GiorGiaNo

 
《Paradisoシリーズ〜導かれし七人の現世人の冒険譚》


A.:GiorGia

〜第一章:白狼と誓いの儀礼刀〜


第8話:プロローグ〜隆一編 Part2

プロローグ〜隆一編 part1の続きです。







《Capitolo・1》
物語を開始しますか?

🎼Back Ground Music 》》》



"Fun" and "easy" are different. Fun and comfort are the opposite. If you want to have fun, don't think it's easy
(「楽しい」と「楽」は違うよ。楽しいと楽は対極だよ。楽しいことがしたいんだったら楽はしちゃダメだと思うよ)

Life has no meaning because it's killing time
(人生に意味はないよ だって暇つぶしじゃん)

Hiroto Komoto
(甲本ヒロト)


〜雲の世界〜

「…ここが…【Paradiso】なのか…」

隆一は初めて見る光景に驚愕した。その場所は現実にはない雲の世界が続いている。だが地面は白のレンガで構築されており、その果てしない道のりが続いていた。

「正しくはまだ【Paradiso】ではないんですよ〜!ここはあくまで【Paradiso】の一部で、我々はここを雲の世界【Delka】とそう呼んでいます。それではあなたには、ここから楽な国の駅と書く楽国駅まで向かってもらいま〜す♪」

「えっ!?俺以外にもこの試練を突破した奴がいるのか!?」

「もちろんです!今回試練を受けられ、大体50人程は突破していま〜す!」

「そ、そうか〜!オロアも大変だな!」

するとオロアは笑みを浮かべこう言い放った。

「大丈夫で〜す♪…実は私…分身とかできるので〜♪」

ボン!!

「…!?おわ!!ふ、増えた!!」

これには隆一は驚いた。目の前でオロアが分身した為、目を光らせ、現世で流行っている、ある忍者漫画の主人公を連想していた様子であった。

「おお〜!!……ぶ、分身にも触れるのか!?」

「「はい!」」(バッ!)

ツンツン!

「ほ、本当だ!…不思議なこともあるんだな〜!…っつか俺この世界に来て不思議なもんに遭遇してばかりだ!」(サワサワ!)

「ふっふ〜ん!…おっ!早速誰か捕まっていますよ〜!?」

「ん?…おおっ!?」

隆一がそれを見たのは衝撃的な光景であった。それは黒い修造服を着たものが、人を捕まえ、連行している風景を真の辺りにする。

「いやだ!!…離せ!!」

「大人しく連行されろ〜!お前達のような特定死者を多く捕まえ…そして久しぶりの休日と給料の昇給が約束されているだ〜!!」

ワーッ! ワーッ!!

「ギャーーッ!!」

すると捕まった男は執行者に囲まれてあえなく御用となり、目の前から姿を消した。

「よ〜しとりあえず一人!どんどん確保するぞ〜」「オォ〜!!」

「な、あいつらはさっきの…執行者ってやつか!?」

「そうですよ〜♪あ〜!!どうやら隆一さん!あなたは彼らに見つかったようなのですぐに逃げた方がいいですよ〜♪」

「…な!?」

「ん!?おい!まだいたぞ〜!!」「逃すな〜!!」「有給が欲しいんだ〜!!」「うぉぉぉお!!」「あのやろう〜我々にとっても忌まわしい導き人も連れているぞ〜!!絶対に逃すな〜!!」

ダダダダダ!!

「く…くそ!!…捕まってたまるかよ〜!!」

「ではスタートで〜す!頑張ってくださ〜い〜♪」

「あれ?お前は逃げなくていいのか?」

「私はあくまであなた達を導く側なので参加する理由はないんですよ〜♪」

「さいですか…仕方ない…こうなれば逃げ切るまでだ!」(タッタッタ!)

「待てやコラアァァー!!!」「叩き潰せ〜!!」「うぉぉぉ!!昇級したい〜!!働き方改革を〜!!」

執行者は、自分達のいる部署があまりの労働環境の酷さに不服を持っており、耐えきれず不満を言いながら、特定死者を連行していく。

「お前達特定死者どもを【paradiso】とかいうろくでなしのいく世界へは行かせない!正々堂々と閻魔大王に裁いてもらうだよ〜!!」(ブンブン!)

すると執行者の一人が西部劇のように縄をぶん回し、逃走する一人の特定死者の女性を捕らえようとする。

シュルシュル!バチン!

「…きゃっ!…あぁ…!…嫌っ!!こ、こんなところで…」(じたばた!)

「ふっふっふ!女か〜!だが容赦はしない!」「女といえど特定死者なのだ!」「大人しくして閻魔大王の元へ行くのだな…」「大丈夫だ悪くはしない…貴様らのいた世界のように如何わしいようにはしないから。なっ!」

「いや、来ないで!…誰か…」(うるうる…!)

「…!まずい助けないと!…!!」

隆一は女性を助けようと向かう。だが時すでに遅いのか、女性は大勢の執行者に囲まれ、姿を消した。

「ほ〜うさすが西部劇大好きな俺達の執行隊長!」「次期に上に行くのはあなたですよ!」「これで俺たちの部署はあと一人確保すればノルマ達成ですね〜」

「「「ハーッハッハッハッハ!!」」」

「くそ…いくら助けようと思ってもリスクがあるな…止むを得ない!」(タッタッタ!)

隆一は走る。楽国駅へとひたすらと。数々の特定死者への犠牲を胸に、隆一はひたすらに走る。するとそこに、何やら怪しいものがあったので足を止める。

「な、何だあれ?お花の咲いている花畑…?…あ。他のやつは行こうとしてるな」

隆一はその先約10メートルは続く花畑を発見する。その先を走っていく特定死者の列。するととてつもないおぞましい光景が目に広がった。

バッ!!

「「「「!!??」」」」

「あんら〜捕まえた〜♡!!」(ガシッ!)「あら〜こっちも♡!!」(ガシッ!!)「あら良いお・と・こ♡!!」(ガシッ!)

「ギャーーーー!! イヤダーーーー!!オレにはそんな趣味はっアーーーッ!!!」 「ウゲェーー気持ちわリィ〜!!来るな〜オレのそばに近寄ー!!」 「うほっ!悪くない…///」

シュン!!

「!?」(ぞわっ!!)

突然花畑からガチムチ体型のボクサーパンツ一丁で肩には薔薇の装飾を飾った暑苦しい雰囲気の男達が花畑から出てきては特定死者達を熱く抱き締め、花畑の中に引き摺り込んでいった。その光景を見て隆一は思った。この場所は迂回しよう。ここは俗にいう禁断の花畑だと。ある意味あの世の三途の川よりも恐ろしい場所だと知った。

「…やべえ場所だ…あれ?」

「……」(タッタッタ!)

そうしていると今度は女性の人間が走ってきた。隆一はすかさず止めようとする。

「お、おいあんたここは…あれ?」

「……」(タッタッタ!)

(あ〜ら残念…女ね〜じゃあいいわ…)(もう…女って生き物は目に毒だわ…でも次はどんな殿方が来るのかしら///)(うふふ…楽しみ〜♡)

「あ…なるほど女には興味はないからセーフなのな〜」

「いたぞ〜!!」 「捕まえろ〜!!」

「げっ!!ヤバい挟まれた!!まずい!!…クソッ!ここは止むを得ないな〜!!」

すると隆一は自分の男としてのプライドをかけて…禁断の花畑を突き進む覚悟を決めていた。こうなれば執行者も巻き添いにすれば突破口も開けると考え、一歩前へ踏み出し、隆一は一気に駆け抜ける。

「うぉぉーーー!!」

「あら♡良い男〜」「遊ばな〜い?」「こっちにきなさ〜い!」(ダキッ!)

「うぉぉっ!?危ねえ!!…くそが」(サッ!)

隆一はひたすら花男達をかわして突き進む。そして執行者はその禁断の花畑に立ち入ることを躊躇したためか、通せんぼした状態であった。

「くっ…さすがの我々でも、彼ら花男部隊には手出しできんな…」「うむ。巻き添えを喰らうと厄介だ!やむをえん…迂回し、他のやつを確保を優先するか…」「でもオレは…///」「「…!…え!?…お前…マジか…」」(ドン引き…)

「…よし。見えてきた…!」

隆一はもうすぐ出口まで着くその直前、思わぬものが立ちはだかった。

ドスーン!!

「…!!な!なんだ!?」

「ウッフフ…ようこそ坊や…でもここからは通さないですよ〜♡」

「おぉ〜あたしたちの長が遂にきたわ〜!!是非ともその殿方を射止めてくださいな〜♡♡!!」(キャーキャー!!)

「で…でか!2mは軽く超えてやがる…」(ヒェーー!)

隆一の身長は約170cm。相手は200cm以上。その体格さから計り知れない屈強で巨大な花男にどう立ち向かうか考えていた。だが隆一は一歩も引かなかった。ここで奴を抜かないと、【paradiso】に行く資格はないと考え、怖気付くことなく、立ち向かって行った。

「うおぉぉぉ!!特攻精神だ〜!!」(ダダダダッ!)

「甘いですわね〜!!そこですわ!!…ふふっ捕まえました!♡」(ガシッ!)

「へっ!ば〜か〜!よく見てみろ!!」

「な!?なんですって!?…ハッ!!」

花男の長が持っていたのは隆一の特攻服であった。隆一は避ける直前に特攻服を身代わりにして花男の長からの捕獲を免れたのだ。

「オレのマトイなら欲しけりゃあくれてやる!!あばよ〜!!」

「キィーーィ!!悔しいですわ〜!もう!…あの殿方を射止めたらあんなことやこんな事を〜♡したかったのに〜♡!!」(クネクネ!)

「…うぇ〜!」(ゾワァー!!)

隆一は思わず鳥肌が立った。人生初自分の初めてを死後の世界で奪われるところであったと思うととても不快な気分になった。そしてそのまま突き進み、楽国駅の場所へと突き進んでいく。

「…ハァ…ハァ…あ〜気持ち悪かった〜!…だがだいぶ走ってきたな…」

隆一は息を荒げる。すると今度はサイレンから声が聞こえてきた。するとどこからか声高らかな笑い声が聞こえた。

「ハーーッハッハッハ!いよいよここまで来たか…勇敢なる特定死者の男よ…」

「な!なんだてめえは…誰なんだよ!?」

「ふっふっふ…ここまで来れたのは褒めてやる。だが…最後の遺言がてめぇは…誰なんだよ!?か…面白い奴だ…皆のものやってしまえ!」

ワーッ! ワーッ! ワーッ! 

「…ちっ!」

隆一は今度は武装した執行者の軍勢から逃げ切る。だがここで増員を呼ぶということはこの付近に駅があると踏み、隈なく探して行く。

「待て〜逃すな〜!!」「隊長の名で貴様らを捕獲し、我々の待遇をよくしてもらわねばならんのだ〜!!」「やってしまえ〜」「よしあれを持ってこい!」

すると執行者の中からロケットランチャーを装備し、隆一に標的をつけた。

「ん?…!?げっマジかよ〜」(ダダダダッ!)

「おらよ」(ドーーン!)

すると隆一は間一髪のところでかわし、ひたすら逃亡を続ける。

「…たく空の世界といい無茶苦茶過ぎるぞこの世界観は〜!…っおっ!?」

すると、目の前には楽国駅と書かれた駅が目の前にある。すると隆一はやっとかと思い、まっすぐに向かう。すると先頭を走っていた男を見かけた。

「よ〜し見えてきた。いよいよだな。」

すると、先頭を走っていたもう一人の男が安堵したのか、真っ直ぐ進もうとしていた。それを見ていた隆一は瞬きをしていたらその男は視界に消えていた。

「…あれ?…前の人…どこへ?」

「た〜すけてくれ〜!」

ワーッ! ワーッ!

「よ〜し落とし穴作戦成功!!」「ここに掘っておいた穴を我々の部署が開発した高性能ホログラムを仕込んでおいて気づかずに何人もひっかかったからな〜!」

ハッハッハ!

「…もう無駄な労力使わずに…あれだけでいいんじゃないかって思うな…」(タッタッタ!)

隆一は迂回し、執行者の追跡から見事に逃れ、遂に楽国駅へと辿り着いた。

「…ハァ…ハァ…たく遠回りさせやがって…だがやっと…!!」

隆一は安堵していた。だがそれを一人の武装したいかにも隊長らしき執行者が立ち塞がってきた。

「こ、こいつは…」

「フッハハハ!…言っただろう…絶対に行かせないと!!」

「お前か!?さっきアナウンスしてたやつは!?」

「ご名答!さあ正々堂々、どこからでもかかっ…!!」

「うぉおらぁぁぁぁ!」(ゲシっ!!)

「ぐほァァァ〜!!!」(メリメリ!!)

「「「「「た、隊長ーーーーーー!!!」」」」」」

隆一の凄まじい蹴りが、隊長の腹部にめり込み、約5mは吹っ飛んでいった。

「き、貴様ぁぁ!不意打ちとは卑怯な〜!!」

「落とし穴掘って捕まえるようなやつに言われても説得力ないんだよ!!」(クワッ!!)

隆一はそう言って、楽国駅のホールへと着いた。着いた後、武装執行者は諦めたのようにホームへは入ってこず、次の特定死者を待ち構えていた。

「…ハァ〜とにかく着いたな〜」

「は〜いお疲れ様でした〜♪」

「ん?オロア…?」

「おめでとうございま〜す♪ではではこれどうぞ!」

隆一は声がしたので振り向くとミニスカ姿の駅員の格好をしたオロアが立ちすくんでいた。そして、オロアは隆一に切符のようなものを渡した。

「ん?これは?」

「それは【paradiso】行きのチケットですよ〜♪無くさないように気をつけてくださいね〜♪」

「ふーん。んでオロア…なんでそんな格好なんだ?」

「はい!TPO【時(time)、所(place)、場合(occasion)】に合った服ですので〜!」

「…なんかパッと見どっかの有名子役の一日駅長みたいだな〜。まあいいか。」

そう言って、隆一はチケットに書いていた番号を見る。そこには三番線のフロア5と書かれていたので案内板に沿って進路へと向かう。するとその電車は停車して待ち構えていた。

B. いいえ


《Capitolo・2》
続きを読みますか?

🎼Back Ground Music 》》》




「ここか…よし、乗るぞ!」

隆一は列車に乗り込む。すると、座席もなく車両のなかには個室が一つ一つ設置されている。それを見て隆一はオロアに確認をとる。

「…なんだこの車両!…もしかして個室車両なのか!?」

「はい!そうですよ〜♪チケットに書いているフロアに入ってくださいね〜」

「しょうがない。え〜と…ここだ!」

フロアの番号がフロア5と書かれていたのを確認し、隆一はその個室へと入る。すると、ネットカフェ並みの広さがあり、十分寝れる広さである。

「ほぉ〜まあ悪くないかな〜…少し寝るか…」(ぐで〜)

「zzz」

ジリリリ〜ン♪

「…!!うお…な、なんだ…」

隆一がしばらく寝ていると列車内からベルが鳴り響き、起き上がった。するとアナウンスからオロアの声がした。

「どうも皆様ご機嫌様〜♪今回は、あなたたちの試練を乗り越え、執行者からの追跡に見事逃れ、この列車に乗っていただき誠にありがとうございま〜す♪まもなくワンマン【paradiso】行きの列車が発車しま〜す♪この列車は途中下車することなくそのまま目的地まで行きますので昼寝なり好きに過ごしていただいても構いませ〜ん!た・だ・し途中購買の人が訪ねてきますので必ず出る様にしてくださいね〜!では今回汽車長を務める私導き人のオロア、ただいま発車しま〜す♪」

「…なんだよ一体…つかあいつ運転できるのか〜!?」

プシューッ!!ガタン!!

「うぉっ!!本当に大丈夫かよ!?かなり揺れたぞ!」

電車は揺られながらも発車した。その景色は未だ雲の景色が続いている。

ガタンゴトン!

「…確か購買の人が来るんだったよな〜」

ピンポンパンポ〜ン♩

すると、またもやオロアのアナウンスが聞こえてきた。

「本日は、【paradiso】行きの列車にご乗車いただき、誠にありがとうございま〜す♪この列車の汽車長は私導き人のオリアが責任持って努めさせていただきま〜す♪」

「さっきも言ったよな〜まあいいけど…」

「それでは今回の【paradiso】行きの列車に乗った人の結果が出ました!書類は後に購買の人が届けてくれますので確認してくださいね〜!」

「…一体どれだけの粋が生き残ったんだろうな…まあ寝るか…」

ゴオオオオッ!!

「うぉっ!?…あ〜トンネルか〜!びっくり…て!?…ええ!!なんでトンネルなんかあるんだ!?」

トンネルに入る電車。そして隆一は不思議に思った。何故雲の世界にトンネルなんかあるのだろうと…死後の世界独特のご都合主義といえばいいのか少しの間混乱していた隆一であった。

「zzz」

コンコン!

「…ん?」

居眠りをしていた隆一は、誰かの音がしたので起き上がった。するとドアから声がした。

「あの〜すみません!購買のもので〜す!開けてくださ〜い!」

「あ、は〜い…って!?」

すると、隆一は驚いた。購買の人は笑みを浮かべながら挨拶した。

「やっほ〜♪」

「お、オロア!お前運転しなくて大丈夫なのか!?」

「安心してください!現在自動運転になっていますので持ち場を離れてても大丈夫で〜す♪まあもしもの時は分身飛ばしま〜す!」

(あんまり安心できないな…!)

「私が子供みたいだからですか?♪」

「お前…心読めるんだな…」

「はい♪それに私はこう見えてもう何千年も生きていますよ〜♪」

「…マジ?」

「マジで〜す♪でも歳は教えません!」

「…そうか…んで、何売っているんだ?」

「ふっふ〜ん!…実は売るためにきたのではありませんよ!」

「…ん?どういうことだ?」

「これをお渡しに来ました!」

「これは小包?開けてもいいのか?」

「どうぞ〜!」

「どれどれ…あれ?…これって!?」

小包の中に入っていたものを確認する。それは家族写真にバイクの鍵、その他当時好きであった歌手の CDまで入っていた。

「もしかしてこれって…」

「そうです♪あなたの入っていた棺の中のものです〜!見事試験に乗り越えた贈り物として受け取ってください!!」

「そうか…ありがとな」

「あ。そうです!これもありました。どうぞご覧ください♪」

「ん?ああ。そういえば今回の試練の結果発表が書かれてるんだったな…え、50人中生き残りは10人!?…そんなにかよ…」

「はい!ち・な・み・にこの試練は年に2回、つまり半年に一回定期的におこなわれるものであるため、この試練で脱落した数より、この【paradiso】への試練を知らせる鐘の音で起きなかったものの方が多いという統計がありますね。」

「…そうか…そういえば、【paradiso】には年齢制限はあるのか何歳から何歳までとか?」

するとオロアは笑みをうかべ、疑問を感じていた隆一に対し、返答してきた。

「いい質問ですね〜♪最低年齢は10歳から…限度は30歳までと定められています。この20年間の間に不慮の事故、現在では治せない病気などの人もいたりと色々ですね〜」

「意外と幼い子もいるんだな〜動物とかも来るのか?」

「時々見かけますね〜おそらく飼い犬だったりとか普通の野良猫も混じっていたりとか色々ですよ♪向こうの世界でもなかなかいないため、希少価値が高いですよ♪」

「なるほどな〜なんだかんだ向こうの人も癒しは求めているんだな」

「それでは最後にこれを受け取ってください。」

「なんだこれ…CD?」

「DVDですよ〜♪あなたへの現世からのビデオレターです!」

「ふ〜んでもどこに再生機が…あ、あった。」

「それではごゆっくり〜♪」

「…見てみるか…」

隆一はDVDを再生した。するとそこにはオロアの言うとおり、DVDには現世の事の内容が収録されていたビデオレターであった。

「あれ、もしかしてここに写っているの、山崎と親父…それに涼子ちゃん!」

『すみません、こちら皆川くんの家でいいでしょうか?』

『はい、そうですが、君達は?…あ、君は葬式で』

『はい。その時はお世話になりました。知人の山崎です』『昔の知人の涼子と言います。』

「ああ。そうか。ぜひ入ってくれ!!」

『では失礼します』『お邪魔します』

チンチ〜ン…

『隆一もう一ヶ月になるな…今日はお前の友達が来てくれたぞ!』

『久しぶりだな隆一』『あの時はありがとね隆一くん』

「わざわざありがとな…二人共。」

すると、山崎は隆一に対して赤面しながらこう語る。

『…実はな…隆一!…俺今涼子ちゃんと付き合っているんだ!なんかお前から涼子ちゃんを奪う様なことになってしまってごめんな!?』

「そうなのか…まあこうなってしまったから仕方ないか…気にするなよ…俺はそれで怒ったりはしないよ…幸せにしてやれよ…山崎」

『山崎くんとても強くてね!私もそんなに力がないから彼にはいつも助けられてね!!』

「そうか!?…俺がいなくても、涼子ちゃんの力にな…!つくづくお前が友達で良かったよ。」

『お前は向こうでも、俺たちのこと忘れてないよな?もし忘れていなかったら良い。だがこれだけは言わせてくれ』

「…なんだ?」

すると山崎は隆一に対して、こう言い放った。

『お前がどんなに忘れていても、お前と俺たちはどこでも繋がっているんだ。だから向こうでも元気にやれよ。気を落とすなよ〜!』

「…ああ。ああ!」(ブワッ!)

すると今度は、涼子の方が声をかけてくれた。

『隆一くん。あの時助けてくれてありがとうね。私もあれからの君のこと…山崎くんから色々聞いているよ!気をつけていってらっしゃい!』

「涼子ちゃん…ああ!俺頑張る!向こうでも俺は元気に生きていくから…だから…」

『隆一…いい仲間を持ったな…あれからお前が亡くなり、真類から色々と言われたが、それでも私は頑張っているよ。お前には内緒にしていたが母さんは出て行ったのではなく、本当は病気で亡くなる運命だったんだ。すまないなこの事を…お前にはどうしても言い出せなくてな…お前に言ったら落ち込んでしまって、立ち直れない姿を見るのが怖かったんだ。』

「親父…もういいよ…俺はもう怒っていない…だから元気出してくれ…」(ポロポロ!)

『だが、お前には、お前の世界を見たんだな…全うしたんだな…今度はやんちゃをせず何も…非行に走らずに信念を持って…父さんは…誰が何を言おうと…お前を誇りに思う!』

「ああ、親父…俺【paradiso】へこれから行くけど頑張るから…だからよ…!」(ポタポタ!)

隆一は泣いていた。これ程に泣いたことがないくらいに。そして収録された内容が終わった。そしてエンドロールに流れた曲を聞き、隆一は少し懐かしんでいた。


🎼Back Ground Music 》》》


〜♪:ブルーハーツのtrain train

「…ああこの曲は…確かブルーハーツのtrain trainか…懐かしいな〜!」


〜ガタン…ゴトン…ガタン…ゴトン…


果てしない道を止まらずに進み続ける電車の中、隆一は詩文を読むかの様にこれから出発なんだという意気込みを言葉にしてみた。



I've been crazy since I was a child, but I still thought about my father and mother.
(幼少期から無茶をして、それでも父と母のことを思っていた。)

Sometimes he rebelled against his father, misleading him and making his own place.
(時に父に反発し、誤解を招き、自分の居場所を作っていた。)

It also bothered my father. But my dad acknowledged my way of life.
(それは父に迷惑をかけることにもなった。だが父は俺の生き様を認めていた。)

Knowing my mother's truth, I think my outlook on life has changed a lot.
(母の真実を知り、俺の人生観は大きく変わった様に思うんだ。)

And from now on, it's really a challenge to myself. One young man who thinks so cuts the wind into the unknown world.
(そしてこれからは本当に自分への挑戦だ。そう思う一人の青年は未知の世界へと風を切って進んでいく。)

・・・
・・

B. いいえ


《Capitolo・3》
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ジリリリリリ〜

「ん…ああよく寝た〜!どうやらそのまま寝てしまった様だな」

〜ピンポンパンポ〜ン♪

どこからかアナウンスが聞こえた。するとオロアの声が聞こえた様だ。

「ご乗車ありがとうございま〜す!まもなく待望の〜【paradiso】へ到着しま〜す♪しかし、この列車は順番にフロアの扉が開く様になっているため、開いた方から順番に出る様にしてくださいね〜♪…もしルールに従えない様であればあなた達の身柄は執行者に引き渡すので悪しからず〜♪」

「え〜と俺はフロア5だから…もう少し先だな〜」

そう言いつつ、隆一は順番が車で待った。待つこと数分後に扉が開いた。

「お〜やっとか…待ちくたびれたぜ〜!」

隆一は電車から降り、その周囲を確認する。そこには灯台があり、海が見えていた。眺めの良い場所であり隆一自身、気分が良かった。

「ふ〜っ着いた着いた〜海が近くにあって気分がいい…ってあの世でも海は存在するんだな…」

背伸びをして気分良くしていると、オロアがやってきて声をかけてきた。

「も〜隆一さん!海をじっと眺めている場合ではありませんよ!さ〜早くいきましょう♪」

「あ〜分かった!よしいくか!」

隆一はオロアに着いていく。すると、いきなり駅員事務所の様な場所に案内された。

「はい。ではここに入ってください!」

「ここにか?じゃあ遠慮なく、失礼します。」

隆一は落ち着いて事務所へ尋ねた。するとそこには容姿は10代後半の女性が座っていた。髪色はオロアと同じで眼鏡をかけている。そして真面目な感じがする雰囲気を醸し出していた。そしてその女性は声をかけてきた。

「初めまして。あなたは皆川隆一様でいいですね?」

「ああ!」

「私は導き人の一人、イールです。…うちのところのオロアがご迷惑をかけてすみませんでしたね」

「大丈夫だ!結構ヤンチャな所はあったけど…問題ない!」

イールはオリアとは違い、坦々な事務的な性格をしている。二人はかなり対極的な性格をしていると、隆一は思った。

「ではこの書類をよく確認し、承諾の上でサインしてください」

「どれどれ?…!?」

隆一はその内容を確認し、驚くべきことが書かれていた。


【paradiso】Entrance examination procedure
(【paradiso】入界審査手続き書)

(       )
【1】In this [paradiso], you cannot use the name in this world, so please decide a new name.(Be sure to use the alphabet! Any number of characters)
(この【Paradiso】では現世での名前は使えないので新しく名前を決めてください。《必ずアルファベットで!文字数は自由》)
※原則です。違反した場合、不法入界者として一ヶ月以内に執行者を派遣し、身柄を拘束します。

【2】[Paradiso] has a rank system, and the higher the rank, the more status you have and the wider your range of home and work. At first you start with the lowest F rank. Points will be paid to all residents living in [paradiso] every month. You can have free time to eat, which promises an equal life for the citizens.
(【Paradiso】にはランク制度があり、階級が上であるほど、地位を持ち、家や仕事での幅が広がります。最初あなたは最低値のFランクから始まります。一ヶ月毎に【paradiso】に生活する住民全員にポイントが支給されます。ご飯も自由な時間に取れますので、市民に対し平等な生活を約束されています。)
※【paradiso】では(F→E→D→C→B→A→AA→AAA→S→S1→S2→S3→S4→S5)という順にランク付けされています。

【3】In order to rank up, you can earn reward points at the request of the Labor Guild and raise it when you reach the standard value. We recommend that you work voluntarily and rank up.
(ランクアップするためには、労働ギルドからの依頼を受けて報酬ポイントを獲得し、基準値まで達すればアップすることができます。自主的に労働してランクアップする事を推奨しています。)

【4】No bleeding is seen in the body even if it is cut in this world. Since your body itself is composed of a posthumous soul, if you take a certain amount of damage, it will be difficult to form a soul, and in the worst case ... your soul will disappear, and even in heaven and hell. We cannot guarantee that you can send your soul!
(この世界で斬られても身体には出血は見られません。あなたの身体そのものは死後の魂として構成されているため、一定数のダメージを負った場合、魂の形成が困難な状態になり、最悪の場合…あなたの魂は消滅し、天国や地獄にも魂を送ることができるのかの保証はできません!)
※後ほど、自分の基準となる魂の量を計測できる腕時計型デバイスを進呈します。

【5】This world of [paradiso] is also a utopia depending on how you perceive it, and in many cases you will be tested for your ability to be called a dystopia. We hope that you will spend your days not forgetting that we are in a society that is unequal and has a difference between rich and poor.
(この【Paradiso】という世界は個人の捉え方によってはユートピアでもあり、ディストピアとも言えるくらいの実力が試されることが多いです。不平等かつ貧富の差もある社会の中だという事を忘れない様に日々を過ごしていただければ幸いです。)

We recommend that you sign after understanding the above.
以上のことを理解した上でサインされる事を推奨します。
現在時間:【paradiso】歴1999年 6月16日 名前:()


「…こ…細かい!」

「この世界では弱肉強食です。ルールは基本的に無視する輩もいます。その様な怠惰をする現世人は遅かれ早かれ破滅の道を辿るでしょう」

「…とりあえず名前どうしよ?…【Paradiso】にまで来て執行者にまた追われるのは懲り懲りだ!」

隆一は悩んでいた。するとある洋画に出てきた軍曹の名前が頭によぎった。その軍曹は仲間を無残にやられ、それでも屈する事なく悪党に対し、突っ走っていったのが当時印象に残った。それを思い出し、隆一はその軍曹の名前を書いてみた。

(Bill)

「この名前でも大丈夫か?」

眼鏡を持ちながらその名前を確認する素振りを見せるイール。確認し終えた後、隆一に対し淡々と返答する。

「…問題ありませんね。良しとします。あと食事についてはFランクの場合は、あなた方の現世にある様な飲食店への入店をお断りされることが多いですね。その際は無人販売機の方にて食事するか、もしくは定期的にやっている炊き出しに並ぶか…そこは自由にしてください。」

「!?」(…え!?…あの世まで来てそんな生活!?…仕方ない!…とは言っても、死んでいるからあまり空腹感が感じない!)

「…フフッ以外ですね。その見た目だと、割とハングリーな感じだと思いましたが…」(…クスクス!)

「…あっ!笑った!…意外だ!…案外そのほうがいいんじゃあないか!」(カキカキ!)

隆一はイールに意外な一面があることに驚いたのか、書き終わった書類をイールに渡す。まんだらでもない様子のイールは少し落ち着いてから隆一に話しかける。

「…こほん。それはともかくとして…確かに書類は承諾とさせていただきました。これであなたの入界手続きは終了とし、貴方はこれから現世人【Bill】(ビル)として名乗っていただきます。こちらはあなたが現世人であることの証明となる勲章です。あとはこれを身につけていただきます。」

「ん?何だ?腕時計?」

【Bill】はイールに渡されたものを確認した。勲章には【Questo mondo】と書かれており、もう一つは見た感じ腕時計であった。そしてそれについてイールから説明を受ける。

「それは通称【P-Watch】腕時計型デバイスです。手に着けてディスプレイを見てください」

「!?何だ、これ!?…なんかハートが書かれてる!」

【Bill】は初めての【 P-Watch】の画面を確認した。すると、自分の現時点のランクに、ハートの様なものが表示されている。

【Bill】  ランクF 
【♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡】

現在は【Paradiso】歴1999年6月です。

「俺たちの世界でも腕時計はあった!…けどこんなのは初めてだ!…何なんだよこれ!?」(キラキラ!)

「それは貴方の魂の値です。計測した数値は大体のものですが、もしそれが無くなれば貴方の魂は消滅するという事をお忘れなき様お願いします」

「わかった!…この世界が出来て1999年なんだな…」

するとイールは少し笑みを浮かべて隆一に説明した。

「この【Paradiso】には最初、時間の概念はありませんでした。元々この世界は真っ白な世界でした。そんな時に、ある人には創造神とも言われ、中には重罪者とも言われた女性と、その女性を守り勇敢に守護して戦った男性。そしてその二人に付き従い、二人のために戦った一人の少年の言い伝えがあります。その人達の頑張りがこの世界に時間の概念を創り出し、この世界を作ったというのは昔から伝えられている伝承の歴史があります」

「おお〜!…ん、待った!…もしかしたら、この時代にも。…その〜創造神を憎む悪い奴がこの【Paradiso】にも潜んでいるのかも知れないのか!?」

「おそらくは。…そしていつしか貴方達の様な現世人の者達に危害を企てるやも知れません。もしそのような時にその者達と対抗するための術を私達は貴方に素質があるか…試すことができますが…やってみますか?」

「…え!?そんなことできるのか!?」

その言葉に【Bill】は驚き、イールは会話を続けた。

「はい。この【Paradiso】は極めてあなた方が住んでいた世界とは非現実的な価値観で構成されている世界ですから。貴方の実力を問い、この【Paradiso】に生き残れるか判断させていただきます」

「おぉ〜……」(…なんか色々面倒が多い!)

「別に試練を受けずに素通りしても構いません。少しでもこの世界から早めに去るおつもりでしたらお好きに…」

「…わかった。この試練受ける!」

「確かに承りました。こちらへどうぞ」

「…お、おう!」

【Bill】はイールの後をついていく。するとそこには広大な空間が広がっていた。

「な、何だここ!?ここってまるで洋画でよく観ていたコロシアムと言えばいいのか!?」

「はい、そして目の前に立って見てください。相手の方が来ます」

「ん?…!?…な…あれって…!?…俺…なのか…」

【Bill】は驚いた。自分の目の前に立っていたのは、かつて現世で特攻服を着た自分、つまり隆一であったことに。その際、イールから説明を受ける。

「あそこにいるのは現世での貴方自身です。どうやら現世での別れから、後悔の念が具現化して成仏できず、魂の集合体として人の形をして存在しています。」

「あれが…俺…!!」

すると、相手の隆一が声をかけてきた。

『お前が【paradiso】の俺か…お前を倒して、何としてでも現世に帰るんだ!あいつら…山崎、涼子ちゃん、そして親父の元に帰るためにな…!!』

「…!!」

【Bill】は現世での隆一だった者の言葉に怯みそうになった。相手の声には、まるで現世での未練を残し、後悔の念が混じり合った強い責任感に満ちた苦痛のある悲しみにも暮れた声を出していた。

「この試練の意図はかつての現世での自分自身と向き合い、見事に打ち勝つことで合格と致します。覚悟はいいですか?【Bill】さん?」

すると【Bill】は頷き、覚悟のこもった目をしていた。

「…ああ!やってやる。俺の拳でこいつの目を覚まさせてやる!大丈夫!わかってくれるよ!…こいつは、俺自身なんだからよ!!」

【Bill】は拳を握り、相手隆一もそれを見たのか、ファイティングポーズをとる。

「ではこれより、【Bill】vs隆一との勝負を開始します。では両者共…」

「グッ!!」「グッ!!」

イールは始まりの合図の準備をしていた。周りは静かだ。風もなく無音の状態が続いている。その中でイールは目を瞑りながら両者の勝負の合図をじっと待っていた。すると無慈悲にも戦いの合図が開始される。

「始め。」

🎼Back Ground Music 》》》



♪〜TOXより・己を信じて

「うぉぉぉ!!」(ブン!)

「うぉぉぉ!!」(ブン!)

バキッ!!!

無音の空間が飛び交うコロシアムの中、両者の拳と拳がぶつかり合う音が聞こえた。

「グッ!いてぇ〜なあさすがは俺だな」

「グッ!お前も、今のは痛かった。…だがこんな痛み…置いていったあいつらに比べれば屁でもないだろうがな〜!!!」(ブン!!)

「…ちっ!!」

「…がら空きだ!!」(ブン!)

「グハッ!!」(べキッ!)

「まだまだ行くぞ〜」(シュッシュ!!)

「…ちぃ!!」

【Bill】は隆一の攻撃にひたすら耐え、反撃のチャンスを伺っていた。すると、隆一から心の声のような呟きの声が聞こえてきた。

(…な、何だ…)

(……あいつら…山崎…他の仲間達…俺がいなくてもちゃんとやっていけるのかよ…親父も最初は嫌いだったが後から母さんのことを知って死んだ後で迷惑をかけて…俺はどうしたら償えるんだよ…もうあんな死に方して死んじまって…あの世に行ってもうそんなこともできないのによ…くそっ!)

(…!!…そうか…無念にもあんな死に方したんだ。それに俺もあの試練を受けて、親父のことを知ってそれから…確かに後悔の念があるんだろうな…)

「…オラ!!なに考え事してんだよ!!」

「…」

すると、【Bill】はそのまま立ち尽くしていた。

「…テメェ〜ふざけているのか!?…見損なったぜ…それでもお前は……俺かよ〜!!」(ダッ!)

「…!!」(グッ!!)

ドゴーッ!!

「…ぐハァ…ああ!!」

隆一は【Bill】目掛けて突進してくる。そして【Bill】は思いっきり、拳を握り、隆一の顔面を殴り、地面へと倒した。

「…て、テメェ…!」

「…来いよ…俺…今からお前の目を覚まさせてやる!」

「ほざけや、くそったれが〜!」(ブン!)

「甘いぜ!!オラよ!」(シュッ!)

「ぐほっ!!…何で…何でお前は…」(グググッ!)

「勘違いするなよ。俺はあいつらのことをどうでもいいと思っているわけじゃない。ただいつまでも引きずるのは俺としてどうかって話なんだよ…!それをお前にわからせてやる!」

「…ふざけんなよ…あいつらのこと見捨てて、こんな都合の良いユートピアの世界に逃げたお前が…あいつらのことを気安く口に出すんじゃあねえよ!!」(ブン!)

「…ああそうかもな…お前から見れば都合のいい世の中かも知れないさ。だがな、いつまでもウジウジと現在の別れが悲しくて、前を向けずに自分自身に嫉妬みてえに当たり散らすような奴に…あいつらの気持ちが本当に理解できたのかよ!?」(ヒョイ!)(シュッ!)

「…ぐはっ!!…俺は…俺は…!!くそがー!!」(ブン!)

「…ちっ!まだ向かってくるのか…!?まあそれも俺らしいか…」(ヒョイ!)

2人の戦う姿を見守るイールは思った。2人は自分自身、お互いは認めなくても戦っていれば、なにかしら共通したものが見えてくると、必ず和解は出来るとそう思い、2人の戦いを見守っていた。

「…ちっまたか…」

すると、【Bill】からまた隆一の心の声が聞こえたように感じた。

(俺があの時、もし生きていたら何か人の役に立つ仕事ができたのか…いやこの学歴社会になって、俺の居場所はどこにも…)

「…そうだな俺も、そんな気持ちになって不安になったこともある。だがなぁ…俺自身、それでも前に進もうとした。こんな俺でも誰かの役立てるんじゃあないかって…だから俺は自分を信じてる!!…自分を信じてな!!」

「…うぉぉぉらぁぁぁぁ!!」

「…最後にしてやるよ…!!うぉぉぉぉらぁぁぁ!!」

バキイィィ!!!

「「ウグゥ…!!」」

「…ふむ」

「くっ…ハァ…ハァ…」(フラッ!)

「……くそが…」(フラッ!)

バタン!

「…!!…」

激闘の末、隆一はその場で倒れ伏せた。そしてイールが勝敗の行方の審判を下した。

「そこまで。勝者【Bill】」

「…勝った…のか…俺…」

【Bill】はそのまま立ち尽くしていた。すると隆一は立ち上がり、【Bill】の前に来た。だがその目には敵意は無く清々しい表情をしていた。

🎼Back Ground Music 》》》



「…参ったといいたくないが…それでも負けは負けだ…認めるよ。だからユートピアの世界でも負けずに頑張れよ俺…」

「ああ!…俺もお前も、親父と母さんに産んで育って限られた時間の中、あいつらに会ってきたことに変わりないんだ…忘れないよ…いつまでも俺は…」

「…頼んだぞ!……【Bill】!!」(コクッ!)(ガシッ!)

「お前もな、隆一!」(ガシッ!)

2人は握手すると、隆一は光に包まれて粒状になり、【Bill】の周りを包んだ。

「な、何だ!?」

するとイールは【Bill】に対してこう伝え、説明した。

「どうやら貴方は自分自身と向き合い、【fiducia】と呼ばれる神託の恩恵を受けました。これより貴方にはこの【paradiso】の世界で使用できる隠れ持った潜在能力が開花しました。」

「…なんかゲームとかであるような設定だな…まあここにつけてる腕時計も似たようなものか…んで俺の魂の量はと…おっ!?」

【Bill】  ランクF 
【♡♡♡♡】

「だいぶ減っているな〜なあこれってどうやって回復するんだ?」

イールは【Bill】の問いに対しこう答える。

「睡眠を取るなり、中には魂を補充する薬、また食事にも魂が補充される作用のものがあります。ですが今回は特別です。私が補充して差しあげます。」

「えっ!?」

するとイールは何かの本を取り出し、お札のようなものを【bill】の身体に貼り付ける。すると【Bill】の周りに光が宿り、心なしか体が軽くなったように思った。

「確認してみてください」

【Bill】は恐る恐る腕時計を確認する。するとディスプレイの表示が変わっていた。

【Bill】  ランクF 
【♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡】

「!?…回復している…これは一体…!つかお前ら導き人は何者なんだよ!?…オロアは怪力だし、イールだっけ?あんたは回復できるし…一体…」

するとイールは少し笑みを浮かべ、その問いに答えた。だがそれは先程のような親切なものではなく、何かを試すかのような笑みである。

「それは…これから貴方自身が知ることになりますよ…では次へと参ります。」

「…え!?まだ何かあるのか!?」

「は〜い♪せっかく貴方は【Fiducia】に目覚めたのでその実力を試させてもらいま〜す♪」

すると【Bill】は聞き覚えのある声がしたので声のした方を向く。そこにはオロアが立っていた。

「なっ!?オロア…」

「オロア…それは私のセリフなのですが…」(やれやれ)

「まあまあいいじゃないですかイール姉様〜♪」

「姉様ってあんたら姉妹関係なのか!?」

たわいも無い会話をしていると、誰かがこちらに歩み寄ってくる者が現れた。【Bill】は確認すると、イールとオロアと同じ髪色の長髪で顔面にカフスを着けた一人の騎士が現れた。見た感じ、女騎士と言えばいいのか【Bill】は少し混乱した。すると、女騎士はこう語りかけた。

「お初にお目にかかります。私は彼女達の長を務めていますオーラルという者です」

オーラルと名乗る導き人は丁寧に【Bill】に挨拶する。

「あ、これはどうも。んでイール、一体何を始めようっていうんだ?」

するとイールは少し笑みを浮かべて【Bill】に返答する。

「これから貴方にはオーラル姉様と戦っていただきます。言い分は問いませんので速やかに前に来てください」

「…なっ!?」

するとそれを聞いた【Bill】は突然のことでわからず、イールに対して、抗議をした。

「ちょっと待て!?相手剣持ってるんだぞ!手ぶらの俺には明らかに不利だろ!?」

「は〜い♪それではこれよりオーラル姉様とさっきから騒々しい【Bill公】によるエキシビョンマッチを開始しま〜す♪」

それを聞いてイライラしたのか、【Bill】はオロアに詰め寄った。

「話を聞け〜!俺はやると言ったわけじゃないぞ!そもそも【Bill】公ってなんだよ!?」(イラッ!)

「問答無用で〜す♪さあ男なら正々堂々行ってください〜♪」(トン!)

「な!?…うぉ〜!!」(ビュ〜ン!)

するとオロアの人押しで、真ん中に【Bill】が配置された。そしてそれを待ち構えていたオーラルはこう話す。

「うちの妹達が無礼な態度をお取りしてどうもすみません…」

「本当にだ!…俺も言えた義理じゃあない!けど!ちゃんと教育してんのかあんた!?」

するとオーラルは笑みを浮かべながら、真ん中へと歩み出す。そして、【Bill】に対して、こう言い放った。

「ふふふ、あれでも私の可愛い妹達なので多めに見てあげてください…では…!これより貴方の実力を試させていただきます。…覚悟は良いですか…?」(ゴゴゴゴ!!)

「…!?」(ゾクッ!!)

【Bill】は相手のオーラルの桁違いの気迫に驚いた。生まれて初めて、ここまで相手を威圧させる相手は初めてであると【Bill】は驚きを隠せなかった。

🎼Back Ground Music 》》》



♪〜TOEより・Ability Test

「…では…行きますよ!」(シュッ!)

「…なっ…消え…!?ごはっ!!」(メキッ!)

ヒューーン!

【Bill】はオーラルの神速の如く早い特攻に対応出来ず、【Bill】の脇腹にオーラルの拳が炸裂し、宙へと飛んでいく。

(み…見えなかった…しかもなんて重い一撃だよ!)

「うふふ。流石に素手の貴方に剣を抜くことは致しません…ですが…ここまでのようですね!」(ゲシッ!)

「グハァー!!」

ドゴーーーン!

【Bill】はとてつもない轟音と共に地面に倒れ伏せてしまった。その力はオロアのものと比べ、桁違いに重い蹴りを味わった。

「あ、あが…」

「あらあらもう寝る時間ですか…せっかく貴方の習得した【fiducia】を試していただかないと…仕方がない人ですね…」(シャキン!)

「あらら〜!オーラル姉様が抜刀しましたね♪」

「…そのようですね、オロア…あのままでは彼…まずいですね…」

(グッ…なんつー威力だよ…このままじゃ…くそ、刃物を持ちながらこっちへ迫ってくる…こんな時、俺の身体が鋼みたいに固ければ…いんや…できれば拳だけでもだ。手だけでも鋼鉄のように固ければ…あれ!?…何だ!?腕に光が…!!)

「…!?」

「あらあら…もしやこれは…」

「…そうですか…これが貴方の【Fiducia】といったものですか…これはまた面白いですね」

「…な、なんだこれ…両手の腕に光が…!?」

【Bill】の手が怪しく光っていた。どのような効果があるのかは本人自体自覚がないようである。すると、オーラルは興味深そうに前に近づいてくる。

「ふふふ…なるほど。それが貴方の適正に合った能力ということですか…でも、この私の斬撃を回避することができますでしょうか…?」(シュッ!)

「…!!」

キンッ!!

「…!!」

「…ほぉ…!」

【Bill】は腕をクロスにし、防御の姿勢をしていた。すると、剣は腕を切れておらず、弾かれたままであった。すると反撃と言わんばかりに【Bill】は刃を掴み、拳を握りしめ、オーラルの顔面を思いっきり殴り込んだ。

「うぉらぁぁぁぁ!…!なっ」(パシッ!)

「…!!…うふふ。そうですか…貴方はどうやら肉体強化系統の能力といったところでしょうか…面白いですね…」(グググ!)

オーラルは別の手でそれを防いだ。そして思いっきり蹴りを一発入れた。

「はぁっ!」(ドゴッ!)

「ぐあぁぁ!!」

ドゴーーン!!

あまりの凄まじい蹴りに、【Bill】の身体は飛んでいき、壁へと激突した。あまりの衝撃により気を失い、腕時計端末から魂の量が減っていたのかアラームが鳴っていた。

「なるほど…肉体強化…ですか…♪」(ツンツン!)

「まあまあですね…ま、この殿方が使いこなせるかはわかりませんが…」(ツンツン!)

(…使い方次第では、力になる能力ですね…将来どうなるか…ですね…)

導き人達は、【Bill】を連れて、検査室へと運び、手当てをした。

🎼Back Ground Music 》》》



「ん…ハッ!?…ここは…どこだ?」

「あ、目が覚めましたか?」

「え?…あれ?…あんたは…」

「ああ…あの時仮面をつけていましたからね…先ほどはどうも…オーラルです」

「…え、ええ!?あ、あんたが…」

「どうも初めまして…」(二コッ)

「」(…一体こんな美人さんからどこからあんな人外的な力が出るんだ!?…《人間重戦車》か!?)

「うふふ♪…なら今から腕相撲でもいかがですか〜♪?」(ニコニコゴゴゴ!)

「あ。…いやいや!遠慮しとく!!」(ブンブン!)

するとオーラルは今回の試練の合否を説明した。

「ウフフ!では【Bill】さん。今回の貴方は見事、【Fiducia】の一つである肉体強化を使えるようになりました。よって試験は合格とします」

「ほ、本当か!?」

「ですが乱用は禁物です。貴方の能力は。…思った以上に肉体への負荷が大きいため、最悪自分の身を危険に晒すだけですからもしもの時にだけお使いくださいね…」

「わ、分かった!ちなみに導き人のアンタの力も肉体強化系なのか?」

「いえ、これは元々の体質です。まあもしかしたら私達は誕生と同時に肉体強化を施されているのかもしれませんね…」

「そ、そっか。……でもこれで俺もようやく【Paradiso】へと行けるってことか…」

能力を手に入れ、【Bill】は少しホッとしていた。これで何かあれば自分の身を守れるという事を思っていた。

「では、貴方を【Paradiso】の入り口まで案内します。こちらに来てください」

「おう!」

オーラルの指示通り、【Bill】は駅の外の扉までついた。そしてオーラルは旅立つ前に【paradiso】について話した。

「では【Bill】さん。よく聞いてくださいね…【Paradiso】の世界は13の島で構成されています。もちろん一つ一つの島は文化も価値観が違います。そして貴方はFランクなのでまず13の島のうちに存在するFランク向けの始まりの町へと移されます。そこで実績を積んでいき、Eランクから目指して頑張っていただけると幸いです。」

「一つ質問いいか!?オーラルさん!」

「なんでしょうか?」

「さっきイールにも聞いた!この【Paradiso】に俺達が敵対するその悪企みを起こす奴らは、今も存在してるのか?」

その質問にオーラルは首を縦に振った。

「はい。そしてその動きは着実に勢力を強めていますね…ですがご安心を…その者達と対抗しているギルドもこの【Paradiso】にも存在しています。その人達は特に人種関係なく、支援も快く受け入れて雇用も受け付けております。そのために今回の試練をお受けさせた次第であります。きっとあなたの役に立つのではないのかと思います」

「分かった!……じゃあ俺の能力もその人達にとってすっごく貴重なんだな!!」

「はい!もしかしたらその能力を見込んでスカウトに駆けつけにくると思いま〜す♪」

「おお〜!!…って!?…この声!!」

【Bill】は後ろを振り返ると、案の定オロアが立っていた。

「オロア!!み、見送りか!?」

「は〜いその通り〜♪」

「フフッもうほんとこの子ったら〜」(なでなで!)

「えへへ〜お姉さま〜♪」

「!?」(シ…シスコンか!?)

「そうですが何か?」(二コッ!)

「いや〜なんか微笑ましいなって!!…俺には妹とかいなかったから」

「あら、そうでしたね…なんかごめんなさい…私達の熱い姉妹愛のあまりに嫉妬させてしまいましたね〜」

「【Bill】公…元気出してくださいね〜♪」

「人を《エテ公》みたいに言うな!…はぁ〜……!!…じゃあ、行ってくる!!」

【Bill】は扉を開けてこれから外へ出ようとする。すると、誰かから呼び止められた。

「【Bill】さん、お待ちください」

「ん?あれイールもこちらを見送りか?」

「当たり前です。これを持っていってください。もしものための魂の補充薬の入った袋の詰め合わせです」

イールは親切にも、もしもの時のための救急用品の入った袋を【Bill】に渡した。その様子から、三姉妹の中でも常識があってしっかりとした印象を持っていた。

「ありがとな!!俺はなんか、三姉妹の中で、イールが一番まともだ!!すげえ嬉しい!!」

「…そうですか」(フッ…)

イールは少し嬉しそうに笑っていた。だが他の二人はその会話の内容に対し、穏便に話を聞いてくれそうになかった様である。

「「…それどういう意味(でしょうか〜♪)ですか!?」」(ゴゴゴゴ!)

「あ。……!!グホォー!!」(メリッ!)

ピューーーン!!

オーラルは軽い蹴り、オロアはドロップキックをお見舞いし、【Bill】を思いっきり外へと飛ばした。

「全く、失礼なことを言いますね!ね〜オロア♪」

「はい、オーラル姉様〜♪」

(…【Bill】さん、ここから本番ですよ…【paradiso】では貴方の生きてきた世界での常識が通用する世界ではありません。それをお忘れなき様…)

イールは少し心配そうに【Bill】のことを思い、見守る。

・・・
・・

B. いいえ


《Capitolo・4》
続きを読みますか?

🎼Back Ground Music 》》》



「うわ〜〜〜!!……あれ?」

あれあの人どうしたんだ? さあ? 何か忘れ物でもしたのかな〜

「…もしかしてここが…【Paradiso】の世界…なんか…近未来感あるな〜!!」

【Bill】は初めて訪れた【Paradiso】の町の風景を見る。そこはビルの様なガラス張りの青白い風景が広がっており、発言通り、近未来感ある風景が広がっていた。

「…そうだ…さすがにもうこの格好じゃ怪しまれるよな〜とは言っても、今の俺のポイントってどのくらいだ?」

【Bill】  ランクF 
【♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡】

現在のポイントは約100,000ポイントです。

「結構あるな〜これを機に服を新調しよう。後折角だしもう暴走族でもないし、態度も変えて更生してみるか…」

それを見て、【Bill】は早速服を売っている店へと言った。

「ここか…よし。」

ビーーッ!!

「な、何だ!?」

入店しようとすると、突然腕時計の方から警告音が鳴った。【Bill】はすかさず確認する

【Bill】  ランクF 
【♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡】

この店の入店が認められるのは最低Cランクの地位が必要です。

「…マジか…」

キラーーン!

「…はぁ…これはしばらく…なにもできないな〜…思った以上に自由がないな…」

「おいそこの君…」

「え?あ、はいなんでしょう?」

「君、もしかしてFランクかい?」

【Bill】は誰かに話しかけられたので振り向いた。そこには20後半男性がそこにいた。【Bill】は思わず挨拶をした。

「あ、まあそうです」

「よし、ならこの世界の仕組みと仕事を紹介しよう。ついてきたまえ。」(タッタッタ!)

「あ…ちょっと…!?…仕方ない。行くか」

どうやらこの男性の話が言うには【paradiso】ではFランクは最低のランクであり、ほとんど人権は無いに等しいという。いうなれば奴隷にも等しいらしい。そして成り上がるには、仕事の他にも、この【paradiso】の世界で定期的に行われる演習合戦に参加し、成果をあげるのが手っ取り早いということを聞いた。中には(通称【Sweep】と呼ばれている)、【paradiso】に散らばる罪を犯している者を捕まえるギルドも最近出来たとも聞いているが、それには実力を買われ、スカウトが必要であるということを聞いた。この話から、導き人が言っていたクーデターを起こす連中を取り締まっているのはその団体だと知った。

「へぇ〜色々あるんだな〜んで兄さんは誰なんだ?」

すると、男性はこう語った。

「よく言ってくれた。私は【Eiza】!この【paradiso】というユートピアに来て早5年目。ランクはEランク!褒め称えよ〜!」

「へぇ〜あんた現世人なんだな〜なんか仲間みたいだな〜」

「ああ。君もか〜!!ここでは俺が先輩みたいだし。色々教えるよ」

「んじゃ…あれなんだ?…年齢変更サロン?」

【Bill】はこの町にある年齢変更サロンについて気になっていた。すると、【Eiza】はこう語る。

「ああ。あそこはなAランク以上が行けるところでな。年齢基準が満たされている場合、年相応の姿に変更することができるんだ。例えば実年齢18歳の場合、10歳の姿からサロンをした後に18歳の姿に変えられたりするんだよ。まあこれは個人の自由といったところだな…まあ死の世界だから俺ら歳は取らないんだがな〜そこが現世とは違うとこなんだよな〜」

「ある意味女性は喜ぶかもしれないですね」

ハハハハハハ!

【Eiza】と【Bill】は談笑しながら、目的の場所へ行く。すると何かが見えてきた。

「お、ここだ。見てみろ!」

「ん?…!!…何だここ!?」

【Bill】が見たのは、それはまるで阻害されたかの様なスラム街の様に佇んでいる街であった。いかにも誰かがかつあげに遭遇しそうな無法地帯の様にも思えた。

「ここが俺たちFランクが許されている居住エリアだよ。ここには定期的に炊き出しが来たりするから割と快適でな〜。後は自販機で自分の好きな物が頼める。まあポイントが必要だから使い道には気をつけるんだな。」

「…へぇ〜で?住む家はあるのか?」

「いや、それがなくてな〜ほとんどボロボロで。まあ雨風凌れる場所であればそこで寝泊りする奴がいるな〜」

(…そっか…適当に自分の寝床へと泊まるか…)

そう思った【Bill】は一度【Eiza】足を動かし、できるだけ家っぽいところを探した。すると割と屋根もあるある程度マシな建造物を発見した。

「ん?…おっ屋根があるな…だがボロボロだが上に板でも付けとけば何とかなるか…まるで秘密基地みたいだな…よし。ここにするか!」

【Bill】は気に入ったのか、古びた家に住むことを決めた。幸い、誰も住んでいないことがわかり、その家を個人的に気に入っていた。

「よし、どっかでソファーでも仕入れてみるか…確か廃材置き場があったな〜!何かあるかな…」

🎼Back Ground Music 》》》


〜廃材置き場〜

「ん〜?おっスツール!!…これなら並べてやればソファーになるし、ベットになるな〜!」

機嫌よく【Bill】は廃材置き場から物資を拾っていく。すると何処からか声が聞こえた。

「クゥ〜ん…」

「ん?…!!あれ!?…犬だ…!!しかもまだ子犬か…見た感じ…黒柴犬だな…」

「クゥ〜」

【Bill】はその子犬を見て、何か思ったのか、居場所が無いことを感じ、優しく抱き寄せる。

「クゥ〜」

「そうかお前は…ずっと一人だったのか…寂しかったんだな〜…よ〜し!俺が面倒を見てやるよ!」

「クゥん!」

「よし!お前の名前はクゥ〜って鳴くからクウだ!!よろしくな!クウ!」

「ク〜ン!ワン!」

そして、ここから【Bill】とクウの生活が始まった。最初は自分一人であった生活も、クウとの出会いが【Bill】の生活にメリハリがついていた。

pipipipi!

「ん〜よく寝た!」

「ワン!」

「おはようクウ!朝ご飯一緒に食べようか!!」

【Bill】はご飯を食べる。そしてクウもご飯を食べ、身支度を済ませる。【Bill】は張り切っていた。今日は初めての仕事である。

「じゃあ行ってくるよクウ!留守番よろしく!」(頭なでなで)

「ワン♪」

〜街の広場〜

【Bill】の仕事は街の掃除である。街中に行っては何処かにゴミがあれば拾い、それを拾い、掃除マシーンに回収させる仕事だ。思った以上にゴミは落ちていることが多いので、仕事としてなくなることはない。だがそこまで待遇が良いわけではないが、【Bill】はせっせと働いた。

【Bill】  ランクF 
【♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡】

ランクアップまであと※※※です。

「…ふぅ…全然増えないな〜まあでもコツコツやっていけば、大丈夫だろう。【Eiza】さんだってEランクだし、こなしていけば何とかなるだろ…」

そう思い、【Bill】は帰宅する。すると愛犬クウが出迎えてきた。

「ワン!」

「クウただいま!!…散歩に行きたいのか?」

「ワン!」(タッタッタ!)

「あ、おい待てって…あはは!お前そんなに楽しみだったのか!俺が帰ってくるの?」

「ワン♪」

【Bill】はクウと一緒に貧困街を走り出す。するとそこに【Eiza】とすれ違った。

「やあ【Bill】散歩かい?」

「ああ【Eiza】さんどうも。クウは走り出すと聞かなくて〜!」

「あっはは元気はいいことだ!気をつけてな!」

「ああ!」

「ワン!ワン!」

「ああ。わかったよクウ!じゃあ【Eiza】さんまた。」(フリフリ!)

「ああ。気をつけて…全くこの貧困街も賑やかになったな…」

〜夕食〜

「あっはは。よく食べるな〜クウ。…俺は炊き出しの肉じゃがか〜。まあ味は薄いけど普通に行けるな〜」

〜夜〜

「ん〜クウ…zzz」

「クウ〜…zzz」

その日々を毎日、そしてあっという間に一年の歳月が過ぎ、今回の様な騒動に巻き込まれてしまった。

・・・
・・


🎼Back Ground Music 》》》




【Bill】  ランクF 
【♡♡】

残り残魂はわずかです。注意してください!!

「くっ…くそ…」

「もうゆっくりこの【paradiso】を観光できただろう…さあ、完全なるユートピアの結成のためだ…命の礎となるのだ!」

【Bill】は歯を食いしばった。そして、ここで死ぬことは出来ないという気持ちが強くなった。

「…こんなところで…!?」(キイィィィ!)

「…!!な、何だ!?」

すると【Bill】の身体が光り出した。それは一年ぶりの感覚であった。一年前のオーラルとの戦いでその力を発揮され、肉体強化の能力に目覚めたのである。すると【Bill】は相手のナイフを掴み取り、何処かに放り投げ、相手に反撃の姿勢を見せる。

「…覚悟はできたか?」

「ほざけ…!!それにその力…そうかあの忌々しい導き人のか…!!貴様だけは何としてでもこの手で殺す…我々の脅威にもなりかねないからな!!」

「くっ…あんたらを殺す気はないが…仕方ないな…元暴走族とかいう肩書を捨て【Bill】としてお前と戦う!…おまえ名前は…?」

すると、男は笑いながら【Bill】に自己紹介した。

「私はペルガ!…真・ユートピア創造士隊の下神官の一人だ!その命貰い受ける!!」

「わかった!…来いペルガ!!」


🎼Back Ground Music 》》》



「くらえ!」(ブン!)

「な!?ナイフを投げてくるだと…」

「どうせお前は虫の息なのだ…おとなしく刺されて魂の塵になるがいい!!」

「…くそっ!…だが止まるわけには行かない!特攻だ!」

「…!!」

【Bill】は走り、強化された腕で投げつけられたナイフを弾いていき、肉体強化した腕を思いっきり、ペルガの腹に突き立てた。

「オ〜リヤァァァ!!」(ドゴォォ!)

「グ、グォォ!!…お、おのれ〜!!」(グ〜ン!)

バーーーン!!

「はぁ…はぁ…やったか。」

「ぺ、ペルガ下神官様!!…き、貴様ぁぁぁ!」

すると騒ぎを駆けつけたのか、ペルガの部下たちが、続々と集まってきた。

「…我ら真・ユートピア創造士隊に対する反逆とはふざけた奴だ…!!…こいつを今すぐに処刑しろ!!」

オオーーッ!!

「…くっ…あの軍勢ではきりがないな…だが…やるしかない!…こうなったら全力で行くぞ!!」

【Bill】は身体全身に肉体強化を施した。すると身体中に光が宿り、無意識の内に軍勢に捨身の突進の如くぶつかっていった。

「う、うわぁぁぁ!!!!」

ぐぁぁぁぁぁ!!!

「グッ!!なんて力だ…!!我々では止められないぞ!!」

(はぁはぁ…あれ!?何故だ…身体が言うことを聞かない…あっ!?)

すると【Bill】はオーラルの言葉を思い出した。くれぐれもこの能力を乱用をするなと言うことを思い出していた。

(く、くそ…じゃあこれは能力が制御できずに暴走しているってことか…俺としたことが…ぐっ!!)

バタン!

【Bill】はその場で倒れてしまった。だが魂の量はわずかに残っていた。【Bill】が倒れていることを確認し、創造士隊達は続々と集まってくる。

「ふぅ…驚かせおって…ではこれより処刑を開始する!!」

ワーーーッ!「…な、何だ貴様は…!?ぐあっ!」「な、何者だー!?」

【Bill】は少しだけ目を開けた。すると何処からか、創造士隊達の悲鳴が聞こえてきた。するとそこには銀髪のベリーショートウルフの男が木刀を手に持ち、創造士隊達に立ち向かっていた。すると、創造士隊はその実力に恐れたのか…少しずつ後ずさる。その男は、【Bill】に手を差し伸べる。

「…大丈夫か!?…あんたもこいつらに襲われたのか…全く…オロア…こんな厄介なところに蹴り飛ばしやがって…!!」

その口ぶりから現世人であることが分かり、【Bill】は男に名前を聞く。

「…あんた現世人だな…名前はなんて言うんだ…俺は…【Bill】」

するとその男は、その名前が気に入ったのか、こう名乗った。

「【Bill】か〜。いい名前だ。昔の洋画に出てくる軍曹の名前みたいだな〜!…俺の名前は二ノ宮白狼改め【Hux・row】!よろしく!!」

【Hux・row】はそう名乗ると、抜刀に見立てた体勢で敵を睨みつける。そしてこの二人の出会いから【paradiso】の物語は加速するーーー







《To Be Continued…→》








 


第8話:プロローグ〜隆一編 Part2
《完読クリア!!》



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