🎼Back Ground Music 》》》
God created heaven and earth, and everything that exists between them.
(神は天と地、およびその間に存在するすべてを創造した。)
Having a good spirit is not enough, it is important to use it well.
(良い精神を持っているだけでは十分ではなく、大切なのはそれを良く用いることだ。)
Rene Descartes
(ルネ・デカルト)
〜???の世界〜(【paradiso】歴1999年12月15日。)
〜カラーン…カラーン♪
「zzz……!!……!?…な!?……一体何よ!?ここは!?」
優花は目を覚ました。中はとても狭く、周りには白い薔薇が囲まれており、顔の前にはドット状の穴があった。豹策は、一度前の扉を押し出してみる。
「…ん?開くわね…」(ガタン!)
優花は扉を開け、身体を起こして周囲を確認する。下を見るとそれは案の定、棺で眠っていた。周りは空間は薄暗く、もやがかかった空間が広がり、目の前には白い道が続いていた。そして天井は高さが見えない。その時優花は、何かの物音と気配を感じ、周囲を警戒する。
ガタッ… ゴゾッ…
「……だ、誰かいる!?」
「呼びました?」(ひょっこり!)
「…!?」
「……ん?」
「ええ!?こんなとこにお、女の子〜!?」
「やっほ〜♪」(ニパ〜!)
「…ああどうも…」(って!?何でよ!?そもそもここ一体どこなのよ〜!?)
「こんにちは〜♪初めましてってやつです!」
優花は目の前の少女を確認すると、それはシルバーブロンドの髪色でロングヘアー、肌は白く、胸元に十字架のワンポイントに青白のワンピースを着た笑顔の一人の少女がそこにいた。そして少女はすかさずニコニコと挨拶をした。
「私の名前は、導き人の一人、オロア!よろしく〜♪…そしてあなたをユートピアの世界へと勧誘に来ました!」
「……え?…ユートピアって何よ!?…つか一体ここどこなのよ〜!?」
「あらあら割としっかりしている印象で鈍ちんなのですね〜♪」(クスクス!)
「むっ!?」(このガキンチョ〜!!)
「ではではお教えしますね〜♪…後私はこう見えてもう何千年と生きていますので子供じゃあないんですよ〜♪」
「心読むな〜!!…って!?何でわかったのよ!?」
「ユートピアの世界とはいわゆる天国と地獄ではないもう一つの死後の世界があります。あなた達の現世で【paradiso】という言葉聞いたことありませんか〜♪」
「…ないわね。…そっか…やっぱ私…あの時死んでいたか〜…」
「はい♪あなたはあの時、現世で犯罪組織の親玉の方にハンマーでどつかれた結果死にました〜♪」
「そんな物騒なことを平然と言わないの!!…たくっ!!親の顔を見たくなるわ!!」
優花はオロアの自由奔放な様を見ては、碌な育ち方をしていないと感じている。するとオロアは笑顔に素直に答えた。
「ふっふ〜ん♪そこはご想像にお任せしますよ〜♪槇原優花さん♪」(ワクワク♪)
「…!!…なんで私の事を知ってるのよ!?…心も読めたりするし、なんか薄気味悪い子ね〜!!」
「はい♪!!…私たち導き人にはあなたの現世での行いについての記憶を全て知っていますよ〜!も・ち・ろ・ん!あなたの兄の宣行さんのこともですよ〜!」
「!!…はぁ…もういいわ…んでオロアでいいのよね?…その【Paradiso】というのは…一体何処にあるのよ?」
「こちらになりま〜す♪ご案内しますのでしっかりついて来てくださいね〜♪」(ピューー!!)
「!!…足早っ!?」
「早くしないと日が暮れますよ〜♪」(ダダダダっ!!)
「…ダァ〜もう待ちなさいよ〜!!」(タッタッタ!)
「〜♪」(ふっふ〜ん♪なかなかしっかりしてはいますが頑固頭といえばいいのか脳筋と言えばいいのですかね〜♪)
優花は走り続けた。すると視界は真っ暗闇になり、目的地に辿り着いたようだ。
「…ハァ…ハァ…だいぶ走ったな…」
「ご苦労様です優花さん!!ではでは〜…あれをご覧くださ〜い♪」
「え?…なっ何よあれ!?」
優花はオロアに指を刺された場所を見る。そこにはスポットライトのような光が三つもあり、先に続いている。その優花の問いにオロアは答える
「あれは現世の世界の光の一部です!光を浴びると、あなたの生前の様子だとか、その他の人の身体を借りて、いろんな追体験できたりと…まあとにかく色々な価値観に触れるのがありますね〜♪あ、特に害はないのでご安心ください!」
「へぇ〜…不思議ね〜…!?」(クルッ!)
「〜♪…えい!」(ドン!)
「……!?ええっ!!」(ビュー!)
「いってらっしゃ〜い♪」(ニコニコ〜フリフリ〜!)
「…ちょっちょっと不意打ち〜!?……」(シュン!)
優花はオロアの不意打ちを受け、光の中へと消えていった。オロアはその様子を見てはこう思った。
(現世では刑事さんの妹さんですか〜!!…生きのいい人ではありますが、その威勢もどこまで続くか実物ですね〜♪)
・・・
・・
・
🎼Back Ground Music 》》》
〜ある高校・6月上旬〜
《!!…ここは一体…?…あっ!?もしかしてあの人!?》
優花は誰かの高校時代の記憶を観測しているようである。そこに見覚えのある人物の若かりし日の姿があった。
「……」(スタッ!…タン!)
「よぉっ!!」(トン!)
「!?…ああ。お前か…新聞部の斎藤…」
《やっぱり霧矢さんだ〜!!…へぇ〜!昔から顔が濃い人だったのね〜!!》
そこには当時高校三年生の霧矢がいた。三木川の事件を解決した後、新聞部の者達と繋がりができたからか、斎藤が仲睦まじく話しかけにきた。
「あはは!…相変わらずクールだね!…また屋上に行くのかい?」
「…ああ。昼休みになると…どうしても行きたくなるんだ。」
「…天野の事だよね?」
「…ああ。」
《…天野?…もしかして霧矢さんの彼女なのかな?》
優花は天野という名前に、霧矢の彼女であるという事を感づいていた。会話の内容から失恋やら別れでもしたのだと感じていた。
タンタンタン!
「……」「……」
「?…ついてくるのか?」「まあね…なんだかんだ君を一人には出来ないし…そうしていたら天野に怒られるからね〜!!」
新聞部の斎藤は、霧矢と一緒についてくる様子である。話していくうちに屋上の扉が見えてきた。
「着いたな…」「じゃ!お先〜!!」
バタン!
「あ、斎藤〜!それに!?」「あら、霧矢くんも一緒じゃあない〜♡」
「あ。井山、大宮!来てたんだ!?」「…新聞部勢揃いってやつか…」
そこには先客として、新聞部の女子生徒である井山と大宮が見えていた。そして霧矢の姿を見たからか、すかさず声を掛ける。
「ねえねえ!?…霧矢くん!一緒にご飯食べようよ♪」「一緒にどお?」
「…一人で食べ…!?」
「固いことは言わない!今日は楽しく!」「さっ!一緒に食べよう!」「歓迎するわね〜♪」
「…わかった。」
《へぇ〜!…霧矢さんって昔からクールだけど、兄貴は鉄仮面とか言ってたけど、こういう友達がいたんだね〜!》
優花は、霧矢の高校時代の交友関係を見ても、理想的な高校生活をしているようにも感じていた。
もぐもぐ…
「あっ!…そうだヴェノ君!…作りすぎたからはいこれ!!」「私もよ…はい!ヴェノ君♡」
《プッ!…ヴェノ君って…!!》
井山は霧矢をあだ名で言いながら、サンドイッチを一枚渡し、大宮もおかずの玉子焼きを渡した。あだ名で言われ慣れていないからか、不機嫌そうにいった。
「…霧矢で結構だ。妙なあだ名をつけるな。」
「え〜?」「私はいいと思うけど〜?」「僕もだよ!なんかコードネームっぽくてカッコいいし!!」
《あ〜!なるほどあだ名ね!?…私も何かあだ名で言われたかったけど、そんなものなかったからね〜♪》
優花は仲睦まじく会話しては昼休みを謳歌する霧矢が輝いて見えていた。その様子を暖かく見守っていた。
「…さて、そろそろやるか…」
ペラペラ…
「おおっ!?早速勉強かい?」「真面目ね〜!」「流石はマトリを目指すために薬学部に入ろうとする男は違うね〜!!」
霧矢は参考書を持っては志望する大学の過去問の参考書を見ては勉強していた。それだけ目標である麻薬取締官への憧れは強いと感じていた。
「……」
「ねえ?霧矢!?…もし良かったら…私達も…」「手伝うわよ〜♪」「いいかな?」
「…どうしてだ?」
霧矢はその疑問に対して、新聞部一同はこう言い放った。
「「「仲間だから!!」」」
「…!!」
《熱いわね〜!…なんか青春ね〜♪》
新聞部一同の目は、本気だった。おそらく天野がいなくなってから、自分を信頼してくれる者がいなかったからか、一人にはさせてやれないという使命感もあったのだろう。その様子を見ては霧矢もうすら笑みを浮かべては言った。
「…ついて来れるのか?」(フッ…)
「うん!」「もちろんよ〜♪」「任せて!…こう見えて新聞部は成績上位の猛者ばかりだからきっと君の力になれるよ!!」
「…わかった。」
《霧矢さんいい友達を持ったわね〜!…というかこの新聞部の人達、なんかまるで霧矢さんとその天野って人に感謝しているようね。》
・・・
その後ある休日…
ピンポ〜ン!
「…はい。…お前達!?」
「ヤッホ〜!」「ウフフ♪遊びに来たわ〜!」「こんにちは!ヴェノさん!」
「…はぁ…一体何のようだ?」
「今からプールに行くんだ!」「良かったら…」「霧矢くんもどお〜?」
「…プールか…別に構わない。今日は暑いからな…」
「やった〜♪」「決まりだね!」「ウフフ♡嬉しいわ〜ヴェノ君♪」
「ヴェノというな…」(…まあいいか。…それに仲良くしないと天野も報われないだろうしな。)
《へぇ〜!…霧矢さんって意外と人付き合いがよかったのね〜!》
〜市民プール〜
バシャバシャ!!
「……」(バシャバシャ!)
「へぇ〜!霧矢って泳ぐの早いのね〜!」「あら素敵〜♪」「やるね〜!」
《泳ぐのも早いのね〜!霧矢さんって何でもこなすいい男って感じね〜♪》
霧矢は市民プールで人気のない場所を思いっきり泳ぐ。そしてしばらくしては休憩する。
「…ふぅ」
ピトッ!
「!!…大宮」
「…ウフフ♡…ちょっと大宮姉さんと話をしない?」
《…大宮さんか〜!…なんか色っぽい人ねぇ〜!…あの漫画に出てきそうなセクシーなモッコリ美人って感じよね〜!…霧矢さんと並ぶと絵になるわ〜!》
霧矢の頬にスポーツドリンクの缶を持ってきた黒い水着姿の自称セクシー担当新聞部部員女性の大宮が声を掛けてきた。
「まあ別に構わない。…いいよ」
「ウフフ…じゃあ失礼するわね」
ピトッ!
「…近い」
「気にしない気にしない♪」
大宮は霧矢に接近してはボディタッチする。そして肝心な事を話し出す。
「…ねえ。霧矢くん?」
「何だ?」
「…あなたって…あの子の事。……天野の事…好きなの?///」
「…!!…なぜそんな事を聞く?」
《キャ〜!!…これってこれってまさかまさかまさか!!??///》
自称大人のレディーな優花はこの会話から、大宮は、霧矢に好意を抱いているようであった。
「…もう鈍感ね〜!…こんな事を聞いてもまだ分からないの〜?…ウフフ♡」
チュッ♡
「!!…はぁ……わかった。……思い切って言うゾォっと」
「!!…どうなの?///」
「…好きだ。…天野のこと…」
「!!…そう…」(シュン…)
「…すまないな」
「…いいのよぉ〜…別に…!!…うぅ…グスッ!!」
「……」
なでなで!
「!!///」
《き…霧矢さん!?///》
大宮は試練を実感しては涙を流す。それを見ては、見過ごせなくなったからか、霧矢は大宮の頭を優しく撫でては慰める。
「…男として…泣き止むまで付き合う」
「…もう!…それが振った男の台詞かしら!?///…でも…悪くないわね。…ウフフ♡…グスン…」
《…へぇ〜大人ね〜!霧矢さんって…でも…大宮って女の人には少し同情するかな〜…》
「…はぁ…振られたわね〜…あ、そうだ霧矢くん。…あなたに渡したい物があるの」
「…何だ?」
大宮はそういうと、荷物から何かを出した。それは一枚の封筒であった。
「…ウフフ♡開けてみて♪」
「…!?…これは…撮っていたのか!?」
その写真は、天野と霧矢が二人で過ごしていた時、ブラックコーヒーと水を飲んでリラックスしていた時の写真であった。
《へぇ〜!この人がもしかして天野さんかな〜!?…結構可愛くて明るそうな人ね〜!…きっと今…すっごく美人になってそうね〜!》
ペラッ!
「…ふふ♡…伊達に新聞部は伊達ではないからね〜♪…どう?」
「…悪くないな。…安心する」
「でも…霧矢くん…あなたも笑うのね〜♡…素敵よ…本当に♪」
「…褒め言葉として受け取っておくよ。…だがありがとうな」(フッ…)
霧矢は天野の写真をもらったからか、嬉しそうに微笑みを浮かべていた。すると大宮は嬉しそうに言い放った。
「…どういたしまして♡…大事にしなさいよ♪」
ダキッ♡
「!!」(…はぁ〜…等価交換ってやつか…)
「…ふふ♪」
《霧矢さんてモテモテね〜♪…まあ高校生の頃からこんなソース顔の顔の濃い人いると誰でも惚れそうだもんね〜♪》
二人はお互いに抱きしめあった。そして夕陽が見えてきた。
🎼Back Ground Music 》》》
〜夕方〜
「夕方だね〜!」「ええ…本当に…まさにこれは…」「青春ってやつだね!」
「…今日も1日が終わるか…」
《夕陽の小川かぁ〜!…確かに青春って感じがするわね〜!!》
プールを後にし、霧矢は新聞部一同と橋に延びる小川の景色を眺めていた。すると、井山が何かを渡してきた。
「は〜いみんな!…これ!」
「ん?…コンビニチキン?」「どうして?」
「お腹が減ったから!!…はい霧矢も〜!泳ぎ疲れてお腹ペコペコでしょ!?」
「…まあな。…頂こう」
《すっかり仲良しね〜!…霧矢さんって不器用なとこもあるけれど、それでも人付き合いは嫌いってわけじゃあないのね!》
優花は霧矢の高校三年の学生生活を見ていくうちに、こう見えても人付き合いはする性格の人なのだと実感した。心なしか、頬も緩んでいる様子である。
「でも。もう来年で卒業か〜!」「そうよね〜!私はとりあえず就職かしら〜♪」「うちのセクシー担当だからモデル関係とか行きそうだよね〜!大宮って!」
あら〜♡それってどう言う意味かしら〜♪!!?? い、いだだだだ!!やっぱ女子プロレスラー目指した方が〜!?ぎ!?ぎゃーーーー!!!!
「……フッ」(天野。……離れ離れになっても。俺は。…俺達はこうして夕日を眺め。…仲良く馬鹿やって過ごしているよ。)
「んも〜う霧矢く〜ん笑わないでよ〜♪…でも、その顔も素敵〜♡」
ダキッ♡
「…離れろ」
「だ・め♪」
「!!…へぇ〜!霧矢くんと大宮って付き合ってるんだね〜♪」「確かにお似合いかもね〜♪」
「…違う」「んも〜う照・れ・な・い・の♡」
《大宮さんて大胆ね〜♪…振られたのにそれでも掴んだら離さないと来たか〜!…でもそれでも動じない霧矢さんは…それだけ天野さんのことが好きなのね〜!…一途ね〜♪》
霧矢は大宮に抱きつかれながらもブレずに自分の意志を持っている様子であった。そして数少ない青春の時間はあっという間に過ぎていく。
・・・
〜8月・夏祭り〜
ピィーードンドン!!
「夏祭り〜♪」「ウフフ♡浴衣よ〜霧矢くん♪」「どうかな〜?」
「…いいんじゃあないか。…だが人混みが多い。逸れないようにな。」
8月になり、一同は地元の夏祭りに来ていた。心なしか、霧矢の青春は、三人の新聞部とか変わっていくうちに充実しては霧矢の学生生活は輝いているようにも見えた。
「おっ!?…金魚掬いがあるね〜!」「綿飴もあるわね〜!」「たこ焼きも気になるかな〜!」
「…あまりはしゃぐな。…高校生なんだから少し落ち着け。」
「え〜!?」(ブーブー!)「今くらいよ〜♪こんなことできるの〜!」「霧矢!…あまり固いこと言わない!」(めっ!)
「…はぁ…」
《霧矢さんは落ち着きすぎだね〜!…もう少しはしゃいでもいいと思うのにな〜!》
優花は霧矢の様子を暖かく見守っている。するとそうしていくうちに、大宮がベンチに座っていた霧矢に対し、何かを持ってきてくれたようである。
「はい霧矢くん♪…ラムネよ〜!」
「…ああ。…すまんな」
「どういたしまして…ふふ…」
ストン…
「…隣に座るのか?」
「ええ…」
《へぇ〜!大宮さんも振られたのに猛アタック続けるのね〜!》
大宮は座っては、霧矢にこう答えた。
「…もう半年もしないうちに受験ね」
「…そうだな」
「あの子、どうしているのかしら?」
「…わからん。…元気だといいけどな」
霧矢は天野の安否を気にしていたようである。すると、大宮は大胆にもこのように言った。
「…もしかして、違う男ができていたりしてね〜♡」
「…どうだろうな。」
「んもう!…そこは絶対に天野は誰にも渡さないって言わなきゃ!!」
「…そんなこと、こんな人混みの中では言わん」
「ウフフ♡意外とウブなのね♡」
ドーーン!パーーン!!
「…花火か」
「そうね〜♡ウフフ♡」
チュッ♡
「!?」
「ウフ♡どう?」
《あれま!大胆なことするわね〜!///》
大宮は花火が上がった瞬間に接吻を交わす。霧矢は少し驚いた表情をするが、すぐに抑える。
「…別に」
「もう、素直じゃあないんだから〜!…天野とはキスはしたの?」
「!?」
🎼Back Ground Music 》》》
大宮は切なしげな表情で霧矢を見つめている。すると、霧矢は少し寂しげな表情で答えた。
「…していない」
「…告白もまだだったのね…?」
「…ああ」
「…切ないわね。なんだか一方的な別れになってしまったようで」
大宮は少し落ち込んだ表情をしてそういうと、霧矢は前を向き、こう言った。
「…だが、天野は…死んだわけじゃあない」
「…え?」
「…もし俺が…あの事件を公表していなかったら…天野…アイツは三木川と関わりのある麻薬の密売業者の奴らに危害を加えられていたかもしれない。…だから…俺はこの別れを…後悔していない」
「!!」
《あの事件…?…え?天野さんって一体…それに三木川って…!?》
キィーーーン!
「!?…頭の中に何かが!?」
優花の頭の中に何かが流れ込んできていた。するとそこには記者会見がされていた。
🎼Back Ground Music 》》》
「…この度はウチに在籍している生徒がこのような不祥事を起こしてしまい、誠に申し訳ありませんでした!」
パシャパシャ!!
《ええ!?ここって学校!?》
そこには霧矢の在学している高校の教員と校長と理事、そして三木川の両親が記者会見をしては謝罪していたようである。そしてマスコミや報道関係者は更に追求する。
ワーッ! ワーッ! ワーッ!
「三木川さん!…あなた達の親としての教育は…一体何を考えているつもりなのですか!?…なぜ麻薬所持という道に歩ませたのですか!?」
《!?…ま…麻薬!?…それに三木川って…あの時、犯罪組織の親玉の男の助手席に座っていた名前と…同じ名前…!?》
「この度は本当に申し訳ございませんでした」
「まさか私の娘が隠れてそのようなことを…本当に皆様にはご迷惑をおかけしました。娘にはそれ相応の社会的責任の措置を取らせていただきます!」
「こちらもウチの生徒がこのような事件を起こしてしまい申し訳ございませんでした」
パシャパシャ!
その後、スキャンダルでもこの事件の全貌は大きく報道され、話題となった。それに飽き足らず、マスコミによる騒ぎもあり、炎上するが如く大きく取り上げられた。
・・・
《そんなことが…霧矢さん…あなたの学校生活って…あれ?…!?あの新聞に載っているのって…霧矢さん!?…うわ〜!全然知らなかった!》
「…霧矢くんすごいわね〜!」「あの三木川が黒幕だったとはな〜!!」「麻薬か〜!!」「…それで天野…濡れ衣着せられた挙句に転校したってことかよ…」
「…」
(こうなってしまっても、学校生活は変わるわけではない。そして、学校側は追求されたとはいえ逃げていくばかり…解決には至らない。)
《そっか…霧矢さん…その事件があったからマトリをやっていたのね〜!……辛かったのね…苦しい思いをしていたのね。……だから、あんなにクールな……》
優花は申し訳なさそうな表情をして記憶を見つめていた。すると霧矢はそのまま屋上へと向かい、空を見上げる。
「……天野…お前が引っ越し。…あれからどれだけの月日が経ったのだろうか。…でも俺は…夢を諦めない…必ず」
《お前の人生はまだ終わってはいないんだ。俺も諦めず、前に進んでいく…約束だ!》
・・・
・・
・
「ハッ…!?」
「あっ!?…気づかれましたか〜?」
「…ええ。…そっか…霧矢さん…高校時代。……あんな事件に関わっていたのね…そんな事情があったのね。…あの人も青春を送れたつもりが、あんな闇にも関わりがあったのね」
「そうですね〜♪人は見かけによらないってやつですよ〜♪」
優花は第一の試練で霧矢の事を知り、ただの青春を過ごすだけではなく、表とは真逆の裏の事情もあることを知った。そして自分の夢を実現しようとする自己実現の意思を優花は学んだ。そして霧矢自身にも、愛する彼女がいるということも知った。するとオロアは急いでいたからか、次の試練を進めようとする。
「ではでは〜…第二の試練張り切っていきましょ〜う♪」
「…えぇ!?…早いわね〜…」
「はい♪…もしかして…歳を取ってるわりにビビってるんですか〜?」(プークスクス!)
「……むっ!?」(カチーン!)