GiorGiaNo

 
《Paradisoシリーズ〜導かれし七人の現世人の冒険譚》

A.:GiorGia

〜ダブルフェイス〜黒豹と法と秩序の契り〜



第10話:山中の刺客 



【Veno・nix】は【R・P】社【Agente】所属の【Beanne】という名前の女性現世人と出会い、 G島の【Olfes】の町にいる【Aria】の行方を追う為にと、二人はまずE島の【Velkana】の街を訪れる。そこで【Eimi】という現世人の女性と出会い、【Olfes】へと向かう為、まずは山を超えた先にある港町【Relvio】(レルビオ)を目指し、教会の外へと出る──────




《Capitolo・1》
物語を開始しますか?

🎼Back Ground Music 》》》



The mind is like an iceberg, it floats with one-seventh of its bulk above water.
(心とは氷山のようなものである。氷山は、その大きさの7分の1を海面の上に出して漂う。)

Most people do not really want freedom, because freedom involves responsibility, and most people are frightened of responsibility.
(ほとんどの人間は実のところ自由など求めていない。なぜなら自由には責任が伴うからである。みんな責任を負うことを恐れているのだ。)

Sigmund Freud
(ジークムント・フロイト)



・・・
・・


【Paradiso】歴1999年12/24【E島】・【Velkana】の外れの山・【Aven】山脈・昼

ザッザッザ…

「かなり鬱蒼とした森もある山なんだな…」

「…何か出てきそうですね…」

「ふっふ〜ん♪ピクニック感覚で進めばいいよ〜♪…さ〜てこっちこっち〜♪」

タッタッタ!

【Beanne】は風をかけるように颯爽と山道を進んでいく。その後をついていく【Veno・nix】と【Eimi】であった。

「…ふふ。…でも何だか安心しますね〜ベアさんの笑顔を見ていると…♪」

「…そうか?」

「はい!…ヴェノおじ様も笑う姿を見ると…何だか私、安心できるんですよ!」

「………」

【Veno・nix】は【Eimi】にそう話され、少し自分の価値観に変化が生じ、実感があるからか、考えに浸っていた様子である。

「……」

「?…あのヴェノさん?」

「…なんでもない。早く進もう。…ベアが先々行っているようだ。」

「!!あっ!!」

「も〜う二人共〜遅いよ〜!!」(ブーブー!)

【Beanne】はご立腹な様子で頬を膨らませては、二人に不満を募らせる。それを見た二人は【Beanne】に近づいていく。

「…すまん。」

「…ご、ごめんなさい!!」(ぺこり!)

「…ふっふ〜ん♪で・も・…ヴェノくん良かったね〜♪ここに来ては異性の人と会って仲良くなっちゃって〜♪」

「…!!///」

「…別にそんなんじゃあない。…行くぞ。…エイミを狙う追手が来るかもしれない…」

スタッ!タッタッタ…

「んもう!相変わらず愛想ないんだから〜!!」(プンプン!)

「…ふふ!」(クールな所もありますが…そこが頼り甲斐のあるお方ですね!)

ザッザッザ…

「…ベア。…後どれくらいだ?」

「う〜ん…後一時間ほどかな〜!」

「…わかった。」

「まだ先は長いですね〜…!!…まぁ〜!!」

スタスタ!!

「?…どうした?…エイミ?…!?」

「へぇ〜!!こんなとこにお花畑がねぇ〜!!」

ひらひら〜!

【Eimi】が見たのは、野原一面に咲いていた黄色の花が囲まれた場所であった。

「あはは!…ん〜!何て絶景でしょうか〜!…私…こんなの生まれて初めてですよ〜!」

「…このような山道にこんな場所があったとは驚きだ。…ベア。…お前ここに来たことは?」

「う〜ん…【Aven】山脈には足を運んでいたけど、周囲を詮索する事は、そんなになかったからね〜!…でもまさかこんな秘境があったとはね〜♪」

「…そうか。…エイミにとっては、現世では今日クリスマスイブだ。…いいプレゼントにはなったな。」

「そだね〜♪…ヴェノくんって意外に人想いなんだね〜♪」

「…さぁ〜な…」(プイ…)

「もう!本当に根暗で可愛げがない人だなぁ〜!!…それならこのベアお姉さんがヴェノくんに〜…大胆なクリスマスプレゼントあげちゃぁ〜う♡」

ムチューー……ガシッ!!

「…やめろ。」(グイッ!)

「むむ〜!…何でぇ〜!?せっかくお子様体型からヴェノくんが好みそうな〜!…こんなナイスバディーなレディーになったのに〜!!…あ〜〜ん♡…もう痛いから〜頭つかんで押さえ込まないでぇ〜!!」(プンプン!)

「ウフフ♪…もう二人共お熱い仲なのですね〜♪」(クスクス!)

「…いらん誤解はやめろ。エイミ。」

「いや〜ん♡…もうエイミちゃんたら〜♡」

・・・

その後も三人一同は山道を歩いていく。その途中には災難が降りかざる。

ゴゴゴ…

「…?…何か…音がする…」

「…そうだね〜♪…こりゃあ何かあるかも!」

「??…一体なんでしょう…!?」

グラグラ…ガシャーーン!!

「!!崖が崩れた!」

「物陰に避難だ!」

「き、きゃーーー!!」

フセッ!

ドガシャーーーン!!!

突然三人の目の前で、崖が崩れてしまい、行く道を塞がれる。

「…くっ!…無事か、お前達?」

「うん!」

「は、はい!…でも塞がれてしまいましたね…」

「…どうすれば…?…ベア?」

【Beanne】は崩れた崖の岩の道の前に立ち尽くしては、自信満々にこう答えた。

「こういう時はベアお姉さんにまっかせなさ〜い♪…それーー!!」


【Beanne】ランクA
【♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡】
ーーー
土の能力が発動されました。


ヒョイヒョイ!!…ドォーーン!!

「!!…岩が…念動力のように持ち上げられ…!?」

「道ができました!!…ベアさん…これがあなたの…!!…べ、ベアさん!?」

「…!!うぅ!!少し頭いた〜い!」(ズキズキ!)

「大丈夫かベア?」

「…うん。…私の能力はね…体への負担が大きくて…体力の消耗が激しいから、多用があんまり出来なくてね〜♪…でもこれくらいならいつものこと!…特に問題ないよ〜♪」

【Beanne】は少し疲れ気味な表情を見せていた。その光景を見ていた二人は心配そうにするも、次第に安堵の表情を見せる。

「…そうか。…だが無理はするなよ」

「ベアさん……私も、治療系統の【Fiducia】があればよかったのですが、私にはそれがありませんから…」

「へぇ〜!ねえねえ!?エイミちゃんはどんな【Fiducia】能力なの?」

「…私は特に大した能力ではありませんが、体を強化したりする…その…補助能力だそうです」

「…そうなのか。…でもその能力は…」

「…【Dail】邸での、その可愛がりに対する痛みを少しばかり和らげる時に使っていそうだね〜♪」

「!!///…実の所…そうでもありますね……うぅ…」(ポロポロ!)

【Eimi】は何か辛いことを思い出したからか、涙を流していた。それを見かねた【Veno・nix】は【Beanne】に注意する。

「…ベア…少し言葉を選べ」

「ごめん、ごめんって!」(アセアセ…)

「いえ、気にしないでください!…それに…私は大丈夫ですから!」

「…そうか」

「じゃ〜そろそろ行こうかな〜!」


🎼Back Ground Music 》》》




♪〜こち亀より奇妙な人々、世界から!・5

ハーッハハハハ!!!そこの旅人の者達よ!…待ちたまえ!

「!?」「!?」「!!だ…誰ですか!?」

ザッザッザ!

「皆の者!…師範代に敬礼!!」

ハハーーッ!!

「…一体何だ?…この集団は?」「お〜!…この人達は〜!?」「え?…え?いったい誰なんですか?」

三人の方に声をかけてきた者達は、何やら拳法服のような服を身に纏った集団達が現れる。するとその集団の間から、おかっぱ頭で奇妙なアホ毛を生やしている師範代のような男の者が現れる。すかさず相手は【Eimi】の前に立ち塞がり、丁寧に挨拶をした。

「どうもごきげんよう!!…そこのシスターさんや〜!…君はもしやエイミさんでいいのかね〜?」

「は、はい…そうですが…あの〜…あなたは〜?」(タジタジ…)

すると師範代のような男が挨拶をし出した。

「ああ失礼したね〜!…え〜私は〜…」

「確か〜♪…自称武道派兼捜索ギルド【Daralia】(ダラリーア)の【Tigel】(タイゲル)さんじゃあないのかしら〜?」

「!!」「な、何故分かったのだ!?」 「貴様何者なり〜!?」

「…ベア。…詳しいんだな…」「まぁね〜♪仕事柄〜、情報収集はお手の物だからね〜♪」「すごいですね〜ベアさん!!」

「…!?」「…ベア?…何処かで聞いたような。……ハッ!!」「まさか…あのオレンジ色か赤毛に近いような金髪の髪色の女で…ベアという名前…!?」「…情報収集に長けている所から…まさか…!!」

「…そうか!そうか〜!…なるほどの〜う!…情報では少女と聞いておったが〜…まさかお嬢さん…あなたが…」

自称武道派兼捜索ギルド【Daralia】(ダラリーア)の者達が【Beanne】の姿を見る。特徴を掴んだ上で、その正体に感づいていた様子である。

「そうだよ〜!…この私こそがあの〜!!……」

「ある諜報ギルドに所属し、囮役として少女専門の人身売買の者達に捕まっては自分から進んで、あ〜んなことやこんな事を快く引き受けていたとされるお色気担当と……その経験人数は、数えきれないとされる…伝説の現世人!!…あのビチクソ合法ロリ……まさに色欲に忠実な女……べアンヌちゃんだ〜!!」「あのロリと言われていた…べアンヌが…この女なのかぁ!?」「まさかとは思ったが…年齢サロンを受けて…こんなボインな姉ちゃんになるなんてぇ〜!!…嘘だろーベアちゃ〜ん!!俺の夢である、ロリコレクションの一人がぁ〜!!」「……ええ〜っ。………お前あっち系…まさかのロリコン専門かよぉ〜…マジ引くわ〜…」

ワーッ! ワーッ! ワーッ!

「どぇ〜!!??///…そ、そっちぃ〜!!??///…で〜もぉ〜♡…っ!…あ〜ん♡言わないでよ〜///私ぃ〜!…照〜れ〜る〜♡」(くねくね〜♡)

「……」(ジーートーー…)「……べ、ベアさん…///」(…意外に…そういう恥ずかしい事が…その…お好きな方だったんですね〜…///)

【Veno・nix】と【Eimi】は【Beanne】に対し、少しばかり距離を取りたいくらいに危ない橋を渡っている、違う意味での方向性を持った危険人物であるばかりに不審な視線を覗かせていた。そして【Beanne】はその行為をまるで合理的な形で相手に返答した。

「あはは!…で〜も〜みなさ〜ん☆…そ・れ・は♡…私が大人の階段を登るためにも必要なことだ〜か〜ら〜♪…ノーカンなんだぞぉ〜♪」(キャピン!)

「ふざけるなぁ〜!!」「べア〜ンヌぅ〜!!…その発言から!そしてその姿に…ロリ好きな俺は…とことんお前に失望したぞ〜!!…こんの汚れビチクソ女がぁ〜!!…コホン。…とりあえず、そこにいるエイミという女を保護させてもらおうかぁ〜!?」「我々は【Dail】邸の主人から、そのエイミという名前の現世人のメイドの娘を保護するようにとの通達が出たのだ!」「覚悟するんだなぁ〜!!!」

「!!…ひっ!!…い…いや…!!…いやぁッ!!///」(ブンブン!!///)

「…なるほど、そういうことか。…なら諦めた方が身のためだ。…もしエイミに…手を出すというのなら…」

ジャキン!

「…おおっ!?ヴェノくん!?」(ウキウキ!)「!?///…ヴ…ヴェノおじ様…///」(ドキドキ///)

【Veno・nix】は【Eimi】を守る為、腕を出して彼女を守り通す姿勢を見せる。その様子から相手は抵抗の意を見せるものと見做し、臨戦体勢に入る。

「な、何だぁ〜?この俳優ヅラのような男はぁ〜!?」「やるってのかぁ〜!!」「こんな棒使い!…師範代が手を下すまでもねえ!!」「師範代に代わってお仕置きしてやる!」

ダダダダダ!!!!

「…はぁーーッ…ダリィヤ!!」

べキョーーン!!

「ぐはっ!!」「げふっ!!」「グォはぁ〜!!」

どっさっ! バタン! バタンキュ〜…

「むむっ!?おい、お前達!!しっかりするのだ!!」

「………」(ブンブン…クルクル…)

ジャキッ!!

「おお〜!!…凄いねえヴェノくん!!何だかその棒を持つ姿〜…なんか現世の漫画で見た如意棒を持った《孫悟空》みたいだね〜!♪」(パチパチ!)「すごいですヴェノおじ様!!///」(…あぁ〜!何て惚れ惚れする棒裁きでしょうか〜///)

「ぬぐぐ…貴様ぁ〜…!!…ヴェノと言ったか〜!?」

「…そうだが?」

師範代の男【Tigel】(タイゲル)は【Veno・nix】を睨みつける。すると、男は鉢巻を閉めて闘志を燃やしていたのだがーーー

「…まあいい貴様は後回しだ〜!!…ではでは覚悟はいいかねぇ〜べアンヌよ〜!?」

「ええっ!?…なんで私な訳〜?」

「むふふ〜♡そ・れ・は…もちろん!!」

「…もちろん?」「…?」

「私が娘好きだからじゃ〜!!…さあどこからでもかかってくるが………!?」

べキィーー!!!

「ぐほーーーっ!!!!」

ダーーーン!!

【Tigel】は誰かの攻撃により、岩の壁に強く激突してクレーターが生じた。二人の目の前には、棒を持った俳優ヅラの男である【Veno・nix】が立ち尽くしていた。

「おおっとぉ〜!?」「…ヴ…ヴェノおじ様…一体何を…!?」

「…【Tigel】……お前の相手は俺だ。…覚悟するのだな。…師範代の男の者よ」(チャキッ!)

「くくく!……よかろう。この私に不意打ちを喰らわせた事を…!!…覚悟するのだな!…ぺぺぺぺ!!!」

「!!」(サッサッ!!)

「つ、唾っ!?…あひゃ〜!!」(ひょいひょい!)「き、きゃーーッ!!!」

【Tigel】は卑怯にも、口の中に埃があったからか、遠距離から唾を吐いては、【Veno・nix】達に攻撃を仕掛けては自信満々にこう語る。

「ハーッハハハハ!!…これぞ現世の警官漫画にあった由緒ある拳法家の技なのだ〜!…クックック!…これで貴様を…私の唾まみれにさせ…不快感を与えて始末させてもらおうぞ〜う!…覚悟するのだなぁ〜!!」(ニチャーー!!)

「…つくづく汚い男だ。…その様子だと…拳法家としても失格のようだな…」

「黙れぇ〜い!!貴様だけには、私の神聖な拳法を愚弄されてたまるかぁ〜!!」(カカーン!)

「…唾を吐く拳法家ね〜…何だか神聖というよりも〜♪」「……とても不潔な拳法家おじさまなのですね…」

「(・ー・)」(ガーーン!!)

シャッ!!ブン!!

バキィイィ!!!!

「あっきやーーーー!!!!!」

キラ〜ン☆

し、師範代ーーーー!!!!!…皆の衆よ!!我が師範代を速やかに追いかけるのだ!!…あの夕日に向かってだ〜!!

あらほらせっせ〜〜〜〜!!!!

ダダダダダダダダダダ!!!!!

【Veno・nix】の渾身な一撃により、師範代の男【Tigel】は空高く飛んでいった。引き連れていた集団の取り巻き達は【Tigel】を追う為、明後日の方向へと直進行軍を執り行い去っていった。その様子に不評するかのようにこう語る。

「…それに…拳法を志す者としては…隙がありすぎる。……無事か…お前達?」(チャキン…)

「うん♪」「…た…助かりました…ご無事で良かったです///…ヴェノおじ様〜♡///」

ダキッ!

「ほうほ〜う♪…これは〜♡」

「エイミ、離れてくれ。…さっきの紛い者の拳法男の唾が付いているかもしれない」

「大丈夫ですよ…///」(スリスリ!)

「…大丈夫ではない。…さぁ…先を急ぐぞ」

ガバッ!!…タッタッタ…

「…あ。…ヴェノおじ様…///…ふふ♡…照れ屋なのですね〜…///!!」(うっとり〜♡)

「んもうヴェノくん!!女の子の気持ちには〜優しく答えないといけないんだよ〜!」(ブーブー!)

「…どうでもいい」

「どうでも良くなぁ〜い!!」

「…ふふ♡」

三人は山道を歩いて行く。そして山中には先程の拳法家による【Eimi】を狙う刺客がいる事を理解した。ここから山あり谷ありの、過酷な道が続いていくーーーー


・・・
・・





B. いいえ


《Capitolo・2》
続きを読みますか?

🎼Back Ground Music 》》》



♪〜TOSより・Rest of the Heart Sanctuary

【Paradiso】歴1999・12/25【G島】救いの街【Olfes】【Aria】の夢の中

一方その頃、世間はクリスマスで賑わう聖夜の日。その中で【Aria】はとても奇妙かつ非現実的な夢の世界の中にいたーーー

「あ、あなたは!?…もしかして初代救済長オルガナ様!?」

「はい。…フフッ……どうも…初めましてですね。……アリアさんとお呼びして頂いても宜しいのでしょうか?」

「…は、はい!オルガナ様!!お会いできて光栄です!!」(ぺこりぺこり!!)

【Aria】は初めて見る初代救済長【Organa】の姿を見てとても驚き、手厚く挨拶をした。その様子に【Organa】は微笑みを浮かべ、控えめにも謙遜の言葉を述べて返答する。

「ふふ!…そんなに申し訳なさそうに頭を下げなくても構いませんのに〜…それに私は、あなた様が思っている程、そこまで立派な者ではありません。…私のことは、どうかさん付しても宜しいのですよ♪」

「ええっ!?そっ、そんな恐れ多いですよ〜!初代でこの【Olfes】の街を一から作った立派な救済長に向かってそんな…」(アセアセ!)

「別に構いはしません…それにあなた様は初めて私の姿を見てお祈りをした時…私をさん付けしたではありませんか〜♪」

「…え?……!!…ああ〜〜っ!?」

・・・

『へぇ〜!初めてこの街を作ったとっても立派な人なのね〜!このオルガナ(【Organa】)さんって人〜…』

【Aria】はその時の会話を思い出したからか、少し申し訳なさそうな気持ちになった。

「…き、聞いていたんですね〜…」(たはは…)

∧( 'Θ' )∧・・・・・・・・

「ウフフ!…本当にユニークなお方ですね〜♪!…まるで…私の…仲間の…」

「…え?」

「いえいえ、こちらの話です。…ふふっ♪…ここでの町の生活にはもう慣れましたか?」

「…は、はい!…ミレイさんとオリアナ救済長のおかげでっ!…私は元気に過ごせています!!」(ぺこり!)

「そうですか。…それを聞き、私も安心します。…ふふっ!…オリアナ。…あなたが日々お祈りをしてくださっているおかげでありますね。…どうか…いつの時代でも、乱世と動乱が続く【Paradiso】の世界に…光輝の力の光による救済の御加護がどうかあらんことを…」

チャキッ!

……ヒィーーーン!!

「!!…十字架の…槍!?」

【Aria】は【Organa】の取り出した十字架のランスを見て驚く。その槍の刃からは、神々しい救済の光が備えられているかのような神秘的な光が照らされていた。

「…ふふっ!…どうですか?…神々しい光でしょう?」

「…は、はい!…思わず悪しきものを浄化するかのような…まるで救済を目的とした神秘の光のようでありますっ!…でもその光…一体何なんですか?」

「…それは、あなた様が後々…理解していくことです。…どうかあなた様に神のご加護があらんことを…」(ぺこり!)

「…あ、これはこれは…ってぇ〜!さっきやったばかりじゃあないのぉ〜!!」(ビシッ!)

「うふふふ!…それはツッコミというものですか?…お笑い…というのがお好きなのですね〜アリアさんは!」

「あ…!…なんか…すいません///」(ぺこり!)

【Aria】は【Organa】に対し、赤面の表情を浮かべて頭を下げる。その様子を微笑ましくなりつつもこう返答した。

「ウフフ!…それもあなた様自身の個性でもあり、救済の形なのです。…どうか自信を持ってくださいね♪」

「は…はい。…でも、一体ここはどこなんですか?…夢の中といえばいいんですか?」

「…感が鋭いですね。…その通りでございます。…ここは夢の心の中の世界…【Sognare】と呼ばれており、【Paradiso】の世界では吉夢とも言われる現象です…」

「?…どういう事……ですか?」(??)

【Aria】は【Organa】の告げたワードに対し、首を傾げて何が何だかと言わないばかりに理解が追いついていない様子であった。それに対し彼女は簡単に説明を行う。

「…アリアさん。…あなた様は【現世人】として【導き人】の試練を見事乗り越え、【Fiducia】という特殊な能力を授かっておりますね?」

「は、はい!…私はバリア能力で!…最近神聖術を影で勉強しては…」

「過労で倒れてしまい…保有していた【fiducia】の能力の一部として…結果的にあなた様はこうして夢の中で過ごすことになってしまったのですね。…アリアさん、無理はいけませんよ。…神聖術は1日も早く身に付くものではございません!…少し身体を休ませたりして、着実にコツコツと計画的に学ぶようにしていただければと思います!」

「たはは〜!…面目ありませぬ。…でも、この神聖術って…最初、オルガナさんが作ったのですよね?」

「はい」

「…とても苦労したんですよね?」

「…そうですね。…それは…途方に暮れる歳月が流れる日々の連続で……それでも私自身……少しずつ研究を重ねに重ねて……見事にこの神聖術を編み出し…これを【Paradiso】の世界全土に布教し。…提唱しました」

「……素晴らしいですね〜!…あなたは本当に…」

「…いえ、私は無力ですよ。…まだまだ私の師匠で…あの【導き人】三姉妹の中でも長を務めていらっしゃる…マスター・オーラルの足元にも未だ及びません…」

∧( 'Θ' )∧・・・・・・・・

「…マスター・オーラル?……!?…えっ!?…ええええっ!!??…で…弟子ぃ〜〜〜!?…お、オーラルのおぉぉ〜〜〜〜っ!!??」

「あら?驚くことなのでしょうか?」(首かしげ?)

「そりゃあ驚きますよ〜!!…ええッ!?…本ッ当にあの怪力女の…あの【導き人】のオーラルの…弟子なんですかぁ〜〜っ!?」

「そうなのですよ〜♪」

「…となると…ひょっとしてオルガナさんって【現世人】なんですか!?」

「ふふふ…違いますよ♪…私は生まれも今から約700年くらい前のユートピア人として生まれました。…あまり碌な生き方はできませんでしたが…ある方達との出会いで…私は救われました……本当に……」

「…?…どういうことなのですか?」

【Aria】は【Organa】の発言から、何か気にかかるように感じていたようである。その言葉を遮るかのように、【Organa】は話しを続ける。

「あらあらいけませんでしたね。…ではアリアさん。…一つお願いしても宜しいでしょうか?」

「は、はい!…何でしょうか?」

【Organa】はそういうと十字架の槍を構え、宣言した。

「…私と手合わせ……お相手、お願いできますでしょうか?」

「え?……!?ええっ!?…まさか戦うの!?」

「はい!…それとも、怖気付いているのですか?…そんなにオドオドされるともなれば…さぞマスター・オーラルも失望していることでしょう…」(シュン…)

「!!」(うっ!…た…確かに…)

【Aria】の頭の中にはうっすらと、オーラルがニヤニヤとしたような表情が見せていたようにも感じていた。しかし【Organa】は一歩も引こうともしなかった。

「…どうなされますか?」

「……いいですよ!…私だって女として…伊達に何年生きてきたか!!…やってやろうじゃあないのぉ!!」

ジャキン!


🎼Back Ground Music 》》》




TAKE UP THE CROSS〜♪

【Aria】は決意したのか、腕には愛用武器のハンマーが握られていた。その目つきも、まさに真剣な表情をしていた。

「…オルガナさん!…お相手お願いするわ!…絶対に勝ってやるんだから!!」

「ウフフ!…では…行きますね!」

ダダッ!!

「!!…は…はや!!」

バキィーー!!!

「あわぁーーーーっ!!」

ザザーーッ!!!

【Organa】は【Aria】に強烈な蹴りを加える。すかさず身体は飛ばされ、草むらを摩擦し豪快に滑っていく。

チャキン!

「…お立ちなさい!…まだあなた様の息はあるように思いますが…?」

「っぺ!!……やってくれるじゃあないのぉ〜!…さすが初代救済長!…そうこなくっちゃ〜ね〜!」

タッタタタ!!

「…大振りですね…」(チャキッ!)

「…ふふ!」

ガギィーーン!!

「!?…バリアーですか…」

「ご名答!!…そりゃあ!!」

ブン!!

ガキィーーン!!

「!!…なぁっ!?」

【Aria】はバリアー能力を使用し、相手の攻撃を反発させて隙を狙うも、【Organa】はその攻撃を見抜いていたのかいとも容易く防がれる。

ギリギリ……

「……っ!!」

「…そう簡単には取らせませんよ。…それに…大振りの武器であるからか…!!…攻撃に隙がありすぎです!!」(ギリギリ…)

チャキン!!

ザシュザシュザシュ!!

「!!あぐう!!…くっ!!」(み、見えなかった!?…なんてスピードなの!?)

【Organa】は所持している光のランスを神速の如く乱れ突きして【Aria】を攻撃する。しかし、それだけでは終わらせない様子なのか更に追撃をかけていく。

「…それでおしまいだと?…これからですよアリアさん!!」

パチン!

「!!…な…なに……!!」

「……あなた様の張り巡らせているバリアー。…利用させて頂きますよ!!」(チャキッ!)

ブォーーン!!…ヒュンヒュン!!

ザシュザシュザシュ!!

「ああっ!!…くうっ!」(…私を囲んでいる結界の中に…光の矢を放って反射させた!?…まるで銃の跳弾のように!?)

【Aria】は驚愕した。【Organa】の戦闘能力は、オーラルの弟子と言っても過言ではない程の戦闘能力を持っていることをその身で理解した。しかし顔に出ていたからか、【Organa】はそれを否定するかのように伝える。

「アリアさん。……私をマスター・オーラルと同等の力を秘めていると思っているようでございますが…それは大きな間違いですよ…」

「!!…なぁっ!?」

「言ったはずです。…まだ私の実力と戦闘力は…彼女達…【導き人】の足元にすら及びません。……何よりも、その器量にも到達すらしておりません。…この力は最低限度の救済に必要な力です。…故に…それは…」

「…それは……!?」

ゴゴゴゴゴゴ…

【Organa】は穏和な表情から一変し、まるでこの世の世界の闇や非情さを知り尽くしてきたような表情をし、このように語る。

「…この【Paradiso】の世界は…非情です。…実力がなく、力持たざるものはなすがままにされ、まるで家畜のように人以下の扱いを受け…何れ滅びゆく運命です。……!!だからこそ私の持つこの力は、大切な民や人々を…命を懸ける覚悟を持って守り抜く力としてあるのです。…ではアリアさん、ここで一つ質問です。…あなた様には守りたい者がおいでですか?…それはあなた様自身の命に変えてでも…その人を守ろうとする意志は本当におありなのでしょうか?」

「!!」

【Organa】の言葉に【Aria】は怯みそうになる。しかし、彼女は尋問するかのように問いただす。

「…答えなさいっ!!」

「……!!」

「どんなに悩んでも…!!時間というものは無慈悲にも待ってはくれないのです!!…あなた様がこうして悩んでいる間にも!…今もこの世界では苦しんで命を落とし、中には略奪を受けて奴隷のような扱いを受け、犠牲になっている人達がいるのですっ!!」(ジャキン!)

「!!…分かっているわよっ!!…そんな事くらいっ!!」(チャキッ!)

「威勢だけは誉めて差し上げましょう…ですが、それだけでは…この動乱と騒乱の渦巻く【Paradiso】の世界を救済することは…」

シャッ!!

「!!…もう好きにはさせないわッ!!」

ガキィーーン!!

「…!!…守りときましたか?…ですがそれだけでは無意味です!!…ハァッ!!」

バキャッ!!メリメリメリ……

パキャーーン!!…バキィッ!!

「かはあっ!!!…ああーーーっ!!!」

ズザーーー!!!!

「………」(クルクルクル…)

キィーーーン!!!

「……!!…くっ…こんな…ところで…」

「まだまだのようですね。…その程度でこの世界を巡ろうなどとは…《笑止千万!!》無謀にも程があります!!…どうか武を弁えてください!」

「!!…っ!!…そうね。…まだまだよね〜私は!…でもね初代救済長のオルガナさん…」

「!!」

【Aria】は尚も立ち上がり、まるで兄の宣行のように信念のある瞳で【Organa】と真正面に向き合おうとする。

🎼Back Ground Music 》》》




♪〜PsychoーPass2〜FeatーAkane

「…私はこんな事で負けやしないし、へこたれやしないわよ〜!!…さあ覚悟しなさい!!」(キッ!)
 
「…そうですか。…では…かかってきてください!!」(チャキッ!)

「…!!あぁあああっっ!!」

ブン!!…ブォン!!

「…一心不乱に鉄槌を振り回した所で…私に…!!」

ガキィーーン!!

「!?…捉えてきた!?」

「へへ〜んだっ!…こう見えて刑事の兄貴譲りだからか、何故か勘がいいのよね〜♪!…そりゃあああっ!!どんどん行くわよ〜!!」

ブンブン!! ブォン!!

「……っ!」(…なるほど…何かしらの信念を持ち…不屈の闘志はあるように感じられますね。)

「ハァッ!!」

ガキン! キン! キィン!!

「…くっ!なかなか一本取らせてくれないわね〜!」

「…そう簡単には行かせません。…ですが…最初に比べ…いい目をするようになりましたね」

「そうですかね〜?……でも負ける気はないんだからね〜私は〜!!」

【Aria】は【Organa】に意地を張ってでも立ち向かう。その目には兄宣行が持っていた刑事としての信念と正義に重んじる目をしていた様子である。その表情には【Organa】も興味深そうに観察していた。

「……ふむ」(アリアさんの目……あれはまるでこの世の悪を断じて許さんとする正義心溢れる目をしていますね。…ウフフ♪…なんだかあの人のことを思い出します……)

「っ!!…まだ余裕そうね〜!…そろそろ本気で…行くわよ〜!!」

ブォーーン!!

ガキィーーン!!!

「!!…なぁっ!?」

「…残念でしたね」(ですが、その秩序を重んじる力は…圧倒的にあなたの方が一際凌駕しておりますが…!!)

【Organa】は心当たりのある人物の事を思い【Aria】の攻撃を容易く受け止め、反撃の狼煙をあげるかのように重たい一撃を振りかざす。

「…ハァッ!!」

ブン!!……キーーン!!

「……!?」

「…………」

カランカラン!

【Organa】の持つ十字架の槍から、まるで居合のような神速にも近い凄まじい薙ぎ払いの一撃によって【Aria】の武器であるハンマーは弾かれて宙を舞い、無慈悲にも地面に叩きつけられる。

「そ、そんな…」

「…まだやりますか?」

「…降参よ。どうやら今の私では…オルガナさんには叶わないようね〜…」

「ウフフ!…潔くていい心がけです♪」(クスクス!)

「あっ!元の性格になったっ!!…まさかオルガナさんって二重人格なのッ!?」

「…?…なんのことでしょうか?」(首かしげ?)

∧( 'Θ' )∧・・・・・・・・  

「自覚なしの天然ジゴロなのね〜。……とほほ。…こりゃあ厄介な救済者の人と出会ったものよね〜…」

【Aria】は呆れたかのように、【Organa】と話しを続ける。すると、強く眩い光が照らされてきたようである。

キィーーーーン!

「!!…この光は、一体!?」

「それは神聖術の一種です。今後あなた様のお役に立つことを祈るばかりです。…では私はこれにて…」

スタッ!タッタッタ…

「ま、待って!?…また会えますよね?…オルガナさん?」

「ウフフ♪…はい。…今度は更なる高みまで…強くなっていてくださいね。…そろそろ目を覚ます時ですよ…」

「!!」

キィーーーン!!

🎼Back Ground Music 》》》




「!!…あ…ここは?」

「あ、気がつかれましたか?アリアさん?」
 
【Aria】は目を覚ました。その目線の先には同僚の【Mireisia】が心配そうに顔を覗かせていた。

「!!…あ〜ミレイさん!……どうもごめんね〜心配かけて!」

「いえいえ!…ですが今日のところは、どうかゆっくり休んでくださいね…」

「え!?…だけど…」

「体は貴女だけのものではありませんよ!…救済する者が倒れてしまっていては、その人は一体…何の為に救済するか分かりませんからね♪…では、ご厄介はここまでとしておきます…では失礼します」

バタン!

【Mireisia】は少し不機嫌そうに扉を閉め、その場を立ち去った。その様子に心配をかけたと思い【Aria】は謝罪する。

「…そっか。…なんだか心配させた上に悪いことしちゃったな〜!…さっきの夢でのオルガナさんとの戦いは、これに対する警告だったりしてね〜!…あはは!…まさかね…」

チラッ!

【Aria】は【Organa】に見立てた女神像を見物していた。その表情は微笑んでいるも、先程の夢の中での戦闘の事から、この表情の裏側には、救済とは程遠いとてつもない苦難があるようにも感じ取られていた。そしてその苦難は【Aria】の他に、遠くにいる【Veno・nix】も例外ではないのかもしれないーーー

・・・
・・



B. いいえ


《Capitolo・3》
続きを読みますか?

🎼Back Ground Music 》》》



♪〜FF4・バトル2

その頃【Paradiso】歴1999年12/24日…E島・【Velkana】の外れの山・【Aven】山脈・昼

「…長い道のりだったな」

「そだね〜!…まさか運悪く通せん坊される羽目になるなんてね〜!♪」

「あの武道家さんが言うには…既に私の事を感づいているようなのですね…」

三人は先程の武道家達の戦闘で、疲れた様子で道のりを歩いていたようである。するとそこに新たなる刺客が現れる。

そこまでだ!! …そこで止まれやゴルァああ!!!

「!!」

「!!…だ、誰!?」

「やれやれ〜♪…ま〜た通せん坊のようね〜!…でも、一体誰かしら〜?」

ササッ!!

三人の目の前に現れたのは、先程の武道家の者達ではなく、屈強な逞しい者達であった。そしてすかさず身分を名乗る。

「…我らは…【Varisk】所属…Bランク…兄の【Karka】(カルカ)!!」

「そして私は、同じくあんちゃんの弟…【Yalka】(ヤルカ)!!」

どっちなんだ〜〜い!?

シィーーーーン…

「………」

「………」

「………ほっといて行こうかみんな〜♪」

スタッ!タッタッタ!

「待てヤァ〜〜!!」

「ゴルァーーー!!!その女を渡…!!」

バキャーーッ!

べキョーーン!!

「グォはああ!!」

「あぎゃああ!!!」

突如【Varisk】の身分を名乗る兄弟の者達は【Veno・nix】と【Beanne】の攻撃に怯んだ。しかし二人はすくっと立ち上がる。

「フハッハッッハ!!」

「やってくれるではないか〜!?」

「…ベア。…構えておけ。…どうやらコイツは…」

「【Varisk】所属なだけあってなかなかのタフのようだね〜!!…でも、さっきの武道家達とは違って、やっと手応えのある相手が来たようだね〜ヴェノくん〜♪…さぁ〜て…エイミちゃん下がっておいてよ!」

「は、はい!」(ササッ!)

二人は相手を睨みつける。そしてこう問いただす。

「お前達…誰の差金だ?」

「またもや【Dail】からの手筈と言ったところかしらね〜?」

「?…何のことだろうな〜?…あんちゃん〜?」

「さ、さぁ〜?…俺にもよくなぁ〜?…ただ俺達は秘密を知っているそのエイミって女に話があるだけだと聞いたんだがなぁ〜?」

「……話してもらおうか?…お前達の知っているエイミについての秘密を……だが……」

「話さないのだったら、こちらも手加減できないんだけどね〜♪…Fire♪」

ダァーーーーン!!!

ドゴーーーーン!!

「!!ぐぁっ!!」

「!!げは〜ッ!!」

「…!!…っ!!」(バズーカー…だと!?)

「わひゃーーー!!!」

【Beanne】は【P-watch】からロケットランチャーを取り出し、【Yalka】と【Karka】の二人に目がげて狙撃する。その過激ぶりに、【Veno・nix】と【Eimi】の二人は、驚いた姿勢を見せて反論する。

「ゲホっ!!……くっ!!……ベア!…いきなり…ロケットランチャーをぶっ放す奴がいるかっ!!」

「そうですよ〜!私、びっくりしましたぁ〜っ!」(ぴえん!)

「アハハ!!ごめんごめ〜ん♡…で〜もね〜!……目の前の兄弟はどうやら平気みたいだよ〜!!」

「!?」

「!?」

ガラガラ……!!バキャーーン!!

二人組は瓦礫の山に飲み込まれるがすぐに掘り返し、再び姿を現す。

「クッソ〜!このアマがぁ〜ッ!!」

「ひん剥いては人身売買の者達に売り捌いてやんよぉ〜!!」

「う…嘘!?」

「…頑丈のようだな。…だが相手にとっては…」

「不足な・し・だ・よ!☆」(キャピン!)

【Karka】と【Yalka】の二人の兄弟は臨戦体勢に入り睨みつけている。その様子に【Veno・nix】と【Beanne】は後ずさる事なく迎え討とうとする。【Veno・nix】は相手の二人に対し、問いただす。

「貴様ら…なぜエイミを狙うんだ?…お前達の目的は一体なんだ?」

「ん〜?…あんちゃ〜ん?どうする?」

「教えちゃあだめだぞ〜我が弟よ〜!…よぉ〜しそれを詮索すると決まった以上…お前ら…」

死体蹴り決定だ〜!!

シャッ! シャッ! シュッ! シュッ!

「!!…早いな」

「そのようだね〜!…でもね…そこっ!!」

ダァーーーン!!!!

バァーーーン!!

ドガーーーン!!

チュドォーーーン!!!

「うぎゃあーーーーっ!!」

「…クソガァ!!……!?」

ブン!!

バキャーーン!!!…ガシッ!!

「!?あ…あがあが…」

「あんちゃーーーん!!」

「………」

【Veno・nix】は【Kalka】の身体を掴み拘束する。そして、尋問するかのように鋭い目で睨みつけながら問いただす。

「…さあいい加減話してもらおうか?…今度は…容赦しない」(ギロッ!)

「だ…誰がお前のような奴に教えるかバァーーカ!!」(あっかんべぇ〜!)

「…仕方ないな。…なら、爪を一つずつむしりとって解らせてやるとするか……」(さわ…)

「!?…や、やめろ!!…やめてくれぇ〜〜!!!」

「あんちゃん!!…た、頼む!どうか見逃してくれ!!」

「…教える気にでもなったのか…!?」

ザシュッ!!

「!!あぎゃーーー!!」

「!!あんちゃーーん!!」

【Veno・nix】は驚愕した。そこには銃剣【Arbitro】を持っていた【Beanne】が【Kalka】に対し足を突き刺していた。そしてすかさずこう言い放つ。

「ねぇ〜ねぇ〜?……遊んでいるのなら〜…さっさと答えてくれるかしら?…私達、これ以上通せん坊されると何だか無性に我慢ができなくなっちゃってね〜♪………」(ニコニコ〜♪…ゴゴゴゴゴ…)

「!?…べ…ベア……お前…」

「…べ…ベア…さん?」(お顔は笑っておりますがなんでしょう。……凄く恐ろしい空気を漂わせておいでですね。……あれでは…まるで別人のようで…)

二人は驚愕した。普段のおちゃらけた【Beanne】の面影はなく、そこには敵に対し聖獣のような閃光の眼差しをし、自分の行手を阻む者には一切の容赦をしない面構えをしていた。その様子に【Kalka】は強行策に出た。

「く、クソガァ〜!!…ケェ〜どなぁ〜!残念だったなぁ〜!…へへ!!…弟よ〜!!」

「お〜う!…あんちゃ〜ん!!」

ガシッ!!

「!!きゃぁっ///」

「!!…エイミ!!」

「……へぇ〜……」

「おっと動くなよぉ!!…動くとコイツの命はねえんだぜぇ!!…へへ!胸元から引き裂いては、ぐへへへ〜!」

チャキッ!!

「!!///…ん〜///」(い、いや!助けてくださいっ!!///)(ブンブン!)

【Kalka】は囮になっていた間に卑劣にも【Yarka】に【Eimi】を捕らえさせて人質にし、何やらいかがわしいことを計画していたようであった。

「…ちっ!…!?」

ゴゴゴゴゴゴ…

🎼Back Ground Music 》》》



♪〜FF13LRより〜Crimson Bliz

「…そう。…なら…仕方ないようだね…」(ギラァッ!)

チャキン!

【Beanne】は銃剣【Arbitro】の剣先を相手の【Yarka】に向け、まるで暗闇を明るく照らし、貫くかのような閃光の瞳で睨みつける。

「………」

「……ベア」

「なんだぁ〜?てめえ〜話を聞いてなか…った……!?」

「……」(ブン!)

ガシャアーーン

グラグラグラ!!

「!!…ウォワァア!!!」

「きゃ〜〜!!!……え?」

ダキッ!!

「……ヴェノくん。…エイミちゃんお願い出来るかしら?」

「!?……ああ」(ベア。…お前)

「……べ、ベアさ…ん…」(先程の目の表情とはまるで違います!…あれが…本当のベアさん)

「…………」



【Beanne】ランクA
【♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡】
ーーー
土属性の能力を付加しました。

【Beanne】は土の能力を発動し、簡易的な土砂崩れを起こし、土砂が【Eimi】を人質を取っていた【Yarka】にのみ攻撃が加えられ、【Eimi】には何一つ危害がなかった。それを確認したのか、彼女は【Eimi】を優しく抱き寄せ、閃光の様な強い意志が感じられる目で彼女を【Veno・nix】に託す。そして再び相手と対峙する。

「……覚悟はいいのかしら?」

「ふざけやがって〜!!…ッ!?な、なぁ〜〜にぃ〜っ!?…俺の足がう、埋まっているだとぉ〜〜っ!?…か…体が…動かねえ〜!!」(グイッ!グイッ!)

バァーーーン!! !十!

【Beanne】は土の能力を発動し、十字架状に埋めて相手の行動を封じた。そしてすかさず、銃剣【Arbitro】を構え、語りかける。

「さあ答えてくれるかしら?…一体、エイミちゃんを捕まえて……あなた達は、一体何を企んでいるのかしら?」(キッ!)

「!!…だ、誰が!?…俺は【Varisk】の一人なんだぞ!!…こんな事をして…俺の仲間が黙っては…!!」

ブン!!ガキィーーン!!!

「!!」

「いいから答えなさい!…誰の命令でこんな事を企んでいるのかを…今すぐにっ!!」(ギラァッ!!)

「!!…へへっ!」

「!?」

【Yarka】は不敵な笑みを溢していた。その背後には、大きな斧を振りかぶろうとする【Kalka】がいた。

「刈り取ってやら〜〜!!!!」

「いけ〜♪あんちゃ〜ん!!」

「……っ!…そうくると思ったよ〜♪」

ピョーーン!!

「!!なぁっ!?」

ブン!! ブシャーーーン!!

「ぐぎゃああああっ!!!…あ…あんちゃ……ん……」

グテッ!

【Yarka】の体は、【Kalka】の振り下ろした斧によって、深く斬りつけられてしまったようであるーーー

🎼Back Ground Music 》》》



♪〜銀魂より・あー、やっちゃったなー

「あ、ごめんヤルカ。……!!??……ファ〜〜ッ!!??…や……!!ヤルカぁああああああああああっっ!!!!!………わぁあああああああああああああああああああ!!!!!」

「……」

「……」

「……」

三人はただ呆然と【Karka】と【Yalka】のやりとりを見ていた。その表情には何やら愚かしいような冷たい目をしていた。そしてすかさず【Kalka】は恨めしそうに、三人に宣言した。

「貴様ぁあああ!!!よくも我が弟ををををををっっ!!!!」(ビシィーーーー!!!)

「……それは…」(やれやれ…)

「あなたが…」(やれやれです……)

「やったんだけどね〜♪」(やれやれだね〜♪)

「黙れぇええええ!!!!…こうなんたら貴様ら全員皆殺しの極刑だぁ〜〜〜〜ッ!!!!」(クワァーー!!)

ドドドドドド!!

「逆ギレしては激昂か…」(チャキッ!)

「ひぃ〜っ!!」(ぴえん!)

「……仕方ないようだね〜!」(チャキッ!)

「しんねえええ〜〜〜ん!!!」(ブォン!!)

「…行くぞ、ベア」

「そだね〜♪もう容赦できないかな〜♪」

タッタッタ!

ザシュッ!!

ブシャあっ!!

「ぐああぁあ…お…おのれ…!!…ぐっ…すまん…カルカ…無能な兄をどうかゆる……!!」

ガツン!!

「ゲフ〜っ!!………」(グラグラ…)

バタリッ!!

「…!!…エイミ?」

「おぉ〜!!エイミちゃん!お見事〜!」(パチパチ!!)

「お二人には手出しはさせませんよ!!…って…あらやだ私ったら…///」(カァ〜///)

【Eimi】は持っていた棒で頭を強く打ち付けて敵を気絶させる。思わず初めての経験であった為、赤面する。

「…よくやった。…エイミ」

「やるじゃ〜ん♪!その調子だよ〜エイミちゃん♪」

「…!!…は…はい!私やりました!…では、いざ先へ行きましょう!!」(ルンルン!)

スタッ!…タッタッタ……

「エイミの方は……何だか元気づいたみたいだな…」(フッ!)

「そだね〜!…ん?…お〜ヴェノくん!笑ってるじゃん!」

「…?…そうか?」

「うん♪それに心なしかね〜!…なんか明るくなったね〜♪!…あ〜っ!もしかしてこの二人のやりとり見てさ〜!ギャグに目覚めちゃったの〜?」

「…どうかな」

スタコラサッサ〜!

「!!あ〜もう無視しないでよ〜!ヴェノく〜ん!!」(プク〜!)

テッテッテ〜!

三人は道中を走っていく。そしていよいよ夕方に差し掛かる時、いよいよ自分達の目的地も見えてくるようでもあった。

・・・
・・



B. いいえ


《Capitolo・4》
続きを読みますか?

🎼Back Ground Music 》》》



♪〜大逆転裁判より・ハート・ヴォルテックス卿のテーマ

【Paradiso】歴1999年12/24日【D島】・【R・P】社審議会ノ場

その頃、周りがいざこざに遭遇している中、他の地方でも例外なく、大きな火蓋が上がっていた情勢でもあった。時は【D島】【R・P】社ーーー【Beanne】が在籍する諜報機関ギルド【Agente】が存在する大きな街並みに潜む高層ビルーーーその中で大きな幹部会が催しされていた様子であるーーー

「……以上でこちら側の報告を終了します…オルヴェスク卿審議長殿」

「ご苦労。……今月も良い働きであった……【Lu-cis・H】」

クルクル…スタン!!

《審議長【Olvex】(オルヴェクス)》

【R・P】社を代表する者として、体格が180cm代中間と高身長で深緑カラーの長めのコートにゴールドの肩章を身につけた紳士かつ、何処か貴族の様な風貌を持つ男【Lu-cis・H】は、審議長を務める審議長【Olvex】(オルヴェクス)に対し報告を済ませていた様子であった。

「お褒めに預かりまして……」

「皆の者、何か彼に対し意見の程はないであろうか?」

「ホッホッホ。…オルヴェクス殿、一つ宜しいであろうか?」

「……何であるか?【Kunizu】氏…申してみよ?」

「………」

審議長【Olvex】が他の者に意見を伝えると、現世でいう殿様のような御召し物を着た男が代表して意見を述べた。表には【J島】【Kagoya】に在籍している【Kunizu】(クニズ)と名乗る者であった。

「ふむふむ。…ではご好意にお甘えして、ルーシス殿。…今回【Sildate】が様々な罪人を確保し……裁いてきた事が身を結び、より取り締まりが強化される運びとなったようですな。……しかしながら…そちの創設した【Agente】も……なかなか良い働きをしている様だが、ここ最近は何かと目立たなくなった様であるがの〜と思われるがの〜ほほほ!」

「……私の創設した【Agente】は自由が売りとしているので。……略奪に身を走り、力に溺れるような事は決してあってはいけません。……現に今も不毛な争いによって力と力がぶつかり合い、各地で大きな争いが起こっているのも事実な事でしょう」

ざわ…ざわ……

コンコンコン!!!

「…静粛に。…確かに、【Kunizu】の意見も大いにあるとも思われる……【Lu-cis・H】……こればかりはギルド室長を務める身分の貴公の責任も大きいモノ。……それを一体どのように戦略を立てているのか……それについて意見はあるのか?」

「……目星はあります」

「ほう、それは?」

【Olvex】はその返答に期待を込めていた。しかし【Lu-cis・H】の答えは、はぐらかす様な返答であった。

「企業秘密。…とだけそう伝えておきます」

「!?」

「!?何…企業秘密と申す…のか…この場で!?」

「………」

ざわ……ざわ……

コンコン!!

「静粛に!……無理に答えたくないというのなら、それも良い。…しかし、何も成果が得られなかったのなら、その時は……」

「ほっほ。…切腹でもしてもらおうかの〜♪」

「………」

《待った!!》

「……!?」

「むむっ!?」

突如、何者かの声が審議会場の中で響き渡る。そこには金髪で、左目にはモノクルを着用した男性が立ち上がり、【Lu-cis・H】を弁護するかのようにこう語りかける。

「……残念ながらクニズ氏。…彼の創設した【Agente】は。…既に大きな目星の第一歩を歩み始めておりますよ」

「………!」

「!?……なんと!?…それは!?」

「……ここ最近、ある島で引き起こされている抗争について、何者かが流した偽の情報に惑わされて起こった事であると、この度立証されました」

「……その証拠は?…その根拠となるものを提示してみよ?」

【Olvex】は、二人に対し、証言とその根拠を問いただす。

「…こちらです。…正真正銘【R・P】社【Agente】による通達で送られてきた足跡です。…実に大きな仕事ぶりのようですね。ルーシス」

ペラッ!

《やっほ〜♪…速報だよ〜♪今日は争いの火種となった、何者かによる食糧や金品の略奪行為!!それをあたかも町に潜む者にその罪を着させ、でっち上げた真実を【Agente】と【Xiol】との共同捜査によって〜♪ここに見事証明させてもらいました〜♪》

そこに最初に書かれていたのは電報であり、内容はギャル風の口調をそのまま記載した文章であった。しかし中身を隈無く調べていると、今回の争いの火種となった原因の究明レポートが法と秩序を重んじるギルド【Xiol】の者によって情報が送られていたのだった。

「……っ!」(ネラ。…全く、無茶なことを。…それに、あれ程文章には気をつけてと口酸っぱく言ったのに。…だけど、助かったよ…)

「ぐっ!!」(いつの間に…こんな!?)

「…さあ、これならどうでしょうか?オルヴェクス卿?」

「そういう事ならば、私からは特に異論はない。……極秘で共に手を組み合い、真実に辿り着こうとする姿勢。…実に良い心がけだ。……では【Kunizu】氏。……これに対し、貴公からは特に異議の程は?」

「……ないでおじゃる……」

「……」

「……」

そういうと、しばしの間沈黙が走った。

「……というのは、仮初の意見じゃよ〜ほっほ♪!」

「…!?」

「…!?」

しかしその沈黙を自ら述べて【Kunizu】は崩していく。そしてその後の解決案について二人に問いただす。

「ではでは、その後はどうなったんじゃ〜?ええ〜?……【Agente】自らがその争いを止めたのか〜ええ〜?」(全く、正々堂々の言葉もない卑怯な連中の集まりなのだ!さあさあ!どうせこやつらは出まかせを言っておるに決まっておじゃるよ〜!)

「……やれやれ。…情報とは相違があるのか……せっかちなお方のようですね、クニズ氏は…」(ペラペラ…)

「…以前は、もっと聞き分けのよかった人だと思ったんだけど、仕方ない事だ。…《記憶喪失》にあってしまった挙句に、その個性的な言葉使いを使う程に多忙なのか、……そこまで人が変わったのかな?」

「!?…な、なんじゃとぉ〜!?」

カンカンカン!!!

「静粛に!静粛に!…【Kunizu】よ。…無意味な口論は他所でやってもらおうか?」

「!?…ぐぬぬ……!」

「…二人の証言を受理するとしよう」

【Olvex】は【Kunizu】の反論的な意見を一方的に遮せ二人に対し、その審議の意を語らせる許可を下す。そして、手に持っていた木槌を前に差し出し、その背後には重々しい言葉を二人とその場を傍聴していた者達に強く言い放った。

「尚、これより二人が告白する言葉は、絶対的な真実が語られると同時に…再び種族間との間に大きな亀裂が走り、争いの火種ともなり得えるやもしれない。…よって。…この場にいる私が代表した世界の法と秩序を重んじる者達よ。…ここで彼らが放つ言葉には……!!」

カーーーン!!!!

🎼Back Ground Music 》》》



♪〜大逆転裁判2より〜極秘裁判・開廷

《全て…!!《極秘事項》として処理しておくがいい!!》

ざわ…!!ざわ!!

オルヴェクス卿の…あの表情…初めて見る…  一体、あの二人は何を語るつもりなのだ!? 我々は、一体あの報道を見て表面だけを見させられて、騙されていたとでも言うのか!? この世界の矛盾…!! それをこの二人が裏を暴き…真実を握っているとでも言うのか!?

「…覚悟はよいな?…【Lu-cis・H】…【Ruves】の二人よ?」

「…はい」「望むところです」

「……では、【R・P】社【Lu-cis・H】…【Xiol】所属の【Ruves】よ。今回、ある島の町で起こった騒動について、諸君らが考案した戦略について…速やかに証言するがいい!」

【Olvex】は、二人に対し、証言とその根拠を問いただす。

「…ではまずは私から語らせていただきます」

「……【Ruves】…申してみよ」

「今回の騒動で一つ明らかになったのは、ある野党集団による襲撃犯行だと明らかになりました。その者達は町にいる、富を築き上げてきた者に対し、胸を短刀で突き立てて殺害し、食糧や金品を強奪。並びにその罪を赤の他人に濡れ衣を着させ、逃亡を図ったのだとされています。……その《虚偽》の情報が明るみになる事もなく、《迷宮入り》となったと考えられる事でしょう。………濡れ衣を着させられ、無実の者と確保された者達は男女問わず、共にそのまま行方知れずとなり、この世から失踪したのだそうです」

ざわ……ざわ…!

行方不明!?…身元が分からなくなったという事なのか!? つまり、殺しの罪までも背負わされ、事件に関わった男女共無殺別にも拉致被害を受けたと言う事なのか!? なんという非道徳的かつ非人道的なっ!?

カン!カン!カン!!

「静粛に!…それは報告にも聞いている。確かに無差別にも《富裕層》のみばかりを狙った計画的犯行によるものだと聞かされていた。……だが、その短刀とは、一体いかがなものなのだろうか?」

「…証拠品として処理させていただきました。…するとこの短刀の類は。…全て【J島】【Kagoya】で取り扱われているブツである事が明らかとなりました…では、町中奉行代官クニズ氏。…これはあなたの目でも十分分かるとお思いでありますが、どうですか?」

ジャキっ!

「!?……ふ〜む。…確かに、我が町の【Kagoya】製のもので間違いようでおじゃる……」

「輸出記録によれば、それらの刃物類が持ち出された明確な記録は……確か何者かによって持ち出され、証拠は跡形もなく紛失したと以前の審議会で聞いておりますが…?」

「う…うぬ。……そ、そうでしたな〜…」(アセアセ)

「………この事から推測の範囲として言わせてもらうと、今回の犯行は、ある者にその短刀のブツを野党集団に明け渡し、犯行に及び、町中での大きな反乱の火種をもたらそうとした。そしてお待ちかね。……その事件を静止させる為、ある者にこの事件の全ての真相を委ねる事にしました!……ですよね?…ルーシス」

「…そうだね」

【Ruves】は次に【Lu-cis・H】に対して立証の意を問う。それを見計らったのか、【Olvex】は彼に対し、証言を命ずる。

「よかろう。…では【Lu-cis・H】…今度は貴公に対し証言する事を命じる!」

「…ルーヴェスが語ったように、今回町で起こっている争いは……ただ単純な者ではなく、何か大きな黒幕が裏で潜み、勃発させている事が概ね予想出来ました。まるで糸を引いているかのように緻密に犯行の機会を狙っていたかのように!」

ざわ!!ざわ!!

奴は一体何を!? 何が目的で…!? あの青二才め!?… 一体何を語ろうとしているのだ!?

「それで?貴公が下した決断は?」

「今回、その町で原因となった短刀について、有力な情報を握っている者達を戦地へと繰り出し、その騒ぎを制圧しました」

「…その者達は?何処に所属する組織の者達なのか?…速やかに述べよ」

「………」(チラッ!)

「!?」(な、何故こちらを見るのだ!?…ルーシス殿……)

【Lu-cis・H】は【Kunizu】を見て、一度思い立ったかのような表情を見せていたが、躊躇せず、ありのままに公表した。

「…【Kagoya】に在籍する【御用見廻組】……その中でも【現世人】のみが入隊を許されている町屈指…いや【Paradiso】の世界でも名が知れ渡る、トップクラスの剣の実力を持つ武力組織……!!」

《【狼志組】によって!!》

ざわざわ!!ざわざわ!!

何……だと… あの荒くれの狼のように血の気の多い… あの野蛮集団を世界の各島に派遣したと言うのか!? とても正気の沙汰ではない!!

「!?!?……っ!!」

ダァンッ!!

「………」

「………」

「………」

突然【Kunizu】が激昂の表情を示し【Lu-cis・H】に対し、強く反論する。

「……ルーシス。……貴様……それは……!!それが一体…何を意味しているのかわかっておるのかぁ〜〜っ!!??」

「…ええ。彼らは最近、所属する身内を、ある《敵対組織》の者に情報を売った罪を犯したとしてその者を《斬首》するといった事を…副長のフカベ氏によって執行されました。現世でいう《法度》を犯した罪の償いとして…」

「なっ!!ならば、それに伴い、その者達は《御用見廻組》最高総指揮官の命により《永久謹慎処分》…《凍結》を受けていた筈だ!?…。それなのにそちがした事は紛れもなく禁忌を冒した大罪の重罪事でおじゃるぞ!?……それを!」

カンカンカン!!

「静粛に!!……【Kunizu】よ。……貴様のその節穴であり、ぼやけて見えているその泳ぐ目でよく見て、聞いておくがいい!」

「っ!!…ぐ…ぐぬぬ……」

「……【Lu-cis・H】……これについてはどうなのだ?…誠なのか?」

【Olvex】は、彼に対し、更なる証言とその根拠を問いただす。

「事実です。……ですが斬首を執行して裁かれたのは、あくまでも死刑判決を下された罪人であり、志士に対しては何も厳罰を命じられてはおりません」

「!?!?……なぁっ!?」

「?…どういう事なのだ?」

「……《御用見廻組》最高総司令官自らが彼達【狼志組】に下した謹慎命令処分は……全くの《デマ》。…虚偽の情報だったのですよ。…今回の騒動を引き起こした影の《黒幕》。…その者を炙り出す為に…」

「敵を油断させ、あたかも安心しきっていた彼らに対し……一人残らず駆逐する為に。……これで今回の一件はチェックメイトという事です。……しかし…」

「?…しかし、何だというのだ?」

「…無論彼ら以外にも因縁があったからなのか、鍛冶屋兼猟師ギルド【Melton】の者達にも因縁をつけられてしまっている事でしょう…」

「……!?…っ!」(【Melton】とも…接点が…あるの……か)

ざわ……ざわ……

それが本当なら… 世間で報道されていた内容は全てが偽り!? 一体何が真実なのだというのでおじゃる…!?

カンカンカン!!

「静粛に!……それでは諸君。…時間が迫って来たようだ。…【Lu-cis・H】【Ruves】よ」

「はい」

「…はい」

「……二人にはもう一つ明らかにして貰おうか?…その野党集団を従えていた…黒幕の正体について……」

【Olvex】は不意に立ち上がり、最後にもう一つと言わんばかりに事実を公表するように命じる。その問いに対し、二人は自信高々に言い放った。

「…我々が何度も敵対している【創造派】……」

「…ユートピア創造士隊です。…その中でも、武力に優れた実力者による犯行であると、そう説明させていただきます。…無論、その者達を嗅ぎ回っている無名ギルドの面々も恐らくは。……戦地に駆り出されていた事でしょう……」

「!?……っ!!」(…こやつら…私でも知りえなかった情報を……ここまで真相を…!!これではまるで私は……奴らにとって……)

《蚊帳の外。………ではないのでおじゃるか………》

【Ruves】【Lu-cis・H】は事の始まりの事を述べるようにその黒幕の名を言い放つ。【Kunizu】は自分の能力を過小評価され、まるで咬ませ犬のような仕打ちを受けてしまい、今後の処遇にも多大な影響が見られたのは言うまでもないからか、悔しそうに表情を浮かべる。

「……宜しい。…では今回の審議は以上とする。……では次の審議については半年後にする事としよう。……ではその日まで……」

カン!!!

・・・
・・


🎼Back Ground Music 》》》



♪〜ENDER LILIESより・Accolade〜Outro

〜その後〜

「………」

コツンコツン……

「【Lu-cis・H】。……ルーシスよ」

「…お疲れ様です。…【Olvex】さん」

クルクル……スタン!

審議会を済ませた後、【Lu-cis・H】と【Olvex】は二人で話をしていた様子であった。

「…今回の審議はルーヴェスと協力し、見事なリードで進めてくれた。…実に頼もしい事だ」

「…お褒めに預かりましてと、今回ばかりはそう言わせてもらいますよ」

「………」

「…………」

二人の仲は何処かぎこちなく、あくまで仕事上での関係であり、交友的な空気が感じられる事はないが、二人には理解できる《点》があった。

「……ここ最近になって、一つ変わった事があった」

「?…なんですか?一体」

「…今からもう一年前の事だ。…私の一人息子【Mia】(ミア)が戦死したと訃報の報告が来た」

「…そうですか。…それはお悔やみ申し上げます。……そして…」

「……私の妻も…【Mia】を産んだ後、何者かによる《拉致被害》を受け、その後は………」

「………っ!!」

【Olvex】は首を振り、その最期を聞かされたのか、肩身が狭く何処か切なしげな表情を浮かべる。引き続き話を進める。

「【Mia】(ミア)無論、貴公も知っている事だろう?【Orzen】の主力部隊【Freiheit・Zwölf・(XII)】(フライハイト・ツヴェルフ(XII))の者達の存在についてだ」

「ええ。…【Orzen】。……確か【L島】で拠点を構えている騎士ギルドの名前であり。……その組織の発端は。…《ゴロツキ》家業を営んでいた自称自警団の者達ですよね?」

【Lu-cis・H】は簡潔にそう答えると【Olvex】は少しばかり苦い顔をする。

「……そうだ。……昔、息子は私に反発して法の道を捨て去り、《謀反》を企ててしまい、そのまま冷たい塀の中へと…そのまま闇に染まってしまったのだ」

「…………」

【Olvex】は首を振り、何処か切なしげな表情をしていた。

「…だが、その息子から手紙が送られてきた。…それによると、自らを正しき道へと導き、示してくれた《者》がいたそうだ」

「?…それは一体?」

「…【Louverd】という者について知っているか?」

「…ええ。…フカベくんが所属する【狼志組】【Olzen】との合同任務で、現在も任務に従事しているとそう聞いております。…実際に会った事はありませんが名前だけは。………その者が一体?」

「……その者が我が息子の持つ剣を託されたのか、最近になり、各地ではこのような噂が広がっているのだ。……君の《妻》が持っていた、あの《光の力》を持つ者の再来と」

「!?」

【Lu-cis・H】は驚愕の表情を浮かべる。そして少しばかりの笑みを浮かべる。

「…そうですか」

「……嬉しそうだな。…では、次の【審議会】での報告を…楽しみにしておこうか。……今回はご苦労であった」

コツンコツン……

「………」(そうか。…ベルナと、エレ姐、ロー兄の持つ《光輝の力》の能力者がこの世界に……これは再び…何か…)

タッタッタ…

「……ルーシス、少し宜しいですか?」

「?…何だい、ルーヴェス?」

「あの審議の場所で公には公表しなかったのですが……供述した野党集団の中に……人身売買組織の者達も。…一つ絡んでいると思えるのです」

そういうと、【Ruves】は事件資料を手渡す。そこには被害者名簿も添えられていた。

「…確かに、排除された対象としては、年配のユートピア人の者達が比較的多くの被害を受けているようだ。……そして若い女性の者達を拐い出した痕跡も。…うん、少なからずあるね」

「……人身売買と……度々引き起こされる物品の盗難を目的とした、今回の騒動。……これはまるで……」

「貴族間での《略奪と洗礼》。……そう。…昔、僕達が味わった事のある運命の歯車が。……再び狂い始めているのは確かなようだね。…【ユートピア創造士隊】。……そしてベルナと僕達《最古の貴族》を含めた四人で決着をつけた筈の…救済者を名乗る…とても忌々しい因縁の者達………あの者達も恐らくは…!!」

ググっ!

「…ルーシス。…っ!……私も、彼女の訃報事は決して忘れもしませんよ。……そう。…今でも…だからこそ、私は法を遵守する貴族…【D】(ディオール家)の下で司法を学び、今もこうして道を歩めているのですから……運命とは皮肉な者です。…いつの時代でも…」

「……そうだね…」

二人はこの先に待ち受ける【Paradiso】の世界において、今再び何が起ころうとしているのか、皆目見当がつく事もない様子である。ただあるのは、現在世界各地で勃発している種族間での大きな争いの火蓋が起こり、それらが偶然起こっているのか、それとも何者かによる策略で偶発されて起こっているか─────そう見せかける偽りの闇に浸り、矛盾が絶えない裏の世界へと誘われようとしているが為に、これから更に事態は深刻になり得る事だろうと、二人は理解する─────





B. いいえ


《Capitolo・5》
続きを読みますか?

🎼Back Ground Music 》》》



バトルーライドウ〜♪

ある島での抗争

────名無し部隊─────

ダダダダダダン!!

「うぉっと〜!!…ほらよ〜!!」

ポイッ!! ササッ!!

ドゴーーーーン!!!!

「…ヒュ〜!あぶねえ〜じゃ〜ん!!」

「大丈夫ですかネルさん!?(【Nelson】)」

「問題ないじゃん!!…ったくよ〜!!…最近のユートピア創造士隊の奴ら…いくら何でも活発すぎやしねえかじゃん!!」(ニカニカ!)

「そうですよね〜!…全くアンタって人は、こんな時でも気楽に笑っていますね〜!」

「ん〜?…だってよ〜!!たんのしいじゃんよ〜!こんな戦は現世でもお目にかかったこともないじゃんよ〜!!」(ケラケラ!)

「…お気楽上手で…ですが、まずいですね…思った以上に戦況は不利に近いようでもありますし…」

ワーッ! ワーッ! ワーッ!

「…確かに、わらわら増えて鬱陶しいじゃんよ〜!!…ん?」

ダダダダダダダ!!!

ザッザッザッザ!!!

「!!」

「何者だ貴様らは!?」

「そこから止まれ!!」

「観念するんだな〜!!」

チャキッ!!

「…観念するんはな〜…」

「ガハハハ!!…あんた達の方だよ〜!!…そっから先はな〜…」

ダガァーーーーーーン!!!

「ぎゃーーー!!」

「ぐぁあああああ!!!!」

「お、おのれ〜〜〜!!!!」

「ウチら【Melton】の狩場でもあるんや!!」

「独占はこのネルヴァ姉さん(【Nelva】)が許さないよ〜♡」

キャピン♡

「!!おうぇええ!!!」

「何が姉さんだよ!?タダの女子プロれ……!!」

ドガァーーーン!!!

ガハハハハハ!!!!!!

いぎゃあああ!!!!!!

ある島の街にて、【創造派】率いるユートピア創造士隊による抗争が勃発していた。その戦場には、腕の立つ鍛冶屋兼猟師ギルド【Melton】の者まで加勢していた。その物陰で、名無しの部隊のものが、偵察するかのように話しかけていた。

「ありゃあ〜【Melton】の者まで派遣されているじゃんよ〜こりゃあ〜!」

「…でも、どうしますかネルさん!俺たちは自称ギルドの身分で、確実に怪しまれそうな雰囲気を…」

「ダァホじゃん!!…ちゃんと俺達にも【Hopera】(ホペラ)って名前の自称救済兼便利屋兼掃除屋ギルドがあるじゃんよ〜!」

「それ非公認だから誰も知らないっすよ〜!」

「大丈夫!何とかなるじゃん!……多分」

「多分って……!?…ああっ!!」

「ほないくで〜!!ネルヴァ頭領!」

「あいよ〜ケイト!…全く、女を舐めているんじゃあ…!!」

ゴゴゴゴゴゴ…

「!!」

ないよーーーー!!!! 観念しいや〜自分ら〜!!ウチの矢の威力は一味違うで〜!!!

ドーーーーン!!

「あんぎゃーー!!!」

「グアあああ!!!」

「お、お助けーーーーーー!!!!」

「ヨォーーシ道が開いたようだね〜♪」

「ほならいくで〜ネルヴァ頭領!」

タッタッタ…!!!

「…すごい戦況になってきましたね。ネルソンさん…」

「…あの【Melton】に所属しているネルヴァってのは、ギルドの中でも、かなりの豪腕で、その棍棒から振り出される破壊力もばっちりといったところじゃん!!」

「…な、なるほど。…!!ああっ!!あちらからも、何か来ますよ!!」

タッタタッタ!!チャキッ!

「そこまでだ!!」(チャキッ!)

「…大人しく投降してくれるかな?」(チャキッ!)

「!!…げげっ!こ、こいつらは…」

「謹慎食らっていて…姿を見せてないんじゃあなかったのかよ……!?」

「J島の…【狼志組】!!」

「よりにもよって三番隊隊長のミヨべ【Miyobe】と…?……ガキか?」

「………」

ジャキッ…!!

リィーーン…♪【冥鐘】

「…何だ〜?ガキか〜?…一丁前に刀握ってやるぜ〜ギャハハ!!…ならよォ〜!…先にあの小さいのを始末しちまおうぜ〜!」

「…僕を斬るって?…へぇ〜!自信過剰なんだね〜!…じゃあさ!…やれるものならやってごらんよ!」(キッ!)

「!!…上等だぁこのクソガキャーー!!」

「容赦しねえ!!」

「…トワ(【Towa】)。…上に飛んで追撃だ」

「了解だよ、ミヨさん!…ハァッ!!」

スターーン!! 

ザシュッ! ブジャッ!! ザシャア!!

「グアッ!」

「あぎゃっ!!」

「……よっと。…どうしたの?…もう終わりなのかな?」

「!!…くそが…!!おい!このガキャ!…てめえ一体何者だ!?」

「その剣技…伊達に【狼志組】の部下クラスって感じじゃあないな…」

「…て、てめえ!!…何もんだぁ〜?」

「…君達の問いに。…この刀で教えてあげるよ。僕が一体。……何者なのかをね!!」

シャッ!!

「!!き、消え…!!」

リィーーン♪【冥鐘】 

ザシュッ!!…ブシャッ!!…ズシャア!!!

「いぎゃああ!!」

「グアああ!!!」

バキャァァーン!!!

「!!…なぁっ!?…お、俺の剣が折れるなんてよぉ〜!!…いってぇ〜どういうこったぁ〜!!??」

「…どうやら君には、その剣の本質も知らず、振っていたようだね。…それじゃあ剣が可哀想だね…」(やれやれ)

「!!……こ、このクソガキャァァーー!!…言わせておけば!!……ケケ!」

「…?」(首かしげ?)

ガシッ!!

グギグギギ!!

「!?…ああぁっ!!///…くうっ!…は、離せ…!!あぐっ!!」(ジタバタ!)(…い、いつの間に背後に!……し、しまった!……こ、こんなむさ苦しい男の者に抱きしめられるなんて…!!…くっ!!不覚だっ!!)

ギリギリギリ……

「ケッケッケ〜♪!お〜っ!なかなか美男子なショタを捕まえたぜ〜♪…そのまま抱きかかえて、絞め殺してやるよ〜♪…よくも俺の仲間の剣を折ってくれたな〜!…たーっぷり見返りを返してやんよ〜!このクソガキが〜!!フン!」

グリグリグリゴキッ!!

「!!がはっ!!…くっ!!…は…離せ!!///…ううっ!!///…あうっ//!!…っ!!うぅ…!!…い、嫌ぁぁっ!!///」(ブンブン!…ポロッ!)(…ヤエカ…姐さん…ルーさん!!…僕は…まだ…)

「〜!?///ほほぉ〜!男のガキのなりのくせして、なかなかいい喘ぎ声出すじゃあねえか〜♪…まさかてめえ…女…!!」

ザシュッ!! ブシャッ!!

「グァアアアアアッ!!」

「!!…うわっ!!」(ガシッ!)

「…大丈夫か?…トワ?」

「ゲホっ!…ゴハッ!…あ…ああ、ミヨさん!…僕なら大丈夫だよ!…それに、こんなとこでまだ死ぬ訳にはいかない!…必ずヤエカ姐さんと【Orzen】所属のルーさんの元へ必ず帰ると約束したからね!」

「そうか。…はは、そうだな!お前にとっては、我々やヤエカと同じくらい大切にしたいと思える…初めての友なんだもんな!彼…【Louverd】は!」

「うん!…あの人は私…いや…僕のかけがえのない友人なんだ!!…必ずルーさんの元へ…そしてヤエカ姐さんの元へと…僕は帰る!…こんなところで…朽ちるわけにはいかないんだ!!…それに僕は…伊達に《十番隊隊長》を任されているわけではないからね!!」

ジャキン!!…

リィーーン…♪【冥鐘】

ザシュッ! ブシャッ! 

「あぎゃあ〜〜!!」

「ゴアァアアア!!!」

・・・

「…ほ〜う!…あれがJ島の【狼志組】の幹部連中の実力じゃん!」

「な、なんて戦闘能力なんでしょうか…?…ネルさん?」

バサァッ!!

「!!なぁっ!?…ね、ネルさん!?…い、一体何を!?」

「決まっているじゃんよ〜!!…加勢するじゃん!!…あの【狼志組】が目の前で戦っているじゃんから〜…こうなりゃあ…とことんやるじゃんよ〜!!」

ダダダダダダダ!!

「ああっ!…ちょ、ちょっとネルさ〜ん!!」

「!!な、何だ貴様は〜!?」

「やってしまえ〜!!」

「…やるのはこっちからじゃんよ〜!!今回のは…過激に火薬入れてまっせ〜じゃん!!」(カチッ!)

ダーーン!!

ダガーーーン!!

「ぎゃーーーー!!」

「ぐぁあああああっ!!」

「!!…ゲホッ!!い、一体…な、何が…この爆風はまさか…バズーカー!?」

「ゲホっ!ゴハッ!……こんな過激な事をする奴に心当たりがある。…まさか……あの【R・P】社【Agente】の…【Beanne】か!?」

「違うじゃんよ〜!!」(ニコニコ!)

「…!!」

「お、男!?……お前は…一体?」

「どうも初めましてじゃ〜ん♪【狼志組】の幹部さん御一行!…俺は、【Hopera】(ホペラ)って名前の自称救済兼便利屋兼掃除屋ギルドに所属する…戦闘大好きで笑うことを心から楽しむ…」

《ネルソン【Nelson】じゃん!!…どうかよろしくじゃん!!》

男の名前は【Nelson】と自己紹介し、戦場を見つめる。そこはまさに動乱の時代に相応しく、周りの創造士隊が敵対し、歯向かう者達を殲滅するかのように待ち構え、見つめていた。その中でも彼は、決して笑顔を絶やすことがなかった。まるでこの【Paradiso】の世界に来て、笑わずにいられないくらいの喜劇であるからか、笑わなければ損である。ヘラヘラして誰かにだらしないだとか、舐めていると言われてもやめようともしないくらいに、清々しく、正直に生きようとする人間の本能のようなものを、この男は持ち合わせているかのように輝いている。この男もまた、誰かに笑顔を届けようと日々頑張ろうと生きようとする男なのかもしれない─────


















《To Be Continued…→》











第10話:山中の刺客
《完読クリア!!》



次の話へ進みますか?

A. はい 


B. いいえ