GiorGiaNo

 
《Paradisoシリーズ〜導かれし七人の現世人の冒険譚》  

A.:GiorGia

〜ダブルフェイス〜黒豹と法と秩序の契り〜 


第2話:プロローグ〜富美恵編 Part2




プロローグ〜富美恵編 Part1の続きです─────

《Capitalo・1》 
物語を開始しますか?

🎼Back Ground Music 》》》



You can’t get away from yourself by moving from one place to another.
(あちこち旅をしてまわっても、自分から逃げることはできない。)

The world is a fine place and worth the fighting for.
(この世は素晴らしい。戦う価値がある。)

Ernest Hemingway
(ヘミングウェイ)



〜【Kagoya】河原木亭6/30・夜〜

「…ケイトも大変だったんだなぁ…当時その姿の歳で羆に襲われるとか、トラウマもんだろうなぁ…」

「せやで〜…でももう過ぎ去った話なんや…今更もう後戻りはできへん…」

「そうか…んで【Paradiso】に来ては【Orubin】さんと出会い、猟師兼鍛冶屋ギルド【Melton】に所属して強くなろうと、そこで弓矢や近接のナイフを武器に狩りをしてこれまでの修羅場を渡り歩いてきたと…そういえば武器もショットガンとか弓矢とかの遠距離系の奴が多いけど射撃が得意なんだな〜!」

「まあな!!昔から何故かコントロールが良かったからか、野球とかでもほぼ決まったコースを投げれたんやで〜!…ま、そんなに球は速くはないんやけどな〜…」

「はは、そうか!…ま、それらを武器に出来るのは一つの才能だな!」

【Hux・row】は【Keito】と屋形船に乗りながらお互いの事を話していた。そして【Hux・row】は背を持たれ、【Keito】に執行者の事について聞いてみた。

「…でもここに来たということはケイトも奴らに追われたんだよな…執行者に…」

「まあな〜!…やけど…ホンマ執行者ってのは、色々ようさんおって執拗に追いかけ回されたで〜!!」

・・・
・・


〜【Paradiso】雲の世界【Delka】〜

「ここが…【Paradiso】っちゅう世界かいな…なんやえらい奇妙な世界やな〜!」

「まだここは【Paradiso】ではありませんよ〜♪」

オロアは富美恵にそう伝え、懇切丁寧に説明する。

「ここはあくまで【Paradiso】の一部の世界です。そしてここでは富美恵さん♪あなたにはこれから楽な国の駅と書く楽国駅まで向かってもらいま〜す♪そ・し・て執行者達と仲良く鬼ごっこをしてもらいま〜す♪」

「な…なんやてぇ…!?…鬼ごっこかいなぁ〜?」

「はい♪…おっ!!どうやら一人捕まったみたいですよ〜♪」(ビシッ!)

「!!」

「や…やめろぉ〜!!離せ〜!!」

「…!?何やあれは…さっきの冥界の満月にいた奴らかいな!?」

富美恵はオロアの指した視点を見て驚いた。そこにいたのは、逃亡する特定死者を捕まえている執行者の姿があった。

「いやだ〜!!捕まりたくな〜い!!」

「おとなしく降伏しろ〜!!俺たちの昇給のためにお縄につくんだな〜!!」

そういうと、執行者は大人数になり、特定死者を取り囲んでいく。すると特定死者は姿を消してしまった。

「な、何やあれ!さっきまでそこにいたのに!?…アレに捕まるとどうなるんや!?」

オロアは笑いながら説明した。

「ふっふ〜ん♪あの執行者の人達に捕まると強制的にあの世の閻魔大王様のところに連行されてしまいま〜す♪…それにあの人達も休みが欲しくて必死になって、特定死者を捕まえたりする社畜精神の人ばかりなのですよ〜♪」

「んなアホな〜…!!」

富美恵はその執行者の様子を見物していると、執行者が富美恵の姿を見ては指を刺しては周りに存在をアピールする。

「子供の特定死者を見つけたぞ!」「俺たちの昇給、昇格のために捕まるのだ〜!!」「我々にとって忌々しい導き人まで姿を出しやがって…」「絶対に逃すな〜絶対にだ。」

「…!?あかん早速見つかったわ〜!!こりゃあまずいで〜!!ほな行くわ!!」(ダダダッ)

「お気をつけて〜♪」(フリフリ!)

「こうなりゃあ絶対に逃げ延びてやるわ〜!!!」

「待て〜!!」「子供といえど絶対に捕まえてやるわ〜!!」「待て〜い!!」

「全く執行者のおっさん共、ウチがまだ小さいからといって、必死になって捕まえにくるって…変態の集まりなんと違うんかいな…」

「…むっ!!あのガキ!!我々の悪口を言ったのでは!?」「おのれ〜!!…我々を愚弄するとは…絶対に許さんぞぉ〜!!」

執行者は、富美恵の放った一言を聞いてはご立腹の様子で、追いかけ続ける。富美恵はその追跡を交わし、物陰に潜んでは様子を確認した上で走り出した。

タッタッタ…

「…はぁ…はぁ…全く…しつこい連中やで〜!!執行者ちゅうのは…ん?なんやあれは…?なんか縄を振り回してるような連中やけど…ん?」

「…はぁ…はぁ…」

「そこの者待つんだべぇ〜!!」(グルングルン!)「そこのもの!!止まらんか〜!!」「正義のお縄につくんだなぁ〜!!」

ポイッ!…バチーーン!!

「!!グッ!!くそっ!!」

ドタン!!

「!!」(あかん!捕まってもうたか…!?)

特定死者の背後にはまるで西部劇の保安官のように縄を振り回しては、執拗に追いかけ回す。そして確保した特定死者を見ては勝ち誇った笑みを浮かべては数を数えるかのように、言い放った。

「ふっふっふ…これで10人目!!」「さすが我らが隊長!!」「そろそろ昇進も近いのでは!?」「我々は一生アンタについていきます!!」

ワーーッハハハハハ!!
 
「…仲睦まじいというか…おめでたい奴らやの〜…さてこんなとこおったら、いつあんな奴らに捕まるかわからん!!…はよう先を目指すで〜!!」

タッタッタ…

「…ふぃ〜!!…なんとか中間まで来れたか〜…やけど…なんや?…あの花畑の道は?」

富美恵は前方を向くとそこには、花畑が広がる道が広がっていた。するとその光景には、おぞましい景色が広がっていた。


🎼Back Ground Music 》》》



gay bar〜♪

「ウウフン〜♡いらっしゃ〜い〜♡」「キャ〜♡捕まえたわ〜♡」「ウフフ♡よ〜こそ〜♡」

「グァああああ!!!は…離せええええ!!!!」「いやぁああだぁあああああ!!??」「うゲェええ!!??き…気持ち悪りぃいい!!!!」

シュン!!

「!!…な…なんや今の見てるだけで暑く苦しくてむさ苦しそうなムキムキマッチョのおっさん連中共は…!!??」(ゾワァア…)

富美恵は驚愕した。花畑には洗練された男らしいボディの集団、花男舞台が逃走中の特定死者達を捕獲しては土に沈み、その場から姿を消した。思わず後ずさってしまうも、背後から執行者の集団が迫ってきていた。

「見つけたぞ!!」「このガキがぁああ!!!」「捕まえてやるぞぉ〜〜!!!」

「!!…あかん!!…こうなったら行くしかあらへんでぇ〜!!突入〜!!」

タッタッタ…

「くっ!!くそ〜!!あそこには流石の我々も足を踏み入れられん!!」「いや踏み入れると俺達も花男部隊に取って食われるぞ!!」「だが俺はそれでも…///」「え…お前あっち側の人間なのかよ…」(ドン引き…)

「ハァ…ハァ…?あれ?なんやあの花男連中、ウチが踏み入れても現れへんなぁ〜?」

「はぁ〜なんだぁ〜小娘〜…テンション下がるぅ〜〜…」「残念〜…早く言っておしまいなさい!!本当に女って生き物は目に毒よ!!しっし!!」「私達は男にしか興味はないの〜♡…あ〜早く殿方が来ないかしら〜♡…ねぇ〜♡だ〜り〜ん///♡んん〜♡」

ブチュウウーーーー♡♡♡!!!

「」(じ…地獄…だ…た…助けてくれぇええーーーーー!!!!!)

花男部隊の標的は男のみである。それを知っては富美恵は、少し残念そうにしつつ、先を走っていく。

「…はぁ…そういうことかいなぁ〜!!…まあええわ…でもホンマにむさ苦しくて…暑苦しい奴らやの〜…」

うわぁあああああああ!!!!!や…やめてくれぇええええ!!!!!こんなロマンはいやだぁぁあああああ!!??

「!!な…なんや!!??…この悲鳴はただごとではあらへんな〜…一体何が…まさか!?」

タッタッタ…

「うんふふ♡私好みの男らしくて強そうな屈強な浪漫あふれる殿・方みい〜つけた〜♡♡」

「キャ〜♡」「長様ったら〜んもうだ・い・た・ん♡」「キース♡キース♡」

「た…頼む…は…離してくれ〜〜〜!!…俺はそんな趣味は〜!!」(ジョーー!!)

そこには角刈りの金髪のロマンを好む男が花男の長に厚い抱擁を交わされては強く抱きしめられていた。そして長はそろそろと言わんばかりに、土の中に沈もうとしていた。

「うんふふ♡♡じゃああなたに極上のロマンチックな男の世界に案内してあ・げ・る♡」「ではいきましょう麗しき我らの長様〜♡」「お持ち帰りよぉ〜♡」

ズルズル…

「や…やめろぉおお!!!!た…頼む!!…は…離してくれ〜!!そんなロマンは味わいたくも〜!!」(ゾワァ…ジョーー!!)

「やめんかいなぁ〜!!!!」

パーーーーーン!! ぺシン!! パン!!

「あぁん♡!!」「長様〜!?いやぁん♡!!」「ああん♡!!」

「!!…ぐはっ!!…!!」

富美恵は花男部隊の男に思いっきりビンタをしてはしばき倒し、抱かれていた男は地面に倒れ伏せる。そして富美恵は花男部隊の者に強く宣言した。

「いい歳したおっさん同士で抱き合っては何変な格好して熱苦しくてむさ苦しいことしてんねん///!!??…ホンマに〜見てるだけで…まあ言うてもしゃあないわ!!…アンタはんしっかりしいな〜!!」

「…ああ…助かった…だがここは危険だ…早く行くの…!!」

「アンタも一緒に逃げるんや!!…ほないくで〜!!」

タッタッタ!

「ああん♡もう少しでぇ〜至福のひと時が〜!!」(ジョーー!!)「長様〜お気を確かにぃ〜!!…でも悔しいですわぁ〜〜!!」(ジョーー!!)「んもうこんな時に小娘とはついていないわ〜!!」(ジョーー!!)

富美恵は男の手を引っ張り、その場を離れていく。すると男は感謝の意を込めてお礼を言う。

「…先程はありがとう…君はまだそんなに小さくてもしっかりしているのだな。」

「…ウチなんてまだまだや…これからウチはこの試練突破して【Paradiso】に着いたら…絶対に強くなるで〜!!」

「そうか…!!…あれは…広場か!?」

タッタッタ…ザッ!!

ブォーーーーン!!

「!!」「なんや!?一体」

すると広場のサイレンから何やら声が聞こえてきた。それは軍事経験のある声高らかな笑い声が聞こえた。

「ハーーッハッハッハ!いよいよここまで来たか…勇敢なる特定死者の者達よ…」

「…この声は!?」「何やこれ?…おっさんの声!?」

富美恵の返答にサイレンの男は、笑いを浮かべこう言い放った。

「…ふっふっふ!…最後の言葉がおっさんとは…なんて失礼な小娘だ!!…ふふふ…もう許さんぞ〜この武装執行者隊長の名において一切、手加減はしない!武装執行者共やってしまえ!!」

「「「「「うぉぉぉぉおぉ!!早く捕まって俺たちに休息を〜〜!!!!」」」」」」(ダダダダ!!!)

🎼Back Ground Music 》》》



「…!!」(ダダダ!)「逃げるで〜!!」(ダダダ!)

「待てやゴラァあ!!」「逃がさん!!」「貴様らに血を見せるまでは絶対に倒れるわけにはいかない!!」

「…武装しているとはな…ここはまるで…」「最後の砦っちゅうことやな〜…ゴールも近いかも知れん!!…とにかく進むで〜」

タタタタ!!

「くそ!!見失った!!!」「どこに行ったのだ!?」「俺達は向こうを探す!!」

ダダダダダダ…

「…行ったか…」「そのようやな…やけど…だいぶ大人数のようやな…」

富美恵達はひたすら武装執行者の追跡から逃れようと必死に逃げる。するとそこに一人の特定死者が、ニタニタとした笑みで武装執行者に立ちはだかった。

「……けけけ!」

「むっ!!…そこに突っ立っている者がいるな!!」「ふふふ…袋の鼠だ!!」「さてさて…行くとするぞ〜!!!」

ダダダダダ…

「ぬっ!!どこへ行った…なっ!?」

「ここだよ〜!!…ラアアアアア!!!」

ドーーーン!!

「!!グァアああ!!」「し…しまったぁ〜!!」「奴め!!ホログラムの落とし穴を見つけては我々を嵌めるとは…」

ヒューーーン!……シュン!!

「グググ…おのれ…我々の仕掛けた罠を逆手に取りおったか…やってくれる…!!」

武装執行者の隊長は御立腹の様子であった。そして罠に嵌めた男は笑いながら、その場を後にする。

「ヒャハハハ!!ざまあみろ〜!!…さ〜て行くとするか〜!!あばよ〜!!」

タッタッタ…

「…悪どいやつだな…」「……ホンマにやな〜!!…やけど助かったわ…ともかくあの前は行けれんから回れ右して次行くで〜」

タッタッタ…

「はぁ…はぁ…!!…見えてきた…楽国駅…ここだ!!」「ゼェ…ゼェ…ようやく着いたようやな〜!!…さ〜て…なっ!?」

ザザッ!!

「クックック…よく来たな!!…だがここは通さんぞ!!」

二人の目の前に現れたのは、武装執行者の隊長であった。そして笑みを浮かべては、仁王立ちして二人と敵対する姿勢を見せている。

「この声は…まさか…!?」「さっきのサイレンのおっさんか!?」

「誰がおっさんだーこの小娘がぁ〜!!…まあいい!!返り討ちにしてくれるわ!!…かかってくるが…!!??」

「ウォラああああああ!!」「往生しぃやあああ!!!!」

メキィイイイ!!!

「ぐほおおおお!!!!」

ダーーーーン!!

「タイチョーーーー!!??」

「よし道は開いた!!」「ほなさいなら〜あ〜スッキリしたで〜!!」

タッタッタ…

「お…おのれーーー!!!!不意打ちとは…!!!!」

武装執行者の隊長はそのまま地べたに這いつくばったまま、屈辱を噛み締めていた。富美恵と男はそのまま楽国駅のホームへと足を運んだ。


🎼Back Ground Music 》》》


「…着いたようだな…」「せやな!…はぁ〜ホンマに長い道やったで〜!」

二人は楽国駅に着いて喜んでいた。武装執行者の方は駅のホームに入ってくることなく、次の特定死者を捕まえる体勢に入っている。しばらくするとそこに聞き覚えのある声がしたのでその方を振り向く。

「はいは〜い♪おめでとうございま〜す♪お二人共ごとうちゃ〜く!」

「…?オロアか?」「お〜オロアはん!…何やその格好は?」

そこにはミニスカ姿の駅員の格好をしたオロアが立ちすくんでいた。そして、オロアは二人に切符のようなものを渡した。

「これどうぞ〜♪」

「これは…切符か?」「…乗車券ってとこか」

「それは【paradiso】行きのチケットですよ〜♪無くさないように気をつけてくださいね〜♪」

「わかった。大事にしておかないとな!」「一日駅長ご苦労なことやな〜!」

「はい!TPO【時(time)、所(place)、場合(occasion)】に合った服ですので〜!」

「…そうか…」「それにしても駅に着いたとして、何番線かは…おっ!?書いてるな〜!!」

男と富美恵はチケットに書かれていた番号を確認する。すると男は四番線のフロア3、富美恵は十番線のフロア1と書かれていた。お互い確認しあい、少し名残惜しく挨拶した。

「…お互い別々のようだな。」「…そのようや!…まあ【paradiso】に行けばいつか会えるやろ!」

「ああ。じゃあお互いに名前を言っておこうか!…俺は落合六斗…君の名前は?」

男の名前は落合六斗という。そして富美恵は笑みを浮かべては元気そうに挨拶した。

「ええ名前やないか〜!!六斗はん!!…ウチの名前は池井富美恵いうんや!!よろしゅうな!!」(ニッ!)

「…そうかいい名前だ!!…よろしく!!」

ガシッ!!

二人は笑顔で挨拶を交わした。そしてお互いの電車に乗車していく。

「ほなら行くわ!!…また会いましょうや!!」

「ああ!…君も…気をつけてな!!」

キィイイ…バタン!!…

「ふぅ〜…とりあえずはなんとか乗車できたな〜…」

ジリリリ〜ン♪

「…ベ、ベルが鳴っとる…」

列車内からベルが鳴り響き、富美恵は身体を起こした。するとアナウンスからオロアの声がした。

「どうも皆様ご機嫌様〜♪今回は、あなたたちの試練を乗り越え、執行者からの追跡に見事逃れ、この列車に乗っていただき誠にありがとうございま〜す♪まもなくワンマン【paradiso】行きの列車が発車しま〜す♪この列車は途中下車することなくそのまま目的地まで行きますので昼寝なり好きに過ごしていただいても構いませ〜ん!た・だ・し途中購買の人が訪ねてきますので必ず出る様にしてくださいね〜!では今回汽車長を務める私導き人のオロア、ただいま発車しま〜す♪」

「…!?汽車長がオロアはんやて…運転できるんか〜!?」

プシューッ!!ガタン!!

「うぉっ!!…揺れとるで〜…ホンマに大丈夫なんか〜…オロアは〜ん…」

電車は揺られながらも発車した。その景色は未だ雲の景色が続いている。

ガタンゴトン!

「…購買の人って…いつ来るんやろうな〜?」

ピンポンパンポ〜ン♩

富美恵は外の景色を眺めていると、またもやオロアのアナウンスが聞こえてきた。

「本日は、【paradiso】行きの列車にご乗車いただき、誠にありがとうございま〜す♪この列車の汽車長は私導き人のオロアが責任持って努めさせていただきま〜す♪」

「…さっきいったばっかやんけ!?…くどいなぁ〜ホンマに」

ゴオオオオッ!!

「どええ!?…トンネル!?…なんでこんな世界にもトンネルなんかあるんや!?」

トンネルに入る電車。富美恵は不思議に思った。何故雲の世界にトンネルなんかあるのかと。死後の世界独特のご都合主義といえばいいのか少しの間混乱していた。いろいろ疲れがあってか、少し仮眠を取ることにした。

「zzz」

コンコン!

「…おっ?」

仮眠を取っていた富美恵は、誰かの音がしたので起き上がった。するとドアから声がした。

「あの〜すみません!購買のもので〜す!開けてくださ〜い!」

「あ、はいは〜い!…っ!?」

購買担当の駅員の姿を見て富美恵は驚いた。購買担当の駅員は笑みを浮かべながら挨拶した。

「やっほ〜♪」

「お、オロアはん!アンタ運転せんでもええんか!?」

「安心してください!現在自動運転になっていますので持ち場を離れてても大丈夫で〜す♪まあもしもの時は分身飛ばしま〜す!」

(もしもの時は…って…オロアはん…分身できるんやな…)

「そうですね〜♪」

「…オロアはん…人の心の中読むのは悪趣味やでホンマ…伊達にその姿…子供の姿しててもアンタ長生きなんやろうか?」

すると、オロアは富美恵の洞察力を褒めるかのように言い放った。

「ふっふ〜ん♪鋭いですね〜私はこのような子供のような姿をしていますが、実はもう何千年もこの世界で生きています。」

「…そうなんやな〜…まああんな怪力見せられたらただの子供やないんはわかるで〜…」

富美恵の返答にオロアは意地悪そうな笑みでこれまでの逃走劇のことについて語り出した。

「そうですね〜♪富美恵さんはその歳でもこの楽国駅に行く途中に禁断の花園の花男の長の愛の抱擁を受けていた特定死者の男性を助けては見事この逃亡劇を打ち勝ったのですから、本当に色々経験しましたね〜♪…その年齢にしては大したものだと思いますね〜!!」(ニヤニヤ!)

「…そうか〜…まあちょっと嬉しいかもなぁ〜!」

(意外とちょろいですね〜♪)

「いまちょろいとおもたやろ自分!!…それよりも何売ってるんや?購買なんやろ?」

するとオロアは笑みを浮かべつつ、富美恵にこう伝えた。

「ふっふ〜ん!…実は売るためにきたのではありませんよ!」

「…えっ?じゃあなんやねんな?」

「これをお渡しに来ました!」

オロアは富美恵に何かを手渡した。すると四角のダンボールに詰められて梱包されており、富美恵は小包であることを理解した。

「…小包?開けてもいいんか〜?」

「どうぞ〜♪」

「え〜っとどれどれ…!?…これ…!?」

富美恵は小包の中に入っていたものを確認する。そこには富美恵の家族の写真、舞香の作ったたこ焼き、そして札幌ススキノを訪れたときに気に入って買った登山用のゴーグルとスカーフ等、色々入っていた。

「…そうか〜…これって…」

「そうです♪あなたの入っていた棺の中のものです〜!見事試練を乗り越えた贈り物として受け取ってください!!」

「…おおきにな…ホンマに…」

富美恵は、遺品を大事そうに見つめていた。そして富美恵はお礼なのかオロアに舞香のたこ焼きを一つご馳走してあげた。

「オロアはん…折角やし、一つ呼ばれや!!」

「おっ!?いいんですか〜?♪」

「かまへんで…仕事といえど、たまには息抜きは必要や!…どうぞお呼ばれなはれや!!」

「じゃあお言葉に甘えまして〜♪……ん〜…どれがいいでしょうか〜♪」

「そこの赤いのとかええんちゃうかいな〜!!それめっちゃ美味いんやで〜♪」

「なるほど〜♪じゃあ遠慮なく〜♪」

パクッ!!

「〜♪…!!…///…か…か…」

「お〜♪…どやどや〜!?」(舞香の特製激辛たこ焼きに引っかかったで〜♪お返しや〜♪…ニシシシシ!!)

富美恵はたこ焼きにしては赤いものを勧めた。その中には香辛料が盛り沢山盛られたたこ焼きを先程の仕打ちへの仕返しからかオロアに一つご馳走する。すると、オロアは顔を赤くするも、ただ普通のリアクションをする。

「辛くてスパイスがあって美味しい〜♪」(キラキラ〜☆)

「…は?…アンタ辛いの平気なんかいな〜…」

「は〜い!私こう見えて辛いの大好物なんですよ〜♪」

「え〜!?なんや〜!もうもうちょっとええリアクションしてくれたらええのに〜!!」(がっくり!)

「あはは!…でも美味しいたい焼きどうもごちそうさまでした!!…お礼にこれどうぞ!!」

「…何やこれ?DVDか?」

「その通りで〜す♪…これはあなたの現世で関わりのある人からのメッセージが込められていますよ〜♪そこに再生機がありますのでご自由にご覧ください!」

「あ、ホンマや…わかったわ。」

「それではごゆっくり〜♪」

「…何が写ってるんやろうか?」

富美恵はDVDを再生した。するとそこにはオロアの言うとおり、DVDには現世の事の内容が収録されていたビデオレターであった。

🎼Back Ground Music 》》》



ザザーーーッ…

『…富美恵…二ヶ月ぶりやな…元気にしてるか?』

「なっ!?…舞香…!!」

そこには富美恵の親友の舞香が墓の前で語りかけていた。そして呟くかのように語りかけた。

『ウチは変わらず元気や!…それでな朗報やねんな!!…ウチな…実力が認められてな…レギュラー掴んだで!!』

「ホンマか!?…えらいすごいな〜!!舞香〜!!」

『…せやけどな…それで先輩らと揉めて色々と大変な時期なんや!…それでもなぁ…アンタが山で味わった…羆の洗礼でアンタと…その家族を失った苦しみに比べたら…こんなもん屁でもないわ!!…絶対にウチは負けへんで〜!!…いつか必ず日本を…いや世界を取ってウチの名前を響き渡せたるで〜…この薙刀に誓うて!!』

「!!…舞香…!!…ウチも負けへんわ!!…その前向きな姿勢!!…お互いに忘れんようにしようや!!」

富美恵はビデオの前で、舞香の様子を見ていた。そこには親友に、自分の信念を見せる強き意志を示す薙刀を持つ中学生の一人の女子がいた。そして、笑顔で言い、まるで一心同体のように、互いの声がハモるように、語りかける。

『…富美恵…もしアンタが向こうで…自分が住むべき世界があるんなら…しっかりそこで生きなあかんで!!…未練残して…もうここには戻っては来てはいかんよ…ここからは…』

『アンタの道や!!』「ウチの道や!!」

『後悔して…後戻りはあかんで!!』「後悔なんてしない!!…ウチは前に進むだけや!!」

『親からもらった大切な命を…その意味を知り、成し遂げる為に!!』「親からもらった大切な命を…その意味を知り、成し遂げる為に!!」

『ウチは負けへんで!!…その覚悟は…』「ウチは負けへんで!!…その覚悟は…」

『「とっくに出来てるんや!!!!」』

『…プッ…そい言いそうやな…富美恵なら…』

「ホンマにやよ〜!…あはは…舞香!…アンタの言った通りや…ホンマにアンタはウチの親友や!!…あんがとな…元気出たわ!!」

『…ほな…そろそろ行くな!…また…来るさかいにな!…ウチとあんたはどこでも繋がってる!!…弱い者いじめする奴は…絶対に許さへんから心配さんすなや!!…やから…元気でな〜富美恵!!…向こうでウチのたこ焼き食べてたら、激辛のには注意しいや〜♪…アレはウチの自信作なんや〜!』

「…それはオロアはんに食べさせたな〜…ま、普通のリアクションで拍子抜けしたんやけどな〜…舞香…ウチはな…」

モグモグ…

富美恵は冷めてしまった舞香のたこ焼きを食べていた。そして、お礼の言葉を言ってはこう話した。

「ウチにとっては、舞香の作ったたこ焼きで…川原はんとか色んな人と出会ったきっかけだったんかもな…これが原点ってやつ…ソウルフードとも呼べるんかもな〜…」

富美恵はそう言ってはたこ焼きが、自分の人生を切り開くきっかけになった料理でもあると自分に言い聞かせていた。そして、映像が変わっていく。

・・・

ザザーーー!!

「!!…映像が変わったで!!…!?おっ!?アレは川原はんや!!…それに舞香もいるやん!!」

富美恵は変わった映像を見ては驚いた。そこは札幌のススキノであり、たこ焼き屋にいる川原と舞香が仲睦まじく話をしていた。

『そうかいな…いよいよ薙刀の大会がな〜!!…でも店閉めるわけにはな〜…』

『そうよな〜…ハァ〜…折角ウチの晴れ舞台やのにな〜…レギュラーの座を勝ち取ったのにな〜…命の恩人の川原はんに一番に見てもらいたかったんやのに…ちょっと残念やな〜…』

「そうか〜…舞香…晴れ舞台を川原はんに見てもらいたかったんやな〜…ん?アレは!?」

「おい!川原!」

『!!桐山さん!?…あれ?その人は!?』

『最近新しく教えてる新入りだ!!たこ焼きも作れる!!舞香ちゃんの試合…見に行ってやれ!!』

『ホンマに…いいんですか!?』

『こういう時はお互い様だ…それにお前には守るべきものがあるんだろう…あの子の笑顔…忘れてないんだろ?』

『!!…富美恵…』

「桐山はん…ありがとうな…ホンマに…!!」

『川原はん!!ウチ頑張るで!!…富美恵の為にも、絶対に負けへんで!!』

『…舞香…よ〜しわかった!!…見に行こうやないかい!!…負けたら承知せぇへんで!!』

『覚悟の上やで!!…それにいつも笑える自分でありたいからウチは負けられん!!…富美恵の分まで、元気で過ごすために戦うまでやぁ!!』

「舞香…川原はん…ホンマありがとさんや…舞香…元気で頑張りぃや…ウチも頑張るわ…そしてアンタらのように…」

《いつも笑えの絶えない人としての生活を、命賭ける覚悟を持ってこの【Paradiso】でひたすら生き残る術を追求したろうやないかい!!》


富美恵は【paradiso】で強く生きていくという意志をさらけ出し、そして収録された内容が終わった。そしてエンドロールに流れた曲を聞き、少し懐かしんでいた。


🎼Back Ground Music 》》》



大追求〜成歩堂龍之介の覚悟〜♪

「この曲は、確か舞香と一緒にやったなんかの昔の英国のテーマの裁判のゲームのクライマックスの時に鳴ってた曲や!!…そうか…あの時のキャラの覚悟がウチにも試されてるってか…ごっつおもろいやないけ!!…よ〜し…ほな行ってくるで!!…舞香…川原はん…おとん…オカン…そして…ウチらの家族の宿敵でもあり、それでも強くなる目標にもなった羆…今に見てろや〜!!…この【Paradiso】に…度肝抜かすくらいの閃光のような矢を引いては…風穴開けたるで!!」



〜ガタン…ゴトン…ガタン…ゴトン…


果てしない道を止まらずに進み続ける電車の中、富美恵は詩文を読むかの様にこれから出発なんだという意気込みを言葉にした。




A girl who has been accused of being a weak person by everyone when she was a child.

(幼少期は落ち着いては、誰からも弱者として罵られてきた一人の少女。)

Still supported by a person with a strong heart, he reaches out to a girl of the same age as if he finds a way to live strongly for himself, and is taught how to find a way of life.

(それでも強い心を持つ者によって支えられ、自分にとって強く生きる術を見出すかのように一人の同年代の少女に手を差し伸べられ、生き方を見出すきっかけを教えられる。)

Encounter with a teacher forms a connection between people, learns humanity and in-law, and knows the importance of community and bonds with people.

(恩師との出会いが、人と人との繋がりを形成しては人情と義理を学び、人とのコミュニティーと絆の大切さを知る。)

In order to survive in the wilderness, the wisdom and techniques to prepare for it, and above all, to face the harsh fate to survive, the will to confront those scenes and the obsession with life are the parents' souls. The girl learned from a single bear.

(大自然の中で生き残るためには、それに立ち向かう覚悟と備えるための知恵や術、何よりも生き残るために過酷な運命に毅然と向き合い、それらの場面に立ち向かう意志と生命に対する執着心を親の仇である一頭の羆から少女は学んだ。)

From here, the real journey begins. A girl who tries to live strongly in an environment where the bargaining of life, whether to hunt herself or to be hunted, tries to live strongly, is not scared and always smiles as taught by her best friend. Proceed to the unknown world like endless nature.

(ここからは本当の旅の始まり。自分自身狩るか、狩られるかという命の駆け引きの蠢く環境の中で覚悟を試されては強く生きようとする一人の少女は怖気付くこともなく、親友から教えられたいつでも笑顔という姿勢で前へと進んでいき、果てしなく広大な大自然のような未知の世界へと進んでいく。)

・・・
・・

B. いいえ


《Capitolo・2》
続きを読みますか?

🎼Back Ground Music 》》》




I see those who have overcome their desires as more brave than those who have defeated their enemies.It's the most difficult victory to beat yourself.
(私は、敵を倒した者より、自分の欲望を克服した者の方を、より勇者と見る。自らに勝つことこそ、最も難しい勝利だからだ。)

Humans are animals that pursue goals.Life becomes meaningful only by striving to reach its goals.
(人間は、目標を追い求める動物である。目標へ到達しようと努力することによってのみ、人生が意味あるものとなる。)

Aristotelēs
(アリストテレス)




〜富美恵の乗る電車〜

電車に揺られ、どれくらいの時間が経過したのかがわからない。その中で富美恵は仮眠をしながら、【paradiso】への到着を待っていた。

ジリリリリリ〜

「ん…ああ寝てしもうたか…!」

〜ピンポンパンポ〜ン♪

どこからかアナウンスが聞こえた。するとオロアの声が聞こえた。

「ご乗車ありがとうございま〜す!まもなく待望の〜【paradiso】へ到着しま〜す♪しかし、この列車は順番にフロアの扉が開く様になっているため、開いた方から順番に出る様にしてくださいね〜♪…もしルールに従えない様であればあなた達の身柄は執行者に引き渡すので悪しからず〜♪」

「……」

富美恵は順番が来るまで待っていた。すると電車の扉が開いた。

「…いよいよや…さて…行くかの〜!!」

富美恵は電車から降りて、周囲を確認する。そこには灯台があり、海が見えていた。眺めの良い場所であり富美恵自身、初めてみる海に気分が良かった。

「これが…海なんか!?…あの世でも海って存在するんやな〜。ホンマに摩訶不思議やで〜この世界…」

富美恵は海を眺めているとオロアがやってきて声をかけてきた。

「富美恵さん〜!海をじっと眺めている場合ではありませんよ!さ〜早くいきましょう♪」

「…せやな…ほな行こか〜!」

富美恵はオロアについていく。すると、いきなり駅員事務所の様な場所に案内された。

「はい。ではここに入ってください!」

「ここかいな?…まあほな失礼します。」

富美恵は事務所へ尋ねた。するとそこには容姿は10代後半の女性が座っていた。髪色はオロアと同じで眼鏡をかけている。そして真面目な感じがする雰囲気を醸し出していた。そしてその女性は声をかけてきた。

「初めまして。貴女は池井富美恵様でいいですね?」

「そうですわ。」

「私は導き人の一人、イールです。…うちのところのオロアがご迷惑をおかけしてすみませんでしたね。」

「あ、別にかまいまへんわ〜!ただ…ヤンチャな子やな〜と…」

イールはオロアとは違い、坦々な事務的な性格をしている。二人はかなり対極的な性格をしていると富美恵は思った。

「ではこの書類をよく確認し、承諾の上でサインしてください。」

「ん?…!?」

富美恵はその内容を確認し、驚くべきことが書かれていた。


【paradiso】Entrance examination procedure
(【paradiso】入界審査手続き書)

(       )
【1】In this [paradiso], you cannot use the name in this world, so please decide a new name.(Be sure to use the alphabet! Any number of characters)
(この【paradiso】では現世での名前は使えないので新しく名前を決めてください。《必ずアルファベットで!文字数は自由》)
※原則です。違反した場合、不法入界者として一ヶ月以内に執行者を派遣し、身柄を拘束します。

【2】[Paradiso] has a rank system, and the higher the rank, the more status you have and the wider your range of home and work. At first you start with the lowest F rank. Points will be paid to all residents living in [paradiso] every month. You can have free time to eat, which promises an equal life for the citizens.
(【paradiso】にはランク制度があり、階級が上であるほど、地位を持ち、家や仕事での幅が広がります。最初あなたは最低値のFランクから始まります。一ヶ月毎に【paradiso】に生活する住民全員にポイントが支給されます。ご飯も自由な時間に取れますので、市民に対し平等な生活を約束されています。)
※【paradiso】では(F→E→D→C→B→A→AA→AAA→S→S1→S2→S3→S4→S5)という順にランク付けされています。

【3】In order to rank up, you can earn reward points at the request of the Labor Guild and raise it when you reach the standard value. We recommend that you work voluntarily and rank up.
(ランクアップするためには、労働ギルドからの依頼を受けて報酬ポイントを獲得し、基準値まで達すればアップすることができます。自主的に労働してランクアップする事を推奨しています。)

【4】No bleeding is seen in the body even if it is cut in this world. Since your body itself is composed of a posthumous soul, if you take a certain amount of damage, it will be difficult to form a soul, and in the worst case ... your soul will disappear, and even in heaven and hell. We cannot guarantee that you can send your soul!
(この世界で斬られても身体には出血は見られません。あなたの身体そのものは死後の魂として構成されているため、一定数のダメージを負った場合、魂の形成が困難な状態になり、最悪の場合…あなたの魂は消滅し、天国や地獄にも魂を送ることができるのかの保証はできません!)
※後ほど、自分の基準となる魂の量を計測できる腕時計型デバイスを進呈します。

【5】This world of [paradiso] is also a utopia depending on how you perceive it, and in many cases you will be tested for your ability to be called a dystopia. We hope that you will spend your days not forgetting that we are in a society that is unequal and has a difference between rich and poor.
(この【paradiso】という世界は個人の捉え方によってはユートピアでもあり、ディストピアとも言えるくらいの実力が試されることが多いです。不平等かつ貧富の差もある社会の中だという事を忘れない様に日々を過ごしていただければ幸いです。)

We recommend that you sign after understanding the above.
以上のことを理解した上でサインされる事を推奨します。
現在時間:【paradiso】歴1995年 6月16日 名前:()


「…やけに細かいんやな〜!?…ウチの名前も変えんとあかんのやな〜…」

「この世界では弱肉強食です。ルールは基本的に無視する輩もいます。その様な怠惰をする現世人は遅かれ早かれ破滅の道を辿るでしょう。」

「…名前はどないしよにな〜…【paradiso】にまで来て、また執行者に追われるのは懲り懲りやで〜…」

富美恵は名前のことで悩んでいたが、ここぞという時に何故か間をとってというワードが頭の中によぎり、そのままあるがままに書こうとした。

(よっしゃ〜!池井富美恵…の名前に因んで…間とってこれでいくしかないわ〜!!)

(Keito)

「この名前でも大丈夫でっか?」

眼鏡を持ちながらその名前を確認する素振りを見せるイール。確認し終えた後、富美恵に対し淡々と返答する。

「…問題ありませんね。良しとします。あと食事についてはFランクの場合は、あなた方の現世にある様な飲食店への入店をお断りされることが多いですね。その際は無人販売機の方にて食事するか、もしくは定期的にやっている炊き出しに並ぶか…そこは自由にしてください。」

「わかったで〜。まあ低いランクやさかい、待遇はあんま良くないやろってに…働くもの食うべからずってやっちゃな〜!!」(カキカキ!)

「…ふふっ意外と素直ですね。」

「…へえイールはんもそんなふうに笑うことがあるんやな〜!!」(ニカッ)

富美恵はイールに意外な一面があることに少し安心したのか笑みを浮かべていた。書き終わった書類をイールに渡す。イールは少し落ち着いてから富美恵に話しかける。

「…確かに書類は承諾とさせていただきました。これであなたの入界手続きは終了とし、貴女はこれから現世人【Keito】(ケイト)として名乗っていただきます。こちらは貴女が現世人であることの証明となる勲章です。あとはこれを身につけていただきます。」

「ん?何やこれ?…腕時計かいな?」

富美恵改め【Keito】はイールに渡されたものを確認した。勲章には【Questo mondo】と書かれており、もう一つは見た感じ腕時計であった。そしてそれについてイールから説明を受ける。

「それは通称【P-Watch】腕時計型デバイスです。手に着けてディスプレイを見てください」

「ん?おっ…!?…なんかハートが書かれとる……なんか自分の健康状態を調べるスマートウォッチといえばいいんやろか…?」

【Keito】は初めて【P-Watch】の画面を確認した。すると、自分の現時点のランクに、ハートの様なものが表示されている。

【Keito】  ランクF 
【♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡】

現在は【paradiso】歴1995年6月です。

「それは貴方の魂の値です。計測した数値は大体のものですが、もしそれが無くなれば貴方の魂は消滅するという事をお忘れなき様お願いします。」

「…わかったで〜…この世界が出来て1995年…ご大層に長い歴史があるんやな〜!!」

するとイールは少し微笑んだ表情で【Keito】に説明した。

「この【paradiso】には最初、時間の概念はありませんでした。元々この世界は真っ白な世界でした。そんな時に、ある人には創造神とも言われ、中には重罪者とも言われた女性と、その女性を守り勇敢に守護して戦った男性。そしてその二人に付き従い、二人のために戦った一人の少年の言い伝えがあります。その人達の頑張りがこの世界に時間の概念を創り出し、この世界を作ったというのは昔から伝えられている伝承の歴史があります。」

「…その伝承通りにいけば今の時代にもそんな創造神を憎む残党共が、この【paradiso】にも潜んでいるのかも知れんわけやな…」

【Keito】の言葉にイールは眉を潜め、深刻な顔でこう語った。


「ご明察通りです。現在ではそのような動きはありません。ですが、その残党の名前は確かに存在します。組織の名前はユートピア創造士隊と呼ばれており、白い衣を羽織り、その配下には【paradiso】各地にある闇に包まれた殺し屋ギルドに所属するユートピア人を率い、自分達の作るべき世界のためならば…時には殺戮をも厭わない集団がいます。そして…今も暗躍し続け、各地で反乱を起こそうと待ち構えております。」

「…!?な、なんやねんそりゃあ!?物騒な話やな〜!!……ほな今【paradiso】は殺伐としたウチらの生きてた現世で…かつて昔起こった戦争の時代そのものやないか!?…そんな世界に…ウチが…」

「もしその者達と対抗するための術を私達は貴女に素質があるか…試すことができますが…やってみますか?」

「…!?そんな方法があるんかいな!?」

その言葉に【Keito】は驚き、イールは会話を続けた。

「はい。この【paradiso】は極めてあなた方の住んでいた世界とは非現実的なもので構成されている世界ですから。実力を問い、この【paradiso】に生き残れるか判断させていただきます。いわゆる貴女の体験してきた試練のようなものです…どうされますか?」

「……」

【Keito】は考えた。あの時の試練を見た限り、【paradiso】はただの楽園とは程遠い現実があることは感じていた。そしてあの時電車の中で自分に言い聞かせた言葉を胸に、こう主張した。

「…イールはん…案内してくれんか!?ウチ…その試練を受けるで!」

その発言にイールは微笑んでその言葉を承諾と捉え、淡々と返答した。

「…わかりました。貴女の覚悟は伝わりました。こちらです。ついて来てください。」

【Keito】はイールの後をついていく。するとそこには広大な空間が広がっていた。

「な、何やここは!?…コロシアムってやつかいな…まんまラノベの世界やな〜…」

「はい、そして目の前に立って見てください。相手の方が来ます。」

「ん?…!?…どええ!?…アレは…ウチなんか……?」

【Keito】は驚いた。自分の目の前に立っていたのは、かつての広大な北海道の土地で暮らしていた天真爛漫で活発な少女、富美恵そのものであり、それについてイールから説明を受ける。

「あそこにいるのは現世での貴女自身です。どうやら現世での突然の別れから、後悔の念が具現化して成仏できず、魂の集合体として人の形をして存在しています。」

「…そういうことかいな…」

すると、相手の富美恵が声をかけてきた。

「…アンタはんが【Paradiso】のウチかいな…舞香や川原はんを悲しませては泣かせたこと、後悔しいや!!…ウチはアンタを倒して、何としてでも生き延びて二人の元に帰るで〜!!」

「!!」

【Keito】は現世での富美恵だった者の言葉に怯みそうになった。相手の声は、まるで現世での未練を残し、後悔の念が混じり合った強い責任感、そして友人や義理の固い人を傷つけられたことによる、強い怒りに満ちた声を出していた。

「この試練の意図はかつての現世での自分自身と向き合い、見事に打ち勝つことで合格と致します。【Keito】さん…覚悟はいいですか?」

【Keito】は頷き、信念を持った目をしてイールに主張した。

「…ああ大丈夫やで!!…目の前にいるんはウチや!!…絶対に納得させたるわ!!!」

相手の富美恵は【Keito】の戦う意志を見ては、一つの弓矢を持ち出しては、【Keito】に渡した。

「これを持ちや!!」

「弓矢かいな…まあええやろ!!…射撃は昔から得意やったんや!!」

「…覚悟はできてるようやな〜…流石は自分と言ったところか!!」

「ではこれより、【Keito】vs富美恵との勝負を開始します。では両者共…」

「!!」(グィッ!)「!!」(グィッ!)

イールは始まりの合図の準備をしていた。周りは静かだ。風もなく無音の状態が続いている。【Keito】と富美恵は弓矢を持っては構えの姿勢を取り、弓を引いては臨戦態勢を取っていた。その中でイールは目を瞑りながら両者の勝負の合図をじっと待っていた。すると無慈悲にも戦いの合図が開始される。

「始め。」



🎼Back Ground Music 》》》




「!!」

「!!」

ヒュン!!

ヒュン!!

スカッ!

スカッ!

「ッ!!」(ツーッ!)

「ッ!!」(ツーッ!)

二人の放った弓はお互いの頬を擦り、微量の傷口が開いた。そしてすかさず【Keito】は接近戦に持ち込むために特攻を開始する。

「!!」(ダッ!!)

「!!…きたなぁ〜!!来るならこいや!!」

「…」(舞香の記憶と、川原はんから桐山さんから叩き込まれた体術訓練の記憶…絶対に無駄にはせぇへんで〜!!)

「あらぁあ!!」(ブン!)

バキィッ!!

「うっ!!…やってくれたなぁ〜…はぁ!!」(ブン!!)

べキィ!!

「!!っ…流石はウチといったところや!!…上等やで〜…!!…何や!?…また頭の中が…」

【Keito】と富美恵はお互いに体術で戦っていた。すると【Keito】の頭の中に、富美恵の抱えていた孤独を嫌うような心の声が聞こえていた。

《ウチは…あの時ずっと孤独やったんや…舞香がおってくれたおかげで、孤独から抜け出せた…でもまたウチ一人なんや…寂しい…寂しいよぉ〜…》

「!!…そやなぁ…また一人になってしもうたな…けどなぁ…」

「!!…何や!?…何で手を止めたんや!?」

「……」

【Keito】は戦意喪失したかのように、その場に立ち尽くしていた。その様子に呆れと怒りを感じたのか、富美恵は【Keito】を睨みつける。

「…何をボヤーッっとしとんねん!?…そうか…もう戦う気がないか…なら今から楽にしたる!!」

グィーーーッ!!

「……」

【Keito】はその場で立ち尽くす。しかしその目は決して諦めているかのような目ではなく、何としてでも生き延びようとする生気に満ちた獣のような目をしていた。そして富美恵の構えていた矢が無慈悲にも放たれる。

ヒュン!!

「!!」

パシッ!!

「なっ!?」

「…ほぉ…」(まさか、相手の放った矢を掴むとは…まさかそれを…)

【Keito】は富美恵の放った矢を避けては掴み取り、素早く弓を構えては狙撃する。

グィーーーッ!!

ヒュン!!

プスッ!!

「あぐっ!!…へぇ〜…やるやないけ…自分…!!」

「まだや!!…ここからやで…」(グッ!)

「…上等や!!」(グッ!)

バッ!!

バキィイイ!!

「…ぐっ…そんなに一人になるんが怖いんか?」

「ああ…あの事故で、ウチのおとんもオカンも亡くなって、またウチは一人ぼっちなんや…」

「そんな弱気でどないすんねん!?…舞香も…川原はんも確かに悲しんでおったけどなぁ〜…それでもウチはウチなんやろ!?…いつまでもメソメソして前に進まんかったらそれこそ二人に申し訳が立たんやろがい!!」

「!!…だまれやああ!!!」

ブン!!

「効かへんでぇ〜…なっ!?」

バキィー!!

「あぐっ!?」

富美恵は攻撃を躱した【Keito】の動きを観察し、重い蹴りを一発叩き込んだ。すかさず、富美恵は笑みを浮かべて言い放った。

「まずは…さっきの弓矢の分や!!」

「やるやんけ…!!…くっ!!また頭の中が…!?」

またもや【Keito】の頭の中に、富美恵の抱えていた心の声が聞こえていた。

《ウチは…あの時、そのまま羆から逃げおおせたとしても、親を見殺しにしたと周りに冷たく当たられたんやろぁ〜…結果的に、ウチはあの時…命を絶っておったのが…救い…》

「!!…アホ抜かせや〜!!」(ブン!!)

「!!」

バキィイ!!!

「…ぐぁ…あがが…!!」

【Keito】は富美恵に対し、渾身の右フックをお見舞いしては目に大粒の涙があふれていた。そして富美恵に対して、まるで説教をするかのように言い放った。

「アンタ…それでもウチかいな!!…世間帯がどうのこうの言って、自分の命を自ら絶とうとするなんぞもってのほかやで!!…アンタはウチや!!…命粗末にしたらあかん!!」

「…!!…【Keito】…!!」

「……」(なるほど…【Keito】さん。説得ときましたか…)

「ほなら富美恵…そろそろケリつけようや…アンタとウチが得意な射撃の…今持っとる弓矢でなぁ〜……」

「!!…そうか…分かったで!!…後悔すんなや〜!!…【Keito】!!!」

両者はお互いに距離を取り、弓矢を持っては構えの姿勢を取る。そしてまるで西部劇のガンマンのような早撃ちで決着をつけようとする。両者は目を瞑り、集中している。

「……」

「……」

「…ふむ」(いよいよ決着の時ですね…二人共集中しておりますね…)

両者の沈黙の時間は進んでいく。そしていよいよ、二人の矢は同時に放たれた。

「……!!」

「……!!」

ヒュン!!

ヒュン!!

ザシューー!!

スカッ!!

「うぐ!!……くっ……!!」

バタン!!

「!!……やったで…勝ったんや…ウチ…自分に!!」

【Keito】は弓を持っては立ち尽くしていた。そして勝ち誇ったかのように、笑みを浮かべていた。するとまたもや頭の中から声が聞こえてきた。

《…負けた…やけど悔いはないわ…まさかウチ自身に励まされるとはな…舞香…川原はん…ホンマにすまんかったなぁ…やけど心配すんなや…ウチは強く生きるで!!》

「…それならウチは何も言わんよ。」

「そこまで。勝者【Keito】」

「…よし!…勝ったで〜!」

【Keito】は勝利の雄叫びを上げた。すると富美恵は立ち上がり、【Keito】の前に来た。だがその目にはもう迷いは無く清々しい表情をしていた。

🎼Back Ground Music 》》》



「…負けたわ〜!!…せやけど流石はウチや…強いな…」

「何いうとんねん富美恵!!…ウチはまだまだ強くない!!…この先、強いやつはゴロゴロいるやろに…そこでてっぺんを…絶対にとったるさかいにな!!」

「頼んだで!…この世界でも…おとん…オカン…舞香…川原はんの分まで生きるんやで…【Keito】!!」(…スッ!)

「承知の上やで!!…後のことは任せとき!!…現世のウチ…富美恵!!」(パシッ!)

【Keito】と富美恵は互いの健闘を祈り、握手をする。次第に富美恵の身体が少しずつ消えていき、光の粒子となっては【Keito】の周りを温かく包んだ。

「なっ!?…何や一体…イールはん!!…こ…これは!?」

イールは【Keito】に対してこう伝え、説明した。

「どうやら貴女は自分自身と向き合い、【fiducia】と呼ばれる神託の恩恵を受けました。これより貴女にはこの【paradiso】の世界で使用できる隠れ持った潜在能力が開花しました。」

イールの言葉を聞き、【Keito】は少し混乱したが、それでもすぐに理解した。

「なるほどな〜!!なんかアニメとかラノベにあるような特殊能力みたいなもんなんやな〜!!…ホンマに摩訶不思議やで〜!!…ん?」

【Keito】ランクF 
【♡♡♡♡】

「あちゃ〜!…流石にダメージ受けすぎて減ってるで〜…イールはん…これどうやったら回復するんや?…そもそも回復魔法とかこの【Paradiso】にもあるんかいな?」

イールは【Keito】の問いに対しこう答える。

「睡眠を取るなり、中には魂を補充する薬、また食事にも魂が補充される作用のものがあります。ですが今回は特別です。私が補充して差しあげます。」

「えっ!?できるんかいな!?」

イールは何かの本を取り出し、お札のようなものを【Keito】の身体に貼り付ける。すると周りに光が宿り、心なしか体が軽くなったように思った。

「確認してみてください。」

【Keito】は腕時計を確認する。するとディスプレイの表示が変わっていた。

【Keito】 ランクF 
【♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡】

「!?…回復したで〜!!…一体何が起こったんや!?…!…そもそもアンタら導き人は何者やねん!?…オロアはんは怪力のじゃじゃ馬やし…イールはんは回復やし…一体…」

するとイールは少し笑みを浮かべ、その問いに答えた。だがそれは先程のような親切なものではなく、何かを試すかのような笑みである。

「それは…これから貴方自身が知ることになりますよ…では次へと参ります。」

「…!?まだ何かあるんかいな!?」

「は〜い♪せっかく貴方は【fiducia】に目覚めたのでその実力を試させてもらいま〜す♪」

【Keito】は聞き覚えのある声がしたので声のする方を向く。そこにはオロアが立っていた。

「っ!?オロアはん!!」

「オロア…それは私のセリフなのですが…」(やれやれ)

「まあまあいいじゃないですかイール姉様〜♪」

「姉様って…アンタら二人姉妹関係かいな!?」

たわいも無い会話をしていると、誰かがこちらに歩み寄ってくる者が現れた。【Keito】は確認すると、イールとオロアと同じ髪色の長髪で顔面にカフスを着けた一人の騎士が現れた。見た感じ、女騎士と言えばいいのか【Keito】自身、少し困惑していた。すると、女騎士はこう語りかけた。

「お初にお目にかかります。私は彼女達の長を務めています…オーラルという者です。」

オーラルと名乗る導き人は丁寧に【Keito】に挨拶する。

「あ、これはご丁寧にどうもですわ〜。ほんでイールはん…一体何を始めようっていうんや?」

イールは少し笑みを浮かべて【Keito】に返答する。

「これから貴方にはオーラル姉様と戦っていただきます。言い分は問いませんので速やかに前に来てください。」

「…!?…なるほどの〜!そういうことかいな〜!!」(タッタッタ!)

「あら?…やけに素直ですね…普通はオーラル姉様とやり合うことに躊躇する人が多いのですが…あなたは違うのですね。」

イールはオーラルに挑むことに躊躇する様々な挑戦者の出来事を思い返していた。そのことから【Keito】も同類かと思っていたが予想とは違い、イールは少し安心した。

「ウチかてな…ホンマは怖いわ!!…せやけどな…んなもんで怖気づいて前進めんかったら余計舞香とかにも顔合わせできんからな〜!!…それに【fiducia】とかいう特殊能力を身につけては、回復ときたら、実践でそれが使えるのか試すというのは…大方予想はできるからな…!…ウチはいくで!!」

「フフッ…そうですか安心しました。ではご武運を…」

「フッフ〜ン!!流石はその姿は伊達ではない強気な可愛げのない少女と言ったところですね〜♪…はい!それではこれよりオーラル姉様と【Keito】によるエキシビョンマッチを開始しま〜す♪」

その発言を聞いて少しイラつきを感じたのか、【Keito】は流石に手刀チョップしようとオロアに詰め寄った。

「オロアはん…流石に一言多いで〜!!!」(シュッ!!)

「よっと〜♪問答無用で〜す♪さっ!正々堂々行ってくださいね〜♪」(サッ!…トン!)

「な!?…うぉ〜あぁ!!」(ビュ〜ン!)

オロアの人押しで、真ん中に【Keito】が配置された。そしてそれを待ち構えていたオーラルはこう話す。

「うちの妹達が無礼な態度をお取りしてどうもすみません…」

「…まったくやで〜!!ホンマにアンタも保護者なら責任取ってあの子見たりや〜!!……いつかじゃじゃ馬になっては反抗期になったら困るで〜!!」

するとオーラルはクスクス笑いながら笑みを浮かべ、真ん中へと歩み出す。そして、【Keito】に対して、こう言い放った。

「ふふふ、あれでも私の可愛い妹達なので多めに見てあげてください…では…!これより貴方の実力を試させていただきます。…覚悟は良いですか…?」(ゴゴゴゴ!!)

「…なっ!?」(ゾクッ!!)

【Keito】は相手のオーラルの桁違いの気迫に驚いた。今まで川原や桐山、そして自分の親の仇でもある羆の発していた威圧の物とは比べ物にならなかった覇気を放っている。生まれて初めてここまで相手を威圧させる人がいることに驚きを隠せなかった。

🎼Back Ground Music 》》》



「…では…行きますよ!」(シュン!)

「…!!…そこや!!」(キリーー…)

ヒュン…

「…ざ〜んねん!!…はぁ!!」

メキィッー!!

「ぐはあっ!!…うぉわああーーーー!!!」

ヒューーーン!!

ダーーーーン!!

【Keito】の放った弓矢をオーラルは容易く躱し、腹部に強い拳が深く突き刺さり、無慈悲にも壁に激突し、クレーターが生じた。思わず、その絶対的な力の前で怯むも、諦めた表情をしていなかった。

【Keito】 ランクF 
【♡♡♡♡♡♡♡】

「ぐ…」(オーラルさん…女のくせしてなんつう怪力なんや…あんな細い腕に一体何処にそんな馬鹿力あるんや…羆以上やで…なぁっ!?)

「…休む暇は与えませんよ!!…ハァ!!」

ダァーーーン!!

「!!…いない…はっ!?」

オーラルは追撃しようと勢いよく飛び蹴りを【Keito】に叩きつける。しかしそこには【Keito】の姿はなかった。すかさず背後に気配がしたため振り向くと、弓矢を構えては反撃の姿勢を示す【Keito】がいた。すかさずオーラルに狙いを定めて弓矢を放つ。

「…そこや!!」

シュッ!!

パシッ!!

「!!…なぁっ!!…掴んだやて!?」

「ウフフ…お返しです…はぁ!!」(ポイ!)

ヒューン!!

ザシューー!!

「あぐっ!!…くそ…」

【Keito】の放った矢は無慈悲にも、オーラルに容易く受け止められ、投げ返されては【Keito】の肩を貫通する。その穴からは魂の残渣物が流れ込んでくる。

【Keito】 ランクF 
【♡♡♡♡】

「くっ!?…何や白いのが…これが魂ってやつかいな…ひたすら流れ込んでくるで〜…」

「もう終わりですか〜?…ならば仕方ありませんね…例えまだ少女といえど私は容赦は致しません…ここで…終わりにしましょうか…」

ジャキン!!

「!!」(…まずいで…あの剣は…見た目からして…かなり斬れそうや…!!)

「あらら〜!オーラル姉様がいよいよ抜刀しましたね♪」

「…そのようですねオロア…あのままでは彼女…まずいようですね…」

オーラルは人を見下ろすような目で少しずつ【Keito】に詰め寄ってきた。

「折角あなたの【fiducia】の加護を受けられて能力を目覚めましたのにこれでは…期待外れのようですね…ではご機嫌よう…!!」(シュン!)

「…!!」

「オーラル姉様…いよいよ決着ですね。」

「…さて…【Keito】さん…あなたは…」

「!!」(まずいで…オーラルはんの狙いをなんとか探知できたら…ウチの射的能力をもっと活かせれば…!!な…何や!?)

キィーーーン!!

「…!?…へぇ〜…」

「お〜【Keito】さんの身体が〜♪」

「光りましたねオロア…なるほど…【Fiducia】が発動したようですね。」

【Keito】の身体が突然光出しては、導き人は何か期待通りの反応を示していた。

「…ではお見せしてください…あなたの…【Fiducia】を!!」(チャキン!!)

「言われなくてもなぁ!!…こっちはいつでも覚悟はできてるんやぁ〜!!」

グィーーッ!!…ピン…ピン!!

「!!」(な…何やこれ!?…これはまるで…スナイパーライフルのスコープみたいな奴やな…これがウチの持つ【Fiducia】っていう特殊能力っちゅうやつか!?)

【Keito】 ランクF 
【♡♡♡♡♡♡♡】
ーー
スナイパー能力が発動しました。標的を定めて照準をサポートしています。

「なるほど〜♪【Keito】さんの能力は〜!!」

「スナイパー能力ですか…狩人向けの能力といったところですね。」

【Keito】が授けられた【Fiducia】の能力は、スナイパー能力であり、狙った獲物は絶対に外さないという執着心とどんな環境でも必ず生き残る術を持つ強さを持ち合わせた【Keito】の能力である。

キィイイン!!!

「ほな…行くでーー!!!」

グィーーーッ!!

「…面白いですね…さあ狙いを定めてきなさい!!」

「はぁあああ!!!!」

ピシュン!!

フィーーン!!

キィン!!

「!!…そんな…アホな…!!」

「残念でしたね〜♪…狙いは的確でしたが…ハァ!!!」

バキィイイ!!!

「うぉわあああ!!!!」

ダァーーーン!!!!!

「んな…アホな………」

【Keito】の放った矢はオーラルの剣によって静止させられる。そして高速移動しては強い蹴りを身体に叩き込まれては意識が朦朧となり、そのまま気絶しては【P-Watch】から警報が鳴り響いた。

【Keito】 ランクF 
【♡】
ーー
危険です!早急に魂の補充を推奨します。

「あらあらいけません!イール!オロア!すぐに【Keito】さんを医務室に連れて行きなさい。」

「はい♪オーラル姉様♪」

「わかりました…」

タッタッタ…テッテッテ…

「…ふふ!」(そうですか…【Keito】さんの能力は、スナイパー能力ですか…その能力は猟師ギルド向きの能力でもありますね…それにこの私の持つ剣の切れ味も、その確かな鋭い目利きで判断していましたし、鍛冶屋の才能も持ち合わせているようですね…ふふふ…期待しておきますよ)

・・・
・・


B. いいえ


《Capitolo・3》
続きを読みますか?

🎼Back Ground Music 》》》



「…!!…何や…ここは?…白い空間に…ベット…?」

激闘の後に気を失った【Keito】が次に目覚めたのはベットの上であった。周囲は白い空間に囲まれている。

「あ、気がつかれましたか…?」

「…おっ…?」

【Keito】は声をかけられた方を向くとそこに、イールとオロアと同じ髪色をした、20代の容姿をした女性が座っていた。思わず誰かと思い、声をかけた。

「え?…あんたはんは…?あら〜でも声は聞いたような気がするんやけど〜…」

「あ、先程はどうも…オーラルです。気を失っていたのでこちらの医務室へとお連れしました。」(ぺこり)

「…どえええ!?…ホンマにか!?仮面の裏はそんな顔をしてたんやな…こりゃあ驚いたで〜!!…思った以上にオーラルさんってえらい別嬪さんやとはたまげたわ〜!」

「ふふふ…美人だと褒めていただき、ありがとうございます…」(うふふ…印象的には年相応のおてんばな所もある印象ですが、その歳にしてはなかなか常識のある子だとは驚きました。何が何でも生きるという希望に満ち溢れていて、歳にしては思った以上にしっかりしているようですね…)

オーラルは【Keito】の人間性をよく観察し、肝心な今回の試練の合否を説明した。

「では【Keito】さん。今回のあなたの合否ですが、見事貴方の能力が発現されたのを確認したので、今回は合格とします。」

「やったで〜!」

「ですが…乱用はいけませんよ…あなたはまだ【Fランク】の立場。乱用することであなたへの負荷も大きくなり、制御が効かなくなり、最悪あなたの身を危険に晒すだけなのでそれだけは念頭においてくださればと思います。」

「…りょ…了解したで〜…んで気になったんやけどな…もしウチが試練に合格できなかったらどうなってたんや?」

その問いにオーラルは重々しく口を開いた。

「…その時は…私の剣で…!」(ゴゴゴゴ!)

「…!!」(ゾクッ!!)

オーラルの顔は険しくなったが、会話を続けていくうちに…

「…消滅しない程度に気絶させて、今回は残念でしたと結果を送ります♪そ・し・て・【fiducia】を確認せず、安心かつ安全に【paradiso】の世界へ案内しま〜す♪」

「…な、何やねんな…そりゃあ…」(ガクッ!)

穏やかだった。非常に。

「コホン…では、貴女をこれから【paradiso】の入り口まで案内します。こちらに来てください。」

「…ああ、はい。」

オーラルの指示通り、【Keito】は駅の外の扉までついた。そしてオーラルは旅立つ前に【paradiso】について話した。

「では【Keito】さん。よく聞いてくださいね…【paradiso】の世界は13の島で構成されています。もちろん一つ一つの島は文化も価値観が違います。そして貴方はFランクなのでまず13の島のうちに存在するFランク向けの始まりの町へと移されます。現在ユートピア創造士隊の方の紛争も起こっているでしょう。ですがその紛争から生き残り、着々と実績を積んでいき、Eランクから目指して頑張っていただけると幸いです。」

「…一つ質問いいでっか?オーラルさん…」

「なんでしょうか?」

「【paradiso】におる、そのユートピア創造士隊と敵対している人らも存在しとるんか?」

その質問にオーラルは首を縦に振った。

「はい。その者達と対抗している、いわゆるギルドはこの【paradiso】に存在しています。その人達は特に人種関係なく、支援も快く受け入れて雇用も受け付けております。そのために今回の試練をお受けさせた次第であります。きっとあなたの役に立つのではないのかと思います。」

「わかったで〜!…ウチの能力はそのギルドの人にとっても貴重と言ってもええんやな〜!!…尚更自信が湧いてきたで〜!!」

「はい!もしかしたらその能力を見込んでスカウトに駆けつけにくると思いま〜す♪」

「おっ?…その声はオロアはんか〜?」

【Keito】は後ろを振り返ると、案の定オロアが立っていた。

「オロアはん…もしかして見送りに来たんかいな?」

「は〜いその通り〜♪」

「フフッもうほんとこの子ったら〜」(なでなで!)

「えへへ〜お姉さま〜♪」

(仲良いんやな〜!!)

「寂しいんですか〜?」(二コッ!)

「い、いや別に…そんなんとは違うんやけどな…」

「…なんかごめんなさいね…私達の熱い姉妹愛のあまりに嫉妬させてしまいましたね〜」

「そんな小さいのにいっぱい苦労しましたもんね〜…まっ!元気出してくださいね〜♪」

「小さいは余計やで〜オロアはん!!…それにウチはもう大丈夫や!!心配あらへんで!!さてと…出発や!!」

【Keito】は扉を開けてこれから外へ出ようとする。すると、誰かから呼び止められた。

「【Keito】さんお待ちください。」

「ん?あ、イールはん。あんたも見送りでっか?」

「当たり前です。これを持っていってください。もしものための魂の補充薬の入った袋の詰め合わせです。」

イールは親切にも、もしもの時のための救急用品の入った袋を【Keito】に渡した。その様子から、三姉妹の中でも常識があってしっかりとした印象を持っていた。

「うわ〜ホンマに!?助かるで〜!!…ウチからしたら三姉妹の中であんたが一番苦労してるからかマトモやと思うで〜!…まっ身体には気いつけや!この二人とおるとストレス溜まるやろうしな〜!!」

「…ありがとうございます。」(フッ…)

イールは少し嬉しそうに笑っていた。だが他の二人はその会話の内容に対し、穏便に話を聞いてくれそうになかった様である。

「「…それどういう意味(でしょうか〜♪)ですか!?」」(ニコニコゴゴゴゴ!)

「あ。……あーーー!!」(パーーーン!)

ピューーーン!!

オーラルは【Keito】の背中を軽く押し、オロアは思いっきり関西人独特のノリツッコミのような張り手を背中にお見舞いし、【Keito】を思いっきり外へと飛ばした。

「全く、あんな小さい姿をしては良識のある子だと思いましたのに…失礼なことを言いますね!ね〜オロア♪」(二コッ!)

「はい、オーラル姉様〜♪…あ〜思わず関西人独特のツッコミをしてスッキリしました〜♪」(ニッコリ!)

(…【Keito】さん、ここから本番ですよ…【paradiso】では貴女の生きてきた世界での常識が通用する世界ではありません。それをお忘れなき様…)

イールは少し心配そうに【Keito】のことを思い、見守る。

・・・
・・

🎼Back Ground Music 》》》




J島【Kagoya】F町通り・昼【Paradiso】歴1995年6月16日

「あ〜…いたたた…あれ?ここどこな?」

【Keito】は周りを見渡すと、そこは町外れのくたびれた古民家の家に佇んでいた。その場所はまるで過疎化の進んでしまった町とも言える場所である。それを見ては、身の危険も感じていたため、すぐさま後にしてその場を後にしようと歩く。

「何や辺鄙なとこに移されたな〜…全く関西人独特のツッコミを入れてくるとはオロアはんも人が悪いで〜!…まぁ言ってもしゃあないし、行くか!!」

タッタッタ…

【Keito】は周囲の様子を見ていると、そこは日本文化が選り好みした町であるという事に気づき、馴染み深く感じていた。

「…へぇ〜!!…まるで日本の和の心の町といったところやな〜!!…なんかウチ…運がいいとこに飛ばされたかも知れんなぁ〜♪…なんか旅行にでも来た気分やなぁ〜♪」

タッタッタ…

J島【Kagoya】千夜ノ桜通り・昼【Paradiso】歴1995年6月16日

「…ここは…ん?」

【Keito】は急に背景が変わり、周囲の風景を確認した。そこには、華やかな桜がひらひらと舞っていた。

「何や〜ここ?…6月やのに…桜か?…でもえらい綺麗な場所やな〜!!…まるであの世のようにも…ってここはもうあの世やないけ!!…はぁ…一人でノリツッコミしても寂しいだけやな〜…とにかく歩くか…」

スタスタ…

「ん?…あっ!ヤエカ姐さん…あの子…」「?どうしたの〜トワ?…おっ!?…なんか初めて見る子だね〜!…もしかして観光客…でもあの勲章は…結構新しいわね〜もしかして新参者の現世人なのかな〜??」

そこに、巫女の姿をしたヤエカとトワという二人の姉妹の者達が【Keito】の姿を見かけては、ヤエカとトワは話し始める。

「姐さん…もしかしたらあの子…私と同じようにF町通りから来たのかも…」「ん〜…確かに初めてきたトワのように迷子かも知れないわねぇ〜!…でも今から奉仕活動だよトワ♡!!…反応次第で見極めてやろうか!!…いくわよ〜♪」

リィーン!!…シャラシャラシャラ〜♪

「ん?…おっ!…あれはみ…巫女さんかっ!?…でも何でこんなとこにおるんや?」

「お…見たようだね姐さん!」「ふっふ〜ん!私達の巫女の舞で釘付けにし・て・あ・げ・る♡…じゃあ…行くわよ〜♪」

リィーーン…シャラシャラ〜♪リィーーン…シャラシャラ〜♪

「」(クルクル…)「」(クルクル…)

リィーーン♪…リィーーン♪…シャラシャラ〜♪リィーーン…シャラシャラ〜♪

始まったわね〜! いつ見てもいいわね〜♪ 神楽鈴を鳴らしては舞う姿がほんと上手な巫女さん達だね〜! ヤエカさんが自分からこの【Kagoya】の町の巫女の舞の奉仕活動を続けてもう6年、後から来たトワちゃんが3年にもなるけど、二人共、本当に綺麗に舞うわね〜♪ いつの間にかこの【Kagoya】の顔みたいなものですよね〜♪ヤエカさんもトワちゃんも!! 
 
「…そうなんか〜!…そんなにな〜♪それにしても息ぴったりやな〜!!姉妹なんかな〜?」

「♪」リィーーン♪…リィーーン♪…シャラシャラ〜♪…「♪」リィーーン♪…リィーーン♪…シャラシャラ〜♪…

リィーーン♪

ヤエカとトワという名の巫女は、優雅に舞う桜の花びらの中で神楽鈴を鳴らしては綺麗に巫女の舞いを披露する。その光景を見ていた観客も、有り難みを浮かべては、持参してきた楽器を吹いては鳴らし、二人を鼓舞するかのようにその場を盛り上げていた。

コン!…コンコン!!…プォーーーン♪ ビィーーーッ♪

「…!!そうか〜!…周りの人らも、あの巫女さんのことを応援してるんやな〜!…こうしちゃあおれへんで〜!!…ウチも何か行動せな!!」

【Keito】は巫女の舞を見ては、負けじと思い、自分にも何か出来ると考えてはその場を後にして走り去る。

タッタッタ…

「終わったね〜ヤエカ姐さん!」「そうね〜トワ♡…あら?…いないな〜さっきの子?…一体何だったんだろうね?…もしかしてお化けだったのかな〜?」

「もうヤエカ姐さん!!僕をあまり怖がらせないでおくれよ〜!!///」「あはは!冗談よ〜♪…大丈夫!!トワは絶対ヤエカ姐さんが守るからまっかせなさ〜い♡!!」

ギュッ♡

・・・

🎼Back Ground Music 》》》

 



J島【Kagoya】古都・鍛冶屋街・昼【Paradiso】歴1995年6月16日

「…今度は何や?えらい古い建物がようさん続いてるな〜!…おっ!?…あれは鍛冶屋か?」

千夜ノ桜通りを後にした【Keito】が次に辿り着いたのは、昔からの木造建築が並ぶ古都・鍛冶屋街であった。そこには有数の腕利きのギルドの者が訪れては武器をオーダーメイドしては自分達の武器を自慢し合うものもいた。その光景を見ては、【Keito】は血の気の多い集まりがいるとも感じていた。

「ふ〜ん…ちょっと行ってみるかな〜!」

スタスタ…

「こんにちは〜!」

「…らっしゃい。…ほう嬢ちゃん一人か?…どうしたんだ?…もしかして迷子か?」

「…まあそんなもんやな!ウチは【Keito】!!…今日初めてきた現世人や!!…なんか仕事あれば紹介して欲しいんやけど…」

すると鍛冶屋の男は、首を横に振っては除け者にするかのように促した。

「冷やかしなら出て行った出て行った。」

「!!…わかったわ…ほな!!」

バタン!

「…ハァ…全く冷たいやっちゃあの〜鍛冶屋ってのは〜!!…ハァ…しゃあないな〜…次行くか。」

・・・

その後【Keito】は数々の鍛冶屋を回るも、Fランクと聞いてはギルドの仕事はおろか、この鍛冶屋の町からは腫れ物のように冷たくあしらわれていき、時間だけが過ぎていく。

「…なかなか仕事見つからんなぁ〜!!…何でもいいから何か舞い込んで…」

キャアアーーーー!!!!!ドロボーー!!!

「!?…な…何や一体!?」

「うぉらああ!!!そこどけーーー!!!」

タタタタタ!!

「うぉっ!?…!!…どないしたんや自分!?」

「あの男はひったくりで私の荷物を〜!!…だ、誰か〜!捕まえてください!!」

「…そういう事かいな…しゃあない!!…いっちょやったるか!!」(弓矢構える)

グィーーーッ!

【Keito】の目の前には大男が女性の荷物を盗んでは強奪を図り、逃亡しようとしていた。それを見ては【Keito】はすかさず弓矢を引いては狙いを定める。

「…ウチの能力なら…そこや!!」

【Keito】 ランクF 
【♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡】
ーー
スナイパー能力が発動しました。標的を定めて照準をサポートしています。

バシュン!!

ザシュッ!!

「!!ぐあっ!!…!?…うぉわあああ!!!!」(ポイッ!!)

ステン!…ベチャアア!!!!

ンモーーーーウ!!!

うわ〜!!誰かが牛糞入りのバケツの中に突っ込んだよ!! バッチぃーーー!! アレは、フン好きのベグ(【Beg】)じゃあないか… 前は犬の糞に突っ込んでは、今度は牛糞かよ… なんか足に矢が刺さってる…なんか現世のタイムリープ系の洋画の悪役みてぇに成敗されたな…

「ぐ…うぅ…くそ!!…また牛糞だ…!!俺は糞ってばっちもんがいちばん嫌いなんだぁ〜!!!!」(ジョーーー!!!)

スナイパー能力を使った【Keito】の放った矢が、ひったくり【Beg】の足を見事に射抜き、つまづかせては牛糞入りのバケツに顔からダイブしては、住民の者達から汚物扱いを受ける。すると何処からか、笛の音が聞こえてくる。

ピィーーー!! 御用だ御用だ 御用改めであ〜る♪

【Beg】の周りを、御用見廻組の【近代組】と書かれた、法被を着た【Daito】という隊長の者が現れてはすかさず相手の方を見ては高笑いをして現れるも激臭の匂いのあまりか、すかさず罵声を浴びせる。

「ハーッハハハハハ!!!…ううっ!!く…草!!…こらぁーーーっ!!ベグぅぅ!!また貴様の仕業か〜!?」

「ゲゲーー!?ダイトのお上!!」

「バッカモーーン!!!貴様というやつはまた強盗を働いた上にまたもや身体中を糞まみれにするとは〜!!…お陰でワシらの部署では以前貴様を確保した後も糞の匂いがこびりついては取れんのだ!!!…こうなったら!!…おい汚物処理班!!ベグの身体を便器のように隅々まで洗浄したのちに確保するんだ!!」

ヒャッハー!! コイツはクセェ〜!! ボットン便所みてぇな匂いがプンプンするぜぇ〜!!!!

【Daito】の命令で、防護服を着た特殊清掃班の汚物処理班が現れ、タワシや消臭剤、そして芳醇剤を用意しては、【Beg】の身体をまるで便器をブラシで擦るかのように隅々まで洗い流していく。

「ヒャッハ〜!!汚物は消毒だぜ〜!!」「ほらよ芳醇剤のシャワーだ!!」「たんと飲むがいい!!」

ジュワァアア!!!…ゴシゴシゴシ!!! ※大変危険ですので絶対に真似をしないでください!

「ウブ!!や…やめてくれーー!!!!グァーーー!!!…目が〜!!目がし…沁みるーーー!!!!!」

ギャーーーーー!!!!  ※くどいようですが…大変危険ですので絶対に真似をしないでください!

「うわぁ〜…あんなんまでおるんかいな〜…ホンマに摩訶不思議やの〜この世界は…ん?」

「あ…ありがとうございます!!…おかげ様で私のお荷物は無事です!!…本当に助かりました!…あら?その勲章…もしかしてあなた現世人ですか?」

「はいそうです〜!!…え!?…もしかしてねえさんもかいな!?」

「はい!あ、自己紹介遅れました。え〜私はここ【Kagoya】の町の大正通りにある【河原木亭】の管理を任されている【Senno】と言います!セノでいいです。ランクはAで、もうこの【Kagoya】に来ては10年以上はここで生活しています。」

「へぇ〜!!長いもんやな〜!ベテランちゅうやつか!?…ウチの名は【Keito】!!ケイトでええで〜!今この町に来たばかりの現世人でな〜!!…今仕事を探してるとこなんや!!」

「そうですか〜!…あ!!もし宜しければ心当たりのある方がいるので、一緒に行きませんか!?」

「ホンマに!?えらい助かるわ〜セノさん!!…で?その人の家は何処にあるんで?」

「はい!…今からこの弁当を届けに行きますので一緒に行きましょう!…どうぞついて来てください!」

スタスタ…

「了解やで〜♪」(ルンル〜ン♪)(ウチ意外と運いいかもな〜♪)

・・・

J島【Kagoya】下町通り・昼【Paradiso】歴1995年6月16日

「こんにちは〜【Orubin】さん!セノです〜!弁当をお持ちしました〜!!」

「〜ん?…!?…ドッキンちょ///!!おお〜!!愛しのセノちゃ〜んではないか〜♡!!うほ〜♡」(ダダダ!)

ダキィーーー♡!!!

「ひゃう!?///…あらあら〜♪もうダメですよ〜【Orubin】さん!」

「ふふふ〜良いではないか良いではないか〜♪…そ〜らウリウリ〜♡」

ムニムニ♡

「!!///はぅっ!?///…はぁ〜ん♡!!そこ…だ…ダメェ〜♡///!!」(テレテレ///)

「おお〜♡やはりセノちゃんのその色っぽい声とふくよかなヒップは最高じゃ〜!!///あぁ〜極楽じゃ〜♪生きててよかった〜♡長生きするもんじゃな〜♡そらぁ〜ウリウリ〜!」(ホワホワ〜///)

「いやぁ〜ん〜♡もう【Orubin】さんダメですよ〜♡こんな昼間にぃ〜♡///」」(うっとり♡///)

「………」(イラッ!!)

ピョ〜ン!!…バキィッ!!

「はうっ!!…う〜ん…」(グッタリ〜☆)

「あらっ!?ちょ…ちょっとケイトさん!?」(アセアセ!)

【Orubin】は【Senno】のデリケートなヒップを揉みしだいては感触を味わって楽しんでいた。それに対するセクハラ行為を見ては苛立ちを覚えた【Keito】は高く飛んでは【Orubin】の頭をゲンコツしては静止させた。そして罵声を浴びせる。

「〜///こんの〜…セクハラスケベ親父!!///痴漢!!///変態!!///…で、セノさん…このスケベジジイは一体誰なんや!?///」(プンスカ!ビシッ!!)

【Keito】は頬を赤らめては指をさしては【Orubin】を睨みつける。すると【Senno】は丁寧に挨拶する。

「あ、すみませんね!…この人は【Orubin】さんといって、元猟師ギルド兼鍛冶屋ギルド【Melton】(メルトン)所属の頭領をしていたユートピア人なんです!…こう見えて超一流の鍛冶屋職人なんですよ〜♪」

「!!…どえええ!?…こ…このじいさんがか〜!?…何やえらい人は見かけによらんのやなぁ〜…」

【Keito】は【Orubin】の事を知り、驚愕を覚えた。そして【Orubin】は立ち上がっては、挨拶をした。

「全く、年寄りにゲンコツとはじゃじゃ馬娘じゃの〜!!」(プンプン!)

「誰がじゃじゃ馬娘や!!歳頃の娘が見てる前で堂々と女のケツ触って平然としては見せつけるようにセクハラすなや〜!!///」

「な!?…なんじゃと〜!!老い先の短いジジイの至高の趣味を愚弄するな〜!!」(ぷんぷん!!)

「なんにが至高や!!??///…んな下品でスケベでいやらしい最低なもん趣味にするなや〜!!!!///…こんのド変態!!ドアホ!!!!!///変態色欲忠実エロジジイ〜!!!!!///御用見廻組は〜ん!!ここにセクハラ働くエロジジイいまっ!!んむむむむ〜///!!!!」(じたばた!!)

「そうはさせんぞ〜♪…んふふ…これで呼べまい!!どれどれ…はぁ〜…何じゃ〜…まだまだ発展途上の残念な身体じゃの〜…まあ仕方ないの〜!…お〜!!そうだったセノちゃん!!いつもおいしい弁当を届けてくれてありがとうな!!」

「いえいえ♪【Orubin】さんの事は【Melton】で色々お世話になっておりますし、いつもおいしい食材を届けていただき、本当にありがとうございますね!」(ぺこり!)

「あ〜!いいんじゃよ!!…それに…セノちゃん…君は色々苦労をかけておるじゃろ…ワシも出来れば助けてやりたかったんじゃ…彼…【河原木亭】の亭主の【Kawara】(カワラ)くんの事をな…」

「!!…そ…それは…も…もう大丈夫ですよ私は…【Kawara】様が亡き後…私が責任を持って【河原木亭】を管理していますので…」

「…!?」(ど…どういう事や!?…一体…セノさんに昔…何があったって言うんや!?…って!?///)

【Keito】は【Orubin】と【Senno】との間に、何かあるような会話が気になっていた。しかし先に口封じする【Orubin】を無理矢理引き剥がす。

「ええからいい加減放しや〜!!…あ〜…苦しかったで〜!!ホンマに〜!!///」

「おおすまんすまん!…でおチビちゃん名前は?」

「誰がおチビや!!…ハァ…まあええわ!…ウチは【Keito】!!…ついさっきこの【Kagoya】っちゅうF街から来た現世人や!!…今セノさんに、仕事について心当たりがある言うてアンタんとこに尋ねに来たんや!!ちなみに武器は…この弓矢や!!…導き人の試練でウチ自身から貰ったもんや!!」

【Keito】は呆れ口調で、【Orubin】に目的を説明する。武器を見つめては、笑みを浮かべては有言実行かつ迅速にこう話した。

「ほ〜う!…仕事とな!!なら話は早い!!…じゃあ早速やってもらおうか!?」

「!!…なっ!?早いな!!…んで一体何をすればええんや!?」

「しばらくすれば来るよってにじゃ!!…おっ来たか!!…お〜い【Nelva】!!」

ガラララララ…

「…あいよ〜親方〜!!邪魔するわな〜!…おっ!?…もしかしてそのちっこいの親方の家にいるってことは【Melton】所属希望の奴か〜!?…どれどれ〜?」

ジィーーー!!

「…!!」(な…なんやこのオバハンは?…!?)

「……ガハハ!!」

ガキーン!!

「い…いった〜!!…い…いきなり何すんねや!?」(ジンジン…)

【Keito】は突然【Nelva】という女性に身体をジロジロと見られては観察され、顔色で失礼な事を考えているとわかり、気に障ったのか鉄拳制裁をお見舞いされる。すると、【Nelva】はそれを見てはゲラゲラと笑いながら、こう言い放った。

「ガハハハ!!アタシをオバハン扱いするからだよこのガキンチョ!!…でもアタシのこの愛の鞭に耐えられては、さっきもチラッと見てたが現世人独特の【Fiducia】かよう分からんが…射撃系統の能力もあるなら、申し分なさそうだがね〜!」

「!!…あの現場見てたんかいな〜…ってそんな簡単で良いんかいな!?」

「まあな〜!!ウチんところは万年人手不足だからね〜!!…アンタ名前は?」

「【Keito】言います!…ケイトでいいです。」

「いい名前やないか!!アタシはさっき親方言うたように【Nelva】いうもんだよ!!!生きのいい空元気のガキのようだね〜!!…ほな!!早速狩りにいくよ〜!!グズは嫌いだよ!!」

ガシッ!!ズザザザザザザ…

「え!?…えええええぇぇぇ〜!?…そんな突然すぎるで〜!!」

【Keito】は【Nelva】に手を引かれては引き摺られながら何処かへと行ってしまった。それを見送った【Orubin】と【Senno】は心配そうに呟いた。

「【Orubin】さん…ネルヴァさんに連れて行かれましたけど…ケイトさん大丈夫なんでしょうかね〜?」

「あやつなら心配いらん!…大丈夫じゃろ…なんか昔の【Nelva】のような面影を持った雰囲気もある娘じゃ!!…それにあの目はまるでな…セノちゃん…」

「…え?」

《どんな局面でも逆境にブレず、必死に生きようとする獣の目をしているんじゃ!》

・・・
・・

B. いいえ

《Capitolo・4》
続きを読みますか?

🎼Back Ground Music 》》》




・・・

〜J島【Kagoya】周辺の高原・昼【Paradiso】歴1995年6月16日〜

「ここが狩場や!!明日からアンタはここ担当だよ〜!!しっかり狩るんだよ〜!!」

「エライ広い草原やな〜!!…ん?…!?…な…何や!?あのデっカイウサギは!?」(ビシッ!!)

「あそこにいるのは【paradiso】の世界に住んでる独特のウサギで【Graconiglio】(グラコニジオ)言うんだよ!!…毛皮にすれば売れるけど、肉は不味いんだよ!!」

「そうかホンマ摩訶不思議やな〜この世界は〜…【Nelva】はん……!?」

ガキーン!!

「いった〜!!今度はなんや〜!?」

「ガハハ!!こんのバカチン娘!!いちいち【Paradiso】名で言わんとアタシのことは今日からネルヴァ頭領と呼ぶんだよ!!」

「…ネルヴァ頭領!?つかバカチン娘って何やねんなぁ〜!?そもそもいちいち挨拶代わりに人様の頭どつくなや!!」

「ガハハハ!!これもまた愛情だよ〜♡細かいことは気にするんじゃあないよ♪!!…あとこれ今日の獲物リストだよ!!目をかっぽじってよく見るんだよ!!」(ピラッ!)

「おっと!…ほ〜うどれど…れ…!?」

【Keito】は【Nelva】から渡された獲物リストの書類を目に通す。そこには危険生物の情報があれば、遭遇した場合どのように対処するかが明確に書かれていた。そして今日来たばかりの【Keito】に実行出来るのかが、分からない内容であった。

「…こりゃあ…思った以上にヘビーな仕事やな〜!……で…このデンジャーリストの【Orso nero】(オルソネーロ)ちゅうのは何やねんな?」

「ああ〜それはだね!!…この【Paradiso】に住む黒熊の名前だよ!!…体長2mはあって性格は凶暴だからまだ来たばかりのアンタでは敵わないから見かけたらすぐに逃げるんだよ!!」

「く…熊!?…こんなとこにもおるんかいな!?…はぁ…熊か〜…」

「ん?…何だいアンタ?熊苦手なのかい?」

「まあな…実はな…ネルヴァ頭領…」

【Keito】は【Nelva】に自分の死因を説明した。その話を聞くと熱い涙を流しては思いっきり【Keito】を強く抱きしめては慰める。

ポロポロ…ブワァアア!!!!

「うぉおおお!!!!そうかいアンタ〜!!現世ではそんな苦労してたんだあああねええええええぇぇ〜!!!!!」(ジョーーー!!!)

ギリギリギリギリ!!!

「い!?…痛いっちゅうねん!!!ウチはもう大丈夫やから…いっ!?いだだだだーーー!!!」

「そうかいそうかい!!じゃあとことんアタシが親のかわりに責任持って教育しては鍛えては可愛がってやらんとねぇ〜!!」

その後、ウチはこのネルヴァ頭領から狩りのノウハウや、大自然で生き残る術をみっちり頭と身体に叩き込まされたんや。そして夕方になっては一通りの狩りを終えたんやけど、そこで突然こんな事を言い出したんや。

〜【Paradiso】歴1995年6/16/【J島】【Kagoya】周辺の高原・夕〜

ピューン!!…ザシュッ!!

グァアア!!……

「よ〜し!仕留めたで〜!!…まあスナイパー能力使っては弓矢で狙い定めればこんなもんかいな!!」(スンマヘンな!成仏してクレメンスやで〜…)


【Keito】 ランクF 
【♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡】
ーー
戦果ポイントが加算されました。次のランクアップまで残り※※※です。

「よ〜し!!じゃあケイトそろそろ戻るか!!あとお前はこれからは【Orubin】親方の家で寝泊まりだよ!!」

「!!どえええぇ!?…う…ウチがか!?な…何でや!?」

「アンタは来てからまだ日が浅いだろうに!…つ〜わけで教育と、親方の面倒も兼ねてだよ!!頼んどくな!!」

「ホンマかいな〜…はぁ〜…ウチもあのセクハラ親父の餌食になるんかいな〜…」

「いんや!…アタシも何故かね〜長い間親方の世話してきたけど、ボディータッチとか何もなかったんだね〜…ハァ〜残念だよ本当に…何がいかんのかね〜…」

「……!!」(あ…あ〜んのエロ親父〜!!人を見かけで抱きついたり体触ったりしとるんか〜!?…よ〜し帰ったらみっちりしごいたるわ!!!)

ゴゴゴゴゴゴゴ…

「…ガハハ!」(こりゃあ見所のある期待の新人が来たようだね!…明日からみっちり教育してはしばらくの期間で【Mistia】山の【Mist garden】にでも案内してあげるかね〜!【Melton】の奴らにもトム(【Tomson】)とかにも紹介しないとね…)

スタスタスタ…

グルルル…

「!!…どえええ!?…あれって!?」

「!!あれは…ハァ〜!!まいったね〜もう最後の最後に貧乏くじ当てるとは〜!!ついてないようだね〜!!」

二人の目の前に現れたのは、獲物を捕食した後からか、顔中が血まみれになっており、体長2m以上はある【Paradiso】世界に住む黒熊【Orso nero】(オルソネーロ)が立ち塞がった。そして二人に狙いを絞ったからか、鋭い眼光で睨みつけている。

「グォオオ…」

ギラァアア!!!

「あの目は!?…あん時と一緒や…確実にウチらを標的にしとる目や!…こりゃああかんでぇ〜……ネルヴァ頭領!!こんな時どうすればええんや!?」

「…一つだけ方法があるんだよ…」

「その方法って何や!?」

「それはなぁ〜…」(ニタァ〜!)

「…それは…?」

【Nelva】は笑みを浮かべては、踵を後ろにしては駆け足を行ってはこう宣言した。

「逃げる!!!!」

「それしかないわなぁあああ!!!!」

「グォオオオオ!!!!!」

ドドドドドドド!!!

「!!ってぇ〜!!向こうしか足早いやんけ〜!!」

「まあ見ときな…ここだよ!!空高く飛びな!!!」

「ええっ!?…うぉらあああ!!!!」

ピョーーーン!!!!

「グウォオ!!………!!」

バキバキバキ!!…ヒューーーン!!…ドシャーーーーン…!!!!

「…ぐ…グォオ………」

コテッ〜★

黒熊【Orso nero】はあらかじめ【Nelva】が仕掛けていた落とし穴に嵌り、下の深い穴に転落しては気絶した。

「よっと!!はっは!!どうだい!!黒熊如きがユートピア人を甘く見るんじゃあないよ〜!!!」(キラキラ!)

「お…落とし穴かいな〜…ってぇ〜!?…間違って他の旅人の人らがアレに引っ掛かったらどないすんねん!?」

「あっ!?…それは考えてなかったね〜!?…まっ!そん時は引っ掛かった奴らの自己責任だね〜♪ガハハハ!!!!」

「(・ー・)」

んなアホなぁあああ!?

・・・

J島【Kagoya】下町通り・夜・【Orubin】の家【Paradiso】歴1995年6月16日

🎼Back Ground Music 》》》

 



「ガハハハ!!…お待たせしたねぇ〜♪」「お待ちどおさん!」

コトッ!

【Keito】と【Nelva】は自信満々で一品のシチューを【Orubin】に差し出した。動物の肉が使われては丁寧にアクを取り、野原で採取した野菜をふんだんに入れた一品であり、それを見ては、【Keito】の方を見る。

「ほぉ〜!…ケイト!お前料理を作れるのだな?」

「こんなん朝飯前や!シチューくらいならお手のもんやで!!」

「隣で見てて思ったけどなかなか筋の良い子だよホントに!!狩ってきた獲物をパパッと料理して丁寧にアク取りもしたんだよ!!なっ!?ケイト!!」(パンパン!)

「あだ!…もうネルヴァ頭領痛いがな〜!!…まあウチは現世ではかなり広大な土地で寒いとこで生活してたし、隣には舞香っていう幼馴染がおってはよう料理したからな〜…こんなの慣れたもんやで〜!!」

「そうじゃったのか…ん?ネルヴァ…どうしたんじゃ…?」

ポタポタ…ブワッ!!

「うぉおおおおお!!!!」(ジョーーー!!)

「ウォッ!!だからネルヴァ頭領〜!!や〜か〜ら〜!!やめんかいな〜!!」

「本当に辛い思いしたんだぁあねえええ!!!こんなおチビでオドオドしいと思ってたけど、色々苦労しては強く生きようとしたんだぁあねえええ!!!!」

ジョーーー!!!!

「【Nelva】は抱きついては涙を流していた。そしてすかさず、【Keito】の頬を顔同士密着し合い、摩擦する。すると摩擦熱が生じたのか、【Keito】の頬に熱が生じた。」

スリスリ!!…ジュジューー!!

「あ…熱〜っ!!…あ〜もう!!や〜か〜ら〜!!痛いってのネルヴァ頭領!!いつまでもアホやってやんと飯食べようや!!」

「なっ!?アホだってぇ〜!!人の親切を踏み躙るもんじゃあないよ〜!!…はぁ〜…」

ガキーーン!!

「いった〜!!…また鉄拳制裁かいな〜!と・に・か・く余計なお世話や!!…この厚化粧レスラー体系ババア!!」(クワッ!)

「なっ!?なんだって〜!?このちんちくりん!!」(ビシッ!)

「だ…///誰がちんちくりんや〜!?」(プンプン!)

ギャーッ!! ギャーッ!! ギャーッ!!

【Keito】と【Nelva】の口論はますますヒートアップしていく。それを見かねたのか、【Orubin】はシチューを一口口に含んでは温かい目で見守っては見物している。

「はっはっは!…いや〜賑やかになったもんじゃあの〜!…そうか…今日からウチの家に似たような同居人が増えたんだな〜…ふむ!なかなか美味いな!!…大自然の味がするのぉ〜!」

【Keito】はここ【Kagoya】での生活が始まった。最初のうちは【Nelva】のしごきもあり、慣れないことだらけであったが、着実に実力を磨き、少しずつ前へと進んでいく。現世での舞香との約束もあり、彼女はこの【Paradiso】の世界で生き残るために孤軍奮闘していく。

・・・
・・


J島【Kagoya】下町通り・昼【Paradiso】歴1995年12月16日


月日が経っては半年後…

「うほぉ〜!!この下町通りに!!…なんてナイスバディーで綺麗な巫女さんなんじゃ〜♡!!」

ダキィ♡!!

「おっと!!

ある日、下町通りで奉仕活動をしていたサイドにポニーテールでぱっつん髪の華のある巫女の女性が【Orubin】に抱きつかれては驚いた様子ではあったが、すぐに落ち着いては明るく挨拶する。

「…あら〜?あなたは確か下町通りの元【Melton】の有名鍛冶屋の【Orubin】さんじゃあないの〜!!♪どうしたの?…もうだいぶご高齢だけど身体は元気かしら〜♪?」

「おお〜!!ワシの名前を知っているとは、結構ワシも有名なのじゃな〜!!…あ〜それにしても巫女さんや〜!!本当にいい匂いがするの〜♪」(スリスリ!)

「あらあらおじいさんたら〜♡あなたもこのヤエカお姉さんの虜なのね〜♪…で〜も〜…ごめんなさいね〜おじいさん♪…私にはね〜…」

「ん〜…ああっ!!ヤエカ姐さん!!見つけたよ〜も〜う!!早く行くよ〜!!」(プンプン!グイグイ!)

「あ〜!!♡トワ〜♡やっぱりか〜わ〜い〜い〜♡♡♡!!!」(ダキィイイ!!!!)

ギューーーッ!!!

「い!?…いだだだだだ!!!ねっ!!姐さ〜ん!!!!」(ジタバタ!!)

「うんふふ〜♡ト〜ワ〜♡!!…私を見つけたご・ほ・う・び♡!!」

チュッ♡

「!?〜///!!も〜う!!恥ずかしいよ〜ヤエカ姐さ〜ん!!///みんな見てるから〜!!///」(ジタバタ!)

巫女の姿をしたヤエカはトワのおでこにキスをする。その姿を微笑ましく見ていた下町の住民は、温かく見守っていた。

あらあら〜!! ウフフ!またヤエカさんとトワちゃんだね〜♪ 本当に仲のいい姉妹よね〜♪ いつまでも元気にいてもらいたいものね〜!!

「ふんむ…」(…なるほどの〜…この【Kagoya】の住民の皆にも愛されている姉妹のようなのだな!…ん?あのヤエカという巫女さんが持っている刀…アレはまさか大業物なのでは!?…よし!)

【Orubin】はヤエカの持つ刀を見て何かを閃いたのか、巫女の服を着たヤエカに近づいていく。

「そこのヤエカという巫女さんや!…その刀…大業物かの〜?」

「え?…へぇ〜!わかるんですか〜!?【Orbin】のおじいさん?」

「ああ〜!…それに、その形は…もしかして現世の時代の刀ではないか?」

「お〜当たり〜♪流石鍛冶屋さんだからよくわかるわね〜!…これはね…【桜花月輪刀】と言って、現世の私の母から…餞別で送って貰ったんです!…でも刃が錆び付いているからか抜刀できなくてね〜!困っていたの!」

「そうか!!ヤエカちゃんは現世人なのか!?…もし良かったらその刀…うちで預からせてくれぬか!?…何悪いことにはしない!!無償でその刀を修理して見せようぞ!!」

「ええぇっ!!無償で!?…ほ…本当ですか!?何処へ行ってもこの刀を直してくれる鍛冶屋がいなくて私も困っていたんです!!…でも…本当なんですよね…?…盗んだり売ったりはしませんよね〜♪」(ニコニコゴゴゴ…)

ヤエカは笑顔で睨みつけながら【桜花月輪刀】を大切そうに持っている。それだけ愛刀とも呼べるくらいに大切な刀である事が伝わる。【Orbin】自身は誠意を見せ、こう強く宣言する。

「ああ約束するぞい!!必ずその刀を治して君に返そう!!…それに…ヤエカちゃんのそのナイスバディに触った分!きっちり丁寧に仕事させてもらうぞい!!」

「へぇ〜♪…そう…そこまでいうのなら…じゃあ…ふふ♪」

チュッ♡

「!!んほぉ〜♡!!///」(ドキン!ボン!!)

「ね…姐さん!?///」

「ウフフ♡サ・ー・ビ・ス♡…じゃあ…はい!」

カチャッ!

「…うむ!!」(キリッ!)(質感…そして重量…質…間違いない!!…これは間違いなく本物だ!!)

「では。下町通りにも仕事でお尋ねすることがありますのでちょくちょく見にきますね!…私の母からの贈り物の刀を…どうかよろしくお願いしておきます!…では頑張ってくださいね【Orbin】さん♡!…じゃあトワ〜♡行こっか〜!!…むぎゅ〜♡!!」

!!///だ〜か〜ら〜!!ヤエカ姐さ〜ん!!離しておくれよ〜!!/// あははて・れ・な・い・の!♡

タッタッタ…

「よし!待っておるのじゃ!ヤエカちゃん!!…必ずこの刀を直して見せよう!!」

トトトト…

・・・

「ただいま〜!…ん?何や〜親方?刀の修理か〜?」

「ああケイト!【Mistia】山から帰ってきたか!…実は今な…刀の修理を頼まれてな〜!」

「へぇ〜!…ん?でもこれ…この【Paradiso】の世界の刀とは違うようやな〜!…かなり上物の刀やな!!」

「おお!ケイト分かるのか!?」

「へへ〜ん!まあネルヴァ頭領から色々ノウハウ学んださけにな〜!!」

「そうか!!…じゃがの〜…思った以上に錆がひどいせいか、刀が抜けなくての〜!」

「ん〜錆か〜…!!…おおっ!!そや!!これならどうやろか!?」

ジャーーン!!

【Keito】は何かを取り出した。それはどうやら錆止め兼錆落としのスプレーであった。それを見ては【Orubin】は質問した。

「ほぉ〜錆落としのスプレーか〜!じゃがそれを一体どこで貰ったんじゃ?」

「これはなぁ〜!…ネルヴァ頭領と一緒に【Mistia】山の【Mist garden】に行った時に仲間のトム(【Tomson】)から、【Copel】(コペル)っちゅう科学ギルドチームに所属しとるユートピア人の【Elto】(エルト)っちゅう人からサンプルで貰ったらしいんや!!…一回試してみたらどうやろか!?」

「…うむ!よし!」

シューーー…シュワシュワ〜!

「何や…えらい泡やな〜…でも中まで浸透していくで〜!」

【Keito】と【Orbin】は【桜花月輪刀】の隙間に注入し、錆を取っていく。そしてしばらくしてから、泡がなくなり始めてきた。

シュワシュワ……………

「お!どうやら泡が無くなったようやで〜今ならいけるんと違うか親方〜!?」

カチャッ…

「どうじゃろうか…フン!」

グググ………ジャキーン!

【Orbin】は【桜花月輪刀】を抜刀する。その刀身は全体が錆び付いており、かなり年季の入った代物である。

「!!おお抜けたで〜!…でも…思った通り刀身がえらい錆び付いとるな〜!どおりで抜けんわけやで〜これ!」(ほほーう…)

「安心せい!!…こんな刀身にこびりついた錆なぞ!…歴戦の鍛冶屋の仕事を括り抜けてきたワシの力でなんとかしてみせるぞい!!…さて磨いていくとするかの〜!」

キュッ!…キュッ!…キュッ!

【Orbin】は【桜花月輪刀】の錆び付いた頭身を特製の研磨剤で磨いていく。すると【Keito】が差し入れを持ってきたようである。

「親方〜差し入れ置いとくで〜!」

「ああ!そこに置いておいてくれんか!?…ええい!…なかなか錆が落ちんな〜!…じゃがやはり大業物だからか…所々刃の波紋が綺麗に浮かび上がっておるわい!…まるで桜の花びらのように華やかな波紋をしとるようだな!…余程大切にされてきたのじゃな…!」

キラーーン☆

「…へぇ〜…」(エロジジイなとこもあるけど、それでも武器に関しては仕事熱心で情熱を持っとるんやな〜…ウチもそういうとこ見習いたいもんやで〜!)

・・・

その三日後。

「ごめんくださ〜い!…【Orbin】さ〜んいますか〜?ヤエカです!」

三日後に【Orbin】の家にヤエカが訪ねてきた。そして、その声を聞いたからか、【Orubin】はヤエカの前に現れては姿を確認しては思いっきり胸に抱きついてきた。

「んほぉーー♡!!ヤエカちゃん待っておったぞい♡!」

ダキィィ!!ムニ♡

「あぁん♡もうおじいさんたら〜♡!ヤエカ姐さんにはもっとや・さ・し・く〜♡…で…【桜花月輪刀】どうでしたか?…直りました?」

「おお!そうじゃそうじゃ!…ほれ!見事に直したぞい!!…大業物だからかなり貴重な刀身の刀のようじゃったから錆を丁寧に落としておいた!!…ただ鞘はじゃな〜…中身が思った以上に錆が酷いからの〜…それで代用としてワシがオーダーメイドしたんじゃ!!…誠にすまないが…ほれ!」

カチャッ!

「!!へぇ〜♪直ったんだ〜♪…ではでは〜…よっ!」

チャキッ! ジャキーン!!

「…!!…綺麗…!…頭身には桜のような波紋があるのね〜!…流石は大業物といったところかしら〜!!…それに作ってくれた鞘も…白くて…へぇ〜!千夜ノ桜の花びらをモチーフにして象っているのね〜♪♪」

【Orbin】は早速【桜花月輪刀】をヤエカに渡す。受け取った彼女は力を込めて抜刀する。頭身には乱れ桜のような波紋が頭身に彩られており、鞘そのものは、純白の白に千夜ノ桜の花びらを彩ったデザインであり、ヤエカのイメージそのものにしている。気に入ったのか、満面の笑顔で刀を帯刀していき、【Orbin】に感謝の意を伝える。

キン!…リィーーン♪【冥鐘】

「…よし!気に入った〜♪本当にありがと〜う♡【Orubin】おじいちゃん♪…ウフフ♡ヤエカ姐さん!!【桜花月輪刀】を直してくれたあ・な・た・に♡…特別サービスしちゃうぞぉ〜♡!!」

ヌギヌギ…ファサッ!…ムギュ♡…チュッ♡

「///!?んほぉ〜♡おおおおおぉぉぉ!!!!こんな若くてスタイル抜群で…ナイスバディーの…華のある美人なオナゴに抱かれるとは〜♡まさに天国のように極楽じゃああああ!!!!!………あぁ〜〜♡///」(ドキーーーン!!///)

コテーン〜♡

「あらっ!?…んふふ♡…でも【Orbin】さん…本当にありがとうね♪…直してくれた【桜花月輪刀】!!…一生大事にするわね♡!!」(服着る〜♡)

チュッ♡! バサッ!

ヤエカは上着を脱いでは、胸元には淡いピンクの下着を身につけていた豊満な胸部が露わになり、見せつけるとそのまま【Orbin】を優しく抱擁する。それが嬉しかったのか、まるで極楽浄土に行き、昇天したかのように満足げな顔をすると、その場へ倒れ込む。すると、ヤエカは微笑みを浮かべ、頬にキスをし、子供を寝かしつけるように近くの毛布を持ってきて優しく被せ、そのまま外へと出て行った。

・・・

「ん〜?…あっ!?ヤエカ姐さん!!…!?へぇ〜!その刀無事に直ったんだね〜!」

「うんトワ!!それに直してくれた人にね〜!たっぷりお礼もしちゃった〜♡!!」

「へぇ〜!…一体どんなことをしたんだい?」

「ふっふ〜ん〜ヒ・ミ・ツ♡!!」

「え〜?」(一体何をしたんだろう…)

J島【Kagoya】下町通り・夕【Paradiso】歴1995年12月19日

「ただいま〜…!!…うわ!!親方!?どないしたん…や…?…あら〜!…何や幸せそうな顔やな〜…なんかええ夢でも見てるんかね〜…ま、どうせ女の身体触ったりしてるような碌でもない夢やろ…まあええわ♪さ〜てと…飯の支度でもするかの〜♪」

「zzz〜♡」

【Keito】は【Orubin】を優しく寝かしつけては先に夕飯の準備をする。そして【Orubin】の取った行動が、数年後に【Luster】使いの伝道者としての可能性の道を繋げていき、後に壮大な【Paradiso】の物語の幕開けに繋がることはこの時、誰一人予想もしなかったーーー

・・・
・・

B. いいえ



《Capitolo・5》
続きを読みますか?

🎼Back Ground Music 》》》



〜【Mistia】山(ミスティア)7/6夜〜

「…そうか…ケイトも色々あったんだな。……【Senno】さんを助けて【Orubin】さんと出会い、そこからあのネルヴァ頭領と出会い、おかげでこんなサバイバル技術やノウハウを学び、ここの山のフィールド探索もお手の物と…ここに来て色々学んだんだな…」

「せやで〜ハクローはん!…ホンマに色々ありましたわ〜!」

【Mist garden】を後にした【Hux・row】達は仮眠中の【Linea】の隣で【Keito】と焚き火をする中、話をしていた。

「zzz…zzz…」

「はは…よく寝てるよな…リーネ。」

「ホンマにやな…でもなんか安心するな〜!…こうしてみんなと居れることがな…」

「?…どういうことだ?」

「いや〜なぁ〜!…こんな仕事をしてるとな〜…見てしまうんよ〜…獲物を狩るどころか、むしろ獲物に狩られるとことかな〜……」

「!!…そうか…ケイト…お前…目の前で誰かが…」

【Hux・row】は【Keito】の発言から何かを察したのか、その真意を探ろうとした。すると、【Keito】はその問いに快く承諾した。

「流石ハクローはん…勘が鋭いな〜。…そうなんや。…ウチの力でもネルヴァ頭領でも苦戦してな〜!目の前で数々の仲間が犠牲になってもうたんや…まさにアレは怪物のような奴やったで〜…まぁ…何とか倒せたけど…」

「…どんな奴だったんだ?一体…」

「【Serpente a terra】(サーペートアテラ)…通称【地蛇】言うてな…硬い外殻に覆われててなぁ〜!地面の中を寝床にして砂漠に生息しとる蛇で…体長は…ざっと15mはあったんや!」

「!!…かなりデカイな…そんなバケモノみたいな生物も…この【Paradiso】にいるんだな…いつ出くわしたんだよ…そんな巨大な蛇に…」

「…それは…アンタら【R・P社】の拠点があるD島のな…かなり外れに砂漠の地帯があって、そこに奴らはおったんや。砂漠地帯の付近には【Jaga】(ジャガ)って砂漠の街があってな、そこで地蛇の被害があってな…それは確かウチが【Melton】に所属して3年くらいの時に遠征で地蛇を狩りに…まあ元より退治するために行っては……奴らと死闘を繰り広げたんや!!」

「…!!」

【Keito】はその過去について、語り出した。

・・・
・・



【Paradiso】歴1998年5/16【D島】砂漠地帯・砂漠の街【Jaga】(ジャガ)

🎼Back Ground Music 》》》

 



「ようやく着いたで〜!…あ〜でも流石は砂漠やで〜ホンマに暑かったな〜…」

「全くだね〜!ふ〜…まさか怪物退治で、こんな遠方まで派遣されるとはね〜!…おいアンタ達は大丈夫かい!?」

ハッ!!ネルヴァ頭領!特に異常はありません!!

気温はおよそ36度以上の熱帯地帯。猟師兼鍛冶屋ギルド【Melton】所属の者達は額に汗をかきながら、砂漠の街【Jaga】に無事に辿り着いた。するとそこに一人のガウンを着ていた男が待ち構えていた。

「…ようこそ【Melton】の一同様。長老様がお待ちです。どうぞ!」

「…一体どんな人なんだろうね〜!…こんなとこにまで呼び出しておいて…!!」

「…長老の居場所は…どうやらアレか…ん?…何や?…何か〜…まるでインドの王宮みたいなとこやな!」

【Keito】と【Nelva】は案内人の男の後ろをついていく。そこには、現世でのインドにある王宮のような場所に着いた。

「こちらになります」

「アンタ達はそのまま待機だよ!…行くよケイト!」

「了解やネルヴァ頭領!!…ほなら!…邪魔するでぇ〜!」

ガチャ!

二人は扉を開けた。すると奥には、頭にターバンをつけては、金の装飾を身に着けていた。高齢男性がいた。しかしその威厳は見られる器を持ったものであった。

「ようこそ。君達が【Melton】の者達だね?」

「そうです〜!」

「で、長老はん…アンタはんの名前は…?」

二人は粗暴の悪い返事をするが、長老は特に血相を変えることもなく、穏やかに自己紹介をした。

「私の名前は【Beiku】(ベイク)…この砂漠の街【Jaga】を長年見守ってきたものだ。そして今回君達を呼んだのは他でもない!…君達のような猟師ギルドの者の力がどうしても必要なのだ。」

「へぇ〜…それで一体何故私達を…?」

「こんなはるばる遠くまで派遣までして呼んだんや?長老はん」

すると【Beiku】は重々しい口調で言い放った。

「…実はな…この街付近で、【Serpente a terra】(サーペートアテラ)…通称【地蛇】の怪物が現れたのだ!」

「…【Serpente a terra】(サーペートアテラ)?」

「…【地蛇】?…何や初めて聞く名前やな……一体どんな奴なんや?」

【Nelva】自身初めて聞く名前であったため、混乱気味であり、【Keito】はその生物の事について聞く。【Beiku】は重い口を広げては、説明した。

「その地蛇はな…全身がまるで、岩に包まれているかのように強固な外殻で覆われており、普段なら1mも満たないのに、何故か突然変異で15mはある個体が、この街周辺に目撃されては旅人を襲うようになったんじゃ!!…それに今も、この街にも目撃されとることも聞いておる!…どうか頼む!…この街を救ってはくれぬか!?」

「なんか物騒な話だね〜!!その話なら…」

「何とかせんとな〜!!…んで?その蛇は一体何処におるんや?」

「それはな…」

ダダダ…ダン!!

「大変です!!長老様!!…現れました!!…奴が!!しかも街中まで!!…!!」

バキャアアン!!!!


🎼Back Ground Music 》》》

 



グギャアアアアアア!!!

    【地蛇】
【Serpente a terra】

「!!…なぁ!?確かに話通り…デカイようだ…ね…!?」

「あ…あいつの口に咥えてるん…まさか!?」

「ね…ネルヴァ…頭…領…助けっ!!」

バクッ!!グギリ…ゴギリ…!!!

「!!…アンタ……やってくれたねぇ〜…!!」(ジャキ!!)(ゴゴゴゴゴゴ…)

「!!…よくも…ウチらの仲間を喰らってくれたなぁ…!!…覚悟しいや!!」(キッ!)(…おとんとオカンみたいになった事を思い出して今にも吐きそうや!けどなぁ…今はそんな場合やあらへん!!…絶対にこのごっつい蛇…仲間の為にも成敗したるで〜!!)

【地蛇】は【Melton】所属のギルドチームの一人を口に咥えてはそのまま咀嚼しては噛み砕き、骨の音が砕けるかのような音をしては、嚥下しては体内に吸収される。それをみては闘争心が湧いた二人は【Nelva】は重量の重いバトルアクスを持ち出し、【Keito】は弓矢を持ち、構えては相手を威嚇する。

……グォオオオ!!!

ドゴーーーーン!!!

「!!土の中に潜ったか!!…!!な、なんだね!?」

サラサラサラ…

「!!地面が陥没していく…!?あかん!滑っていく!!…これはまるで…!!蟻地獄やで!!」

二人の地面には、まるで下に流れ落ちる砂時計のように、みるみるうちに二人を下まで引き摺り込んでは飲み込もうと仕掛ける【地蛇】の攻撃に気づいた。するとそこにいち早く避難していた長老は二人にロープを投げつける。

ヒューーン!!

「捕まるのだ二人共!!」

「ぐっ!!長老!!…すまないねぇ〜…」「助かるで!!…でも…あの蛇公…かなりの強敵や!…迂闊に近づけば奴の蟻地獄に引きづり込まれて食われるときたか…なんか弱点はないか!?」

「…それは…」

「私知ってる!!」

「!!アンジェリカ!?(【Angelica】)」

「!!本当かい!?」「一体奴の何処を狙えば!?」

【Angelica】という少女は、【地蛇】の弱点について説明した。

「あの蛇には額に大きな目があって、そこをつけば怯むわ!…まだ今は蟻地獄で潜んでいるけど、痺れを切らしては出てくると思うから!!」

「…わかった…でも何でアンタがそんな事を…」「知ってるんや!?」

すると【Angelica】と名乗る少女は、丁寧に説明した。

「私は、現世人で探知系の能力者です!先程能力を使って、あの蛇の弱点を探りました!」

「そうかい…それは…」「助かるで!…やけど…現れへんなぁ…」

ゴゴゴゴゴゴ…

パキィイイ!!!!

「!!ぐぁっ!!!」「!?ネルヴァ頭領!!」

突如、土の中から、小型の【地蛇】が現れ、【Nelva】に体当たりしては、身体を大きく強打させる。すると、【Nelva】は小型の【地蛇】を突き飛ばしてはアクスで斬りつけた。

「うぉらああ!!!」

バキ/ィィ!!

グギャア………

「ネルヴァ頭領!!大丈夫か!?」

「アタシなら平気だよ!!…さっ奴がそろそろ顔を出す頃だよ…」

「!!…そのようやな…心なしか、さっきよりも蟻地獄の方の流れが落ち着いてはふっくらしてきてるで…絶対に外さんで〜…」

バシャアアア!!!!

グアアアアアア!!!!

【地蛇】が姿を現し、目を開けた状態で二人を睨みつけている。まるで我が子を殺されたように怒りをも感じられた。すると【Keito】はそれを待ち構えていたかの如く、弓矢を構えては、大技を繰り出そうとしていた



🎼Back Ground Music 》》》

 




【Keito】 ランクE 
【♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡】
ーー
スナイパー能力を発動しました。


キィーーン!!

「!!なっ!?ケイト…アンタ!?」

【Keito】の構える弓矢の先から、心なしか閃光のような光を放っている。そして相手の【地蛇】を睨みつける。

「ここであの蛇公の目を潰したる!!…絶対に許さんでぇ〜…!!」

《ケイト流弓術 一本矢【ライフルアロー】!!!》 

グゥオオオオ!!!

「…そこやあああ!!!」

バシューーン!!ビューーーン!!

ザシューー!!

グォオオ!!!!……!!!

ブン!!!

「!!」

バキィイイ!!…メキメキ!!!

「ぐはっ!!…なああーーーー!!!」

ヒューーン!!…ダァーーーン!!!!!

【Keito】 ランクE 
【♡♡♡♡♡】
ーー

【Keito】の放った矢は見事【地蛇】の目に命中し、相手は視力を失った。しかし突然視力を失ってはパニックを起こし、暴走しては身体を周囲に叩きつけようとした時に運悪く【Keito】の身体は接触し、後ろの壁に強く叩きつけられ、轟音が鳴り響いた。それを見た【Nelva】は安否を確認する。

「ケイト!!無事かい!?」

「…ウチは大丈夫や!!…でも今やで!!そいつの目を狙ってトドメさすんは…今や!!!…頼んだでネルヴァ頭領!!」

「…わかったよ!…よ〜し…ガハハハ!!…いっちょ頭領らしいところを見せてやろうか〜!」

グォオオオ!!!

「勝機!!…そこだね…ハァアアア!!!!」(ブン!!)

ズシャアア!!!!

!!!!!…グオオオオオオオ!!……………

ドォーーーン!!!…ガラガラ…シャラシャラ…

「…ハァ…ハァ…よし討伐完了だよ!…どんなもんだい!!ガハハハ!!」「…やった…で…ほんまに…ぐっ……」

フッ……

【Nelva】の放った渾身の一撃は、【地蛇】の目を力強く引き裂き、そのまま地面に倒れ伏せては、蟻地獄の中へと引き摺り込まれ、身体は粉々になっていく。その様子を見て安堵したのか、【Keito】は気を失った。

・・・
・・


🎼Back Ground Music 》》》



【Keito】の夢の心の中の世界

「…ん?…!?…な…なんやここは!?…岩とか野原が続いとる…荒野っちゅうやつか!?」

【Keito】が気がついた場所は、そこは素朴な世界観であり、荒野が果てまで広がる世界に来ていた。そして【Keito】は疑問を持ちかける。

「ここは、まさか夢かいな?」

「その通りやで!…富美恵!!」

「!!…な!?」

【Keito】は誰かに声をかけられたので振り向く。そこには薙刀を持った【Keito】よりも背の高い女性がいた。そしてすかさず、お互いの成長した姿が嬉しいのか、こう述べた。

「富美恵!!…大きくなったなぁ〜!!」

「…なはは!!…アンタもや…舞香!!…やけど背はアンタに負けたな…」

「どあほう!!…元からやろが!!…ってぇ!!そういう意味やないんや!!…アンタもここ…強くなったようやなぁ〜!!見違えたで〜!!」

舞香は自分の胸をおいては【Keito】に教える。それを見ては笑みを浮かべては、舞香にこう伝える。

「そういうと思たよ!確かに心は強うなったかもなぁ〜…でもな舞香…ホンマにありがとうな!!…夢の中にまで…会いに来てくれてなぁ〜…」(ポロポロ!)

「もう涙流しとるで〜富美恵!…気にすんなや!ウチとアンタの仲やろ!!…それにこの荒野を見てみいや…なかなか絶景で眺めがええやろ!!」

「…そうやな…ホンマに!…それにしてもここ何処なんや!?ウチは確か、【Paradiso】におったはずやろ!?」

【Keito】の疑問に、舞香がこのように答えた。

「ここはアンタの夢の中にある心の世界や!!アンタの世界ではな!【Sognare】と言うんや!!…んでウチはな〜…現世の舞香の…心そのものなんや!」

「!!…それでその姿なんやな……この三年で大人っぽくなったな〜!…ホンマセコイで舞香!…と言いたいけど…ウチはな〜…この姿のままでええと思とる!!」

「!!…富美恵…アンタ…」

【Keito】は笑みを浮かべて舞香にこう言い放った。

「ウチはどんなに身長が低かろうと、これが自分のありのままの姿なんや!!…今更あの時の事は後悔せえへん!!…ありのままの…死んだ時のこの姿で…誇りを持ってウチは絶対に強くなったるで〜!!…見ときや〜!!舞香!!…小さいからってウチを子供扱いしては油断しとると…そのうち痛い目見るで〜!!!」

【Keito】の目には信念があった。例え自分は死のうとも、本来の姿で偽りもなく戦う姿勢を見せている。それを見た舞香は微笑みを浮かべては励ます。

「へぇ〜!…ぷっはははは!!…そうか〜!…まあ富美恵ならそう言うとおもたよ!!…まっ!アンタが元気そうで良かったけんの〜!…しっかり…頑張りや!!」

「…舞香…ホンマおおきにな!!…?…けんの?」

舞香は【Keito】を激励する。するとその近くには、たこ焼き屋でお馴染みの者が現れた。

「おう富美恵!…久しぶりやんか!…姿は変わらんが、それでもここは強くなったな!…見違えたで!」

「!!川原はんん!!…アンタも…来てくれたんかいな!?」

【Keito】は驚いた。そこには川原がいた。そしてすかさず近況を聞く。

「富美恵…お前は本当に大したもんだよ!…この【Paradiso】という世界で、大自然の中でお前は生き残るために必死になっては、逞しく生きようとする姿が眩しく見えるで!」

「んなことあらへん!!…それも含めてな川原はん…アンタのおかげや!!…ホンマにアンタの…桐山はんから学んだ経験がなかったら、ウチは折れてたかもしれん!!…ホンマに感謝するで!!」

「!!…そうか。知っちまったかいの〜!桐山さんのおかげさんで、俺もおかげさまでススキノの顔や!…でも舞香、お前も北海道から出ては広島、色々苦労してるやろ!?」

「!!…広島!?…舞香…それホンマなんか!?」

【Keito】は舞香が何故広島にいるのかについて聞いた。すると、自信ありげにこう話した。

「実はな富美恵!!…ウチは北海道の中学の時にな!薙刀の実力を認められては広島の高校から名門推薦でてな!…そこで広島の方の高校の薙刀部に入っとるんや!!」

「ホンマか!?…それならそうと言ってくれたら…でもそれはそれで両親とか心配したやろに…」

【Keito】の発言に舞香は首を振った。

「…確かに迷いはあった!…それでもウチは決めたんや!…ここからはウチの道やと!!…それに心配あらへんよ!電話もするし、両親もウチのことを応援してくれとる!…やからウチは絶対に負けへん!…富美恵!…アンタから受け継いで教えてもらった事…絶対に忘れへん!!…やから…アンタも挫けたらタダじゃあおかへんで!!」(グッ!)

「…富美恵!!…また会おうや!!…お前の顔を見れてな〜!…俺はホンマに嬉しかった!!…まあ俺自身は富美恵が認知してる俺なんやけどな!!…でも俺達はいつも一緒だ!!…頑張れよ!!」(グッ!)

「!!…おおきにな…お二人はん…!!…ってぇ!!泣いとる場合やないな!!…ウチも絶対に負けへんでぇ〜!!…見ときや〜!…絶対に追い抜いて…上まで上り詰めたるでぇ〜!!!」(グッ!)

コーーーン〜★

その後【Keito】は、二人に招かれては、扉があったので見送られては、最後にこのような言葉を言い放った。

《ウチは絶対に負けへん!…何としてでも生き延びたるでぇ〜!!》

・・・
・・


「…はっ!!…ここは…!!…ネルヴァ頭領!?」

「気がついたようだねぇ〜ここは、【Jaga】内の宿だよ!…アンタもう2日間も寝てたんだよ!」

【Keito】は夢から目覚めては側で見守っていた【Nelva】に声をかけられる。そして、【地蛇】のことについて聞く。

「…あの蛇公どないなったんや!?」

「安心しな!アンタが寝ている後に、アタシの斧で奴の目ん玉を切り裂いてやったさ!!…そしてそのまま蟻地獄に巻き込まれては、自分で消滅しちまったねぇ〜…」

「…そうか…ウチは結局…」

【Keito】は最後まで戦闘に参加できず、気を失って離脱したことに自責の念を入れていた。それを見かねた【Nelva】は拳を作っては振りかぶっては元気付けようとする。

ガキーン!!

「!!いった〜!!何すんねん!?」

「いつまでも過ぎたことをメソメソぼやぼやは命取りだよ!…全く!まだまだ小便臭いガキだね〜♪」

「な…なんやとぉ〜!このガサツ!一生独身女!!」

「!!…ほぉ〜う!!そんだけ元気ならええことや〜!!」

ギリギリ…

「うぉおお!!プロレス技かいな〜〜!!!???」

「ガハハハ!!…どうだい?ギブアップするか〜!?」

「だ…誰がや!?…こんなもん…すぐに抜け出したるわ〜!!」

スポッ!!

「あらっ!?…!!あだっ!!」

【Keito】は小さい身体を利用しては【Nelva】のかけた技から逃れ、足を蹴ってはまるで挑発するかのように言い放った。

「へへ〜ん!…いつまでもガキやと思ってたら痛い目見るでオ・バ・ハ・ン♪!!ほなさいなら〜♪」

ピューーー!!!

「あんのじゃじゃ馬娘が〜!!…この糞ガキャーーー!!!またんか〜〜い!!」

ドドドドドドド…!!!!

「〜♪」(あんがとな…舞香…川原はん…ウチは絶対に負けへん!…いつでもウチはこうして笑顔で笑える!…この【Paradiso】で…必ず強く…)

《生きてみせるで!!!!!》

・・・

〜時は戻り【Mistia】山(ミスティア)7/6夜明けの朝〜

〜チュンチュン…

「ん?…ふぁ〜!…よく寝ましたね。……あら?」

「zzz…」「zzz…」

「!!…まあハクローさんも…ケイトさんも座り込んで寝て……まさか寝ずに一夜中見張りを…ふふ…ご苦労様です!…今から朝食を作りますね♪」

バサッ!

【Linea】は目を覚まし、座り込んで睡眠していた【Hux・row】と【Keito】に毛布を被せ、上機嫌で朝食を作る。二人は波長が合うのか、または何か通じるものがあるからか、仲睦まじく微笑みを浮かべて睡眠を取っていた。そしていよいよここから現世名《池井富美恵》から現世人【Keito】として壮絶な【Paradiso】の世界の命運を賭けた物語が幕を開けていく─────














《To Be Continued…→》


 
 
 

 
 
 


第2話:プロローグ〜富美恵編 Part2
《完読クリア!!》


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