預けっぱなしで、それでも受験や長い休暇には顔を見せる時もあったけど…俺のこと本当は嫌っているかもしれないですね。」

「それはない。家族ってのは嫌でも、血が通っていれば分かるもんだよ。」

《…南原さん…これは年の功といったところか…》

「…そうですね。それに手紙もくれましたし、俺の事…待っているかもしれないですね。」

「…ああ。元気出せ。…名古屋か…きっといい出会いもあるだろう。」

「…はい!」

・・・

〜愛知県名古屋市警察署・公安部〜

「本日付で配属となりました槇原です!」「南原です。…よろしく」

パチパチパチパチ!

「…麻薬取締官の、体術訓練の教官役か…」「初仕事にしてはなかなかハードだな。よしみっちり鍛えてやるか…」

〜厚生労働省・麻薬取締部・訓練場〜

「ふんっ!!」

ダーーーン!!

「!!…グッ!?」

「…そこまで!…霧矢!…大したものだ。次棒術!!」

「…はい。」

クルクルクル…

ブン!!

「!!ぐあっ!!」

クルクルクル…

「…はっ!!」

「!!…南原さん。あの霧矢の棒術…!?」

「ああ。かなり筋が良い。あれはウチの者でもそうはいない。…大した腕だよ。」

《…そうか。それで…》

〜訓練終了〜

「…ねえ君?…いいかな?」

「…はい。…公安の槇原さんでしたか?」

「ああ。もし良かったら連絡してくれ!…あと俺の事は槇原でいいから!…じゃ!」

タッタッタ…

「?」(…槇原か…公安警察にしては…フレンドリーなんだな…)

《…ここから、槇原と俺との交流が始まったようなものか…》

・・・

prrrrrrr!

「…槇原か…」

ピッ!

「…霧矢だ。」

「いつも霧矢だ。っていうよなーお前〜!はは!…で、最近仕事は順調か?」

「…ああ。教えられた体術訓練を生かして…麻薬組織を取り締まろうと…今も頑張っている。」

《…この時の俺は…繁盛期だったからか、焦っていたのか、そう答えてしまっていたか。…それを見かねて、槇原は…》

「…そうかわかった!…今日はフリーなんだろ?」 

「…ああ。」

「打ち込みに行こうぜ!」

「…パチンコなら結構だ。」

「はは!違う違う!…バッティングセンターだよ!…最近見つけたんだ!…行くか?」

「…まあそれくらいなら…わかった。」

「おう!…場所はメールで教えるよ!じゃ!」

ピッ!ツーッ! ツーッ! ツーッ!

「…行くか。」

〜地元のバッティングセンター〜

ビシュッ!

キィーーン!!

「ナイスバッティング!!…へぇ〜!結構飛ばすな〜!霧矢!」

「…まあ、それなりに!!…っ!」

ブン!! キィーーン!!

《槇原は野球が好きで…よくバッティングセンターに行ったと聞いたな。》

「…だが…何故バッティングセンターに?」

豹策の疑問に、槇原は柔かな笑顔で打席に立ってはコインを入れ、こう答えた。

「野球が好きだから!!昔、俺の妹と行ったりしてはよく打ったもんだよ!…あとボールを打ち返しているとスッキリするからな!!…豪快にホームランを…」

ビシュッ!

「決めるとな!!」

ブン! キィーーン!! パンパカパーン!!!

「…!!…ホームランか…」

宣行の打った玉は見事バッティングセンターに備えられている的に当たったようである。そして、もう一発と言わんばかりに、バットを振りかぶる。

「まだまだ行くぞ〜!…はぁ!!」

キィーーン!!

・・・

「…ふう〜…いい汗かいたな〜!!」

「…ああ。」

「おっ!!霧矢〜!…あれ見ろよ!」

「…銭湯か…ここにもあったんだな。」

《…自分がこの町に長く住んでいるのに、店の事とか、あまり知らないことが多かったんだな…俺は。》

「折角だし、ひとっ風呂浴びて行くか?」

「…そうだな。…行くか。」

〜銭湯〜

カコーン!!

「…ふぅ〜!!いい湯だな〜霧矢!!」

「…そうだな。…湯加減も…悪くはないな。」

「おっ!!…やっと口が少しずつ開いたな〜!…風呂は好きなのか?」

「…別に嫌いじゃあない。」

《…いつも入る風呂とは違って銭湯の風呂だったからな。…湯加減は程よい感じだったな。…そしてここから、槇原には妹の優花がいると聞いたな。》

豹策は、銭湯の風呂をじっくりと楽しんでいた様子である。すると槇原は、唐突にこう言った。

「…霧矢?…お前兄弟は?」

「…独り身だ。」

「そうか!…俺には10歳は離れている優花って妹がいてな。昔からおてんばで気が強くてな〜!…ま、今もか。」

「…そうか。…槇原には…妹がいるんだな。」

「ああ。ここ名古屋に転勤しては優花と暮らしているんだ。…もしお前でよければ紹介するぞ!」

「…機会があればな。」

「あはは!…本当に物静かというかクールと言えばいいのか、もっと笑ったほうがいいと思うぞ!」

「…いつの日かな…」

「いつの日だよ!?…ははは!!…だがな霧矢!…笑える時は笑っておけ!」

「…ん?」

《今になっては槇原。…お前の言葉の意味が分かったよ。…俺も…もし縁があるなら…できるだけ笑えるように過ごしていきたい。》

「この命が無くなったら、もう笑えなくなるかもしれないんだ!…限られた人生の中で、悲しんだまま死ぬなんて寂しすぎるだろ!…それにな。…こういうのは本当に後から後悔するもんだよ!」

「…!!」

「…まあいずれお前にもな、心から笑える日がきっと来るさ!」

「!!…ふっ…そうかもな。」(フッ!)

《…この時、昔天野が言った言葉を久しぶりに聞いたからか…嬉しくなってはつい…笑みが溢れたんだよな。》

「おおっ!?…今笑ったろ!?」

「…別に。」(プイ!)

「はは!…素直じゃあないな〜!…全くお前は〜!」(グリグリ…)

「…暑苦しい。」

《…槇原。…それでもお前なりのスキンシップだったんだよな…》

「じゃあこれからよろしくな〜相棒!」

「…霧矢で結構だ。」

「ノリ悪いぞ〜!!相棒!!はっはっは!!」

「……はぁ…」(やれやれ…霧矢の次は相棒呼びか…)

・・・

〜槇原家〜

「ただいま〜!」

「おっ!!おかえりー兄貴ー!!…あれ?風呂入ってきたんだ〜?」

「まあな〜!ちょっと相棒と銭湯になぁ!!」

「へぇ〜!!…で!?どんな人!?」

「ああ!…おっと…あまり言いふらすと不味くてな…霧矢って言ってな!…麻薬取締官なんだ…」(ヒソヒソ!)

「!!…へぇ〜そうなんだ〜!!…兄貴のような刑事のような人なんだね〜♪…どんな感じの人?」(ヒソヒソ!)

「ん〜…俳優面のな!…あまり笑わない無愛想な鉄仮面の奴と言えばいいかな。」

「…へぇ〜!!」

《そうか。この時に優花に俺のことを話していたのか…》

〜そして月日が経つ〜

《…ここからだな…物事が動き出したのは…》

「…お前がそこまで言うのなら俺も伝えよう。この槇原一家の事を。…そして…お前の相棒として…今俺が仕事で背負っていることを。」

「……」

「…俺達の両親はな、俺が高校三年生くらいの頃に病気で亡くしたんだ。」

「!!…そうだったのか。…それで槇原…お前は警察官に…」

「ああ。だがそれでも生活は苦しかったよ。俺は警察学校で寮暮らしで、まだ当時6歳と小さかった優花を親戚に預けては一人ぼっちにしてしまって。…それでもアイツは明るかったよ。…いつも私のことは心配しないでとよく言われたもんだ。…逆に鬱陶しがられるくらいだったかな!!」

「…そうだったのか。…槇原…お前…それで成績を上げては叩き上げで公安警察に配属となったのか。…苦労したんだな…」

《槇原…お前の人生は本当に波瀾万丈だったな。…だが…ここから…お前は…》

「…無論、公安になれば…今お前が関わっているようなものにも手を染めなくてはならないんだ。」

「!!…まさか…お前は…」

《…くっ!!…槇原!!》

「…そうだよな…麻薬取締官として勤務しているお前ならわかるよな。…そう。…俺は麻薬を扱う犯罪組織に潜入している…潜入捜査官だ!!」

「…!!」

《…それを聞いては俺も驚いた。そして…おそらく南原さんも…止めようとしたんだろう…》

「…南原さんはそのことを知っているのか!?」(キッ!!)

「…ああ。公安警察ではよくある話だ。とっくに伝達で部署内で知れ渡っている。…だが安心しろ。俺は必ず生き残る。絶対に公安警察としての…刑事として…俺自身の人生の誇りにかけて…麻薬には染まらない!!…命を手放さない!!…優花の為にもな!!」

ザザザーーーー!!

《!!…行くな槇原!!…やめておけ!!》

「…お前…もしそれがうまくいかなかった時は…」

「…その時は…お前に優花を託す!…頼んだぞ!…相棒!!」(トントン!)

タッタッタ…ガチャ…バタン!!

・・・

〜名古屋市・トンネル内〜

「…ここで取引開始だ!…おい新入り!!」

「…はい!」

「…しくじるなよ!?」

「…分かっています…」(…見ていろよ…隙を見せたら…)

《槇原!!…くそ!!…記憶の中だからか…介入出来ないのが…!!…くそっ!!》

「おっ!…来たようだな…」

「!!」

宣行は視線の先を確認する。そこにはアタッシュケースを詰め込んだ密輸しては麻薬を明け渡す犯罪組織が訪れた。

🎼Back Ground Music 》》》



「……ブツは?」

「…こちらだ。…確認してくれ。」

「……」

パカッ…ペロ…

「…本物だ。…よし取引…!!」

ダン!!

「!!ぐあっ!!…だ…誰だ…!?」「あれは新入りの!!」

《!!…槇原…》

「うぉおおお!!!!」

「…!?…そうか新入り…テメェ…警察の犬の公安だったのか!?…やっちまえ!!」

ワーッ! ワーッ! ワーッ!

・・・

《…槇原…すまなかった…俺がすぐに駆けつけていれば…こんな事には…》

「槙原…!?…まさかお前…!!…撃たれたのか!?…一体何があったんだ!?」

「…霧矢…来てくれたんだな…」

「もう喋るな槇原!!…いいから早く病院へ行くぞ!!…このままじゃあ…お前は!!」

「もう…俺はだめだ…それに…何だよお前…やればそんだけしゃべれる…じゃないかよ…」

「いいから!!…お前が死んだら…誰が妹の優花を守ってやるんだよ!?」(ブワッ!!)

《…!!…槇原…すまない…この後お前の妹の優花を…本当にすまない!!》

「…お前は俺と関わった組織の連中とは…手を切れ!…奴らとは決して関わるな!…奴らは…意地でも…俺と密接に関係している人を…一人残らず消す気だ!!」

「!!…言ってくれ!…そいつらはどんな組織なんだ!?…奴らのアジトは!?…場所はどこにあるんだよ!?」

「!!…お前…まさか…!?…潰す気なのか…組織を…!?」

《…この時の俺は、本当に心から怒りと殺意の感情が湧いていた。今思えば、本当に殺すとこまで行くなんてな…だが今更後悔しても…もう後戻りはできないんだ!!》

「…今俺は初めての気持ちだよ…ここまで殺意が込み上げてくるなんてよぉ!!…お前をこんな目に遭わせた組織の連中を…確実に一掃して…この手で始末してやる!!…もし邪魔だてするんだったら…法の外でも出る覚悟だよ…俺はぁぁ!!」

「!!…お前…はは…最後にその威勢を聞けて…相棒として嬉しく思うよ…だがな霧矢…お前に頼みがある。」

「!!…馬鹿!!一体何を!?」

「いいから聞けぇ!!」

ガシッ!!ダーーーン!!

「!!…槇原…お前……」

《…槇原…この時は本当に最後に力を振り絞ったんだな…》

「頼む…優花を…頼んだ!…親愛なる…相棒よ!!」(ポタポタ…)

フッ……バタリ…

「……おい…槇原…おい!!」

「………」

《くっ!!…槇原!!》

「…槇原ぁああアアア!!!!!!」(ブワぁああ!!!!)

ポタポタ…ポタポタ…ザザーーーーーー!!!!!!

キュゥイーーン!!

《!!…また頭の中から!?》

豹策の頭の中からまたもや映像が流れ込んできた。するとそこは名古屋警察署公安部の部署内であった。

・・・

「…そうか、潜入捜査官になってしまったか…」

「…はい南原さん。俺も潜入に抜擢されました。」

「…そうか。…ご武運を祈るよ。…だが…何でお前…危険を承知の上で進んで潜入捜査官を引き受けたんだ?」

《!!…進んで!?…槇原…どういう事なんだ!?》

宣行は進んで潜入捜査官になったことを南原に伝える。そしてその理由を語った。

「…いつか霧矢もマトリをやっていれば嫌でもあの連中と関わらないといけなくなる。だから早いうちに俺が手を打っておきたい。…アイツを…相棒を守りたい。」

「!!…槇原…お前…」

《…槇原……俺の為に…》

「それにね…南原さん…俺はね。この町の平和を守りたいんだ。昔、霧矢がこの町の事件を解決したという記録を見たから尚更だ。」

「…そうか。確かここで7年前に起こった当時霧矢と同級の女子高生…三木川の覚醒剤所持の事件の事か…」

「ああ。そのこともあるから、アイツがこの事件を解決したのなら、今度は俺の番だと思ってな!…刑事としてのプライドに賭けて奴らを捕まえてやる。」

《…そうだったんだな…調べていたんだな…俺の関わった事件の事を…》

「…それに優花やこの町の生活の安全や治安を守らないといけないから、尚更引けない。…俺は行くよ。」

「…分かった。それ以上は言うまい。だが、死ぬなよ!…お前の妹のためにも…」

「…承知の上ですよ…南原さん!」

《…くっ!!…槇原!!…くそっ!!…すまない…本当に…すまなかった…だが…もしこの【Paradiso】の世界に優花がいるのなら…必ず守り切ってやる!…お前から託された意志を…俺が受け継ぐ!!…例え…法の檻の外に出たとしてでも…必ずだ…!!》

・・・
・・


「!!」

「あっ!?…気づかれましたか〜?」

「…ああ…槇原…アイツは俺だけじゃあなくて、妹の優花やこの町の治安を守る為に自分から志願して奴らに…だがそれでも…守れなかったんだな…二人を…」

「そうですね〜♪…でもそれでもあの槇原兄妹から何かを学んだように感じられる顔をしていますね〜♪」

「…それが本当なら幸いだ…」

「はい♪」

豹策は第二の試練で槇原兄妹の事を知り、自分達の市民の治安を守るために刑事としての勤務に従事しては、自分の大切な人達を守る為に時に強大な悪を前にしてもその使命を全うしようとする法と秩序の必要性について学んだ。するとオロアはその顔つきを見てはいよいよ最後の試練を進めようとする。

「ではでは〜…いよいよ最後の試練…張り切っていきましょ〜う♪」

「…いよいよ最後…一体どんなものか…」

「はい♪…準備はいいですか〜?」(ワクワク♪)

「……」

B. いいえ


《Capitolo・3》
続きを読みますか?



「…ああ。…大丈夫だ」

「いよっ!…流石は男前ですね〜♪…もう!!///」(偽テレテレ〜///)

「…甘い。…!!」

「…ふっふ〜ん♪…それ!!」

トン!…ビューーー!!

豹策はオロアの攻撃を躱すも、素早く回り込まれては、背後から押し出される。思わず驚いた表情を見せる。

「!!…抜かれたかっ!?」(ビューーン!!)

「いってらっしゃ〜い♪」(ニコニコ〜フリフリ〜!)

「……っ!」(シュン!)

豹策は光の中へと消えていった。オロアは最後の試練に対して、こう思った。

(いよいよ最後の試練です!…もしかしたら今回の三つの試練であなた自身、色々価値観が変わるきっかけがあるかもしれませんよ〜!…でも流石の身のこなし…伊達に麻薬取締官といったところですね〜!)


・・・
・・



🎼Back Ground Music 》》》



〜女性刑務所〜

「…おいそこ!!手が止まってるぞ!!」

「…!!…っ」(…くっ!!…何でこの私がこんなことを…)

《…み、三木川!?…となると…ここは女性刑務所か…》

三木川は事件後、ある女性刑務所に収容されていた。その日々を気に食わない態度で、黙々と作業していたが手を止めていたからか、刑務官に注意される。

「……っ!」(毎日工場でこれをひたすら組み立てる作業…もういい加減うんざりしてくるわね。)

作業終了〜

「入れ!!」

ガシャン!!

「…!!…もう…何で私がこんな目に…うぅ!…グスッ…!!」(…霧矢…!!アイツのせいで…私は…!!)

《…三木川…泣いても…お前の罪は消えない。…ここで更生し、自分の犯した罪と向き合う事だな。》

三木川は自分の欲の事しか考えていないようであり、自分の罪を嫌でも認めたくないと言う姿勢を見せており、更生をするのには困難な状態が続いていた。

「…くっ!…はぁ…泣いても…誰も助けてくれない。…それに仮に外に出たとしても私にはもう居場所はどこにもない…ここでずっと生活してた方がマシかもしれないわね…」

ガン!!

「!!」

突然付近から物音が聞こえた。そこには自分と同じく付近で過ごしていた女性の囚人がいた。そして高圧的な罵声を浴びせては三木川を威圧する。

「…はぁ…静かにしな!アンタ!」

「あ…は…はい!」(シュン…)

その生活がおよそ7年も続き、そして三木川にとって予想外の事態が訪れた。

ガチャ!…ギィィ…

「…釈放だ。」

「!!…え…」

三木川は懲役10年以下の判決が下されたが、およそ7年でその刑期を終えては出所した。しかしあの事件で、三木川の両親は政治家を辞任しては勘当及び絶縁を持ちかけられ、行方も分からずじまいであった。また元受刑者という肩書きもあり、麻薬所持という逮捕歴から何処からも指を刺されては就職口にもつけず、彼女は冷遇される立場にいた。

スタッ…スタッ…ザッ!!

「…くっ…!!…何で!?…どうして!…どうして出所させたのよぉおおお!!!!」(ブワぁああ!!!!)

《…惨めと言えばいいのか…だがこれが…麻薬所持の法を犯した受刑者の末路というのか…世間から目の敵にされ、このような扱いを受けるのか…》

豹策は、麻薬取締官として、出所後の三木川の様子をじっと見つめていた。自分自身が麻薬を取り締まる立場であり、その禁忌を犯した罪人がその後、どのような洗礼を受けるのかを記憶の中で知った。すると、三木川の頭上には冷たい雨が降り注いだ。

ポタポタ…ザーーーッ!!

「!!あ…雨!?…ぐっ!!…風邪を引いたらまずいわ!!」

ピチャ! ピチャ! ピチャ!

「…っくしゅん!!…ゲホッ!…ゴホッ!…ハァ…ハァ…!!…こんなに惨めで苦しい思いをしているのに!!…誰も助けてくれないぃっ!!…ああ…あーーーーー!!!!…憎い…!!…憎い!!…憎い…!!…憎い!!この世の中が憎い!!」

《三木川…いよいよ世の中まで恨み出したか…刑務所を出所しても…嫌でも自分の考え方は変わらないとはな…》

豹策は刑務所を出所しても更生の兆しを見せない三木川の執念深いところを見ては、その様子をじっと見つめる。

「…私の手で…この世の中を……え?」

バサッ…

「…風邪を引くぞ…」

「…放っといて!!…もう私には…どこにも居場所はないんだからっ!!」

《!!…あの男は…》

三木川に降り注ぐ雨をある男が傘をさしては遮っていた。そこには刺青の入った怪しげな一人の男がいた。豹策はその姿を見ては驚愕した。その男は槇原兄妹の仇の男であった。その男は問いかける。

「…この世の中が憎いのか?」

「…ええ!!大っ嫌いよ!!…全て!!…この世の中を…自分の思い通りになればいいとっ!!…ずっと思いたいくらいにっ!!!」

《…三木川…》

三木川は自分の犯した罪を認めず、ありったけ社会の生きづらさと、今まで自分の築きあげてきたものが崩壊しては惨めな生活を送っていたことに対する怒りを男にぶつけた。すると男は笑みを浮かべては三木川を抱き寄せる。

「…そうか…なら着いてこい!…案内してやる!!」(ニヤァ!)

ダキッ!

「え!?…ちょ!?な…何!?」

タッタッタ…

・・・

「…ここが俺達のアジトだ。」

「…ここは…ビル…」

三木川が男に連れられたのは、ある古いビルであった。その一室には、灯りがついていた。すると男は三木川を快く歓迎した。

「…まぁ入れ。風呂に入って汚れた身体をしっかり洗い流せ。」

「……」

《…そういう事だったのか。…出所後の三木川は…この男に手を差し伸べられ、生き延びていたというわけか…》

豹策は出所後の三木川の生活が一体どんなものであったのかを知った。その様子の一部始終目を離さずに知ろうとした。



🎼Back Ground Music 》》》



シャーーー…

「……」(…何であの男は…私を助けたんだろう…)

・・・

ガチャ!

「…上がったか?」

「…ええ…一応礼を言うわ…ありがとう。…だけど…何でこんな私を助けたの?」

「…これを見ろ。…心当たりがあるはずだろ?」(ピラッ!)

「…!!…こ…これって!?」

《!!…これって!?…あの事件の記事か!?》

男が三木川に差し出したのは、7年前に三木川が麻薬所持により裁かれた裁判の記事であった。すかさず男は三木川に言い放った。

「そこでだ…三木川…お前の力が必要だ。……俺達と協力してくれないか?」

「!!」

《…こいつらは…この口振りからすると、テロリズムの奴らといったところか!?》

「…安心しろ。…お前の安全は保証する。…俺が…いや俺達が守ってやる!…なぁそうだろ〜お前達〜!?」

バタン!!…パンパパーン!! ヒュー!! ヒュー!!

「!!…な…何!?」

突然事務所内に響き渡るクラッカーの音。そこには男の部下がクラッカーを開けては、まるで三木川を歓迎するかのように言い放った。

「ヤッホーイ!!新しい仲間だぜ〜!!」「君があの三木川か〜!…派手にやるね〜!!…よろしく〜!!」「よろぴくね〜!!」

「…あなた達は…一体…」

「…俺達は…社会から孤立した者達の集まり…まっ!!要するに裏社会側の人間って事だよ!…そしてこいつを扱っている。…見覚えがあるだろ!?」

「!?…それって…」

《!!…合成麻薬(MDMA)!!…やはりそうか…コイツら…この時から影で麻薬を売り捌く連中だったということか…!!》

「…そう言うこと!」「俺達はお前と同じように!」「道を踏み外した者達だよ〜ん!」

「…そう…で?…あなたの名前は…何?」

三木川は男の名前を聞く。すると男はこう話した。

「…俺の名前は反原(そりはら)っていうここの組織のボスだ。ま、偽名だけどな〜♪…そしていずれは…世界一の麻薬王になる男だ!!」

ドーーン!!

「もうボス〜それ高望みし過ぎだぜ〜!!」「そうだぜ〜!他の世界にいる奴らはボス以上に実力のある奴ばかりなんだぜ〜!」「あんまり夢見んなよ〜!おっさん!」

「う!?…うっせぇな〜お前ら!!…俺がなるといったらなるんだ!!///」(カァ〜!!)

「…ふふ…アハハ!!…アーーッハハハハハ!!!!」(ゲラゲラ!)

「!!」「おっ!?笑った!!」「ヒャハハ!!」「へぇ〜!いい声で笑うんだな〜♪」

三木川は反原率いるメンバーのやりとりを見ては、自分と同じ立場にいる者だと知って安心したのか笑い出した。そしてこのように話した。

「いいわよ!!…泥沼に突き落とされていた私を助けてくれた恩義もあるし、アンタ達の話乗るわ!!…何でも頼ってちょうだい!!」

《…三木川…あれだけ惨めな生活をしたんだ。おそらくこいつらに手を差し伸べられては救われたと思いこんでは、奴らに対して恩義を感じてしまっていたのかも知れないな…》

豹策は、表で生きる人間にはルールに従い、日々を過ごすことも出来れば、裏社会では社会のレールに乗れなくなり、孤立してしまった者の集まりが、ルールを逸脱したとしても、生きる為には仕方ないと感じ、禁忌を破ってでも自分の欲を満たそうとする者達がいるという事を豹策は知った。

「そうか。じゃあこれからよろしくな三木川!」

「よろしく〜!」「ははは!よ〜し今日は宴だ〜!!」「いっぱい飲むぜ〜!!」

「ハハハハハ!!よ〜しいいぞ〜!!…ムショあがり出し!今日はいっぱいのも〜!!」

アハハハハハハ!!

《…くっ!!…やはり人間だからかこういう時に笑って…傷の舐め合いとも言えるのか…だが…!!…くそっ!!》

豹策はこの時、やるせない気持ちになっていた。自分の相棒兼パートナーの宣行の仇の男達を前に、複雑な感情が湧いてきた。

・・・

そして月日が経過し、次第に実力をつけていった反原の事務所は大きくなり、世界と渡り歩いては様々な部下を率い、麻薬組織そのものの規模は大きくなっていった。それは、後に公安警察が極秘で捜査を行うくらいの危険な犯罪組織として名を轟かせるものとなっていた。

「!!…おい!!ビックニュースだぜ!!…見てみろよ!!」

「ん?…どうしたの?」

反原がパソコンを前にして何か大きなニュースが出たのか、喜んでは有頂天にいた。その様子を見ては三木川が覗きに来る。

「これこれ!…大手の麻薬業者の取引があるらしいんだ!!…それで俺達も顧客リストに入ってるんだよ!!」

「!!…へぇ〜!やったじゃあん!!…これで私達…」

「ああ!大きく一歩前進ってわけだ!!」

「やった〜♪…反原〜!私あなたに人生賭けて正解だったわ〜♡」

チュッ!♡

「ほ〜うやってくれるね〜♪」(ウキウキ!)

チュー!!♡

反原と三木川は仲睦まじく接吻を交わす。その光景を見ていた他のメンバーはじっと見つめていた。

「…はぁ〜仲良いね〜!あの二人…」「同類と言えばいいのかどっかで意気投合するってやつか…」「類は友を呼ぶってやつだな〜!」

「よ〜しお前ら!!これから大仕事だ〜!!きびきび働けよ〜!!」

「おう!」「了解〜!!」「よ〜し!一丁やるか〜!!」

反原の指示で、メンバーは取引に向けて準備する。そして秘書的立場であった三木川は、反原に言われては何処かに連れて行かれる。

「…ここだ。」

「!!…これって…武器庫!?…色々あるわね…」

三木川が見たのは、襲撃に備えてハンドガン、ショットガン等の銃火器が揃えられている武器庫に案内された。すると反原は、一丁の銃を三木川に手渡した。

「…コイツを預けておく!…もしもの時はそれを使って俺達を守ってくれ!…頼んだぞ!…三木川!!///」

「…!!…ええ!…任せておいてよ…反原♡///」

ダキッ!

《!!…あの銃は!?…そういう事か。…じゃああの時、この反原を殺した後に…俺を撃った女は…!!…なっ!?…あれは!?》

豹策は自分を始末した女性の正体を知った。そうしていると、豹策がよく知っている者の顔が見えた。どうやら潜入捜査官として、反原のアジトに潜り込んでいた宣行であった。

「反原!…ちょっといいか!?…どうやら大手の取引業者からメールが来ていた!!すぐに来てくれるか!?」

「!!…おうそうか新入りご苦労だ!!…武器庫の戸締り頼んだぞ!」

「…はい!」(ぺこり)

「よろしくね〜♪」

バタン!

「…さて…」

《槇原…すまない…本当にすまない!!》

・・・

その後日…

「は…離しなさいよ!!何なのよあなた達!?…ん…んん〜!」

《ゆ…優花!?…そうか…誘拐されたのか!?…コイツらが優花を!?》

車内には反原と三木川、優花が乗車していた。そして潜入捜査官の宣行の正体を知っては、反原は怒りを露わにしていた。

「…そうかあの新入りぃっ!!…槇原っつう警察の犬だったのかよ!!…くそがっ!!」

「まんまとしてやられたわね!!…でもどうする反原!?…事務所の方…やばいんじゃあ…」

「ああ。おそらく警察が今乗り込んでいるだろうな…おそらくあいつらはもう…くそっ!!一体どうすれば!!」

《この話から想定するに、三木川が反原に対してあのクラブハウスに逃げ込もうとしたのか…》

豹策は話の内容から、宣行が反原が率いる犯罪組織に命を奪われた後だと推測する。

「…今は閉業しているクラブハウスがあるの!…あそこなら…しばらく身を隠せれるわ!」

「…そうか!お前が通い詰めていた場所か!?…なら話は早い。すぐにそこへ行くか…だが槇原という男も処分するために、電話をかけておくか〜♪」

prrrrr!!

ピッ。

【???】(…槙原か?)

【豹策】(…霧矢だ。…お前達は一体誰だ?…何者で今何処にいるんだ?)

【???】(!!…そうか。お前が…相棒の霧矢ってやつか!!…なら話は早い。…おい!!お前の兄さんの相棒の霧矢さんやぞ〜!!しっかり挨拶しろ〜!!)

【優花】(霧矢さん!!…!?…んん!?ん〜!!)

【豹策】(!!…優花!!…お前らぁ…早く居場所を吐け!!!!…こっちはなぁ!!…お前ら殺したくてウズウズしてるんだよぉ!!!!)

【???】(ア〜ハハハハ!!!これはおもしれぇ〜わ!!!それがマトリ捜査官の男の言葉かよ〜!!!…いいぜ〜!!なら教えるわ!!…繁華街のクラブハウスの目の前に今おるから案内してやるよ!!あと警察に言ったらこの優花って女の命はないぞ〜!!…まあ…せいぜい頑張りな!…それまでお前がくたばらんか…実物なんだがよぉ〜ハッハッハ!!!!)

ブチッ!!…ツーッ!…ツーッ!…

「!!…霧矢…!!許せない…でも…」(ギリギリッ…)

「…三木川…!!」

ガシッ!!

「!!」

「安心しろ!…お前は俺の女だ!…必ずお前を守ってやる!…三木川!!///」

「!!…ありがとう…反原!!///…もう私は…あの惨めな生活はもう嫌なのっ!!…あなたと一緒に夢を見るわ…!…絶対に生きましょう!!」(ポタポタ!)

「…ああ…ああ!…ありがとよ!!///」(ポロッ!)

「……!!」(一体なんなの!?…この人達!?…でも…コイツらが兄貴を殺したのには違いない!!涙を見せた所で…私はアンタ達を絶対に許さないから!!)

《…だがお前達は、この後俺に…優花…お前を守りきれなくて…すまなかった…!!》

「クラブハウスか…およそ7年ぶりか。…だが行くしかない!…槙原安心しろ!…必ず仇を取るから。…お前の誓いにも賭けて…必ず妹を助けてやるからな!!」

タッタッタッタ…

《…くっ!!…槇原!…それに優花!…すまなかった!!お前達兄妹を守ってやれなくて…》

・・・


🎼Back Ground Music 》》》



カチリ!!

「…よくここまでこれたな〜!…褒めてやるよぉ〜!!」

「…その声…どうやらお前が犯罪組織の親玉かぁっ!!…自分が一体…何をしたのか…わかってんのかぁああ!!??」

《…この時の俺は、優花を殺されて、もう完全に理性を無くしていた。銃を向けては本当にこの反原を殺そうと必死だったんだ。》

「おいおい…たかが女一人じゃあねえか!?…いや俺達にとっては敵で憎き邪魔でしかない公安の犬のスパイの妹とあっては今までのツケを身体で返してもらうしかな…!!」(ニタニタ)

チャキ!!…ダーーン!!…カランカラン…

「………」

「!!…ぐああ!!目が…目がぁあ!!!…て…テメェ…!!…なぁっ!?」(ギラッ!)

《…そして俺は、殺気の込めた自分の…精一杯な笑みで…法の外に出る覚悟を決めて…射殺したんだ。…反原を!》

「…もういいだろお前らは…良いほど楽をしては十分楽しんでは笑ったんだろ。だから…お前のような麻薬を使っては人を食い物にする社会の下衆は…そろそろいい加減黙っとけ。…その代わりに…お前らの分まで…俺が笑うようにするからよ!」(ニッ!)

ゾワァーー!!

「…!!…やろぉぉぉ!!」

ダーーン!!

「………」

「!!」(霧矢!!……よくも反原を!!…でも久しぶりね。…あの時の礼を…たっぷりさせて貰うわよ!!!!)

ダーーン!! プス!!

「!!…くっ!!…誰だ…?」

「…!!」(ギロッ!!)(絶対にアンタを許さないからぁっ!!!…脳天にぶち込んであげるわ!!!!)

ダーーン!!

プス!! ブシャ!!

「…!!…カハッ!」

「あぐ!!…く…そ……うぅ…!!」(…!!そ…そんな…反原…ごめん…なさ…い…)

バタン! バタン!!

《結果的に相討ち…だがこれで良かったんだ…これで…!!!》

キィーーーン!!

《…ここでか…見てやる。お前の記憶の叫びを…》

豹策は三木川の記憶を観測しようとする。そこには中学生時代の悲惨な三木川の現実があった。

〜三木川・中学生時代〜

「!!…ちょっと!?返しなさいよ!?」

「だめ〜!はいパス〜♪」

「ああっ!!…!?うわっ!」

バシャッ!!

「アハハ!汚いわね〜!!」「モップで掃除してあげるわね〜♪」

ゴシゴシ…

「…や、やめて!!なんでこんなことすんのよ!?」

《…そうか…昔三木川はいじめに遭ってたのか…》

すると、同級生の生徒が三木川に言い放った。

「アンタが生意気だから!」「お嬢様気取りで見栄っ張りなんだよ!!…一体何様だってんだよ!?」

ガシャン!!

「!!…ぐっ…!!」

三木川は他の女生徒からの仕打ちに耐えていた。その後、自分の受けた屈辱を嘆いた。

「くそ…許さない!!…絶対にアイツらを許さない…!!!…この私をこんな目に遭わせたんだから…!!!…今に見てなさい…!!」

〜ある夜〜

「…へぇ〜!君可愛いねぇ〜!」

「…そ〜う♪…じゃあ遊んでいく〜?」

「おういいねぇ〜♪行こう行こう♪」

スタッスタッ!

《…それが始まりって事か…そしてもう戻れないとこまで来ては、悪女としての道に走った訳か…》

その数日後…

「ねぇねぇ〜!これとかどう?」

「いいねぇ〜…ん?…!?…なっ!?…だ…誰ですか!?」

「ようそこの姉ちゃん!…よくも俺の女泣かせてくれたな〜!?」「ヤッホ〜♪」

「み…三木川!?」「な…なんでそんな男と…!?」

三木川は墨の入った碌でもない男と共に行動しては帰宅帰りの同級生の女生徒に対し、恐喝するかのように言った。

「…い〜い?…この事を誰かに話したら…アンタ達…どうなるかわかっているわよね〜?」(ニタァ〜!)

「!!」(ゾワッ!)「!!」(ゾクッ!)

「じゃ行こっか!」「おう!」

スタッタッタ…

「…もう…あまり関わらない方がいいよね…」「…うん…」

その事があったからか、もう三木川をいじめる生徒はいなくなり、その者を集めては恐怖で支配するようになった。

〜月日が経ち、三木川高校時代〜

「…え…何よこれ?」

カシャ!

「!!」

「あ〜!へぇ〜!それ授業でやってた麻薬だよね〜!?…隠れてやってたんだね〜?」

「ち…違う!!気づいたら私の机の中にあって、私じゃあないの!?」

「でもこの写真は〜?…もう言い逃れできないよ♪…これは退学確定モノだね…でも麻薬のことバラされたくなかったら、自主退学の方が将来のためよ〜♪」

「!!」

〜後日〜

『退学通知書』

ざわ…ざわ…

「アイツが…退学!?…突然すぎるだろ!?」

「陸上部でも名のある奴なのに…」

「一体何が…!?」

「ふふ…ざまあみろ♪」

《…そういうことか…そして、ここからしばらくして…奴の悪事は分かってしまった。》

・・・

〜三木川・高校三年生・裁判所〜

「…認めたようだな…三木川…」(ギロッ!!)

「……認めましたね!!」(キッ!)

「……認めたな…!!」(ギラァ!!)

「あ…ああ…ぁ…」(グラグラ…ポロポロ…)

「…ッ!!」(ポロポロ…)(お願い…豹!!…あとは…頼んだよ…)

《…今思えば、これが俺自身の原点だったわけか。…この時はまだ法の中だった。だが今の俺はもう法の外に出てしまった…》

「道を誤ったな…三木川。…お前は自分の背負っている麻薬所持の罪を天野のみならず、これまで様々な生徒に覆い被せては陥れて…人として許されない事をした。お前は学校のヒーローでも…英雄ですらない。…違法薬物所持という法を犯し…女子高生の皮を被った…立派な犯罪者だ。誰も…もうお前に味方する奴はいない。」

「!!…ぐっ!?」(グラグラ…ポロポロ…)

「…そして…あんなに明るく元気だった天野を…気に入らないからという個人の感情一つで卑劣にもロッカーの中に合成麻薬(MDMA)を忍ばせては罪をでっちあげ…こんなに弱々しい顔にさせるまで、徹底的に精神的に追い詰めようとした。…そして…何よりも一番許せないのは…そんな目に遭わせた元凶でもある…お前と大きく繋がっては裏で糸を引き、獲物が来るのをじっと待っている麻薬密売組織の闇市業者もだ…一つだけ言える真理がある…お前は…いや…」

《お前らが麻薬に手を出しちまった以上…とっくに行くところは決まっていた!…大人しく投降しろ!》

ダーーン!! ビギィーーーーン!!!!

「!!!???…あ…あぁぁ………いやぁ……!!…そんなの……!!…い…いやあぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!………」(ポロポロ!…グラグラ…フッ…)

(私は…私は!!…何も…悪くないのにっ!?…全てアイツらが…このメチャクチャな社会が悪いのにぃぃーーーー!!!!)

ガクンッ!!!

「確保ぉおおお!!!」

ガチャン!!!

《…ここで、お前の悪事の人生に幕を下ろした。…後はお前がもしこの【Paradiso】に来ては人を陥れるようなら…その時は容赦しない!…法の外の檻に抜け出してでも地の果てまでお前を追い、裁きに行く!!》


・・・
・・



B. いいえ


《Capitolo・4》
後日談を見ますか?

🎼Back Ground Music 》》》



God created heaven and earth, and everything that exists between them.
(神は天と地、およびその間に存在するすべてを創造した。)

Having a good spirit is not enough, it is important to use it well.
(良い精神を持っているだけでは十分ではなく、大切なのはそれを良く用いることだ。)

Rene Descartes
(ルネ・デカルト)




「……っ!!」

「あ、気付きました?どうでしたか?」

「…俺は…どんなに相手が犯罪者であろうと、報復に刈られてはこの手で…人を殺めては法の外に出てしまったんだな…そして…三木川自身の悲痛の叫びも聞いた。…俺自身は、その事を忘れてはいけないな…」

「ほうほ〜う♪そうですね〜♪」

豹策は最後の試練で、三木川の行った事は許されない事である。しかし、法の元で裁かねばならない者達を、個人的な報復の形で手を下しては自らの意志で罪人を断罪してしまった自分も、彼らと同じようなものだと感じ、豹策は、法と秩序を基に罪と罰の意味について今回の試験で学んだ。それを見てオロアは笑みを浮かべ、こう答えた。

「では豹策さんは自らの罪を認めては早速閻魔大王様の元へ向かわれますか〜?」

「…それでは、自分の犯した罪と向き合った事にはならない。…俺は…俺自身で自分の罪と向き合っては前に進んでいく。その為に…俺は薬学部まで入っては、麻薬を取り締まる為に法を学んだんだ。…それに、もし三木川の奴が、【Paradiso】にいては悪さをするのなら、何としてでも…俺は止めなくてはならないんだ。…あの時、天野が流した涙の分まで…俺は進んでいく。」

豹策は自らの罪を認めており、これからの自分と向き合おうと前を向いていた。その表情を見てはオロアは笑う。

「わっかりました〜♪さ〜て、これであなたの三つの試練は全て乗り越えました!おめでとうございま〜す♪…そ・し・て…これを身に付けていただきま〜す♪」(サッ!)

「ん?…勲章か?」

豹策はオロアに渡されたものを確認した。それは勲章であり、確認すると十字架のマークが刻まれ、下にはSpecific deadという文字が刻印されていた。

「これであなたも無事に死者から特定死者へとランクアップですね〜♪次は現世人を目指して頑張ってくださいね〜♪」

「…特定死者…?…現世人…??」

「特定死者は、わかりやすくいえば先ほど体験した三つの試練で、現世での行いを振り返り、何を学び、何を感じたのかを知り、その記憶と向き合い、試練を無事乗り越えたものに与えられるものです。階級は死者よりも上で、ユートピアの世界【paradiso】へ行くための試練を受けることができる資格の者といった立場ですね〜♪現世人とはユートピアの世界【paradiso】でのあなた達の種族の俗称となる名前です!…つまり今度は、その現世人の地位になるための試練を受けていただきま〜す♪」

「…【paradiso】の世界へはまだ先か…」

試練を全て乗り越え、豹策自身はこれでユートピアの世界に行けると安堵していた。しかし導き人オロアの返答は予想外のものであり、ユートピアの世界は思った以上に過酷な道だということを知る。

「ではでは…最初の三つの試練はあくまで準備段階です!あなたにはこれから最終試練に挑んでもらいますよ〜♪」(ニッコリ)

「…わかった。行こう。」

「最終試練会場はすぐそこです!ではついて来てくださ〜い♪」(ピューーッ♪)

「!!…ハァ…」(タッタッタ!)

豹策は、神速の如く走り抜けるオロアを追いかける。そうしていくうちに一枚の扉が見えて来た。

「ここがその最終試練の扉で〜す♪」

「ここか。」

「ですがその前に後ろをご覧ください〜♪」(ビシッ!)

「ん?…!?」

導き人オロアが指を刺した方向を見ると、今まで眠っていた白い棺が天井にある満月に吸い込まれている。それは豹策だけのものではない。とてつもない数の棺が宙を舞い、螺旋状に満月の模様に吸い込まれていく。

「あの棺桶は…俺の眠っていた…それに…巨大な月があるな…」

「あれは冥界の満月っていうもので、直接あの世とつながっています。中には私たちの言い分を無視して寝過ごしたものや、私のような導き人の試練に乗り越えられなかった人もいくつか混じっています♪」

「…俺が棺の中で眠り続けていたり、あの試練を乗り越えられなかったら…連れて行かれていたのか?」

「その通りですよ〜♪あ〜!あとあれをご覧くださ〜い♪」

「?……!?…黒い服を着た者達が浮いているな…」

「あれは執行者です。どうやら私達の試練に乗り越えられず連行されたようですね!主に死者を平等に裁いてもらうために、今から閻魔大王の元へ行き、裁いてもらう途中のようですね〜♪ちなみに私達のことを毛嫌いしていて、執行者の部署はあなたたちの現世での言い方だとブラックな部署でもありますよ〜♪」

「…あの世のブラック企業といったものか…」(労働内容は一体どんな体制なんだろうか…?)

「さて、本題に戻りまして…あなたは今回の試練を乗り越えて普通の死者から特定死者として認定されました!次の試練はいよいよ【paradiso】へと行くための重要な試練です!とても過酷な試練になりますが大丈夫でしょうか?」

「………」

豹策はさっきの試練とここまでの経緯を思い返していた。おそらくこの試練を受けさせるからには自分の行く【paradiso】という世界は、ユートピアの世界とはかけ離れた反対のディストピアのようなものではないのかと思っている。だが行くからには、もう後戻りはしない。あの記憶を見てはたとえ別世界に行こうと、自分の犯した罪と向き合い、そして自分の相棒の妹の優花がいるのなら、何が何でも守らないといけない。また再び法の外に出る覚悟をもってしてでもと目標を見出した…そしてこの言葉が、胸によぎった。

(後戻りはしない。俺は槇原と交わした約束もある。…今度は必ず守る。)

「準備はできている…行くぞ!!」

「はぁ〜い。では行きますよ〜…って〜ッ♪!!」(ゲシッ!)

ドゴーーーン!!

「…!!」

導き人のオロアはその扉を思いっきり蹴り飛ばし、粉々にした。その光景に人とは思えぬ恐ろしい怪力を見たあまり、豹策は驚愕した。

「あ、これ扉に見せかけた壁なので〜!では行きましょう〜♪」

「…オロア…一体何者だ…」(…そもそも導き人そのものは何者なのだ?)

豹策はオロアの後を追う…そして出た外の光景は信じられない非現実な光景が広がっていた。

「…!?…周辺に雲が広がっている…雲の世界か…ここは…!?」

豹策が見た景色はまるで昔、何か探し物をする本でみたことがあるファンタジー的で幻想的な雲の世界の光景が広がっていた。そしてこの世界で、豹策は壮絶な逃走劇の戦いが幕が開けるーーー
























《To Be Continued…→》
 
 
 

 
 
 


第4話:プロローグ〜豹策編 Part2
《完読クリア!!》



次の話へ進みますか?

A. はい 
B. いいえ