GiorGiaNo

 
《Paradisoシリーズ〜導かれし七人の現世人の冒険譚》


  A.:GiorGia

〜第一章:白狼と誓いの儀礼刀〜

第11話:夕方のデスレースと夕焼け街

数多の【Paradiso】特有の自転車型走行マシン【V.Prestina】(ヴェルノ・プレスティーナ)が夕方の地下トンネル内を疾走する。いよいよ白狼改め、【Hux・row】【Bill】の二人は、【R・P】社内のギルドに所属するベテランの【現世人】女性【Beanne】と出会い、【C島】を脱出する為、隣島の【D島】を目指すデスレースが始まったーーー



《Capitolo・1》
物語を開始しますか?

🎼Back Ground Music 》》》



It is natural that desires are not satisfied, and many live only to satisfy them.
(欲望は満たされないことが自然であり、多くの者はそれを満たすためのみで生きる。)

The beast knows the beast.Birds with the same feathers naturally gather together.
(野獣は、野獣を知る。同じ羽毛の鳥はおのずから一緒に集まる。)

Aristotelēs
(アリストテレス)



♪〜FF7REMAKEより・クレイジーモーターサイクル

〜【Paradiso】歴2000年・6/17日【C島】・夕方・地下トンネル〜

シャーーッ!!ビューーーッ!

「うぉぉぉぉっらぁっ!!」(ブン!)

「ぐぁぁあぁぁ!!」(ベキョ!)

ゴロゴロゴロ!!

「…くそが!……けどベアさん!?…あいつら大丈夫か…?ここは死の世界とはいえど、やっぱ人を殺すのは躊躇してしまうんだよな…」

【Hux・row】は【V.Prestina】に運転し、進路を邪魔してくる殺戮部隊の残党をひたすら木刀で振り蹴散らしていく。そんな様子を後部座席に同乗していた【Beanne】は【Hux・row】の迷いを吹き飛ばすようにいった。

「ハクローくん。…今はそんなこと…気にしない方がいい!あいつらはこれ以上に酷いことを平気でやってるよ。不要になったユートピア人に対して人体標本にしたり、臓器売買、挙句の果てには人身売買とか平気でやる集団だから…これくらいやって懲りさせるぐらいが奴らにとっていい薬だと思う!」

「…そんな話聞いても、遠慮とか躊躇はなくなることはない。…だが少しだけ罪悪感を感じる負担は減ったかもな…すまないなベアさん!」

「いいよ♪さっ!まっすぐ行こ!」(ギュッ!♡)

「…!?///」(!!…だから当たってるんだっての…///)(やれやれ…)

「せいっ!!」(カン!)

「ゲフッ!!」(べキッ!)

うわぁぁぁあぁぁああ!!

「…うおっ!!なんか凄え〜悲鳴あげた!!…ごめんな!!…でも、やらないと俺達は死ぬかもしれないんだ…」

「…くそっ!!やっぱ蹴落とさなきゃいけないのか…だが【Bill】の言うとおりだ!!俺達が死んでしまったら、違う国で新たな犠牲者が増えて、また新たな殺戮が起こされてしまう…そうなれば奴らの思うツボだ…だからこそ…俺達は絶対に生き残ることだ!!…もうここは……!!戦場だ!!…なんとしてでもここを突破するぞぉ〜!!!」

「「「オオ〜〜っ!!(♪)」」」

【Hux・row】【Bill】【Beanne】の三人は【V.Prestina】を運転し、【C島】への脱出口を探す。【Hux・row】は【Beanne】に対し、質問した。

「なあベアさん?【C島】の脱出口にはゲートがあるのか?」

「もちろん!だけどこの残党の量だから脱出口も、もしかしたら待ち伏せがあるかもね!」

「…そうか。…だがそのとき考えたらいいか。…ん!?お、おい前!!」

【Hux・row】が前に指差すと、そこには、待ち伏せていた殺戮部隊の残党が前に立ち尽くしていた。ここは絶対に通さないという意地を張っている。

「クッソ〜!!あいつらなかなかくたばらないな〜!!」「よーしあれ持ってこいや〜!」「ヒャッハーここからは通さないぜ〜!!」

「ん?…!?…きょ、教官!!あいつら持ってるのって!?」

「?…!?げ…《ロケットランチャー》か!?…たく執行者といい、なんでこの世界はあ〜いうのが流行ってるんだろうな…」

「…しょうがない!ちょっとこっちも応戦するね!…ピッピッピっと!」

【Beanne】は【P-Watch】に何か細工して手を翳した。すると、なんと腕から《グレネードランチャー》が出現した。

「…!!な、ベアさん!?一体何したんだ!?【P-Watch】をいじくっていたみたいだけど…」

「あ〜これ♪?【P-Watch】にお預け機能があるからそこに保管していた武器を転送して…FIRE〜♪!!」(カチッ!!)

バーーーン!!シュンシュン!!

……チュドォーーン!!!!!

ギャーーー!! お、お助けーー!! もう嫌だー!! 逃げるんだよーーん!!!

「」「」

《マジかよーー!!!!本当にもうなんでもありだ〜この世界〜!!!!!》

【Hux・row】【Bill】は【Beanne】の発砲したグレネードランチャーの威力を見て衝撃を受けた。こんなに平然として過激なことをするこの人はもしかしたら殺戮部隊よりも躊躇なくやるときはやっていると二人は思った。

「ん〜♪…流石に《旧約聖書》のソドムとゴモラを撃ち倒した《天の火》…またの名をラーマ・ヤーナの《インドラの矢》みたいには流石に行かないか〜……火薬の量を間違えたかしら〜?…残念っと♪」

「ってぇ〜!?やり過ぎだってのベアさん!!」「うわ〜!さすがに!さっきので一人やってしまったんじゃ!?」

「ん〜♪…おや〜?…そうとも限らないよ〜!あれを見て!」

「「え?」」

「げほ…だ、大丈夫か!?お前ら!?」「ああ!【真・ユートピア創造士隊】の開発した戦闘服着てたおかげで助かったぜい!」「お、おのれ突破されたか…」

「げげっ!!…い、生きてる!?何で!?」「ねっ!?♪」「こりゃあ、まるでゾンビ映画みたいだな……」

【Hux・row】【Bill】【Beanne】の三人は防衛線を突破し、ひたすら道を爆走していく。すると何かがすれ違ったのを目撃した。

シュンシュン!!!

「?…なんだ?さっき何か目の前を横切らなかったか?」

「ああ教官!!確かになんかすれ違った!」

「…まずいわね。…あれが来た!」

「…あれ?」

「PPP!」 「 PPP!」

【Hux・row】【Bill】【Beanne】はその横切ったモノを見る。それは飛行ロボであった。下には機銃のようなものが備わっている。

「…な!?なんだこいつら!」

「気をつけて!その子達発砲してくるから!」

「マジかよ!…分かった、なんとか撃ち落としてくれないかベアさん!俺はさっきから煽ってくるこいつらを…せいっ!!…倒していくから!!」(ブン!)

「分かった!残党は任せるね!」

「教官!俺もできるだけ援護するから!!」

ぎゃああああ!! おのれ許さんぞ!! ヒャッハ〜!!これからだぜーー!!

フォン…フォン…!!ピン…ピン…!

「…!!分かった!ベアさんそいつはカメラレンズが弱点だ!そこを狙えるか!?」(ソナー能力発動!)

【Hux・row】 ランクF 
【♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡】
ーー

「分かった!FIRE!」 (ダン!)

パキャーン!!

「demovsd!!………」「dscbjs!!………」

ドーーーン

「よし!」

「へぇ〜♪ハクローくんってソナー能力なんだ〜♪!?…なかなか便利な能力だね!♪」

「ああ、現世では海上自衛隊に在籍してソナー探知とか索敵の任務にも就いていたからな。導き人からの【Fiducia】の試練で授かった。だが半径5メートルの周囲しか探索できないからな…ランクが上がれば範囲も上がるのか?」

【Beanne】は【Fiducia】について知っていることだけを説明した。

「そうだね!ランクが上がれば色々と自分の潜在能力の幅は増えるよ。まあ君の場合、どんなことが増えるのかは知らないけどね!」

「まあ、ランクが上がってからのお楽しみと思っておくよ」

「それが良いよ〜♪……あまり知りすぎたらそれこそロクなことがないからね!」

「…それもそうだな!」

シャーーーーッ!!!

「…!?教官!!ゲートが見えてきた!!…でも…どんどん閉まっていく!!」

「!!」

「どうやらぶっ放すしかないみたいね!!…ハクローくん!!…フルスロットルでお願い!!」

「合点承知!」

「教官!!飛ばして行くよ〜!!」

【Hux・row】【Bill】【Beanne】は全力でスピードを出す。するとゲートの扉からギリギリの位置まで来た。

「いけぇぇぇ!!」「間に合え〜!」「うぉぉぉぉ!!」

シャーーッ!! 

ガターーーン!!

シャーーッ!! 

「よ〜し抜けたぞ!!」

「…はぁ…何とか第一関門突破か!?」

「このまままっすぐ行って!そうすれば【D島】のゲートへと行けるはずだから!」

「よし!!このまま進むぞ!」

「…ん?…!?教官!また何か来るぞ!?」

「…え?…!?…何だよあれ…!」

三人は隣の道路を見る。そこには貨物車両の上に何者かが乗っているのを発見する。その隣に【V.Prestina】も備えている。

「…!あれは…気をつけてねハクローくん!…いよいよここから彼ら創造士隊の主力部隊の一つ…刈り取り部隊とも呼ばれる…殺しを専門とする殺戮集団……【Varisk】(ヴァリスク)の出番のようだよ!」

「【Varisk】(ヴァリスク)?な、何だよ?そいつら?」

「創造士隊の戦闘力の中でもね…主力のレベルを持った戦闘狂集団の俗称。ランクも主にC〜A以上が固まっているの。どうやら今回の騒ぎで一人派遣されたようね……」

「…なるほど!…だが相手にとって不足はない!叩きのめす!」(ジャキン!)

「…いい覚悟の言葉だけれど…来るわよ!!」

すると貨物車両から主力部隊【Varisk】に所属するオールバックでパープルカラーのロン毛の一人の男が【V.Prestina】に乗り、剣を持って空高く降りてくる。【Beanne】は上から奇襲をかけてくる事を【Hux・row】に知らせる。

タ〜〜ン!!

「ヒュ〜♪…ご機嫌よ〜う!!エレガぁ〜ントに始末しにきましぃ〜た!!」(シャキン!!)

「……見ない顔ね…新入りかしら?」

「だが、来やがったな!…!?鬱陶しい…またこいつらかよ!」

「PPP!」「PPP!」

ダダダダダダダン!

主力部隊の一人に気を取られているうちに飛行ロボが迫ってきて、機銃を撃ってきた。その流れ弾を、【Hux・row】は巧みな運転でかわしていく。

「ベアさん頼んだぞ!」

「任せて!」(ダンダン!)

カンカン!!

「!?弾かれた!…へぇ〜♪防弾仕様とはやってくれるようね!」

「…!!来るぞ!」

「私を無視しない〜でくれませんか〜?銀髪ボーイッ!」(ブーン!)

「!!…危ねえ…オラァあ!」(ブン!)

バキャッ!!

「!ohch!!…Oh〜なかなかやるじゃあ〜ないですか〜でも私は倒れませんよ…はあぃや!」(バキン!…ブン!)

ザシュッ!!

「っ!…効かねえよ!」(ブン!)

【Hux・row】 ランクF 
【♡♡♡♡♡♡♡♡】
ーーー


ヒョイ!!

「おっと〜!…ハッハー!血は流れないとすると、銀髪ボーイ!!あなたぁ〜は【現世人】!!…運が悪いようですね〜♪…ここで魂の塵になって墓となって消えるのですから〜!」(ヒョイ!ニヤリ!)

「教官!俺も援護に回ろうか!?」

「大丈夫だ!こんな奴…俺だけで十分だ!!お前はしっかり…オラァッ!!…ルートを確保してくれ!!」(ブン!!)

「では〜…始末しましょ〜う♪…アン・ドゥ・トロワ!!!」(シュシュシュ!)

「…だから甘いって言ってるだろ!!…それに…お前気づいてないな〜!後ろ…見てみろや!」(ヒョイ!)

「…What?…!?」

「へへ〜ん♪!!残念でしたぁ〜♪!……FIRE!」(カチッ!)

後部座席には【Beanne】が立ち尽くしていた。そして満面の笑みで【V.Prestina】の原動機に発砲し、エンジンが故障して動かなくなったのを確認すると素早く、すぐに【Hux・row】の方に戻った。

シャーー…………

「Oh…no〜!!私の愛車が〜!!……ですが…私はあなたに果し状を送りま〜す…この決着はまたの今度で〜!……アデュ〜!!」(ポイ!)

「…!!」(パシン!)

【Hux・row】は【Varisk】の主力部隊の男から何かを貰った。それは名刺であった。そこには【Varisk】下官【Jeik】(ジェイク)ランクCと書かれていた。

「ランクCか…」

「どうやらまた会うことになりそうだね!でもハクローくんなら、絶対勝つよ♪」(ギュッ!ムニッ♡)

「…わかったから、さっきからわざと胸当てるのやめてくれませんか?ベアさん?」

「あ!?バレてた〜!?///アハハ!!…でも冷静に普通に運転出来てたし〜♪…現世の世界で愛人の一人や二人でもいたのかな〜♪?」(ギュッ!)

「…どうかな」

「!!教官、見えてきた!【Beanne】さん!あれが【D島】のゲートなのか?」

「ん〜?…おおっ!そのようだね〜♪…二人共、お疲れ様!」

シャーーッ!!キキーッ!リンリーン♪

「…着いたな、ここが【D島】か…」

ーーー【D島】ーーー

「うん!とりあえず【V.Prestina】を【P-Watch】に収納してと!……よ〜し!二人共、ついてきて〜!」

【Beanne】はそういうと、地下トンネルのドアを開けた。その上は階段になっており、三人は登っていく。その間少しだけ雑談した。

コツン…コツン…

「でもハクローくんが現世では海上自衛官として活躍していたなんてね〜!?♪この世界で言えば、元兵士……ソルジャーって奴だね〜♪」(スタスタ!)

「そんなに対したもんじゃないよ。……満期で結局三年で辞めてしまったんだし…」(スタスタ!)

「三年も!?……やっぱり教官は凄い!!…普通なら半年もいない奴多いのに!」(スタスタ!)

「…お前の言うとおり。…俺の同期はすぐに辞めていった。…理由は…自分が思っていたのとは違うとな。…そう言ってみんな…俺ももしかしたらな…」(スタスタ!)

「でも、それでもあなたにはあなたの生き様があったはずだよ!ま、元気を出してよ!」(スタスタ!)

「…ありがとな、ベアさん」

「あ、ついたぞ教官…!?…な…!」

「どうした?…!?…お、おい…何だよ…これ…」

「!?…これって!?」

地下トンネルでのデスレースを切り抜け、【D島】には無事に辿り着いた。だが三人は外の景色を見た時、衝撃の景色が広がっていたーーー


B. いいえ


《Capitolo・2》
続きを読みますか?

🎼Back Ground Music 》》》



♪〜FF7REMAKEより〜神羅のテーマ

〜【D島】・始まりの街・F街〜

デスレースから帰還した【Hux・row】【Bill】【Beanne】の三人は見事ゲートを潜り抜け、【D島】の居住区のF街へと辿り着いた。しかし足を踏み入れ、目の前にある景色をみた瞬間、彼らは惨劇の洗礼を浴びることとなっていたーーー

ボアアアアアアアアア!!!!

街中を見渡すと、その場所は所々炎上し、戦場と化していた。奥にある大型の建造物は大火災が起こり、爆発が起こっていた為、瓦礫も散乱している状態である。

「街の…あのデカイ建物が焼けてる…!…一体何が…起こったんだ?」

「…どうなってるんだよ…まさかあいつらが!?」

「…わからない!この街に一体何が…!とにかく悩んでも仕方ない…行こう!」

三人は火が燃えたぎる道を進んでいく。すると誰か人影が現れ、こちらに手を振った。

「ベア!!…無事だったか!?」

「!!ロラン!一体この街で何があったの!?」

【Beanne】はサングラスをつけた金髪の角刈りの男に対し、事の事情を問おうとする。すると男は重々しくこう言い放った。

「…真・ユートピア創造士隊ではない奴らが急に現れてこの街にあるユートピア人を収容している施設を襲撃して焼き払った。外から出てきたこの町の住人は安全に他の【F街】に連れて行けるように【R・P】社が派遣したヘリを使って避難させた。この事件の首謀者は他のギルドの者も行方を追っている所だ。ん?その二人は?」

「【C島】で会ったの!二人はどうやら私達と同じ特殊能力者でね。力になると思って連れてきたの!…紹介するわ!【Hux・row】くんと【Bill】くん!」

「ど…どうも」(ぺこり)「は、初めまして」(ぺこり)

「この人は私の所属する【R・P社】の一員の【Rolan】(ロラン)!!主に私と一緒に諜報活動をしているの!」

《【R・P】社?ギルド所属【Rolan】(ロラン)》

「初めまして!よく生き残ってくれた。同じ現世人として、私は君達を歓迎するよ!」(バッ!)

「「ありがとうございます!」」(ギュッ!)

すると【Rolan】は少し深刻な表情を浮かべると三人に告げた。

「だが時間がない。もうすぐ【真・ユートピア創造士隊】の奴らがここに来るのも時間の問題だ。すぐに逃げた方がいい。ヘリは西の方に一台設けている。一緒に行こう!」

「了解〜♪!」

「教官!行こう!!」

「わかっているさ!」

街は火の中に包まれている。その道を慎重に歩いていく。すると上から建物が倒壊したからか、大きな瓦礫が【Bill】の頭上から降ってくる。それに気づいたのか、【Hux・row】はとっさに【Bill】を突き飛ばす。

「…!!【Bill】!!危ない!!」(ドン!!)

「なっ!?きょ、教官!!」

ドーーーーン!!

「教官!!」「!?ハクローくん!!大丈夫なのっ!?」「ハクロー!!大丈夫か!?」

瓦礫の破片は通行する道を塞いでしまい、向こう側に行けない。【Beanne】【Rolan】の二人は【Hux・row】の安否を確認する。

「ああ!大丈夫だ!こっちもとっさに瓦礫の山を躱した。…だが、これじゃあお前らのとこに行けなさそうだ。何か別のルートはないか〜?」

【Beanne】は考え、もしものための打開案を【Hux・row】に知らせた。

「仕方ない!こうなったら地下にある隠し通路に行って!そこから東に少し行けばマンホールがあって目印に(R.P)って描いてるはずだから!」

「…わかった。後で必ず合流する。【Bill】!ロランさん!、ベアさん!…無事に逃げてくれよ!もし危なかった場合はお前らは先にヘリに乗って逃げてくれ。…いや、待てよ。……その可能性も視野に入れてと…ロランさん!!ヘリ以外で脱出する方法は何かあるか!?」

【Rolan】はその返答についてこう応じた。

「…数分後、この街に列車が通過する!…これを持っていけ!!」(ポイ!)

ロランが瓦礫の壁の向こうから何かを投げつけた。どうやらワイヤーのようであった。

「?……ワイヤー?」

「それを引っ掛けて電車に飛び乗れ!」

「……無茶を言うなぁ〜ッ!!…んなことしたら、俺最悪魂の粉になるっての〜!!アクション俳優じゃあるまいにそんな過激なアクションしろと!?」

「大丈夫だよ〜♪始発くらいのスピードだからあなたの探知能力なら安全に飛び乗れる場所を的確につけるはずだから余裕だよ♪軍事経験のあるあなたなら楽勝だって!…それに、こんなところでぐずっていたら命いくらあっても足・り・な・い・ぞ!♡」(キャピン!☆)

「はぁ〜……ったく、無理な注文するなアンタらは…わかったよ!!」

すると、その返答に【Beanne】はニヤリと笑い、返答した。

「よろしい!何かあれば【P-Watch】の通話機能なりメール使って知らせるから!じゃ、ハクローくん!健闘祈るね♪」

「教官!後から無事に合流しよう!気をつけろよ!!」

「ハクロー!気をつけてな!!」

三人はそう言って向こう側へと走り去っていく音が聞こえた。それを聞いて【Hux・row】は踵を裏返して【Beanne】が先程伝えたマンホールの方角へと足を運ぶ。しばらく東を走ると、地面に埋めていたマンホールが見えてきた。

「!?」(…(R.P)…これか。…確か(追憶と命題)って意味のあるギルドだって言っていたな…命題ってワードを聞くと現世での高校時代の数学を思い出すな…まああんまり得意じゃあないけど… よっと…どうやらはしごはあるようだな…!)

【Hux・row】はマンホールに書かれた白のペンキで書かれた様な(R・P)の文字を見つけ、この場所であると確信した。そして着々と潜入準備を整えていた。

「さて…鬼が出るか…邪が出るか…よ〜し…行くぞ!」

覚悟を決めた【Hux・row】は三人との合流を果たす為、マンホールに突入する。


🎼Back Ground Music 》》》



♪〜FF7REMAKEより・爆破ミッション

〜【Paradiso】歴2000年・6/17日・夜型【D島】・始まりの街・F街・マンホール下の地下水路〜

ピチャン!〜ピチャン♪

「ウヘ〜……すげえ〜暗いな〜!…この【P-Watch】のライト機能がなかったら前が見えないな〜……」

【P-Watch】のライト機能を使い、暗い水路をひたすら歩く【Hux・row】は木刀を片手に持ち、軍人気質のせいか警戒して敵への奇襲に備えていた。こういうところにも因縁をつけてくる敵がいてもおかしくないと想定しつつ、慎重に道を進んで行く。すると、何やら周囲が明るくなるにつれて、二つの人影が現れた。

コツン…コツン…

「…!!止まれ!貴様、何者だ!?」「武器を下げて投降するのだ!」

「!!その服装…やっぱりおいでなすったか〜!…ユートピア野郎共!!」(チャキッ!)

そこには創造士隊の下兵らしき者達二人が待ち構えていた。すると下兵の一人が【Hux・row】の髪色や服装を見た途端、驚いた表情をし、言い放った。

「…!!…銀髪…!それにこの面妖な服……こいつは【C島】でペルガ下神官様を屈服させたという重犯罪者の男!…名前は確か…何だっけ?」

「【Hux・row】だ!あれほど言っただろうに!この間抜けが!!」

「なっ!?貴様〜!!間抜けとは言い過ぎだぞ!このハゲ!」

「ハゲというな!!これでもまだ毛根があるのだ〜!!」

ギャーギャー!!

下兵は口論になってしまい、徐々にヒートアップしてきた。

「……」(ブン!ブン!)

べキッ!!ドゴッ!!

「ヒデブ!!」「へア〜スプレ〜!!」

バタン!バタン!

それを見兼ね、呆れたように【Hux・row】は静止するかのように黙って木刀を二人に叩きつけた。

「…付き合っている場合じゃないんでな…痴話喧嘩なら他所でやれや!じゃ〜な〜♪!」(タッタッタ!)

そう言って二人を後にし、所持していた灯りを持ち去り、一目散に逃げていく。

「…ぐ…お…おのれ…だがそのまま進め…我々の開発したペットが…通せんぼしているぞ!………せいぜい戯れるんだな……」(バタン!)

「【Meta・lucan】(メタ・ルカン)の技術で開発したのだ…こ、後悔するのだな…」(バタン!)

タッタッタ!

「…はぁ…はぁ…思った以上に長いな…」

「ウゥゥゥゥ!!」「…ガルルル!!」(ハッ!ハッ!)

「…!!今度は犬型のロボットかよ!?…マジでSFの世界かってんだ!…硬そうだな…この木刀…折れないか…」(チャキッ!)

【Hux・row】が次に遭遇した敵は創造士隊が開発した犬型ロボットであり、道を阻まれた。そのボディは鋼鉄のように光沢を帯びており、【Meta・lucan】という、この【Paradiso】の世界独自の技術で開発されただけあり、耐久性能は高いと感じさせる。だが【Hux・row】は怖気付くことなく、むしろ機械物なので人の命を殺めるという責任意識はないため、肩の荷が降りた。

「うぉぉぉらぁぁ!!」(ブン!)

「…グォォ!!」(カン!)

ガブッ!!

【Hux・row】は木刀を振るも、犬型のロボットはかなりの耐久性があり、攻撃を弾かれてしまう。そのまま飛びかかってきては右肩を強く噛みつかれ、もう一体も左足を噛み付いてきた。

ゴリゴリグギグギ!

「!!…ぐあぁぁっ!!」

グルルル……

「は、離せ…離れやがれ!!」(グサッ!!)

深手を負ったからか、傷口から魂が出てきた。流石に危機的状況を感じ、【Hux・row】は探知能力を発動し、相手の弱点を探る。すると腹部が弱点であると発見し、木刀を足を噛んでいたロボットの腹部へ思いっきり突き刺した。

「躾のなってねえ機械犬だぜ!…ったく……オラァっ!!」

バキャン!!!

「bchuhss…!」(ジジジジジ…!)

「テメェもだよ!オラァ!!」(グサッ!!)

「jdhdvldv…!」(ジジジジジ…!)

「ハァ…ハァ…くそ、結構深いところを噛み付いてきやがって…俺の魂、どんだけ残ってるかな…」

【Hux・row】は自分の魂の量を確認した。すると、思った以上に深手だったのか、半分を切っていた。流石にまずいと思い、イールからもらった袋を取り出し、一本の充魂剤を開け、摂取した。

【Hux・row】 ランクF 
【♡♡♡】
ーー
戦果ポイントが付加されました。次のランクアップまであと※※です。

「…イールからもらったのを飲むか…だが俺ももうすぐランクが上がるな。戦っているとやっぱすぐにランクポイントが貯まるんだな。こりゃあちょうどいい!」(ゴクゴク!)

【Hux・row】 ランクF 
【♡♡♡♡♡♡】
ーー

・・・
・・


【Hux・row】は引き続き、地下水道を探索する。すると何かレバーのようなものが見つかった。

「ん?何だこれ?レバー?…あのリフターの電源か?……違うな…恐らくここか。…扉が閉まってるようだし…どうするか?」

【Hux・row】は目の前にあるレバーを見ては引くのを躊躇っていた様子であった。しかし、立ち止まっていても仕方ない為、レバーに手を掛ける。

「…この際だ!引くしかないな!」(ガコン!)

ゴゴーー!

チャキッ!! チャキッ!! チャキッ!!

「……!!ちっ…!」(チャキッ!!)

「来たぞ!!」「ここを通すな!!」「何としてでも死守する!!」「グルル…!!」

【Hux・row】はレバーを上げると扉が開いた。目の前には創造士隊員3名と犬型ロボット一体が待ち構えていた。思わず光景が目に映り、臨戦態勢へ入る。

「しゃあねえか。…ウォォォラぁぁ!!」(ブン!ブン!ブン!)

ドゴッ!べキッ!カーン!

「ぐぁぁあぁぁ!!」「お…おのれ!…うぐっ!…」「ク…クソッ…」

「ん?お、剣があるじゃねえか!?」

ガキィン……

「っ!!…結構重いな〜!…だが、これならあの犬ロボットのボディーに傷をつけれるかもな〜!!」

「…グルル…!ガウッ!!」(タンッ!!)

「もうその手にはのらねえぞ!!…オラァァァ!!」(ブン!!)

パキョ/ーン!!

「hjcjkvvn!!………」

「文字通り真っ二つだ!!…あれ?剣が折れてる…まあいいか…!急いで先へ進まないとな!」(タッタッタ!)

カランカラン!

【Hux・row】は折れた剣を放り投げ、その現場を後にし、奥に向かっていく。するとそこに一枚の鉄のドアが見えてきた。

「…ここがなんか怪しいな…おそらく何かいる…気を引き締めて行かないとな…さて行くぞ!…あいつらが待ってる!」

ガチャン!

・・・
・・


【Hux・row】は扉を開けた。そこは、月の光が照らされているかのように明るい空間であった。空間内の奥には、白衣を着た一人の者が立っていた。その男は何かの書類を手に持ち、ただ内容を見つめていた。

「………」

「……!?」(だ、誰だ…?…何かを読んでいる…)

「………?」

クルリ……

すると男は【Hux・row】の存在に気づいたのか、読んでいた資料を収納し、振り返ってはこちら側を見つめる。その男の顔に、【Hux・row】は驚きを隠せなかった。そしてこの男との遭遇が、奇妙で複雑かつ常識がまるで通用しない【Paradiso】の世界に存在する、深い闇事情へ踏み入れる事になる事を、【Hux・row】自身がこれから知る事となる──────

B. いいえ


《Capitolo・3》
続きを読みますか?

🎼Back Ground Music 》》》



♪〜ゼルダの伝説スカイウォードソードより・ギラヒムのテーマ

「……!!…お、お前は!?」

「…ああ。…君は現世での。…あの大事故の時は世話になったようだね〜!」

「!?…その声…!その顔…!!お前、やっぱりハヤトなのか!?…だが…まさか生き残っていたとはな…!!」(ギリギリ!!)

目の前に立っていたのは、現世で体験した大事故にて【Hux・row】と共に、巻き込まれて亡くなったハヤトらしき人物がそこに立ち尽くしていた。容姿は髪型がツーブロックであるも、髪色は銀髪に染まっている。肌は白い。そして懐かしむように【Hux・row】の元へと少しずつ歩み寄ってきた。

コツン……コツン

「む〜ん。……本当にあの時は世話になったようだね〜。…おかげ様で俺…いや、僕は自由になれたのだから。…君には感謝をしたいくらいだね〜…!」

「!?……お前の目的はなんだ?…一体何の用でここに来た?…まさかお前。……ここでも悪の限りを尽くす為だとか言って…【真・ユートピア創造士隊】の手先になっただとか言うんじゃあないだろうな!?」(ギロッ!)

【Hux・row】は何か嫌な予感がしたので警戒している。だがハヤトの返答は予想外の回答であり、笑いながらこれまでの経緯を説明する。

「あっはははは!!…バカいっちゃいけないよ!…【真・ユートピア創造士隊】…【創造派】…あんな連中、僕にとっては今どうでもいい。あ、もう僕の名前は【Rowdy】(ロウディー)になったから改めましてよろしくだね〜」


《謎の男・【Rowdy】(ロウディー)》


「それに、さっきの君の戦い。…見ていたよ。どうやら君、能力を使えるみたいだね…!まあ僕も君と同じで試練を受けたよ。…でもね…君が受けたような下賎な【導き人】の者達のモノとは訳が違ってね…。…とても醜くて…残酷に満ち、孤独で…絶望しかない記憶だったけどね。…本当に、この《ハヤト》という男は…ロクな人生を歩めなかったようだね〜…」

「…!!」(ゾクッ!)

ハヤトを改め【Rowdy】の喋り方や振る舞い方、態度に対し《相違的》なものと、予想も出来ない何者かの存在を察したのか、【Hux・row】は更に質問を促す。

「……どういう事だ!?知っていることを話せ!!そもそもお前!……本当にあのハヤトなのか!?…以前と比べて…明らかに別人だ!!」

「…フッフッフ。…〜♪」

バサァっ!!

「…ッ!?」

【Rowdy】は白衣を脱ぎ、腕を水平に上げ【Hux・row】の方をじっと見て、こう語りかける。

「試練の中で君の《現世》での記憶を。…それはそれは色々と見させてもらったよ。……親友の事、愛人との記憶、それから居合道の仲間の事。…それも色々とね。…でも一番興味深いのは。…君が会った中で、まるで《聖母》のような美貌を持つ女性…《西野ありさ》と言えばいいのかな?…その妹さんも…かわいそうに〜!!…病気で亡くなってしまい。……そ・し・て…この世界にいるんだろ?……一度どんな子なのか会ってみたいものだね〜!」

「!?」

チャキッ!!!

その発言に【Hux・row】は痺れを切らし、尋問するかのように【Rowdy】を問い詰める。

「質問に答えろ!!…貴様…本当に何者だ!?…まさか…ハヤトではない誰かがそいつの身体に乗り移って操っているんじゃあないのか!?どうなんだ!?」

すると【Rowdy】は笑みを浮かべ、こう言い放った。

「う〜ん!……半分正解といえばそうではないかな?…でも、君のご推察通り。…この身体は間違いなく君がよく知る。…【現世人】ハヤトそのものの《魂の身体》さ!……そして、彼自身の持つ能力を。…意のままに使える…」(フッ!)

「…!!き、消えた!?」

「後ろだよ」

「…!!てめえ!」

ブン!!

「よっと!…ふっふっふ」

「!!…はぁ…はぁ…!っち…!!」(ブン!)

【Hux・row】は突如背後から【Rowdy】が現れた為、思いっきり木刀を叩き込もうとするが、かわされて空を切った。そして先程から、何やら犇犇(ヒシヒシ)と伝わる嫌な胸騒ぎをじっと堪え、相手を睨みつける。

そして【Rowdy】は微笑みながら臨戦態勢を取って【Hux・row】に宣言した──────

「……では【Hux・row】くん…そろそろ君の能力……どれだけの力を秘めているのか試させてもらおうかな。…来たまえ!」

「…っち!!…絶対吐かせてやる…!!てめえが何者かをなぁ〜〜ッ!!」(チャキッ!)

・・・
・・


〜その頃〜

【Bill】【Beanne】【Rolan】の三人は西に向かい、ヘリの場所まで向かっていた途中─────

「教官…大丈夫かな〜?」

「ハクローくんなら大丈夫よ。問題は…ねぇロラン!」

「ああ…ここもどうやら戦場だな…」

急げ〜!!負傷者が思った以上に多い。重症者は優先して担ぎ上げろ〜!!

今回の火災で負傷者が見られた為、負傷者の救護に当たっていた。【Bill】は動けないユートピア人の女性高齢者をおんぶし、他の二人は子供を引き連れて炎の道をひたすら進んでいく。

「すまないねえ〜兄さんや。……こんな老い先の短いばあばをおんぶさせてね〜…」

「いいよいいよ婆さん!!困った時はお互い様だって!」

「わー♪お姉ちゃんの服ひらひら〜♪」 「わ〜い♪」

「ふっふ〜ん♪!そうだろそうだろ〜♪?…で〜も!大人になったらやっちゃダメだぞ〜♡!♪」

「お前達、優しいのだな…(・-・)」「このおじさん怖い」(ガクブル!)「僕も…」

【Bill】は元不良でもあるが、高齢者の人にとても優しく接し、【Beanne】も男子からのスカートめくりにも動じず仲良く誘導する。だが強面の顔をしている【Rolan】は子供には不評であった。

「お、どうやらここだね〜♪…はいは〜い♪ここにヘリが着陸してくるから!みんなはここに集まっといてね〜!」

「「「は〜い!!」」」

仲睦まじく【Beanne】は子供達に優しく接していた。【Bill】は心配そうに【Hux・row】を心配していた。

「よし!…あとは教官だけだ!」(…教官…無事に来てくれよ…!俺はまだ…あんたから教わりたい事…いっぱいあるから!)

・・・
・・


🎼Back Ground Music 》》》



♪〜ゼルダの伝説スカイウォードソードより・魔族長ギラヒム戦闘・1

「オラァァァ!」

ブン!

「…その程度かい?」(ぺしっ!)

「ちっ!…さっきから受け流しやがって…これならどうだぁ〜っ!?」(ブン!)

「よっ!」(シュッ!)

ガシッ!

「…!?」(…なっ!?掴まれた…!!ぐ…抜けない…!なんて…力だ…!…オーラルと戦っている時みてぇ〜だ!!)(グググ!)

【Hux・row】は【Rowdy】と応戦していた。【Rowdy】は身のこなしが軽く、木刀の攻撃を受け流したり弾いたりしている。そして大振りになったのを見計らい木刀を掴まれた。その握力は人外を超えており、余裕の表情を示していた。

「ふっふっふ!……威勢だけでは僕には勝てないよ。……はぁっ!」(ブンブ〜ン!!)

「なぁっ!?……ぐぁぁッ!!」(ヒューン!)

ドゴーン!!

【Rowdy】は木刀を掴み取ると、勢いよく【Hux・row】を壁に叩きつけた。その威力は凄まじく、壁に轟音が鳴り響いた。

パシリッ!…

「ふ〜ん。……へぇ〜!これ木刀にしてはかなり《重い》ようだね。……まるで何か仕込んでいるようだ。……安心しなよ。…手加減してあげたからね」(ジーッ!)

「うぐっ…くそが!!」

【Hux・row】 ランクF 
【♡♡♡♡♡】
ーーー

「じゃあそろそろ…確かこうやるんだったかな?」(スチャ…!)

「…!テメェ!」

【Rowdy】は居合の姿勢を見せる。その時【Hux・row】は打開策を考えていた。

「……」(奴は恐らくこのまま突進してくる。その瞬間にかわして奪い返すまでだ!)

「ふふ。…はぁぁあッ!!」(ダダダッ!)

「…!!来た」(ソナー能力発動!)

【Hux・row】 ランクF 
【♡♡♡♡♡】
ーー
ソナー能力を発動しました。


「…なぁんてねっ♪!」(フッ!)

シュン!

「……消えたか。……だが俺はな…!!それを待っていたんだよ〜!!」(クルッ!!)

ブン!

ゲシィッ!!!

「…!?なっ!?…ぐおああっ!!」(メリッ!!)

ブンブン!カランカラン!

抜刀に見せかけた【Rowdy】は転移能力を使い、背後から奇襲をかけようとした。だが【Hux・row】はその策を見破り、重い回し蹴りを背後からお見舞いした。その蹴りは【Rowdy】の顔面をクリーンヒットした。あまりの威力で木刀は手から離れ、宙に舞っては地面に落ちた。【Hux・row】はすかさず拾いに行く。

カラッ…!

「…よっとっ!!……へへへ!バカかお前は!!……二度も同じ手は通じない!…覚悟するんだな!!」(チャキッ!)

「…へぇ〜、やるじゃあないか〜!よく背後から奇襲してくる事が分かったね!」(顎フキフキ)

【Rowdy】は余裕そうであった。それを残念そうに思い、【Hux・row】は煽るようにこう語りかけた。

「お前みたいにキザな性格のような奴は、ああ何だ…《よくもこの僕の美しい顔に傷を〜!!》……的な事でも言い出しながら、逆上して突っ込んでくるもんだと期待したが…どうやらお前はそんなタイプじゃあないようだな〜!!」

その煽りに【Rowdy】は平然と笑いながら返答した。

「は〜っはっは!!…そこまで僕は《ナルシスト》じゃあないさ。……ただそんな子供じみた低レベルの言い争いをする事は、僕のポリシーに反するのは確かかな。…今の攻撃で分かったよ。君の能力は探知系の能力。このフィールドの範囲内を特定して探知する能力だとね。…君の現在のランクからすると…およそ5メートルくらいしか特定できないようだね〜♪!」

「ああ…ご推察通りだよ!そしてお前の能力は転移系の能力だ…!自分の身体を転移させて奇襲をかけてくるのは目に見えていたからな…それに何故だかお前には弱点が特定できない…本当に人間であるかが怪しいくらいだ…!」

「ふふふ…じゃあ世間話はここまでにして…今度は…これはどうかな!?」(バッ!)

シュンッ!!

「ん?…なんだ?…!?お、おいなんだよ、それ!?」

ジャラジャジャラ!!

「ふっふっふ!…《ナイフの舞》とでも呼べばいいかな〜!…でも覚悟しておいたほうがいいね〜!」(ジャラジャラジャ〜ッ!)

【Rowdy】は手を翳し、何かを転移させ、武器を召喚した。それは紐と無数のナイフが取り付けられたナイフの鞭である。そこには血の形跡があり、長さは約10メートルある。それを容易く、華麗に使いこなす。

「…ちっ!!…マジシャン気取りかってんだ!…ウォォォ!!」(ダッ!)

「はっはっ!…そこだね…!」

ジャラジャラジャラ!!!

「…!!あっぶね〜!!だがもらった!」(ブン!)

「……フッ!」(シュン!)

スカッ!!

【Rowdy】は当たる瞬間に、転移能力を発動し、【Hux・row】の攻撃を回避する。

「…っちぃ!!…空振ったか!…なっ!?…ぐああぁっ!!」(シュルル!バチン!!…プスプス!!)

「…気づくのが遅いよ。そして…ハァッ!」(ギリギリ!ブン!)

「…うわぁぁぁ!!」(ビューーン!)

ドーーン!

【Rowdy】は素早く華麗にナイフの鞭を使いこなし、【Hux・row】の身体を捕らえ拘束した。身体からはナイフの刃が所々に突き刺さり、魂が飛散する。【Rowdy】はそのまま投げ飛ばし、壁に激突させた。

【Hux・row】 ランクF 
【♡♡】
ーーー
魂の残量が少なくなりました!注意してください!

「…く…くそ……!!まだまだ!!…ハァ…ハァ…」(フラフラ〜!)

「…ふふふ。……その魂の状態では君…結構まずいようだね〜!…そろそろ…終わりにしてあげようかな…?」(ジャララ…)

【Hux・row】の身体から魂がジワジワと抜け落ちていく。その様子に【Rowdy】は余裕の笑みを浮かべていた。だがそんな状態でも【Hux・row】は諦めず前に立ちはだかった。

「……っ!」(考えろ…奴のあの武器を封じれば何とか勝機はある。奴の武器はリーチが長い…リーチ…!?…そうか!…あれをやるしかないようだな!)

「さて。…トドメだよ…!さよなら…」(シュルルル!!)

ジャラジャラジャラ!!

「…!!来た!…そこだ〜〜!!」(シュバッ!)

シュルル!!!

カチーーン!!

「!!…っ…!?」

「……!!おぉぉぉッでありゃあ!!」(クルクル……!!)

ブォン!!

パァァーーーン!!

「………!!ウグォォ!!」(一撃が…重い…!!それに、動きが…鈍く…!?)

チャキン!!!

「捉えたぞ!!…はぁぁ!」

パーン!バキャッ!スパン!

「ぐああぁ!!…っうぐぉっ!!……ぐ…ぅ…!」(ガクッ!)

「…はぁ…はぁ…!!どうだ。……!!」

【Hux・row】 ランクF 
【♡♡】

【Hux・row】は【Rowdy】の攻撃を【Rolan】から借りたワイヤーを天井に突き刺し、相手の攻撃から逃れ、頭上から渾身の振り上げを直撃させ、続けて三連撃を浴びせた。それを的確に攻撃を真面に当てたのか、【Rowdy】は膝をついた。

「…ふっふふ…」(スクッ!)

「…!!て…てめえ!?まだ立つのかよ!!」

すると【Rowdy】は手に持っていたナイフの鞭を転移させ、まっすぐ姿勢を正しては、一礼して【Hux・row】をまるで称賛するような拍手を送った。

パチパチパチパチ!!

「…なっ…!?」

「……素晴らしい…いや〜素晴らしいよ!…見事だ。…まさかあの土壇場であんな戦法を思いつくとはね〜♪……ほらッ!」(ポイッ!)

「!!おっと!…な、なんのつもりだ!?…まだ勝負は終わっていないだろうが!!…」(ポスッ!)

【Rowdy】は何かを放り投げた。【Hux・row】は思わずキャッチする。渡されたものを確認すると、それは《充魂剤》である。【Rowdy】は会話を続ける。

「大丈夫だよ。それは毒ではない。…よく効く効能の高い充魂剤だよ。……では君の知りたい事を。……少しだけ教えるよ。……僕は忌まわしい【導き人】と敵対している、ある種族に所属していてね。…《長》の命を受け。この世界にやって来た【現世人】である君達の様子を見に来た。いわば偵察と思ってくれれば良い。…それだけさ。…おっとそろそろ時間か…じゃあね。…僕は失礼するよ…」

シュン!!

「ま、待て!!…逃したか…!…くそっ!!…充魂剤…毒はないって言ってたな…まぁ身体が持たないし飲んどくか……」(ゴクゴク!)

【Hux・row】は充魂剤を飲み、体力を回復する。そして先程の【Rowdy】の発していた発言について思い返していた。

「………」(それにしてもあいつは一体何者なんだ?…ハヤトの身体のままとか言ってたな…だが明らかにあいつの性格とは違う。…試練の時のあいつの人格でもなかった…何かの因果で人格を変えられたのか?…そして【導き人】…オーラル達三姉妹と敵対している種族って一体……!!あ〜くそ!頭が混乱する一方だ!)

《テ〜レレレッテ レ〜テレレッテ・テッテレ〜♪》

「ん?なんだ?…おっ!?」

【P-Watch】から通知音が聞こえたので【Hux・row】は確認した。するとランクがFからEに上がっていたようだ。

【Hux・row】 ランクE 
【♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡】
ーーー
ランクFからEに昇格しました。

「…ランクが上がっている。そういえばここへ来て戦ってばかりだから、知らないうちに上がっていたのかもな。…まあ良いか、とりあえず急がないとな!」

PPP〜♪

「ん?今度は通信か?おっ!ベアさんからだ!」

【Hux・row】(おうベアさん俺だ!もうすぐでこの水路から出れる!)

【Beanne】 (分かったわ!外はいま《真・ユートピア創造士隊》達がうろついているようだから気をつけて!)

「…よし行くか!」(タッタッタ!)

・・・
・・

B. いいえ


《Capitolo・4》
続きを読みますか?

🎼Back Ground Music 》》》



♪〜FF7REMAKEより・闘う者達

〜D島・始まりの街・F街・西広場〜

タッタッタ!!

「ハァ…ハァ…!!あれか!?」

「あ。ハクローくん!こっちだよ!」

「教官!!」

「ハクロー!!ご苦労だった!!」

【Hux・row】は無事に【Bill】【Beanne】【Rolan】と合流する。だがしかし、そこに思わぬ邪魔が入った───────

「そこの貴様ら止まれ!!」「ヘリがあるぞ!!」「壊せ!!決して離陸させてはならない!!」

「!?」「!?」「!?」

「…くそ、邪魔が入ったな!!俺があいつらを引きつける!…その隙にお前らはヘリに乗って別の街へ行け!!俺はこいつらを片付けたら、ロランの言いつけ通り列車に飛び乗って後から合流するっ!!」(チャキッ!)

【Hux・row】はどうやらヘリを庇い、自分は戦地に残るつもりのようだ。

カタンっ!

「ハァ〜…しょうがない!ハクローくん!私も手を貸すよ〜♪」

ピョ〜ン♪!!…スタン!!

「…!?…ベアさん…なんで?」

【Beanne】は仕方ないといった態度で自らヘリコプターから降り、【Hux・row】の隣に立つ。

「ハクローくん一人だと寂しそうだからね〜!…それに電車の通過する場所わからないんでしょ〜!?…きっとあの人達のことだから、何か、でかい兵器とか出してくることも考えられるだろうから〜♪…先輩の私がいると君も心強いでしょ?……大丈夫!私の武器でなんとかしてあげる〜♪!」

「…分かった!頼りにしてますよ!ベアさん!」(チャキッ!!)

「こちらこそ頼りにしてるよ!《元マリンソルジャー》のハクローくん♪!!」

《テ〜レレレッテ レ〜テレレッテ・テッテレ〜♪》

【Hux・row】 ランクE 
【♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡】
ーーー
【Beanne】が戦闘メンバーリストに加入しました。

ブロロロロロロロ!!!!

ヘリが起動し、離陸を始める。それを見計らったかのように創造士隊が撃ち落とす為に武器を持ち、狙撃しようと目論む。

「撃ち落とせ〜!奴らをやってしまえ!!」「オーッ!!」「好きにはさせんぞ〜!!」

「させるかよ!!うぉらぁ〜!…ベアさん。…あんたのランクは?」(ブン!)

「ん?Aランクだよ!…FIRE!」(バーン!)

【Beanne】 ランクA
【♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡】
ーーーー

「ぐぁぁあぁぁ!!」 「うわーー!!」「ひ、ヒィィィ!!」

「へぇ〜!…流石、ギルドに所属してるだけあって強えぇ〜な!!」(ブン!ブン!)

「お褒めにいただけまして光栄ですと!……そこ!!」(バーン!)

チュドーーン!!!!

「ちぃっ!!おい!まだあの目障りなヘリを撃ち落とせないのか!?」

「はっ!思った以上に奴らが暴れております!…あっ!?」

プルプルプルプル!!!…………

【Hux・row】と【Beanne】が相手を引きつけている間、ヘリは無事に離陸を始めた。だがそれを見計らったかのように、創造士隊員達は策を練り出した。

カチャリッ!!

「よし、迎撃ミサイルを放つのだ!撃て〜!!」「はっ!…発射!!」

ダーン!!ダーン!!

「…お、おい!?あれはマズイ!!…ベアさん!!」

「ふっふ〜ん♪任せて〜!…よーし、こいつで…FIRE!!」(ダーン!! ダーン!!)

シューーーーン…………!!

ダァーーーーン!!

【Beanne】の放ったバズーカーの弾が敵の迎撃ミサイルへ当て、見事相殺した。そして無事にヘリを見送るかのように、【Hux・row】と【Beanne】は息を合わせて気持ちを楽にしてこう言い放った。

「…ふぅ〜!……た〜まや〜♪」「か〜ぎや〜♪」

アハハ♪!!…ハクローくんノリ良いね〜♪ …ベアさんこそ!

コン☆……パーン!!

「お、おのれ〜!小癪な真似を〜!!お前ら!早くあいつらを始末しろ!!」

ワーッ! ワーッ! ワーッ! ワーッ!

「あらっと!…大人数だね〜!…とりあえず逃げましょっ!」

「そうだな〜!」

タッタッタッタッタ!

【Hux・row】と【Beanne】は創造士隊に追われながらも、ひたすら道を進んでいく。すると電車が通過するルートの道が見えてきた。

「…ここか!?」「そうだよ♪後5分くらいで列車が通過してくるね〜!」

ブォーーーーン!!

「!!なんだ!?」「…これは…厄介にもあいつらだね!」

二人は音のする方を向く。そこには貨物車両の上に剣を持ったパープル色の髪をしたオールバックの男が待ち構えていた。

「oh〜♪さっきぶりですね〜銀髪ボ〜イ!!gooood nighhhht!!…ずいぶん暴れてるようですね〜〜!!」

「っち!!…またてめえか!?確か…ジェイシぃ〜(C)?…だったか〜?…ベアさん?」

「う〜ん、どうだったんだろうかな〜?…私も忘れた〜!」(やれやれ…)

「oh〜!?…銀髪ボ〜イ!!忘れないでくださぁ〜い!貴方にとってのい・と・し・の♡【真・ユートピア創造士隊】!!精鋭殺戮部隊!!【Varisk】下官【Jeik】(ジェイク)ですよ〜!!」

「…〜♪」(へぇ〜♪ハクローくんって、男の人にもモテモテなんだねぇ〜♪)

「うっっせぇよ!!!てめえ…!!マジで相手が男で愛しのとかそういう言い方やめろッッ!!…あ〜…オェーッ!!…思い出しちまうだろうがいらん思い出を!!」(ビシッ!!)

【Varisk】下官【Jeik】が爆弾発言をするせいで【Hux・row】は忌まわしいと言える過去の記憶を掘り返されて気分を悪くする。

「ハッハッハ〜!で〜も言いましたね〜?…貴方との決着を必ずつけると…ハァッ!」(ブン!)

「…っち…!」(ゴロゴロ!!)「退却っとねっ!」(シャッ!)

ドゴーーーン!

「ふっふ〜ん!よくかわしましたね〜!でも…容赦は致しませ〜ん!」(チャキッ!)

「…!?…っ」(コイツの目…)

【Jeik】はジッと【Hux・row】を見ている。それは先程のようなお気楽な顔ではない。それは一剣士としての意地を持った目をしていた。その目を見た【Hux・row】は、相手の持つ闘志に惹かれたのか、前に出てきた。

「……マジなんだな…アンタ!」(ザッ…!)

「…銀髪ボ〜イ…私にはわかりま〜す。…貴方の面構え…まるで現世の世界で言う…《侍》と言えば良いのでしょ〜か。……とても良い面構えで〜す。…ですが…その、あなたが持っている木刀では張り合えませんね…こちらを…」(ポイ!)

カランカラン!

「!!」

【Jeik】は【Hux・row】に西洋風の剣を渡した。長さは白狼が持っている木刀と比べ、少し短いがそれでも剣であることに変わりはない。

「…どうですか、銀髪ボーイ?…私と…勝負してくれ〜ますか…?」

「…ベアさん…列車通過まであとどれくらいだ?」

「ざっと3分だね!…でも決着つかないんだったら?」

「問題ない…十分だ!」(チャキッ!)

【Hux・row】は剣を拾い上げる。そして【Jeik】に対して剣の先端を向け、こう言い放った。

「アンタと剣で勝負する!…それ相応の覚悟が伝わった!だが時間が惜しい!すぐに始めるぞ!」

「oh…私は今、とても楽しみで〜す!…では…いざ…尋常に…」

《勝負!!》

【Hux・row】と【Jeik】の戦いが始まった。


🎼Back Ground Music 》》》



♪〜TOEより・MIDBOSS2

「はいや〜アン・ドゥ・トロワ!!」(シュシュシュ!)

「…!!くっ…やっぱり突きが鋭いな…だがなぁ!!…ハァッ!!」(ヒョイ!ブン!)

カーーン!!

「おっと!…フゥ〜ッ!なかなか早い斬撃です〜ね!…ですが…足下がガラ空きのようですぅ〜ね!」(ギリギリ!ブン!)

「そう仕掛けて来ると思ったぜ!……!上からだ!!」(ピョン!ブン!!)

ギィーーーン!!

「!!」

【Hux・row】は【Jeik】の肩に刃を当てた。だが斬ってはおらず、刃を叩くような形で【Jeik】にダメージを与えた。

「…oh!?…まさか私が一本取られると〜は!?…歴戦の戦士でもまともに私を当てられなかったというの〜に!…しか〜し、……あなた。……斬らないとはどう言うことですか〜!?」(ブン!)

キィーーーン!

それに対し、【Jeik】は【Hux・row】の甘さが故の攻撃が許せず、剣士としてのプライドが許さなかったのか、ぶつかり合って訳を問いただす。すると【Hux・row】はすかさずこう語る。

「…俺は別に好き好んで人を殺めるためにこの世界に来たんじゃあないんでなぁ〜!…俺の信念は!!誰かを守る為に…剣を振るんだよ!!」(ギリギリ!)

「What!?…この戦乱と動乱の蠢く世界でそぉ〜んな考えが通用するとで〜もぉ!?…まさかあなた…そんなあまちゃ〜んだったとは…!?」(ギリギリ!)

【Jeik】は【Hux・row】に対して、剣士として決定的に欠けているものを理解した。命の大切さを知りすぎたあまりか、それとも甘いのか、過剰に自分から相手に手を下すことのない部分が出ていることを。人を殺める事に消極的になっている事に【Jeik】は心底ガッカリしていた。だがその考えを【Hux・row】が撤回するようにこう言った。

「だが!!…もしも俺が相手に本気で刃を向ける時はな…!!自分が成り上がる為なら、相手をひたすら奴隷のようにぞんざいに扱って蹴落とし、自分の欲を満たして貪り尽くし…!相手を不幸にしても悪びれず、そのまま貪欲の頂点に聳え立つ絶対悪のような野郎だ!…俺はな…自分の欲の為だとか、やるせない気持ちになって《猟奇殺人鬼》のようにむやみやたらに…人を斬る趣味はないんだよ!!」

「…ほ〜う、そうです〜か!…ですが、真剣勝負にそんなありきたりな考えでは…ぶつかり甲斐がありませんね〜!!」(ブン!)

カーーーン!

「…ぐっ…重い…!」(グググ!)

「誠に〜残念で〜す!…人を殺す〜のが嫌なら剣を持たないでください…あなた…剣士としての《覚悟》がありません…剣士〜失格ですねッッ!!」

「…!!」

「……」(なるほどね、ハクローくん。……あなた、それで殺傷力のない木刀を…確かに疑問だったのよ…)

【Beanne】は思った。【Hux・row】は元兵士ではある。だが命を大事にするあまりか、それを尊重してしまう気持ちが過剰になってしまっている為、【Hux・row】の振る剣に迷いが生じていた。目的は定まっているが、【Hux・row】が持っているのは真剣。最悪当たりどころが悪ければ人を殺める。真剣勝負でもし全力を出して相手を殺してしまえば、自分は《人殺し》としての汚名を一生背負わなくてはならないと思い込み、闘争心が出せずに相手に対して本気を出せなかったのだと感じていた。

「…全く仕方ありませ〜んね!…では少〜し…本気…出します〜よ!」(チャキッ!!)

シュシュシュシャッ!!

「なぁっ!?は…早!ぐあぁぁっ…!!……っ…!!」(ザクザクザクザシュッ!)

【Hux・row】 ランクE 
【♡♡♡♡♡】
ーーー

【Jeik】が繰り出した神速の乱れ突きに対応できず、【Hux・row】の腹部に刃が刺さり、激痛なのか腹を抑えて膝をついた。

「ふっふ〜ん!……どうです〜か?…少しはマジ〜になっていただけましたか?…ですが…私は一切の容赦は致しませ〜ん!覚悟なさ〜い!」(ジャキン!)


🎼Back Ground Music 》》》



♪〜KINGDOMより・信

「ぐ…くそ…!」(ガクッ…)

「ハクローくん…替わろうか?」

【Beanne】は【Hux・row】の身を案じる。しかし、【Hux・row】は引くことがなかった。寧ろ、ここからだと言わんばかりの凄まじい闘志を全面的に押し出す《覚悟》を醸し出していた。それは、気高い狼のような金色に輝く目をしており、やっと目が覚め、ここからだと言わんばかりに一剣士としてぶつかろうとする高潔さをも見せつけていたーーー

「…大丈夫だ、ベアさん!…確かに、俺の考えは甘いよ…すげぇ甘い…!!こいつの価値観から見えている世界観からか…戦乱と動乱の蠢くこの【Paradiso】って世界で。……俺の考えなんか通るはずがないよな〜!…あいつの言うとおりだ…!…だがな…俺にだって…!剣士としての意地があるんだよ!!」(スクッ!)

「!?」(……ハクロー……くん…)

【Hux・row】は立ち上がり、自分の非礼を詫びるかのように【Jeik】に対し、こう言い放った。

「なあ【Jeik】…アンタに謝らせてくれ。……せっかくの真剣勝負を侮辱する事をしてしまって…すまなかったな!…だから…最後にけじめとして……!!俺なりの誠意…示してもいいか?」

「…!!」

「…ほぉ〜!?…一体なんでしょ〜ね〜!?…それに、そのまなこに宿す目の輝き…とても興味深い事で〜す!…では、見せていただきましょうか〜!?」

「……」(シャーー……スチャン!)

宣言した【Hux・row】は剣を鞘に収めていき、目を瞑り集中し、抜刀の姿勢に入る。

「…oh〜!?…まさ〜かそれは…現世で持て囃されてい〜る!……私の憧〜れの…侍Style!?」

「ば、抜刀術!?…刀ならまだしも、その西洋の剣では無茶だよ、ハクローくん!」

「……」(フーーッ……)

【Hux・row】は本気であった。今までの自分は真剣勝負であるのに、相手は必死で刃を向けて向き合い、自らは、命を大事にし過ぎるあまりに全力でぶつかれず、実力を出し切れていなかった事を悔いる。そして自分が何も気にせず、無心に真剣を出せる一つの方法として、この抜刀術の居合で決着をつけると心の中で決めていた。今、【Hux・row】が目にしているのは《明鏡止水の境地》である。曇り一つ存在しない空の下には水面が鏡張りのように反射し、《水鏡》となりて、そこは雲の上にいるかのような澄んだ空間であったーーー

「ハハ〜ハ〜ッ!!…面白いです〜ね!…あなたの《覚悟》の程…確か〜に受け取りまし〜た!!…では、私もあなたを見習いましょうか…」(スチャン!)

「!?」(…相手も抜刀を…!…そろそろ列車も通過する時間だから……悔いがないように…あなたの自慢の一刀でケリをつけてみなさい。…ハクローくん!!)

両者は抜刀の姿勢を見せていた。【Hux・row】 自身───────この抜刀の姿勢が落ちつくように感じた。すると【Hux・row】自身の頭の中で現世の恩師、菊川が教えた一つの言葉があり、今になって、その言葉が【Hux・row】の背中を突き動かしてくれたようにも感じた。



《白狼くん。…あなたの持つ剣を信じなさい。あなた自身の中に宿る心の剣は…まるで日本神話にあった《ニホンオオカミ》の神である《真神(マカミ)》のように善悪を清算する一本の刀が眠っているかのように清らかです。時に剣に惑い、道に迷う時もある事でしょう。…ですが、それもまた学びなのです。臆する事なく…あなたが一番思っている自分の大切なモノを守りたいとする意志を…どうか忘れないでいただきたいものです。…先生との約束ですよ。》

「…!」(カッ!!ダッ!!)

「…ハァッ!!」(ダダッ!!)

両者は互いに特攻し、すれ違い様に剣を抜刀する。すると【Jeik】の方は、全身全霊を込めて【Hux・row】の首を確実に取る為、躊躇無く先手必勝の如く刃を向ける。だが【Hux・row】はそれを払い除けるかのように神速の澄んだ心で抜刀の斬撃を繰り出し、お互いの剣同士がぶつかり合う音が共鳴して響き合い、大きく交差して両者はすれ違った。

ギィィィィォォォーーーーン!!

「……」

「……」

……ピキピキピキ………!!

パキィィィィン!!!

「……!?…ぐっ!!……っ…」(グラッ!)

バターーン!

【Jeik】の剣は、花びらが散るかのように折れ、胴体に深傷の負傷を負い、そのまま倒れ伏せた。【Hux・row】の剣は健在であり、持っている剣はまるで白い満月のように輝いて見えた。そして決着がついたのを確認すると、【Hux・row】は剣を鞘に戻しながら【Jeik】に語りかけるように呟いた。

「…ジェイク(【Jeik】)……それが俺なりの誠意の答えだ。明鏡止水の心を常に大切に…俺は…俺なりの大切なものを…そして…」(シャー…!)

《菊川先生が教えてくれたように…《真神》のように……《正しく行うものを守り、悪い行いを心掛ける者には厳しく一刀を》…その重さをわかってくれたらいいな…こいつにも…!》(キン!)

【Hux・row】は【JeiK】との戦いに勝利する。受けた傷口からは、魂の残渣物が飛び交う中、剣を持って立ち尽くしていた彼の表情には、既に《覚悟》を決めたと言わんばかりに、いよいよ自らの道を歩み始めようとする《白い狼》のオーラを見せつけ、列車へと乗り込んだーーー

・・・
・・

B. いいえ


《Capitolo・5》
続きを読みますか?

🎼Back Ground Music 》》》



〜D島:電車・貨物列車〜

〜ガタンゴドン…

「…ふぅ…」

「も〜う!…本当に無茶する子なんだね〜!…でも、ハクローくん!かっこよかったな〜♪!あれが、日本の《侍》ってやつなんだね〜♪…それにその剣は、初の戦利品だね!…良かったね〜お手柄・お手柄♪」

【Hux・row】は【Jeik】との勝負に見事勝利し、【Beanne】と一緒に電車の貨物車両にこっそり乗り込み、【Bill】【Rolan】と合流する駅へと向かっている。そこに、【Beanne】が所属している【R・P社】(追憶と命題)のギルドの本部があるらしい。

「…そうだな…」

「でも…残念だけど、あの【Varisk】の下官【Jeik】って人。……おそらく、まだ生きてる。…次会うときは厄介かも。…でも今回の戦いであなたが、剣を握る本当の意味…見つけることができたんじゃあないのかしら?」

「……」

「…ん?…おーい、ハクローく〜ん?どうしたの?」

【Hux・row】は何か考え事をしていた。そしてすかさず【Beanne】に対して質問をした。

「……ベアさん。…聞きたいことがあるんだけど…いいか?」

「ん〜?…何々〜?私のバストはFカップだよ〜♪!…どぉ〜っ!?グラマーなバストで大きいでしょう〜!?///……って言わせないでよ〜♡も〜う♡キャ〜ッ!!///」(ムチムチ♡タユンタユン〜♡!)

【Beanne】は羞恥心もなく、堂々と自分の胸のサイズのデータやらを説明する。その発言に頭を抱え、ため息を出してはやれやれとした様子の【Hux・row】は、気にせず本題を進める。

「…ハァ〜……誰もそんなこと聞いてないっての…」(…Fカップ…か。……確か千夜もそれくらいだったかもな…)

「ちぇ〜っ!もぉ〜っ!!ノリ悪いぞ〜ハクローくん!!…んで〜?一体、何聞きたいの〜?」

「ああ。…実はな…」

・・・

【Hux・row】は【Beanne】に地下水路で戦った【Rowdy】の事について何か知っているかを聞いた。【導き人】と敵対する存在の種族の事は、少し聞いた事はあるが、詳しくは知らないらしい。そして【現世人】の人格までも変えてしまうという事も初めてだと聞く。【真・ユートピア創造士隊】のような、新しい派生の集団の可能性でもあるから用心はしたほうがいいと【Beanne】は話した。

「…そっか。…まあとりあえずは自分であいつらの情報を少しずつ調べていくしかないようだな…」

「〜♪…えいっ!」
トンッ♡

「…!?なぁっ!?///」

【Hux・row】は【Beanne】から話を聞いた後、急に【Beanne】が【Hux・row】の肩に詰め寄っては、意地悪そうな笑みで話した。

「ふっふ〜ん♪…じゃあ次は私から質問だね〜♪」

「…え?なんで?」(きょとん?)

「も〜う!だ・か・ら!ノリが悪いってぇ〜!…ハクローくんが私に質問したんだから、今度は私が質問しないと筋が通らないでしょう!?それに〜♪ん〜と…まだ駅まで時間があるんだから〜♪」

【Beanne】の問いに、【Hux・row】はまだ駅までそれなりの距離がある為、時間潰しがてら話し相手をして親交を深めるのも悪くないかと思い、返答する。

「了解。暇つぶしがてら付き合うか」

「倉庫(そうこ)なくっちゃ!あ…でもここ、倉庫みたいなもんだからあるよねぇ〜♪あはは♪…じゃあ〜しつも〜ん♪!…ハクローくんて〜?歳いくつ?」

「…俺は21歳。ベアさんは?」

「も〜う!女性の人に年齢聞くとか失礼だね〜!……私は22歳だよ♪私の方が一つ上だね〜♪」

「…そっか。…でもそのなりじゃあ…日本人じゃあないよな…外国人?…それにかなり昔からこの世界のこと知ってるみたいだし…いつからこの【Paradiso】に?」(…自分からバストのサイズ言ってくる人に失礼言われてもな〜)

その問いに、【Beanne】は少し寂しそうな顔をしたがすぐに顔を上げて【Hux・row】に問いかける。

「…私の過去…別に話してもいいけど…結構ヘビーだよ〜!…大雑把かつ簡潔に言うけどいいかな〜?」

「…ああ。構わないよ」

「…じゃあ言うね…私はね。──────」

・・・
・・


俺はベアさんの過去の事を聞いた。現世でのベアさんの家系は、和歌山県にある日系カナダ人との交流がある小さな港町で生まれ、父は日本人。母はカナダ人で髪色と目の色は母親譲りらしい。本名は《瀧川・ベアリーヌ》という名前で、性格は今のように明るくはなく、どっちかといえば昔から引っ込み思案のシャイ気質だったそうだ。俺自身も和歌山県出身だと話すと、ベアさんはとってもびっくりしていた。そしてベアさんの死因も話してくれた。今から約10年前、その話から年齢を遡ると、ベアさんが12歳の頃に両親と帰国子女として日本に帰国しようとした際に悲劇が起こった。ある国のテロ組織が首謀した旅客機のハイジャック事件により、ベアさんと両親が巻き込まれ、旅客機の燃料が底をついてしまって、ある領海の海に墜落し、機体が叩きつけられる大事故に巻き込まれたらしい。その後、気がついたら、まあこの流れから予想はするかもしれないが、目が覚めた時に【導き人】のオロアと出会い、事情を聞いて試練を無事に突破して【現世人】【Beanne】としてこの【Paradiso】の世界へとやってきたそうだ。だが来たばかりの頃に、人身売買を生業とする組織に誘拐され、乱暴の日々を強いられたげていた所を【R・P社】(追憶と命題)のギルドに所属していたリーダーのルーシスというユートピア人の妻であった女性に助けられたらしい。だがその女性もベアさんを庇うかのように人身売買の組織が雇った凄腕のある殺し屋との戦いで命を落としてしまい、自分が亡くなる前にベアさんに対してまるで遺言のように『泣いても構わないわ。でも女の子なら前を向いて笑っていなさい。あなたは強いんだから!』と元気付けられたそうだ。その後は【R・P社】の社員に身元を引き取られ、色々トラブルもあったが晴れてギルドのメンバーに所属し、この10年間の間、その恩人の女性の言いつけもあってか、引っ込み試案を少しずつ克服していき、現在のように元気のある今のような性格になったらしい。そして極め付けは、【Aランク】になり、年齢サロンに行っては12歳体系から実年齢かつ理想的な年齢の22歳に整形してもらったそうである。

「……っていうのが私の経緯!どう!?」

「…どうって…まあ最初に言われた通り…かなりヘビーだな。……現世ではテロリストからのハイジャックによって、何処かの領海に旅客機が墜落…ここの世界では人身売買を主にしている所謂闇市に売られるところを恩人に助けられて、でもその恩人を殺されて…そんだけ波乱万丈で苦労したんだな〜ベアさん。……よくそんなことあって前向きでいられるのは感心するかもな……」

「ふっふ〜ん♪まあお姉さんだからね〜!…じゃあ次ハクローくんの番だね!君はどうしてこの【Paradiso】に?」

【Beanne】の問いに、【Hux・row】は自分の経緯を言うのを戸惑った。だが【Beanne】は腹を割って自分の事を打ち明けたのだと思い、隠し事をせずにありのままの経緯を話した。

・・・
・・


「…ふ〜ん!…で、この【Paradiso】に来たわけと!」

「これが俺の話だよ。んでハヤトの姿をした…あいつの事をどうしても知りたい!…千夜を守り、何かの縁でこの世界へ来たんだから…必ず奴と決着をつける!!」

【Hux・row】は千夜の十手を握り締めていた。十手全体からは、心なしか千夜の微笑んだ顔が投影されていたようにも見えていた様子である。

「で、それが千夜ちゃんから貰った十手って訳なんだね。…よく大切にされていたのか、こんなところまで来たんだね。……その木刀も!」

「…ああ。なんだか安心するんだよ。みんながここにいるような気がして…」

「…その、ロベルって人も残念だったね。君の一番の親友で…もしこの世界に来ていたとしても名前は変えないといけないから探すだけでも一苦労だね…」

「…ああ。それに、この【Paradiso】にいるのかもわからないしな…」(名前変えられてキレなかっただろうか…あいつ…)

「もし寂しいんだったら〜♪このベア姉さんが君を癒してあげるよ〜♪?」(くねくね〜♡)

「いえ結構です。今でも結構近いんで!」(キッパリ!)

「(・ー・)」(ショボーン……)(つれないな〜)

時間が経過するにつれ、電車は長々とトンネルの続く線路を通り、いよいよ街が見えてきた。その街は、【C島】の街のようにビル街であるが、昔の中世のような建造物が立っており、まるで現世でいうカナダのトロントを連想させるかのような街並みが続いている。それを見た【Hux・row】はその街の光景を見て、少しばかり驚いた。

「いよいよね。ここが目的地となっている街だよ♪」

「ほへ〜!…でかい街だな〜!?…それになんて言うか…オフィス街と言えばいいのか…ビルがたくさんある…」

「うん!ここが【D島】最大のギルドタウン!!【CronoSt】(クロノスト)!!【R・P社】(追憶と命題)のギルドの本部もここにあるから…それに、私、現世で生きていた時、トロントに住んでいたことがあるからこの町に似てて、なんか嬉しくて来た時にすぐに馴染んじゃってね〜♪」


〜【CronoSt】(クロノスト)〜


「…へぇ〜!!……!?って…やべっ!!今気づいたら俺達、無賃列車じゃねえか!?…どうすんだよ!?」

【Hux・row】は頭を抱えていた。だが【Beanne】は笑みを浮かべて、こう言い放った。

「大丈夫〜♪!そう言う時は、はいこれ〜!」

「ん?何だ?…腕章?【R・P・S・A】って書いてるな?」

「うん!これは私達【R・P社】の治安維持活動中の時につけるものなんだ〜!駅員が来ても治安活動中なら料金は免除されるから!そしてハクローくんは私の補佐役として話を合わせるから安心してよ!

「…突然過ぎるし職権濫用じゃねえのか…これ?…まあ、この際だからしかt」

パリーーン!!

「「!?」」

【Hux・row】と【Beanne】が話し合いをしていた時、何者かが襲撃してきたようだ。

「げへへ…ここが貨物列車か〜!?」「よ〜しお前ら〜食べ物奪うぞ〜!」「ゲッヘッヘ!!今日は晩酌だな〜♪」

「…好都合に御誂え向きの展開だな…ベアさん!…ヘッヘ!」(ニター!…チャキッ!)

「ふっふ〜ん♪!!そのようだね〜!…えーと、お、ちょうど良い棒があるね〜♪…後、はい腕章!」(ニヤ〜!カランカラン!)

な、何だテメェら〜!?…!!うわぁーー!! ギ、ギャーーーー!!  お、お助けーー!!

・・・
・・


「「以上!貨物車両の方の警備を終了します!…ただお急ぎで強盗団を追っていた為、無賃で乗車したことを深くお詫び申し上げます!!」」((ビシッ!))

「わかりました。お勤めご苦労様です。今回の件は緊急特例措置としてあなた方二人の無賃乗車は免除とします。これからも治安維持のために【R・P社】の発展に期待しています……」

「「はっ!失礼しました!!」」(ぺこり!)

【Hux・row】と【Beanne】は列車の貨物泥棒の警備活動を行ったとして、緊急特例措置で免除となった。そして無事に大都会【CronoSt】(クロノスト)へ辿り着いた。だがもう着いた頃には深夜であり、泊まる宿を探さなくてはならない。

「ここが…【CronoSt】の街か。……なんか夜景がギラついてるな…東京に住んでいた頃を思い出すな…とにかく宿を探さないとな〜…」

「ん〜…あ、そうだ!」

「ん?どうした?ベアさん?」

【Hux・row】は何か閃いた【Beanne】を見て喋りかけた。すると【Beanne】から思いがけない言葉を口に出した。

「夜も遅いし、この街の夜は治安が悪いから、今日は私の家に泊まっていってよ〜!今日は腕をかけてご馳走するからさ〜♪」

「…え!?」

「さっ!というわけで出発〜♪」(ガシッ!)「えっちょっ…!!」(おろおろ…)

《さっきから展開が急過ぎて…言葉が出てこねぇーーッ!!》

大都会【CronoSt】(クロノスト)に無事たどり着き、二人の時間は共に深い夜を過ごしていくーーー

・・・
・・

🎼Back Ground Music 》》》



♪〜とある魔術の禁書目録より・ヒートアイランド

〜【CronoSt】(クロノスト)居住区【Beanne】の家〜

ジャーーッ!

「う〜ん♪!!気持ちいいなぁ〜♪!!仕事終わりのシャワーとお風呂は最高〜ッ♪!!…ん〜っ!!♡」(ゴシゴシ…)

「……」

《どうしてこうなった〜〜ッッ!?!?》

【Hux・row】は泊まる宿を探していたが、【Beanne】が半強制的に自分の居住する家へ【Hux・row】を拉致し、現在に至るという事である。どうやら翌日になれば、【Beanne】の所属する【R・P社】(追憶と命題)ギルドへと案内してくれるそうだ。そして朝一に【bill】と【Rolan】と合流することにしている。

「……」(二人はあれから大丈夫なのか?…まあこんなこと気にしてても仕方ないし、とりあえず保留することにするか…)(ふきふき…!)

【Hux・row】はリビングでリラックスして、武器の手入れをしていた。すると風呂上がりの【Beanne】が出てきて声をかけてきた。

「あ〜っ♡いいお湯だった〜♪…お〜い♪!ハクローく〜ん♪!上がったよ〜♪!」

「あ、は〜い……いっ!?!?」

「ん〜?どうしたの〜?♪」(ニヤニヤ〜!♪)

「…べ、ベアさん!?///…ふ、服着てください!!///な、何で下着のまま出てきてるんですか!?///」(目逸らし!)

【Hux・row】は【Beanne】がセクシーな白の下着を着たまま風呂からリビングに入ってきた為、目を逸らし思わず注意する。例えで言うなら自分に姉がいるならそのまま下着姿のままリビングに出てくるような気まづい感覚を【Hux・row】は感じていた。

「いやぁ〜ん!!♡みんといて〜♡!!///」(嘘テレ〜)

「……昔やっていた昭和のおかんみたいなコントの振りしても笑えません!!…はい!これ服!!///」(バッ!)

「もう意外に初心(うぶ)なんだね〜♪!…現世で千夜ちゃんって彼女がいたのに〜!!…ねねっ!?…もしかして千夜ちゃんってさ〜♪?…私とここ、おんなじサイズなんでしょ!?」(着替え〜!)

「…!?///」(ドキッ!!///)

「へぇ〜っ♪その反応…図星なんだ〜♪あはは〜!!千夜ちゃんがね〜そうなんだ〜!♪」(ゲラゲラ!)

「…はぁ〜……つかベアさん、そもそももう夜中です。…近所迷惑ですよ…まあなんであの世なのに太陽が存在しているのかが疑問ですがね…」

その問いに【Beanne】は、現世で有名なあるジャーナリストになったつもりで丁寧にその旨を説明する。

「良い質問ですn…ゲフン!オホン!…良い質問だね〜ハクローくん♪!それについて言うとね〜!」

「……」(…何で言い直したんだよ?)

【Beanne】はこの世界の太陽について説明してくれた。この世界に存在する太陽は、【paradiso】の技術で作られた人工太陽であることを説明された。どんな因果で作られたのかは謎らしい。そしてそれは13の島を交互に回っているだとかそうでないとかそのメカニズムは未だ解明されておらず、謎であるらしい。

「…そうか。…まあ過ごしていくうちに馴染むか…さ〜て俺もシャワー貰うわ〜!…色々あり過ぎて疲れたっての!」

「シャワーは自由に使ってね〜!♪…あと…私の入った残り湯もあるから…自由に…堪能して…飲んでも…///」

「結構です!!///シャワーだけにします!!///」(ジトーー!!)

「(・ー・)」(ショボーン……)(も〜う!つれないな〜!)

「魚を釣るのと同じで!…つられるのにも限度ってのがあります!!」(バタンッ!)

「!?…〜♪」(お〜心を読んだ!…あはは!…私の元同僚と【導き人】のオロア達みたいだね〜♪……さてっと!料理でも作るか〜♪)

シャーー………

「……」(一応警戒はしているが……覗きには来ないようだな…)

・・・
・・


🎼Back Ground Music 》》》



♪〜RAD WIMPSより・家族の時間

「ふ〜さっぱりした〜!まさかあの世でもシャワー浴びれるとは思わなかった〜!」

「でしょ〜♪…なんだかんだでシャワーとお風呂は最高だよ〜♪…さ、ご飯食べよ〜♪」

コトン!

「!?…へぇ〜!?いっぱいだな〜!これベアさんの手作りなのか!?」

「そうだよ!腕によりをかけました〜!♪…さ!ハクローくん食べよっか?あ、お酒飲む?」

「…いや、悪いが酒は飲まないんだ。タバコも吸わない」

「へ〜真面目だね〜!…ちょっと意外!…私は梅酒でも飲むかな〜♪和歌山生まれといえば梅酒でしょ〜!!」

「ははは。…さてと…では、いただきます!」「いただきます!」

「ベアさんもやっぱり言うんですね」「ハーフとは言えど、日本人だからね〜!♪」

【Hux・row】は【Beanne】の作ったオムライスを一口運んでみた。するとその味を味わってはなぜか懐かしい味がした。昔【Hux・row】の祖母が作ってくれたあの時の味と酷似しているからか、【Hux・row】は思わず笑みを浮かべた。その様子を見た【Beanne】は、嬉しそうに頬に手を当てて、微笑みを浮かべながら感想を聞いた。

「ハクローくん。…どうかな〜?」

「うん!美味いよ!…もしかしてベアさんこれって?」

「うん!昔ママがよく作ってくれて…それで覚えていたんだ!…でもね…それを思い出す度にね。…何だか寂しくなる時も…あって…う…うぅ…パパ………!!ママ〜……ぅぅ…グスッ!……」(ウルウル…グスッ…!)

ポタポタ……

「あっ!…そっか。…なんかごめんなベアさん。…辛いこと思い出させてしまって…」(頬カキカキ)

「…慰めてくれるの?……あぁ……優しいねハクローくん///……今日はベットで私と一緒に抱いて寝てk…///」(うるうる…)

「さ〜てと、早く食べて今日は野宿にしよ〜っと!!明日も早いし〜!!」(バクバク!)

「ちょ、冗談!冗談だって〜!もう本気にしないでよ〜!…ぷっ…ふふ…〜♪」(アセアセ!)

「…たくっ!!…も〜ベアさん!冗談も程々に…くっ…ははは…ッ!!」

「「あはははは!」」

その日は久しぶりに心から笑えたように思う。今日はこの【Paradiso】に来て、本当に色んなことがあった。逃げては走ったり、ヤバい奴らと戦ったりと、そして締めに大笑いして…とにかく濃い1日だったと思う【Hux・row】であった。

・・・

「俺ソファーで寝るから、ベアさんはベッド使ってくれよ!」

「え〜!?一緒に寝ようよ〜!?」(ブーブー!)

「…んなことしたら俺の身体が持たないんで…それに俺は現世で潜水艦に乗ったりして狭い所に寝かされた経験があるんでソファーくらい楽勝ですよ!」

「そっか。……わかった!」

「んじゃあおやすみ!…zzz…zzz…」

「うわ!寝るのはや!…まあでも君にとっては色々あった日だからね〜♪…もう風邪引くぞ!」

【Beanne】は親切にもソファーに寝ていた【Hux・row】に布団を優しく被せる。そして寝顔を見てニコニコと微笑んで温かく見守る。

「……ふふっ♪」(ふふ!…今日はあんな事があったのに、嬉しそうな顔だね〜♪…ハクローくん!…君に今日出会って関わっていく内にね。私も何だか半年ぶりに心から久しぶりに笑えたよ。…あなた達を助ける所か、何だか逆に助けられたよ♪…ありがとね…ハクローくん♪♡!)

…チュッ!♡

【Beanne】は大胆にも眠っていた【Hux・row】の頬にキスをしてベッドに入った。

「ん〜〜っ♡…おやすみぃ〜♪…ハクローくん〜♡……zzz…zzz…」

「……///」(……ハァ…全く…あの世まで来てこれか……///…千夜の手刀チョップがなんか恋しくなるな〜…だけど…布団ありがとな…ベアさん…zzz…zzz)

今日初めての【Paradiso】の夜を過ごす【Hux・row】…【Beanne】との二人きりの甘い夜は続く…そして時が経つうちに、浅い眠りに入っていき…夢の中に入るーーー

・・・
・・










《To Be Continued…→》











第11話:夕方のデスレースと夕焼け街
《完読クリア!!》



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B. いいえ